2020年11月22日 (日曜日)

地方自治体が発行する広報紙は、新聞折込、ポスティング、郵送などで住民に配布される。このうち最も多くの自治体が採用している配布方法は、新聞折込とポスティングである。東京23区の場合、16区が新聞折込を採用している。わたしが在住する埼玉県朝霞市はポスティングだ。
広報紙の配布をめぐり、このところ水面下で問題になっているのが、新聞販売店に卸す広報紙の水増し行為である。たとえば配達する新聞部数が1000部の販売店であれば、それに相応した広報紙の折込部数は1000部である。厳密に言えば、これに若干に予備部数が加算される程度だ。
ところが、実際に広告代理店が販売店に卸している折込部数が、新聞部数を遙かに超えている例が、あちこちの自治体で明らかになってきた。
企業が依頼した折込広告の場合は、このところ広告代理店が間に入って、新聞の実配部数に合致するように調整するようになったが、なぜか広報紙に関しては、まったくこの作業を行わない。それどころか、水増しの規模が拡大する傾向があるのだ。折込部数が新聞部数(ABC部数)をはるかに超えるケースすら次々と発覚している。
公式のABC部数に準じて、折込枚数を割り当てるのであれば、水増しされる量は、「押し紙」分だけということになるが、ABC部数を超えているとなれば、水増しの規模が際限なく拡大する。【続きはウエブマガジン】

横浜副流煙裁判で、被告の藤井将登さんの勝訴が確定した。提訴が2017年11月で、高裁判決が20年10月。翌11月に原告が上告を断念して、東京高裁の判決が確定した。裁判の提訴から、終了までがちょうど3年だった。
取材してきたわたしは、裁判の記録作業に入った。事件を想起しながら、わたしは改めて事件の異様さを痛感している。
まず、奇妙なのは、社会通念からして、即座に棄却されてもおかしくない裁判を、裁判所が3年も継続したことである。繰り返し述べてきたように、訴因は将登さんの喫煙である。自宅の密封された音楽室で将登さんが吸った1日に2本か3本の煙草が原因で、隣人が受動喫煙症に罹患(りかん)したとして、将登さんに対して裁判を起こしたのである。準備書面の中で原告は、癌の原因が将登さんの副流煙だという主張も展開した。
提訴の前段、つまり副流煙をめぐる隣人トラブルが浮上した段階で、将登さんの妻・敦子さんは弁護士に相談した。弁護士は、事件の中身があまりにもばかばかしいので、心配しないようにアドバイスした。箸にも棒にも掛からない案件と判断したのである。
実際、裁判所も当初は重大事件という認識が薄かったのか、合議制(裁判官が3人)を採用しなかった。裁判官は1人だけだった。
ところがいざ審理に入ると、作田学医師や宮田幹夫医師ら、著名な人々が原告のために次々と意見書を提出した。それにつれて裁判所の態度も変わった。結審の気配がなくなってしまったのだ。
藤井さんの代理人弁護士は、審理の中で喫煙する権利を重視して、科学論には深入りしようとはしなかった。それはひとつの戦略である。が、それに納得できなかった敦子さんは、弁護士を解任した。そして支援者が知恵を結集して共同で取材し、共同で書面を準備したのである。
◆◆
藤井さん側が、科学論に踏み込んだとたんに、裁判所の体制が変わった。合議制(裁判官が3人)になったのである。しかし、本来は合議制にするような内容ではない。自宅で喫煙することは、法的に認められているからだ。
驚いたことに、控訴審になってからは、作田氏ら医師に交じって、複数の建築士が意見書を提出した。建物の構造から考えて、将登さんの副流煙が、原告宅へ達する可能性があるというのであった。ほとんど言いがかりに近い主張だとわたしは思った。
このように審理のプロセスそのものに不自然な部分があるのだ。わたしは、自宅でも喫煙を禁止する判例を作ろうという原告らの意図を露骨に感じた。そのための判例が欲しかったのでは。
作田医師らは、自宅内での喫煙に対して4500万円のお金を請求することで、日本中の喫煙者に暗黙の警告を発したのではないか。
わたしはそんな疑惑を持った。そのためにフリーランスの将登さんを、「みせしめ」にしたとすれば人権問題である。裁判制度を悪用した行為で、厳重に「処罰」されなければならない。
◆◆
わたしは、原告の代理人を引き受けた山田義雄・山田雄太の両弁護士にも重い責任があると考えている。2人は、原告に提訴を思いとどまるようにアドバイスすべきだった。根拠のない裁判を起こさないようにアドバイスすべきだったのではないか。
『弁護士業務基本規程』の第75条に次のような条文がある。
【75条】弁護士は、偽証若しくは虚偽の陳述をそそのかし、又は虚偽と知りながらその証拠を提出してはならない。
横浜地裁判決は、作田医師による医師法20条違反を認定した。医師法20条は、医師が患者を診断することなく診断書を交付することを禁止している。診断書が証明書の類であるからにほかならない。ところが作田医師は、原告のひとりを診断することなく、診断書を交付したのである。
しかも、この問題の診断書は、提訴の有力な根拠になった。だた、それは医師法20条違反だけではなく、他にも複数の問題を孕んいる。たとえば1通しか存在ないはずの診断書が、2通存在するうえ、病名も部分的に間違えている。おそらくはワードで作成したものである。
さらにこの診断書には、医学上の記述とは別の問題もある。診断書の中で、作田医師は、将登さんが副流煙の発生源であると事実摘示しているのだ。とはいえ、将登さんにそれを確認したわけではない。事件現場を取材したわけでもない。何の根拠もないのに、はっきりと副流煙の発生源は将登さんであると断定しているのである。
山田義雄・山田雄太の両弁護士は、これらの事実を知らなかったのだろうか?
