2020年03月22日 (日曜日)

大阪毎日放送(MBS)が制作した映像ドキュメンタリー、「閉じた病棟」がユーチューブで公開された。このドキュメンタリーは滋賀医科大医学部附属病院で起きた小線源治療(前立腺癌に対する治療のひとつ)をめぐる事件を描いたものである。

泌尿器科の医師らが、小線源治療の未経験を患者に隠して手術を強行しようとしたのを、小線源治療のパイオニアである岡本圭生が止めたことが引き金になり、病院が岡本医師の追放へと暴走する。その背景に何が?

この事件をめぐっては、被害者を受けた患者4人が損害賠償を求めて大津地裁へ提訴している。判決は、4月14日に言い渡される。

また、拙著『名医の追放』(緑風出版)にも事件が記録されている。

『名医の追放』(アマゾン)

滋賀医科大事件の全記事

2020年03月20日 (金曜日)

電話会社のコンプライアンスが問われている。このところKDDIと楽天が、基地局の設置をめぐって住民とトラブルを起こしている。いずれも自社の利益のためには、他人の迷惑も顧みない姿勢を露呈させた。かつて海外進出先でエコノミック・アニマルと呼ばれた日本企業と同様、経済優先の論理で企業活動を展開している。

◆代表電話が分からない楽天

既報したように楽天は、千葉県野田市で基地局の設置を断念した。その後、担当者が基地局設置の中止を求めた住民の自宅を訪問して、謝罪したそうだ。

この事件を取材して、不思議に思ったことがある。わたしの取材力が未熟なのか、いくら調べても楽天の代表電話が分からないのだ。実際には存在する可能性が高いが、ウエブサイト上で連絡先が明確になっていなけば、基地局設置のトラブルが起きても苦情の窓口がないことになる。

ある情報筋から、楽天社員の携帯電話を聞き出して、実際に電話して今回の事件について質問したのだが、その際、代表電話を尋ねたが教えてもらえなかった。

◆住民の声を無視するKDDI

KDDIが川崎市で起こしているトラブルでも、企業コンプライアンスが問われている。同社は、Aさんの自宅(7階建てマンション)の屋根に基地局を設置した。住民への説明では4Gの基地局である。

工事の際にドリルでも使ったのか、Aさんの自宅居間の壁に亀裂が入った。当然、原因を究明して、責任の所在が明確になれば賠償しなければならないが、その前提となるコンタクトすら十分には取れていない。

その一方で、基地局の操業テストでも行ったのか、原因は特定できないが、Aさん一家は低周波音に悩まされるようになった。睡眠を妨害されホテルへ「避難」せざるを得なくなったのである。それに伴いAさんは経済的な負担を強いられた。

KDDIの言い分は、自分たちはマンションの管理組合と契約を結んでいるから、法律に沿って計画を進めるというものである。少なくとも住民説明会では、そんなふうに説明した。

しかし、基地局の影響を直接受けるAさんは、設置を承諾していない。当初、予期しなかった低周波音の問題も浮上している。Aさん一家の生存権をおびやかしてもいいことにはならない。

2020年03月17日 (火曜日)

5Gの基地局設置をめぐって千葉県野田市で起きていた楽天と住民の間の紛争が解決した。楽天が基地局の設置を断念することになった。

楽天は5G基地局を同市の中里地区に設置することを計画。地主と交渉を進めていた。地主も楽天に協力する意向を示していたが、基地局の設置予定地点から2メートルの距離にある民家の住人・Mさんが、計画の中止を求めて、地主と交渉をはじめた。しかし、地主は電磁波についての知識が乏しく、Mさんの申し出を断った。

3月14日の午後、Mさんと元市議らが対策を協議した。①住民を対象とした学習会を開いて、電磁波による人体影響を伝え、住民の力で基地局設置を止めること、②「楽天の基地局設置反対」の立て看板を制作して設置すること、③市議会に働きかけて基地局の設置を規制する条例制定を目指すこと、④地主に文書で申し入れをおこなうこと、⑤市内にある楽天の他の基地局も撤去させることなどを決めた。

15日、Mさんはさっそく地主の自宅を訪れ、抗議文書を手渡した。すると地主はあっさり楽天に協力しないことを約束した。

筆者は、16日に楽天と基地局の設置工事を担当しているエクシオテックに電話して、工事の中止を確認した。

2020年03月14日 (土曜日)

KDDIから自民党の政治資金団体・国民政治協会へ政治献金600万円が支払われていたことが、2019年度の政治資金収支報告書で判明した。支払日は昨年の11月30日。

NTTドコモ、それに携帯電話・スマホの基地局設置工事を請け負っている(株)きんでんからも、同政治団体へそれぞれ700万円と400万円の寄付が行われていたことが判明した。

