50年遅い報道のタイミング、統一教会をめぐるマスコミ報道、「安全」を確認してからみんなでスタート
最近のマスコミによる旧統一教会関連の報道に接して、多くの人々が、「日本でもジャーナリズムは機能している」と感じているのではないだろうか。しかし、わたしはそんなふうには見ていない。大きな問題を孕んでいると思う。それは報道のタイミングの遅れである。
最近のマスコミによる旧統一教会関連の報道に接して、多くの人々が、「日本でもジャーナリズムは機能している」と感じているのではないだろうか。しかし、わたしはそんなふうには見ていない。大きな問題を孕んでいると思う。それは報道のタイミングの遅れである。
神奈川県湯河原町の土屋由希子町議が、隣接する真鶴町の選挙人名簿をタブレット端末で盗撮し、SNSを介して2人の政治仲間と共有(左写真)していた事件を神奈川新聞(8月24日)が報じた。昨年秋から批判の対象になっている選挙人名簿をめぐる汚職が新局面をむかえた。
選挙人名簿とは、投票権を有する住民を登録したリストのことである。選挙権は成人になれば自動的に得ることができるが、投票権を得るためには、居住期間などの必要要件を満たして、選挙人名簿に氏名が登録されなければならない。この登録作業は、選挙管理委員会が選挙の直前に住民基本台帳などを基に実施する。
選挙人名簿はだれでも閲覧権があるが、複写や持ち出しは公職選挙法で禁止されている。選挙管理委員会は、選挙人名簿の悪用を避けるために厳重に管理している。
しかし、土屋議員は、監視の眼をかいくぐって真鶴町の投票権者に関する情報を持ち出したのである。
日テレNEWS(7月29日付け)によると霊感商法の被害は、「去年で3億円超」、「35年間では1237億円」と報告されているという。
わたしはこの数字を見たとき、額が大きいとは感じなかった。新聞社による「押し紙」の被害の方がはるかに莫大であるからだ。それを示すごく簡単な試算を紹介しよう。
◆控え目に試算しても年間の被害額が900億円超
日本新聞協会が公表している「新聞の発行部数と世帯数の推移」と題するデータによると、2021年度における全国の朝刊発行部数は、約2590部である。このうちの20%を「押し紙」と仮定すると、「押し紙」部数は518万部である。
これに対して販売店が新聞社に支払う卸価格は、おおむね新聞購読料の50%にあたる1500円程度である。
以上の数値を前提に、「押し紙」が生み出す販売店の損害を試算してみる。
卸価格1500円×「押し紙」518万部=約77億7000万円
ひと月の被害額が約77億7000万円であるから、年間にすると優に932億円を超える。霊感商法とは比較にならないほど多い。
しかも、この試算は誇張を避けることを優先して、「押し紙」率を低く設定している上に、「朝夕刊セット版」の試算を含んでいない。「朝夕刊セット版」を含めて試算すれば、被害額はさらに膨れ上がる。
「押し紙」により販売店が被っている被害額は、霊感商法の比ではない。
「そもそも作田医師が『犯人』を特定した診断書を交付しなければ、こんなことにはならかったのではありませんか」
8月3日、横浜地裁。オンラインで開かれた「弁論準備」で、原告の藤井敦子さんが意見を述べた。設置されたスクリーンは、被告の代理人弁護士2名を映し出している。山田義雄弁護士と片山律弁護士である。
藤井さんが名指しにした作田医師とは、日本禁煙学会の作田学理事長のことである。事件の引き金となった診断書を交付した人物である。禁煙学と称する分野の権威でもある。
◆事件の概要
横浜副流煙事件は、2016年にさかのぼる。青葉区のマンモス団地に住む藤井将登・敦子夫妻に対して、同じマンションの上階に住むA家(夫妻と娘)が、副流煙による健康被害を訴えた。藤井家の煙草で、「受動喫煙症」などに罹患(りかん)したというのだった。【続きはデジタル鹿砦社通信】
東京地裁は、8月9日に予定していた「押し紙」裁判(被告・読売新聞社)の判決を10月21日に先送りした。わたしはこの変更を知らずに、9日、東京地裁へ足を運んだ。しかし、法廷には鍵がかかっていて、掲示板にも「押し紙」裁判のスケジュールは見当たらなかった。