さらに問題なのは、原告のひとりに約25年の喫煙歴があった事実が発覚した後も、山田弁護士親子が裁判を続けた事実である。そのための主張の裏付けとしたのが、作田医師の意見書である。作田医師は、過去の喫煙歴と受動喫煙症は、あまり関係がないとする意見を述べたのだ。
◆◆
異常づくめの横浜副流煙裁判である。不自然極まりない提訴だっただけに、今後、藤井さんと支援者は、厳密に「戦犯」の責任を問うべきだろう。このような裁判が繰り返されることがあってはならない。
■「反訴」損害賠償裁判の費用のカンパは、次のURLからお願いします。
2020年11月20日 (金曜日)

環境問題でいう規制値とは、環境に放出される汚染物の許容範囲を定めた数値である。それは通常、総務省が設定する。無線通信で使うマイクロ波の場合、1000 μW/c㎡ (マイクロワット・パー・センチメートル)が、規制値である。
規制値が1000μW/c㎡ と言っても、ほとんどの人は、どの程度の許容範囲なのかをイメージすることができない。結論を先に言えば、この数値では、規制になっていない。
許容範囲の程度をメージ化するためには、他の地域における規制値と比較することが有効だ。
たとえば欧州機構が定めているマイクロ波の規制値(勧告値)は、0.1μW/c㎡ である。近い将来には、この数値を、0.01μW/c㎡ へ引き上げると言われている。
日本の総務省が定めている1000 μW/c㎡と欧州機構が定めている0.1μW/c㎡には、天地の差がある。なぜ、これだけ大きな差があるのか、その理由も明らかになっている。
欧州機構が、マイクロ波には遺伝子毒性があるという説を前提にして規制値を決めたのに対して、日本の総務省は、マイクロ波には、遺伝子毒性がないという説に基づいて規制値を決めたからである。従って、総務省の見解が誤っていれば、日本国民は将来的に計り知れない被害を受ける可能性が高い。癌や神経系の病気が、激増すると予測される。
原発による被害の比ではないだろう。
特に、スマホやタブレットなどのヘビーユーザーの間で、健康被害が広がる可能性が高い。30代、40代での癌発症も珍しくなくなるだろう。
国別にマイクロ波の規制値を比較してみると、日本と米国の規制値が1000 μW/c㎡で、世界一高い。その他の国々も、中国(40μW/c㎡)などの例外を除いて、相対的に高い。900μW/c㎡に設定している国が大多数を占める。
しかし、ここからが肝心な点で、欧州では、国とは別に地方自治体が独自の規制値や勧告値を設けているケースがあることだ。マイクロ波の使用に、一定の厳しい規制をかけているのだ。
その典型は、前出の欧州機構の0.1μW/c㎡である。なぜ、独自の規制値を設けたのか?答えは簡単で、マイクロ波による遺伝子毒性などが、科学者の力で解明されてきたからにほかならない。研究の結果が規制値の強化をもたらしたのである。基地局の撤去を命じる裁判判例も生まれている。ジャーナリズムの働きもあり、マイクロ波にはリスクがあるという認識が生まれているのである。
参考記事:アメリカの国立環境衛生科学研究所のNTP(米国国家毒性プログラム)の最終報告、心臓の腫瘍、マイクロ波と癌の関係は明白と結論
ところが日本の電話会社は、総務省が定めた規制値を上段にかざして、事業を進めている。携帯電話の基地局設置を巡って、住民との間でトラブルが発生すると、電話会社は必ず、「総務省の基準を守っていますから、絶対に安全です」と公言する。
「総務省の基準の50分の1でやります」
と、自慢している社もある。
もちろん、総務省の規制値を守っているから、健康被害が発覚しても責任を取らないという立場である。
メディアも電磁波問題の報道は回避する傾向がある。携帯ビジネスに関係している企業が、彼らの大口広告主である上に、無線通信網の普及が国策になっているからだ。日本のメディアが、国策に著しく反するスタンスで報道することはほとんどない。
◆◆
先日、筆者のもとに基地局設置問題に関して、読者から相談があった。相談者は、基地局設置問題に巻き込まれている方である。電話会社が自分の住むマンションの管理組合に対して、屋上に携帯基地局を設置する計画を打診してきたという。設置場所は天井を隔てた自宅の真上である。
相談の主旨は、電話会社が1000 μW/c㎡を限度内とする電力密度で、基地局を操業した場合に、人的被害が生じるリスクが高いことを
立証できる資料を教えてほしいというものだった。資料そのものは、多数存在するが、電話会社は、総務省が定めた規制値を理由に、まったく聞く耳を持たないだろう、というのがわたしの回答である。
実際、総務省の規制値を守って基地局を操業している限り、住民に健康被害が出ても、責任を取らないというのが電話会社の基本方針である。
◆◆
電磁波問題は、新聞社の「押し紙」問題と同様に、やっかいな問題のひとつである。「押し紙」問題と同様に、メディアはほとんど報道しない。さらに幸か不幸か、健康被害は長い歳月を経て浮上することが多い。癌がその典型例である。
健康被害は、大規模な疫学調査を実施してはじめて判明する。たとえば、次のケースのように。
【参考記事】基地局の周辺ほど癌が多いことを示すブラジルの疫学調査、癌による死亡7191例と基地局の距離の関係を検証 疫学調査①
マイクロ波による人体影響はないと勘違いしている人は少なくない。ほとんどの人がスマホを使っており、しかも、急性の症状が現れることが少ないから、リスクについての認識が希薄になるのだ。
しかし、希望的な観測と客観的な事実は異なる。それを混同するメンタリティーが浸透していることが、大きな問題なのである。危険を知らせるのが、メディアの役割ではないか?