献金の目的は不明だが、ビジネス上の便宜を期待している可能性が高い。

ちなみに総務省が定めているマイクロ波の電波防護指針は、EUの推奨値に比べて、屋外で1万倍、屋内で10万倍も緩い。実質的には規制になっていない。電話会社のビジネスを間接的に支援している。

 ■裏付け(KDDI)

 ■裏付け(NTTドコモ)

 ■裏付け(きんでん)

2020年03月13日 (金曜日)

ある日、会社から帰宅すると自宅の隣の空き地に円筒形の塔が立っていた。数日前から、ヘルメットをかぶった作業員らが重機を動かしていたが、特に気にもしていなかった。塔の最上段には、鉄柱のような太いアンテナが幾本も取り付けられた。

日曜日に居間でテレビを見ていると、頭の中でセミが鳴く感覚に襲われた。脈拍も乱れる。夜になると、ズーズーという低周波音(基地局の空調機が原因)が遠くから聞こえてきた。頭痛が激しくなり、寝れなくなった。近所のクリニックへ行っても、「どこも悪くありません」と言われる。そこで病院を転々とする。

7年後、肺に癌が見つかった。

こうした光景はこれから誰もが直面しかねない社会問題に他ならない。他人事ではない。5Gの普及に不可欠なのが基地局である。電話会社は、5G基地局の設置を大規模に展開している。わたしのところへは、電話会社の「蛮行」についての情報提供が相次いでいる。

◆◆
悲惨な例を紹介しよう。神奈川県川崎市の例である。Aさん夫妻と2人の子供は、小高い丘の上のマンションの最上階に住んでいる。ところがKDDIが、住居の真上に基地局を設置した。マンションの管理組合との契約(6年前に締結)を理由に、2月から3月にかけて強引に工事を進めたのである。

Aさんの妻はフィンランドの出身で、電磁波問題についても一応の知識があった。ヨーロッパでは、電磁波に人体影響があるという考えが定着していて、電話通信に使われるマイクロ波の推奨値も、EUの場合、日本のそれに比べて1万倍も厳しい。(室内では10万倍)。民家の屋根に基地局を設置することはありえない。必ず民家から離れたところに建てる。

ところがKDDIはAさん夫妻の住居の真上に設置したのだ。工事が原因で、居間の壁に亀裂ができた。Aさんがいくら計画を断念するようにKDDIと交渉しても、ほとんど聞く耳をもたなかった。驚いたことに、基地局の設備の仕様すら書面で示していない。だから、どの程度の強度の電波が、どのような角度で発せられるのかも分からない。こうした情報は、企業秘密だそうだ。

KDDIは5Gではなく4Gの基地局だとマンション住民には説明したが、時代の流れからすれば、不自然である。5Gの基地局ではないかとの疑惑も上がっている。ただ、大半のマンション住民は、電磁波についてよく知らず、設置に賛成している。無知とはこのことである。

現在時点で、基地局が公式に稼働しているのか、テスト段階なのかは不明だが、Aさんによると、夜になると、基地局から唸るような音が聞こえてくるという。低周波音である。Aさん一家は、睡眠を妨げられ、仕事への支障も出ている。ホテルへ避難したこともある。

2人の子供への被曝が特に懸念される。

◆◆◆
電磁波の安全性の研究が本格化したのは、1980年代からである。最初に低周波電磁波と小児白血病の関係が疫学的に明らかになった。次に携帯電話で使われるマイクロ波の遺伝子毒性が問題になってきた。2018年には、米国環境衛生科学研究所がラットを使った実験で、マイクロ波に発がん性(心臓の腫瘍など)があるとする研究結果を発表している。現在は、癌発生のメカニズムの解明に入っている。

電磁波(放射線)には、ガンマ線からレントゲンのエックス線まで、さらにマイクロ波も低周波電磁波も遺伝子毒性がある。被曝が癌の原因になる。

スイスでは、5Gのリスクが明らかになってきたのを背景に、5G導入の計画そのものがペンディングになっている。

一方、日本は総務省と電話会社が連携して「安全」を宣伝して、5Gビジネスへと突進している。5Gという巨大ビジネスの前に、国民の生命を軽視する風潮が広がっているのである。国の安全基準を守っているとはいえ、欧米の感覚からすれば、非常識としかいいようがない。バカな東洋人という目で見られている。

この問題をちゃんと報じないメディアにも責任がある。

◆◆◆
次のURLは、Aさんのツィターである。日々、何が起こっているかが、詳しく記録されている。 ■twitter

 

【参考記事】「基地局の設置で、子供が電磁波に直撃される」フィンランド人女性がKDDIに悲痛な訴え、住居の真上で工事中

 

