1. 大手広告代理店

大手広告代理店に関連する記事

2017年05月15日 (月曜日)

フィクサーが博報堂に乗り込んだプロセスを描く『見えざる政府―児玉誉士夫とその黒の人脈』①

日本の広告業界は寡占化されている。その寡占化の下で、企業やメディアをコントロールできる暗黙の仕組みが構築されているようだ。当然、これではジャーナリズムは育たない。メディアを単なるプロパガンダの機関に変質させてしまう。

博報堂のケースを例に、この問題を検証してみよう。

続きを読む »

2017年05月13日 (土曜日)

北朝鮮脅威の「記事」を書かせて世論誘導、安倍政権から軍事産業へ国費800億円、国策プロパガンダの新しい手法、

読売新聞(電子版・5月13日)に、「陸上型イージス導入へ…ミサイル防衛強化」というタイトルの記事が掲載されている。この防衛システムの構築費用は、なんと800億円。当初、導入を検討していたTHAADよりも、価格的には450億円安い。とはいえ、莫大な国家予算の支出であることには変わりない。この800億円が米国の軍事産業の手に渡るのだ。

安倍政権からの高額なプレゼントである。安倍首相が推薦する読売の記事を引用してみよう。

続きを読む »

2017年05月12日 (金曜日)

博報堂によるエクセルやワードによる「手作り」請求書、対象は内閣府と中央省庁だけ、地方の「役所」宛ては正常

博報堂が内閣府や中央省庁に対して発行した請求書にインボイス・ナンバー(書類の番号)が欠落しているものが多量にあることは既報したとおりである。

これに対して、博報堂が地方自治体に対して発行した請求書はどうだろうか。筆者がこれについて調べたところ、サンプル数は少ないものの、正常であることが分かった。

つまり不正経理疑惑の対象となるのは、内閣府と中央省庁だけということになる。内閣府と中央省庁からは、これまで博報堂へ多人数が天下りしており、癒着関係はないのか、厳密な調査が必要になる。

【参考記事】1975年ごろから博報堂へ続々と天下り、元国税庁長官2名、内閣府からも多数、警察関係者も、病的腐敗の温床か?

続きを読む »

2017年05月10日 (水曜日)

会計検査院に提出した審査要求書と陳述書を全面公開、国家予算の「闇」は昔から何も変わっていない

内閣府と博報堂のPR業務に関する商取引に疑惑があるとして、筆者が8日に山下幸夫弁護士を通じて会計検査院に提出した審査要求書とそれに添付した筆者の陳述書を紹介しよう。

この事件について背景を把握していない読者は、陳述書を先に読むほうが全体の構図がとらえやすい。

■審査要求書

■陳述書

審査要求に踏み切った理由と事件の流れと説明しよう。

続きを読む »

2017年05月09日 (火曜日)

内閣府の不正経理疑惑で会計検査院に審査要求書を提出、疑惑解明の新段階へ

【臨時ニュース】

内閣府が博報堂と契約を交わしたPRプロジェクト「政府広報ブランドコンセプトに基づく個別広報テーマの広報実施業務等」(2015年度)の不正経理疑惑の解明が新しい段階に入った。

筆者は、8日、山下幸夫弁護士を通じて、会計検査院に審査要求書を提出した。これにより会計検査院が申し立てを受理すれば、内閣府と博報堂の取引を会計検査院が調査することになる。

続きを読む »

2017年05月08日 (月曜日)

内閣府の「昭和の八百屋」レベルの手作り請求書、黒塗りになった政府広告の掲載費を全国73の新聞社に問い合わせたが・・

先月27日に、全国の新聞社73社に対して、筆者はある問い合わせを行った。問い合わせの内容は、内閣府が昨年、黒塗りにして開示した博報堂からの請求書(政府広告の掲載料を請求したもの)の金額明細のうち、自社に該当する部分を開示するようにお願いするものだった。

しかし、5月8日の段階でどの新聞社からも回答がない。国会予算の受取額を開示できないということらしい。

発端は、昨年の夏だった。筆者は、内閣府に対してある情報公開請求を行った。請求内容は、2015年度に広告代理店が内閣府に送付した見積書、契約書、それに請求書の3点の全部を開示するように求めたものである。

