1. 「押し紙」の実態

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2025年05月13日 (火曜日)

公取委に対して情報公開請求、新聞社の「押し紙」政策に便宜を図った背景の解明へ、当時の公取委員長がプロ野球コミッショナーに

公正取引委員会に対して、4月21日付けで、送付した情報公開請求の申立書の中味を公開しておこう。この申立書は、1999年に公正取引委員会(公取委)が行った新聞特殊指定の改訂に関する内容である。

公取委と日本新聞協会の間で、「押し紙」対策の考案と策定にあたり、談合が行われた疑惑があり、全容を解明することが情報公開請求の目的である。

発端は、1997年に公取委が石川県の北國新聞社に対して行った「押し紙」の排除勧告である。勧告の際に公取委は、他の新聞社についても、「押し紙」が存在するとの情報を把握していることを根拠として、日本新聞協会に対しても「押し紙」問題を喚起した。

こうした状況の下で、公取委と日本新聞協会は、問題解決に向けて協議を重ね始める。ところが不思議なことに、話し合いの果実として公表された新聞特殊指定の改訂版(1999年)は、旧来のものよりもはるかに「押し紙」が自由にできる内容となっていた。

改訂前の新聞特殊指定の下では、「実配部数+予備紙2%」を超える部数は、原則的に「押し紙」と見なされていたが、改訂後は従来の「押し紙」を「予備紙」と言い換えることで、問題を放置したのである。残紙は、すべて販売店側が購入した「予備紙」と見なすようになったのだ。

その結果、今世紀に入るころから、残紙が爆発的に増えた。いくら残紙があっても、それを「予備紙」と見なすことで、法律の網の目を潜り抜けるようになったのだ。どのような経緯で、従来の「押し紙」を「予備紙」に変更したのかを解明することは不可欠である。

情報公開請求の申立書は次の通りである。

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2025年05月12日 (月曜日)

【YouTube】徹底検証「押し紙」の量、北田資料から北國新聞事件まで

【配信5】「押し紙」の量を1970年代にま遡って検証する。1977年に日本新聞販売協会がアンケート調査、1981年に読売新聞の「北田資料」が公に。そして1997年に公正取引委員会が北國新聞社に対して、「押し紙」の排除勧告を行うが、その後、不思議なことが起こる。

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2025年05月02日 (金曜日)

【YouTube】徹底検証「押し紙」 廃棄される地方自治体の広報紙

新聞の公称部数を示すABC部数を詳細に解析すると、新聞社の「押し紙」政策の足跡が確認できることがある。そのABC部数に基づいて、折込広告の定数を決める基本原則がある。

しかし、最近ではABC部数をはるかに上回る定数の折込媒体が販売店に搬入されているケースがままある。東京23区のうち、12の区でこのような現象が確認できた。そのデタラメな実態をYouTubeで報告する。

【参考記事】
豊島区など東京都の12区で広報紙の水増しが発覚、新聞折込の不正と「押し紙」で税金の無駄遣い

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2025年04月22日 (火曜日)

2025年2月度のABC部数、読売は前年同月比で-40万部、毎日新聞は-28万部

2025年2月度のABC部数が明らかになった。前年同月比で、最も減部数が多いのは読売新聞で、-40万部だった。毎日新聞は-28万部、さらに朝日新聞は、-18万部となった。

中央紙の部数内訳は次の通りである。

 

朝日新聞:328万部(-18万部)
毎日新聞:130万部(-28万部)
読売新聞:560万部(-40万部)
日経新聞:133万部(-7万部)
産経新聞:81万部(-6万部)

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2025年04月19日 (土曜日)

「押し紙」をめぐる疑惑の新聞特殊指定「改正」が行われた1999年は、どんな年だったのか?

