
産経新聞社が新聞販売店に搬入する産経新聞の部数が、今年3月に100万部を下回った。1990年代には、約200万部を誇っていたから、当時と比較すると半減したことになる。かつて「読売1000万部」、朝日「800万部」、毎日「400万部」、産経「200万部」などと言われたが、各紙とも大幅に部数を減らしている。新聞の凋落傾向に歯止めはかかっていない。
コンビニなどで販売される即売紙を含む新聞の総発行部数は、3月の時点で次のようになっている。()内は、前年同月差である。
朝日新聞:4,315,001(-440,805)
毎日新聞:1,950,836(-58,720)
読売新聞:6,873,837(-281,146)
日経新聞:1,731,974(-148,367)
産経新聞:1,038,717(-177,871)
旧ソ連のプラウダが消えて後、新聞の世界ランキングの1位と2位は、読売新聞と朝日新聞が占めてきた。しかし、現在の世界ラングを見ると、USAツデーやニューヨークタイムスがトップ争いを演じている。これはひとつにはコロナウィルスの感染拡大を背景に、電子版が台頭したことに加え、国際語としての英語の優位性が、それに拍車をかけた結果にほかならない。英語の電子媒体は、すでに地球規模の市場を獲得している。
その結果、「紙」と「部数」の呪縛を排除できない新聞社は没落の一途を辿っている。公表部数そのものが全くのデタラメではないかという評価が広がっている。
◆新聞セールス団が新聞購読料を負担

YC大門駅前(広島県福山市)の元店主・濱中勇志さんが読売新聞大阪本社を相手に起こした「押し紙」裁判の口頭弁論が、5月18日、ウェブ会議のかたちで行われ、原告弁護団(江上武幸弁護士ら)が、従来の4120万円の請求額を1億2486万円に引きあげる申し立てを行った。同弁護団の「請求の拡張申立書」によると、増額の背景に、当初、請求対象にしていた時期とは別の時期に「押し紙」が存在したことを裏付ける新資料を入手した事情がある。
当初、濱中さんは2020年8月に、4120万円の損害賠償を求める「押し紙」裁判を起こした。この時点での請求の根拠は、2017年1月から2018年6月(廃業時)までの約1年半における「押し紙」の損害額と、それに付随する弁護士費用だった。請求の対象期間を1年半に限定していたのは、それ以前の時期については、「押し紙」の存在を裏付ける有力な証拠が乏しかったからである。
ところがその後、開業当初からの「押し紙」の証拠の存在が明らかになった。そこで濱中さんの弁護団は、開業時の2012年まで遡って、損害額などを再計算した。
その際、提訴当時の請求額も微修正した。
請求額を拡張する上で有力な根拠となった資料は、「販売店経営内容調査表」と呼ばれる書式である。これは店主が自店の経営実態を読売本社に知らせるための書式で、新聞の定数(搬入部数)や実配部数などを入力する。たとえば開業時の2012年4月の時点で、YC大門駅前の定数は、1641部だった。これに対して実配部数は874部だった。予備紙を定数の2%とすると、「押し紙」は894部になる。
濱中さんは「販売店経営内容調査表」を読売本社に電送していた。そうなると当然、YC大門駅前に大量の残紙があることを読売が認識していたことになる。
ただ、「販売店経営内容調査表」の提出は定期的なものではないので、「押し紙」部数の計算を、推定に頼らざるを得ない月もある。確実に言えるのは、大量の残紙を生む新聞社のビジネスモデルがあることである。
◆◆
口頭弁論が終わった後、濱中さんの弁護団は、「読売販売店元経営者の濱中勇志氏の請求の趣旨拡張申立のご報告」と題する文書を公開した。その中で、「押し紙」の違法性につて次のように述べている。
「押し紙は、独禁法に違反するだけでなく、民法709条の不法行為・民法415条の法令遵守義務違反の債務不履行・民法90条の公序良俗違反のいずれにも該当する違法行為であると考えており、押し紙の仕入代金の返還や損害賠償の請求は廃業前10年に遡って可能だと考えております」