内閣府は開示に応じた。そこで開示されたものを精査したところ、内閣府が博報堂との間で交わした「政府広報ブランドコンセプトに基づく個別広報テーマの広報実施業務等」と題するプロジェクトの契約書と請求書に次の疑問点があることが分かった。

続きを読む »

2017年05月07日 (日曜日)

NHKの電通・高橋まつりさん報道の裏面、公共放送としての「公正・中立」の看板に要注意

TBSテレビ の出身で参議院議員の杉生秀哉氏が、2月7日に日本ジャーナリスト会議などが主催した講演で、NHKについて次のように述べている。

「NHKニュースについては、国会審議もその日の主なテーマが憲法問題であっても、NHKは憲法問題は取りあげずに、どうでもいいニュースをしている。しかも、質問者の音声は放映せず、答弁者のみです。
 安倍首相が余裕しゃくしゃくと答弁しているように編集されています。」

続きを読む »

2017年05月02日 (火曜日)

テレビ局の不正にメスを入れない総務省・高市総務大臣の弱腰、金銭がらみ・ビジネス上の不正に対しては処罰が当然

電波政策を担当しているのは総務省である。その総務省に放送局を監督する能力はあるのだろうか?

2016年2月8日の衆議院予算委員会で、民主党の奥野総一郎議員の質問に答えるかたちで、総務省の高市早苗大臣は、次のように発言している。放送事業で不正行為が行われていた場合、総務省が「行政指導」することもありうるといのである。

続きを読む »

2017年04月28日 (金曜日)

安倍昭恵・晋三夫妻が環境省の広報ポスターにみずから登場、博報堂が制作、背景にクールビズの巨大な企業利権

安倍晋三夫妻が地球温暖化防止の政府広報ポスターにみずから登場していたことを、読者はご存じだろうか。制作したのは博報堂で、制作を依頼したのは環境省である。地球温暖化防止のPR活動の一端である。

筆者がこれを知ったのは、民進党(旧民主党)の末松義規議員の国会質問を過去にさかのぼって調べていた時である。2007年ごろ環境省が3年間で約90億円のPR業務を博報堂に発注していた問題などを追及した国会質問の議事録のなかで、首相夫妻が登場したポスターの存在を知ったのである。

末松議員の質問に答えて、政府参考人は次のように答弁している。

「ポスターにつきましては、総理が先頭に立ってやっていただくわけですが、今回のアイデアが、特に家庭における省エネで電球等の買いかえでございます。そういった観点から、主婦の方にご理解いただきたいということで、私どもから官邸にお願いして、ご婦人にも御出演いただいたわけでございます」

■末松議員の国会質問議事録(2ページ目の後半部分)

続きを読む »

2017年04月26日 (水曜日)

博報堂発行のインボイスナンバー不在の請求書、内閣府から中央省庁へ拡大、会計監査を受けているのかを博報堂へ質問

博報堂が内閣府と中央省庁に対して発行してきたPR業務に関する請求書にインボイスナンバー(コンピューター制御により、見積書や請求書に印字されるナンバー)が欠落している問題の続報である。既にのべたように、インボイスナンバーが付番されていない事実は、コンピューター制御の下で経理処理が行われていない可能性を示唆する。

会計システム監査の専門家によると、インボイスナンバーの不在は不正の温床にはなるが、違法行為ではないし、不在になっていても経理処理はできるという。

しかし、インボイスナンバーを付番して経理処理した方がはるかに合理的であることはいうまでもない。事実、個人業者は別として、大企業はほぼ全面的にインボイスナンバーを使って経理処理している。わざわざそれを不在にして、経理処理する合理的な理由がまったくないからだ。

続きを読む »

2017年04月24日 (月曜日)

内閣府の黒塗り請求書問題、「国家予算」を受け取った全新聞社・テレビ局へ質問状送付

内閣府が博報堂と契約したプロジェクト「政府広報ブランドコンセプトに基づく個別広報テーマの広報実施業務等」の請求書がほとんど「黒塗り」で開示された件は、メディア黒書で繰り返し報じてきたとおりである。

