2018年11月29日 (木曜日)

隣人の副流煙で化学物質過敏症を発症したので4500万円を支払え。

この裁判には不可解な部分が多い。昨日の記事で述べたように隣人の副流煙で1家3人が化学物質過敏症になったとして裁判を起こした原告が、実は、提訴の2年半前まで煙草を吸っていて重病になった事実が10月の下旬に判明したのだ。訴えられた藤井家は、怒り心頭に達しているのではないか。

被告の藤井氏には弁護士費用が発生している上に、裁判のために自分の仕事のスケジュールを調整しなければならない。それだけでも大きな負担になるうえに、敗訴した場合に発生する金銭負担を考えると気がきではないだろう。

 

◇化学物質過敏症を理解せずに提訴

原告は、副流煙が化学物質過敏症の原因になるという観点の論文や記事を大量に提出している。その中には、この分野の権威として知られる宮田幹生博士の書面もある。そこでは、確かに煙草の煙が化学物質過敏症の原因になることが語られている。

が、化学物質過敏症に関する論文や本をよく読んでみると、副流煙は数ある原因のひとつで、他に主要な要因があることが分かる。煙の場合は、畑で煙草を育てる段階で農薬を使うから、煙にも化学物質がまじり、それを体内に取り込んで人体影響を及ぼすという論拠なのだ。従って有機栽培のものはほぼ該当しない。

「副流煙で気管支炎や肺ガンになったから賠償せよ」というのであれば、理解できる。しかし、化学物質過敏症の原因を煙草だけに限定するのは、科学的ではない。原告が提出した資料だけでは十分とはいえない。

われわれの日常生活の中に潜んでいる他の誘発因子と比較すれば、煙草はむしろマイナー要因である。それを示すデータもある。

主要な原因は、たとえば芳香剤や柔軟剤などから空気中に飛び散るイソシアネートである。イソシアネートは接着剤や塗料の類にも使われている。アスファルトにも使われている。排気ガスも因子である。原告と被告が住むマンションから50メートルの地点に幹線道路が走っており、ここからも汚れた空気が団地へ流れ込んでいる。ダニや花粉も、化学物質過敏症の原因だ。

当然、原告が化学物質過敏症になったというのなら、煙草以外の観点からも、その原因を検証なければ、フェアーではない。ところが原告は、原因を副流煙だけに限定して、都合よくそれと整合する証拠だけを提出しているのだ。木を見て森も見ない論法なのだ。

化学物質過敏症とは何かをよく理解しないまま、裁判をすすめている。理解していなかったから、山田義雄弁護士も提訴を止めなかったのだろう。

そして提訴から約1年が経過して、原告は突然、提訴の2年半前まで煙草を吸っていたことを書面で認めたのだ。筆者は、この時点で原告が裁判を取り下げるのではないかと思った。少なくともある時期までは、副流煙の発生源は原告自身であったからだ。「闘値」が存在しないとする化学物質の毒性評価の原理からすれば、原告の副流煙は安全で、被告の副流煙は有害ということにはならない。

裁判の前提が崩壊しているのだ。

が、原告に訴訟を取り下げる意思はさらさらないようだ。

この裁判には、何か別の意図があるように感じる。提訴前に3人の刑事と1人の警察が動いており、藤井家の自宅内の写真も撮影している。こうした経緯からして、刑事告訴が行われ、それが受理されていた可能性もある。

しかし、訴えに十分な根拠がないことを、原告自身が知っていながら、告訴すれば、虚偽告訴罪になる可能性がある。

筆者は、こういう裁判は許してはいけないと考えている。

 

◇喫煙率の変遷

ちなみに次の図(出典;厚生労働省)は、喫煙率の変遷を示したものだ。喫煙率は年々減っている。これに対して化学物資過敏症は年々増えている。もし、煙草が化学物質過敏症の主要な原因であれば、両者の傾向は整合しない。煙草とは別に強い原因があるから、化学物資過敏症が増えていると考えるのが自然だ。(下記のグラフ:喫煙率(%)上群男性、下群女性)

2018年11月28日 (水曜日)

自宅の自室で煙草を吸う権利を剥奪する権限が司法にあるのか?それを問う裁判が、横浜地裁で進行している。

この裁判は先月、マイニュースジャパンで取りあげた。その後の経緯を報告する前に、事件の概要を紹介しておこう。

マンションの2階に住む一家3人が、化学物質過敏症になった。その原因が同じマンションの斜め下に住む被告家族・藤井家の煙草の煙にあるとして、4500万円の損害賠償を求める訴訟を起こした。