情報提供はメディア黒書まで048-464-1413

2020年03月11日 (水曜日)

産経新聞の「押し紙」裁判の尋問が10日に行われ、約30名が傍聴した。広告代理店サンケイアイの社員、被告会社から2名、それに原告の4人が法廷に立った。尋問が終了した後、裁判長は和解を勧告した。

この裁判の詳細については長文になるので、後日、マイニュースジャパンで報告する。未公開資料を基に新聞社のビジネスモデル(利益をあげる仕組み〈からくり〉)の解明も行う。

◆和解勧告
このところの「押し紙」裁判では、新聞販売店が和解で勝訴することが増えている。なぜか尋問が終わった時点で、裁判官が和解を勧告するのだ。今回も予想していた通りだった。

和解勧告が行われるのは、販売店側の言い分に利があるものの、裁判官が判決を書くのを嫌がっているからだ。「押し紙」認定の判例を作る勇気がないのだ。と、いうのも新聞社は日本の権力構造の歯車のひとつであるから、そこにメスを入れることは、日本社会の仕組みを破綻させる「リスク」があるからだ。それを誘発する判決を下すだけの勇気がないのだ。

その結果、政治的判断が判決を左右する。三権分立が形骸化している。

とはいえ「押し紙」裁判で、少なくとも新聞販売店が敗訴しなくなったのは大きな進歩だ。

2020年03月07日 (土曜日)

産経新聞の「押し紙」裁判が、最大の山場をむかえる。3月10日の10時30分から16時30分の予定で、東京地裁は4人の関係者に対して尋問を行う。この中で最も注目されるのは、午後から出廷する株式会社サンケイアイの社員の証言である。

株式会社サンケイアイは産経新聞の同族会社で、折込広告の営業や搬入などの業務を行っている。この裁判では、折込広告の水増し行為が問題になっており、サンケイアイの社員が新聞販売店に残紙があることを知った上で、広告主に対して営業していたかどうかがひとつの争点になっている。

従来、広告代理店のスタンスは、残紙の状況は知る立場にはないというものである。過去の裁判判例では、それが認められ、「折込詐欺」の認定を免れている。

しかし、今回の産経新聞「押し紙」裁判では、販売店側が「詐欺」の新証拠をかなり掴んでいるようだ。サンケイアイの社員がどう抗弁するかが注目される。広告主にとって注目の尋問だ。

日時:3月10日 10:30分~16:30分

場所:東京地方裁判所 806号法廷

出廷するのは、原告の元店主と2人の産経新聞社員、それに産経の広告代理店である株式会社サンケイアイの社員の4人である。誰でも傍聴できる。

※冒頭の写真は本文とは関係ありません。

2020年03月05日 (木曜日)

既報したように横浜副流煙裁判で作田学医師の医師法20条違反が認定された。週刊新潮や日刊ゲンダイなどの主要なメディアもそれを報じた。こうした状況の下でこの嫌がらせ裁判を起こした人々は、作田医師を弁護するための抗弁を開始した。

控訴人(元原告のA夫、A妻、A娘)側が提出した書面には、作田医師による無診察で診断書を交付した行為は医師法20条に違反しないとする記述があり、それに照応して裁判判例などの証拠も提出された。わたしはこれらの資料を一通り閲覧した。

その結果、A夫らの代理人弁護士である山田義雄・山田雄太(父と息子)の両弁護士が提出した証拠がかえって、作田氏の違法行為を2重にも3重にも裏付けてしまったという感想を抱いた。医師法20条違反が控訴審で取り消されることはまずありえない。以下、取材ノートを紹介しよう。

医師法20条は次のように述べている。

 第二十条 医師は、自ら診察しないで治療をし、若しくは診断書若しくは処方せん を交付し、自ら出産に立ち会わないで出生証明書若しくは死産証書を交付し、又は自ら検案をしないで検案書を交付してはならない。但し、診療中の患者が受診後二十四時間以内に死亡した場合に交付する死亡診断書については、この限りでない。

この裁判で問題になっているのは、診断書である。作田医師が患者であるA娘を診察せずに、診断書を交付した事実である。病名は、受動喫煙症レベル4と化学物質過敏症である。

そもそも診断書というものは、一種の証明書である。患者がしかじかの疾病に罹患していることの証明である。また、死亡診断書は患者が死亡したことの証明である。

診断書であれ、死亡診断書であれこれらの証明書を医師が直接診察することなしく発行する行為が横行すれば、大変な人権侵害が発生しかねない。まだ生きているひとが死者にされたり、病気でもない人が病気にされるリスクが生じる。それゆえに無診察による診断書の発行は、厳しく禁じられているのである。罰則も厳しい。