新聞特殊指定(平成11年公取委告示第9号)の「改正」をめぐる疑惑が浮上している。既報したように、この件は1997年12月に公正取引委員会が、北國新聞社に対して、「押し紙」の排除勧告を行ったことに端を発している。公取委がはじめて新聞業界の「押し紙」にメスを入れたのである。

これを機として日本新聞協会と公取委は、解決策を話し合う。ところが不思議なことに話し合いを重ねた結論として生まれた1999年の改正・新聞特殊指定は、独禁法を骨抜きにして、新聞社がほとんど自由に「押し紙」ができる内容になっていたのである。

当時の公取委員長は根来泰周氏で、日本新聞協会の会長は渡邉恒雄(読売)氏だった。当時、渡邉氏は、「読売1000万部」に執着していた。一方、根来氏は退任後、プロ野球のコミッショナーに就任した。

これら一連の経緯は、この問題を調査した江上武幸弁護士が、次の記事に詳しく書いている。

押し紙(その1)平成11年の新聞特殊指定「改正」の謎-モラル崩壊の元凶 -

 

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2025年04月17日 (木曜日)

【配信2】YouTube 徹底検証「押し紙」、35年ベースで3兆円超の不正収入、メディアコントロールの温床に

メディア黒書のYouTube版【配信2】をリンクする。

今回の配信では、【配信1】の訂正について説明した後、「押し紙」が生む不正金額が35年ベースで3兆円を超えている事実を紹介した。毎日新聞の内部資料「朝刊 発証数の推移」についても検証した。

それによると2002年10月の段階で、販売店への搬入部数は約395万部だった。これに対して発証数は251万部。差異の144万部が「押し紙」という試算が成り立つ。

新聞1部の卸価格が月額1500円と仮定すると、「押し紙」からひと月で21億6000万円の販売収入が発生している計算になる。これを1年に換算すると295億2000万円になる。

このような汚点に公権力機関が着目すれば、新聞紙面への暗黙の介入が可能になる。

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2025年04月16日 (水曜日)

押し紙(その1)平成11年の新聞特殊指定「改正」の謎-モラル崩壊の元凶 -

福岡・佐賀押し紙弁護団 弁護士 江上武幸(文責)2025年(令和7年)4月15日

(年号は、西暦と和暦をランダムに用いることをあらかじめお断りしておきます。)

・新聞倫理綱領(2000(平成12)年6月21日制定)
「編集、制作、広告、販売などすべての新聞人は、自らを厳しく律し、品格を重んじなければならない。」・「新聞は、公共の利害を害することのないよう、十分配慮しなければならない。」・「販売にあたっては節度と良識をもってひとびとと接すべきである。

・新聞販売綱領(2001(平成13)年6月20日制定)
「新聞販売に携わるすべての人々は、言論・表現の自由を守るために、それぞれの経営の独立に寄与する責任を負っている。販売活動においては、自らを厳しき律し、ルールを順守して節度と責任ある競争の中で、読者の信頼と理解を得るよう努める。」

日本の新聞は明治・大正・昭和と軍国主義日本の台頭と歩調を一にして発展してきました。戦前、1000社を超えた新聞社は、戦争に向けて国論を統一するために50数社に整理統合され、戦時中は大本営発表を垂れ流す軍の広報紙に成り下がりました。戦後は、多くの若者を戦地に送り出して無駄死にさせた責任をとることもなく、新聞経営者らは、一転して占領軍の手先となって、鬼畜米英の対象だったアメリカを美化する役割を引き受けました。

讀賣新聞の正力松太郎氏や朝日新聞の緒方竹虎氏らがCIAのスパイ、あるいは協力者となったことは戦後日本の歴史的事実です。戦前の戦意高揚の記事の氾濫の中、戦地に送られて亡くなっていった若者達や、銃後に家族を残したまま最前線で餓死状態で死んでいった壮年兵達、あるいは内地で空襲や原爆でなくなっていった人達、沖縄で断崖から飛び降りていった人達など、多くの戦争の犠牲者の方達の無念の思いはどこに行ったのでしょか。

ウクライナやイスラエルのガザでは今でも戦争が続いており、数え切れないほどの尊い命が失われています。せっかくこの世に生を受けてきた幼い子供たちも大勢殺されています。21世紀に生きる私達は、宇宙から地球を見ることができる神の目を持ちえた最初の人類です。地球が広大な漆黒の闇に浮かぶチリほどの存在にすぎないことを知っています。同時にこの地球を滅ぼすことが出来る大量の核兵器を製造し貯蔵していること、原子力発電所を多数稼働させていること、それらがいったん暴走を始めたら誰のもとめることが出来ないことを知っています。