自宅に戻ってからわたしは、この裁判を担当している東京地裁の民事25部に電話で状況を問い合わせた。そして判決日の変更を知った。
「変更理由は?」
「おこたえできません」
「裁判官の体制も変わったのか?」
「おこたえできません」
途中から電話の相手が、広報部に変わったが、判決の日程が変更になったことを除いて何も答えなかった。「最高裁事務総局からの指示があったのか」と、いう肝心な質問に対しても、「お答えできません」と答えた。
2022年08月10日 (水曜日)
たとえば白い衝立に赤色の光を当てて、遠くから眺めると赤い衝立にみえる。青色の光に変えると、衝立に青色の錯覚が起きる。黄色にすると、衝立も黄色になる。
しかし、衝立の客観的な色は白である。ジャーナリズムの役割は、プロパガンダを排除して核の輪郭を示すことである。日本の新聞・テレビはその役割を放棄している。と、いうよりもそれだけの職能がない。
◆台湾への武器販売が約4500億円
米国のナンシー・ペロシ下院議長が8月2日に、台湾を訪問した。台湾と中国の関係が関心を集める中で、同氏の訪台は国際的にも波紋を広げている。日本の新聞・テレビは中国が台湾周辺で軍事的圧力を強めていることを前提に、台湾を擁護する方向で世論を誘導してきた。台湾が「正義」で、中国が「悪」という単純な紋切り型の構図を提示している。それはちょうどウクライナが「正義」でロシアが「悪」という大合唱の視点とも整合している。
米国はこのところ台湾への武器輸出を加速している。たとえばトランプ政権の末期、2020年10月に米国議会は、総額総額41億7000万ドル(当時、約4400億円相当の武器の販売を承認した。(出典)
2022年08月08日 (月曜日)
ヤフーニュースに掲載された記事に対する読者のコメントを、ポータルサイトの管理者が安易に削除する現象が現れている。これは世論誘導の典型的な方法のひとつである。大半の人々が自覚しないところで進行している手口である。
言論の自由がいよいよ危ないことを意味する。インターネットには自由な言論の空間があるというのは幻想である。
メディア黒書に内部告発があった。安倍首相の暗殺に関連して、ヤフーニュースが次々と掲載した記事にコメントをしたところ、1週間たらずのあいだに多数のコメントが削除されたという。
以下、コメント対象となった記事と削除されたコメントを掲載しておこう。読者に、削除は妥当かどうかを判断ただきたい。
「押し紙」問題が社会問題として浮上したのは、1970年代である。80年代の前半には、共産党、公明党、社会党が超党派で、国会を舞台に繰り返し「押し紙」問題を取り上げた。しかし、結局、メスは入らなかった。
今世紀に入って、「押し紙」の存在を認定する司法判断も下されているが、依然として解決するまでには至っていない。日本新聞協会に至っては、現在も「押し紙」の存在そのものを否認している。公正取引委員会や警察による摘発の動きも鈍い。政治家も新聞研究者も「押し紙」問題とのかかわりを避ける傾向がある。
わたしはこうした状況の背景に、新聞社が権力構造の歯車として機能している事情があると考えている。次に紹介するインタビューは、1998年にわたしが成城大学の有山輝雄教授に行ったものである。(『新聞ジャーナリズムの正義を問う』に収録)
有山教授は、現在の新聞制度は、GHQが戦前戦中の新聞制度をそのまま移行したものである旨を述べている。公権力が「押し紙」を放置して、新聞社に便宜を図ってきた背景がかいま見える。
日本ABC協会が定期的に公表しているABC部数は、新聞社が販売店へ搬入した部数を示すデータである。残紙(広義の「押し紙」)も、ABC部数に含まれている。従って第三者からみれば、ABC部数は、「押し紙」を隠した自称部数である。実配部数との間に乖離があり、広告営業の基礎データとはなりえない。
