2022年02月17日 (木曜日)

国費のコロナワクチンを闇打ちで接待に流用、「接種会場」は桜十字グループ西川朋希代表が理事を務めるビューティクリニックVIP室

東京都港区の「メットビューティクリニック」(以下、MET)元スタッフらがMyNewsJapanに内部告発した。スギ薬局会長夫妻のワクチン優先予約が問題になっていた昨年春から夏にかけ、METがコロナワクチンを闇接種していた、というもの。METは、ドモホルンリンクルで有名な再春館製薬が買収した桜十字グループ(熊本市)西川朋希代表が理事を務める医療機関で、西川氏は当時、菅総理と連日会っていた。まだ最優先とされた医療従事者すらワクチンを打てなかった時期で、接種券ナシでの脱法的な“闇打ち”に対し、スタッフらの間では「金さえあればなんでもできるのか」といった言葉も飛び交ったという。目的は国内外クライアントなど要人らの接待とみられる。国費で調達されたワクチンは、どのルートでMETに持ち込まれ、誰が“接待接種”を受けたのか。情報公開制度等で裏付け取材し、真相に迫った。

【Digest】
◇医療・福祉ビジネスを展開する巨大集団
◇菅首相と西川代表が首相公邸で会談
◇東京桜十字と(株)メディカルハック
◇闇接種の日程と場所を協議したラインの交信記録
◇桜十字グループが配給を受けたワクチンを流用か
◇コロナ専用シリンジがMETに
◇だれが闇接種を受けたのか?
◇桜十字とインドネシアの関係
◇医療崩壊の危機
◇桜十字は取材に応じず

東京都港区の表参道にある美容外科、メットビューティクリニック(以下、MET)の元スタッフらが、コロナワクチンの闇接種を内部告発した。2021年春から夏にかけて、数回にわたりワクチン接種が秘密裡に行われたという。目的は、国内外の要人らの「接待」であった可能性が高い。国費で調達されたコロナワクチンが私的に流用されたことになり、窃盗の疑いがある。

役職付きの元スタッフが次のように話す。

「ワクチン接種はVIPルームを使ってやっていたようです。しかし、VIPルームはいつでも使えるわけではなく、使用する際には事前にスケジュールを決めることになっていました。スケジュールを管理しておかなければ、VIPの患者さんに待ち時間が生じてしまう恐れがあるからです。そのVIPルームの使用目的を知らされないまま、上司の命令でスケジュールだけが入ることが増え、なにかおかしいと感じるようになりました。フロントに置いてあるはずの検温器がなくなることもありました。おそらくVIPルームで使っていたのだと思います」

METのVIPルームは、ビル裏口を入り、1階から2階へ階段を上がったところにある。タレントなどが美容の施術を受ける際に、人目を避けるために利用する。正面玄関から出入りすると、一般客と顔を合わせるため、それを避けるため裏口からVIPルームへの出入りを可能にしているのだ。そのVIPルームがワクチンの闇接種に使われた、という。

マイニュースジャパンが内部告発を受けたのは、2021年11月だった。その根拠は、ワクチン接種の日程と場所を決める際に当事者が使ったLINEの通信記録や、闇接種に使ったとみられるコロナワクチン専用のシリンジ(注射器)の写真だった。ワクチンとシリンジの配布ルートに関する港区の書面を情報公開請求で入手し、これら物的証拠と、取材で得た告発者たちの「証言」の整合性を検証することで、裏付けは決定的となった。

【続きはMyNewsJapan】

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2022年02月14日 (月曜日)

横浜副流煙裁判、ついに書類送検!!分煙は大いに結構!!だけどやりすぎ『嫌煙運動』は逆効果!!

『禁煙ファシズム』(鹿砦社)について、ジャーナリスト・須田慎一郎氏からインタビューを受けた。タイトルは「横浜副流煙裁判、ついに書類送検!!分煙は大いに結構!!だけどやりすぎ『嫌煙運動』は逆効果!!」

日本禁煙学会の作田学理事長の書類送検を踏まえて、事件について話した。東京大学医学部を卒業したエリートがなぜこんな単純なミスを犯したのか。スラップ(訴権の濫用)に対する「戦後処理」の意味は?この事件は、今後、藤井さんサイドからの損害賠償裁判がスケジュールに入っている

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2022年02月14日 (月曜日)

新聞衰退論を考える ── 新聞社が新聞の「注文部数」を決めている可能性、新聞社のビジネスモデルの闇、ABC部数検証・兵庫県〈2〉

本稿は、兵庫県をモデルとした新聞のABC部数の実態を検証するシリーズの2回目である。1回目では、朝日新聞と読売新聞を取り上げた。これらの新聞のABC部数が、多くの自治体で複数年に渡って「増減ゼロ」になっている実態を紹介した。いわゆるABC部数のロック現象である。

※1回目の記事、朝日と読売のケース 

今回は、毎日新聞と産経新聞を取り上げる。朝日新聞や読売新聞で確認できた同じロック現象が、毎日新聞と産経新聞でも確認できるか否かを調査した。

【注意】なお、下記の2つの表は、ABC部数を掲載している『新聞発行社レポート』の数字を、そのまま表に入力したものではない。『新聞発行社レポート』は、年に2回、4月と10月に区市郡別のABC部数を、新聞社別に公表するのだが、時系列の部数変化をひとつの表で確認することはできない。時系列の部数増減を確認するためには、『新聞発行社レポート』の号をまたいでデータを時系列に並べ変える必要がある。それにより特定の自治体における、新聞各社のABC部数がロックされているか否かを確認できる。