筆者は、裁判の全書面を読んだが、客観的に見て原告3人が化学物質過敏症である可能性が極めて高い。そのことには異論はない。しかし、その主要な原因が煙草の副流煙にあるとする原告の考えには疑問を感じた。もちろん煙草の煙も原因のひとつである。しかし、化学物質過敏症の原因は、イソシアネートをはじめ多種多様にわたる。マイニュースジャパンの記事では、原告が発症の原因を煙草だけに限定して、4500万円の損害賠償を求めたことに疑問を呈した。化学物質過敏症とは何かを理解していないのではないかと思ったのである。

また、刑事ら4人の警察関係者が藤井家を訪問して、2度にわたり事情聴取した事実も紹介した。これも通常はありえない。当然、解明が必要だ。

◇「以前喫煙しておりましたが」

以上が事件の経緯だ。裁判は簡潔に言えば、同じマンションに住む別の家族の煙草が原因で、化学物質過敏症になったので、約4500万円を支払えという構図なのだ。

ところが10月26日に、3人の原告のうち世帯主の男性が書いた陳述書が提出され、その中である重大な事実が判明したのだ。次の一文である。

私は、以前喫煙しておりましたが、平成27年春、■■と診断され、その時から完全にタバコを止めました。
その後は、タバコは、一切喫っておりません。

今回、横浜地方裁判所に訴状を提出したのは、平成29年11月21日ですので、私が禁煙してから既に、2年半以上の期間が過ぎております。

つまり原告は、原告自身がある時期まで煙草を吸っていながら、藤井家の副流煙が原因で化学物質過敏症になったと主張しているのだ。化学物質過敏症は、通常レベルの空気汚染であれば、断続的に被曝しても、ただちに症状を発症することはない。ある一定期間被曝した場合、発症するケースがあるのだ。

そうすると原告が化学物質過敏症になった原因は、原告の直接的な喫煙と、それによる副流煙である可能性が極めて高い。提訴の理由であった藤井家の副流煙による病気発症という論理が破綻してしまう。

◇弁護士職務基本規定の75条

なぜ、10月の下旬になって原告がみずからの喫煙歴を明かす書面を提出したのか、筆者には思い当たる節がある。マイニュースジャパンの記事を書くために、10月18日に原告の山田義雄弁護士を取材した際、山田弁護士は原告男性が煙草を吸っていたことを話したのだ。なぜ、その事実を話したのかは不明だ。

ところがその数日後、山田弁護士から、記事を書かないように通告した書面が届いた。それ自体が言論抑圧になるが、それはさておき、仮に原告が煙草を吸っていたことを知っていながら、それを伏せたまま、藤井家に禁煙と4500万円を請求する裁判を提起したとすれば問題がある。

そのことに気づき山田弁護士は、原告側から、実は原告本人が喫煙者だったことを公にしたのではないか。『弁護士職務基本規定』の75条に次のような条項がある。

弁護士は、偽証若しくは虚偽の陳述をそそのかし、又は虚偽と知りながらその証拠を提出してはならない。

この裁判では、原告側から煙草の害を論証するたくさんの証拠が提出されている。ところが原告自身が元喫煙者だったのだ。

筆者は、この裁判が最高裁事務総局の「報告事件」に指定されない限り、請求は棄却されると見ている。

煙草の副流煙で病気に、裁判で4500万円を請求も実は原告本人が元喫煙者だった。

 

【参考記事】「タバコの副流煙で化学物質過敏症になった」と4500万円請求の訴訟に――神奈川県警まで動いた団地の近隣トラブル

2018年11月27日 (火曜日)

毎日新聞の元販売店主を取材した。この人は東京都足立区で2店舗を経営していたが、数年前に「押し紙」の負担に耐えられなくなって廃業した。当時の商取引の記録を見せてもらった。

それによると2店に対して総計で約3000部の新聞が搬入されている。このうち読者に対して発行された領収書は約1500枚(発証数)。差異にあたるおおよそ50%が「押し紙」になっていたことになる。

