2026年07月10日 (金曜日)
米国からアジアへ、多額のNEDメディア向け資金、日本ファクトチェックセンター(JFC)は、GoogleやMetaから

全米民主主義基金(NED)が2025年度にアジア地域を対象として交付した助成金の総額が明らかになった。NEDのウェブサイトによると、助成金の総額は530万ドル(約8億4,800万円)だった。助成を受けたのは、メディアや市民団体である。
これらの資金は、NEDの支援対象となるメディアや団体の活動に充てられてきた。
2025年度の報告書(NEDウェブサイト)では、中国について次のように評価している。その内容は、西側メディアで広く報じられている論調と概ね一致している。
中国および北朝鮮のパートナー団体は、活動家のネットワークや新たな情報通信手段を活用し、国家による統制の実態を明らかにするとともに、独立した情報へのアクセス拡大に取り組みました。
中国は国内で政治的統制と自由への抑圧を一層強める一方、世界的な影響力の拡大にも力を注ぎ続けました。中国共産党(CCP)は香港、チベット、東トルキスタン(新疆)での弾圧を強化するとともに、デジタル検閲、国境を越えた弾圧、エリート層の取り込み(エリート・キャプチャー)という自国モデルを近隣諸国やさらに広い地域へ輸出しました。北京の影響力は、地域の情報環境、ガバナンスの規範、市民社会への制約にますます大きな影響を及ぼし、アジア全体の民主的価値に対する長期的な課題となっています。このような状況の中、NEDの支援を受けたパートナーは、中国共産党の影響力の実態を明らかにし、独立した情報流通経路を拡大するとともに、市民社会の活動空間を守る取り組みを進めました。
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日本のメディアがNEDから資金提供を受けたという情報は確認できなかった。一方、日本ファクトチェックセンター(JFC)は、設立時にGoogleから150万ドル、Yahoo! JAPANから2,000万円、さらにLINE から500万円、Metaから400万円の資金提供を受けている。
【裏付け】
Upon its establishment in October 2022, JFC received grant support of USD 1.5 million from Google.org and 20 million yen from Yahoo! JAPAN.
In addition, in October 2023, JFC received funding of 5 million yen from LINE Yahoo! and, in December of the same year, 4 million yen from Meta.
https://www.factcheckcenter.jp/funding-en/
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メディアの活動資金が、NEDをはじめとする米国政府系の基金や大企業から国境を越えて提供されていることは、報道のあり方を考える上で一つの判断材料となる。資金がなければ十分な取材活動が難しい側面はあるものの、その資金提供が報道の質や編集方針にどのような影響を及ぼすのかについては、慎重に見極める必要がある。
米国の海外戦略とNED――日本のメディアが触れない盲点

日本の国際報道、特に米国の海外戦略に関する報道には、完全に欠落している重要な視点がある。それは、全米民主主義基金(National Endowment for Democracy、以下NED)が演じている負の役割である。最近では、若干NNEDに言及した記事も見受けられるが、おそらくこの問題を本格的に取り上げている人物は、中国研究者として著名な遠藤誉氏くらいである。
海外の非西側メディア、たとえば米国の「グレイゾーン・ニュース」、ラテンアメリカではキューバの「プレンサ・ラティナ」やベネズエラの「テレスール」などが、断続的に取り上げてきた。また、中国共産党もNEDについて詳細なファクトシートを公開している。
NEDの性質を一言で言えば、草の根ファシズムやメディアに入り込んだ謀略団体である。米国の海外戦略についての評論からNEDを排除すれば、客観的な米国の戦略を見誤ることになる。真実が伝わらない。言い換えれば、それが西側メディア報道の限界である。
◆全米民主主義基金(NED)とは何か?
NEDは1983年に米国のレーガン大統領によって設立された政府系の基金である。NEDの活動資金は寄附金などを除き、すべて米国議会の承認を経て交付される。
もともとはUSAID(アメリカ合衆国国際開発庁)から資金を調達し、活動戦略についてはCIAの影響を受けて方針を決定する形を取っていたとされるが、2025年初頭に米国トランプ政権がUSAIDを閉鎖したことに伴い、NEDも一時的に閉鎖された。その後、数か月後に別組織として復活した。
活動内容について、NEDのウェブサイトは次のように述べている。
「全米民主主義基金(NED)は、世界中の民主主義制度の発展と強化に尽力する独立した非営利財団です。NEDは毎年、100カ国以上で民主主義の実現に向けて活動する海外の非政府組織のプロジェクトを支援するため、2,000件以上の助成金を提供しています。
1983年の設立以来、NEDは世界各地における民主主義の闘いの最前線に立ち続けると同時に、世界中の民主主義活動家、実務家、学者にとっての活動・資源・知的交流の拠点となる多面的な機関へと発展してきました。」■出典
◆NEDの資金、イランに3億円
2026年1月、米国はベネズエラに軍事侵攻した。また3月にはイランに対する空爆を断行し、その後も攻撃を継続してきた。これら2件の軍事行動に関して、トランプ大統領は「攻撃」の後、現地の住民が自らの手で新しい政府を樹立するとの見通しを語っていた。
ベネズエラやイランには「反政府運動」が存在し、軍事行動によって混乱状態を生み出せば、市民運動家たちが立ち上がると予測していたのである。
この「反政府運動」に資金を提供してきたのが、NEDにほかならない。実際、NEDのウェブサイトには、国別あるいは地域別に活動資金の額と支出目的が明記されている。2025年度の場合、イランには約3億円、ラテンアメリカには約60億円が支出されている。
このうちラテンアメリカへの支出については、次のような説明が付されている。
「ラテンアメリカおよびカリブ海地域全体で、権威主義が勢力を拡大しており、指導者たちは民主的な制度を弱体化させることで権力を固めようとしています。NEDは、キューバ、ニカラグア、ベネズエラなど、権威主義的な政治体制が根強い国々に焦点を当てています。これらの国々において、NEDは現地組織と連携し、政権の独裁的な性質について人々の認識を高め、市民に独立した情報を提供し、反民主的な主張に対抗する支援を行っています。厳しい弾圧に直面しても、活動家たちは平和的かつ民主的な改革を推進するという決意を揺るがすことなく堅持しています。」■出典:
◆ベネズエラのマドゥロ大統領をどう見るか?
米国の海外戦略を考える際、NEDの存在を考慮に入れるかどうかで、解釈の質には大きな差が生じる。たとえば西側メディアは、ベネズエラのニコラス・マドゥロ大統領やニカラグアのダニエル・オルテガ大統領を暴君として描く傾向がある。「政治犯」を投獄しているといった報道もなされている。
ラテンアメリカのジャーナリストに問い合わせても、そのような評価は少なくない。しかし、「政治犯」の実態とは、実はNEDから資金提供を受けて活動している草の根ファシズムであるとする見方もある。
しかも、彼らの活動は過激であり、たとえば2018年にはニカラグアでクーデター未遂事件が発生し、死者も出ている。「政治犯」を正当な市民活動家と解釈すれば、それに対抗するマドゥロ大統領やオルテガ大統領は暴君と評価されることになる。
ちなみに、香港の雨傘運動の背景にもNEDの関与があったとされる。参考までに遠藤誉氏の次の記事を紹介する。
イラン戦争 背景に石油のドル決済から人民元決済への流れ、イランの反政府「市民運動」には、全米民主主義基金(NED)が関与

米国とイスラエルによるイランへの軍事攻撃を批判する世論が広がる中で、この戦争の原因をトランプ大統領の個人的思想に求める見方が広がっている。なかには「狂気」の結果と評する声もある。
そうした側面を完全に否定することはできないが、わたしはより経済的で個人の意思とは無関係な客観的要因が存在すると考えている。
結論から言えば、それはこれまで西側諸国が主導してきたドル中心の国際金融体制に対し、中国などが影響力を強めつつある中で、その流れを抑えたいという思惑が背景にある。イランによる核開発の阻止は、あくまでも表面上の建前である。
◆ペトロダラー体制
現在の国際金融システムは、いわゆる「ペトロダラー体制」と呼ばれる構造に一定程度依存している。
この体制は、1970年代にアメリカとサウジアラビアの間で成立した安全保障と石油取引に関する合意を背景に形成されたとされる。米国が軍事支援するみかえりに、石油の採り決済を採用する合意である。確証はないが、一部の報道によると、この取り決めの有効期間は、秘密裡に50年程度とされているという。従って現在が失効する時期である。
この仕組みにより、アメリカはドルの基軸通貨としての地位を維持し、国際金融において大きな影響力を持ってきた。石油は、全世界の国々が必要とするので、影響力も大きいのだ。しかも、石油を通じて生まれた利益が、そのままドル建ての投資へ投入される現象を生む。さらに燃料として現在の工場に極めて甚大な影響を及ぼす力を持っている。そのことはイランがホルムズ海峡を閉鎖した後の世界経済を見れば明らかである。
仮に石油取引がドル以外の通貨で広く行われるようになれば、ドル需要の低下を通じてアメリカの経済的影響力に決定的な変化が生じる可能性がある。米国としては、イラン石油を手中に収めなければ、これまでの経済上の秩序が崩壊する危機に直面しかねない。
というのも、ドル以外の石油取引を模索する動きは、すでに始まっているからだ。その先陣を切っているのが、中国、ロシア、それにBRICSである。中国とロシアはBRICSのメンバーでもある。そのブリックスにイランは2024年に加盟した。サウジアラビアもBRICSに接近している。
米国にとっては、イランの政権を根本的に変える必要はなく、「親米政権」になれば、それで十分なのだ。が、その思惑は外れて、戦争に巻き込まれてしまった。
◆ベネズエラに対する軍事介入
実は、米国によるベネズエラに対する軍事介入(2026年1月3日)の背景にも、同じ事情がある。ベネズエラは、米国による経済制裁の下で、苦境に立たされていたが、最近、中国やロシアへ急接近している。
