読売新聞大阪本社に問い合わせ、判決文の黒塗り希望箇所を確認
大阪高裁は、28日、読売新聞「押し紙」裁判の控訴審判決で、控訴人の元販売店主の控訴を棄却した。詳細を解説するに先立って、読売新聞社(大阪)にある問い合わせを行った。
読売新聞は、このところ「押し紙」裁判の裁判書面に閲覧制限をかける動きを強めている。そのため読売に配慮するかたちで黒塗りを希望する箇所を問い合わた。読売がどの箇所の黒塗りを希望するか興味深い。
なお、この裁判には読売の代理人として、喜田村洋一・自由人権協会代表理事らがかかわっている。喜田村氏は、今世紀の初頭から一貫して読売新聞には1部の「押し紙」も存在しないと主張している。
読売「押し紙」裁判控訴審、28日に判決
大阪高裁は、3月28日(木)の13:20分に702号法廷で、読売新聞「押し紙」裁判の控訴審判決を言い渡す。当初、判決は3月7日に予定されていたが、急遽、28日に変更になっていた。
大阪地裁での第一審判決は、読売が勝訴したが、裁判所は読売の独禁法違反を一部認めた。控訴審でそれが維持されるかどうかがひとつの注目点になっている。維持された場合、新聞業界への影響は甚大なので、裁判所がそれに配慮するのではないかという見方が販売関係者らの間で広がっている。
「押し紙」問題は1960年代にはすでに浮上しているが、今だに解決のめどは立っていない。インターネットで「押し紙」を検索すると、2500万件もの記述が確認できる。しかし、日本新聞業界と新聞社は、「押し紙」をしたことは一度もないと主張してきた。公正取引委員会も取り締まろうとはしない。日本のジャーナリズムの恥部にほかならない。
読売の代理人には、人権擁護団体のひとつである自由人権協会の代表理事を務めている喜田村洋一弁護士も名を連ね、読売に「押し紙」は1部も存在しないと主張してきた。
モラル崩壊の元凶「押し紙」は何故なくならないのか?
「押し紙」弁護団から、メディア黒書へ「押し紙」問題を考える上で参考になる2件の準備書面の提供があった。江上武幸弁護士の解説と共に掲載した。裁判資料を公開する意図について、江上弁護士は、『押し紙』裁判が「特定の新聞社に限られた裁判ではないことを読まれる方々に理解してもらうこと」が目的と述べている。準備書面には、新聞の商取引の恐ろしい実態が記録されている。
福岡・佐賀「押し紙」訴訟弁護団 弁護士・江上武幸
2026年(令和6年)2月9日
2011年、東日本大震災を境に急激に発行部数が減少し続ける新聞業界において、今だに販売店からの「押し紙」の相談がたえません。新聞販売店経営に見切りをつけて、次の事業に転身できた方は幸いであり、他方、「押し紙」の仕入代金の支払いにあてるために多額の負債をかかえた方や、帳簿上、借金を新聞社の未納金として処理されてきた方は、生活資金のあてにしていた譲渡代金や保証金を受け取ることも出来ず、自己破産申立をせざるを得ない状況におかれています。
新聞社本体すら経営危機が叫ばれており、新聞社の衰退とともに販売店もなくなることが避けられません。「押し紙」も、いずれその歴史を閉じることになります。
読売新聞「押し紙」訴訟・控訴審判決期日のお知らせ
福岡・佐賀県押し紙訴訟弁護団 弁護士 江上武幸
正月早々、能登半島地震・日航機と海保の飛行機の衝突事故など、驚くニュースが次々と飛び込んでくる波乱の年明けとなりました。犠牲になられた方々やご遺族の方々に対し謹んでお悔やみを申し上げます。
読売新聞大阪本社を相手方とした「濱中押し紙訴訟」の大阪高裁判決の言渡期日は、3月7日(木)午後1時20分からと決まりました。また、読売新聞西部本社を相手方とした「川口押し紙訴訟」の福岡高裁判決の言渡期日は4月19日(金)午後1時10分からと決まりました。
読売新聞大阪本社の辣腕ジャーナリストに公開質問所を送付、「押し紙」問題についてジャーナリスト個人としての見解を求める
筆者は、8月10日、読売新聞大阪本社の柴田岳社長宛てに公開質問状を送付した。柴田社長は日経新聞によると、アメリカ総局長、国際部長、東京本社取締役編集局長、常務論説委員長などを務めた辣腕ジャーナリストである。
公開質問状の全文を読者に公開する前に、事件の概要を手短に説明しておこう。
不正金額の比較、ビッグモーターは4995万円、統一教会は35億円、新聞業界の「押し紙」は932憶円