筆者がこれまで取材してきた毎日新聞販売店の「押し紙」は、おおむね40%~70%である。2002年10月の段階で「押し紙」率が約36%(全販売店の平均)だった事実が、外部へもれた内部資料で判明しており、その後の約16年間における新聞衰退の実態を考慮すれば、2018年の時点では、ほとんどの店で「押し紙」率が50%を超えていると推測できる。

毎日新聞の9月度のABC部数は約270万部であるから、その50%は135万部。これが同社のおおまかな実配部数だと推定できる。

◇廃業すると即刻にコンピュータを回収

実際には135万部しか実配部数がないのに、なぜ、ABC部数では270万部レベルの数字が表示されるのだろうか。答えは簡単で、ABC公査を組織的に妨害しているからだ。販売店にあるコンピューターの購読者データに保存してある元購読者を現購読者に改ざんして、現購読者数を増やす「対策」がなかば公然と行われてきたからだ。

こうした改ざんで最も大きな被害を受けるのは、折込広告の広告主である。
折込広告の搬入枚数は、ABC部数に一致させる基本原則があるので、ABC部数に「押し紙」が含まれていると、「押し紙」分の折込広告は配達されない。配達されないが、料金だけは広告主に請求する。これは明らかな刑法上の詐欺に該当する。

「押し紙」とデータ改ざんは表裏関係にあるのだ。

ただ、発証数の記録は改ざんしていない本当のものがコンピューターに残っている場合が多い。たとえ改ざんデータを消しても、完全には削除できないというのがコンピュータの専門家の見方だ。ただ、そのデータの復元は素人にはできない。

新聞社はデータが復元されることを警戒しているのか、販売店が廃業になると、すぐに販売店のコンピューターを回収するという。新聞の実配部数が公になることを警戒しているからだろう。

2018年11月24日 (土曜日)

1933年から、米国中部のオクラホマ州やテキサス州をトルネードと呼ばれる猛烈な砂嵐が繰り返し襲来した。農地は砂漠と化し、農民たちはトラックに家財道具を積み込み、新天地を求めてカリフォルニアへ移動しはじめた。現在のホンジュラス問題とよく似た状況が米国でも起こっていたのだ。

しかし、新天地に到着してみると、そこには農園での過酷な労働が待っていた。『怒りの葡萄』は、歴史的な事件をベースにしたジョン・スタインベックの代表作である。

物語は、殺人で服役していたトム・ジョードが刑期を終えて、オクラホマ州に帰郷する場面からはじまる。真夏の日差しのもと、郷里は索漠たる荒野と化していた。たまたま木陰で休んでいた説教師から事情を聞き、トムはジョード一家の人々が身をよせている親戚をたずね、家族と再会する。家族はカリフォルニアへ移動する準備に追われていた。

ジョード家は、2台のトラックへ分乗して西へ向かう。説教師も加わった。

日没を待ち灼熱のアリゾナ砂漠を横断して、カリフォルニアに入る。そこに待っていたのは緑の楽園ではなかった。警官の眼が光る農園での過酷な労働と餓えだった。悲惨な現実を目の当たりにして説教師の心に、貧しい人々への共感の念がふくらんでいく。

2018年にホンジュラスから移民の群れが米国を目指して北上する事件がクロースアップされているが、1930年代に類似したことが米国でも起きていたのだ。ただ、移動の原因は異なる。そして現在のキャラバンを生んだ原因の方がより深刻だ。

タイトル:怒りの葡萄
著者:ジョン・スタインベック
版元:新潮文庫

2018年11月23日 (金曜日)

中米ホンジュラスから米国・メキシコの国境に難民が押し寄せている。メキシコ側の国境の町、ティファナだけでも約5000人。国境へ向かって北上中の人々がさらに5000人。海外メディアによると、新たに1500人のキャランバが、ホンジュラスを出発したという。

実は筆者は、ホンジュラスを何度か取材したことがある。最初は1992年だった。取材というよりも、旅行者になりすまして、この国の実態を探ったというほうが適切かも知れない。その後、95年にも現地へ足を運んだ。その成果は、拙著『バイクに乗ったコロンブス』(現代企画室)に収録した「将軍たちのいる地峡」というルポに集約されている。

しかし、それ以後は現地の実情を自分の眼で確認する作業を怠っているので、現在の政治問題がなぜ発生したのかについて、確定的な意見を言うことができない。ただ、次のような事情ではないかと推測する。