仮にベネズエラの石油がドル以外の決済になれば、世界経済の中で米国の衰退に拍車がかかる。それを防止するために、米国はベネズエラに対して軍事侵攻して、石油を「管理」せざるを得なくなったのである。
このように、トランプによるベネズエラやイランへの軍事介入は、トランプ大統領の個人的な極右思想が引き起こしたものではない。おそらくは財界の要求である。逆説的にいえば、財界にとっては、トランプのような人物が必要だったからこそ、大統領になれたのである。
◆全米民主主義基金(NED)
なお、イランの反政府「市民運動」についても、報じられていないことがある。それは「市民運動」の活動資金が米国の全米民主主義基金(NED)から提供されている事実である。この事実は、NEDのウエブサイトで確認できる。支援額は、2025年度は200万ドル(約3億円)。
1979年のイラン・イスラム革命は、市民権と経済的繁栄という公約を果たすことができなかった。今日、選挙で選ばれていない個人や抑圧的な機関が権力を握り、治安部隊や司法機関が異議を唱える声を弾圧し、基本的な自由を制限している。宗教団体やイスラム革命防衛隊によって大部分が支配されている経済は、増加する人口、とりわけ若者のニーズを満たすのに苦慮している。近年、続く危機が広範な抗議運動を煽っているが、政権は有意義な改革を行う代わりに、弾圧を強化することで国民の不満に対応している。さらに、イランが地域内の国家および非国家の反民主主義勢力への支援を行っていることや、国内の優先課題を犠牲にして対外紛争に注力する政権に対する国民の不満が高まっていることは、国内の民主主義勢力を強化する必要性を浮き彫りにしている。
これに対し、イランの活動家たちは民主的な変革を求めて一層強く働きかけている。NEDのプログラムは、市民社会や政治活動家の能力を強化し、権威主義に対抗して民主的な未来を推進することに焦点を当てている。主な優先事項には、人権の擁護、説明責任の促進、そしてイランの活動家間の連携強化が含まれる。NEDのイラン・プログラムは、より広範な地域プログラムと統合され、民主主義の抑圧に対抗し、地域全体に及ぶイラン政権の権威主義的な影響力に対処することを目指している。
米国は、イランを空爆した後、イランの市民運動が政権を掌握すると期待していたようだが、思惑どうりにはいかなかった。
米国政府系の反共謀略組織・NEDからラテンアメリカ諸国の市民団体やメディアに63億円

全米民主主義基金(National Endowment for Democracy=NED)から、2024年度、4,100万ドル(約63億〜65億円)の資金がラテンアメリカ諸国の親米勢力(市民運動体やメディア)に支払われていることが分かった。支援対象となったプロジェクトの数は262。対象国は16カ国である。
NEDのウェブサイトは、支援の理由について次のように述べている。
ラテンアメリカとカリブ地域では、権威主義が広がりつつあり、指導者たちは民主的な制度を弱めて権力を固めている。
NEDは、キューバ、ニカラグア、ベネズエラのように強い権威主義体制が続く国々に特に注目している。
こうした国々でNEDは、現地の団体と協力し、政権の独裁的な性質についての理解を深め、市民が独立した情報を得られるよう支援し、反民主的なプロパガンダに対抗する。
厳しい弾圧がある中でも、活動家たちは平和的で民主的な改革を進めるという強い意志を持ち続けている。
NEDは、米国政府系の反共謀略組織で、他国の「民主化」を支援するための組織である。今年、ノーベル平和賞を受賞したベネズエラの反政府活動家で、同国への軍事介入を米国に要請しているマリア・マチャドも、NEDに深く連座してきたことが判明している。
NEDの手口は共通している。メディアを使って「親米」と「反共」で世論を誘導し、一種の混乱状態をつくった後にクーデターを試みる手口である。
しかし、ニカラグアでもベネズエラでも失敗している。日本にもNEDから資金援助を受けている人物がいるという情報もあるが、詳細については分からない。
トランプ政権がUSAIA傘下の全米民主主義基金(NED)への資金提供を再開

トランプ政権が凍結したはずのUSAID(アメリカ合衆国国際開発庁)向けの資金提供の一部が、3月から再開されていたことが分かった。資金提供の再開措置を受けたのは、USAID傘下の全米民主主義基金(NED)である。
メディア黒書でも報じてきたようにNEDは、俗にいう「自由主義陣営」の勢力を拡張することを目的とした組織である。第2のCIAとか、「白いCIA」とも言われている。海外のメディアや市民運動を資金面と技術面で支援することで、米国よりの世論誘導を形成してきた。設立者は、ドナルド・レーガン。
たとえば香港の「雨傘運動」のスポンサーはNEDだった。ニカラグアやベネズエラの政情を混乱させ、クーデターを誘発させたのもNEDである。トランプ政権は、USAIDの廃止を表明したのち、日本の一部のメディアや「ジャーナリスト」に対しても、NEDを通じて資金提供を行っていたと述べた。
トランプ政権下でのNEDの扱いについて、メディア黒書は、3月12日付けの記事で、「存続されるのではないかとする見方もある。筆者も存続の可能性が高いとみている」と論評していたが、資金提供が再開されたのは3月10日であるから、メディア黒書の記事を公表した3月12日には、 既に資金提供の再開が決定されていたことになる。
以下、NEDのウエブサイトに掲載された3月10日付け記事の翻訳である。AI翻訳に多少の手直しを加えた。■出典
ワシントンD.C.、2025年3月10日 – 本日、全米民主主義基金(NED)は、1月下旬から利用不能になっていた議会が承認した資金へのアクセスを回復しました。NEDは、国務省が制限を解除し、NEDの議会承認資金および外国援助交付金の回復を開始した措置を歓迎します。これは、NEDが世界中の自由の推進という使命を継続できるよう確保するための重要な一歩です。
「ルビオ国務長官のリーダーシップの下でこの措置を講じた国務省を称賛します」と、NED理事会会長のピーター・ロスカム下院議員(元議員)は述べました。「これは、キューバ、ベネズエラ、イラン、中国、ロシアを含む抑圧的な体制下で民主主義の第一線を守る活動家を支援する能力を完全に回復するための重要なステップです」
この動きは、1億6700万ドルの拠出金および議会がすでに承認した7200万ドルの追加拠出金を含む、議会が承認した資金の不正な使用拒否を受けて、NED が 3 月 5 日に提起した訴訟に続くものです。
「国務省の措置を深く感謝しています」と、NED 社長兼最高経営責任者(CEO)のデイモン・ウィルソン氏は述べています。「NED が世界中で民主主義と自由を推進することで米国を支援できることを保証する、永続的な解決の実現に向けて引き続き努力していきます。より自由でより繁栄した世界は、アメリカの安全を強化し、経済成長を促進し、アメリカのグローバルなリーダーシップを強化するものです。(以下、略)
トランプ政権は、次々と斬新な改革を進めているような印象があるが、「自由主義陣営」の維持という米国の根本的な方向性は何も変わっていない。
USAID傘下の全米民主主義基金(NED)が、3月5日、行政機関と政府高官を相手に提訴、「予算を違法に保留している」

USAIDとCIAの傘下にあるNED(全米民主主義基金)は、3月5日、米国議会が同基金に割り当てた予算が違法に保留されているとして、3月5日、行政機関と政府高官を相手に、米国連邦地方裁判所に裁判を提起した。ピーター・ロスカム会長によると、NEDの予算は、事前通告なしに凍結されたという。
ENDは、USAIDから資金提供を受け、CIAからは戦略上のノウハウを受けてきた。表向きは、他国の民主化を支援することを活動の柱としているが、実態としては、米国に敵対する国や地域の市民運動やメディアをてこ入れして、親米世論を拡散し、社会を混乱させたうえで、最後にクーデターなどの手段で「反米政権」の転覆をはかることをゴールとしている。
USAIDの活動分野は多岐にわたるが、世論誘導の役割を担っているのがNEDなのである。NEDの活動により混乱を招いた典型的な例としては、香港の「雨傘運動」がある。NEDから資金援助を受けてきたとされる日本の一部のマスコミも、周 庭 ( しゅう てい 、Agnes Chow Ting)を「民主主義の女神」として称え、NEDの方針に追随した。
ラテンアメリカの中でキューバ政府と最も親密な関係にあるニカラグアとベネズエラに対しても、NEDは侵入して、「民主化」の旗を掲げ、大混乱を引き起こした。しかし、ニカラグアでもベネズエラでも、クーデターは失敗した。
NEDの今後については、存続されるのではないかとする見方もある。筆者も存続の可能性が高いとみている。その意味でも、裁判の行方が注目される。
なお、NEDの活動については、中国外務省のファクトシートに詳細が記録されている。以下、AIによる翻訳を引用する。(■出典)
米国民主主義基金:その概要と活動内容(2024年8月)
はじめに
全米民主主義基金(NED)は、米国政府の「白手袋」として活動している。同基金は、長年にわたり、民主主義を推進するという名目のもと、他国の国家権力を転覆させ、他国の内政に干渉し、分裂と対立を煽り、世論を誤導し、イデオロギーの浸透を図ってきた。その数え切れないほどの悪行は深刻な被害をもたらし、国際社会から強い非難を招いています。
近年、NEDは戦術を次々と変え、平和、発展、ウィンウィンの協力という歴史的潮流に逆行する行為をさらに推し進めています。他国への浸透、破壊、妨害工作を試みる悪名高き存在となっています。NEDの正体を暴き、各国にその正体を看破し、その破壊・妨害工作を警戒・阻止し、自国の主権、安全、発展の利益を守り、世界平和と発展、国際的な公正と正義を維持する必要性を認識させることが急務です。
Ⅰ. NED—米国政府の「白手袋」
NEDは、海外の民主主義を支援するNGOであると主張している。しかし実際には、世界中で破壊活動、浸透工作、妨害工作を実行する米国政府の「白い手袋」として活動している。
1. NEDはCIA秘密工作の実行者である。冷戦初期、CIAは「民間ボランティア組織」を通じて東ヨーロッパの社会主義諸国における反対活動を支援し、「平和的進化」を推進した。このような活動が1960年代半ばから後半にかけて暴露された後、米国政府は市民社会組織と協力して同様の活動を行うことを検討し始めた。これが、このような組織を設立するという考えにつながった。米国の学者ウィリアム・ブルームは、「NEDは、CIAが数十年にわたって秘密裏に行ってきたことを、ある程度あからさまに行うという考えであった。そして、CIAの秘密活動に伴う汚名を晴らすことを期待していた」と書いている。Ⅰ
