
横浜の副流煙裁判の続報である。この裁判は、マンションの2階にすむ横山家(仮名)の3人(夫妻と娘)が、同じマンションの1階に住む藤井家の家主・将登さんに4500万円の金銭支払いや喫煙の禁止などを請求したものである。
将登さんが自室で吸っていた煙草の副流煙が原因で、原告3人が化学物質過敏症になったというのが、提訴理由だ。原告は、将登さんの妻・敦子さんも、煙草を吸っていたと主張している。
【事件の概要】
この事件の最大の問題点は、化学物質過敏症がだれでもなる可能性のある病気であり、その原因もイソシアネートなど、多種多様であるにもかかわらず、藤井将登さんの煙草の副流煙と断定している点である。たとえ煙草の煙であっても、その煙草の発生源は分からないはずだ。団地内に自然発生的にできた「喫煙場」である可能性もあれば、藤井将登さんとは別の住民が吸った煙草の可能性もある。
原告は、戸別に「煙草を吸っているか否か」をアンケート調査したが、煙草をめぐるトラブルが発生している団地で、「煙草を吸っているか否か」を質問されたら、「吸っていない」と答えるのが常識だろう。アンケート調査は信憑性がない。
さらにマンションから50メートルほどのところに幹線道路があり、そこからの排気ガスも団地に流れ込む。原告の1人は、「宮田診断書」の中で「車の排気ガス」に反応(10段階で8評価)することを認めている。これが原因の可能性もある。
また、原告の陳述書からは、新築マンションに入居した生活歴(シックハウス症候群の疑惑)がある事実、医療機関に長期通院するなど日常的に化学物質に接してきた事実、携帯電話のユーザーである事実などが読み取れる。それが化学物質過敏症を引き起こした可能性もある。
もっと広い視野でみると、花粉も化学物質過敏症の引き金になる。
ちなみに横山家の家主・明さんは、元喫煙者だった。このことを昨年の10月まで、裁判所に報告していなかった。
つまり、化学物質過敏症の原因が藤井将登さんが肺から吐き出した煙であると断定することはできないのだ。原告の山田義雄弁護士は、明さんが元喫煙者であることも知っていた。それにもかかわらず原告3人の化学物質過敏症の原因が藤井将登さんの煙草にあると主張し、それを前提に裁判所へ資料を提出してきたのだ。
事件の舞台が団地ということもあり、原告の主張は、多くの住民の耳にも入っている。裁判を取り下げるべきだとの声も上がっている。
ちなみに化学物質過敏症の裁判は、化学メーカーなどを被告しとた裁判は、過去に提起されているが、いずれも訴えが棄却されている。個人を、しかも、煙草の煙が化学物質過敏症の唯一の原因として訴えたケースは、横浜のケースがはじめてだ。原告3人が化学物質過敏症である可能性は高いが、何が原因なのかは特定できない。生活環境の悪化が原因で、化学物質過敏症を誘因する物質があまりにも多いからだ。その代表格のひとつが、芳香剤などのイソシアネートである。米国では大きな問題になり、規制が始まっているが、日本は野放し状態だ。
携帯電話の電磁波も大きな要因のひとつだ。その意味で、原告宅の近辺に携帯電話の基地局がないかどうかを確認する必要もある。また、高圧電線なども電磁波の発生源になる。
◇神奈川県警察本部の斉藤実本部長
しかし、この事件には化学物質過敏症そのものの複雑さに加えて、もうひとつの不可解な点がある。民事訴訟になる前段で、神奈川県警の刑事ら4人が、アクションを起こしているのである。
2017年の夏、事前連絡もなしに4人の警察関係者が藤井家を訪れた。玄関のベルが鳴ったので、藤井敦子さんが扉を開けると、4名の警察職員が立っていた。男性が3人、女性が1人。後に分かったことだが、3人の男性は刑事だった。
4人の警察関係者が藤井家を訪れた経緯については、山田弁護士が裁判所へ提出したある書面によって推測することができる。その書面とは、神奈川県警察本部の斉藤実本部長に宛てた山田弁護士による「要請書」(平成29年12月21日付け)である。
それは、○子さん(原告)が、斉藤本部長に手紙を書いて警察の介入を求めた事実を示している。山田弁護士は、このあたりの経緯について、書面の中で次のように説明している。
3 そのような(注:化学物質過敏症による健康被害が発生した)中、たまりかねて平成29年8月13日付けにて、貴職にA○子氏(原告)がお手紙を差し上げました(今回も同封致します)。
4 その結果と思われるのですが、青葉警察署の刑事さんが4名早速、依頼人宅を訪れ、かつ藤井宅へも出向いて話しをして下さったとのことです。
つまり警察は原告の要請を受けて、最初に横山家から事情を聴取し、それから藤井家の事情聴取を行ったのである。好意的な見方をすれば、係争中の双方から公平に話を聞いたということになるが、敦子さんは4人もの警察関係者が動いていることに尋常ではないものを感じたという。
通常、警察は煙草トラブルぐらいでは動かない。
藤井敦子さんは警察に事情を説明した。説明を聞いた後、刑事のひとりが、
「将登氏が喫煙する部屋の写真を撮らせて下さい」
と、言った。敦子さんは、それを許可した。3人の刑事が将登さんの部屋に入り写真を撮影した。
撮影が終わると刑事のひとりが言った。
「事情はよくわかりました。これから先はあるとすれば裁判でしょう。警察は介入しません。今件についてはもう2度と来ません」
ところがその後、再び刑事2人が藤井家を訪れた。このあたりの事情について、山田義雄弁護士による「ご報告」(平成30年1月9日付け)は次のように述べている。
(2)平成29年12月25日、当職宛に青葉警察署署長山本殿より、電話があり、「斉藤県警本部長からの指示があったので、近く対応したい。ご本人に直接連絡してもよいか」との内容打診であった。そして、当職が電話で若干の補足説明をしたところ、署長は「場合によれば傷害罪になり得るかも知れない」旨の発言をいただき、当職はその旨を依頼人(伸子氏)に伝える。
実際、12月27日に2人の刑事が藤井家を訪れた。刑事課の浅川将也氏と住民相談係の佐藤隆之氏である。次のPDFが、その際、藤井敦子さんが残したメモである。
このように山田弁護士が神奈川県警の斎藤本部長を動かす事態まで起きているのである。
【参考記事】報じられない化学物質イソシアネートの危険性、柔軟剤で体調が悪化、産業界優先の日本の愚民政策(1)
マイクロ波の規制基準がダブルスタンダードになっている本当の理由、水面下での新兵器開発、軍事産業とマイクロ波(1)