次に示すのが、2017年4月から2021年10月までの期間における毎日新聞と産経新聞のABC部数である。着色した部分が、ロック現象である。ABC部数に1部の増減も確認できない自治体、そのABC部数、ロックの持続期間が確認できる。ロック現象は、「押し紙」(あるいは「積み紙」)の反映である可能性が高い。新聞の読者数が、長期間にわたりまったく変わらないことは、通常はあり得ないからだ。

【続きはデジタル鹿砦社通信】

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2022年02月08日 (火曜日)

選挙人名簿流出事件に揺れる神奈川県真鶴町、松本町長ら4人を刑事告発へ、超党派の運動が始まる

何年にも渡って君臨した独裁政権が崩壊した後に選挙を実施する場合、国際監視団が現地入りして、選挙を厳しく監視する体制が敷かれることがある。汚点のない選挙の実現。わたしが知っている先駆け的な例としては、1984年のニカラグアがある。軍事独裁政権が崩壊した後、外国からの選挙監視団やマスコミが続々と乗り込んできて、この中米の小国は、初めて公正な自由選挙を実施したのである。

同じような制度と原理を導入するために、真鶴町の住民らが動きはじめた。住民の橋本勇さんが言う。

「外部の選挙監視団を入れて公正で清潔な選挙を実施できる制度を作る必要があります。その制度を真鶴から全国へ広げたいものです。そのために、汚職に関与した松本町長や選挙管理委員会の書記長など、4人の刑事告発を超党派で検討しています。また、選挙管理委員会も総入れ替えをする必要があります。不正を犯した書記長の残党が残っていますから」

橋本さんは、会社勤務を経て約40年前に真鶴に移り住み、光の海が一望できる岬に旅館とレストランを開業した。その真鶴が一部の人々の手で壊されていくことに心を痛めている。それが住民運動を始めた動機である。

◆広がる選挙管理委員会に対する不信感、選挙監視団制度の導入が不可欠

汚職事件は昨年の秋、ひとりの勇敢な男性の内部告発にはじまる。森敦彦氏。真鶴町の役所に勤務した後、2017年に町議になった。しかし、再選を目指した2021年9月の町議選では落選した。

その後、選挙運動の残務整理をしていると、1通の大きな封筒が出てきた。開けてみると、中に真鶴町の選挙人名簿や住民基本台帳などが入っていた。森さんが言う。

「この封筒は、町の選挙管理委員会の尾森書記長(当時)が届けたものですが、事前に松本一彦町長から、あなたの選挙に活用できる資料を届けさせると連絡を受けていたので、中身は町長が作成した自分の支援者名簿だと思っていました。そのようなものは必要なかったので、わたしは封も切らずにそのまま放置していました。自分の基礎票だけで再選できると思ったのです。選挙が終わってから、封を切ったところ、中から選挙人名簿や住民基本台帳が出てきたのです。わたしはびっくりして、警察に届け出ました」

知人の勧めで、マスコミにも通報した。中央紙はほとんど報じなかったが、地元の神奈川新聞やローカル紙が熱心にこの事件を取り上げた。その結果、松本町長は10月26日に記者会見を開いて、自らの責任を認めた。選挙管理委員会の尾森書記長に選挙人名簿や住民基本台帳などをコピーさせ、外部に持ち出させたことを認め、辞任を表明したのである。また、その後、これらの書面を青木健議員と岩本克美議員(議長)にも配布したことを公表した。

不祥事により政治家が辞任すること自体は特に珍しいことではない。しかし、松本町長は、辞任した後、お詫び回りを続け、町長選がはじまる直前に再出馬を表明した。そして次点候補と88票の僅差で町長選に勝利したのである。この88票も、開票の最終ステージで逆転したものだという。そのために選挙管理委員会に対して再び不信感を募らせる市民もいた。【続きはデジタル鹿砦社通信】

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新聞衰退論を考える ── 公称部数の表示方向を変えるだけでビジネスモデルの裏面が見えてくる ABC部数検証・兵庫県〈1〉

冒頭に示すのは、兵庫県全域における読売新聞のABC部数である。期間は2017年4月から2021年10月である。カラーのマーカーをつけた部分が、部数がロックされている箇所と、その持続期間である。言葉を変えると、読売新聞が販売店に対して販売した部数のロック実態である。

【注意】なお、冒頭の表は、ABC部数を公表している『新聞発行社レポート』の数字を、そのままエクセル表に移したものではない。『新聞発行社レポート』は、4月と10月に区市郡別のABC部数が、新聞社ごとに表示されるのだが、時系列の部数変化を確認・検証するためには、号をまたいで時系列に『新聞発行社レポート』のデータを並べてみる必要がある。それにより特定の自治体における、特定の新聞のABC部数が時系列でどう変化しいたかを確認できる。

いわばABC部数の表示方法を工夫するだけで、新聞業界のでたらめなビジネスモデルの実態が浮かび上がってくるのである。

朝日新聞のABC部数についても、同じ方法で解析した。

 【全文と詳細は、デジタル鹿砦社通信で】

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日本禁煙学会・作田学理事長を書類送検、問われる医師法20条違反、横浜地検が捜査に着手

請求額は約4500万円。訴えは棄却。煙草の副流煙で体調を崩したとして、同じマンションの隣人が隣人を訴えたスラップ裁判の「戦後処理」が、新しい段階に入った。日本禁煙学会の作田学理事長に対する検察の捜査がまもなく始まる。この事件で主要な役割を果たした作田医師に対する捜査が、神奈川県警青葉署ら横浜地検へ移った。

