1. 「公開されない裁判」への違和感――外国人記者が見た日本司法の閉鎖性

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2026年05月20日 (水曜日)

「公開されない裁判」への違和感――外国人記者が見た日本司法の閉鎖性

本稿は19日付メディア黒書の続編である。浅野氏の講演に先立って行われた西村カリン氏の話のうち、特にわたしの印象に残った箇所を紹介する。19日付記事については、次のURLからアクセスできる。

浅野健一氏の「『石ころを石礫に』講演会で見えた元大学教授の本音」

西村カリン氏は、山上徹也裁判の公判を初回から判決まで傍聴した唯一の外国人記者である。外国人の視点から、日本の裁判制度がどのように見えるかを語った。(なお、以下の内容は『世界』〈2026年4月号〉に西村氏が執筆した記事と重なるため、より正確な記述にするため同誌も参考にした。)

西村氏によると、フランスでは注目度の高い裁判を行う際には、なるべく多くの人が傍聴できるよう、傍聴席を増設するという。仮設法廷を設けたり、複数の法廷をインターネットで結んだりして会場を設営する。「2015年12月のパリ同時多発テロで生存したテロリストが被告人となった裁判では、500席もの仮設法廷が設置された。それでも席数が足りないとの判断から、さらに11の法廷を利用し、ビデオリンクと大画面スクリーンの設置により、数千人規模の傍聴が可能になった」という。

ところが、山上徹也裁判における傍聴席は、記者席が32席、一般傍聴席も32席だった。しかも、大手メディアは速記録を取る必要があるため、一人の記者が全公判を傍聴することは実質的に不可能だ。録音も撮影も許可されていない。フランスの法廷では、その両方が認められている。さらに、被告人が腰縄を付けて入廷することにも違和感を持ったという。

裁判の進行も形骸化していて、あらかじめ準備した書面を読み上げるだけで、裁判官も裁判員もほとんど質問しない。フランスでは、むしろ「シナリオ」にないアドリブが重視されるという。

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傍聴席が少ないのは、日本の裁判に限ったことなのかどうかは不明だが、数年前、わたしはインターネットで中米グアテマラの裁判の様子を見て、衝撃を受けたことがある。言葉で説明するよりも、次の動画を見れば、日本の法廷といかに異なるかが判然とする。

この裁判は、1980年代前半に先住民族に対するジェノサイドを繰り返した元大統領リオス・モントを裁くものである。犠牲者の遺族が傍聴席を埋め尽くしている。

リオス・モントによる犯罪は国際問題にもなり、大きな注目を集めていたため、大規模な法廷が設置されたらしい。

※判決はリオス・モント被告に対する有罪判決。禁錮80年。

西村氏も指摘するように、日本では重大事件の裁判ですら傍聴が制限される。さらに最近では、インターネットで弁護士事務所と裁判所を結んで裁判を行うケースも多く、傍聴そのものができない事件が増えている。日本は先進国でありながら、司法制度にはなお多くの改善点があるのである。