筆者は、都府県を対象に各新聞社のABC部数の長期的変化を調査している。今回は、岡山県における読売新聞のABC部数を調べてみた。その結果、ABC部数が1年、あるいはそれ以上の期間、固定されるロック現象を頻繁に確認することができた。新聞社が販売店へ搬入する部数が、一定期間に渡って増減しないわけだから、読者数が減れば、それに反比例して「押し紙」が増えることになる。
新聞社と警察の連携は、ジャーナリズムの常識では考えられないことである。「異常」と評価するのが、国際的な感覚である。本来、ジャーナリズムは公権力を監視する役割を担っているからだ。
読者は、全国読売防犯協力会という組織をご存じだろうか。「Y防協」とも呼ばれている。これは警察とYC(読売新聞販売店)が連携して防犯活動を展開するための母体で、読売新聞東京本社に本部を設けている。こうして警察と新聞社が公然と協力関係を構築しているだ。他にも読売新聞社は、内閣府や警視庁の後援を得て、「わたしのまちのおまわりさん」と題する作文コンクールを共催するなど、警察関係者と協働歩調を取っている。
これらの活動のうち、住民にとって直接影響があるのは、Y防協の活動である。
その理由はYCの販売網が、全国津浦々、街の隅々にまで張り巡らされているからだ。それは住民を組織的に監視する体制が敷かれていることを意味する。【続きはデジタル鹿砦社通信】
新聞・テレビがタブー視しているテーマ、あるいは事件が爆発するまで報じないテーマについて検証してみよう。次のようなものがある。
① 宗教団体に対する批判
② 天皇制廃止論
③ 各種の反差別運動に対する批判
⑤ 新聞社の「押し紙」問題
⑥ 電磁波や化学物質などの新世代公害
⑦ 医療制度の批判
これらのテーマは聖域とされ、ジャーナリズムのメスが入らない。
原発問題はかつてタブーだったが、2011年3月の福島第1原発の事故を機に比較的自由に報じられるようになった。
旧統一教会が信者から献金を募る行為がクローズアップされ問題になっている。教団の献金制度が始まった時期は知らないが、教祖の文鮮明が、来日して日本の黒幕らと接触したのが1967年で、すでに1970年代には壺やら朝鮮人参を訪問販売している信者が街に繰り出していたから、半世紀ぐらい前から霊感商法や献金が続いてきたのではないか。わたしも教会に誘われたことがある。
参院選挙後の11日に教団が開いた会見を聞いて、わたしが最初に感じたのは、教団の論理は、新聞社が「押し紙」(新聞部数のノルマ)について弁解する際の論理と同質だということである。「押し紙」制度は、統一教会の活動と同様に、少なくとも半世紀は続いている。戦前にも「押し紙」は存在したとする記録もある。
新聞人の言い分は、「押し紙」を強制したことは一度もない、われわれは販売店からの注文部数に応じて新聞を搬入している、ノルマを課したこともないというものだ。従って、現在も日本新聞協会は、「押し紙」は1部もないという公式見解を持っている。販売店で過剰になっている新聞は、すべて「予備紙」であるとする見解である。しかし、残紙は古紙業者の手で大量に回収されており、「予備紙」としての実態はない。
「押し紙」についての新聞人の論理を頭に入れたうえ、献金に関する統一教会の言分を読むと、両者の論理が類似していることが分かる。詭弁の手口に共通性がある。次の箇所である。
最初に教団の論理を紹介し、次に新聞人の論理を紹介しよう。
『ママ・グランデの葬儀』は、コロンビアのノーベル文学賞作家、ガルシア=マルケスの短編小説である。わたしがこの本を読んだのは20年以上もまえで手元に書籍はなく、記憶を頼りに書評を書いているので、内容を誤解している可能性もあるが、おおむね次のような内容だった。
200歳になる村の長老格の老婆が他界する。この200歳という設定は、前世紀までラテンアメリカの政治を語る際のひとつのキーワーになっていた絶対に権力の座を降りない独裁者の比喩である。魔術的リズムと呼ばれる手法で、誇張法のひとつである。
この老婆の死は村を喪の空気に包む。大規模な葬儀が執り行われる。次々と人が集まってきて、葬列は大群衆に膨れ上がる。するとあちこちに屋台が現れる。人々の談笑がはじまる。すると長老を失った悲しみが薄れ、陽気な空気が流れはじめる。そして最後には、悲しみの葬列が独裁者の死を祝うフィエスタに変質する。民衆の歓喜が爆発する。