横浜の副流煙裁判の資料を入手してコピーした。この裁判の取材をはじめたのは、昨年の9月で、予定では2月で終止符を打つことになっていた。ところが先日、裁判の体制が合議制になったので、わたしも取材を本格化させ、古い取材ノートや資料を倉庫から取り出したうえで、他の裁判資料も被告の藤井さんから入手した。
裁判資料を読みかえしてみて、暗い好奇心を刺激された。わたしはこれまで数多くの裁判を取材してきたが、横浜の副流煙裁判ほど不可解な事件は前例がない。2008年に弁護士で自由人権協会の喜田村洋一代表理事が、読売の江崎徹志法務室長と結託して、わたしを提訴した事件(喜田村らの敗訴、弁護士懲戒請求)を体験したことがあるが、その事件よりもはるかに悪質だ。
裁判の構図は、既報したようにマンションの2階に住む横山(仮名)家の3人(夫妻と娘)が、同じマンションの1階に住む藤井将登さんに対して、煙草による副流煙で化学物質過敏症になったとして、4500万円を金銭支払いを求めたものである。
訴状や準備書面などによると藤井将登さんは四六時中、外国製の煙草を吸っていたとされている。奥さんの敦子さんも、ヘビースモーカーという設定になっている。が、事実は藤井将登さんは、ヘビースモーカーではなく、少量の煙草を二重窓になった自室で吸っていたに過ぎない。奥さんは煙草は吸わない。
原告・横山氏の山田義雄弁護士は、藤井夫妻の副流煙が原因で横山家の人々が重症の化学物質過敏症になったという事実を摘示した上で、4500万円を請求してきたのである。その前段、神奈川県警の斎藤本部長も動かしている。
◆原告が実は元スモーカーだった
ところが昨年の10月の下旬になって、実は横山家の主である横山明氏が、元スモーカーであったことが発覚した。発覚の経緯は明かさないが、そ結果、裁判所へ次のような陳述書を提出せざるを得なくなったのである。
私は、以前喫煙しておりましたが、平成27年春,大腸がんと診断され、その時から完全にタバコを止めました。(略)
私は、タバコを喫っていた頃は、妻子から、室内での喫煙は、一切、厳禁されていましたので、ベランダで喫煙する時もありましたが、殆どは、近くの公園のベンチ、散歩途中、コンビニの喫煙所などで喫煙し、可能な限り、人に配慮して喫っておりました。
裁判所に自分の喫煙歴を隠し、もっぱら藤井家の副流煙が化学物質過敏症の原因と事実摘示をした上で、高額訴訟を起こしたのである。みすからが喫煙者であったのだから、原因は自分にあるはずだが、藤井家の副流煙が第一原因であるというのだった。
明氏は、前出の申述書で述べているように、「ベランダ」など野外で煙草を吸っていた。自分の煙草の副流煙が自宅に入っていたと考えるのが自然だ。物理的にはそう考えうる。
また、明氏は公園のベンチやコンビニの喫煙所でも、煙草を吸っていたというのだが、そうした家族への「配慮」により、煙に含まれる化学物質を遮断できるわけではない。『化学物質過敏症』(文春新書)の中で、著者の宮田幹夫氏は、衣類や文房具に付着した煙草の煙も、化学物質過敏症の患者にとっては苦痛であると記述している。次のくだりである。(77ページ)
実はインタビューをしているとき、近くにいた次男の茂弘くんが突然、鼻血を出してしまった。昌子さんが「どうしたん?」と聞くと、茂弘くんは、「分からん」と答える。すかさず紘司くんが「タバコやと思う。さっきから喉がひりひりしていたから」と指摘した。
もちろん、われわれは煙草を吸っていたわけではない。その日は朝から喫煙を控え、整髪料もつけづに入江さん宅を訪問した。おそらく、入江さん宅へ向かう途中、新幹線の車内で他の人の吸うタバコの煙が服に染みついたに違いない。日頃から使っているノートや書類、手荷物にも染み込んでいる。
横山家の生活環境と藤井家の生活環境の違いは、副流煙だけに関して言えば、同じなのだ。差別化するものは、吸っていた煙草種類ぐらいである。
とはいえ、煙草だけが化学物質過敏症の原因とは限らない。それは無数にある原因のひとつに過ぎない。特定は不可能というのが実態である。さらに電磁波問題とのかかわりも考慮しなければならない。ある特定の化学物質に汚染された状況の下で、電磁波に被曝したときの人体影響などである。(この問題に最も詳しいのは、宮田幹夫氏である。)
われわれの生活空間は化学物質で溢れている。米国のケミカル・アブストラクト・サービス(CAS)が登録する新しい化学物質の数は、1日で優に1万件を超える。電磁波による被曝も増えている。生活環境そのものが静止の状態ではなく、常に変化しているのである。複合汚染の時代なのだ。
こうした時代において、ある特定の化学物質だけをピックアップして、化学物質過敏症の原因として特定する態度は、科学的とは言えない。(この点については、2月4日付けの黒書を参照)
◆化学物質曝露の積み重ね
さて、明氏が元喫煙者であったことを、昨年の10月まで、原告は裁判所に隠していたわけだが、それ以降も裁判を取り下げていない。訴訟の前提事実が虚偽だったにもかかわらず、依然として、藤井家の煙草が化学物質過敏症の唯一の原因だという主張を続けているのだ。しかも、その主張に宮田幹夫博士が加勢している。
1月24日付けインタビュー(山田義雄弁護士が宮田博士に対しておこなったもの)で、明氏の喫煙歴と化学物質過敏症の関係について、次のような質問をしている。
山田:○子(娘)さんの父明さんは、平成27年春頃までタバコの喫煙者であったのですが、明さんは■子(妻)さんや○子さんに配慮して、室内では喫煙せず、近所の公園で喫煙していたとのことです。父明さんが仮に、室内でタバコを吸っていなかったという前提でも、それも1年程前に喫煙をやめていた場合でも、父明さんの過去の喫煙は、○子さんの化学物質過敏症の発症に何らかの影響があるものでしょうか。
宮田:化学物質過敏症の発症には、それまでの化学物質曝露の積み重ねの後に発症してくることもあります。その意味では発症の基盤の一部には父親からの喫煙被曝歴が関与している可能性はあると思います。しかし副流煙曝露もない状態だったとしたら、父親の喫煙の影響は非常に少ないと思います。
宮田博士の回答には論理に矛盾がある。回答の前半では、「発症の基盤の一部には父親からの喫煙被曝歴が関与している可能性はあると思います」と述べ、その直後には、わざわざ「しかし副流煙曝露もない状態だったとしたら、父親の喫煙の影響は非常に少ないと思います」と正反対のことを言っている。ベランダでの喫煙に副流煙がセットになっていると考えるのが常識ではないか。