また、販売店に向けて、「押し紙」対策を次にように助言している。
「新聞社は読売に限らず、独禁法の新聞特殊指定の定めがあるため、建前としては販売店に注文部数を自由に決定する権利のあることを認めています。
内容証明郵便や録音電話・メール等で、時期・部数を明示して押し紙を減らすよう新聞社に求めることをおすすめします。新聞社は減紙に応じるはずです。また、それを減紙の申し出を理由に強制改廃することは法的には許されません。
しかし、最近、廃業する販売店に対して、押し紙裁判の提訴等を念頭においているからと思われますが、廃業後は押し紙の損害賠償請求はしない旨の確約書の作成を求められる事例が報告されています。
もし、廃業に際しそのような確約書の作成を求められた場合は、署名・押印を拒否して最寄りの弁護士会に相談されることをおすすめします。」
弁護団が公表した文書の全文は次の通りである。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
【読売販売店者の濱中勇志さんの請求の趣旨拡張申立のご報告】
弁護士 江上武幸 (PDF)
読売新聞大阪本社を被告とする大阪地方裁判所令和2年(ワ)第7369号の損害賠償請求訴訟において、この度、原告濱中勇志さんは訴状で請求した損害金4120万円(弁護士費用を含む)を1億2486万円に増額する請求金額の拡張を行いました。なお、関心のある方は末尾に添付した「請求の拡張申立書」をご覧ください。
令和2年の提訴当時、濱中さんの販売店には、実配数を示す資料は廃業前の1年半分しか残されていませんでした。そのため、提訴時点では、1年半分の押し紙の仕入代金と1割相当の弁護士費用の合計4120万円しか請求していませんでした。
提訴後、読売側から平成27年7月から28年12月までの「定数カードWeb報告書」が提出されましたので、平成24年4月の開業から平成27年6月までの「定数カードWeb報告書」(データーを含む)も追加して提出するよう求めましたが、現在に至るも提出されていません。
そこで、原告弁護団は推定計算に基づき、請求金額を1億2486万円に増額することにしました。
押し紙は、独禁法に違反するだけでなく、民法709条の不法行為・民法415条の法令遵守義務違反の債務不履行・民法90条の公序良俗違反のいずれにも該当する違法行為であると考えており、押し紙の仕入代金の返還や損害賠償の請求は廃業前10年に遡って可能だと考えております。
本件裁判で読売は、適正予備紙2%を定めた以前の地区協議会のモデル細則についても、業界の自主ルールに過ぎないから法的拘束力は有しないという趣旨の主張を行っています。
また、無代紙(サービス紙)についても、配布が禁止されているにもかかわらず販売店経営に必要な部数として処理すべきであるなどと、販売正常化に真っ向から反する主張を公然と行っています。
読売新聞グループ本社の渡辺恒雄代表取締役・主筆は、令和4年度の読売新聞三社の賀詞交換会の席上、「読売新聞1000万部体制の復活」の決意を披瀝しております。読売新聞の発行部数はすでに700万部を切っているにもかかわらず、このような現実を無視した発言が公の場でなされており、しかも、そのような妄言をたしなめる側近は誰もいないようです。
押し紙により経営に苦しんでおられる読売新聞販売店経営者の皆さんの苦難はいつまで続くことになるでしょうか。
40年ほど前ですが、読売の丸山巖専務取締役販売局長は「本社が販売店に送りつける押し紙で、配達もされずに梱包のまま残紙屋に回収される残紙が、なんと年間300億円にもなる。こんな無駄が許されるわけがない。」、朝日の古家哲夫常務取締役(販売担当)は「内部努力ではもうだめ。公権力が入ってこざるを得ない。そこまで販売乱戦の危機は深刻化している。」と発言したそうです(新潮社 河内孝著 「新聞社 破綻したビジネスモデル」)。
押し紙問題は、新聞社が身をきる覚悟をしない限り、100年たっても自主解決は出来ないでしょう(当弁護団が知る限り、「熊本日々新聞」は社を上げて押し紙問題の解決を実現しています。)。