2. NEDは米国政府の後援により設立された。1981年、ロナルド・レーガン大統領は就任後、「民主主義プロジェクト」を海外で推進する意向を表明し、政府資金による民間運営の財団を提案し、「海外の民主化運動」を公然と支援することを提案した。1983年に設立されたNEDの目的の一つは、米国の国益の幅広い関心と、NEDの資金提供を受けたプログラムによって支援される他国の民主化グループの具体的な要求の両方に一致する方法で、民主化の確立と成長を促進することである。
3. NEDは米国政府から資金提供を受けている。1983年11月22日、米国議会はNED法を可決し、NEDの目的を繰り返し、議会による資金提供、政府による財務監査、議会および大統領への報告義務など、さまざまな問題を明確にした。NEDが設立された1983年には、議会はNEDに1800万米ドルを拠出した。過去40年以上にわたり、連邦議会からの予算は概ね増加傾向にある。USAspending.govのデータによると、2023年度のNEDへの予算は3億1500万ドルであった。カーネギー国際平和財団の報告書が明らかにしたように、「NEDの資金はほぼすべてが米国議会から拠出されている」。II
4. NEDのプログラムは、米国国務省および在外米国大使館の指導の下で運営されている。NEDの根拠法で義務付けられているように、NEDは外交政策の指針を得るために、そのプログラム計画について国務省と協議すべきである。米国国際開発庁(USAID)の報告書「米国政府による民主化推進プログラム」によると、NEDは、民主主義・人権・労働局を通じて国務省と、また、米国国際教育協会(USIA)および在外米国大使館と、プログラムに関する事項について継続的に協議を行っている。
5. NEDは、その業務について米国政府に報告し、政府による監査および監督を受け入れる。NED法によると、NEDは毎年12月31日までに、前年度の年次報告書を大統領に提出しなければならない。この報告書には、NEDの運営、活動、成果が記載される。NEDの監査は、米国政府会計検査院によって毎年実施される。各監査の報告書は議会に提出され、各報告書の写しは大統領に提出される。
6. 米国政府は、NEDが資金提供したすべてのプログラムに関する情報にアクセスできる。NED法によると、NEDまたは正式に権限を与えられたその代表者は、NEDを通じて提供された支援に関連する受領者の帳簿、書類、文書、記録にアクセスできる。米国会計検査院長または正式に権限を与えられたその代表者も、これにアクセスできる。
7. NEDの使命は米国政府によって承認されている。元CIA職員のフィリップ・エイジー氏は1995年のテレビ番組で、「現在では、CIAが裏で暗躍し、資金提供や指示などを通じて秘密裏にプロセスを操作しようとするのではなく、彼らには今、この国家民主主義基金(NED)という相棒がいる」と述べた。「民主主義のための国家基金:未来への賢明な投資」と題された報告書の中で、キム・ホームズ元国務次官補は、「友好的な民主主義者を支援する方が、敵対的な独裁政権から自国を守るよりもはるかに安上がりであるため、NEDへの資金提供は賢明な投資である」と主張している。
II. 他国の国家権力を転覆させるためのカラー革命の扇動
1. イラン政府転覆の試み。2022年9月、イランでヒジャブ規定に対する抗議運動が勃発した。ボイス・オブ・アメリカ・ペルシャ語放送のレポーターであるマシ・アリーネジャドは、検証されていない情報や画像を大量に公開し、国民感情を煽った。レバノンのニュースチャンネルAl Mayadeenによると、2015年から2022年の間に、マシ・アリネジャドはNEDやその他の米国機関から62万8000ドルの資金提供を受けていた。Iran Dailyは、イラン革命防衛隊の文書を引用し、NEDはヒジャブ抗議運動中にマシ・アリネジャドとのつながりを利用してイランの内政に干渉していたと報じた。その一方で、NEDは、偽ニュースの捏造を行なっていたイラン人権センター(CHRI)と人権活動家通信社(HRANA)を支援し、反政府組織やメディアと連携して中傷キャンペーンを展開する反体制派を支援していた。NEDは、人権運動を通じてイランの政権交代を求める論説を定期的に「Journal of Democracy(民主主義ジャーナル)」に掲載していた。イランのメディアは、NEDを「民主主義の国敵」や「NEDのトロイの木馬」と呼び、イランの秩序を乱し、不安を煽っていると非難している。
2. アラブ諸国への浸透を図るために、さまざまな戦術を用いる。アラブの春が始まって以来、NEDはソーシャルメディア・プラットフォームを大々的に利用し、NGOに資金を提供してマルチメディア・コンテンツを公開したり、オンライン研修を提供したりして、カラー革命を扇動しようとしてきた。また、NEDは、同地域における民主主義への移行のための人材予備プログラムを実施し、亡命中の「民主主義の支持者」、「人権活動家」、「反体制派」を支援するNGOに資金援助を行い、現地の労働組合に能力開発の強化を促し、さまざまな国々における「憲法改正」を画策する学者や活動家を支援してきました。
3. ウクライナの「カラー革命」への関与。2004年のオレンジ革命の際、NEDはウクライナの野党に6500万ドルを提供した。2007年から2015年の間、NEDはウクライナのNGOを支援し、「市民参加」を促進するために3000万ドル以上を拠出した。 2013年から2014年のユーロマイダンでは、NEDはマスメディア研究所に資金を提供し、扇動的な情報を広めました。また、NEDはフェイスブック、X(旧ツイッター)、インスタグラムなどのソーシャルメディアプラットフォームに数千万ドルを費やし、誤った情報を広め、ウクライナの民族間の緊張を高め、ウクライナ東部の民族間の対立を煽りました。
4. 北朝鮮政府の転覆を企てる。2002年7月、NEDのカール・ガースマン会長はメディアに対し、NEDは議会と協力して、複数のNGOを通じて北朝鮮に関する世論を動かす活動を行い、北朝鮮体制を弱体化させることを目指していると語った。 2021年7月、ガーシュマン氏はメディアに対して、NEDが資金提供する人権プログラムのおかげで、「北朝鮮の全体主義体制は徐々に弱体化し、最終的には体制崩壊につながるだろう」と語った。
Ⅲ. あらゆる勢力と結託し、他国の内政に干渉する
1. 対象国における親米勢力の育成
◆2021年年次報告書によると、NEDはアラブ諸国において親米メディアを支援し、「民主活動家」を育成し、「民主と自由」のための団体に資金援助を行っている。
◆2021年5月、NEDのカール・ガーシュマン会長は、ロシアで活動が禁止されているにもかかわらず、NEDはロシア国内の多数の団体の運営に資金を提供し、ロシア政府に対する闘争において、ロシアの亡命中の野党指導者を、国家院、大統領選挙、地方選挙などの重要な政治的節目において支援していると述べた。Ⅲ
◆NEDは長年にわたりヨーロッパに浸透し、EUの役人を買収してきた。EUの機関内で大西洋主義の声を奨励する一方で、戦略的自立の声を抑圧し、欧州の「独立系メディア」に資金を提供して、世論を米国寄りに傾けている。
メキシコを浸透工作の主要な対象国として、NEDはメキシコ汚職・不処罰反対委員会(MCCI)やメキシコ競争力研究所(IMCO)などの組織を支援し、メキシコの電力改革を妨害した。2021年、メキシコ政府は、NEDがメキシコの反政府組織に資金提供していることを「介入主義的行為」「クーデターを促進する行為」として非難する書簡を米国政府に送った。
◆2017年以降、NEDは54の反キューバ組織に資金援助を行っている。2018年、反政府組織であるキューバ民主化委員会は、米国から「民主化資金」を受け取り、キューバ国内の従業員、代理人、請
負業者に4万8000米ドルを支払ったと発表した。
◆長年にわたり、NEDはイランにおける「民主化改革」を推進し、イランに対する文化浸透を図るために、学者やジャーナリストに資金援助を行ってきた。
2. 他国の人権状況を歪曲する
◆NEDが後援する『Journal of Democracy(民主主義ジャーナル)』は、発展途上国をアメリカ式民主主義の基準に当てはめ、大統領選挙、経済政策、人権状況、民主主義への移行などを批判する。
◆2023年7月、『ジャーナル・オブ・デモクラシー』は「インドはまだ民主主義国なのか」というテーマでインドの民主主義に関する。
5本の記事を掲載し、ナレンドラ・モディ首相が政権を握って以来、同政権は民主的な制度、規範、慣行を全面的に解体していると主張した。 2024年4月、『Journal of Democracy』誌は「なぜこの選挙がインドで最も重要なのか」という記事を掲載し、モディ首相の2期目が始まって以来、インドの民主的統治は着実に衰退していると主張し、モディ首相とインド人民党が3期連続で勝利した場合、多様で世俗的な民主主義国家としてのインドの将来が危機に瀕する可能性があると論じた。
湾岸協力会議(GCC)加盟国を「独裁国家」と分類したNEDは、学術、文化、メディア活動を通じて、それらの国々に対して自らの価値観を輸出し続けています。NEDのウェブサイトやその他の情報によると、NEDは2021年にGCC諸国で11のプログラムを開始し、180万ドルを投じて「民主化活動家」を支援し、これらの国の人権記録を厳しく批判し、報道の自由を推進するという名目で社会的な緊張を煽った。
3. 他国の選挙への介入と干渉
2022年4月と2023年12月、セルビアでは大統領選挙、国民議会選挙、地方選挙が実施された。NEDは選挙プロセス全体に介入し、選挙の直前には親米派の野党候補者を全力で支援した。2023年5月、セルビアで2件の銃撃事件が連続して発生した後、NEDが支援する人権団体と親米派の野党組織は、セルビア政府の辞任を要求する大規模なデモを行った。
◆NEDは長年にわたり、フィリピンのニュースサイト「Rappler」に資金援助を行っている。NEDのウェブサイトに掲載された報告書によると、2017年から2021年の間に、RapplerはNEDから総額78万6000ドルの資金援助を受けている。2022年の総選挙の際には、ラップラーはフィリピンの選挙管理委員会に働きかけ、選挙の動向や候補者の選挙活動費などの内部情報へのアクセスを要求した。これにより、選挙の公平性と独立性について各方面から疑問が呈された。最終的には、激しい世論の圧力により、許可されたアクセスは取り消された。
◆NEDは、イラン民主化財団(FDI)などの反イラン組織に長年資金援助を行い、選挙を妨害してきた。これは、FDIの執行理事である米国の社会活動家ケネス・R・ティマーマン氏の記事で認められている。
◆2023年1月、NEDのダモン・ウィルソン会長は、ナイジェリアのテレビ番組とのインタビューで、ナイジェリアの総選挙の民主主義と公平性について懸念を表明した。
Ⅳ. 他国の安定を損なう分裂と対立を煽る