もともと中米を含むラテンアメリカは、「米国の裏庭」と呼ばれていた地域で、多国籍企業が現地で生み出された利益をことごとく自国へ持ち帰る構図があった。こうした体制を親米派の軍事政権が守ってきたのだ。コスタリカのような例外はあるが、また、一時的にリベラルな政権が誕生したことはあるが、
1980年ごろまでのラテンアメリカを語るとき、軍事政権と米国の関係を度外視することはできない。

しかし、今世紀に入ってから、こうした構図からの脱却が始まった。ベネズエラを筆頭に次々と旧体制と決別する反米政権が誕生した。

米国も従来のような軍事介入でこの流れを止めることが出来なくなった。80年代のニカラグアへの介入で大失敗を喫したうえに、新政権が民主的に選挙で選ばれたものだったからだ。「裏庭」の崩壊が始まったのだ。キューバの孤立も解消した。

こうした流れの中で、ホンジュラスも中道左派の政権を樹立するが、2009年に軍事クーデターであっけなく崩壊する。その後、従来の米国従属型の体制へ戻った。その結果、格差と貧困が凄まじい勢いで広がったのではないか。貧困から脱するために、キャラバンが結成され、北の大国を目指す社会現象が発生したようだ。

◇先進国の繁栄と第3世界の悲劇

92年に筆者がホンジュラスを取材した時期は、隣国のエルサルバドルで内戦が終わった直後だった。2年前の90年にはニカラグア内戦が終わっていた。

1980年代、ホンジュラスはニカラグアの革命政権とエルサルバドルで新政権の樹立をめざすFMLN(ファラブンド・マルティ民族解放戦線)を撲滅するための米軍基地の国と化していた。

その基地の国にゆがめられた「植民地」-ホンジュラスの戦後を見に行ったのである。その時、最も痛烈に感じたのは、先進国の繁栄と第3世界の悲劇の共存の光景だった。

ホンジュラスのカリブ海沿岸に広がる多国籍企業の農園からは、バナナやパイナップルなどが収穫され、まるで海の彼方へ向かってベルトコンベアーが敷かれているかのように、船で海外へ運びだされていく。その光景を見るだけで、著しい社会的不公平を感じた。

豊かな太陽と熟した果実の楽園の下で、多くの人々が飢えていたのだ。

次の記述は拙著から引用で、バナナの積み出し港のスケッチだ。

貨物船が一艘沖合に停泊し、突堤は海中に長々と延びている。海岸づたいに砂浜を歩いて港までたどり着くと、ぼくは突堤の上に立った。荒波が突堤の脚に打ち寄せては砕ける。風に乗って海鳥たちが舞っている。おびただしいカリブ海の陽光にもかかわらず、足下の海が真っ黒に濁って見えた。波が鋭利なナイフのように光る。中米のどこかの国で民衆の蜂起が発生すれば、ただちに海の彼方からアメリカ海兵隊の軍艦が近づいてきてこの浜に兵士が上陸し、すでに基地に駐留している部隊と合同作戦を展開するに違いない。

 塩の香を孕んだ風が髪の毛をかきあげた。ぼくは突堤の先端まで真っすぐに延びている貨物の線路を、ぼんやりと眺める。線路は午後の光を反射して、鈍く光っている。安い賃金で収穫された作物や工場で加工された製品が、コンテナでこの突堤まで運ばれ、海外行きの船に積み込まれて行く。先進国の繁栄と第三世界の悲劇が共存している。

こうした矛盾に満ちた構図が中米全体に広がっていた。革命前のニカラグアにいたっては、米国の傀儡、独裁者ソモサ一族が全農地の半分以上を独占していたのである。1950年代にグアテマラで始まった農地改革では、UFC(ユナイティド・フルーツ・カンパニー)の土地に手をつけたとたんに、CIA主導の軍事クーデターが勃発し、軍事政権が敷かれた。

米国の果実会社が中米の経済も政治も文化も牛耳っていたのである。逆説的にいえば、こうした理不尽な社会構造が1980年代の中米紛争の引き金になったのだ。

筆者は、ホンジュラスの社会格差と貧困は、1990年代よりもさらに開いているのではないかと懸念する。歪んだかたちのグローバリゼーションが移民のキャラバンを生んでいる可能性が高い。歴史が逆戻りしたような戸惑いを感じている。

 