私たちは、引き続き新聞社に押し紙の自主解決を呼びかけると同時に、司法権の発動による根本的解決を目指して、押し紙裁判を担当していきます。
皆様のご支援を引き続き御願いする次第です。
(追記)
~販売店経営者・新聞記者、新聞労連等労働組合の皆様~
コロナ禍にあって、急速な購読部数や折り込み収入・紙面広告収入の減少により、販売店だけでなく新聞発行本社の経営も一段と厳しい状況が続いています。
新聞社は読売に限らず、独禁法の新聞特殊指定の定めがあるため、建前としては販売店に注文部数を自由に決定する権利のあることを認めています。
内容証明郵便や録音電話・メール等で、時期・部数を明示して押し紙を減らすよう新聞社に求めることをおすすめします。新聞社は減紙に応じるはずです。また、減紙の申し出を理由に強制改廃することは法的には許されません。
しかし、最近、廃業する販売店に対して、押し紙裁判の提訴等を念頭においているからと思われますが、廃業後は押し紙の損害賠償請求はしない旨の確約書の作成を求められる事例が報告されています。
もし、廃業に際しそのような確約書の作成を求められた場合は、署名・押印を拒否して最寄りの弁護士会に相談されることをおすすめします。
押し紙問題を自主的に解決しようとしない新聞社のモラル崩壊が、このような形で極限まで進行している状況に驚くと同時に、新聞社のモラル崩壊が社会の隅々に生じているモラル崩壊にも直接・間接に重大な影響を及ぼしているのではないかと危惧しています。
販売店の皆さんや新聞記者の皆さんが、新聞業界の販売正常化を目指し、それぞれの立場で押し紙撲滅にむけて引き続き奮闘されることを期待しています。
◆資料

神奈川県真鶴町の松本一彦町長が町職員だった2020年2月、選挙人名簿抄本などを盗み出し、みすからが出馬した町長選で利用した問題を調査していた「選挙人名簿等流出に係る第三者委員会」は、4月28日、「報告書」を公表した。報告書は、松本町長と元職員、それに松本町政が誕生した後に選挙人名簿を受け取った町議らを刑事告発することが相当と結論ずけた。
これを受けて真鶴町は、「関係当事者に対する刑事告発及び損害賠償請求を行います」とする談話を発表した。談話の発信者は、「真鶴町長 松本一彦」となっており、型式上は松本町長が自身を含む関係者に対して刑事告発することになった。起訴される可能性が高い。【続きはデジタル鹿砦社通信】
2022年05月17日 (火曜日)

大阪市浪速区の39階建ての高層マンションの屋上に楽天モバイルが通信基地局を設置する計画が、5月8日、住民らの反対により中止に追い込まれた。住民によると、マンションの管理組合は、基地局設置の賛否を採決する予定にしていたが、住民からの反発が強く、議案そのものを廃案にしたという。
実際、この基地局については、住民の間から戸惑いの声が上がっていた。楽天は、基地局は緊急時用のもので、「普段は停波しており、災害時や停電トラブル時などに起動します」と説明していたが、基地局の規模が尋常ではなかったことが、住民の不安を喚起したようだ。後に判明したことだが、この基地局は、最大で半径約7kmのエリアをカバーする。
また、計画が中止になった背景に、電磁波による人体影響に関する知識が国民の間に浸透し始めて事情もある。
次の記事がこの件に関する初出記事である。
■楽天モバイルが「非常時のみ運用する基地局」の計画を住民に打診、大阪市浪速区の高層マンション
記事の中で筆者は、楽天に送付た質問状を引用した。次の質問である。
貴社は、「緊急時の基地局」と明記されていますが、普段は稼働しないという意味でしょうか。また、この計画について、近隣住民に対して説明会を開催されたでしょうか。
この質問に対して、5月12日に下記の回答があった。
お問い合わせいただいている件につきまして、ご連絡までお時間をいただき恐縮ですが、社内で確認させていただきましたので、以下の通り回答申し上げます。