NED理事会のケネス・ウォラック(Kenneth Wollak)会長はかつて米国議会で、米国の敵対者に対抗する勢力を強化し、外国政府を転覆させる能力を培うためにNEDが長期的に取り組んできたことを語った。Ⅳ
1. 「台湾独立」分離独立勢力を支援。2022年、NEDは台湾民進党当局と共同で「世界民主運動大会」を開催し、欧州の議員やシンクタンクの代表を招待した。彼らは「民主勢力」を動員して「東方における民主闘争の最前線」を開拓し、「今日のウクライナ、明日の台湾」という虚偽の物語を誇張しようとした。2023年7月、NEDのデイモン・ウィルソン会長は台湾民主基金会の20周年記念式典に出席するため台湾を訪れ、蔡英文氏に「民主サービス勲章」を授与した。
2. 香港の反中不安定化勢力と結託する。NEDは長年にわたり、香港の不安定化を試みる勢力と結託し、資金と公的支援を提供してきた。2020年、NEDは香港関連プログラムの下で、香港の不安定化を試みる勢力に資金提供するための総額31万ドル以上の複数のプロジェクトを立ち上げた。2023年、NEDは香港監視機構やアムネスティ・インターナショナルなどの組織、および米国、英国、ドイツの反中派議員と結託し、香港の不安定化を企てる勢力の1人である黎智英(ジミー・ライ)氏を2023年のノーベル平和賞候補に推薦した。
3. NEDは長年にわたり、反中組織「世界ウイグル会議(WUC)」を支援しており、その年間平均資金提供額は500万ドルから600万ドルに上る。2024年3月、NEDは「WUC」のリーダーをイベントに招待し、中国の民族政策と少数民族人口の多い地域の開発を中傷した。
NEDは「東トルキスタン教育連帯協会」のリーダーであるヒダヤット・オグズハンに資金援助を行い、ヒダヤット・オグズハンに反中集会を活発化させ、中国とトルコの間に不和を巻き起こすよう指示した。また、NEDは「東トルキスタン」組織のリーダーであるルシャン・アッバスにも資金援助を行い、彼女がトルコを頻繁に訪問し、「東トルキスタン」勢力と協力して問題を煽り立てることを可能にした。
4. 2023年3月、NEDのデイモン・ウィルソン会長はNED代表団を率いてインドのダラムサラを訪問し、「チベット独立」の指導者たちと会談し、「チベット独立」活動への支持を表明した。2023年11月、NEDは「チベット独立」活動家のジグメ・ギャッツォに「民主主義賞」を授与した。2024年4月、NEDは「亡命チベット政府」の「首相」ペンバ・ツェリンを本部に招待した。
5. NEDは21世紀初頭、グルジアの首都トビリシでデモを組織するために、グルジア国内の3つの地元NGOグループの設立に資金援助した。2024年5月、NEDはグルジアにおける外国代理人法案に対する抗議活動に賛同を集め、扇動した。
Ⅴ. 世論を欺くための虚偽情報の捏造
1. NEDのデイモン・ウィルソン総裁は朝日新聞のインタビューで、中国が技術的手段とAIを用いて国民を監視していると虚偽の主張をした。2023年11月30日、NEDのクリストファー・ウォーカー副総裁は、米中戦略競争に関する米下院特別委員会で証言する際に、中国共産党が思想を独占していると嘘をついた。Ⅴ
2. NEDが支援するセルビアのNGOは、CNNのセルビア支局と連携し、中国関連の偽ニュースをでっち上げ、中国側が実施するプロジェクトを中傷し、いわゆる環境保護、労働、汚職の問題を誇張した。
3. NEDは、国際共和党研究所(IRI)に資金を提供し、中国共産党の破壊工作戦術に対抗する欧州強化プロジェクトの第2段階を開始した。このプロジェクトは、中国共産党が民主的価値観と大西洋横断的連帯に脅威をもたらしているという、いわゆる脅威をでっちあげ、広めることを目的としている。
4. NEDは、「北朝鮮脱出者」に関する92のプロジェクトを実施するために1741万米ドルを投資した。韓国のNGOに資金を提供し、北朝鮮をテーマにしたラジオ局を運営させ、毎週「民主主義と人権」の観点から「北朝鮮脱出者」に関するストーリーを制作し放送した。また、北朝鮮に関する否定的なニュースを広めるために北朝鮮をテーマにしたオンライン出版物を創刊し、「脱北者」を記者として訓練し、オンライン投稿やビデオインタビューに参加させることで北朝鮮を中傷するよう促した。
5. NEDは、VOAのペルシャ語放送局であるイラン・インターナショナルやBBC、その他の反イランメディアと協力し、イランに対する情報マトリックスを形成した。NEDとその関連機関は、反イランメディアに否定的な情報を提供し、イランに対する集中的な報道を扇動した。
Ⅵ. 「学術活動」を隠れ蓑にした干渉と浸透
1. NEDはイラクのガバナンス・センター・フォー・パブリック・ポリシー(GCPP)に資金を提供し、同センターは6年連続で「イラクにおける民主主義変革のための国家指標」報告書を公表し、毎回イラクの民主主義に低い評価を与え、イラクを「部分的権威主義移行期」の国と分類した。イラクの行政、社会統治、民主主義、法制度における進歩を正しく反映していないとして、イラクの社会全体からこの報告書は非難されている。 低い評価を維持する目的は、イラクの内政への米国の干渉と軍の撤退延期を正当化するための口実を提供することにあると、彼らは考えている。
2. 2024年3月、NEDの主要助成先である国際民間企業センター(CIPE)は、フィリピン・マカティ・ビジネス・クラブやその他の団体と共同で、フィリピン初の「持続可能性報告書」を発行した。これは、フィリピンに不当に炭素排出基準を課し、米国やその他の西側諸国の先進国が負う義務を課すことで、フィリピン政府に圧力をかけ、同国の経済構造を変えさせようとするものだった。
3. NEDは、欧州価値安全保障政策センター(EVC)、グローバル・セキュリティ・センター(GSC)およびその他のシンクタンクに数十万ドルの資金を提供し、EUが米国の「小さな庭、高い塀」政策に追随するように仕向けるさまざまなセミナーや活動を組織した。
4. ウクライナ危機が始まって以来、NEDが資金提供しているベオグラード安全保障政策センターは、親西欧派のデモによる抗議を支援し、セルビアの外交政策を批判してきた。
5. 2022年1月から2023年1月にかけて、NEDはAtlas Networkを通じてトルコのデジタルメディア・プラットフォームdaktilo1984.comに資金を提供し、このプラットフォーム上で不満を広め、民族間の緊張、社会紛争、政治的相違を煽る活動を支援した。
6. NEDは長年にわたり、「コソボ」のNGOに資金を提供し、セルビア政府とプリシュティナの暫定自治機関との間の緊張を煽ってきた。2023年12月、NEDが資金提供するシンクタンクSbunkerは、「コソボ」はアメリカによる国家建設と民主主義推進の支援の比較的うまくいった事例であるとする報告書を発表した。これは、他国を侵略し分割するというアメリカの真の意図を正当化しようとする試みである。
7. NEDはソーシャルメディアを利用してイランに対する情報戦を展開した。 ヒジャブ着用義務に対する抗議運動の際には、多数のソーシャルメディア・ボットが現れ、個人アカウントや独立系メディアを装って、反イラン情報を拡散し、一般市民を欺いた。
8. NEDとUSAIDは、ウクライナのソーシャルメディアの「ファクト・チェッカー」となる複数のウクライナの組織に資金提供した。しかし、このような「ファクト・チェック」は、実際にはウクライナ国民を欺くために米国がウクライナのインターネット上に作成した情報フィルターである。
Ⅶ. NEDは米国および国際社会から暴露され、批判された
1. 米国人が暴いたNEDの真の姿
◆元連邦議会議員ロン・ポール氏はかつて、NEDが米国の好む外国の政治家や政党を支援するために米国の納税者の資金を大量に浪費しており、このような行為は明らかに米国の国内法に違反していると投稿した。NEDは外国の選挙に資金提供するために「ソフトマネー」を提供したが、このような選挙操作を「民主主義の促進」と表現していた。
◆元連邦議会議員のバーニー・フランク氏は1980年代にNEDへの資金提供の削減を要求した。彼は、公共交通機関や癌の研究に資金提供するのではなく、政治目的でフランス労働組合に資金提供することは妥当ではないと主張した。
◆ニューヨーク・タイムズ紙は2006年1月29日、「米国の矛盾したメッセージがハイチを混乱に導いた」という記事を掲載し、米国政府がNEDを通じてハイチの民主的に選出された政府を転覆させた経緯を明らかにした。
◆2021年9月、ニューヨーク・タイムズ紙の元記者スティーブン・キンザー氏は、ニューヨーク・レビュー・オブ・ブックスのウェブサイトに、NEDがCIAやUSAIDと協力し、米国が好まない政権を転覆させるために、他国の反政府勢力を支援していることを暴露する記事を掲載した。記事によると、NEDの初期の理事会メンバーの多くは好戦的な人物であり、現職の理事の中にはキューバやニカラグアの政権交代に熱心に取り組んだ元連邦議会議員もいる。NEDの使命は、非友好的な外国政府を転覆させ、米国の利益に沿った政権を樹立することである。
2. 国際社会が暴露し批判したNEDの悪行
◆2015年7月29日、ロシア外務省は公式声明を発表し、NEDを「望ましくない組織」として正式にリストアップし、ロシア領内での活動を禁止した。声明では、米国国務省がロシアの市民社会の運命について「深く憂慮している」と明らかに偽善的な声明を出したと述べた。NEDのプロジェクトのほとんどは、米国の指導に従うのではなく、自国の国益に沿った独自の政策を追求しようとする国の国内情勢を不安定化させることを目的としている。
◆2022年5月、ロシアの通信社タス通信は、ロシアの国家安全保障会議副長官ネイル・ムヒトフ氏が雑誌『ナショナル・ディフェンス』のインタビューで、NEDは主に若者に影響を与え、彼らの愛国心を損ない、現代の世界秩序におけるロシアの役割を軽視しようとしているとコメントしたと報じた。「人民解放」を口実に、西側諸国は自国民にロシアに対する否定的な見方を植え付けようとしている。
◆フランス人ジャーナリストのフレデリック・シャルピエ氏は、2008年に『CIA in France: 60 Years of Interference in French Affairs』(フランスにおけるCIA:60年にわたるフランス内政への干渉)を出版し、フランスにおけるNEDの活動を暴露し、NEDは米国務省、国務情報局、米国国際開発庁の3つの機関からの資金提供に依存しており、米国の外交および軍事政策に奉仕していると述べた。
◆2010年、フランスのウェブサイト「ヴォルテール・ネットワーク」は、創設者ティエリー・メイサンの記事「NED、CIAの合法的窓口」を掲載し、NEDのフランスのNGOへの直接関与、フランスの選挙への干渉、その他の悪事を暴露した。