それを受けて被害者の妻・藤井敦子さんと「支援する会(石岡淑道代表)」は、24日、厚生労働省記者クラブで会見を開いた。

◆藤井さんの勝訴、診断書のグレーゾーンが決め手に

事件の発端は、2019年11月にさかのぼる。藤井さん夫妻と同じマンションの2階に住むAさん一家(夫・妻・娘の3人)は、藤井さんの夫が自宅で吸う煙草の副流煙で、「受動喫煙症」などに罹患したとして、4500万円の損害賠償を求める裁判を起こした。しかし、審理の中で、提訴の根拠となった3人の診断書(作田医師が作成)のうち、A娘の診断書が無診察で交付されていた事実が判明した。無診察による診断書交付は医師法20条で禁じられている。刑事事件にもなりうる。

さらにその後、A家の娘の診断書が2通存在していて、しかも病名などが微妙に異なっていることが明らかになった。同じ患者の診断書が2通存在することは、正常な管理体制の下では起こり得ない。これらの事実から作田医師がA家の娘のために交付した診断書が偽造されたものである疑惑が浮上した。

横浜地裁は3人の請求を棄却すると同時に、診断書を作成した作田医師に対して医師法20条違反を認定した。また、日本禁煙学会が独自に設けている「受動喫煙症」の診断基準が、裁判提起など「禁煙運動」推進の政策目的で作られていることも認定した。この裁判では、日本禁煙学会の医師や研究者が次々と原告に加勢したが、なにひとつ主張は認められなかった。

また審理の中で、原告の1人が元喫煙者であったことも判明した。

その後、控訴審でも藤井さんが勝訴して裁判は終わった。
【続きはデジタル鹿砦社通信】

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【新刊案内】『禁煙ファシズム-横浜副流煙事件の記録』、スラップ訴訟への警鐘、まもなく販売開始

『禁煙ファシズム-横浜副流煙事件の記録』(鹿砦社)の書店販売が2月1日に始まる。この本はメディア黒書で繰り返し取り上げてきた横浜副流煙事件をコンパクトにまとめたものである。

煙草の副流煙で「受動喫煙症」になったとして、同じマンションの隣人が隣人を訴えた4500万円訴訟の発端から結末までを読みやすく構成している。スラップ訴訟の中身と加害者の自滅を詳しく記録した。内容は次の通りである。

1章、隣人トラブルから警察沙汰に
2章、事件の発覚を警戒する二人の弁護士
3章、本人訴訟とジャーナリズムの選択肢
4章、神奈川県警介入のグレーゾーン
5章、3通の診断書から浮上した疑惑
6章、診断書をメール電送した異常
7章、「受動喫煙」外来への潜入取材
8章、医師法第20条違反を認定した1審判決
エピローグ

本のキャッチフレーズも紹介しておこう。

「その一服、四五〇〇万円!、ある日、突然に法廷に。日常生活に潜む隣人トラブル」

「ミュージシャンが自宅マンションの音楽室で煙草を吸っていると訴状が届いた。4500万円の損害賠償と自宅での喫煙禁止。同じマンションの上階に住む家族が、副流煙で病気になったとして裁判を起こしたのだ。著名な医師や研究者が次々と原告家族に加勢したが、偽造診断書が発覚して事件は思わぬ方向へ・・・。日常生活の中に潜む隣人トラブル。

タイトル:『禁煙ファシズム-横浜副流煙事件の記録』(鹿砦社)

価格:1200円+税

著者:黒薮哲哉

出版社:鹿砦社

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2022年01月20日 (木曜日)

普及が進む携帯電話の基地局(4G、5G)の裏で低周波による被害も多発

神経が敏感な人にとっては、麻酔をかけた頭をドリルで貫かれるような感覚を覚えたりする。それが思考や睡眠を妨げる。新世代公害は、影のように住居に闖入してくる。

電磁波問題を取材している関係で、わたしのもとに電磁波による被害についての情報提供や内部告発が寄せられる。電話会社が、民家の直近やマンションの屋上に、一方的に携帯電話の基地局(4G,5G)を設置した後、住民が被害を受ける事件が頻発していることは、既報してきたが、同じ基地局問題でも若干タイプが異なるのが、低周波電磁波による被害である。

携帯電話の通信には、おもにマイクロ波と呼ばれる高周波の電波が使われる。しかし、基地局の機械部分からは、低周波が漏れている。それがもうひとつの健康被害の原因になっている。

 

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米国が台湾で狙っていること 台湾問題で日本のメディアは何を報じていないのか? 全米民主主義基金(NED)と際英文総統の親密な関係

赤い絨毯(じゅうたん)を敷き詰めた演壇に立つ2人の人物。性別も人種も異なるが、両人とも黒いスーツに身を包み、張り付いたような笑みを浮かべて正面を見据えている。男の肩からは紫に金を調和させた仰々しいタスキがかかっている。メディアを使って世論を誘導し、紛争の火種をまき散らしてきた男、カール・ジャーシュマンである。

マスコミが盛んに「台湾有事」を報じている。台湾を巡って米中で武力衝突が起きて、それに日本が巻き込まれるというシナリオを繰り返している。それに呼応するかのように、日本では「反中」感情が急激に高まり、防衛費の増額が見込まれている。沖縄県の基地化にも拍車がかかっている。

しかし、日本のメディアが報じない肝心な動きがある。それは全米民主主義基金(NED)の台湾への接近である。この組織は、「反共キャンペーン」を地球規模で展開している米国政府系の基金である。