「携帯電話基地局の停電対策として、災害用携帯電話基地局として、最大半径約7kmのエリアをカバーする緊急時用の臨時基地局の設置等を行っております。
これは、災害発生時にも、お客様に安心して通信サービスをご利用いただくための取り組みとなります。
基地局の設置に関する個別のお問い合わせについては回答を控えさせていただきます。」
楽天は、基地局の性質について、「災害用携帯電話基地局」と回答した。また規模については、「最大半径約7kmのエリアをカバーする」と述べている。
普通の基地局(4G)の場合、カバーエリアはおおむね1キロ以内であるから、楽天が浪速区の高層マンションに設置を計画した基地局は、かなり強力なものだったことが推測される。
しかし、案内書には、電波防護指針を「大きく下回る微弱な電波を送受信しておりますので、電磁波による人体への影響はございません」と書いている。
わたしは楽天が当該マンションの住民に提供した情報の中身について、総務省と電波を割り当てている近畿総合通信局に問い合わせてみた。
【総務省】緊急時用の基地局という場合、通常は車両に基地局を積んで移動するものをいう。ビルの上に緊急時用のものを設置するという話は聞いたことがない。
【近畿総合通信局】緊急時用の基地局に対して特別に周波数を割り当てることはない。普通の基地局と同じ扱いになる。基地局の運用状態は把握しない.。
つまり楽天は住民に対しては緊急時用の基地局と説明したが、基地局の運用は楽天の裁量に委ねられることになる。
◆基地局設置計画の中止が相次ぐ、横浜市や川崎市で
このところマイクロ波による人体影響について知るひとが増えている。それに伴い、電話会社が基地局設置に失敗する例が相続いている。15日には、神奈川県川崎市でも、楽天の基地局設置計画が中止に追い込まれた。4月中には横浜市の磯子区と西区で、住民が楽天の基地局設置計画を撤回させた。
電話会社が、総務省の規制値を遵守するから安全だと繰り返しても、規制値そのものがデタラメだ。たとえば欧州評議会よりも1万倍もゆるく設定されている。このような説明上のトリックを、多くの住民が知り始めている。

横浜副流煙裁判で検察審査会が「不起訴不当」の議決を下したことを受けて、ニューソク通信が解説番組を配信した。タイトルは、「【横浜副流煙裁判】医師会のみならず"検察"の世界にも‥身近に迫る日本社会の巨大な"闇"」。ジャーナリストの須田慎一郎氏が、事件の経緯から順を追って分かりやすく解説している。
検察審査会の仕組みについても言及している。その上で、書類送検を受けて横浜地検が下した不起訴を批判的な視点から解説し、背景にある政治的なグレーゾーンにも言及している。日常生活の中で、前触れもなく住民の身のうえに降りかかってくる事件の危うさを伝えている。
津田氏はこれまでも繰り返しこの事件を報じてきた。今回の解説動画は、4月14日に検察審査会が「不起訴不当」の議決を下した後、最初のものである。
動画は次の通りである。
この番組には、次のようなコメントが寄せられている。一部を紹介しよう。
≪おかしいことに対して公におかしいと言える時代になってきたね
こういう不正を働いた者への公に対する背信行為は厳罰を持って対処する必要がある
診断書に不正をした医師の免許剥奪だけではなく犯罪として立件するべきだ≫
≪医道審議会が、作田医師の医師免許剥奪を決議しないと、医道審議会と医師会に対して、決定的に不信を抱きます。≫
なお、事件の経緯については、拙著『禁煙ファシズム』(右写真、鹿砦刊)に詳しい。時系列で描いている。

新聞社のグループ企業のひとつである販売会社が残紙の温床になっているという話は、昔からあった。わたしも、「販売会社が残紙の搬入先になっている」という話をよく耳にしてきた。
残紙の中身が「押し紙」か「積み紙」かにかかわりなく、新聞社と販売会社の商取引は、グループ内の物流になり、グループ企業全体としては残紙の被害を受けない構図がある。その結果、販売会社を対象にして、ABC部数を大幅に水増しする販売政策が横行する。グループとしては損害を被っていないから、内部告発者もなかなか現れない。