ところが山田弁護士は、このわずかな論理の破綻に付け込んで、次のように宮田理論を歪曲している。
これについて宮田医師は、
「化学物質過敏症の発症には、それまでの化学物質曝露の積み重ねの後に発症してくることもあります。その意味では発症の基盤の一部には父親からの喫煙被曝歴が関与している可能性はあると思います。しかし副流煙曝露もない状態だったとしたら、父親の喫煙の影響は非常に少ないと思います。」
と、述べる。
すなわち、原告明の喫煙が原告○子や■子に何らかの形で、積み重なって化学物質過敏症の要因の一つになる可能性があることはあり得るとのことである。それもある意味では当然であろう。
しかし、平成28年3月頃までは、原告明はタバコを止めて1年以上経過しており、その後副流煙被曝の可能性がなかったとすれば、2人に化学物質過敏症の発症はあり得なかったと言えるであろう。
その意味でも、被告の喫煙、副流煙(すなわち喫煙の二次被害)が最大の要因であったことは、少しも揺るがない事なのである。
宮田氏が言う「化学物質曝露の積み重ね」をまったく無視して、ひたすらその責任を藤井家に転嫁しているのである。
◆宮田意見書は、「信頼性に疑問があるという意見も」
なお、化学物質過敏症をめぐる裁判は、過去にも起きているが、被告はいずれも化学物質の発生源である企業である。個人が訴えられたケースは初めてである。過去の裁判でも、診断方法が問題になっている。
横浜の副流煙裁判で山田弁護士は、問診の重要性を強調している。「診断に一番重要なのは問診です」(宮田氏)。しかし、たとえばジョンソンカビキラー事件の第1審では、「宮田意見書は問診だけに頼ったもので、医学的裏付けに乏しく、信頼性に疑問があるという意見もあることが認められる」と判断している。(出典:「化学物質過敏症をめぐる問題点」)

横浜の副流煙裁判が合議制になった。合議制とは、3人の裁判官により審理を進めて判決を下す裁判の形式を意味する。通常、裁判官は1名だが、事件の重大性に鑑みるなど、何らかの理由で合議制になることがある。
今回、横浜地裁が副流煙裁判に合議制を採用した背景はよく分からない。わたしの推測になるが、裁判所自体がこの案件の処理方法がよく分からないのではないかと思う。
裁判の争点は、被告の自宅を発生源とする可能性のある煙草の副流煙が、原告一家3人(夫妻と娘)の化学物質過敏症の原因になったか否かである。原告は、被告の副流煙を化学物質過敏症の原因としてあげ、4500万円もの金銭支払いを求めている。
化学物質過敏症という病名が市民権を得たのは、最近のことである。北欧ではすでに認められ、保険が適用されている国もあるが、日本では北里研究所病院など少数の例外をのぞいて、化学物質過敏症の認定は行われていない。国も認定には消極的な立場だ。
化学物質過敏症の実態は、ほとんど知られていない。普通の病院へ行っても、「化学物質過敏症」という診断を受けることはない。
北里研究所病院における化学物質過敏症の著名な研究者が、この裁判で原告に肩入れしている宮田幹夫博士である。
◆電磁波過敏症と化学物質過敏症
宮田氏は実は電磁波過敏症の専門家でもある。電磁波過敏症と化学物質過敏症は、実は両輪のような関係になっていて、宮田氏はむしろ電磁波過敏症の権威として知られている。しかし、電磁波過敏症は、病気としては公式に認められていない。そこで電磁波過敏症の患者が北里を受診して、診断書の作成を求めると、病名が「化学物質過敏症」と記される。
こうした疑問点はあるものの、電磁波や化学物質による過敏症の研究者として宮田氏が一流であることは疑いない。
横浜の副流煙裁判では、原告の山田義雄弁護士が、宮田博士にインタビューして、その内容の一部を根拠として、原告の3人が化学物質過敏症であるとの主張している。
◆宮田氏の論文『環境に広がるイソシアネートの有害性』
山田義雄弁護士の最大の過ちは、原告が化学物質過敏症になった原因を被告家族を発生源とする煙草の副流煙に限定している点である。しかし、宮田氏の一連の著書や論文を読めば分かるが、宮田氏は化学物質過敏症の原因を煙草の煙だけに限定しているわけではない。煙草の煙は数ある原因のひとつという立場である。
たとえば宮田氏は、『化学物質過敏症』の中で、家の中の汚染空間について次のように述べている。
家の中を見まわしてみても、汚染物質濃度が異なっている可能性がある居間、寝室、台所、トイレ、風呂場などがある。家の中だけでも少なくとも5ヵ所。
しかも、汚染による人体影響の原因が20年前にまでさかのぼることもあるのだという。時間の経過が、人体影響を軽減するとは限らないという。次の記述だ。
神経組織というのは、一カ所傷み出すとだんだん傷むところが広がってくるという傾向がある。ですから、若い頃にシンナー遊びをやった子供たちが、10年後、20年後に、脳の萎縮がさらに進んでいるケースもあります。
さらに宮田氏の論文『環境に広がるイソシアネートの有害性』によると、イソシアネートが化学物質過敏症の主要要因のひとつとして位置づけられている。論文によると、化学物質過敏症を引き起こすイソシアネートを含む有力な商品として、次のものが明記されている。
【建築材料】 断熱材、接着剤、塗料、鉄骨・手摺り錆止塗料、改質アスファルト、改質漆喰、変性コンクリート、セメント、モルタル、窓枠・浴槽・水周りのシール、配管接続材、屋根・外壁・水周りの防水工事、室内床材、集成材(合板、パーチクルボード)、ブロック塀目地、舗装表面積層接着剤
【家具】絨毯裏ゴム、スポンジ・クッション等発泡材、集成木材接着剤、表面塗料など
【家電】 洗濯乾燥機・貯湯式湯沸かし器などの断熱材、各電気器具の基盤、トランス等の絶縁材料、コード被覆、塗料、シーラントなど
【自動車】 タイヤ、バンパー、ワイパー、内装材、シーリング剤、トップコート、プライマー、補修用塗料
【衣料】繊維(スパンテックス・弾力繊維)、保温繊維、繊維加工剤(起毛・形状保持・防水など)
【文具】印刷材料、紙の表面加工、製本背綴じ、接着剤など
【医療材料】歯科材料、ソフトコンタクトレンズ、マットレス、手袋、弾力包帯、チューブ、医療機器ホース等
【一般材料】熱硬化性成型材料、シーリング剤、ゴム
生活の中に、原因物質があふれているのだ。
◆何を根拠に煙の発生源を「被告」と敵示したのか?