新聞社と放送局の間にある癒着が語られることがあるように、新聞社と出版社のグレーゾーンを薄明りが照らし出すことがある。
今年の5月11日、読売新聞社は「出版懇親会」と称する集まりをパレスホテル東京で開催した。読売新聞の報道によると、約240人の出版関係の会社幹部を前に、渡辺恒雄主筆は、「日頃の出版文化について情報交換していただき、率直なご意見を賜りたい」とあいさつしたという。
出版関係者にとって新聞社はありがたい存在である。と、いうのも新聞が書評欄で自社の書籍を取りあげてくれれば、それが強力なPR効果を生むからだ。新聞の読者が老人ばかりになり、部数が減っているとはいえ、中央紙の場合は100万部単位の部数を維持しているうえに、図書館の必需品にもなっているので、依然として一定の影響力を持っている。そんなわけで読売新聞社から懇親会への招待をありがたく受け入れた出版関係者も多いのではないか。
しかし、新聞販売現場の現場を25年にわたって取材してきたわたしの視点から新聞業界を見ると、新聞業界への接近は危険だ。書籍ジャーナリズムに、忖度や自粛を広げることになりかねない。同じ器に入るリスクは高い。新聞業界そのものが、欺瞞(ぎまん)の世界であるからだ。醜い裏の顔がある。
10日に投票が行われた参院選で、千葉県流山市の選挙管理委員会が新聞販売店に新聞折込を依頼した選挙公報を、大幅に水増して広告代理店に卸していた疑惑が浮上した。
2021年10月時点での流山市のABC部数は、36,815部である。最新のABCデータ(今年4月、現時点では一般公開されていない)では、これよりも若干部数が減っている可能性があるが、同市はABC部数をはるかに上回る50,128部を広告代理店に発注した。1万部あまりが水増し状態になっている。
幸福の科学事件。武富士事件。長野ソーラーパネル設置事件。DHC事件。NHK党事件。わたしの調査に間違いがなければ、これら5件の裁判は、「訴権の濫用」による損害賠償が認められた数少ない判例である。(間違いであれば、指摘してほしい)
「訴権の濫用」とは、不当裁判のことである。スラップという言葉で表現されることも多いが、スラップの厳密な意味は、「公的参加に対する戦略的な訴訟」(Strategic Lawsuit Against Public Participation)」で、俗にいう不当訴訟とは若干ニュアンスが異なる場合もある。
それはともかくとして、日本では不当裁判を裁判所に認定させることはかなり難しい。日本国憲法が、裁判を受ける権利を優先しているからだ。第32条は、「何人も、裁判所において裁判を受ける権利を奪はれない」と提訴権を保証している。
2022年5月度のABC部数が明らかになった。それによると朝日新聞は、年間で約48万部の部数を失った。部数の急落傾向にまったく歯止めがかかっていない。年内に400万部の大台を割り込む可能性がある。
読売新聞も年間で約31万部を減らしており、急落の傾向は変わらない。産経新聞は、約18万部を減らした。もともとのABC部数が100万部規模の新聞社であるから、没落の度合いは朝日や読売よりも深刻だ。残紙を整理した結果である可能性もあるが、影響力のないメディアに近づいている。
中央紙のABC部数は次の通りである。
新聞のCMに使われる場面のひとつに、新聞を満載したバイクが明け方の街へ繰り出すイメージがある。透明な空気。笑顔。闇がとけると、動き始めた街が浮かび上がってくる。しかし、記者の視点を持って現場に足を運ぶと、新聞販売店に積み上げられた「押し紙」が、日本の権力構造の闇として輪郭を現わしてくる。だれが注意しても、疑問を呈しても、新聞社はそれを黙殺し、「知らむ、ぞんぜぬ」で押し通してきた。時には司法の土俵を使って口封じを断行し、同じ夜と昼を延々と繰り返してきたのである。