横浜副流煙裁判の東京高裁判決が確定した。原告が最高裁に上告しなかったので、裁判は終了し、自動的に藤井将登さんの勝訴が確定した。これを受けて藤井さん夫妻は、「戦後処理」に入る。裁判に深く関与した作田学医師に対して、損害賠償の裁判を起こすことを既に決めており、代理人弁護士も選任した。
わたしを含めて4人の支援者が、藤井さん夫妻を支援する会を立ち上げた。そして裁判費用と活動資金のカンパを呼びかけることになった。メディア黒書の読者には、次の告知を確認した上で協力をお願いします。資金の用途については報告します。
◆◆
周知のようにこの裁判は、Aさん一家が同じマンションの下階に住む藤井さん宅から発生する副流煙が原因で、受動喫煙症に罹患(りかん)したとして、藤井将登さんに対して4500万円の現金を払うように求めたものである。
将登さんは喫煙者であるが、喫煙のマナーを守っていた。喫煙量も1日に、2,3本のうえ、喫煙場所も密封状態の音楽室((防音装置の付いた部屋)にほぼ限られていた。ミュジシャンという仕事柄、外出することが多く、副流煙の発生源自体が存在しない時間帯が大半を占めた。
ところがA家の3人は、裁判の中で将登さんの副流煙で、受動喫煙症などになったとする主張を展開したのである。その主張の重要な根拠になったのが、日本禁煙学会の作田学理事長が交付した3通の診断書だった。ところがこのうちの1通、A娘のものは、本人を診察しないまま交付されていた。
これは医師法20条に違反している。横浜地裁は、判決の中でそれを明確に断罪した。東京高裁は、この点には言及しなかったが、判決の脈絡からすると横浜地裁の認定を追認している。
と、なれば将登さんは、民事でも刑事でも作田理事長の責任を問うことができる。
作田医師が理事長を務める日本禁煙学会が定めている受動喫煙症の判断基準は、患者による症状の自己申告と問診を重視している。ところがこのような診断方法は、客観性に欠けていると裁判所は判断した。
◆◆
通常、訴権の濫用で提訴する場合、裁判の被告は、「不当裁判」を起こした元原告になる。しかし、作田医師は、元原告ではない。元原告ではないが、5通の意見書を提出するなど、裁判に深くかかわった事実がある。横浜地裁の判決が下された際には、法廷に姿を現すほどの熱の入れようだった。
診断書の持つ重みは、ただならぬものがある。医療の専門家の見解を示した証明書であるからだ。患者による自己申告と問診を重視して診断したのでは、客観性に欠け、「冤罪」が生まれ可能性がある。事実、将登さんは「冤罪」だった。
また、訴訟や争議を起こしては、解決金を徴収するとんでもない手口が横行しかねない。
4500万円の請求に根拠はあったのか?これから再検証がはじまる。
※情報提供窓口(048-464-1413メディア黒書)
※筆者は、喫煙者でも愛煙家でもありません。
2020年11月17日 (火曜日)

KDDIは、11月5日、筆者に対して一方的に通信基地局問題に関する質疑応答の打ち切りを通知した。これに対して筆者は、基地局設置場所(朝霞市城山公園内)を提供している朝霞市に対して、基地局を2020年度中に撤去するように申し入れた。
◆一方的な基地局設置
事件の発端は、KDDIが朝霞市岡3丁目の朝霞市城山公園内に、一方的に通信基地局を設置したことである。(KDDIが朝霞市に支払う賃借料は、月額で約360円である。非常識な価格設定である。)
筆者が設置計画を知って、KDDIに中止を求めたところ、KDDIは一時的に工事をペンディングにした。そして筆者からの質問に文書で回答するようになった。KDDIの言葉を借りると、基地局の近隣住民に対する説明である。
ところがその質疑応答が完了していな段階で、KDDIは一方的に基地局設置工事を再開した。これが8月である。現場で抗議すると、警察を呼んだ。これ自体が企業コンプライアンスにかかわる行為である。
その後も質疑応答は続いた。
◆総務省の規制値に関するKDDIの見解
質疑応答のひとつの争点は、総務省の電波防護指針の安全性である。 総務省の電波防護指針について、KDDIは次のように安全性を強調した。
我が国の電波防護規制値は、国際非電離放射線防護委員会(ICNIRP)が策定し、世界保健機関(WHO)が支持する国際的なガイドラインと同等であり、世界各国の研究結果を基に十分な安全率が適用されております。
これに対して、筆者は日本の総務省の電波防護指針は、1000マイクロワット・パー・センチメートルであり、国際非電離放射線防護委員会(ICNIRP)の規制値900マイクロワット・パー・センチメートルをはるかに超えている事実を指摘した。
KDDIは、筆者の指摘を認めた上で、次のように質疑応答の打ち切り通知してきた。
6月から4ヶ月余り、いただいたご質問に回答させていただきました。
最近のご質問は黒藪様のこれまでのご経験からすると熟知されている内容と思われますので今回の回答を持って終了とさせていただきます。