【参考記事】安保関連法案の報道で何が隠されているのか?左派メディアも伝えない本質とは、多国籍企業の防衛作戦としての海外派兵、前例はラテンアメリカ

2018年11月22日 (木曜日)

新聞の発行部数を公式に示す「ABC部数」。ABC協会は2年に1度、「公査」を実施し、販売店の現場を調査している。ところがこの公査の直前に、新聞の購読者数を証拠づけるデジタル書類を改ざんしていることが分かった。

この問題を告発したのは、毎日新聞の元販売店主・板見英樹氏。板見氏は、現役販売店主だった2016年9月、改ざんの「実行者」である折込チラシ丁合機メーカー・デュプロ(株)社員から一部始終を聞き出した。

その録音によると、手口は、新聞拡販の対象者として販売店が保存している「過去の新聞購読者データ」を、現在の読者に改ざんして領収書を発行、そのバーコードを読み込み、入金一覧表なども自動的に改ざんすることで全体を整合させる、というもの。

改ざん現場には、毎日新聞の販売局員が立ち会い、指示を出していたという。(※文尾で、全音声9分21秒を公開)

【Digest】
◇ニセの領収書を大量裁断
◇デュプロの社員を呼び出す
◇「過去読を起こす」手口
◇改ざん作業の日は有給の形式
◇改ざんデータは「事前に用意しておくものでもない」
◇販売局社員が立ち合いの下で作業
◇新聞業界とデュプロの深い関係
◇デュプロは「回答しない」
◇取材は封書以外で受け付けない毎日社長室
◇毎日新聞社長室の回答
◇ABC協会の見解
◇新聞ジャーナリズムの限界

改ざんの噂は関係者の間では周知となっていたが、その手口の全容を、改ざん実行者自身が詳しく語ったものが録音されたのは初めて。それは、販売店のコンピュータに保存してある過去の新聞購読者のデータを、現在の購読者であるかのように改ざんして、購読者数を嵩あげするというもので、予想外に単純な手口だった。
新聞業界では、印刷だけされて配達されないまま廃棄される「押し紙」は存在しない、という偽りの前提で事業が展開されているため、「ABC公査」の際には、帳簿上の購読者数を改ざんして増やすことで「押し紙」の存在を隠蔽する必要に迫られる。その偽りの構図が、改めて浮彫りとなった。以下、不正手口の全容をリポートする。【続きはMyNewsJapan】

2018年11月21日 (水曜日)

河北新報が「スマホ1時間以上の利用で学習に影響 宮城県公立高調査、正答率の低下顕著に」(20日付け)と題する記事を掲載している。

宮城県教委は19日、県内の公立高1、2年生を対象にした2018年度学力状況調査結果をまとめた。スマートフォンや携帯電話の使用時間が平日1時間以上になると、学力が低下する傾向が浮き彫りになった。県教委は「インターネットへの依存的傾向が学習や生活に影響を及ぼしている」と注意を呼び掛けている。(略)

「30分以上1時間未満」と答えた生徒の正答率は国語63.1%、数学55.3%、英語57.6%。「5時間以上」の生徒の正答率は国語47.3%、数学24.1%、英語35.9%にとどまった。1時間以上になると使用時間が長くなるにつれ、各教科で正答率が低下した。 ■出典

この記事の問題は、スマートフォンや携帯電話を使うことによって、家庭学習の時間が割かれ、その結果、正答率が低下するのか、それともこれらの通信器機から放射されるマイクロ波が脳に影響を及ぼすことが原因で、正答率が低下するのかに言及していないことである。

おそらく編集者にそういう視点がまったくないのだろう。

筆者は、マイクロ波の影響の方が大きいのではないかと思う。マイクロ波が脳にダメージを与えることは、周知の事実となっている。たとえば1970年代には、既にマイクロ波を使った兵器が登場していたが、それはマイクロ波を敵に放射することで、戦意を喪失させたり、精神の混乱を引き起こすことを狙ったのものだった。

参考までに1977年2月に発行された『軍事研究』の記事の全文を引用してみよう。

 

ソ連マイクロ波兵器を開発

国防総省報告によると、ソ連は現在、人間の行動を混乱させたり、精神障害や心臓発作を起こさせるマイクロウエーブ(極超短波)兵器を開発中である。

 同報告はさらに、ソ連はすでにマイクロウエーブやその他の波長の電波による人体への科学的作用や脳機能の変化を実施しており、マイクロウエーブの照射によって、敵の外交官や軍部高官の思考を狂わすことを狙っているようだ。