化学物質過敏症の因子は、あまりにも多くて、特定のものに限定できないというのが実態なのである。ところが山田弁護士は、煙草の副流煙だけに限定して、宮田氏の説からそれに合致する部分だけを強調し、あたかも被告家族の副流煙が化学物質過敏症の原因だと立証不可能な主張を展開している。
化学物質過敏症の全体像を理解していないひとが、奇論を唱えているような印象を受ける。
だから提出されている証拠資料も、化学物質過敏症とは何かを客観的に示しているものよりも、むしろタバコの害に関するものの方が多い。
わたしはこの裁判の取材で、事件の現場へ足を運んだ。その結果、興味深いことに、現場(団地)に自然発生的に生まれた野外の喫煙場があり、大量の煙草の吸い殻が散乱していた。
たとえ原告3人の化学物質過敏症の原因が副流煙だとしても、この喫煙場からの副流煙であった可能性もある。山田弁護士は、何を根拠に副流煙の発生源を被告宅に限定したのだろうか。それに同じ団地の他のマンションからの煙という可能性もある。さらに現場に接して幹線道路があり、そこからのスモッグもばかにならない。こうした現場環境にもかかわらず原因は、被告の自室でのタバコであると、山田弁護士は摘示しているのだ。
◆誰でもなりうる化学物質過敏症
既に述べたように化学物質過敏症の原因を簡単に特定することはできない。それを前提に原告の陳述書を読んでみると、興味ぶかいことに、原告が日常的に副流煙とは別の化学物質を被曝してきたことが分かる。たとえば、次の記述である。
私は、タバコだけでなく、合成洗剤、シャンプー、香料、布団や衣類、マスク等の化学繊維、家具、食器等、家の中の全ての微量な化学物質に、激しく反応し、臭いを吸った瞬間、常時口の中、舌、喉、食道、肺の痛みが増し、激痛が走り、呼吸困難、心臓発作を起こし、凄まじい苦しさです。(略)
微量な農薬、化学肥料を使った食品、水道水、ペットボトルに入った天然水すら、激痛が走り、激しい腹痛、呼吸困難、心臓発作を起こす日々は、耐えがたい、拷問の様な苦しみです。
過敏症を引き起こす商品が際限なく存在することを、原告が陳述書で認めているのである。が、それにもかかわらず山田弁護士は、原告の化学物質過敏症の原因を被告宅からの副流煙だけに限定しているのだ。
論理が破綻しているだろう。山田弁護士は、化学物質過敏症を誤解している。
◆実は原告がタバコを吸っていた
最後に、驚くべき事実を紹介しよう。
既に述べたように、裁判の争点は、被告自宅の副流煙が原告一家3人の化学物質過敏症を引き起こしたかどうかという点である。
ところが昨年になって、実は、原告の一人が元喫煙者であることが分かったのである。発覚の経緯は明かさないが、次のような陳述書を提出した。
私は、以前喫煙しておりましたが、平成27年春,大腸がんと診断され、その時から完全にタバコを止めました。(略)
私は、タバコを喫っていた頃は、妻子から、室内での喫煙は、一切、厳禁されていましたので、ベランダで喫煙する時もありましたが、殆どは、近くの公園のベンチ、散歩途中、コンビニの喫煙所などで喫煙し、可能な限り、人に配慮して喫っておりました。
「妻子から、室内での喫煙は、一切、厳禁されていました」というのだ。なぜか。妻子にとっては、副流煙が苦痛だったからだろう。体に過敏に反応していたからだろう。「ベランダで喫煙する時」もあったのだから、その副流煙が自宅に流れこんでいた可能性が高い。
原告は、一階下にある被告家族の煙が、自宅にちん入していたと主張しているわけだから、自宅のベランダで自分がタバコを吸えば、その煙が自宅へ流れ込むのはあたりまえだ。
時系列的にいえば、昔のことかも知れないが、被曝の蓄積という観点に立てば、説明が付く。
山田弁護士は、この裁判を取り下げた上で、被告に謝罪すべきだろう。取り下げだけではすまないだろう。

2018年12月度のABC部数が明らかになった。それによると、この1年間で、朝日は約36万部の減、読売は38万部の減、毎日は約33万部の減部数となった。
ABC部数の急落傾向にはまったく歯止めがかかっていない。減部数の原因は、読者数の減数よりも、「押し紙」の減数が影響した可能性が高い。
中央紙の部数明細は次の通りである。
朝日:5,681,395(-357,408)
毎日:2,527,535(-332,667)
読売:8,283,333(-377,491)
日経:2,358,288(-140,059)
産経:1,401,752(-118,363)
ちなみに読売は、1月から朝夕セット版の価格を4400円に値上げした。その影響度は現時点では不明だ。1月部数に反映すると思われる。朝日は当面のあいだ値上げしない方針のようだ。
2019年01月31日 (木曜日)

今年の夏から5Gの導入がはじまる。5Gといえば、中国のHuaweiを連想する人も多いのではないか。はからずも米中関係の悪化の中でHuaweiの幹部が逮捕され、それを機に同社の社名や事業内容を把握したひとも多い。
改めていうまでもなく、5Gとは第5世代無線通信システムのことである。「G」という文字が付されているために、通信システムに使われる電磁波の周波数(エネルギー)が5GHz(ギガヘルツ)と勘違いしている人も多いよううだが、第5世代無線通信システムでは28GHz(ギガヘルツ)が使われる。
携帯電話が急激に普及した2000年ごろは、第2世代無線通信システムで2GHzが主流をしめていた。第5世代無線通信システムでは、その14倍にもなる28GHz(ギガヘルツ)が使われる。極めて電磁波のエネルギーが高く、危険という声が専門家の間であがっているのだ。
◆今後、基地局が急激に増える
電磁波(電磁波)は、周波数が高くなるほど、直進性が強い。エネルギーも高くなる。そして金属などの障害物に当たると反射する性質がある。そのために鉄筋のマンションの中には入りにくい。そこで電磁波に、「加工」がほどこされている。
低周波電磁波を混ぜて、「変調電磁波」にするのだ。低周波は直進性が弱く、障害物を迂回する性質がある。こうして性質の異なる電磁波を混合することで、ほとんどの場所で携帯電話の通信を可能にしているのだ。もちろん、「変調電磁波」は自然界にはまったく存在しない。人体影響があるのは言うまでもない。
第5世代無線通信システムでは、直進性という高周波の欠点を補うために、至る所に基地局が設置される。環境ジャーナリストの加藤やすこ氏の記事、「2019年、電磁波の被害が急増するおそれ 懸念される第5世代移動通信(5G)のリスクとは (1)」によると、「『マクロセル』と呼ばれる広い範囲の通信には従来の4Gを使い、高い周波数帯を利用する『スモールセル』では約100mごとに基地局を設置することになる」という。