が、今この社会問題を照らすための新しい視点が生まれ始めている。その先駆けとなったのは、2020年5月に佐賀地裁が下した判決である。この判決は、佐賀新聞社による「押し紙」を不法行為として断罪しただけではく、独禁法違反を認定したのである。その後、全国各地で元販売店主らが次々と「押し紙」裁判を起こすようになっている。
現在、わたしは3件の「押し紙」裁判を取材している。広島県の元読売新聞の店主が起こした裁判(大阪地裁)、長崎県の読売新聞の元店主が起こした裁判(福岡地裁)、それに長崎県の西日本新聞の元店主が起こした裁判である。取材はしていないが、埼玉県の元読売新聞の店主も裁判(東京地裁)を起こしている。
これらの裁判で浮上している2つの着目点を紹介しよう。それは、「押し紙」の定義の進化と、「定数主義」を柱とした新聞社の販売政策の暴露である。
2022年06月22日 (水曜日)
携帯基地局の設置に規制を求める運動を展開している市川市の住民グループの代表が、市議会に対して説明責任の条例化を求める請願書を提出した。請願書は、6月20日付けで受理された。同市のウエブサイトによると、請願の概要は次の通りである。
請願第4-1号 携帯電話基地局を設置又は改造する時には事業者はその計画を地域住民等に対して説明を行うこと及び設置済みの携帯電話基地局についてその事業者は地域住民等の求めに応じて説明を行うことの条例化を求める請願 (環境文教委員会付託)
横浜副流事件の弁論準備(法廷ではなく会議室で開く打ち合わせ)が、16日、テレビ会議の形で開かれた。原告の藤井敦子さんと古川健三弁護士は、横浜地裁へ出廷したが、被告(作田学医師、A家の3人)の片山律弁護士、山田義雄弁護士の両名はオンラインの形で出席した。被告の作田学医師とA家の3人は欠席した。
原告と被告の双方が準備書面と証拠を提出した。
◆約4500万円の金銭請求
この事件の発端は、既報してきたように2017年11月にさかのぼる。横浜市青葉区のマンモス団地に住む藤井将登さんが、同じ建物の斜め上に住むA家から、煙草をめぐる裁判を起こされたことである。将登さんが吸う煙草の副流煙で、「受動喫煙症」に罹患したというのが提訴理由だった。請求額は、約4500万円。A家は、将登さんに対して金銭請求だけではなく、自宅内での喫煙禁止も求めていた。
しかし、将登さんは自宅ではほとんど煙草を吸っていなかった。防音構造になった2重窓の「音楽室」で1日に2、3本吸う程度だった。それにミュージシャンという仕事柄、自宅を不在にすることが多く、煙の発生源自体がない場合もあった。たとえ副流煙がA家に流れ込んでいても、その発生源が将登さんであるという根拠はなかった。
裁判は、提訴から1年後に合議制(3人の裁判官が担当)になった。重大事件という認識が横浜地裁に生まれた結果である。
滋賀県大津市は、大津市民病院の新理事長に、滋賀医科大泌尿器科長の河内明宏教授(63)を内定した。同病院では、今年の2月ごろから次々と医師が退職に追い込まれる事態が続いている。
『京都新聞』(6月6日)によると、「これまでに京都大から派遣された」「医師ら計22人が退職意向、またはすでに退職したことが明らかになっている」。自主退職なのか、退職強要なのかは不明だが、大津市民病院から京都大学人脈を排除する意図があるとする見方もある。
現理事長の北脇城氏は、「女性ホルモンの研究と手術にあこがれて産婦人科医を志した」経歴の持ち主である。京都府立医科大の出身で、新理事長の河内医師とは同門である。
わたしは大津市の地域医療政策課に、今回の理事長人選の経緯を問い合わせた。これに対して副参事の職員は、次のように回答した。
「選任の経緯を記録した文書は存在しません。選任にあたり会議は開いていません」
誰かが独断で、河内医師を新理事長に決めた公算が高い。
新聞業界と政界の癒着が表立って論じられることはあまりない。わたしは新聞社は、日本の権力構造の一部に組み込まれているという自論を持っている。新聞業界の業界紙『新聞之新聞』のバックナンバーを読んで、改めてそれを確信した。