一方、無診察による処方箋や治療は、証明書の発行とは若干異なる。無診察で処方箋が発行され、それに応じて患者のもとに薬が届いても、患者は服用を拒否できる。それに病院でのユニット医療(チーム医療)の場合、チーム全体で患者の状態を把握しているので、主治医が不在の時に行われた医療措置で問題が起きることもない。

事実、ユニット医療の中で、医師が准看護婦に薬剤の処方を命じても、医師法20条違反にはならないとする判例もある。この判例も、山田弁護士が作田医師を弁護するために持ち出している。

これに対して、診断書交付の場合は、一種の証明書の発行であるから、面識のない患者に対して診断書を交付して、それが独り歩きすれば、どのように悪用されるか分からない。それゆえに無診察による診断書の発行は、絶対にやってはいけない医療行為なのだ。ところが横浜副流煙裁判では、「法的手段をとるための布石とする」(判決)ことなどを目的で、診断書が交付されたと認定したのである。

無診察での処方箋や治療の方は、裁判の判例上でも認められている場合もある。ただし、それは病状に関する認識が定着していることに加えて、対処方法が確立されている疾患であること、さらには無診察にならざるを得ない特別な事情がある場合に限定されているようだ。当然、作田医師のケースでは当てはまらない。

◆◆
無診察による処方箋と治療が例外的に認められた例を紹介しておこう。この例は、山田弁護士が医師法20条違反に該当しない例として提出したものであるが、しかし解釈が間違っている。

統合失調症の原告Mが、家族の介入により無診察で薬を投与されたとして、投薬した医師を医師法20条違反で訴えた裁判である。(千葉地裁)このケースでは、原告の患者が病院で診察を受けることを拒んだために、家族が代わりに病院を受診して、薬を処方させた。本来であれば医師法20条の違反になるが、千葉地裁は原告Mの訴えを退けた。 山田弁護士は、この判例を作田医師を救済するために持ち出してきたのだ。

千葉地裁の判決は次のように述べている。

「ア非告知投薬は日本における精神病の治療においては非常に広い範囲で行われており(平成7年度の全国調査の結果でも、精神科医の4分の3が、やむをえない場合にはこれを行う旨述べている)、また、その中には本件のように患者本人を診察しないで行われるケースも相当含まれていること、イことに、病識のない精神病患者が治療を拒んでいる場合には、患者を通院させることができるようになるまで、患者に気付かれることなく服用させることの可能な水薬が処方させる例がままあること、ウ右のような場合にも、その処方は、家族等の訴えを十分に聞き、かつ、保護者的立場にあって(略)」

この判例と作田医師のケースを比較する場合、留意しなければならない点が2点ある。

まず、第1は、この判例は無診察による処方箋の是非について判断したものであって、無診察にる診断書、あるいは証明書の交付について判断したものではないという点である。

事実、この判例の解説も、「なお、診断書の作成等については本件の判旨外であるから以後触れない」と述べている。つまり作田医師のケースとは類型が似ているようで、実は異なるのだ。処方箋の場合は引用した判決文の記述に示された一定の条件を満たせば、医師法20条の違反にはならない。例外として認められる。それを示した判例にすぎない。

第2に、たとえ処方箋と診断書(証明書)交付の境界線をあいまいにして、おおざっぱに医師法20条違反を検証したとしても、統合失調症のケースと化学物質過敏症のケースには大きな違いがある。前者はすでに診断方法や治療方法が確立している。精神科の病院は全国のいたるところにあり、病気に対する知識も広く普及している。

これに対して化学物質過敏症は、診断方法も治療法も未知の領域である。そのことは控訴理由書の中で、山田弁護士もしきりに強調している。

たとえば「受動喫煙症、化学物質過敏症の化学的・医学的・疫学的研究がまだまだ解明途上であることから、その因果関係の立証、認定に困難が伴うことも十分に承知している」(2P)とか、「控訴人らが発症し罹患し重篤化している化学物質過敏症なるものはもちろんすべては解明されているわけではないが、現実に多数発症して苦しんでいる患者のために多くの学者・研究者がその治療対策を含めて日夜懸命な努力をしている分野なのである」(8P)などと繰り返し化学物質過敏症の特異性を述べている。

いわば化学物質過敏症は、現時点ではまだ十分に科学的な診断や治療法が確立されていない研究途上の疾病なのである。医師の中には、この疾患の存在そのものを認めない者もいる。別の疾患との区別があいまいなことがそのひとつの理由である。たとえば患者が頭痛を訴えても、その原因が化学物質による反応なのか、別に原因があるのかを容易に判断することはできないからだ。