海外では街灯やバスシェルター(屋根付きのバス停)に基地局が設置されており、日本でも街灯と一体になった基地局が開発されている。NTTドコモが開発したマンホール型基地局は、道路の地下70cmに基地局を埋設し、樹脂製のマンホール蓋で覆うもので、アンテナから地表までの距離は10cmしかない。
◆自動運転と電磁波問題
5Gが想定している電磁波「利用」は、通信網だけではない。車の自動運転もそのひとつである。路上に設置される「基地局」と、おびただしい車両が電磁波による交信を延々と続けるわけだから、道路沿いに住んでいる住民はたまったものではない。人体への影響は、スモッグによる公害の比ではないだろう。路上を通学する児童も被曝することになる。恐いのは、6年後、あるいは9年後、さらには12年後の影響だ。
スマホを常用している若い世代に、いま以上に癌が増えることはいうまでもない。
少し頭を冷やして、物事の是非を判断すれば、G5が人類を大変な悲劇に導くことは目に見えているが、世界の大半の国々が5Gの導入に浮かれている。その背景に、産業界の巨大利権がからんでいることは間違いない。日本の場合は、マスコミによる問題提起すらもなされない。メディアと財界、それに政界が癒着しているからである。
その結果、人類はG5の真相について何も知らない。知らされていない。
◆朝霞市に条例の制定を求める請願から9年
2010年5月、わたしは自分が在住する埼玉県朝霞市の議会に対して、「無線基地局の設置に関する条例の制定を求める請願」を行ったことがある。基地局の設置を規制するように求めたものである。議会で説明も行った。
しかし、賛成したのは共産党の3人と市民ネットの2人だけだった。請願から9年になるが、基地局の乱立は、当時とは比較にならない。改めて条例に反対した議員の責任を問いたい。
ツイッターを通じて、言論統制が進行するプロセスが顕著に観察できる。単純に考えると、言論統制は最初に言論を規制する法律や条例が制定され、それに則して言論が萎縮していくようなイメージがあるが、実際のプロセスはかなり異なるようだ。いわゆる「草の根ファシズム」が大きな役割を果たしている。
読者は、ツイッター社によるツイッターの「凍結処分」について考えたことがあるだろうか?ツイッターの凍結とは、投稿者の言論に差別的な表現や名誉毀損性などがあった場合、ツイッター社が当該のツイッターを使えない処分を下すことを意味する。
しかし、投稿されるツィートの量は膨大なので、同社だけで全てのツィートを検証するわけにはいかない。その結果、ツイッター社に対して寄せられる、凍結を求めるリクエストを検証した上で、判断を下すのが実態らしい。
こうした制度自体は、言論の秩序を守る上で、頭から否定できるものではない。ところがこの制度を利用したこまった現象が起きている。【続きはウェブマガジン】

煙草の副流煙をめぐる裁判で、被告側が第7準備書面を提出したので紹介しよう。この裁判は、マンションの2階に住む1家3人が、同じマンションの斜め下の1階に住む家族の家主を相手に、副流煙が原因で化学物質過敏症を発症したとして、4500万円の損害賠償を求めたものである。
ところが提訴後、原告の家長が元喫煙者で、自宅のベランダで煙草を吸っていた事実が判明する。
次に紹介する被告準備書面は、そもそも訴訟の根拠になった診断書が、診断書の要件を満たしておらず、原告の要求に沿って作成した可能性が極めて高いことを、具体的な事実に基づいて論じている。作成者は禁煙運動の大家・作田学医師である。作田氏は、被告の受動喫煙症を認定している。
原告が元喫煙者であるから、診断書が間違っており、訴訟の前提事実そのものが間違っているので審議にも値しない、というのが被告の主張だ。
余談になるが、筆者は個人的には喫煙者が減ることが望ましいと考えている。しかし、その目的を達成するために事実に基づかないラディカルな手段を採ることには賛同できない。自分が煙草を吸っていながら、隣人の副流煙が原因で病気になったとする訴えは、やはり無理がある。
裁判所はすでに原告に対して、診断書の再提出を求めている。被告家族から作田医師に対する内容証明も送付済みで、その中で診断書の訂正を求めている。裁判の根拠となっている診断書だけに、作田氏が非を認めれば、訴訟の前提が破綻する。
被告を支援する人々による署名活動もまもなくはじまる。
以下、被告準備書面(7)の全文だ。なお、原告は全員仮名にした。
平成29年(ワ)第4952号 損害賠償請求事件
原告 横山明、横山恵司代、横山由紀子
被告 藤井将登
被告準備書面(7)
平成31年1月23日
横浜地方裁判所第7民事部ろ係 御中
被告 藤井 将登
第1 提訴の根拠となっている作田学氏作成の診断書について
本件裁判の根拠となっている作田学氏作成の診断書(甲1号証、甲2号証、甲3号証)の信憑性ついて重大な疑問点があるので、この準備書面ではおもにこれについて記述する。仮に作田学氏の作成した3通の診断書に誤り、もしくは虚偽の内容が含まれているとすれば、提訴の論拠が崩れ、訴訟自体が訴権の濫用ということになりかねない。とりわけ原告が、診断書に虚偽内容があることを知りながら、それを隠してあえて提訴に及んだとすれば、許されることではない。
以下、本件裁判の根拠となっている3枚の診断書について、疑問点を記述する。
第2 作田学氏作成による診断書の問題点
「受動喫煙症診断基準」(乙9号証参照)とは作田学、薗潤、山岡雅顕、野上浩志、加濃正人、松崎道幸、薗はじめ、大和浩(敬称略)によって作成された、受動喫煙症の判断の指針となっているものである。ここでは「受動喫煙診断症基準」に基づいて、作田氏が行った診断の疑問点を指摘する。
1.原告横山由紀子の診断を直接問診を行わずに作成および交付したこと
原告・横山由紀子陳述書(甲第34号証7頁)によると「10 その後、作田医師に診断書を作成していただくことになったのですが、このときの症状はどのようなものか」という質問に対し、「問9の答えと同じ症状です。私はとても診察を受ける体調とはならなかったので、全てのデータを持って、両親に行ってもらったのです。」と、記載されている。つまり作田氏は直接、原告・横山由紀子氏を診ることなく、データのみで診断書を交付している。これは医師法第二十条に抵触する可能性が極めて高い。
「(医師法第二十条)
医師は、自ら診察しないで治療をし、若しくは診断書若しくは処方せ んを交付し、自ら出産に立ち会わないで出生証明書若しくは死産証書 を交付し、又は自ら検案をしないで検案書を交付してはならない。但 し、診療中の患者が受診後二十四時間以内に死亡した場合に交付する 死亡診断書については、この限りでない。」