■黒塗りの請求書

「黒塗り」が原因で、各新聞社や各テレビ局が受け取った広告費、あるいは放送料の金額が分からない。つまり国家予算の使い方が不明瞭になっている問題がある。

しかも、請求書にはインボイス・ナンバーが付番されておらず、会計監査やシステム監査の対象外になっている可能性もあるのだ。個人事業者がインボイス・ナンバーが付番されていない請求書を発行することはあっても、博報堂のような大企業がインボイス・ナンバーのない請求書を発行するのは尋常ではない。その理由も説明されていない。博報堂の監査法人であるあずさ監査法人も取材を拒否している。

この件についてこれまで何度か内閣府と話し合ったが、やはり内閣府の方針は変わらない。黒塗り部分の開示は行わない方針だ。インボイス・ナンバーが付番されていない明確な説明もしていない。

そこで筆者は次の取材戦略を採用することにしたので、読者にお知らせしたい。博報堂を通じて「国家予算」を受け取ったすべての新聞社とテレビ局に対して、「黒塗り」部分の金額を開示するように求めるのである。近々に請求書の実物と質問状、それにプレスリリースを送付する。

回答につてはメディア黒書で随時公開していきたい。

続きを読む »

2017年04月17日 (月曜日)

博報堂、国勢調査告知で「間引き」疑惑…国から受注の契約回数満たさぬまま満額請求か

 ビジネスジャーナルが博報堂と総務省の癒着を示す記事を掲載した。タイトルは、「博報堂、国勢調査告知で『間引き』疑惑…国から受注の契約回数満たさぬまま満額請求か」。

  国勢調査の政府広告(新聞広告による告知)の半分以上を掲載せずにお金(国家予算)を取っていた疑惑について書いたものである。以下、ビジネスジャーナルの記事である。

・・・・・・・・・・・・・・・・

国勢調査は、国のもっとも大がかりな統計作成のための全数調査で、原則として5年に1度行われる。調査対象は国内の人口、世帯、産業構造などである。

この国勢調査に絶対に欠くことができないのが全戸に向けた告知なのだが、これを担当していた大手広告代理店の博報堂が、新聞広告(政府広報)による告知を大幅に「間引き」していた疑惑が浮上している。

2015年4月1日、総務省統計局長(当時)・井波哲尚氏は、博報堂の戸田裕一社長との間で「平成27年国勢調査の広報に関する総合企画」というタイトルの契約を交わした。それによると、一式(延べ回数にして25本)の新聞広告を制作・配信する取り決めになっていたが、博報堂が制作・配信したのは、12本だけだった。にもかかわらず、博報堂は25本分に当たる全額を請求していた。【続きはビジネスジャーナルで】

続きを読む »

2017年04月07日 (金曜日)

博報堂が防衛省へ送付していた「手作り」の請求書、請求書番号が欠落、振込み先銀行も秘密

防衛省に対して博報堂が発行している請求書の中には、極めてずさんなものが見受けられる。

通常、博報堂ぐらいの大企業になると、社のロゴが入った請求書の書式を使うものだが、ワードで作成されたとしか思えない請求書があるのだ。不思議なことに肝心の請求書番号(インボイス・ナンバー)も刻印されていない。

従ってコンピューターを使った正規の会計システムから除外されたところで、経理処理されている可能性が高い。これが筆者のように「個人業者」が発行した請求書ならわかるが、大企業のレベルになると普通ではない。

続きを読む »

2017年04月06日 (木曜日)

週刊新潮が共産党・清水隆史議員の国会での「押し紙」追及を記事に

本日発売(6日)の『週刊新潮』が、3月30日に共産党の清水忠史議員が衆議院・消費者問題特別委員会で取り上げた新聞社の「押し紙」問題についての質問を記事にしている。筆者(黒薮)もコメントを出している。

記事のタイトルは、「国会で白日の下に晒された『朝日新聞』押し紙は何割か?」。朝日の他にも、佐賀新聞や毎日新聞のケースも取り上げられている。

清水議員が指摘した朝日新聞販売店の「押し紙」は、約30%である。筆者が入手している複数の資料でも3割程度なので、この数字は朝日の「押し紙」の規模を推測する一応の目安になるだろう。

続きを読む »

2017年04月05日 (水曜日)