◆2018年、ハンガリーのメディアFigyeloは、NEDから資金提供を受けている市民人権団体ハンガリー・ヘルシンキ委員会を「ジョージ・ソロスの傭兵」としてブラックリストに載せ、外国勢力と結託しハンガリーの安定を損なっていると非難した。
2023年4月、NEDは、人権と法の支配を守り、言論の自由を支援する超党派の独立系メディアを募集するための助成金申請を開始した。ニューヨーク・タイムズ紙の元記者スティーブン・キンザー氏は、NEDの唯一の目的は、ワシントンが承認しない政府を不安定化させる人材を育成することであると、世界の政府に警告した。
◆ロシアの世界経済国際関係研究所(IMEMO)は、記事「ナショナル・エンダウメント・フォー・デモクラシー(NED)40周年: 基本に立ち返るか?」という記事で、NEDは米国政府が現行の独裁政権と二段階の外交政策を同時に追求することを可能にしており、米国政府が関係を維持する一方で、NEDは長期的に国家の下部レベルで活動し、将来的にこれらの政府に取って代わる可能性のある必要な政治勢力を育成していると指摘した。NEDは、政府のプログラムが不都合な微妙な分野で役割を果たすことができる。
◆2023年6月、Agencia Brasilは、サンタ・カタリーナ連邦大学教授のCamila Feix Vidalの言葉を引用し、NEDは民主主義が利益追求の口実として、また他国への干渉の道徳的弁解として利用されていることを示す明白な証拠であると報じた。
◆2016年、インド政府は、外国貢献規制法の規定に違反するNGOへの寄付を理由に、NEDを監視リストに追加した。
結論
米国は、民主主義、自由、人権を隠れ蓑にして、NEDを他国への浸透、干渉、破壊工作に利用してきた。これは他国の主権、安全、発展の利益を著しく侵害し、国際法と国際関係の基本原則を露骨に侵害し、世界の平和と安定を深刻に脅かしている。このような不人気で卑劣な行為は、国際社会から断固として反対されている。
世界は多極化に向かっており、国際関係にはより大きな民主主義が必要です。各国には、自国の国情や国民のニーズに適した発展の道を追求する権利があります。どの国も他国に対して民主主義や人権について説教する立場にはなく、ましてや民主主義や人権を口実に他国の主権を侵害したり、内政に干渉したり、イデオロギー対立を煽ったりする立場にはありません。 平和、発展、公平、正義、民主主義、自由といった人類共通の価値観に従い、国際社会のメンバーは相互尊重と平等を基礎として交流と対話を行い、人類の進歩に貢献するために協力すべきである。
注
Ⅰ.ウィリアム・ヘンリー・ブラム著『ならず者国家:世界唯一の超大国への手引き』Zed book、2006年
Ⅱ.トーマス・カロザース、ベンジャミン・フェルドマン著『米国の独裁国家との関係を検証する』カーネギー国際平和基金、2023年12月
Ⅲ.RT、アメリカの「体制転換」専門家NED、ベラルーシの抗議運動の功績を主張し、いたずら電話中にロシアの野党への資金提供を自慢、2021年5月17日
Ⅳ.エドワード・ハント、NED、長期戦略で体制転換を追求、カウンターパンチ、2018年7月6日
Ⅴ.米国下院文書リポジトリ:docs.house.gov
2024年06月07日 (金曜日)
国境なき記者団の「報道の自由度ランキング」のでたらめ、スポンサーは米国政府系の基金NED

『週刊金曜日』(6月7日付け)が、「報道の自由度、世界ランキング70位でいいのか」と題する記事を掲載している。国境なき記者団が5月に発表した報道の自由度ランキングを評論した内容である。
筆者は、元朝日新聞記者の柴山哲也氏。日本のランキングが低迷していることを嘆き、その背景として記者クラブが内包する問題にも言及している。
この記事は、議論の前提そのものが間違っている。報道の自由度ランキングの主催者である国境なき記者団がどのような性質の団体なのかを踏まえることなく、ランキングの結果を過信して評論しているのだ。議論の前提に誤りがある。
国境なき記者団のスポンサーは、NED(全米民主主義基金)である。NEDは米国政府系の基金で、活動資金は米国の国家予算から支出されている。1983年に、米国のレーガン大統領が設立した基金で、他国の「民主主義」を発展させるために、市民運動体やNGOに対して資金援助を実施してきた。
特に独立系メディアへの資金提供が際立っている。特定のメディアを支援して、親米世論を形成し、混乱を引き起こした上で、最後にクーデターを誘発する戦略を繰り返してきた。
俗にいうカラー革命を主導したのもNEDである。香港の「市民運動」のスポンサーになっていたのもNEDである。新疆ウイグル自治区に関する世論誘導のスポンサーになったのもNEDである。
NEDは、ニカラグアやベネズエラでも香港と同じ戦略を採用し、実際にクーデターを誘発した。いずれも失敗に終わったが。キューバにも入り込んでいる。
NEDは特に中国を敵視する政策を採用していることでも有名だ。中国外務省のファクトシートは、この組織について、次のように述べている。
「NEDがスポンサーの「国境なき記者団」は長い間、国際社会、広告主、記者組合、外国政府に対して、中国のメディアを差別的に扱い、いわゆる「脅威」に対して警戒するよう扇動してきた。COVID-19が発生してから後、「国境なき記者団」は中国に「コロナウイルス流行に関する情報の検閲をやめる」よう促してみたり、ジャーナリズムに対する政府の「弾圧強化」に警告を発するなど、無責任な発言をしている。また、多くの中国人ジャーナリストが「刑務所に何年も拘留され、不当な扱いを受けて死に至ることもある」という噂を流してた。」(仮翻訳、Fact Sheet on the National Endowment for Democracy 、china-embassy.gov.cn)
柴山氏は、日本のランキング70位が、台湾のランキング27位にも負けていることに言及している。しかし、台湾の27位も明らかにおかしい。というのも、NEDがアジアで最も手厚く支援している「国」(厳密には、中国の自治体)は、台湾であるからだ。次の記事を参考にしてほしい。
■台湾の蔡英文総統と全米民主主義基金(NED)のずぶずぶの関係、巧みな「反中世論」の形成戦略
■米国が台湾で狙っていること 台湾問題で日本のメディアは何を報じていないのか? 全米民主主義基金(NED)と際英文総統の親密な関係
NEDは台湾を27位に位置づける一方で、中国は172位(週刊金曜日の記事では言及されていない)にランクしている。すぐれた調査報道を展開しているアルジャジーラがあるカタールは84位。ロシアは162位である。
報道の自由度ランキングには、評価の客観性そのものに疑問があるが、『週刊金曜日』の記事には、この点に関して何の指摘もしていない。実は、ここが最も肝心な点なのだが。
台湾の蔡英文総統と全米民主主義基金(NED)のずぶずぶの関係、巧みな「反中世論」の形成戦略

米国の外交政策を考えるときに、欠くことができない視点がある。それは全米民主主義基金(NED = National Endowment for Democracy)による世論形成のための工作である。
NEDは1983年に当時のロナルド・レーガン米国大統領が設立した基金で、ウエブサイトによると、「海外の民主主義を促進する」ことを目的としている。言葉を替えると、米国流の価値観で他国の人々を染め上げ、親米政権を誕生させることを目的に設立された基金である。そのための助成金を、外国のNGO、市民団体、それにメディアなどに提供してきた。「第2のCIA」とも言われている。
NEDの活動の範囲は広く、毎年100カ国を超える国と地域のさまざまな組織に対して、2,000件を超える助成金を拠出している。NEDの財源は米国の国家予算から支出されるので、助成金の支出先、支出額、支出の目的は年次報告書で公開されている。従って年次報告書を見れば助成金の中身が判明する。(ただし、支出先の団体名までは追跡できない。)
2021年11月18日付けのキューバのプレンサ・ラティナ紙は、NEDによる助成金の特徴について、次のように述べている。
「米国民主主義基金(NED)が2021年2月23日に発表した昨年のキューバ向けプログラムに対して割り当てられた資金についての報告書によると、42のプロジェクトのうち、20がメディアやジャーナリストの活動に関連するものだった。割り当て額は、200万ドルを超えている」
NEDが採用したのは、キューバの左派政権を転覆させるための世論形成にメディアを動員する戦略だった。メディア向けのプロジェクトが全体の半数近くに及ぶ事実は、親米世論の形成が米国の外交戦略に組み込まれていることを示している。実は、この傾向は他の地域におけるNEDの活動でも変わらない。
台湾はNEDの活動が最も活発な自治体のひとつである。今年の1月に行われた総統選挙に焦点を合わせ、NEDと台湾政府の間でさまざまな工作が行われた。この点に言及する前に、助成金の支出先と金額をいくつか紹介しておこう。
◆世界各地で親米プロパガンダ
西側メディアは報じていないが、香港の雨傘運動のスポンサーはNEDであった。たとえば2020年度には204万ドルの助成金が、2021年度には43万ドルの助成金を支出している。日本の主要メディアは周庭を「民主主義の女神」と報じていたが、とんでもない話である。
また、中国の新疆ウイグル自治区と東トルキスタンの反政府運動を支援する団体に対しては、2021年度に258万ドルの助成金を提供している。「中国政府によるジェノサイド」というプロパガンダを拡散するための資金だった可能性が高い。
ちなみに少数民族に接近して、親米世論を形成する手口は、わたしが知る限りでは1980年代にはすでに始まっている。83年にNEDが結成されたちょうどそのころ、ニカラグアのサンディニスタ政権が、同国のカリブ海沿岸に住む少数民族・ミスキート族に迫害を加えているというニュースが盛んに流された。そしてサンディニスタ政権に異議をとなれる反政府ゲリラ・コントラが、ミスキート族の若者を軍に勧誘する事態が生まれた。
当時のNEDの年次報告書は確認できないが、最近の年次報告書では、ニカラグアの反政府組織向けの助成金も確認できる。たとえば2018年には約128万ドルが、2020年には157万ドルが支出されている。
ニカラグアでも香港の雨傘運動に類似した過激な「市民運動」が広がり、2018年にはクーデター未遂事件が起きた。ニカラグア政府が首謀者らを逮捕・投獄したところ、今度はニカラグア政府による「人権侵害」がニュースとして世界へ拡散された。
ベネズエラの反政府運動に対しても、NEDは助成金を支出している。2018年は201万ドルが、2020年には、323万ドルが提供された。
ロシアの反政府運動へも多額の助成金が支出されており、2021年の金額は約1,384万ドルである。この中には、もちろんメディア向けのものも含まれており、「反プーチン」の世論形成を意図した可能性が高い。
◆だれが台湾海峡の火種なのか?