質疑応答を終わるに際して、筆者は、11月17日、KDDIに対して次の点を確認した。
朝霞市城山公園内のKDD基地局に関する質疑応答の打ち切りの件です。一方的に説明を打ち切るということであれば、次の点を確認しておきます。
1、貴社は近隣住民に対して説明義務を果たさなかった。
2、基地局設置場所の賃借料4300円(年間)は、標準的な価格の範囲から著しく逸脱している。
3、基地局設置に際しては、朝霞市、あるいは朝霞市のみどり公園課とKDDIの間で特別な取り決めがあった。
以上について、疑義がある場合は、本日中にお知らせください。疑義がない場合は、連絡の必要はありません。
◆基地局撤去の申し入れ
また、朝霞市に対しては、2020年度中に基地局を撤去して、不当な賃借料の差額を市に返済するように求めた。11月6日付けの次の文書である。
城山公園のKDDI基地局問題に関して、次の申し入れを行います。
1、 今年中に、基地局を撤去すること。
2、 問題の共有地の賃借料を仮に月間6万円と想定したうえで、市長は、実際の賃料360円との差額を朝霞市に支払うこと。
今月中に回答していたくようにお願い申し上げます。
時系列は、以下の通りである。
【11月17日】
黒薮から藤田氏へ通告。
藤田様
朝霞市城山公園内のKDD基地局に関する質疑応答の打ち切りの件です。
一方的に説明を打ち切るということであれば、次の点を確認しておきます。
1、貴社は近隣住民に対して説明義務を果たさなかった。
2、基地局設置場所の賃借料が4300円(年間)は、標準的な価格の範囲から著しく逸脱している。
3、基地局設置に際しては、朝霞市、あるいは朝霞市のみどり公園課とKDDIの間で特別な取り決めがあった。
以上について、疑義がある場合は、本日中にお知らせください。疑義がない場合は、連絡の必要はありません。
黒薮
【11月6日】
黒薮が朝霞市のみどり公園課に、問題の基地局を今年中に撤去するように通知した。
朝霞市みどり公園課
大塚課長
城山公園のKDDI基地局問題に関して、次の申し入れを行います。
1、 今年中に、基地局を撤去すること。
2、 問題の共有地の賃借料を仮に月間6万円と想定したうえで、市長は、実際の賃料360円との差額を朝霞市に支払うこと。
今月中に回答していたくようにお願い申し上げます。
黒薮
【11月6日】
黒薮から藤田氏に質問。
藤田様
今回をもって朝霞市城山公園の基地局問題の対応は、終わるとのことですが、わたしは、まだ明確にしてほしい事柄がたくさんあります。貴殿は、責任をもって対処する約束をされたはずですが。
今後、貴社の見解を確認せずに記事を書いたり、チラシを作成しても、抗議等を行わないと解釈してもよろしいでしょうか。取材拒否の扱いで、差支えないでしょうか。
黒薮
【11月5日】
藤田氏から黒薮に対する回答。ICNIRPの規制値が900マイクロワット・パー・センチメートルであることを認めた上で、質疑応答の打ち切りを一方的に宣言してきた。
黒薮様
KDDIエンジニアリング(株)
藤田です。
周辺にお住まいの方への対応として連絡させていただいております。
城山公園に設置する基地局に関して頂いたお問合せについて回答させて頂きます。
国際非電離放射線防護委員会(ICNIRP)は、「時間変化する電界、磁界
及び電磁界による曝露を制限するためのガイドライン(300GHzまで)」として
公表しています。その中で、時間的に変化する電界及び磁界への公衆の曝露に関する参考レベルの記載があり、周波数によって算出式が異なります。
「900マイクロワット・パー・センチメートルで間違いないか」とのことで
すが、同ガイドラインでは400-2000MHzにおける電力密度の基準値は、f/200
(ワット/平方メートル )となっています。 *f=周波数(MHz)
逆算すると1.8GHzで算出したものと推測いたします。1.8GHzで算出した場合
、正確には、9(ワット/平方メートル)=900(マイクロワット/平方センチ
メートル)となります。
6月から4ヶ月余り、いただいたご質問に回答させていただきました。
最近のご質問は黒藪様のこれまでのご経験からすると熟知されている内容と思
われますので今回の回答を持って終了とさせていただきます。
ご理解の程よろしくお願いいたします。
【10月29日】
黒薮から藤田氏へ。
藤田様
9月24日付けの貴殿の回答は次のように述べています。
「我が国の電波防護規制値は、国際非電離放射線防護委員会(ICNIRP)が策定し、世界保健機関(WHO)が支持する国際的なガイドラインと同等であり、世界各国の研究結果を基に十分な安全率が適用されております。」
念のために確認させていただきますが、国際非電離放射線防護委員会(ICNIRP)の規制値は、900マイクロワット・パー・センチメートルで間違いありませんか。
【11月5日】