設立は1983年。中央アメリカの民族自決運動に対する介入を強めていた米国のレーガン大統領が設立した基金で、世界のあちらこちらで「民主化運動」を口実にした草の根ファシズムを育成してきた。ターゲットとした国を混乱させて政権交代を試みる。その手法は、トランプ政権の時代には、香港でも適用された。

全米民主主義基金は表向きは民間の非営利団体であるが、活動資金は米国の国家予算から支出されている。実態としては、米国政府そのものである。それゆえに昨年の12月にバイデン大統領が開催した民主主義サミット(The Summit for Democracy)でも、一定の役割を担ったのである。

◆ノーベル平和賞受賞のジャーナリストも参加

民主主義サミットが開催される前日、2021年12月8日、全米民主主義基金は、米国政府と敵対している国や地域で「民主化運動」なるものを展開している代表的な活動家やジャーナリストなどを集めて懇談会を開催した。参加者の中には、2021年にノーベル平和賞を受けたフィリピンのジャーナリスト、マリア・レッサも含まれていた。また、香港の「反中」活動家やニカラグアの反政府派のジャーナリストらも招待された。世論誘導の推進が全米民主主義基金の重要な方向性であるから、メディア関係者が人選に含まれていた可能性が高い。【出典】

この謀略組織が台湾の内部に入り込んで、香港のような混乱状態を生みだせば、米中の対立に拍車がかかる。中国が米国企業の必要不可欠な市場になっていることなどから、交戦になる可能性は少ないが、米中関係がさらに悪化する。

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軽減税率や「押し紙」で新聞業界が得る不正収入、年間1300億円超の試算

新聞業界は、軽減税率の適用や「押し紙」でどの程度の不正収入を得ているのか。試算した結果、年間1300億円を超える可能性があることが分かった。

・・・・・・・・・・・・

『文化通信』の報道によると、日本新聞協会の税制に関するプロジェクトチーム(税制PT)は昨年の1月25日、自民・公明の税調会長に、税制改正要望書を提出した。その中身は、軽減税率の恒久化、適用範囲を即売新聞、書籍、雑誌、電子新聞へ拡大することなどである。骨子は次の通りだ。

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2022年01月11日 (火曜日)

【ウェブマガジン】学校教育の中に新聞を持ち込む弊害について、知力の発達についての誤った視点

毎月、国会図書館へ行って、新聞関係の業界紙に目を通す。11日は、昨年の12月と今年の1月の業界紙を確認した。

ここ1年ほどの間に顕著になっている現象がある。それは新聞関係者が「紙」新聞を学校教育の現場に持ち込もうとしていることだ。恐らくそこに新聞販売の活路を開こうとしているのではないか。詳細については、別の機会に記事化する予定だが、露骨な見出しをいくつか紹介しておこう。

・電子版は熟読には向かない、深い学びは「紙」との併用

・プレゼン力の向上に力点、要約力は新聞など読んで養う

・3年ぶりにリアル開催 来夏、宮崎でNIE全国大会
※NIEは、新聞協会が進める教育に新聞を運動

・学校図書館への新聞配備増える

・新聞を活用した日常的なNIEの取り組みが重要

・図書や新聞で学力向上、学校図書館図書等の整備・充実を求める各界連絡会

新聞のPRに著名人を動員していることもひとつの特徴だ。新聞協会が主催したオンラインのシンポジウムに大学教授やジャーナリストが登場して新聞をPRしている。【続きはウェブマガジン】

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2022年01月11日 (火曜日)

『公明新聞』を印刷している新聞社系の印刷会社、毎日新聞グループの東日印刷など26社、新聞ジャーナリズムが機能しない客観的な原因に

公明党が自民党と連立して政権党に変身したのは、1999年、小渕恵三内閣の時代である。自民党単独では、安定した政権運営にかげりが兆し、公明党が自民党の補完勢力として、その存在感を発揮するようになったのである。

しかし、公明党と新聞業界の関係が、派手に報じられることはない。かつて問題になった安倍晋三と渡邉恒雄らマスコミ幹部の会食に象徴される両者の「情交関係」などは、公明党には無縁のような印象がある。

筆者はこのほど公明党の政治資金収支報告書(2020年度分)を出典として、公明党の機関紙『公明新聞』を印刷している新聞社系の印刷会社をリストアップした。その結果、複数に渡る新聞社系列の印刷会社が、『公明新聞』を印刷していることを確認した。公明党から総額で月額1億2000万円程度(2020年度6月度の実績)の印刷収入を得ている。次に示す表が、その内訳である。【続きはデジタル鹿砦社通信】

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2022年01月08日 (土曜日)

「残紙」世界一の都市、大阪府堺市、読売・朝日・毎日・産経のABC部数にみる異常、複数年に渡って1部の増減もなし、新聞の注文方法に独禁法違反の疑惑

ABC部数は、日本ABC協会が定期的に公表する出版物の公称部数である。広告営業や折込定数(販売店に搬入する折込広告の部数)を決める際に使われる。従ってABC部数は、読者数を反映したものでなければ意味がない。

たとえば〇〇新聞社のABC部数が50万部で、実際の読者数が30万部では、両者の間に20万部の差異があり、広告主を欺く温床になる。紙面広告の媒体価値をごまかしたり、折込定数の設定を攪乱する原因になる。

このところABC部数と読者数に著しい乖離がある疑惑が浮上している。その推測の根拠となるのが、ABC部数が複数年に渡って1部の増減もない自治体の存在である。つまりABC部数がロックされた状態になっているのだ。常識的に考えて、広域にわたる地区で、新聞の読者数が何年にも渡ってまったく同じという状態はありえない。まして現代は新聞離れの時代である。

筆者の調査では、東京都、大阪府、広島県、香川県、長崎県などでこの現象が確認できた。調査はまだ始まったばかりなので、今後、調査が進むとさらにロック現象が観察される自治体が増える可能性が高い。

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読売新聞社と大阪府の包括連携協定、残紙問題が提示する読売グループの実態、読売に「道徳」を語る資格があるのか?