ネット上で巨石文明の写真をみると、人類は滅亡と誕生を繰り返してきたとの説もあながち嘘とは思えません。祖父母の世代は日清・日露戦争、父母の世代は太平洋戦争を経験しています。私たちの世代だけが戦争のない平和な時代を過ごせていいのだろうかという思いを抱えてきました。人生は長くてせいぜい7~80年程度です。残された時の間に私達の世代も同じ体験することになっても不思議ではありません。

しかし、高齢の私はともかく、次世代の子供や孫達の時代に戦争を体験することにならないようにしなければなりません。戦争の準備が着々と進んでいるかのように見えてきており、人間の愚かさをしみじみと感じるようになりました。

戦後民主主義教育を受けた世代で、新聞・テレビ等のマスメディアに対しては漠然とした信頼感がありました。まさか嘘はつかないだろうと思ってきました。しかし、ひょんなことから押し紙問題に首を突っ込むようになり新聞業界の闇を覗いたことから、はたして新聞・テレビが果たしている役割とはなんだろうという疑問と不安を覚えるようになりました。戦前と同じ過ちを新聞・テレビのマスメディアが繰り返す心配はないか。せめて、日本は戦争をせず、他国の戦争にも巻き込まれない、平和な国であって欲しいものです。

アメリカ並みの軍産官界複合体のもとマスコミを動員して戦争熱を掻き立てたるようになれば、その行き着く先は第二次世界大戦以上に恐ろしい光景しか見えてきません。幸い、今のところネット上でも公然と戦争熱をあおる番組には出会っていませんが、鬱積した失われた30年に対する若者の怒りが爆発したとき、そのエネルギーがどこに向かうのか心配です。

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2025年03月27日 (木曜日)

統一教会の霊感商法による被害額は35年間で1237億円、「押し紙」による不正金額は3兆2620億円、公権力が新聞社を保護する理由

東京地裁は25日、統一教会に対して解散を命じた。このカルト集団が不正に集めた資金は、全国霊感商法対策弁護士連絡会によると、35年間で1237億円になる。しかし、それをもってして日本の司法制度が正常に機能しているとまでは言えない。と、いうのもおそらくは最高裁事務総局の指示で意図的に、介入を避けている事件が他にもあるからだ。

その代表格が「押し紙」問題である。霊感商法による1237億円に対して、「押し紙」が生む不正資金は、筆者の試算によると35年換算で3兆2620億円になる。「押し紙」商法は、その規模と悪質性では、統一教会のカルト商法と比較にならない。

32兆6200万円の裏付けについては、『新聞と公権力の暗部』(鹿砦社)に詳しいが、概要は次の通りである。2021年度の全国の朝刊発行部数は約2590万部だった。このうちの20%にあたる518万部が「押し紙」と仮定する。また、新聞1部の卸代金を月額1500円と仮定する。「押し紙」による販売収入は、次の計算式で導きだせる。

518万部×1500円×12カ月=年間932億円

霊感商法による35年間の被害額と比較するために、「押し紙」の不正金額・年間932億円を35倍すると、3.2兆6200万円になる。

ただし、「押し紙」20%の仮定は控え目に設定した数字である。最近の「押し紙」裁判では、多いケースになると40%から50%が「押し紙」になっている。また、新聞の卸価格1500円も過少に見積もっている。さらに「押し紙」によるABC部数のかさ上げにより、上昇する紙面広告の価格は考慮していない。

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【書評】喜田村洋一の『報道しないメディア』、著者の思想の整合性に疑問

『報道しないメディア』(喜田村洋一著、岩波書店)は、英国BBCが点火したジャニー喜多川による性加害問題の背景を探った論考である。著者の喜田村氏は、弁護士で自由人権協会の代表理事の座にある。メディア問題への洞察が深く、出版関係者や大学の研究者からありがたがられる存在だ。