と、すれば初診の患者を直接診察することなしに、処方箋を書いたり、診断書を交付することは、無謀と言わなければならない。処方箋はおおめに見るとしても、証明書の一種である診断書を交付できるはずがないのである。

◆◆◆
作田医師は、控訴人A娘を往診するなどして、直接診察しなかった理由についても弁解している。たとえば横浜地裁の審理の中で、「往診する途中で私自身がタバコ煙に接する」ことで、「揮発タバコ煙」がA娘に「化学物質過敏症」を発症させ、呼吸困難になった場合を考え」往診を回避したと説明している。〔原告準備書面(7)、甲43号証〕

ところが医師法20条違反の司法認定を受けた後の2019年12月16日、A娘の自宅に赴きA娘を診察したのである。つまりA夫・A妻・A娘が提訴する前に、往診することは可能だったのだ。

作田医師は、横浜地裁が認定した医師法20条違反を否定するための詭弁を持ちだしている。すなわち、地裁が断罪したのは診断書は、実は「意見書」だったと主張しはじめたのだ。週刊新潮にもその趣旨のコメントを出している。

しかし、山田弁護士が横浜地裁へ提出した準備書面(2)には、作田医師が作成した書面が、診断書であることが明記されている。次の記述である。

 なお、当時原告A娘は既に寝たきりで外出困難となっていたため、原告A妻が代わりにA娘の委任状とA娘直筆の自覚症状、くらた内科クリニック・その風クリニックの診断書を提出して、作田医師の診断で、診断書を作成していただいたものである。 

問題の書面が診断書であることを山田弁護士自身が記述しているのである。それに書面の表題にも診断書と明記されている。

仮に、もし診断書として提出したものが意見書であるとすれば、A夫・A妻・A娘の診断書は提出されていないことになり、ますますわけが分からなくなる。もともと山田弁護士らは、作田医師らの診断書を根拠として、4500万円を請求したのである。もし、診断書として裁判所に提出した文書が意見書であるとすれば、提訴の前提そのものが破綻してしまうのである。意見書を診断書と偽り、それを根拠に4500万円を請求したわけだから、別の大問題になる。

◆◆◆◆
さらに山田弁護士は、このところインタネットを通じた遠隔医療を容認する流れがあり、厚生労働省がそれに対応するためのガイドラインを設けている事実を上げ、作田医師のケースもこの類型に当てはまると主張している。A娘が寝たきりで通院できる状態ではなかったから、遠隔医療の方向性に合致するというのが、山田弁護士の論拠である。

たとえば、控訴理由書で、次のように述べている。

「2017年の医政局長通知にて『患者側の理由で診察が中断した場合、直ちに医師法違反にはならない』『禁煙外来の柔軟な取り扱い』『テレビ電話や電子メール、SNS等を組み合わせた診療が可能』となっている。診療は直接の対面診療が基本だがこれに代替しうる程度の情報が得られる場合は同条に反しないとされている(米村滋人「医事法講義」51頁)(甲66の2)」(控訴理由書21P)」

と主張している。

この点に関してわたしがコメントする前に、指摘しておかなければならない重要な点がある。出典となっている「甲66の2」、つまり米村滋人の文章には、山田弁護士が『』で引用した上記の記述は存在しない事実である。逆に山田弁護士の自筆の記述、つまり『』に入っていない部分、「診療は直接の対面診療が基本だがこれに代替しうる程度の情報が得られる場合は同条に反しないとされて」は、米村氏の文章である。

わたしの読み方が不注意なのか、『』内の記述は「甲66の2」の中には発見できない。これに関しては、再度確認してみるが、もしこれらの記述が米村氏の記述に便乗した山田弁護士の創作であれば、別の問題が生じる。

『弁護士職務基本規定』の第75条は、弁護士は「虚偽と知りながらその証拠を提出してはならない」と規定している。もちろんわたしの誤読の可能性もある。この点については、再度確認してみる。従って読者もそのつもりで読んでほしい。

ちなみに山田弁護士が「甲66の2」として提出した「医事法講義」は、「一度も診察したことのない患者への治療や投薬」は「原則として禁止される」とも述べている。また、証拠として提出されてはいないが、米村滋人氏はこの記述の中で、医師法20条を考える上で、より重要な参考文献を紹介しているのだが、それよ読むと山田弁護士の解釈が間違っていることがより鮮明に分かる。。

それは厚生省健康政策局長の名前で公開された「情報通信器を用いた診療(いわゆる「遠隔診療」)について」と題する公文書である。
この公文書の中でも、留意事項として、「初診及び急性期の疾患に対しては、原則として直接の対面診療によること」が前提条件になっている。つまり面識のないA娘に診断書を交付した行為は違法なのだ。