次に紹介するのは、1998年1月6日付の記事である。タイトルは、「正念場 迎える新聞界」。全国紙3社の社長座談会である。この時期、公正取引委員会は加熱する新聞拡販競争や「押し紙」問題を理由に、新聞再販の撤廃を検討していた。
これに朝日、読売、毎日の社長が抗する構図があった。次に引用するのは、読売の渡邉恒雄社長の発言である。言葉の節々に新聞業界と政界の癒着が露呈している。日本が抱えてきた諸問題にメスが入らない原因と言っても過言ではない。日本にジャーナリズムが存在しない不幸を改めて痛感した。
渡邉氏の発言を読む限り、わたしの自論には根拠がある。以下、記事の引用である。
2022年06月13日 (月曜日)
ウクライナ戦争の客観的な構図を検証してみた。この紛争を検証する際の最も根本的な部分である。大前提である。
1991年にソ連が崩壊した後、NATO(北大西洋条約機構) の拡大は、急激に進んできた。ソ連が崩壊した際に、ソ連はワルシャワ条約機構を解体し、米国はNATOを拡大しないことを約束した。しかし、米国はこの取り決めを守らなかった。
ソ連の崩壊時点におけるNATO加盟国は、次の16カ国だった。
予期せぬかたちで滋賀医科大事件の第2幕が始まった。
滋賀県大津市は、6月6日、滋賀医科大の泌尿器科長、河内明宏教授(63)を新しい理事長に内定したと発表した。同病院では、京都大学系列の医師らが次々と退職して混乱が広がり、前理事長が引責辞任した。空白になった椅子を河内教授が占めるかたちとなった。
この人事の背景に何があったのかを、わたしは現時点では把握していない。しかし、河内教授の履歴についてはかなり知っている。滋賀医科大事件を取材する中で、事件の核心的人物であることが分かった。
2022年06月06日 (月曜日)
人命よりも経済を優先する電話会社の方針が露骨になっている。際限なく事業を拡大して、小学校の児童にまで電磁波による健康被害のリスクが及んでいる。
5月29日、わたしは朝霞第二小学校(埼玉県朝霞市)の正門前で、通信基地局から放射されているマイクロ波の測定を実施した。マイクロ波は、携帯電話の通信に使われる電磁波で、人体影響が懸念されている。特に幼児に対する影響が深刻とする見方があり、欧米では学校などで、年少者が携帯電話を使用することに一定の制限を設けている国もある。
そんなこともあって、わたしは自宅近くの朝霞第二小学校でマイクロ波を測定することにした。測定の結果、危険領域に入る数値が測定された。
マイクロ波の値は、μW/c㎡などで表示することになっている。数値が高ければ高いほど人体への影響が懸念される。そのことを念頭に以下、①日本の総務省が定めている規制値、②朝霞第二小学校の正門前の測定値、③欧州評議会の勧告値を紹介しよう。
①総務省の規制値:1000μW/c㎡ (マイクロワット・パー・ 平方センチメートル)
②朝霞第二小学校の測定値:7.35μW/c㎡
③欧州評議会の勧告値:0.1μW/c㎡
※測定に使ったのは、TM195という測定器である。この測定器でカバーできる電磁波の周波数領域は3GHzまでなので、5Gのマイクロ波やミリ波が使われていれば、測定値はさらに高くなる可能性がある。
※通信基地局から発せられる電磁波は、様々な周波数のものが混合されている。変調電磁波と呼ばれ、マイクロ波は言うまでもなく、厳密にいえば、低周波の電磁波も交じっている場合が多い。デジタルで瞬間的に高いエネルギーを放出する。それを延々と繰り返す。【続きはデジタル鹿砦社通信】
わたしが住んでいる集合住宅で、建設会社がウレタン樹脂を使った防水工事を実施している。窓を開けるとペンキのような臭いが入ってくる。
ウレタン樹脂には、イソシアネートという猛毒の化合物が入っている。化学物質過敏症を引き起こす化学物質の代表格で、米国では国の諸機関が使用に厳しい条件を付けている。(冒頭の図を参照)。これに対して日本政府は、野放しにしている。何の規制もしていない。
防水工事を見てわたしが驚いたのは、作業員が普通の布マスクしか使っていないことである。本来は毒ガス用のマスクが必要だ。作業員の中には外国人も多数交じっている。布マスクでは、作業員たちは、数年後に確実に病気を発症すると思った。