改めていうまでもなく、ABC部数を水増しする目的は、紙面広告の媒体価値を高めて、広告収入を増やすことである。また、それにより折込広告の定数も増やすことができる。
次に紹介する表は、広島県府中市における読売新聞のABC部数の変遷である。期間は2011年10月から2020年10月である。
表中の緑が示す期間は5977部にロック(固定)され、オレンジが示す期間は5697部にロックされている。しかも、ロックの期間は、複数年に渡っている。
しかし、福山市に住む読売新聞の読者数が複数年にわたって1人の増減もないことはありえない。つまり読売の購読を止めた読者の部数が、残紙になっている可能性が高い。
福山市を担当していたのは、読売グループに属する読売企画開発(販売会社)が経営する販売店だった。同社の経営が始まった年度は、現段階では確認していないが、つい最近まで経営母体だった。
※読売企画開発は、現在は業務を終了している。
◆◆
13日付けのメディア黒書で、朝日新聞倉敷販売(株)で新聞購読契約を大量に偽造してABC部数を水増ししていた手口を紹介したが、府中市の読売の例でも明らかなように、新聞社の販売会社には、グレーゾーンが存在するのである。
新聞の実配部数とABC部数が乖離していることで、被害を受けるのは広告主である。PR戦略を誤ることになりかねない。
ちなみに残紙や折込広告の水増しなど、新聞社経営の汚点は、公権力の側から見れば、メディアコントロールの口実になる。新聞がジャーナリズム性を発揮して危険な存在になった時は、残紙問題に介入して、新聞社経営に打撃を与えることができるからだ。
残紙問題に介入されると新聞社は、販売収入を大幅に失いかねない。場合によっては、30%、あるいは40%の水準で減らすことにもなりかねない。
このようなビジネスモデルの下で新聞ジャーナリズムは、「適度な批判」はしても、それ以上は踏み込めない。

契約書を偽造して発行部数を水増し、それをABC部数として公表していた事件の続報である。初出は次の記事である。
■朝日新聞倉敷販売(株)の偽造契約書事件、新聞セールス団に「押し紙」か?ABC部数のかさ上げの新手口①
裁判はセールス団の敗訴で、損害賠償は認められなかったが、わたしが着目したのは、むしろABC部数を水増しする手口である。朝日新聞倉敷販売(株)に非があるにせよ、セールス団に非があるにせよ、ABC部数が大幅に水増しされていた事実は重大だ。
わたしは内部資料の裏付けを取るために、倉敷販売が担当していた倉敷市における朝日新聞のABC部数の変化を検証した。期間は約10年。2011年10月から2021年10月である。次の表は、その詳細だ。
2011月10月のABC部数は2万4795部だったが、約10年後の2021年10月には1万1部にまで落ち込んでいる。大幅な減部数だ。しかも、部数の変遷が不自然だ。
たとえば2013年10月からの半年で、3200部も減っている。
2021年4月からの半年で、約3500部減っている。
元々のABC部数がデタラメだった可能性がある。少なくとも実配部数と公称部数に著しい乖離があったことは疑いない。(続)

横浜副流煙事件「反訴」の第1回口頭弁論が、10日、横浜地裁で開かれ、原告の藤井敦子さんが「(被告らは)事実的根拠のない所見を記載した診断書に基づいて高額請求に及んだ」として、裁判所に厳密な事実検証を求める上申書を口頭陳述した。
被告の作田学・日本禁煙学会理事長ら4人と、代理人の山田義雄弁護士、片山律弁護士は欠席した。原告側からは、藤井さんと古川健三弁護士とが出廷した。
※被告は、第1回口頭弁論に関して欠席が認められている。
◆◆
この事件は2017年11月にさかのぼる。藤井さん夫妻と同じマンションに住むAさん一家(夫妻と娘)が、藤井家の煙草が原因で「受動喫煙症」に罹患したとして、4518万円の損害賠償を起こした。しかし、藤井家からは、副流煙はほとんど漏れておらず、たとえ漏れていたとしても、気象庁の風向きデータによると、藤井家が風下になることが多く、A家への煙が流入していたとする主張には根拠がなかった。さらにA家3人の診断書のうち娘のものを、作田医師が診察せずに交付していたことが分かった。もちろん娘と面識はなかった。これは医師法20条違反である。
