2026年05月01日 (金曜日)
報道の自由度ランキングの実像――「国境なき記者団」と資金・政治の関係を検証する

国際NGO「国境なき記者団」は、4月30日に2025年度の「報道の自由度ランキング」を発表した。世界180の国と地域を対象に報道の自由度を評価・序列化したものである。日本は66位だった。上位5か国と下位5か国は次の通りである。
■上位5か国
1 ノルウェー
2 エストニア
3 オランダ
4 スウェーデン
5 フィンランド
■下位5か国
176位 イラン
177位 シリア
178位 中国
179位 北朝鮮
180位 エリトリア
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ところで、この恒例行事の主催者である「国境なき記者団」がどのような団体なのかという点については、ほとんど報じられていない。「国境なき…」という字面や音律から、ジャーナリズムの模範を提示している団体であるかのような印象がある。しかし、その内実は欧米の政界との距離が近く、見方によっては右派勢力のための世論誘導の機関になっているという指摘もある。
たとえば、2025年1月、トランプ大統領が米国国際開発庁を事実上閉鎖し、メディア向けの2億6800万ドル(約402億円)の予算を凍結した際、国境なき記者団(RSF)は「この決定を強く非難する」とする声明を発表した。その中で、はからずも次のような事実が明らかになった。
「(USAIDによる)援助凍結が発効するとほぼ同時に、米国の援助資金を受けている世界各地の報道機関や報道支援団体が、混乱や不安、先行き不透明感を訴えてRSFに連絡を寄せ始めた。「2023年に同機関(USAID)は6200人のジャーナリストに対する研修と支援に資金を提供し、707の非国家系ニュース媒体を支援し、さらに独立系メディアの強化に取り組むメディア分野の市民社会組織279団体を支援した。」
ホワイトハウスによるメディアへの資金提供の中止を強く批判しているのである。国境なき記者団がUSAIDから資金援助を受けてきた証拠はないが、第2次トランプ政権以前の時期までUSAIDの傘下にあった全米民主主義基金から支援を受けてきたことは、ネット上で確認できる。
NEDのウェブサイトに掲載されている資金提供先に「国境なき記者団」の名前がある。2005年度に3900ドル(約600万円)の資金を受けている。資金の使用目的については、次のような記述がある。■出典
「エリトリア、ジンバブエ、ソマリア、コートジボワールにおいて、報道の自由を強化し、報道関係者への弾圧を減少させるため、RSFは投獄されたり脅迫を受けたりしているジャーナリストに対し、法的・医療的支援や物資支援を行うほか、報道弾圧の調査や危機的状況への対応に関する研修ワークショップを実施する。また、RSFは各国報告書を作成し、報道の自由の状況を分析するとともに、危険にさらされているジャーナリストへの関心を高め、当局に対して提言を行う。」
ちなみに、出典のリストで明らかなように、NEDは世界中のメディアに資金を提供し、世論形成のインフラを維持している。国境なき記者団もそうした団体の一つであり、実は独立したメディアではない。
なお、NEDの活動については、メディア黒書でも繰り返し取り上げてきた。中央情報局を母体とする団体で、特にメディアに対する介入が顕著に観察できる。「報道の自由度ランキング」なるものも、西側メディアの優位性と非西側メディアの劣勢を浮き彫りにするための一つの道具なのである。