しかし、企業にすれば、現在の法律の下では、違法行為を働いているわけではない。将来、作業員が廃人になっても、何の責任もない。「労働者の使い捨て」とはこのことである。
新聞の部数減に歯止めがかからない。新聞業界は急坂を転げ落ちている。
2022年4月度のABC部数が明らかになった。それによると、朝日新聞は、1年間で約45万部を失った。読売新聞は、1年間で約30万部を減らした。産経新聞と日経新聞も減部数が顕著で、それぞれ約18万部、12万部を失った。
中央紙のABC部数は次の通りである。
2022年05月31日 (火曜日)
新世代公害の代表格といえば、化学物質による汚染と電磁波による汚染である。両者とも汚染が自覚できるとは限らず、透明な牙が知らないうちに人々の体を蝕んでいく。医学的根拠は迷宮の中。電話会社はそれを逆手にとって、「危険という確証はない」との詭弁をかかげて、大規模な電話ビジネスを展開している。NHKなどのマスコミがそれを全面的にサポートする。が、その裏側では、健康被害が広がっている。
東京都目黒区中央町は、中層ビルと民家が広がる都市部の住宅街である。最寄り駅から都心の渋谷まで5分。利便性が高い静かな街である。その街で楽天モバイルの基地局をめぐる係争が起きている。事業拡大に走る楽天と、生活環境を守りたいある女性のトラブルである。
両者の攻防は、わたしの眼には、かつて海外でエコノミック・アニマルと呼ばれた日系企業と現地住民の対立のように映る。外部から侵入してきて、開発と文明化を口実に資源を収奪する「よそ者」と、被害者意識と憎悪を抱く住民の壁である。日本製品に対する不買運動も起きた。
楽天モバイルとと女性の対立にも同じような構図がある。
伊藤香さんは、自宅の一部を改造して「はなちゃんカフェ」を主宰している。「はなちゃんカフェ」とは、化学物質過敏症や電磁波過敏症に悩む人々を救済するための憩いのサロンである。
2017年12月19日、伊藤さんの愛猫、はなちゃんが息を引き取った。化学物質による複合汚染が引き金だった。とりわけ猛毒のイソシアネートがはなちゃんを直撃したようだ。米国では厳しく規制され、日本では野放しになっている化合物である。化学物質過敏症の代表的因子である
産経新聞社が新聞販売店に搬入する産経新聞の部数が、今年3月に100万部を下回った。1990年代には、約200万部を誇っていたから、当時と比較すると半減したことになる。かつて「読売1000万部」、朝日「800万部」、毎日「400万部」、産経「200万部」などと言われたが、各紙とも大幅に部数を減らしている。新聞の凋落傾向に歯止めはかかっていない。
コンビニなどで販売される即売紙を含む新聞の総発行部数は、3月の時点で次のようになっている。()内は、前年同月差である。
朝日新聞:4,315,001(-440,805)
毎日新聞:1,950,836(-58,720)
読売新聞:6,873,837(-281,146)
日経新聞:1,731,974(-148,367)
産経新聞:1,038,717(-177,871)
旧ソ連のプラウダが消えて後、新聞の世界ランキングの1位と2位は、読売新聞と朝日新聞が占めてきた。しかし、現在の世界ラングを見ると、USAツデーやニューヨークタイムスがトップ争いを演じている。これはひとつにはコロナウィルスの感染拡大を背景に、電子版が台頭したことに加え、国際語としての英語の優位性が、それに拍車をかけた結果にほかならない。英語の電子媒体は、すでに地球規模の市場を獲得している。
その結果、「紙」と「部数」の呪縛を排除できない新聞社は没落の一途を辿っている。公表部数そのものが全くのデタラメではないかという評価が広がっている。
◆新聞セールス団が新聞購読料を負担
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横浜副流煙事件の「反訴」について筆者は、ニューソク通信の須田慎一郎氏から、インタビューを受けた。メディア黒書...