昨年(2021年)の12月27日、読売新聞社と大阪府は記者会見を開いて、両者が包括連携協定に締結したことを発表した。大阪府の発表によると、次の8分野について、大阪府と読売が連携して活動する計画だという。特定のメディアが自治体と一体化して、「情交関係」を結ぶことに対して、記者会見の直後から、批判があがっている。

連携協定の対象になっている活動分野は次の8項目である。

(1)教育・人材育成に関すること
(2)情報発信に関すること
(3)安全・安心に関すること
(4)子ども・福祉に関すること
(5)地域活性化に関すること
(6)産業振興・雇用に関すること
(7)健康に関すること
(8)環境に関すること

(1)から(8)に関して、筆者はそれぞれ問題を孕んでいると考えている。その細目に言及するには、かなり多くの文字数を要するので、ここでは控える。

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2021年12月31日 (金曜日)

【書評】『抵抗と絶望の狭間』掲載の「佐藤栄作とヒロシマ」、浮き彫りになる被害者の視点と第三者の視点

理論的に物事を理解することと、感覚として物事を受け止めることは、性質が異なる。前者は、「象牙の塔」の世界であり、後者は実生活の世界である。両者が結合したとき、物事の本質が具体像となって浮上してくる。それゆえに筆者のような取材者は、両者の距離を縮めるために、現場へ足を運ぶことがなによりも大切なのだ。

『抵抗と絶望の狭間』に収録された「佐藤栄作とヒロシマ」を執筆した田所敏夫氏は、みずからの家系について次のように書いている。

「広島市内で多量の被爆をした3人の伯父は五十代を迎えると、申し合わせたようにがんで亡くなった。発症から逝去までが短かったことも共通している。母は、数年前、『百万人に一人の割合』で発症すると医師から診断を受けた珍しいがんに罹患した」

田所氏自身もその翌年に癌に罹患していることが判明した。とはいえ田所氏は、1965年生まれで、直接、ヒロシマの閃光を浴びたわけではない。が、それにもかかわらず脳裏には、「広島の空に沸き上がった巨大なキノコ雲と、その下で燃え上がった町や、焼かれたたんぱく質の匂いが現実に経験したかのように刻み込まれている」。

広島の悲劇から76年を経て、田代氏は自らも世代を跨いだ原爆の被害者になったからにほかならない。身近に被爆者がいたことも、関係している。

家系に短命な人が多いわけではなかった。しかし、癌の世代間連鎖の当事者になり、田所氏の記憶の中で、1971年は特別な年になった。この年の8月6日、佐藤栄作が首相として初めて広島を訪れた。それ以来、平和記念式典で首相が「台本」を読み上げる儀式が定着した。菅義秀は、その台本を読み間違えた。しかし、原爆の被害者は、それを単なる知性の問題として受け止めることはできない。誤読は枝葉末節であって、「台本」そのものが、被爆者に対する耐え難い侮辱なのだ。

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全米民主主義基金(NED)による「民主化運動」への資金提供、反共プロパガンダの温床に、香港、ニカラグア、ベネズエラ……

「スタンピード現象」と呼ばれる現象がある。これはサバンナなどで群れをなして生活しているシマウマやキリンなどの群れが、先頭に誘導されて、一斉に同じ方向へ走り出す現象のことである。先頭が東へ駆け出すと、群れ全体が東へ突進する。先頭が西へ方向転換すると、後に続く群れも西へ方向転換する。

わたしが記憶する限り、スタンピード現象という言葉は、共同通信社の故・斎藤茂男氏が、日本のマスコミの実態を形容する際によく使用されていた。もう20年以上前のことである。

ここ数年、中国、ニカラグア、ベネズエラなどを名指しにした「西側メディア」による反共キャンペーンが露骨になっている。米中対立の中で、日本のメディアは、一斉に中国をターゲットとした攻撃を強めている。中国に対する度を超えたネガティブキャンペーンを展開している。

その結果、中国との武力衝突を心配する世論も生まれている。永田町では右派から左派まで、北京五輪・パラの外交的ボイコットも辞さない態度を表明している。その温床となっているのが、日本のマスコミによる未熟な国際報道である。それを鵜呑みにした結果にほかならない。

◆メディアは何を報じていないのか?

新聞研究者の故・新井直之氏は、『ジャーナリズム』(東洋経済新報社)の中で、ある貴重な提言をしている。

「新聞社や放送局の性格を見て行くためには、ある事実をどのように報道しているか、を見るとともに、どのようなニュースについて伝えていないか、を見ることが重要になってくる。ジャーナリズムを批評するときに欠くことができない視点は、『どのような記事を載せているか』ではなく、『どのような記事を載せていないか』なのである」

新井氏の提言に学んで、同時代のメディアを解析するとき、日本のメディアは、何を報じていないのかを検証する必要がある。

結論を先に言えば、それは米国の世界戦略の変化とそれが意図している危険な性格である。たとえば米国政府の関連組織が、「民主化運動」を組織している外国の組織に対して、潤沢な活動資金を提供している事実である。それは「反共」プロパガンダの資金と言っても過言ではない。日本のメディアは、特にこの点を隠している。あるいは事実そのものを把握していない。