つまりA家の3人は、違法行為の下で作成された診断書を根拠として、4518万円の金銭請求を行ったのである。喫煙の禁止を請求しただけならともかく、高額の金銭請求を行ったのだ。
それが訴権の濫用にあたるとして、藤井夫妻は前訴の判決が確定した後に、A家の3人と診断書を作成した作田医師に対して約1000万円の損害賠償裁判を起こしたのである。
ちなみに藤井夫妻の地元、横浜市青葉区の青葉警察署は、2022年1月、作田医師を虚偽診断書行使の疑いで横浜地検へ書類送検した。横浜地検は、不起訴としたが、検察審査会が「不起訴不当」の議決を下した。
今回の民事訴訟は、A家による損害賠償裁判、藤井夫妻らによる刑事告訴に続く第3弾である。法的措置の前段の時期を含めると、事件は勃発から6年目に入っている。
◆山田弁護士、「今なお重大な健康被害を被っている」
被告の訴訟代理人山田弁護士(A家の3人の担当)は、10日に裁判所へ提出した答弁書の中で、「被告Aらが、原告らの喫煙によって今なお重大な健康被害を被っていることは厳然たる事実である」と述べ、現在も健康被害の原因が藤井さん夫妻にあるという事実を摘示している。
しかし、藤井敦子さんは、喫煙者ではない。夫の将登さんは、喫煙者であるが、自宅では1日に2、3本吸う程度である。しかも、喫煙場所は、防音装置がある密封性が高い音楽室に限られている。
前訴の確定判決で、Aらの健康被害と藤井将登さんの喫煙との間に因果関係は存在しないことが確定している。従ってAらの健康被害はタバコ以外に原因がある可能性が高い。
片山律弁護士(作田医師の担当)は答弁書の中で、作田医師の医師法20条違反を認定した前訴・横浜地裁判決について、「判決記載内容の限度で認め、その余は否認ないし争う」と述べている。今後、作田医師の医療行為が医師法20条に違反しないとする主張を展開する可能性が高い。
また藤井夫妻らが起こした刑事告発については、「虚偽告訴等罪を構成する可能性もあるため、被告作田においては、同罪についての告訴も検討している」と述べている。【続きはデジタル鹿砦社通信】
2020年3月度のABC部数が明らかになった。それによると産経新聞の販売店を対象としたABC部数が、はじめて100万部を下回った。同社の販売店部数は、99万7197部となった。コンビニ部数などを含む総部数は、約103万である。この1年で約18万部を減らしている。減部数の割合も高い。
朝日新聞は約432万部、読売新聞は約687万部となった。
詳細は次の通りである。
朝日新聞:4,315,001(-440,805)
毎日新聞:1,950,836(-58,720)
読売新聞:6,873,837(-281,146)
日経新聞:1,731,974(-148,367)
産経新聞:1,038,717 (-177,871)
なお、ABC部数には残紙が含まれており、実配部数との間に乖離がある。新聞業界は「押し紙」問題を半世紀にわたり未解決のまま隠してきた。
「押し紙」は、新聞社経営の最大の汚点で、公権力がこの点に着目すれば、メディアコントロールの道具として悪用することができる。新聞ジャーナリズムの最大の客観的障害となっている。
2022年05月08日 (日曜日)

NHK総合が放送する「所さん!事件ですよ」を制作する(株)テレビマンユニオンが、携帯基地局からの電磁波による健康被害を考える番組を中止したことがわかった。当初、担当ディレクターは、被害者を紹介するよう依頼し、筆者は4人の被害者を紹介したが、4人が取材を受けることすらなかった。ディレクターに事情を尋ねたところ、基地局の仲介業者からストップがかかったことを明かした。一方、プロデューサーは、「もともと電磁波による健康被害が取材目的だったのではなく、基地局設置工事の騒音被害を取材することが目的だった」などと、不自然な説明を繰り返した。筆者が、業界タブーがあるのではないかと尋ねると、「それは絶対にない」と強く否定。タブーという趣旨でこの問題の顛末を記事化することは不本意とも述べた。