  すでにソ連はさきにモスクワの米大使館にマイクロウエーブ照射を行って情報収集電子機器を狂わせ、米国務省から抗議を受けている。

また、携帯電話の基地局周辺で報告されている健康被害の中に、うつ病や精神かく乱など、脳に関連した症状が多数含まれている。

欧米の新聞がマイクロ波による人体影響について報じているのに対して、日本の新聞はこの問題を報じない。無線通信網が国策になっている事情がその背景にあるようだ。が、大事な問題を報じないのであれば、ジャーナリズムが存在する意義はない。

【参考記事】 マイクロ波を利用した武器はすでに実用の段階に、脳に大きなダメージの可能性、米ニューヨーク・タイムズが報道

2018年11月19日 (月曜日)

読売新聞の渡邉恒雄氏が死亡したという情報が、週末に飛び交った。文筆家の菅野完氏が発信源で、それを複数の人々がソーシャルメディアで拡散したのだ。真相はまだ分からないが、そろそろ渡邉氏についての検証を始める時期に来ているのではないか。

筆者は、渡邉氏がジャーナリズムに与えた最も大きな負の影響は、マスコミ企業と政界を癒着させたことだと思う。渡邉氏がメディア企業幹部との会食を重ねてきたことは周知となっている。取材目的の会食とは思えない。その後のレポートがないからだ。それよりも両者の情交関係を深めることが目的だったのではないか。

つまり新聞人としてはやってはいけないことを、新聞業界の「重鎮」が先頭に立って実践していたのである。それをとめる人もいなかった。

その結果、マスコミがジャーナリズム性を発揮しない限り政府は、新聞の再販制度を保証し、「押し紙」問題と折込広告の水増し詐欺を黙認し、さらには消費税の優遇措置を与える特権を維持してきたのである。。そのための交渉が会食の場で行われた可能性も否定できない。渡邉氏に政界との太い人脈があったから、こうしたあるまじき行為がまかり通っていたのだろう。

◇裁判の多発-真村・平山・黒薮・清武・七つ森書房

裁判を多発させたのも、渡邉氏の特徴である。言論による戦いよりも、裁判の方が得意だった印象を受ける。渡邉氏の裁判政略に協力したが、自由人権協会代表理事である喜田村洋一弁護士である。筆者は、この人物の思想が今だに分からない。

もちろん喜田村氏らが代理人を務めた裁判には、真村裁判のように販売店の側から起こしたものも多い。しかし、そうであっても販売店が裁判を起こさざるを得ない販売政策が背景にあった。たとえば次の判決に見る認定内容である。

真村裁判福岡高裁判決

真村氏は、仮処分の申し立てを含めると、少なくとも4件の裁判に巻き込まれた。

真村氏と同じ地区で販売店を経営していた平山春男氏も、仮処分を含めると複数の裁判に巻き込まれた。が、心労が重なったのか、係争中に亡くなった。

真村氏や平山氏と同じ時期に、筆者は3件の裁判を起こされた。筆者の側からは1件の裁判を起こした。つまり4件の裁判に巻き込まれたのである。さらに喜田村弁護士に対する懲戒請求の審理に3年を要した。

裁判で迷惑を受けたのは、真村氏、平山氏、それに筆者だけではない。他にも清武英利氏や、七つ森書房も裁判攻勢にあた。

このように渡邉恒雄氏の指揮の下で、読売は異常なほど裁判を多発させてきたのである。

ちなみに筆者は渡邉氏が記者として、どんな調査報道の実績があるのか知らない。「どんな仕事をしました?」という問いにどう答えるのだろうか。本多勝一氏には『戦場の村』が、斉藤茂男氏には、『わが亡きあとに洪水はきたれ!』があるが。

2018年11月17日 (土曜日)

裁判所の判決をめぐり司法の公正性や中立性を疑問視する声が広がっている。裁判所は、信用するに値するのか。

次に紹介するのは、2016年2月に「最高裁をただす会」が開いた「裁判所は本当に駆け込み寺?」と題するシンポジウムの動画である。報告者は、弁護士の生田暉雄氏、筆者(黒薮)、元朝日新聞記者でフリージャーナリストの吉竹幸則氏、それに市民運動家の志岐武彦氏の4人。