「民主化運動」のスポンサーになっている組織のうち、インターネットで事実関係の裏付けが取れる組織のひとつに全米民主主義基金(NED、National Endowment for democracy)がある。この団体の実態については、後述するとして、まず最初に同基金がどの程度の資金を外国の「民主化運動」に提供しているかを、香港、ニカラグア、ベネズエラを例に紹介しておこう。次の表である。 【続きはデジタル鹿砦社通信】

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2021年12月22日 (水曜日)

【書評】『抵抗と絶望の狭間』、半世紀を経た現在の視点、連合赤軍事件は日本の「組織思想」が招いた悲劇

本書の冒頭インタビューで中村敦夫氏は、思い立ったらとにかく現場へ行く重要性について、次のように述べている。

「そこへ行くと行かないでは大違いで、行って目的が失敗したとしても、損ということはないですよね。もの凄く学ぶっていうことが残るわけです。だから、行動するときは迷わないですよね。反省はあとですればいいんだから、最初から反省してやらないというのは、人間が全然発展しないですよ。痛い目に遭うのだって勉強ですから。」

『抵抗と絶望の狭間』は、1960年代後半から1970年代にかけた時代を検証するシリーズの第4弾である。(関連図書を含めると第5弾)。戦後史の中で、この時期に津波のように日本列島に押し寄せた社会運動の高まりと、その後の衰退現象の検証を避けて通ることはできない。当時の社会運動やそれに連想した文化を肯定するにしろ、否定するにしろ、社会が激しく動いていたことは紛れない事実であるからだ。当時、小学生だった筆者も、テレビを通じて、日本でなにか新しい流れが生まれている予感を持ったものだった。

その激動の現場へ飛び込んだ人々が、半世紀を経た現在から、当時を検証したのが本書である。時代が執筆者たちの現在の生き方に何らかの影響を及ぼしていることが読み取れる。

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2021年12月21日 (火曜日)

神奈川県真鶴町の町長選、不祥事(選挙人名簿の持ち出し)で辞任した前町長が当選

起きてはならないことが、起きてしまった。神奈川県真鶴町の町長選で、不祥事により辞任した前町長が再出馬して当選したのだ。開票結果は次の通りである。

当選 松本 一彦:1,493票
        宇賀 かずあき: 1,405票
        大塚 伸二:807票
        森 あつひこ:136票

当選した松本一彦氏は、前町長である。2020年9月に行われた町長選(写真)の前に、選挙管理委員会から不正に選挙人名簿を持ち出し、選挙運動に利用したことが発覚して10月に辞任した。本人もそれを認めて謝罪した。

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2021年12月20日 (月曜日)

情報公開請求の不透明な実態、最高裁事務総局が裁判官人事に関する書類の開示を拒否

情報公開制度が形骸化している。開示請求を受けた公的団体が、自分たちにとって不都合な情報は開示しない、あるいはたとえ開示しても、肝心な部分は黒塗りで公開することが半ば当たり前になってきた。

情報の透明化を求める世論が広がる一方で、情報を密室に閉じ込めてしまおうとする力も強まっている。その具体的な実態を最高裁事務総局に対する情報公開請求を例に紹介しよう。

◆「報告事件」とは何か?

2021年11月29日、筆者は最高裁事務総局から1通の通知書を受け取った。それは、筆者が同事務総局に対して開示を求めていた裁判官人事に関する文書類を開示しない決定通知だった。

今年の3月22日、筆者は次の文言の情報公開請求を申し立てた。

「裁判官の人事に関する文書の全タイトル。期間は、2018年4月から2021年2月。」

この情報公開請求の目的は、最高裁事務総局による「報告事件」についての調査である。「報告事件」というのは、最高裁事務総局が下級裁判所に対して審理内容の報告を求め、国策などにかかわる判決が下る可能性が浮上すると、担当裁判官を交代させることで、判決の方向性をコントロールする裁判を意味する。元裁判官らが、この種の制度が存在すると話しており、筆者は、その信ぴょう性を確認するために「報告事件」の調査を始めたのである。【続きはデジタル鹿砦社通信】 

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千葉県の選挙公報を水増し・大量廃棄、2019年の参院選で約10万部、NHK党の大野富生市議が調査

新聞・広告関係者が新聞に折り折り込んで配布する広報紙や選挙公報を水増し発注させて、不正な折込手数料を得ている実態が、水面下の問題になっている。この詐欺的な手口は、何の制裁を受けることもなく続いてきた。新聞・広告関係者は、「知らぬ」「感知していない」で押し通りしてきた。

千葉県流山市の大野富生議員(NHK党)は、この問題について千葉県全域を対象に調査した。千葉県選挙管理委員会に対して情報公開請求を行ったのだ。請求した資料は、2019年7月21日に施行された参議院通常選挙の際に、千葉県選挙管理委員会が委託した選挙公報の新聞折り込み部数(委託部数)である。

請求を受けて千葉県は、折込委託部数が1,769,824部だったとする資料を公開した。ここから不正疑惑が深まった。

と、いうのも同じ時期の千葉県のABC部数は、1,562,908部しかなかったからだ。新聞折り込みを行っていない四街道市(22,515部)と白井市(13,737部)のABC部数を除くと、1,526,656部しかない。

ちなみにABC部数は新聞社が販売店に搬入している部数である。この部数に、千葉日報(ABC協会の非会員)の公称部数、約145,000部を加えると、千葉県下における新聞部数は、総計で1,671,656部ということになる。