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階段を這うように登る4つ足のロボット。荒漠たる大地を矢のように進む時速450キロの新幹線。AI産業に彗星のよ...
喫煙者の呼気が孕んでいる煙草臭が持続する時間はどの程度なのか?東京地裁で、ある著名な医師が興味深い証言をした...
横浜副流煙事件に関連した2つの裁判の判決が、それぞれ1月14日と22日に言い渡された。裁判所は、いずれも原告...
福岡・佐賀押し紙弁護団弁護士 江上武幸(文責)2025年(令和7年)1月15日 令和6年12月24日の西日...
渡邉恒雄氏の死に際して、次から次へと追悼記事が掲載されている。ここまで夥しく提灯記事が現れるとさすがに吐き気...
福岡・佐賀押し紙弁護団 弁護士・江上武幸(文責)2024年(令和6年)12月25日 昨日(24...
福岡・佐賀押し紙弁護団 弁護士・ 江上武幸(文責)2024年(令和6年)12月20日 11月28日(木...
福岡・佐賀押し紙弁護団・ 江 上 武 幸 (2024年「令和6年」12月19日) 去る11月29日(金...
「押し紙」の回収現場を撮影した画像を紹介しよう。新聞社は、回収されている新聞は、「押し紙」ではないと主張して...
「押し紙」裁判を取材するなかで、わたしは裁判書面に目を通す機会に接してきた。弁護士から直接書面を入手したり、...
別稿・事件の概要 来年2025年の1月に、横浜副流煙事件に関連した2つの裁判の判決が下される。詳細は次...
インターネットのポータルサイトにニュースが溢れている。衆院選挙後の政界の動きから大谷翔平選手の活躍まで話題が...
2024年10月15 (文責)福岡・佐賀押し紙訴訟弁護団 弁護士江上武幸 第1 はじめに 西日本新聞...
福岡・佐賀押し紙弁護団は、10月1日、毎日新聞の元店主Aさんが大阪地裁へ提起した「押し紙」裁判の訴状(9月2...
読売新聞社会部(大阪)が、情報提供を呼び掛けている。インターネット上の「あなたの情報が社会を動かします」とい...
福岡・佐賀押し紙弁護団 弁護士 江上武幸(文責) 2024年(令和6年)9月20日 兵庫県で毎日新聞販...
柔軟剤や煙草など、広義の「香害」をどう診断するかをめぐる議論が沸騰している。日本では、「香害」による体の不調...
福岡・佐賀押し紙訴訟弁護団 弁護士・江上武幸(文責) 去る7月2日、西日本新聞販売店を経営していたAさ...
長崎県の元販売店主が2021年に起こした西日本新聞社を被告とする「押し紙」裁判の尋問が、7月2日の午後、福岡...
西日本新聞社を被告とする「押し紙」裁判の尋問が、次のスケジュールで実施される。 場所;福岡地裁 903...
『週刊金曜日』(6月7日付け)が、「報道の自由度、世界ランキング70位でいいのか」と題する記事を掲載している...