テーマは次の通りである。

・生田:最高裁事務総局の闇

・志岐:小沢一郎検察審査会架空議決疑惑

・吉竹:長良川河口堰報道をめぐる裁判のデタラメ

・黒薮:「報告事件」としての携帯電話基地局をめぐる裁判

 ※「報告事件」:実質的に最高裁事務総局が判決をコントロールしている裁判

2018年11月15日 (木曜日)

11月1日に衆議院第2議員開会で、「NO残紙キャンペーン」が開催した「押し紙を考える勉強会」の動画が完成した。「NO残紙キャンペーン」は、新聞販売店から「押し紙」をなくす運動を展開している集まりで、弁護士、議員、それにジャーナリストなどから構成されている。思想的・信条は異なるが、販売予定のない新聞を買い取らせる新聞社のビジネスモデルに異議を申し立てるという点で合意を形成している。

発言は次の順番。

①黒薮哲哉(フリーランスライター)

②幸田泉(作家)

③寺崎昭博(佐賀新聞「押し紙」裁判原告)

④木原稔(衆院議員)

⑤小坪慎也(行橋市議)

⑥会場からの発言

どの発言も内容が濃いが、個人的には、木原稔衆院議員の発言に強い印象をうけた。折込広告の水増し行為が刑法上の詐欺にあたることを国会議員が、国会での集まりの中で指摘したのは初めてではないか。

【黒薮哲哉】(18分)


【幸田泉】(12分)

【寺崎昭博】(22分)

【木原稔】(5分)

【小坪慎也】(24分)

【会場からの発言(14分)

2018年11月14日 (水曜日)

「押し紙」をめぐる訴訟が、筆者だけでは網羅できない規模で広がっているようだ。かつては販売店が新聞社を相手に裁判を起こしても、まず勝てないというのが常識だった。新聞社の担当員は、「押し紙」をめぐるトラブルが起きると、自信満々に、

「あなたがたが裁判を起こしても、絶対に勝てないですよ」

と、断言していた。残念ながら、それは事実だった。帳簿上では、新聞販売店が自分で希望する部数を注文したことになっているので、裁判所は残紙を「押し紙」とは認定しなかったのだ。帳簿上の事実関係だけで判断していたのである。

裁判所の見解に変化の兆しが現れはじめたのは、2005年だった。岐阜新聞の元店主が起こした「押し紙」裁判の控訴審判決で、名古屋高裁が残紙を「押し紙」と認定したのである。損害賠償は認めなかったが、残紙を「押し紙」 と判断した。

判断の根拠になったのは、独禁法の新聞特殊指定の正当な解釈である。新聞特殊指定は、ごく簡単に言えば、「実配部数+予備紙」を超える部数は、理由のいかんを問わずに、「押し紙」と定めている。そこには「押し売りがあったか、なかったか」といった主観や感情に基礎をおいた判断は一切排除され、「実配部数+予備紙」を超える部数という客観的な要件が判断基準として示されたのである。

その2年後に、読売の「押し紙」政策を認定した真村訴訟の福岡高裁判決が最高裁で確定した。これを機に雑誌が「押し紙」特集をはじめたのである。

ちなみに読売の滝鼻広報部長は2016年、福岡高裁判決の中では、「押し紙」政策は認定されていないと抗議してきた。その抗議に対する反論を紹介しておこう。その後は抗議はないが。

読売の滝鼻広報部長からの抗議文に対する反論、真村訴訟の福岡高裁判決が「押し紙」を認定したと判例解釈した理由

◇読売には1部も「押し紙」はないと主張

しかし、2008年から2009年にかけて読売の代理人である喜田村洋一・自由人権協会代表理事らが、筆者に対して3件の裁判(請求額は約8000万円)を起こすと、「押し紙」報道はほぼとまった。喜田村氏らは、読売には1部も「押し紙」はないと主張したのである。その記録は残っている。

次の引用は、読売が『週刊新潮』とわたしに対して、名誉を毀損されたとして5500万円のお金を支払うように求めた「押し紙」裁判で、読売の宮本友丘専務(当時)が、読売の代理人である喜田村洋一・自由人権協会代表理事の質問に答えるかたちで証言した内容である。