その喜田村弁護士が著した本書は、ジャニーズ問題がほとんど報じられなかった背景に、報道すれば返り血を浴びる構図があったと結論づけている。喜田村氏は、ジャニーズ問題を報じてきたマスコミが『週刊文春』と『週刊現代』の2媒体だけであった事実を指摘した上で、次のように述べている。

ジャニー喜多川氏の性加害だけでなく、マスメディアにジャニーズ事務所の気に入らない記事が掲載されたりすれば、ジャニーズ事務所は、当該メディアを出入り差し止めにしたり、そのメディアの発行会社の雑誌全部にジャニーズ事務所の所属タレントを出演させなかったり、さらにはそのメディアの上層部に直接不満を言いつけるということをやっていた。

報道に踏み切ることで、不利益を被る構図が存在したという説である。改めて言うまでもなく、そのような構図を構築したのは、報道対象であるジャニーズ事務所の側である。

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2025年03月11日 (火曜日)

雑誌『創』の新聞社特集、「押し紙」問題の隠蔽と誌面の劣化

『創』の3月号(2025年)が「新聞社の徹底研究」と題する特集を組んでいる。これは、延々と続いてきた企画で定評もあるが、最近は内容の劣化が著しい。新聞社に配慮しているのか、「押し紙」問題へ言及を回避している。肝心の問題を隠蔽すると、誤った新聞業界のイメージが拡散する。世論の形成においては、むしろ有害な企画だ。

「押し紙」は、今や公然の事実になっているわけだから、メディア専門誌である『創』がその実態を把握していないはずがないが、「押し紙」は存在しないという偽りのリアリティーを前提に新聞を論じている。

以前は、消極的ながらも「押し紙」について言及することもあった。たとえば、2011年度の新聞特集(『創』4月号)は、鼎談の中で、共同通信編集主幹の原壽雄氏が「押し紙」に疑問を呈している。次の発言である。

部数の話が出るたびに思うのだけれど、元々、新聞協会が発表しているのは、本当の部数ではないわけですよね。いわゆる「押し紙」といって販売店に必要以上の部数が送られていた。それをなんとかしないといかんと思っている経営者は多いわけで、部数減のデータの中には、押し紙の調整も含まれているわけですね。

この鼎談の2年前、2009年には『創』の篠田博之編集長がわたしに「押し紙」問題についての記事の執筆を依頼してきたこともある。ただ、このときは、弁護士で自由人権協会・代表理事の喜田村洋一らが、読売新聞から委託を受けてメディア黒書に激しい裁判攻撃を加えていた時期で、しかも、3件目の裁判(約5500万円を請求)を起こされた直後だったこともあり、筆者の方から執筆の依頼を断った。

つまり『創』は、かつて「押し紙」問題を認識していたのである。

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2025年03月05日 (水曜日)

中国レポート:好調な経済、破綻はあり得ない、現実の世界と西側メディアが描く空想の世界の乖離

階段を這うように登る4つ足のロボット。荒漠たる大地を矢のように進む時速450キロの新幹線。AI産業に彗星のように現れたDeepSeek-r1。宇宙ステーションから月面基地への構想。学術論文や特許の件数では、すでに米国を超えて世界の頂点に立った。中国の台頭は著しい。2024年度の貿易黒字は、9921億ドル(約155兆円)を記録した。貿易には相手国があるので、数字を偽装することはできない。

筆者は、2024年9月から、2025年1月までの5カ月のあいだ中国の遼寧省に滞在して、この国の日常を凝視した。

この町に住んで最初に筆者が感じたのは、豊饒な食である。日常の中で食生活にまつわる場面が展開している。団地のマンションは、ベランダを台所に割り当てたものが多く、冬には湯気で白く曇ったガラスの向うで動いている人々の姿が浮かび上がる。