社印が欠落した放送確認書の存在が明らかに、テレビCM「間引き」の未熟な防止策

博報堂事件の原点は、博報堂とアスカコーポレーションの係争を取材したことだった。昨年の秋から、筆者の取材対象は、博報堂と内閣府を含む中央省庁のPR業務に移っているが、依然として、前者についての情報も寄せられている。特にテレビCMの中抜き疑惑に関する情報が多い。

テレビCMが放送されるとコンピューターシステムが作動して、自動的に放送確認書に10桁CMコードが記録される。これがテレビCMを放送したことを立証する唯一の証明書になっている。

1990年代にテレビCMの間引きが多発して問題になった。そこで民放連や広告主協会などの業界団体が共同で対策に乗りだし、2000年からコンピューターシステムによる監視体制を導入したのである。

その後、CMの中抜きは皆無ではないにしろ、ほとんど無くなったといわれている。ところが博報堂とアスカコーポレーションの係争の中で、10桁CMコードが放送確認書に印字されていないものが、1505件も発覚したのである。そのうちの879件は、博報堂が50%の株式を有するスーパーネットワークという衛星放送局のものだった。

続きを読む »

2017年04月03日 (月曜日)

『ZAITEN』と『ジャーナリスト』が請求書に見る博報堂の不正経理疑惑を報道

3月の後半から4月にかけて発表された博報堂と内閣府の公共事業に関する記事を2件、紹介しよう。いずれも不正経理疑惑がテーマとなっている。

◇『ZAITEN』

『ZAITEN』(財界展望、4月1日) は、「博報堂が内閣府に差し出す『有り得ない請求書』」と題するレポートを掲載している。執筆は、元博報堂の社員で作家の本間龍氏である。

このレポートでは2つの問題が指摘されている。まず、2015年度に博報堂が内閣府に請求した「構想費」6700万円の中身である。ここで意味する「構想」とは、「政府広報ブランドコンセプトに基づく個別広報テーマの広報実施業務等」と呼ばれるPRプロジェクトの中身の構想である。具体的には、どのような戦略でどのようなPR戦略を進めるかという構想である。厳密に言えば、その他に若干の制作(30秒の動画2本とプレスリリース)が含まれているが、大半はアイディアに対する請求だ。

続きを読む »

2017年03月31日 (金曜日)

総務省の裏金疑惑、見積書は不存在、2015年度の「放送確認書については、履行確認が終了し、処分した」

総務省が2015年に実施した国勢調査のPR事業で、博報堂が契約した本数の新聞広告(政府広報)をまびきしていた疑惑で新たな展開があった。

この事件は、本来は延べ25本の新聞広告を掲載する契約になっているにもかかわらず、12本しか掲載されていなかったというものである。博報堂も総務省もこの事実を認めている。

ところが契約書に次の条項があり、それを根拠として総務省は、契約は履行されていると主張している。

続きを読む »

2017年03月29日 (水曜日)

児童ポルノとの批判があった博報堂制作の「うなぎのうな子」の制作費は300万円

博報堂九州支社が鹿児島県志布志市の「ふるさと納税」のPRとして制作し、ネット上で児童ポルノではないかとの批判を受けたユーチューブ動画の制作費が、300万円(見積書による)にもなっていたことが分かった。

筆者が志布志市に対して行った情報公開請求で入手した「ふるさと納税メディアミックス業務委託」の契約書によると、このプロジェクトの総額は5999万9400円。動画の制作費は1本につき300万円である。

続きを読む »

2017年03月26日 (日曜日)

誰が環境省の見積もり内訳を「黒塗り」にしたのか、情報公開請求で調査を開始

環境省に対して情報公開請求した資料(博報堂が請け負った約8億6300万円のプロジェクト「平成27年度低炭素社会づくり推進事業委託業務」の見積もり内訳)の肝心な部分が黒塗りにされて開示されたことを受けて、筆者は23日、環境省に次のような文言の情報公開請求を公式に申し立てた。