喜田村:この裁判では、読売新聞の押し紙が全国的に見ると30パーセントから40パーセントあるんだという週刊新潮の記事が問題になっております。この点は陳述書でも書いていただいていることですけれども、大切なことですのでもう1度お尋ねいたしますけれども、読売新聞社にとって不要な新聞を販売店に強要するという意味での押し紙政策があるのかどうか、この点について裁判所にご説明ください。

宮本:読売新聞の販売局、あと読売新聞社として押し紙をしたことは1回もございません。

喜田村:それは、昔からそういう状況が続いているというふうにお聞きしてよろしいですか。

宮本:はい。

喜田村:新聞の注文の仕方について改めて確認をさせていただきますけれども、販売店が自分のお店に何部配達してほしいのか、搬入してほしいのかということを読売新聞社に注文するわけですね。

宮本:はい。

当時、彼らが主張したことを、これから本格的に検証する必要がある。発言は真実だったのか?いま現在も読売には「押し紙」が一部もないのか?このあたりについても、調査しなければならない。

読売による一連の裁判から10年になり、「押紙」裁判の広がりは、筆者だけでは網羅できない規模になっているようだ。上記で紹介したユーチューブもその例である。動画を「押し紙」で検察していてたまたまみつけた。

 

2018年11月13日 (火曜日)

まえぶれもなく警察から電話がかかってきて、任意出頭を求められる。ある日、突然、刑事が玄関の戸をノックして、黒い警察手帳を示し、家人に尋問をはじめる。その時になってはじめて自分が捜査対象になっていたことを知る。それまでは、自分が法的にどういう立場におかれていたのかを知ることはできない。あるいは取り調べ後も、法的な根拠が謎のまま放置される。

自分を誹謗中傷して牢獄へ閉じこめようとたくらんだ人物が誰なのかすら知ることができない場合もある。告訴人が、告訴の事実を記者会見などで明らかにした場合は少なくとも告訴人の像は明確になるが、この場合も被疑者は毎日、警察からの呼び出しに怯えながら暮らすことになる。従って刑事告訴は、告訴人の責任を伴う。完璧な根拠を公にする自信がなければ、やってはいけないことなのだ。

この1年の間に警察がらみの事件を2件取材した。1件は、元衆議院議員の三宅雪子氏が、5人の元支援者を告訴して、Twitterで「告知」した事件である。が、その後の経緯は、今年の7月の段階で「捜査中」という以外に、まったく分からない。5人は精神的な拷問に等しい苦痛を味わっている。聞くところによると、被疑者にされた人の中には体調をくづしたひともいるらしい。

過剰な個人情報の保護が5人を苦しめているのだ。

 

◇化学物質過敏症で刑事ら4人が出動

もう1件は、横浜市の化学物質過敏症をめぐる事件である。この事件では3人の刑事と1人の警官がSさん宅を訪れ、S家を発生源とする煙草の副流煙が原因で、隣人が化学物質過敏症を発症した可能性があるとして、主婦のSさんを事情聴取したのだ。

【参考記事「タバコの副流煙で化学物質過敏症になった」と4500万円請求の訴訟に――神奈川県警まで動いた団地の近隣トラブル

3人の刑事が動いたわけだから、当然、Sさんは自分が刑事告訴されていたことを疑った。が、個人情報の壁があって、Sさんは事実関係を知ることができない。それを探りあてる作業は途上にある。

かりにS家の副流煙が原因で隣人が化学物質過敏症を発症したという話に根拠がないことを知りながら、Sさんを刑事告訴していれば、虚偽告訴罪に該当する。ところがSさんは、自分が告訴されていたのかどうかの事実関係すらも知ることが出来ない。個人情報の壁があるからだ。

その後、Sさんはこの隣人から4500万円を請求する民事訴訟を起こされた。さらに裁判の中で、先日、この隣人がある時期まで煙草を吸っていたことも判明した。裁判書面の中でそれを認めたのだ。

ちなみに横浜市のケースでは、神奈川県警の斉藤本部長からの指示で刑事らが動いており、不自然な部分が多い。化学物質過敏症が何かをよく知らないまま、指示をだしたのではないか。この病気は、花粉症と同じように、だれでも発症する可能性があるのだ。

個人情報を守ることは大切だが、同時に被疑者にされたり、警察から理不尽な取り調べを受けた側の権利を守る方法も、今後、考案する必要があるだろう。来年の参院選のマニフェストに入れてほしいものだ。