藤田氏から黒薮へ。
黒薮様
KDDIエンジニアリング(株)
藤田です。
周辺にお住まいの方への対応として連絡させていただいております。
城山公園に設置する基地局に関して頂いたお問合せについて回答させて頂きます。
国際非電離放射線防護委員会(ICNIRP)は、「時間変化する電界、磁界
及び電磁界による曝露を制限するためのガイドライン(300GHzまで)」として
公表しています。
その中で、時間的に変化する電界及び磁界への公衆の曝露に関する参考レベル
の記載があり、周波数によって算出式が異なります。
「900マイクロワット・パー・センチメートルで間違いないか」とのことで
すが、同ガイドラインでは400-2000MHzにおける電力密度の基準値は、f/200
(ワット/平方メートル )となっています。 *f=周波数(MHz)
逆算すると1.8GHzで算出したものと推測いたします。1.8GHzで算出した場合
、正確には、9(ワット/平方メートル)=900(マイクロワット/平方センチ
メートル)となります。
6月から4ヶ月余り、いただいたご質問に回答させていただきました。
最近のご質問は黒藪様のこれまでのご経験からすると熟知されている内容と思
われますので今回の回答を持って終了とさせていただきます。
ご理解の程よろしくお願いいたします。
米国大統領選の報道に接して、筆者が感じたことを、以下の4点に集約して記録しておこう。
1、民主党左派は社会主義者?
民主党の左派は、社会主義思想の持ち主だという報道があった。基礎学力を疑われかねないとんでもない誤報である。たとえば『プレジデント・オン・ライン』の次の報道である。
米国では今、社会主義が若者の間に広がっている。人種や年齢の差を超えて、社会主義の人気が高く、民主党在籍の議員たちの中に、社会主義を支持する人も少なくない。米国では、そんな彼らを「進歩主義者」と呼ぶが、その実態はと言えば、「社会主義者」である。■出典
民主党の中でも、サンダース上院議員が社会主義者の典型だという報道が独り歩きしている。そして多くの人々がそれを信じている。【続きはウェブマガジン】

『紙の爆弾』(2020年12月)の最新号は、筆者が寄稿した「徒(いたずら)に『差別者』を発掘してはならない」と題する一文を掲載した。内容については、同誌で確認してほしい。
この寄稿は、『紙の爆弾』の先月号から始まった「『士農工商ルポライター』は『差別を助長する』のか?」と題する連載企画の第2回の原稿である。
企画の発端は、同誌9月号が掲載した昼間たかし氏のルポの中で、昼間氏が使った次の表現に対して、部落解放同盟が鹿砦社側に釈明を求めたことである。
「『もうこのジャンルは書き終えたからやらない』と格好よく言いたいところだが、士農工商ルポライター家業。襤褸をまといあばやら暮らしもおぼつかない。だから、請われれば書いて、いま追いかけているテーマの取材費の足しにする」
この表現が、「差別を助長」するというのが、部落解放同盟の言い分である。これを受けて鹿砦社の松岡社長は、部落解放同盟に『紙の爆弾』誌上での論争を申し入れた。部落解放同盟もそれを承諾して、この企画が実現したのである。
タブー視されている差別表現についての論争である。本来であれば、朝日新聞あたりが取り上げなければならないテーマであるが、『紙の爆弾』が先陣を切ることになった。
なお、「士農工商」の後に職業を加えたレトリックは、昔から使われてきた。そのたびに部落解放同盟は、版元に釈明を求めてきた経緯がある。釈明を求められた側は、筒井康孝氏を除いて、謝罪してきた。

既報したように12月1日に東京地裁は、産経新聞の元販売店主が起こした「押し紙」 裁判の判決を下す。改めていうまでもなく最大の関心事は、判決の行方であるが、それと平行して、注目されているのは、司法による「政治判断」の有無である。
昔から新聞社がらみの裁判において裁判所は、新聞社に圧倒的に優位な判決を下す傾向がある。新聞社販売局の担当者の中には、店主に向かって、「あんらた裁判しても絶対に勝てないよ」と豪語している者もいる。
◆◆
新聞社による「押し紙」が公式に認定されたのは、2007年に最高裁で判決が確定した真村訴訟(原告:真村さん、被告:読売新聞)においてである。
本来であれば裁判所は、この判例に基づいて、「押し紙」問題を解決する方向性を判決に反映させるべきだが、実態は必ずしもそうはなっていない。真村訴訟の後、裁判所が「押し紙」を認定したケースは、2011年の山陽新聞(岡山地裁)、2020年の佐賀新聞(佐賀地裁)の2件に過ぎない。後者については、独禁法違反を認定した。
とはいえ2010年ごろから、「押し紙」裁判を和解で解決する流れは顕著になっている。新聞社が解決金を支払って、事件を解決するパターンである。たとえば、毎日新聞のケース(原告は、前出の元店主)では、解決金の額が推定3500万円になった。
なぜ、和解解決なのか?