ビジネスや事業が生み出した不正金額を比較すると、たとえば次のようになる。
・ビッグモーター:4995万円(読売新聞、おそらく累積)
・統一教会:年間で約35億円(霊感商法対策弁護士連絡会)
・新聞社が販売店に強制するノルマ部数(「押し紙」):年間で932億円(黒薮の
試算、詳細は『新聞と公権力の暗部』)
不都合な事実は無かったことに、何者かがウエブサイトから「押し紙」関連の記事を勝手に削除
ウエブサイトから「押し紙」に関する記事や写真を、何者かが勝手に削除する事件が相次いでいる。誰がどのような方法で、ネット上から「押し紙」についての情報を排除しているのかは不明だが、メディア黒書でも「押し紙」関連の記事閲覧ができなくなる事態が先月発生した。
「押し紙」問題は、この4月に大阪地裁が読売新聞の独禁法違反を一部認定するなど、解決の光が見えてきたが、その一方で何者かが激しく抵抗している。しかも、ターゲットになっているのは、メディア黒書だけではない。あらゆる「押し紙」情報を排除して、新聞社の「押し紙」政策がなかったことにする動きが加速している。
2023年5月のABC部数、中日新聞、営業利益が46・5%減
2023年度5月のABC部数が明らかになった。それによると前年同月比で、朝日は約52万部の部数減、読売は約42万部の部数減となった。
日刊紙全体で見ると、全国で約170万部の部数減となった。これは1年間で東京新聞社が4・5社消えたに等しい。中央紙のABC部数は次の通りである。
日本新聞協会と「押し紙」を放置する公正取引委員会の密約疑惑、1999年の謎
日本新聞協会と公正取引委員会の「押し紙」をめぐる密約疑惑をレポートした記事の転載である。出典は、『紙の爆弾』(6月7日号)。
裁判所は、弱者にとって「駆け込み寺」なのだろうか。こんな自問を誘う判決が、「押し紙」裁判で続いている。「押し紙」裁判とは、新聞社が販売店に対して課している新聞の仕入れ部数のノルマが独禁法の新聞特殊指定に違反するとして、販売店が損害賠償を求める裁判である。今世紀に入るころから急増したが、わたしが把握している限りでは、販売店が勝訴したケースは2件しかない。しかも、この2件は、政界に対する影響力が弱い地方紙を被告とした裁判である。朝日・読売・毎日・産経・日経の中央紙を被告とした裁判では、ことごとく新聞社が勝訴している。
「あなたがたが、わたしどもを訴えても絶対に勝てないですよ」
新聞社の担当員から、面と向かって釘を刺された販売店主もいる。が、それにもかかわらず「押し紙」裁判は絶えない。その背景に、販売店主たちが裁判官を水戸黄門と勘違いしている事情がある。しかし、裁判所は弱者を救済するための存在ではない。権力構造の維持を合法化するための機関にほかならない。
◆ブラックリストの野村武範・裁判官が大阪地裁へ
去る4月20日の朝、わたしは新幹線で東京から大阪へ向かった。元販売店主の濱中勇志さんが読売新聞大阪本社に対して、約1億2400万円の支払いを求めた裁判の判決がこの日の午後に予定されていたからだ。濱中さんの販売店では、搬入される新聞の約五〇%が、俗にいう「押し紙」になっていた。
【投稿】読売新聞は何を恐れているのか 、―判決文の閲覧制限申立に関して―
執筆者:江上武幸(弁護士)
既報のとおり、読売新聞大阪本社と西部本社は、一審で全面勝訴判決を受けたにもかかわらず、判決文の閲覧制限の申立を行いました。読売が閲覧制限を求めたのは、原告販売店の購読部数や供給部数が記載された個所です。
当事者以外の第三者、例えば、新聞や週刊誌の記者、フリーのジャーナリスト、大学の学者・研究者等が、押し紙問題を調査報道し、研究発表するために判決の閲覧謄写を請求しても、肝腎の部数については黒塗りした判決文しか入手できないことになります。もちろん、全面開示を求める訴えをする道は残されていますが、そのためには多大な労力と時間と経費を費やす覚悟が求められます。
国民にかわって憲法上の知る権利を行使する使命を担う新聞社が、自社を当事者とする裁判の判決について閲覧制限を求めるという身勝手な姿勢を示したことは、厳しく非難されるべきです。
押し紙問題はインターネット上ではすでに公知の事実となっており、何ら隠しだてするところはありません。