仮に原告・横山由紀子氏の体調が優れず来院出来なかったのであれば「往診を行う」という選択肢もあったはずだ。
2.原告・横山明氏は作田氏から「受動喫煙3」の認定を受けているが、受動喫煙の被害者どころか、元喫煙者である。
この事実を、明氏は平成30年10月26日に陳述書(甲第37号証)の中で明らかにしている。また、原告・代理人は、訴外・黒薮哲哉(雑誌記者)に対する取材の中で、この事実を知っていたことを認めている。
ところが作田学氏の作成した診断書には横山明氏の過去の喫煙歴についての記載がない。「受動喫煙症診断基準」(乙9号証2頁下部参照)によれば、「受動喫煙被害者支援のための診断書作成の留意点」として、「2.患者さんが非喫煙者であることの証明:自己申告で充分。非喫 煙者であれば、過去の喫煙歴を併記する。」と記されているが、明氏の診断書には、そのような記述は存在しない。つまり虚偽の診断書を根拠として、強引に提訴に及んだのである。
被告は原告に対して、作田氏がこの事実を知っていたか否かを確認するために、平成29年4月19日に作成された原告・横山明氏の「受診前に提出された問診票」の提出を求める。
3.作田学氏による診察時、大規模塗装工事期間中であった事実について
(1)受動喫煙症診断基準(乙9の2頁下部を参照)の「受動喫煙被害者支援のための診断書作成の留意点」に次の記載がある。
「・職業上あるいは居住地でタバコ煙以外の有害物質にさらされているかどうか。」
原告3名が作田学氏の診断を受けた平成29年4月12日、同月19日は、原告及び被告が居住するすすき野団地5街区(300世帯在住・全13棟)での大規模塗装工事(平成29年2月着工~同年8月竣工)の真っただ中であった(乙10号証参照)。この間、空中には塗装用のペイントによるイソシアネートなど様々な化学物質が濃度高く舞っていた。ペイントのイソシアネートは化学物質過敏症の有力な原因として知られているが、この間、原告らが化学物質に被曝していた事実が、原告3名の診断書にはまったく反映されていない。
(2)作田氏は、原告・横山明氏に対して「受動喫煙症レベル3」との診断が下しているが、「受動喫煙症診断基準」(乙9の2頁上から2~5行目を参照)によれば、受動喫煙症レベル3と認定されるためには下記の要因を満たす必要がある。
「1.症状の出現が受動喫煙曝露開始(増大)後に始まった。
2.疾患の症状が受動喫煙の停止とともに消失する。
3.煙草の煙以外の有害物質曝露がない、の3点があれば、可能性が 高い。」
上記(1)(2)ともに、 空中に塗装用のペイントによる様々な化学物質が濃度高く舞っていた時期であり、その事実を抜きに書かれた作田学氏の診断書は信用できない。
また、原告は診断書の内容に虚偽が含まれていることを知りながら、提訴に及んだわけだから、提訴にも根拠がない。
4.コチニン検出について
原告・横山恵司代氏と原告・横山由紀子氏は、作田氏によりともに受動喫煙症レベル4と診断されているが、「受動喫煙症診断基準」によると、レベル4と診断されるためには、曝露後24時間以内に採取した尿からコチニン(ニコチンが体内で代謝された物質)を検出することが要件となっている。
診断書が作成された平成29年4月は原告・横山明氏が喫煙を止めてから2年余りが経っており(第2陳述書 甲第37号証1頁参照)、被告である藤井将登の吸う喫煙量はこれまで主張してきた通り少量である。それにもかかわらず原告・横山恵司代および原告・横山由紀子の尿からコチニンが検出されたというのはたいへん不自然である。
ほとんど外出できないほど体の具体が悪いと主張する原告2名が多量の副流煙を浴び、一定濃度以上のコチニンが検出されたという「主張」から、本裁判は起こされていると言っても過言ではない。
この件につき原告は、作田学氏の解析データを示し、説明すべきである。被告は、平成29年4月12日、同19日に行われた尿検査実施の記録およびコチニン検出データの提出を求める。
ちなみに被告は、平成30年12月21日、作田氏に対し診断書の訂正を求める通知を内容証明郵便で送付した。(乙8号証の1および乙8号証の2を参照)上記通知に対し、作田学氏からいまだに返事はない。
第3.根拠なき主張
被告は、知人の医師により、診断書を書く際に日常的に気をつけることとして、「AとBの因果関係が立証できない状況で『AによるB』と断定した診断書を作成することはできない」との見解を戴いた。平成31年1月10日付けの日経メディカルの記事(乙11号証参照)「良かれと思って書いた診断書が元で窮地に」は、慎重を欠いた診断書の記載により多くのトラブルが発生していることを伝えている。作田氏が作成した本件診断書や原告準備書面の次のような記述、たとえば、
「1年前から団地の1階にミュージシャンが家にいてデンマーク産のコルトとインドネシアのガラムなど甘く強い香りのタバコを四六時中吸うように~(略)(甲第2号証)」
「小さくなった大腸がんの腫瘍がタバコの副流煙が流入するようになり1cmに拡大し、その後副流煙、副流煙のストレスのためか検査のたびに腫瘍は徐々に大きくなった」(甲第37号証2頁)
と、いった記載も、一般的な良識に照らして、軽率、杜撰かつ侮辱的である。到底、客観的な診断に基づいたものではない。
第4、強引な診断書作成の背景にあるもの
(1)甲第31号証「住宅におけるタバコ煙害問題」は日本禁煙学会の顧問弁護士岡本光樹氏が作成したものである。岡本氏は「都民ファーストの会」の都議でもある。また甲第30号証「禁煙学」は日本禁煙学会が作成したものである。東京オリンピックに向け、国より先んじて厳しい規制がかけられる都の受動喫煙防止条例策定の背景にも、彼らの影響がある。本件における「結論ありき」の診断書は、作田学氏らが自らの受動喫煙防止活動に本件訴訟を利用することを意図して作成された疑いがある。
(2)警察に対する何らかの影響
甲第16・17号証は、原告及び原告代理人弁護士が神奈川県警本部長を動かして刑事に2度にわたり被告宅を調べさせた事実を物語っている。常識的に考えて、一市民が県警本部長に依頼状を書いて動いてもらえることなどあり得ない。被告の妻は2度とも在宅していて大変な恐怖を味わった。
しかし、何も咎められるような事実はなかったのである。それにもかかわらず原告は、わざわざそれに関する証拠資料を提出して、裁判所に対して警察と親密な関係を誇示している。
第5、事実の軽視
個人的には喫煙に対し特段の主張はないが、いかなる活動も事実に基づいて行われるべきであることは言うまでもない。事実を重んじる弁護士・医師であれば「隣の家から四六時中副流煙が流れて来る」との主張を聞いたならば、まずはその現況、現状を調べるのが普通である。