わたしの推測になるが、権力構造に組み込まれている新聞社の「押し紙」政策を認定する判決を書くことを、裁判官が嫌がるからである。その結果、和解の提案、解決金の支払いという流れになる。
たとえば毎日新聞・関町販売店(東京・練馬区)の裁判で、双方が和解することが決まった時、最も喜んだのは、裁判所長だった。この裁判は、非公開(弁論準備のかたち)のかたちで行われた。
(ただし、わたしは傍聴が許可された。)
なぜ、非公開になったのか?
裁判官が新聞社に配慮したことが原因としか考えられない。
なぜ、裁判所が新聞社の顔色を気にするのか?
その理由はわたしにも分からない。勘ぐれば、新聞社が権力構造の一部であることを、裁判官も感覚的に把握していることが原因かも知れない。そこへメスを入れることは、大変なリスクを伴うのだ。
ちなみに公正取引委員会も「押し紙」を放置して来た。さまざまな理由をつけて、「押し紙」を放置している。これも不思議な現象である。
◆◆
12月1日に判決が下される産経新聞の裁判は、販売店の完全勝訴というのが客観的なわたしの見方である、事実、裁判官は、産経新聞に対して繰り返し和解を提案した。
裁判所が和解を提案するということは、新聞社に幾らかの損害賠償金を支払うように命じる方向性を持っていることを意味する。すなわち「押し紙」の存在を認定することが意中にあるのだ。販売店からの損害賠償請求を1円も認めないのであれば、わざわざ和解を提案するまでもなく、販売店を敗訴させる判決を下せばそれで済む話であるからだ。
◆◆
この裁判の「疑惑」は、結審の直前の5月、コロナウィルスの感染拡大で東京地裁が閉鎖されている間に、3人の裁判官のうち2人が交代したことである。不自然な動きだ。判決の直前に裁判官が交代に立った場合、「押し紙」裁判に限らず、裁判の流れが変わることがよくある。
たとえば滋賀医科大事件の大津地裁判決である。この裁判では、国立大学の在り方が問われていた。NTTドコモを被告とする三潴裁判の福岡地裁判決である。この裁判では、国の電波政策が問われた。
わたし自身は、対読売裁判で地裁、高裁と勝訴して、最高裁で逆転敗訴した体験がある。最高裁は、見解を示したにしても、わたしにしてみれば不自然なことである。読売のために、最高裁がわざわざ口頭弁論を開いて、判決を東京高裁へ差し戻したのである。
12月1日の判決は、勝敗だけではなく、司法における政治判断の有無も注目されている。かりに裁判所が販売店を敗訴させるとすれば、どのような理論構成の判決が下されるのか、特にネットメディアの注目が集まっている。
2020年11月07日 (土曜日)

はからずも米国大統領選で、トランプ大統領が引き起こした「不正選挙」をめぐる混乱を通じて、トランプ政権がこれまでラテンアメリカに対して採用してきた対外政策が輪郭を現してきた。
ラテンアメリカに関する日本の新聞報道は、米国のFOXニュースのレベルである。キューバのPrensa LatinaやベネズエラのTelSurの報道内容とは、対極にある。ただ、現地を取材して直接、自分の目で真実を確認できないわたしは、どちらの情報を信用すべきなのか長いあいだ分からなかった。
それゆえにわたしは、メディア黒書でラテンアメリカの話題をあまり取り上げてこなかった。
しかし、米国の大統領選の後に浮上した米国民の分断を見て、Prensa LatinaやTelSurの情報の方が真実を伝えているという確信を得た。
ベネズエラ、ニカラグア、ボリビアで行われた最新の大統領選について、日本のメディアは次のように報じている。これらの国は、米国でいま起きていることを経験したのだ。
ベネズエラ(2018年)
南米ベネズエラの大統領選で反米左派「統一社会党」のマドゥロ大統領(55)が再選して一夜明けた21日、トランプ米政権は「選挙は公正ではなかった」として新たな制裁を科すと発表した。(毎日新聞)
このような報道が日本にマドゥロ大統領を批判する世論を生み出した。共産党までが、それを鵜呑みにして、反ベネズエラの姿勢を鮮明にしたのである。
ニカラグア(2016年)
中米ニカラグアの大統領選挙で、左派の現職ダニエル・オルテガ(Daniel Ortega)大統領(70)が7日、3選を決めた。副大統領には妻のロサリオ・ムリジョ(Rosario Murillo)氏が就任する。しかし、野党勢力や米国は選挙の不正を指摘している。(AP通信)
ボリビア(2019年)
南米ボリビアのモラレス大統領が10日、辞任を表明した。10月の大統領選で再選を決めたばかりだったが、選挙を巡る不正疑惑で抗議デモが拡大し、軍も辞任を求めていた。ガルシア・リネラ副大統領も辞任した。(朝日新聞)
これら3カ国で問題になった「不正選挙」を、日本のメディアは既成事実として報じた。それは、「西側メディア」の視点である。しかも、ボリビアのケースにように、クーデターについては一切ふれずに、モラレス大統領が亡命したことだけを伝えたのである。
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ちなみに米国によるラテンアメリカ諸国に対する内政干渉については、過去に米国が行った軍事介入を示す次の図を見れば明らかである。
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しかし、今世紀に入るころから米国は、極力、軍事介入を控えるようになった。と、いうのもラテンアメリカに議会制民主主義が定着して、世論が軍事介入を容認しなくなったからだ。