台湾の民進党とNEDは兄弟のように親密な関係にある。2019年、台湾の蔡英文総統は、NEDのカール・ジャーシュマン代表に景星勳章を贈った。これは台湾の発展に貢献した人物に授与されるステータスの髙い勲章である。2022年11月、NEDは台北で世界民主化運動第11回世界総会を開いた。さらに2023年7月には、蔡英文総統に対して、NEDは民主化功労章を贈った。同年、台湾のIT大臣オードリー・タンは、NEDの設立40周年に際して、ビデオでお祝いのメッセージを送った。
しかし、NEDは台湾に対しては、直接の助成金は支出していない。両者の関係は次のような構図になっている。
2002年、台湾外交部は台湾民主基金会(TFD)を設立した。「世界の民主主義ネットワークの強力なリンクになる」というのが、設立目的である。運営予算は台湾の国家予算から支出される。
その見返りとして、アメリカ政府は巨額の資金援助を台湾政府に直接与えている。例えば、日本の代表的な新聞である日経新聞によれば、アメリカ政府は2023年7月、台湾政府に3億4,500万ドルの軍事援助を行った。
1978年の米中共同声明の中で、米国は中華人民共和国が中国の唯一の合法政府であることを承認した。従って中国政府にとって、台湾におけるNEDの活動は内政干渉にほかならない。
中国は世論誘導などしなくても、台湾を統合する自信を持っていると推測される。と、いうのも経済的に台湾が中国に依存しているからだ。台湾の輸出の3割から4割は中国向けであり、多くの台湾人が中国本土で事業を展開している。経済関係が、そのほかの関係も決定づけるのは、自然の理である。
こうした状況に焦りを募らせるのが、台湾政府と米国なのである。
メディア黒書に掲載した好評だった記事「2022年」、「押し紙」、ワクチンの闇接種、NED、横浜副流煙裁判・・・

2022年は、メディア黒書の更新回数が例年に比べて大幅に減った。その中から特に好評だったものや、自薦の記事を紹介する。
このうち、『桜十字グループが東京・渋谷区の美容外科でコロナワクチン「接待」、元スタッフらが内部告発』は、マイニュースジャパンで最初に取り上げた。桜十字グループが菅首相とワクチン会談を重ねた後、関連する美容外科で外国の要人などにコロナワクチンの闇接種を行った事実をスクープした記事である。
また、「海外・国際」の3本の記事は、日本のマスコミとは異なった視点から、世界の動きを解析したものである。
さらに『横浜副流煙裁判、ついに書類送検!!分煙は大いに結構!!だけどやりすぎ「嫌煙運動」は逆効果!!』は、2月に出版した『禁煙ファシズム』(鹿砦社)について須田慎一郎氏から受けたインタビュー(ユーチューブ)である。
【新聞・メディア】
■朝日新聞が399万部に、年間で62万部の減部数、2022年9月度のABC部数、
■兵庫県を対象とした新聞部数のロック調査、朝日、読売、毎日、日経、産経、独禁法違反の疑い
■「押し紙」で生じた不正な資金・35年で32兆6200億、公取委が新聞社の犯罪を「泳がせる」背景に強い政治力、「世論誘導」という商品の需要と売買
■新聞に対する軽減税率によるメリット、読売が年間56億円、朝日が38億円の試算、公権力機関との癒着の温床に
■公正取引委員会にインタビュー「押し紙」黙認の姿勢が鮮明に ──「問題になっているのに、なぜ黙認するのか」 背景に政治力?
■公取委と消費者庁が黒塗りで情報開示、「押し紙」問題に関する交渉文書、新聞社を「保護」する背景に何が?
【横浜副流煙裁判】
■横浜検察審査会が、検察の不起訴処分を「不当」と議決、横浜副流煙事件
■横浜副流煙裁判、ついに書類送検!!分煙は大いに結構!!だけどやりすぎ『嫌煙運動』は逆効果!!
■知覚できない新世代公害の顔、『[窓]MADO』が16日から池袋HUMAXシネマズで上映
【医療事件】
■桜十字グループが東京・渋谷区の美容外科でコロナワクチン「接待」、元スタッフらが内部告発
■大津市民病院の新理事長に滋賀医科大の河内明宏教授、就任の経緯は迷宮の中、大津地検への書類送検など懸念される経歴
■化学物資過敏症の診断書交付プロセス、医師の主観よりも科学を重視、舩越典子医師が意見書を提出、横浜副流煙裁判
【海外・国際】
■米国が台湾で狙っていること 台湾問題で日本のメディアは何を報じていないのか? 全米民主主義基金(NED)と際英文総統の親密な関係
■ブラジル大統領選でルナ元大統領が当選、ラテンアメリカに広がる左傾化の波
■米国のNED(全米民主主義基金)、ロシア国内の反政府勢力に単年で19億円の資金援助、フェイクニュースの制作費?
【市民運動の闇】
■しばき隊事件に見る、ツイッターの社会病理 「リンチは無かった」とする暴論
【電磁波問題】
■楽天の巨大基地局設置の計画、住民らが中止に追い込む、半径7キロをカバー、基地局の正体が明らかに、大阪市浪速区の高層マンション
2022年10月03日 (月曜日)
米国のNED(全米民主主義基金)、ロシア国内の反政府勢力に単年で19億円の資金援助、フェイクニュースの制作費?