以上のデータをまとめたのが次の表である。【続きはデジタル鹿砦社通信】

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【書評】加藤やすこ著『スマートシティの脅威』、地上から宇宙へ、エスカレートする電磁波公害の新しい視点を提供

電磁波の工業利用に歯止めがかからない。かつて電磁波問題といえば、高圧電線や変電所、あるいは携帯電話基地局の直近に住む住民が受ける人体影響の検証が主流を占めていた。家電からもれる電磁波も議論の的になっていた。

しかし、このところ電磁波問題の全体像が変化してきた。宇宙を飛行する無人の基地局が電磁波の放射源となり地球全体を汚染する時代の到来が秒読み段階に入り、その安全性を検証することが電磁波問題の新しい視点として登場した。従来とは比較にならないほど、広い視野が求められるようになってきたのだ。

本書はそんな時代を見据えて、電磁波による健康被害はいうまでもなく、プライバシーの危機なども総括的に捉え、新世代公害に警鐘を鳴らしている。

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新聞業界が自民党の清和政策研究会(安倍晋三代表)の議員らへ政治献金、山谷えりこへ40万円、中川雅治へ40万円、菅義偉にも10万円

総務省は11月26日、2020年度分の政治資金収支報告書を公表した。それによると新聞業界が、自民党の清和政策研究会(安倍晋三代表)の議員を中心に146万円の政治献金を行っていることが分かった。

これらの政治献金の支出元は、日本新聞販売協会(日販協)の政治団体である日販協政治連盟である。日販協は新聞協会と連携して、再販制度を維持するロビー活動や新聞に対する軽減税率を適用させる活動の先頭に立ってきた団体である。両者は車の両輪関係にある。政治献金の詳細は次の通りである。(オレンジの背景で表示した議員は、清和政策研究会のメンバーである。)【続きはデジタル鹿砦社通信

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2021年12月02日 (木曜日)

【書評】『一流の前立腺がん患者になれ』、治療方法を選ぶための手引き、客観的なデータで構成された患者のためのやさしい専門書

東洋人は、90歳を超えると約半数が前立腺がんになるといわれている。前立腺がんの患者は年々増えている。患者数はいまや胃がんを上回っている。

2019年の冬、わたしは『一流の前立腺がん患者になれ!』の著者である安江博さんを、茨城土浦市にあるつくば遺伝子研究所に訪ねたことがある。滋賀医科大付属病院事件を取材することが目的だった。これは、前立腺がん治療の著名な開発者・岡本圭生医師を病院から追放した事件で、当時、岡本医師の患者だった安江さんも影響を受けた。

わたしは事件の経緯だけではなく、前立腺がん治療そのものについても尋ねた。何を根拠として安江さんは、岡本医師の治療法を選択したのかを尋ねたのである。

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2021年11月30日 (火曜日)

宮内庁と最高裁事務総局に対する情報公開請求、不透明な金銭、「報告事件」の存在も判明

11月29日付けの「デジタル鹿砦社通信」に宮内庁と最高裁事務総局の問題点を指摘する記事を書いた。タイトルは、「最高裁長官、退官後に宮内庁参与へ、竹崎博允・元長官ら、『勤務実態』は闇の中、最高裁に関する2つの情報公開調査のレポート」である。

■原文 

この記事の前半の概略は次の通りである。

①最高裁長官を退任した寺田逸郎氏と竹崎博允氏が、宮内庁参与に就任していたことが判明した。

②筆者は、宮内庁に対する情報公開請求を通じて、宮内庁参与には勤務実態がないことを突き止めた。宮内庁との雇用契約そのものがないのだ。

③が、それにもかかわらず宮内庁は宮内庁参与に対して金銭を提供している。記録上は6月と12月の年2回の金銭支払いである。

④その金銭額は公開されなかった。黒塗りになっていた。しかも、支払いを実施したことを裏付ける書面が現時点ではほとんど確認できない。金銭支払の起案日は公開されたが、決裁日と(支払い)施行日は、一部が空白になっている。記録がない。次の表が、起案日、決裁日、施行日の一覧である。

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2021年11月29日 (月曜日)

最高裁長官を退任後に宮内庁参与へ、竹崎博允・元長官ら、「勤務実態」は闇の中、最高裁に関する2つの情報公開調査のレポート

石棺のような窓のない建築物。出入口に配備された警備員。

外界とは厚い壁で隔てられ、通信手段は郵便だけに限定され、メールもファックスも通じない。

最高裁判所には不可解なグレーゾーンがある。その中で何が進行しているのか──。

今年に入って、わたしは最高裁の実態を調べるための一歩を踏み出した。情報公開制度を利用して、複数の「役所」から最高裁に関連する情報を入手した。

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2021年11月27日 (土曜日)

自宅から退去せざるを得ない住民が続出、電話会社による強引な通信基地局の設置、水面下の社会問題に

今年の10月4日に、自民党の金子恭之議員が総務大臣に就任した後、携帯電話の通信基地局をめぐる電話会社と住民の間のトラブルが深刻になっている。電話会社が住民の意思を無視して一方的に基地局を設置し、泣き寝入りのかたちで自宅から退避せざるを得ない人々が急増しているのだ。水面下で新しい社会問題が進行している。

金子総務大臣の就任とトラブルの急激な増加を裏付ける証拠はないが、少なくとも問題が深刻になっているのが実情である。

楽天モバイルの基地局設置をめぐるトラブルは、1年ほど前から次々と、「電磁波からいのちを守る全国ネット」へ持ち込まれてきたが、幸いにこれまでは住民側が基地局設置を嫌がった場合に限り、設置計画を中止することが多かった。ところが最近は、住民が反対しても、電話会社が強引に計画を断行する傾向が顕著になっている。