そこで米国が選んだのが、軍隊を投入する代わりに、現地の市民運動を資金面や戦略面でサポートして、草の根レベルで混乱を引き起こす戦略だった。それを「民主化運動」とした。
米国はこのような政策に米州機構や一部の人権擁護団体も巻き巻き込んだ。メディアも協力した。2018年のボリビアの大統領選挙では、米州機構が「不正選挙」キャンペーンのイニシアティブを取った。
米国によるこのような新戦略のスポンサーについては、次の記事を参考にしてほしい。
【参考記事】米大統領選挙、バイデン圧勝か?「不正選挙」と暴力というトランプのプロパガンダと戦略、既にベネズエラ、ボリビア、ニカラグアで失敗を実証済み
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米国大統領選の後、トランプ大統領が「不正選挙」キャンペーンをはじめたことで、はからずもトランプ政権下の対ラテンアメリカ政策が露呈した。露骨な軍事介入ができなくなったから、現地の市民運動を育成して、「民主化」を理由に混乱を引き起こし、その隙に乗じてクーデターで政権の転覆を企てる戦略を採用するようになったのである。
事実、ベネズエラ、ニカラグア、ボリビアでクーデターを試みた。ベネズエラとニカラグアでは未遂に終わったが、ボリビアでは成功した。
このような視点から、チリやコロンビアで起きている暴力と国民の分断現象を再考してみるべきだろう。香港の問題も、同じ対外政策が根底にある可能性が高い。中国が採用した対抗策は強権的だが、その背景にある米国の戦略も検証する必要があるのだ。
皮肉なこともトランプ政権の牙(きば)は、いま米国民をターゲットにしている。

ノンフィクション作品の質を決める最大の要素は、テーマの重さである。さらに欲を言えば実体験。そして表現という点では、第3者がそれを取材して書くよりも、当事者が綴る方が説得力が何倍にも増す。若林盛亮氏の「『よど号』で飛翔五十年、端境期の闘いは終わっていない」は、これらの条件を兼ねそなえた傑作だ。著者は、ピョンヤンから、同時代の日本へメッセーを送っている。
若林氏についてインタネットで検索して、筆者は次の経歴をみつけた。
滋賀県草津市生まれ。滋賀県立膳所高等学校を経て同志社大学経済学部に入学。在学中、1970年によど号ハイジャック事件を起こし、北朝鮮に亡命。 1976年に結婚し、妻である若林佐喜子と平壌に在住している。(ウィキペディア)
幼いころから若林氏は、戦後日本に対する違和感を感じていたという。戦後民主主義の影響を受けて教壇に立ちながら、その一方で運動会の行進曲に軍艦マーチを流したり、戦争体験を自慢する教師に、異質なものを感じたという。
この種の違和感は、筆者も繰り返し体験してきた。「君が代」斉唱を強制しながら、同和教育では、「一切の差別を廃止する」と宣言した教師。旧日本軍と同じ詰襟の制服が当たり前だった中学校と高校。そんな記憶があるがゆえに、若林氏が表現している感覚が自分のことのように理解できる。
若林氏は、戦後日本に対する違和感を同志社大学に入学した後も持ち続ける。そして理不尽なことに対しては闘うべきだと考え、学生運動に参加して、よど号のメンバーになる。「座して死を待つよりも困難に挑戦し乗り越えていくべきという『常識』」が、若林氏を駆り立てたのである。
ところが朝鮮に渡り、「日本革命」のための軍事訓練に励んだり、朝鮮の関係者との交流を深めるなかで、自分たちが目指した武力による「世界革命」の思想はどこかおかしいと感じるようになる。そして何が間違っていたのかをまじめに総括するようになった。
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1970年代に学生運動を体験した人々の大半は、社会に出ると順々な企業戦士になった。学生運動の記憶を払拭し、なかには積極的に労働運動を弾圧する立場になった面々も少なくない。これらの人々こそが、失われた30年を作った確信犯ではないか。
こんな時に、物事を本気で考え、命がけで行動し、近くて遠い祖国を海外から見続けてきた人が、時代の境界を越えて、ピョンヤンから日本へ届けた言葉は重い。
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本書には、若林氏のほか次の方々が1970年について寄稿している。田原総一郎、中川五郎、矢作正、高橋幸子、田所敏夫、長崎浩、岩永正敏、高部務、板坂剛、三上治、中島慎一、前田和男、糟谷プロジェクト。
タイトル:『1970年 端境期の時代』
編集者:鹿砦社編集部
出版元:鹿砦社
2020年11月03日 (火曜日)

東京都内のIT企業でAI(人工知能)の開発に携わっている中国人の柳大海(仮名、38歳)さんは、3年ほど前に東京都大田区南六郷にある分譲マンションを購入した。そこは京浜急行の雑色駅から徒歩で10分、民家や中層のビルが建ち並ぶ住宅街である。
柳さんの住居は、7階建てマンションの最上階である。2LDK。広々としたルーフバルコニーもある。築20年ほどの中古物件だが、物件管理が行き届いているので、新築のような印象がある。柳さんは月々約10万円のローンを返済している。柳さんは20代のときに仕事で来日し、その後、職能を高く評価されて日本企業に転職した。日本の生活にもなじみ、永住するつもりでマンションを購入したのである。