が、わたしがこうした説明を長々とするまでもなく、作田医師は最も肝心なインターネットを通じた診察そのものを行っていない。ただ、A妻と面談し、仲間である同じ日本禁煙学会の医師らが作成した診断書を参考にして、診断書を作成したに過ぎない。

その診断書には、公式の証明書では常識となっている病院のロゴもなければ、書面に透かしすら入っていないのである。さらに横浜地裁での審理を記録した書面を再検証してみると、「診断書」のデータを山田弁護士に電送していた事実も明らかになる。裁判所へ提出する診断書は、第3者が診察・作成してはじめて信憑性を担保できるはずだが、なぜか作田医師は裁判の当事者のように山田弁護士へ診断書のデータを直送しているのである。

おそらくこのあたりの事情も考慮して横浜地裁は、裁判目的で作田医師が診断書を交付した可能性を示唆したのである。しかも、そのデータが間違っていたのだから滑稽だ。

次に示すのはA妻に対する藤井将登さんからの尋問で明らかになったことである。

被告:作田先生がメールで弁護士先生に資料を送られたんですね。

原告:送られたときに, はい。

被告:診断書のデータを送られたんですね。

原告:そうです,そうです。

被告:それが間違った病名が書かれたものであったということですね。

原告:だと思います。

診断書がまったく信頼できないことが決定的になったのである。
作田医師の医師法20条違反が控訴審で覆ることはありえないだろう。(続)

 

2020年03月04日 (水曜日)

昨日(2日4日付け)の記事で、裁判を起こしたA夫が岡本光樹・東京都議(弁護士で日本禁煙学会理事)から得た訴訟上のアドバイスの件に言及した。藤井将登さん(元被告、現被控訴人)が煙草を四六時中吸って、その煙が階を隔てたA夫の住居にまで入っていたという主張の裏付け証拠を掴むための方法として、岡本都議から、藤井家のゴミ箱を調べて煙草の吸殻を探すようにアドバイスを受けたとされる件である。これについて岡本都議に事実関係を問い合わせたところ、次のような回答があった。

【メールの抜粋14:25分受信】
下記(黒薮注:吸殻さがしをアドバイスした事実)のご指摘の内容は、事実です。

 なお、誤解なきように付け加えますが、私は、本件に関して●●氏に訴訟という方針をお勧めしたことはありません。

【メールの抜粋14:40分受信】
 誤解があるようなので、指摘しておきます。
「ゴミ箱の中を調査するためには、他人の住居に立ち入る必要があるから、違法な証拠収集ということになる。」
とのことですが、
「ゴミ箱」というのは、集合住宅共同のゴミ置き場(住宅外)を意味しています。他人の住居に入ることは、ありません。

つまりゴミ箱というのは、控訴人の自宅に備えられているゴミ箱のことではなくて、集合住宅共同のゴミ収集場のことである。

◆◆
しかし、A夫が団地のゴミ収集所に足を運んで、実際に吸殻探しをしたのかどうかは不明だ。

この作業はそれほど難しいわけではない。と、いうのも藤井将登さんか敦子さんが自宅からゴミ袋を持って現れるのを待ち失せて、ゴミ袋を収集場へ置いたのを見きわめてから、中身を調べることが可能だからだ。簡単に白黒が付く。

A夫や作田学医師は、診断書や裁判書面の中で、藤井将登さんが四六時中煙草を吸い、その煙が2階のA夫宅にも入り、家族が癌を発症したという事実摘示をしているわけだから、ゴミ収集所を物色することで、みずからの主張の裏付け証拠となる煙草の吸殻を発見できるはずだ。しかも、藤井さんが吸っている煙草はガラムという名称の外国製のものなので、他の煙草と識別することも容易だ。ガラムの吸殻を見つければ、まず、藤井さんの元所有物であることが分かる。

さらに煙草の吸殻を持ち帰ってDNA鑑定すれば、みずからの主張のさらに強力な裏付けを獲得できるはずだが。しかし、現在のところA夫たちは、煙草の吸殻を証拠として裁判所へ提出していない。

こうした状況を考慮したとき、藤井将登さんがヘビースモーカーであり、それが原因で病気になったという主張は、被害妄想ではないかというのがわたしの推測だ。A夫が、何らかの薬を服薬しているのかどうかは不明だが、一般論でいえば、高齢になればなるほど薬剤の服用が増え、その薬が被害妄想を引き起こすこともある。

◆◆◆
念のために岡本都議に、ゴミ収集場で煙草の吸殻が見つかったのかどうかを問い合わせてみた。また、東京都の警察のトップで、この事件にも関与した斎藤実・警視総監(事件当時は、神奈川県警本部長)に関する質問もしてみた。都議として、あるいは都民ファーストして、斎藤実氏の責任を追及する意思はあるのだろうか?