市場では、大胆に食材が捌かれる。鮮魚売り場では、エプロンをした店員が、プラスチック製の塵取りで、エビや貝を掬い取って袋に詰める。日本のように少量のパック詰めにはしない。精肉店では店員がナタのような包丁を振り上げて、あばら骨が付いた豚肉を砕き、それをビニール袋に詰めて客に手渡す。大量に購入して、冷凍庫で保存したり、親戚に分けしたりする。少量では販売しない店もある。
果実店売場では、店員が手の平をがんじきのようにして、大きなビニール袋にミカンを掻き入れる。食品を販売するスケールが、日本に比べてはるかに大きい。

市場近辺の路地には、露天商らが店を設置している。屋台を構えた店だけではなく、歩道に段ボールや板を敷いて、その上に果実などを並べている所もある。街路樹と街路樹の間にロープを張って、そこに衣類をかけて露店販売をしている店もある。

露天商といえば日本では貧しいイメージがあるが、中国では一概にそうとも言えない。「農家ですから、われわれよりも金持ちですよ」と言う人もいる。露店で販売されている果実は、マーケットで販売されているものよりも品質が高い傾向がある。実際、味覚にほとんど外れがない。露店商が成り立つゆえんである。

インターネットを駆使した販売は露店でも定着している。電子マネーの決済はいうまでもなく、メールマガジンで客に、商品情報を送る店もある。外見は質素に見えても、路地裏にまで近代化の波が押し寄せている。もはやひと昔まえの中国ではない。

ちなみに現金も流通している。電磁マネーしか使えないという情報は正確ではない。

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2025年02月28日 (金曜日)

西日本新聞押し紙訴訟 控訴理由書提出のお知らせ― モラル崩壊の元凶 押し紙 ―

福岡・佐賀押し紙弁護団 弁護士 江上武幸(文責) 2025年(令和7年)2月27日

去る2月17日、長崎県にある西日本新聞・販売店の押し紙訴訟の控訴理由書を福岡高裁に提出しましたので、ご報告致します。

*西日本新聞長崎県販売店の押し紙訴訟については、「西日本新聞押し紙裁判控訴のお知らせ」(2025年〈令和7年〉1月18日付)「西日本新聞福岡地裁押し紙敗訴判決のお知らせ」(2024年〈令和6年〉12月26日付)「西日本新聞押し紙訴訟判決とオスプレイ搭乗記事の掲載について」(同年12月22日付)「西日本新聞押し紙訴訟判決期日決定のご報告」(同年10月15日)を投稿しておりますので、ご一読いただければ幸いです。

また、1999年(平成11年)新聞特殊指定の改定の背景に、当時の日本新聞協会長で讀賣新聞の渡邉恒雄氏と公正取引委員会委員長の根來泰周氏の存在があったことを指摘した黒薮さんの記事、「1999年(平成11年)の新聞特殊指定の改定、押し紙容認への道を開く『策略』」(2024年(令和6年)12月31日付)も是非ご覧ください。

西日本新聞社の押し紙裁判は、現在、2つの裁判が継続しています。長崎県の元販売店経営者を原告とする裁判と、佐賀県の元販売店経営者を原告とする裁判です。

2つの裁判は、ほぼ同時期に提訴しましたので併合審理の申立を行うことも検討しましたが、認められる可能性は薄いと考えたのと、同じ裁判体で審理した場合、勝訴か敗訴判決のいずれか一方しかありませんので、敗訴の危険を分散するために別々の裁判体で審理をすすめることにしました。

これまでも指摘しましたが、今回の敗訴判決を言い渡した裁判官は、2023年(令和5年)4月1日に、東京高裁・東京地裁・札幌地裁から福岡地裁に転勤してきた裁判官です。しかも、裁判長は元司法研修所教官、右陪席は元最高裁の局付裁判官であることから、敗訴判決は想定の範囲内であり、あまり違和感はなかったのですが、原告勝訴の条件がそろっている本件について、三人の裁判官達が如何なる論理構成によって原告敗訴の判決を書いたのかについて、控訴理由書でその問題点を指摘すると共に、新聞特殊指定の押し紙に該当しない場合、独禁法2条9項5号ハの法定優越的地位濫用の有無の判断を求める新たは主張を追加しました。

高裁が、どのような判断を示すかについて、引き続き関心を寄せていただくようお願いします。

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