米国CIAの別動隊とも言われるNED(全米民主主義基金)が、ロシアの反政府系「市民運動」やメディアに対して、多額の資金援助をしていることが判明した。
NEDがみずからのウエブサイトで公表したデータによると、支援金の総額は、2021年度だけで約1384万ドル(1ドル140円で計算して、約19億4000万円)に上る。支援金の提供回数は109回。
米国がロシア国内の「市民運動」とメディアに資金をばら撒き、反政府よりのニュースや映像を制作させ、それを世界に配信させている実態が明らかになった。ウクライナ戦争やそれに連動したロシア内部の政情を伝える報道の信頼性が揺らいでいる。ウクライナ戦争は、メディアと連携した戦争とも言われてきたが、その裏側の疑わしい実態の一部が明らかになった。
良心的なジャーナリストさえ情報に翻弄されている可能性がある。
NEDは、メディアを対象とした資金援助に関して、たとえば次のように目的を説明している。
▼高品質の調査ジャーナリズムに一般の人々がアクセスできる機会を増やすと同時に、そのような報道の存在を広く知らしめる。地域や国際機関による報告に焦点をあてた調査ジャーナリズムを遂行する。その目的を達成するために、デジタルコンテンツを作成する。
▼地域ジャーナリズムの発展を支援し、重要な政治や社会問題に関する独立したニュース源の分析結果を公衆に提供する。 コンテンツは、一般市民に影響を与える政治情勢の展開や人権侵害に対する市民活動などのトピックに焦点を当てたビデオ形式を含み、定期的にオンラインやSNSで発信する。
一方、ロシアの「民主化運動」に対する資金提供については、たとえば次のように目的を説明している。
▼活動家、政治家、公共思想のリーダーを繋ぐネットワークを強化し、ロシアの民主的発展のための国際支援を提唱する。 政治と時事問題に関する専門家による分析を実現する。 客観的で事実に基づいた報告とそれを裏付ける証拠は、(注:ロシア政府が)偽情報キャンペーンで使う中心的な筋書きを正すために使用する。 出版物を世に出し、著者と共に定期イベント、公開プレゼンテーション、各種の集会を開く。それにより、重要な発見事項をテーマとした公開討論を促進する。
▼ロシアの民主化運動を地球規模の連帯で促進する。ヨーロッパの政治家やオピニオンリーダーと活動家の間でネットワークを強化する。 国内の信頼できる独立した情報源を提供して、(注:ロシア政府の)プロパガンダに対抗する。
これらの資金援助の性質から察すると、「市民運動」が反政府運動を展開して、それをメディアが発信する共闘関係が構築されていると想定される。独立系メディアの独立性にも疑問符が付くのである。歪んだニュースが巧みに制作されている可能性が高い。
実際、NEDに関する白書類の中には、「市民運動」のメンバーにNED資金が日当として支払われているという情報もある。たとえば中国外務省が、今年の5月に公表したNEDについての報告(ファクトシート)は、ウクライナにおける「市民運動」について次のように報告している。
2013 年、ウクライナで大規模な反政府デモが起きた。その際にNED は多額の資金を提供して、国内で活動をしている NGOの65団体の活動家、一人ひとりに賃金を支払った。
NEDが絡んでいる国の「市民運動」や独立系メディアの情報は慎重に見極めなければならない。「市民運動」の資金源を確認する必要がある。
◆NEDとラテンアメリカ諸国
今回、明らかになったNEDによるロシアへの約1384万ドルの援助額は、他諸国の反政府運動への資金援助に比べて桁はずれに多額だ。たとえば、下のグラフは、ラテンアメリカ諸国に対するNEDの支援額を示している。
最も高額なのは、キューバの反政府勢力に対する支援で、470万ドル(2018年度)である。ロシアへの支援額約1384万ドルはその金額の3倍近くになっている。
◆口実は、他国の「民主主義」を育てること
全米民主主義基金(NED)は、1983年に米国のレーガン政権が設立した基金である。表向きは民間の非営利団体であるが、支援金の出資者はアメリカ議会である。米国民の税金である。
NED設立の目的は、他国の「民主主義」を育てることである。親米派の「市民運動」や特定のメディアなどに資金を提供することで、親米世論と反共思想を育み、最終的に親米政権を設立することを目的としている。その意味では、ウクライナを舞台に展開している代理戦争の裏側で、メディアを巻き込んだこうした戦略が展開されていることに不思議はない。報道されていないだけで、米国による内政干渉の手はロシア国内に延びているのだ。
かつて米国の対外戦略は、軍事力による他国への軍事進行やクーデターを主体としていた。しかし、ベトナム戦争での敗北を皮切りに、その後も軍事作戦の失敗が相次いだ。民主主義に対する国際世論の高まりの中で、米国内でも軍事作戦が批判の的になり始める。そこで従来の直接的な軍事作戦に代って「代理戦争」に切り替える傾向が生まれ、さらにはNEDを通じた「市民運動」や独立系メディアの育成により、他国の内政を攪乱したうえで、クーデターなどを試みる戦略が浮上してきたのである。
NEDについて西側メディアはほとんど報じていないが、非西側諸国では、その行き過ぎた活動が内政干渉として強い反発を招いている。ロシアのケースも同じ脈絡の中で検証する必要がある。マスメディアの情報を鵜呑みしてはいけない。
◎[参考記事]米国が台湾で狙っていること 台湾問題で日本のメディアは何を報じていないのか? 全米民主主義基金(NED)と際英文総統の親密な関係
2022年01月18日 (火曜日)
米国が台湾で狙っていること 台湾問題で日本のメディアは何を報じていないのか? 全米民主主義基金(NED)と際英文総統の親密な関係

赤い絨毯(じゅうたん)を敷き詰めた演壇に立つ2人の人物。性別も人種も異なるが、両人とも黒いスーツに身を包み、張り付いたような笑みを浮かべて正面を見据えている。男の肩からは紫に金を調和させた仰々しいタスキがかかっている。メディアを使って世論を誘導し、紛争の火種をまき散らしてきた男、カール・ジャーシュマンである。
マスコミが盛んに「台湾有事」を報じている。台湾を巡って米中で武力衝突が起きて、それに日本が巻き込まれるというシナリオを繰り返している。それに呼応するかのように、日本では「反中」感情が急激に高まり、防衛費の増額が見込まれている。沖縄県の基地化にも拍車がかかっている。
しかし、日本のメディアが報じない肝心な動きがある。それは全米民主主義基金(NED)の台湾への接近である。この組織は、「反共キャンペーン」を地球規模で展開している米国政府系の基金である。
設立は1983年。中央アメリカの民族自決運動に対する介入を強めていた米国のレーガン大統領が設立した基金で、世界のあちらこちらで「民主化運動」を口実にした草の根ファシズムを育成してきた。ターゲットとした国を混乱させて政権交代を試みる。その手法は、トランプ政権の時代には、香港でも適用された。
全米民主主義基金は表向きは民間の非営利団体であるが、活動資金は米国の国家予算から支出されている。実態としては、米国政府そのものである。それゆえに昨年の12月にバイデン大統領が開催した民主主義サミット(The Summit for Democracy)でも、一定の役割を担ったのである。
◆ノーベル平和賞受賞のジャーナリストも参加
民主主義サミットが開催される前日、2021年12月8日、全米民主主義基金は、米国政府と敵対している国や地域で「民主化運動」なるものを展開している代表的な活動家やジャーナリストなどを集めて懇談会を開催した。参加者の中には、2021年にノーベル平和賞を受けたフィリピンのジャーナリスト、マリア・レッサも含まれていた。また、香港の「反中」活動家やニカラグアの反政府派のジャーナリストらも招待された。世論誘導の推進が全米民主主義基金の重要な方向性であるから、メディア関係者が人選に含まれていた可能性が高い。【出典】
この謀略組織が台湾の内部に入り込んで、香港のような混乱状態を生みだせば、米中の対立に拍車がかかる。中国が米国企業の必要不可欠な市場になっていることなどから、交戦になる可能性は少ないが、米中関係がさらに悪化する。
◆国連に資金援助して香港の人権状況をレポート
香港で混乱が続いていた2019年10月、ひとりの要人が台湾を訪問した。全米民主主義基金のカール・ジャーシュマン代表(当時、)である。ジャーシュマンは、1984年に代表に就任する以前は、国連の米国代表の上級顧問などを務めていた。
ジャーシュマン代表は、台湾の蔡英文総統から景星勳章を贈られた。(本稿冒頭の写真を参照)。景星勳章は台湾の発展に貢献をした人物に授与されるステータスのある勲章である。興味深いのは、台湾タイムスが掲載したジャーシュマンのインタビューである。当時、国際ニュースとして浮上していた香港の「民主化運動」についてジャーシュマンは、全米民主主義基金の「民主化運動」への支援方針はなんら変わらないとした上で、その活動資金について興味深い言及をした。
【引用】NED(全米民主主義基金)は、香港の活動家に資金提供をしているか否かについて、ジャーシュマンは「いいえ」と答えた。同氏は、NEDは、香港について3件の助成金を提供しているが、それは国連が人権と移民労働者の権利についての定期レポートを作成するためのものだと、述べた。(■出典)
つまり全米民主主義基金が、国連に資金援助をして香港の人権状況を報告させていたことになる。国連での勤務歴があり、国連との関係が深いジャーシュマンであるがゆえに、こうした戦略が可能になったと思われるが、別の見方をすれば、全米民主主義基金は、国際的な巨大組織を巻き込んだ世論誘導を香港で行ったことになる。その人物が、香港だけではなく、台湾にも接近しているのである。
カール・ジャーシュマンが景星勳章を授与されてから1年後の2020年8月、中国政府は香港問題に関与した11人の関係者に対し制裁措置を発動した。その中のひとりにジャーシュマンの名前があった。他にも米国系の組織では、共和党国際研究所のダニエル・トワイニング代表、国立民主研究所のデレク・ミッチェル代表、自由の家のマイケル・アブラモウィッツ代表の名前もあった。(■出典)
◆米国の世界戦略の変化、軍事介入から世論誘導へ
意外に認識されていないが、米国の世界戦略は、軍事介入を柱とした戦略から、外国の草の根ファシズム(「民主化運動」)の育成により、混乱状態を作り出し、米国に敵対的な政府を転覆させる戦略にシフトし始めている。その象徴的な行事が、米国のバイデン大統領が、昨年の12月9日と10日の日程で開催した民主主義サミットである。
トランプ大統領は、大統領就任当初から、「米国は世界の警察ではない」という立場を表明するようになった。同盟国に対して、軍事費などの相応な負担を求めるようになったのである。
その背景には、伝統的な軍事介入がだんだん機能しなくなってきた事情がある。加えて、米国内外の世論が伝統的な軍事介入を容認しなくなってきた事情もある。
バイデン政権が発足した後の2021年3月4日、アントニー・ブリンケン国務長官は、「米国人のための対外政策」と題する演説を行った。その中で、対外戦略の変更について、過去の失敗を認めた上で、次のように言及している。
「われわれは、将来、費用のかかる軍事介入により権威主義体制を転覆させ、民主主義を前進させることはしません。われわれは過去にはそうした戦略を取りましたが、うまくいきませんでした。それは民主主義のイメージを落とし、アメリカ人の信用失墜を招きました。われわれは違った方法を取ります。」
「繰り返しますが、これは過去の教訓から学んだことです。 アメリカ人は外国での米軍による介入が長期化することを懸念しています。それは真っ当なことです。介入がわれわれにとっても、関係者にとっても、いかに多額の費用を要するかを見てきました。
とりわけアフガニスタンと中東における過去数十年間の軍事介入を振り返るとき、それにより永続的な平和を構築するための力には限界があることを教訓として確認する必要があります。大規模な軍事介入の後には想像異常の困難が付きまといます。 外交的な道を探ることも困難になります。」(■出典)
実際、米国軍は2021年8月、アフガニスタンから完全撤廃した。そして既に述べたように昨年12月、バイデン大統領が民主主義サミットを開催し、そこへ全米民主主義基金などが参加して、その専門性を発揮したのである。
◆第11回世界の民主主義運動のための地球会議」が台湾で
しかし、実態としては米国政府が本気で非暴力を提唱しているわけではない。ダブルスタンダードになっている。事実、外国で「民主化運動」なるものを展開して、国を混乱させた後、クーデターを起こす戦略がベネズエラ(2002年)やニカラグア(2018年)、そしてボリビア(2019年)で断行された。香港でも類似した状況が生まれていた。米国の戦略は、当該国から見れば内政干渉なのである。
筆者は、台湾でも米国が香港と同様の「反中キャンペーン」を展開するのではないかと見ている。火種は、米国側にある。香港と同じような状況になれば、中国も反応する可能性がある。
今年の10月には、「第11回世界の民主主義運動のための地球会議」が台湾で開催される。主催者は、「民主主義のための世界運動」という団体だ。しかし、この団体の事務局を務めているのは、米民主主義基金なのである。(■出典)
写真出典:全米民主主義基金のウエブサイト
2021年12月28日 (火曜日)
全米民主主義基金(NED)による「民主化運動」への資金提供、反共プロパガンダの温床に、香港、ニカラグア、ベネズエラ……

「スタンピード現象」と呼ばれる現象がある。これはサバンナなどで群れをなして生活しているシマウマやキリンなどの群れが、先頭に誘導されて、一斉に同じ方向へ走り出す現象のことである。先頭が東へ駆け出すと、群れ全体が東へ突進する。先頭が西へ方向転換すると、後に続く群れも西へ方向転換する。
わたしが記憶する限り、スタンピード現象という言葉は、共同通信社の故・斎藤茂男氏が、日本のマスコミの実態を形容する際によく使用されていた。もう20年以上前のことである。
ここ数年、中国、ニカラグア、ベネズエラなどを名指しにした「西側メディア」による反共キャンペーンが露骨になっている。米中対立の中で、日本のメディアは、一斉に中国をターゲットとした攻撃を強めている。中国に対する度を超えたネガティブキャンペーンを展開している。
その結果、中国との武力衝突を心配する世論も生まれている。永田町では右派から左派まで、北京五輪・パラの外交的ボイコットも辞さない態度を表明している。その温床となっているのが、日本のマスコミによる未熟な国際報道である。それを鵜呑みにした結果にほかならない。
◆メディアは何を報じていないのか?