【Digest】
◇電磁波問題を報じる欧米のメディア
◇電磁波問題は巨大ビジネスの障害
◇基地局に関する6本の記事
◇「番組の概要を添付します」
◇私が紹介した4件のトラブル
◇「NHKは関係がなく、ぼくらの取材が進まなかった」
◇NHKに対する問い合わせ
◇「原稿を入稿する前に読ませてほしい」
◇マスコミが報じない問題こそ報道価値が高い
「報道の自由度 日本 世界71位 “大企業の影響力 自己検閲促す”」と題して、NHK自身が、パリに拠点を置く国際ジャーナリスト団体「国境なき記者団」による報告書(2022年5月3日)の内容を報じている。世界180カ国・地域を対象とした調査結果である。
日本は韓国やオーストラリアと同様に「強まっている大企業の影響力がメディアに自己検閲を促している」として去年から順位を4つ下げて71位に後退しました。(2022年5月4日)
時事・日経も報じている。本件は、この「自己検閲」についての実態を示す「報道」である。
なお、協力を依頼してきた取材を担当するプロデューサーが、入稿前に「原稿を読ませてほしい」と言ってくるなど、ジャーナリズムの倫理が恐ろしく欠落したテレビ関係者の実態も明らかになった。私の視点からすれば、そもそもジャーナリズムではない。
2022年4月11日、私は(株)テレビマンユニオンのディレクターから1本の電話を受けた。自社が制作している「所さん!大変ですよ」(NHK総合)(4月から改題、「所さん!事件ですよ」)で、携帯電話の基地局設置をめぐるトラブルを取り上げる予定なので、取材対象者を紹介してほしいという。NHKがこの問題を取り上げれば、その影響力は計り知れない。断る理由はなかった。
基地局設置に伴う電磁波問題は、水面下で深刻になっているが、トラブルの発生源である携帯電話会社がマスコミの大口広告主という事情もあって、この話題を積極的に取り上げようというマスコミは皆無といっても過言ではない。
電磁波問題を扱った書籍は若干出版されているが、ベストセラーにでもならない限り、電磁波が新世代公害として広く認知させることはない。その意味で、NHKと連動した(株)テレビマンユニオンの試みは画期的だと思った。
2022年05月04日 (水曜日)

現代社会で最も普及している文明の利器は、スマートフォンである。電話会社は、スマートフォンの普及を押し進め、それに連動して通信基地局をアメーバ状に拡大している。総務省も全面的に電話会社の事業を支援し,マスコミは広告主である電話会社に配慮して、電磁波問題の報道を控えている。大学の研究者も、企業や国策をさかなでする電磁波による人体影響を研究テーマに選ぼうとはしない。巨大な相手を敵に回したくないからだ。電磁波問題はタブーなのである。
こうした風潮に逆行するかのように、『携帯電話と脳腫瘍の関係』(マーティン・ブランク、飛鳥新社)は、電磁波による人体影響を容赦なく指摘している。電磁波に関する欧米での研究成果を分かりやすく紹介している。
著者のマーティン・ブランクが最も懸念しているのは、電磁波が原因と推測される癌の増加である。従来、レントゲンのX線や原発のガンマ線は発癌を促す原因として認識されてきたが、それ意外の電磁波は安全とする考えが定説となっていた。たとえば日本の総務省は、この考えに基づいて1990年に、現在の電波防護指針を定めた。それを根拠として電話会社の携帯ビジネスにお墨付きを与えてきたのである。
ところがその後、特に欧米で電磁波の毒性に関する研究が前進し、現在ではエネルギーが高いX線やガンマ線だけではなく、マイクロ波や超低周波電磁波(送電線や家電からもれる電磁波)にもDNAを傷つけて発癌を促すリスクがあることが明らかになってきたのだ。それに伴い、たとえば欧州評議会は、日本の電波防護指針よりも1万倍も厳しい勧告値を設けた。電磁波による人体影響に関する従来の認識を大幅に改めたのである。