岡本先生

 ご連絡ありがとうございます。
 ゴミ箱というのは、団地のゴミ収集所(黒薮注:ママ)の意味ですね。ところで裁判を起こした一家は、藤井さんが大量の外国製煙草を吸っていて、部屋に煙が入ってきたと事実摘示されているわけですが、ゴミ収集場で外国製煙草の吸殻は見つかったのでしょうか。

 岡本先生が日本禁煙学会の「受動喫煙相談」の弁護士として、原告の相談に乗られたわけですから、この事件に関与されたということではありませんか。この事件は、当時の神奈川県警察本部の斎藤実氏(現警視総監)も関与しております。藤井さんに対する告訴状も被害届も出ていないのに、2度にわたるひつこい事情聴取が断行されました。この件についてはご存じでしょうか。ご存じであれば、分煙運動を推進されている都民ファーストの都議として、今後どう対処されるのでしょうか。小池知事はこの事実をご存じなのですか?

黒薮

回答が来た時点で、紹介する。なお、冒頭の動画は、藤井敦子さんが事件に関与した神奈川県警の刑事に、斎藤氏の関与などを問い合わせたインタビューである。他にも事件に関与した識者は少なくない。

わたしは分煙には賛成だ。しかし、この事件は冤罪事件である。

 

【参考記事】(日刊ゲンダイ)「受動喫煙」4500万円損害賠償裁判 横浜地検の棄却理由

2020年03月03日 (火曜日)

横浜副流煙裁判の続報である。既報したように裁判の舞台は、東京地裁から東京高裁へ移った。被控訴人(元被告)の藤井将登さんは、山田義雄・山田雄太(親子)の両弁護士から控訴理由書が到着するのを待っていた。ところが提出期限の1月29日を過ぎても、書面は届かない。そこで山田弁護士に内容証明を送って提出を促したり、裁判所に対して指導を求める上申書を提出した。その結果、期限からひと月おくれの2月29日に書面が届いた。

事件の概要

ページ数は証拠資料を含めて約300ページ。藤井さんは、4月9日までに答弁書を作成しなければならない。控訴した側が、書面の作成に80日もの日数を使い、一方、藤井さんの準備期間は40日しかない。

この裁判提起は、もともと訴権の濫用の疑惑があるのだが、わたしのような第3者からみると、藤井さんに答弁の時間を十分に与えないのも、山田親子の戦略のようにも感じられる。これも訴権の濫用のかたちなのかも知れない。

◇書面300ページ

書面300ページという量に好奇心を刺激され、わたしは藤井さんにお願いして書面を閲覧させてもらった。膨大な量の書面の処理は、藤井さん夫妻と支援者の方々にとっては大変な負担でとても気の毒だが、取材者のわたしにとっては、嬉しい限りだ。

通常、ルポルタージュの取材には交通費や宿泊費など高額な資金を要するのだが、300ページの書面は、取材せずに得る一級の情報であるわけだから、宝物に等しい。

控訴理由書の最後で山田弁護士親子は、控訴審でさらに検証を進めていきたい旨を表明している。つまり延々と裁判を続ける意向なのだ。(ちなみに横浜地裁での第1審は2年を費やした。)

◇弁護士で東京都議(都民ファースト)の岡本光樹氏も関与か?

今回、閲覧させてもらった資料の中に、控訴人(元原告)の日記がある。その中に、弁護士で東京都議(都民ファースト)、日本禁煙学会理事の岡本光樹氏が、2017年2月14日に原告A(原告は3名。夫妻と娘。Aは原告夫)に対して、藤井さんが煙草を吸っている証拠を掴むための方法についてアドバイスしたとする記述がある。岡本氏が、控訴人の自宅を訪れ、ゴミ箱から煙草の吸殻を探して証拠をつむしかない、とアドバイスしている記述である。

念のために、岡本弁護士にこの記述が事実かどうかを問い合わせてみた。次のメールである。

   岡本先生

 以前に横浜の副流煙裁判の件で、問い合わせをさせていただきました黒薮哲哉です。被控訴人の方から、控訴人の控訴理由書を閲覧させてもらったところ、証拠として控訴人の千葉明氏が提出された日記の平成29年2月14日の記述に、岡本先生が千葉さんの自宅を訪問され、非控訴人の方が煙草を吸っている証拠を掴むために、ゴミ箱から煙草の吸殻を探すようにアドバイスを受けたとの記述があります。これは事実なのでしょうか。教えていただけないでしょうか。