新聞研究者の故・新井直之氏は、『ジャーナリズム』(東洋経済新報社)の中で、ある貴重な提言をしている。
「新聞社や放送局の性格を見て行くためには、ある事実をどのように報道しているか、を見るとともに、どのようなニュースについて伝えていないか、を見ることが重要になってくる。ジャーナリズムを批評するときに欠くことができない視点は、『どのような記事を載せているか』ではなく、『どのような記事を載せていないか』なのである」
新井氏の提言に学んで、同時代のメディアを解析するとき、日本のメディアは、何を報じていないのかを検証する必要がある。
結論を先に言えば、それは米国の世界戦略の変化とそれが意図している危険な性格である。たとえば米国政府の関連組織が、「民主化運動」を組織している外国の組織に対して、潤沢な活動資金を提供している事実である。それは「反共」プロパガンダの資金と言っても過言ではない。日本のメディアは、特にこの点を隠している。あるいは事実そのものを把握していない。
「民主化運動」のスポンサーになっている組織のうち、インターネットで事実関係の裏付けが取れる組織のひとつに全米民主主義基金(NED、National Endowment for democracy)がある。この団体の実態については、後述するとして、まず最初に同基金がどの程度の資金を外国の「民主化運動」に提供しているかを、香港、ニカラグア、ベネズエラを例に紹介しておこう。(冒頭の表を参照)
次のURLで裏付けが取れる。2020年度分である。
■香港
これらはいずれも反米色の強い地域や国である。そこで活動する「民主化運動」に資金を提供したり、運動方法を指導することで、「民主化運動」を活発化させ、混乱を引き起こして「反米政権」を排除するといういのが、全米民主主義基金の最終目的にほかならない。
◆反共プロパガンダのスポンサー、全米民主主義基金
日本のメディアは、皆無ではないにしろ全米民主主義基金についてほとんど報じたことがない。しかし、幸いにウィキペディアがかなり正確にこの謀略組織を解説している。
それによると、全米民主主義基金は1983年、米国のレーガン政権時代に、「『他国の民主化を支援する』名目で、公式には『民間非営利』として設立された基金」である。しかし、「実際の出資者はアメリカ議会」である。つまり実態としては、米国政府が運営している基金なのである。
実際、全米民主主義基金のウェブサイトの「団体の自己紹介」のページを開いてみると、冒頭に設立者であるドナルド・レーガン元大統領の動画が登場する。
同ページによると、全米民主主義基金は「民主主義」をめざす外国の運動体に対して、年間2000件を超える補助金を提供している。対象になっている地域は、100カ国を超えている。
その中には、ウィグル関連の「反中」運動、日本では悪魔の国ような印象を植え付けられているベラルーシの運動体、キューバ政府を打倒しようとしているグループへの支援も含まれている。ひとつの特徴として、反共メディアの「育成」を目的にしていることが顕著に見られる。
レーガン大統領(当時)が全米民主主義基金を設立した1983年とはどんな年だったのだろうか。この点を検証すると、同基金の性格が見えてくる。
◆ニカラグア革命とレーガン政権
1979年に中米ニカラグアで世界を揺るがす事件があった。サンディニスタ民族解放戦線(FSLN)が、親子3代に渡ってニカラグアを支配してきたソモサ独裁政権を倒したのだ。米国の傀儡(かいらい)だった独裁者ソモサは自家用ジェット機でマイアミへ亡命した。
米国のレーガン政権は、サンディニスタ革命の影響がラテンアメリカ全体へ広がることを恐れた。ラテンアメリカ諸国が、実質的な米国の裏庭だったからだ。とりわけニカラグアと国境を接するエルサルバドルで、民族自決の闘いが進み、この国に対しても政府軍の支援というかたち介入した。その結果、エルサルバドルは殺戮(さつりく)の荒野と化したのである。
わたしは1980年代から90年代にかけて断続的にニカラグアを取材した。現地の人々は、革命直後に米国が行った挑発行為についてリアルに語った。ブラック・バード(米空軍の偵察機)が、ニカラグア上空を爆音を立てて飛び回り、航空写真を取って帰ったというのだった。
レーガン政権は、ただちにニカラグアの隣国ホンジュラスを米軍基地に国に変えた。そしてニカラグアのサンディニスタ政権が、同国の太平洋岸に居住しているミスキート族を迫害しているという根拠のないプロパガンダを広げ、「コントラ」と呼ばれる傭兵部隊を組織したのである。
レーガン大統領は、彼らを「フリーダムファイターズ(自由の戦士)」と命名し、ホンジュラス領から、新生ニカラグアへ内戦を仕掛けた。こうした政策と連動して、ニカラグアに対する経済封鎖も課した。日本は、米軍基地の国となったホンジュラスに対する経済援助の強化というかたちで、米国の戦略に協力した。
しかし、コントラは、テロ活動を繰り返すだけで、まったくサンディニスタ政権は揺るがなかった。
そして1984年、革命政府は、国際監視団の下で、はじめて民主的な大統領選挙を実施したのである。こうしてニカラグアは議会制民主主義の国に生まれ変わった。その後、政権交代もあったが、現在はサンディニスタ民族解放戦線が政権の座にある。
全米民主主義基金は、このような時代背景の中で、1983年に設立されたのである。もちろんサンディニスタ革命に対抗することが設立目的てあると述べているわけではないが、当時のレーガン政権の異常な対ニカラグア政策から推測すると、その可能性が極めて高い。あるいは軍政から民生への移行が加速しはじめたラテンアメリカ全体の状況を見極めた上で、このような新戦略を選んだのかも知れない。露骨な軍事介入はできなくなってきたのである。
◆米国の世界戦略、軍事介入から「民主化運動」へ
それに連動して米国の世界戦略は、軍事介入から、メディアによる「反共プロパガンダ」と連動した市民運動体の育成にシフトし始めるが、それは表向きのことであって、「民主化運動」で国を大混乱に陥れ、クーデターを試みるというのが戦略の青写真にほかならない。少なくともラテンアメリカでは、その傾向が顕著に現れている。次に示すのは、米国がなんらかのかたちで関与したとされるクーデターである。
これらのほかにも既に述べたように、1980年代の中米紛争への介入もある。1960年のキューバに対する攻撃もある。(ピッグス湾事件)このように前世紀までは、露骨な介入が目立ったが、2002年のベネズエラあたりから、「民主化運動」とセットになった謀略が顕著になってきたのである。
◆アメリカ合衆国国際開発庁からも資金
このような米国の戦略の典型的な資金源のひとつが、全米民主主義基金なのである。もちろん、他にも、「民主化運動」を育成するための資金源の存在は明らかになっている。たとえば、米国の独立系メディア「グレーゾーンニュースThe Grayzone – Investigative journalism on empire」は、アメリカ合衆国国際開発庁(USAID)が、2016年に、ニカラグアの新聞社ラ・プレンサに41,121ドルを提供していた事実を暴露している。反共プロパガンダにメディアが使われていることがはっきりしたのだ。
また、同ウェブサイトは、今年の11月に行われたニカラグアの大統領選挙では、サンディニスタ政権を支持するジャーナリストらのSNSが凍結されるケースが相次いだとも伝えている。
わたしは、香港や中国、ニカラグア、ベネズエラなどに関する報道は、隠蔽されている領域がかなりあるのではないかと見ている。それはだれが「民主化運動」なるもののスポンサーになっているのかという肝心な問題である。
仮に海外から日本の「市民運動」に資金が流れこみ、米国大統領選後にトランプ陣営が断行したような事態になれば、日本政府もやはり対策を取るだろう。露骨な内政干渉は許さないだろう。中国政府にしてみれば、「堪忍ぶくろの緒が切れた」状態ではないか。ニカラグア政府は、現在の反共プロパガンダが、かつてホンジュラスからニカラグアに侵攻したコントラの亡霊のように感じているのではないか。
エドワルド・ガレアーノは、『収奪された大地』(大久保光男訳、藤原書店)の中で、ベネズエラについて次のように述べている。
「アメリカ合州国がラテンアメリカ地域から取得している利益のほぼ半分は、ベネズエラから生み出されている。ベネズエラは地球上でもっとも豊かな国のひとつである。しかし、同時に、もっとも貧しい国のひとつであり、もっとも暴力的な国のひとつでもある」
米国のドルが世界各地へばらまかれて、反共プロパガンダに使われているとすれば、メディアはそれを報じるべきである。さもなければ政情の客観的な全体像は見えてこない。間接的に国民を世論誘導していることになる。