その柳さんに不穏な話が持ち上がったのは、今年の8月だった。楽天モバイル(以下、楽天)が柳さんの住居の真上に通信基地局を設置する計画を、マンションの管理組合に打診してきたのだ。柳さんが言う。【続きはビジネスジャーナル】
2020年11月03日 (火曜日)

NBCニュースとウオールストリートジャーナルは、米国大統領選の最新世論調査の結果を報じた。 それによるとバイデンが52%で、トランプが42%だった。米国大統領選挙の行方は、接戦というよりも、バイデンが圧勝する可能性が高い。
しかし、一部のメディアによると、トランプ陣営は、敗北した場合に不正選挙を理由に法廷闘争を開始する可能性が高いとも伝えている。選挙後の混乱の舞台となる可能性が高い大都市では、窓を板で覆って暴動に備える商店やレストランもあるという。銃を購入する市民も急増していると伝えている。
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日本のメディアは、ほとんど報じていないが、ベネズエラ、ボリビア、ニカラグアでも、大統領選のあとに混乱が起きている。これらの国々では、敗北した右派陣営が不正選挙を主張して混乱を引き起こした。トランプの戦略が、そのままラテンアメリカにも持ち込まれたのだ。
米国政府がみずからの「裏庭」に内政干渉してきたわけだから、ある意味では当然の光景だ。
その典型例がボリビアである。2019年の大統領選で、現職のモラレス大統領(左派)が勝利していながら、保守陣営が「不正選挙」を主張した。そのイニシアティブを取ったのは、米州機構(Organization of American States)だった。メディアを動員して「不正選挙」を大々的にPRし、モラレス大統領派と反政府勢力との対立をあおり、その混乱に乗じて、クーデターを起こしたのである。
幸いにモラレス大統領は、メキシコに亡命して難を逃れた。
日本のメディアは、クーデターの事実には一切ふれずに、混乱の中でモラレス大統領が亡命したとだけ伝えた。それから1年後に実施された再選挙では、モラレス大統領の後継者であるアルセ候補が圧勝した。モラレス大統領も、この7日に帰国する予定だという。
ちなみにクーデターでは、死者も出ており、アルセ新政権下で検証作業が行われる可能性が高い。
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2018年のベネズエラの大統領選後にも、メディアは大々的に「不正選挙」というプロパガンダをまき散らした。そして選挙候補ですらなかった親米派の国会議員が、みずからベネズエラ大統領を宣言したのである。ボリビアとよく似た手口である。
ニカラグアについてもメディアは、現在のオルテガ政権が不正選挙によって成立したというプロパガンダを拡散している。オルテガ政権が暴力によって反政府運動を弾圧していると報じている。
ニカラグアのケースで、反政府・市民運動を主導しているのは、MCI(movimiento civico de Junentude,青年市民運動)というグループである。この団体は、米国の民間団体NDI(National Democratic institite)に所属している。NDIの創始者がみずからニカラグアの反政府運動のコーディネーターを務めている。
このNDIをサポートしているのが、次の4団体である。
1、 The National Endowment for Democracy,(全米民主主義基金)
2、the United States Agency for International Development (アメリカ合衆国国際開発庁 )
3、 the U.S. Department of State (米国国防省)
4、 Consortium for Elections and Political Process Strengthening
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米国の対ラテンアメリカ戦略は、今世紀に入るころから急激に変化してきた。かつてはラテンアメリカで政変が起きると米国は、容赦なく軍事介入していた。あるいはCIAの策略でクーデターを起こした。具体例としては、1954年のグアテマラ、1959年のキューバ、1973年のチリ、1980年代の中米(ニカラグア、エルサルバドル、グアテマラ)への介入である。
しかし、1999年のベネズエラを皮切りに、ラテンアメリカに次々と左派政権が誕生すると、米国は軍事介入という伝統的な戦略が取れなくなった。いずれの政権も選挙により合法的に誕生した経緯があったからだ。社会進歩の中で、軍事介入を容認しない世論が生まれてきた結果である。
が、米国政府はラテンアメリカに権益を持つ多国籍企業を見捨てるわけにはいかない。そこで新たな戦略を打ち出してくる。それがトランプ政権の下で、急激に浮上してきた市民運動を買収する戦略である。資金面でも戦略面でも市民運動を支援することで、混乱を引き起こし、暴力を誘発し、政権を転覆させる戦略である。このような戦略に、国際的な人権擁護団体や米州機構などの公的機関をも巻き込んでいる。
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トランプ大統領は、米国の対ラテンアメリカの戦略と、まったく同じ戦略を、今度は米国内にも適用しようとしている。