たとえば本書では、次のように通信基地局と発癌の関係に警鐘を鳴らしている。
「ブラジルでの研究でも同様の結果が報告されている。そこでがんの累積症例数がもっとも多かったのは、40.78μW/c㎡という高い電力密度の放射に曝露した人々だった。その発がん率は1000人当たり5.38件。より遠方に暮らし、曝露の電力密度が0.04μW/c㎡の人々は、がん発生率がもっと低く、1000当たり2.05人だった。こうした研究は、基地局が携帯電話に関連したリスクの大きな要素であることを示している」【続きはデジタル鹿砦社通信】
2022年05月03日 (火曜日)

携帯電話の基地局設置をめぐる電話会社と住民のトラブルが増えている。4月中だけで、わたしのところへ7件の相談があった。すべて楽天モバイルの基地局設置に関する相談である。
相談が増えている背景に、情報の入手源に国境の壁がなくなってきた事情があるようだ。欧州では電磁波被曝は、人体に何らかの悪影響を及ぼすという考え方が主流になっている。実際、携帯電話で使われるマイクロ波の規制値は、日本の1000 μW/c㎡ (マイクロワット・パー・ 平方センチメートル)に対して、欧州評議会は、0.1μW/c㎡を勧告している。欧州評議会は、日本よりも1万倍厳しく数値を設定しているのである。規制の次元が違うのだ。
ちなにみに日本の規制値は、世界標準をも上回っていて、米国と並んで世界で最もゆるやかな規制になっている。しかも、日本の場合、米国と違って基地局設置を規制する条例がほとんどないので、電話会社の事業が野放しの状態になっている。莫大な利益をあげている。
こうした構図の下で、電話会社による「迷惑行為」が急増しているのである。
◆非常時のみ運用する基地局
わたしのもとに寄せられた相談の中から興味深い事例を紹介しよう。
■トラブルの場所:大阪市浪速区にある39階建ての高層マンション
■電話会社:楽天モバイル
楽天がマンションの管理組合に打診している計画は、この建物の屋上と2階の天井部分に基地局を設置するというものである。このうち屋上に設置する基地局(下の図を参照)について、楽天は次のように住民に告知している。
非常時のみ運用する基地局となりますので、通常時は完全停波しております。
また非常時には楽天側から遠隔で操作し、電波発射対応を行います。
わたしはこのような基地局の運用を聞いたことがない。基地局は設置するが、「『通常時』は完全停波」の状態にすると住民に説明しているのである。この場合、住民はどのようにして電波状況を確認するのだろうか。通常、電波に関する情報は秘密事項で、総務省はいうまでもなく地方自治体も、電話会社も非公開としている。グレーゾーンにある。
ちなみに賃料は月額10万円となっている。
2階の天井部分に設置する基地局については、通常時の停波は明記していないが、楽天が住民に提示した図によると「5G」エリアは1階だけとなっている。(下の図を参照)このような設置方法もわたしは聞いたことがない。
賃料については、「設置承諾お礼金」が50万円支払われる。さらに電気代として、年間13万5600円が支払われる。
◆楽天モバイルへの問い合わせ
念のために楽天モバイルの広報部に次の問い合わせを行った。回答が得られ次第に紹介したい。
フリーランスライターの黒薮哲哉です。
このメールに添付しました貴社の資料についお尋ねします。
これらは貴社が大阪市浪速区●のタワーマンションの屋上と天井部分に設置を予定されている基地局からの電磁波照射範囲を示したものです。貴社は、「緊急時の基地局」と明記されていますが、普段は稼働しないという意味でしょうか。また、この計画について、近隣住民に対して説明会を開催されたでしょうか。
●基地局に関するトラブル相談
電話:048-464-1413
メール:xxmwg240@ybb.ne.jp
※相談・対策に料金はかかりませんが、プライバシーに十分配慮した上で取材対象になります。