しかしながら、原告は被告宅を調べもしなければ、化学物質過敏症の原因を広く考察することなく、被告の煙草に特定し、被告および家族を加害者扱いにしている。煙害と言いながら、原告・被告の居住する棟の裏におびただしい数の煙草の吸い殻が常時散乱している事実には、依然として目を背けたままである(乙12号証参照)。
繰り返しになるが、本件訴訟は、提訴の根拠となっている本件診断書そのものに虚偽がある。しかも、それを原告が知っていた可能性が極めて高い。
被告としては、いたずらに裁判を長期化させるのではく、速やかな結審を求める。
「ツイッター冬の凍結BAN祭り」というウェブサイトをご存じだろうか。誰が主宰しているのかは不明だが、特定のリベラル思想に染まった人々のネット上の集まりで、自分たちの考えに靡かないツィートを発見すると、「ネットウヨ」のレッテルを張ってリストアップする。そしてツィター社に対して、投稿者のアカウントを凍結するように申し入れる可能性をにおわせる。
いわば他人の不安を煽って快感を味わうサディスティックな構図になっているのだ。実際、「ツイッター冬の凍結BAN祭り」というタイトルには「祭り」とう言葉が含まれており、そのゲーム的な性格とも整合している。
この「ツイッター冬の凍結BAN祭り」にわたしのツィートが10件ほを掲載された。森裕子議員と、広義のしばき隊を批判したツィートである。
いずれも古いツィートである上に、内容の是非を巡って顔が見えない面々と議論する意味がないので削除したが、改めてネット社会の病理とリベラル派の堕落ぶりを認識した。【続きはウェブマガジン】

改憲論がさかんになってきたこの時期に、改めて日本国憲法を読み直してみると、これまであたりまえの条項のように受けとめていた天皇に関する記述に違和感を感じた。憲法の第一条は、
第一条 天皇は、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であつて、この地位は、主権の存する日本国民の総意に基く。
と、なっており、以下、第8条まで天皇に関する記述が並ぶ。一国のあり方を方向づける憲法の劈頭(へきとう)に、天皇に関する条文を配置している憲法は、21世紀の現在、世界的にみても珍しいのではないか。もっとも、わたしは憲法の専門家ではないので、確定的なことはいえないが、日本国憲法の構成には、やはり違和感がある。
たとえばアメリカ合衆国憲法の第一条は次のように、国家のあり方、あるいはずばり議会制民主主義の型を宣言している。
第1 条[連邦議会]
この憲法によって付与されるすべての立法権は、上院と下院で構成される合衆国連邦議会に属する。
◆議会制民主主義との整合性
改憲論といえば、とかく第9条が取り沙汰されるが、冷静に考えてみると、最も近代化と整合しないのは、第1条から8条ではないか。「天皇」に関する条項が、憲法の冒頭に置かれて、しかも問題視されない事態は、議会制民主主義の理念と著しく対立する。時代遅れ。前近代的としか言いようがない。
第1条から8条に違和感を感じる人がほとんどいないのは、この国にまだ民主主義の思想が根を張っていない証ではないか。民衆の力で政治を変えた歴史を持たない国の悲しき実態なのだ。
実際、日本には天皇制に類似したピラミッド型の組織が多い。権威のあるものがトップに坐り、その人物の威光により、下級のメンバーが恩恵にあずかる形式。それに儒教的な考えが連動する。たとえば学閥などはその典型だろう。会社も、それに類似している。トップに坐るためには、正義をドブに捨てるのが社会通念になっている。憲法が国民性に影響を及ぼしているのだ。
一体、日本に限らずアジア諸国は、民主主義の概念が希薄だ。日本では、朝鮮の金王朝を批判する声が多く、それはそれである程度は的を得た言い分なのだが、その一方で自国の天皇制はあたりまえのこととして受け入れている人が多い。第3者からみれば、金王朝も日本人の皇室崇拝も、根本的には同じメンタリティーの産物なのだ。
しかも、そのメンタリティーが天皇制の枠を超えて、社会の隅々にまで及んでいることが、特に深刻な悲劇だろう。それが民主主義の成熟や社会進歩を遅らせている。
◆「象徴」という用語の誤り
改憲を語るなら、第9条だけではなく、第1条から順番に検討すべきだろう。仮に第1条から第8条をそのままに放置し、9条を「改正」して、海外派兵を可能にすれば、アジア諸国は過去の「天皇の軍隊」を想像して、大変な恐怖を感じるに違いない。
第9条があるから、今のところはブレーキがかかっているのだ。
ちなみに文章論的にも、第1条がおかしいとする説もある。たとえば丸谷才一は、第1条で使われている「象徴」という言葉について、次のように苦言を呈している。
国旗(日の丸)や国家(君が代)が国花(桜)のような具体的なものが日本の象徴だというのなら話はすらりと通るが、一個人が国を象徴するというのは理屈にいささか無理がある。(『文章読本』)

横浜地裁で進んでいる受動喫煙をめぐる裁判で、18日、被告が弁護士を解任した。解任理由は、裁判が弁護士の主導になってしまい、被告の主張が反映されないからである。被告は、原告と原告の山田義雄弁護士による訴権の濫用を強く主張しているが、被告の弁護士がそれを争点にしないために、被告がみずから裁判提起そのものの不当性を主張する方針を選んだのである。
既報したように原告は、A家の3人(夫妻とその娘)。被告は、A家と同じマンションの斜め下に住む藤井家の家主。
原告は、藤井家を発生源とする煙草の副流煙が原因で、A家の3人が化学物質過敏症になったとして、4500万円の金銭を請求している他に、自室での喫煙禁止を求めている。とはいえ、被告はヘビースモーカーではない上に、自室で窓(2重窓)を閉めて吸っていたに過ぎない。窓を開けたり、ベランダに出て吸っていたのではない。
しかも、仕事の関係で外出していることが多く、副流煙がA家に流れ込んでいた証拠もない。たとえA家に副流煙が流れ込んでいたとしても、その発生源が藤井家である根拠もない。被告と原告が住んでいるマンションの近くには、暗黙のうちに喫煙場所になっている所があり、そこにはおびただしい煙草の吸い殻が散乱している。
被告がこの事件を訴権の濫用だと考える背景には、次のような事実がある。
①神奈川県警の刑事3人と警官1人が、2度にわたり藤井家を訪れ、藤井夫妻に職務質問をした事実。3人の刑事が、被告の自室の室内写真を撮った事実。
②日本禁煙学会の作田学理事長が、原告3人の診断書を作成したのだが、そのうちA家の娘の診断書は、本人を直接診察せずに「レベル4」の認定を行った事実。..