 よろしくお願いします。

 黒薮

現時点では、原告Aの日記の記述が事実かどうかわからない。返信がない。係争の当事者は、裁判を想定して、ウソの記録を取ることがままあるからだ。

しかし、もしこれが事実とすれば問題がある。ゴミ箱の中を調査するためには、他人の住居に立ち入る必要があるから、違法な証拠収集ということになる。日記を書くようにアドバイスした人物は別にいるようだが、これも裁判目的の記述である可能性が高い。

◇医師法20条の認定違反が認定された後の作田医師の行動

また、医師法20条の認定(無診察による診断書作成)を受けた作田氏も、地裁での敗訴後にある行動を起こしていたことが分かった。作田医師は、敗訴後の2019年12月16日に、控訴人の自宅に往診にいき、控訴人(夫妻の娘)を診察したのだ。

ところが作田医師は地裁の段階では、自分で往診して診断書を書かなかった理由として、「往診する途中で私自身がタバコ煙に接する」ことで、「揮発タバコ煙」が控訴人(娘)に「化学物質過敏症」を発症させ、呼吸困難になった場合を考え」往診を回避したと説明している。〔原告準備書面(7)、甲43号証〕

この記述からすれば、実は往診が可能であったにもかかわらず、往診しなかったことになり、ますます横浜地裁の認定--医師法20条違反が動かしがたいものになった。

◇風呂場でPM2.5を測定の愚

さらに滑稽なのは、被控訴人(妻)が、作田医師から手渡されたPM2・5の簡易測定器(UT338C、1万円相当)を使って、ふろ場で副流煙の中のPM2.5を測定して、500マイクログラムなどというおよそあり得ない数値を記録し、証拠として提出していることである。

ちなみに国が定めている安全指標は、一日平均値1立方メートルあたり70マイクログラムを超えると注意喚起が行われる。

こうした測定結果を証拠として提出しているわけだから、弁護士も環境問題をよく理解していないということだろう。もちろん測定方法が正確かどうかも疑問がある。

測定は、第3者が実施しなくては意味がない。

◇メディア黒書に対する誹謗中傷はなし

地裁の段階では、原告からメディア黒書に対する誹謗中傷があったが、さすがにそれが裁判の争点とは何の関係もないことに気づいたらしく、言及はなかった。

◇宮田幹夫氏らも関与

この事件には、宮田幹夫氏ら著名な有識者が多数関与している。いずれ実名を公開していくが、人間性の劣化が進んでいるといわなければならない。

ちなみにわたしは喫煙者ではない。分煙にも賛成だ。しかし、弱者の虐待に等しい冤罪事件に対しては黙認するつもりはない。

2020年02月28日 (金曜日)

2020年度1月度のABC部数が明になった。それによると前年同月比較で、朝日が約41万部減、読売が約39万部減、毎日が約23万部減となった。これら3社についていえば、依然として年間で20万部から40万部の部数を失っている。そのかなりの部分はもともと読者がいない残紙だと推測される。

これら3社だけでも、年間で東京新聞2社分に相当する新聞が減っていることを意味する。その背景には、大量の「押し紙」を折込広告の水増し収入で相殺するビジネスモデルが機能不全に陥っている事情がある。原因は折込広告の需要が少なくなっていることだ。

新聞社のビジネスモデルは、「押し紙」を折込広告の水増しで相殺して、販売店の赤字を防ぐ形だ。そのために新聞購読者から集金した購読料は、ほぼ100%が新聞社へ入る仕組みになっている。従って折込広告の需要がなくなれば、このビジネスモデルは破綻するしかない。このような詐取の仕組みを構築した新聞人の罪は重い。

1月度のABC部数は次の通りである。

朝日:5,249,764(-406,729)
毎日:2,303,783(-198,515)
読売:7,886,986(-390,619)
日経:2,227,891(-121,802)
産経:1,348,564(-52,877)

 

【参考記事】2020年5月度のABC部数、朝日新聞は「500万部切れ」へカウントダウン、止まらぬ新聞発行部数の急落

2020年02月27日 (木曜日)

世界新聞協会が公表している2019年度の「世界の新聞発行ランキング」によると、1位から10位を日本、インド、中国の新聞社が独占している。ランキングは次と通りである。ただし、日本の新聞社の部数には、残紙が含まれている。

読売(日本)8,115
朝日(日本)5,604
Dainik Bhaskar (インド) 4,321
cankao Xiaoxi (中国)3,746
Dainik jagran (インド)3,410
People's Daily  (中国)3,180
The Times of India (インド)3,030
毎日(日本)2,370
malayala Manorama (インド)2,370
日経(日本)2,347

(黒薮注:このランキングは、ジャーナリズムの質のランキングではありません)