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2021年11月22日 (月曜日)

5Gの時代へ、楽天モバイルの通信基地局をめぐる3件のトラブル、懸念されるマイクロ波の使用、体調不良や発癌の原因、軍事兵器にも転用のしろもの

5Gの普及に伴って、通信基地局の設置をめぐるトラブルが急増している。通信に使われるマイクロ波による人体影響を懸念して、基地局の設置・稼働に反対する住民。これに対して、あくまでも基地局を設置・稼働させる方針を貫く電話会社。両者の対立が水面下の社会問題になっている。基地局が稼働した後、自宅からの退去を検討せざるを得なくなった家族もある。これはマスコミが報じない深刻な社会問題にほかならない。

◆沖縄県読谷村のケース、「命どぅ宝」

読谷村は沖縄本土の中部に位置している人口4万人の地区である。村の36%を米軍基地が占める。その読谷村で楽天モバイルと住民の間で紛争がおきている。今年4月、読谷村字高志保にある賃貸マンションの屋上に楽天モバイルが通信基地局を設置する計画を打ち出したところ、マンション住民と近隣住民らが反対運動を立ち上げた。

無線通信に使われるマイクロ波に安全性のリスクがあるからだ。総務省は、自ら定めた電波防護指針(規制値、1990年に制定)の安全性を宣言しているが、海外の動物実験や疫学調査で、マイクロ波に遺伝子に対する毒性などが指摘されるようになっている。またマイクロ波による神経系統などの攪乱が引き起こすと思われる体調不良も問題になっている。

その結果、たとえば欧州評議会は、マイクロ波について、日本の規制値に比べて1万倍も厳しい勧告値を設けている。

読谷村住民の反対の声を受けて楽天は一旦、計画を延期したが、10月の終わりになって、工事の再開を告知した。そして11月8日に、抗議に集まった住民たちの声を押し切って工事に着手したのである。【続きは「デジタル鹿砦社通信」】

 

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副流煙被害を診察する98人の医療関係者に問い合わせ、「受動喫煙症」の病名を付した診断書を交付しない医師が約37%

【関連記事】煙草を喫って4500万円、不当訴訟に対して「えん罪」被害者が損害賠償訴訟の提訴を表明、「スラップ訴訟と禁煙ファシズムに歯止めをかけたい」

日本禁煙学会の医師らは、この「受動喫煙症」についてどのように考えているのだろうか。患者が、「受動喫煙症」を立証する診断書を交付するように求めてきたとき、どう対処しているかを客観的に調査するために、筆者ら横浜副流煙裁判を取材してきた4人(黒薮哲哉、藤井敦子ら)は、98人の医師(若干看護士も含む)に問い合わせてみた。

98人の医師は、「受動喫煙症の診断可能な医療機関」(日本禁煙学会のウェブサイト)に登録されている。(2021年10月18日現在)

問い合わせは次の3点である。

①受動喫煙症の診断書を交付しているか?

②診断書を裁判に提出する方針はあるか?

③診断にあたっては、検査を実施するか?

ただし口頭でのやり取りなので、②や③の問い合わせに辿り着かなかった場合や、話が大きく逸れてしまった場合もある。【続きはデジタル鹿砦社通信】

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2021年11月16日 (火曜日)

新聞販売店から再販制度の撤廃を訴える声、販売店淘汰の時代が本格化

新聞の凋落が進むなかで、販売店主らは現在の情況をどう見ているのだろうか。ここひと月ほどの期間に、筆者が接触した店主らから次のような声が上がっている。

①「押し紙」を排除して、自由増減にすれば、まだ当分の間は販売店経営を維持することができる。

「押し紙」(広義の残紙)が経営の負担になっている。かつては折込広告の受注が多かったので、「押し紙」があっても、折込広告の水増し収入で、「押し紙」の損害を相殺できていた。「押し紙」に対する補助金もあったので、少なくとも損害を最小限にすることができた。

が、今は情況が一変している。「押し紙」が販売店にとって大きな負担になり、自分の預金を切り崩して、新聞の仕入代金を支払っている店主が後を絶たない。

問題は、このような「対症療法」の繰り返しが、やがて経営破綻を招くことを認識していない店主が多いことである。景気がよかった時代から、遊興を繰り返してきたために金銭感覚が麻痺している人が多い.。

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2021年11月13日 (土曜日)

和歌山県の基地局問題、楽天との一問一答、契約書と基地局の位置情報、住民には非開示

10月27日に本ウエブサイトで報じた和歌山県で起きている基地局問題の続報である。既報したように紛争の当事者は、楽天モバイルと鈴木(仮名・女性)さんである。

楽天は、鈴木さん宅の直近に基地局設置を計画している。「電磁波からいのちを守る全国ネット」の介入で、一旦工事は延期になったが、楽天は11月13日に着手すると告知している。

【参考記事】楽天の基地局設置をめぐるトラブル相談が年間で約70件、楽天、「弊社としては総務省の電波防護指針に従って法令遵守で設置しております」

鈴木さんは、楽天に質問状を提出した。以下、鈴木さんの質問、楽天(楽天モバイル株式会社関西営業部)の回答(11月12日付け)、筆者のコメントである。

【質問①】○○の屋上に携帯電話基地局を設置するにあたり作成された契約書には 本当に「基地局設置後に健康被害が発生した場合、直ちに基地局を撤去します」との記載はありますか?

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