③原告の家主が、体調を悪化させるまで煙草を吸っていた事実。つまり受動喫煙以前の問題として、原告が煙草を吸っていた事実があるのだ。原告も昨年の10月になってそれを認めた。
これらの事実を考慮したとき、訴訟の大前提である受動喫煙による健康被害という主張そのものに根拠がないことを山田弁護士らが知りながら、強引に提訴に及んだ可能性が高い。虚偽の事実を訴因にして、それを裏付ける書面を裁判所に提出すれば、当然、訴権の濫用になる。
事実、弁護士業務基本規定の第75条も、こうした行為を禁止している。
【第75条】弁護士は、偽証若しくは虚偽の陳述をそそのかし、又は虚偽と知りながらその証拠を提出してはならない。
4500万円という高額請求も尋常ではない。
◆裁判の政治利用
3人の刑事と1人の警官が動いた事実も今後、調査する必要がある。現段階では、神奈川県警の斉藤実本部長が、捜査を命じた事実が明らかになっている。
ちなみに原告のひとりが元禁煙者だったことが分かったのは、昨年の10月に、筆者が山田弁護士を取材した際に本人が話したからである。その際の録音もある。
その後、山田弁護士は、わたしに対して、記事を書かないように書面で申し入れてきた。もちろん応じなかった。今後も応じるつもりはない。

筆者はこの事件の背景には、政治的な要素があるのではないかと推測している。周知のように、東京オリンピックに向けて、喫煙を取り締まる動きが顕著になっている。たとえば、次のニュースである。
東京都の小池知事は、飲食店など建物の中を原則として禁煙にする罰則付きの条例を制定する方針を明らかにしました。東京から受動喫煙対策を前進させる考えです。
条例案の基本方針では学校や医療機関は敷地内を禁煙とし、官公庁や福祉施設などは屋内を全面的に禁煙にするとしています。また、飲食店では規模の小さなバーなど以外は、喫煙室を除いて屋内禁煙としています。違反した喫煙者や施設の管理者には5万円以下の罰金を設ける方針です。(東京MXニュース)
喫煙の規制を進める運動を担っているひとりに弁護士で「都民ファーストの会」の岡本光樹都議がある。その岡本光樹都議による書面が、証拠として横浜地裁にも提出されている。裁判の政治利用が疑われるのである。
◆土俵は「司法」だけではない
被告の選択はきわめて正当だ。勇気ある選択だ。裁判の勝敗よりも、真実を明らかにする道を選択したのである。
作田医師に診断書の訂正を求める内容証明も既に提出されており、今後、この不当な裁判に加担した人々は、苦しい立場に追い込まれる。
もちろん筆者は、ジャーナリズムによる検証を続ける。土俵は「司法」だけではない。
2019年01月17日 (木曜日)

米国のMicrowave News などの報道によると、イタリアのラツィオ州の裁判所は、健康・環境・教育を担当する各大臣に対して、携帯電話による健康リスクを知らせるキャンペーンを始めるように命じる決定を下した。
この決定は昨年の11月に下されていたが、それが明らかになったのは、1月16日。裁判所の公文書によると、キャンペーンは7月16日までに開始されなければならない。【続きはウェブマガジン】

大学が学問の自由を保障して、公権力の介入を許さないという考えは、国境を超えて常識となってきた。少なくとも建前としては、大学の自治権を保障する合意があった。たとえばラテンアメリカでは、大学名にあえて「自治」という言葉を付している公立大学が少なくない。メキシコ自治国立大学(Universidad Nacional Autonoma de Mexico)のように。
2013年4月、京都市の同志社大学のキャンパスに警察の派出所が設置された。従来の常識が完全に覆ったのである。その2年後には、村田晃嗣学長が衆院平和安全法制特別委員会の場にしゃしゃりでて、戦争推進法に賛成する意見を述べた。個人として意見を述べるのは自由であるが、同志社大学学長の肩書きで、危険な持論を展開したのだ。
こうした右傾化に対して、同じ京都市の京都大学では学内に潜入してスパイ活動を展開していた公安警察を学生が取り押さえる事件も起きた。ところがその京都大学も、京都市当局からキャンパスの立て看板が「京都市の景観を守る条例」に違反するという理由で行政指導を受けた。大学当局は、大学の自治を守るよりも、公権力と整合する方向性を露骨にして、ある種の政治活動をした学生を退学処分にするなどの暴走をはじめている。
このように思想的な締め付けが強化される一方で、大学ビジネスは活発化している。その代表格のひとつが立命館大学である。立命館は本来は京都の大学だったが、いまや京都の枠を超えて新しいキャンパスを次々と新設して、事業拡大を図ってきた。にわかに信じがたい話だが、市立岐阜商業高校の買収を企てたこともある。
立命館大学も同志社大学も京都大学も、かつて日本を代表する名門大学だった。が、いまその中身は激変している。
著者の田所敏夫氏は、元大学職員である。現職だった時代は、さまざまな問題をかかえながらも、なんとか学問の府としての体面を保っていた。学生の権利を守ることを最優先していたという。
ところが日本の大学は、構造改革=新自由主義を導入するプロセスで着手された大学改革の中で劣化していく。国立大学を独立行政法人に変えたり、大学の評価で補助金の額に差をつけたり、産業界との連携を強化したり、学長の権限を強めるなどして、企業のための「人材育成所」に変質したのである。文化系を軽視して、理科系を強化する傾向も、こうした流れの一端だ。
目的に合致しない大学は、市場原理により、淘汰されて当然という思想がまかり通っているのである。
本書は、大学の内面を知り尽くした著者が、綿密な取材をかさねて執筆したものである。自らの体験が記述に説得力をもたらしている。
日本の大学で何が起こっているのか、再考するための手引きである。
タイトル:大暗黒時代の大学
著者:田所敏夫
版元:鹿砦社