「平成27年度低炭素社会づくり推進事業委託業務」の見積書の内訳を黒塗りにして開示するように決定を下した人物を特定できる文書。

既報したように、筆者は昨年、環境省に対して「平成27年度低炭素社会づくり推進事業委託業務」の契約書、見積書、請求書の開示を請求した。これらの書面は開示されたが、最も肝心な見積書の内訳が欠落していた。請負価格が約8億6300万円と高額だったために、筆者はその内訳を開示するように、再度申し立てを行った。

数日後、内訳を入手することができたが、すべて数字は黒塗りになり、隠されていた。

続きを読む »

2017年03月24日 (金曜日)

「一日一善」「人類みな兄弟」、笹川良一氏による世論誘導と広告代理店の大罪

世論誘導は、半ば日常的に行われているにもかかわらず、意外に認識されていない。空気のような存在だ。かつて日本船舶振興会が、「一日一善」とか、「人類みな兄弟」といったフレーズのテレビCMを垂れ流していた。CMには、同振興会のトップ・笹川良一氏も登場していた。

こうしたCMをどの広告代理店が制作していたのかは別にして、冷静に考えると恐ろしいCMである。「一日一善」を実行し、「人類みな兄弟」という気持ちを持てば、それで幸福を得られるかのような間違った思い込みが社会に浸透してしまうからだ。特に児童に対する影響が大きい。が、実はこれが洗脳なのだ。権力者による巧みな世論誘導なのだ。

続きを読む »

2017年03月23日 (木曜日)

1975年ごろから博報堂へ続々と天下り、元国税庁長官2名、内閣府審議官や警察関係者も、病的腐敗の温床か?

本稿の「①」で述べたように、博報堂への天下りが始まったのは、1975年ごろからである。児玉誉士夫氏の側近で等々力産業社長の太刀川恒夫氏が博報堂コンサルタンツの取締役に就任した時期からである。

参考:本稿「①」博報堂コンサルタンツの取締役に児玉誉士夫の側近・太刀川恒夫氏が就任していた、極右勢力と博報堂の関係、①

『現代の眼』(1975年7月)によると、次の人々が博報堂へ天下っている。驚くべきことに内閣府の官僚も含まれている。その他に、国税局の長官が2名。

続きを読む »

2017年03月21日 (火曜日)

博報堂コンサルタンツの取締役に児玉誉士夫の側近・太刀川恒夫氏が就任していた、極右勢力と博報堂の関係、①

メディアの歴史をさかのぼってみると、ひとつの権力を手に入れた者が、次のステップとしてメディア支配を企てることがままある。世論誘導の道具に利用できるからである。

その典型的な例としては、読売新聞社に乗り込んだ元特高警察の高官・正力松太郎と博報堂の支配を企てた右翼の児玉誉士夫の例がある。。

児玉と博報堂の関係を検証する際に、どうしても無視できないのが、博報堂事件である。これは昭和47年11月30日に、創業家の3代目である瀬木庸介社長を福井純一副社長が追放して、社長に就任した事件である。

日経新聞などの報道によると、福井氏は博報堂を私物化するために、みずからの資金で「亜土」を設立して、「博報堂の持ち株会社『伸和』の株を庸介氏から買い取ったり」「違法な方法で新株式割り当てなどで、『伸和』の株式83.5%を支配下に収めた」。伸和は「博報堂の発行済み株式の30%を保有」しており、博報堂は実質的に福井社長の支配下に置かれたのである。ちなみに福井氏は後に、特別背任容疑で逮捕され有罪になっている。

このお家騒動の時期に「伸和」に乗り込んできたのが、児玉氏の側近であり、等々木産業(株)の代表取締役である太刀川恒夫氏らだった。

続きを読む »

2017年03月17日 (金曜日)

環境省が開示した博報堂の8億6285万円プロジェクトの見積内訳は黒塗り、国会予算使途の恐るべき不透明性を露呈

環境省から驚くほど簡素化された見積書の内訳が開示された。しかし、総見積額10億円を超える金額の使途は不明。国会予算の恐るべき不透明性が露呈した。

発端は、筆者が環境省に対して、2015年度に博報堂が環境省と交わした全ての業務契約に関する書面(契約書、見積書、請求書)を開示するように求めたことである。これに応えて環境省は、5件のプロジェクトの契約書・見積書・請求書を送付してきた。

ところが見積書の内訳が開示されていなかった。たとえば次の書面は、「平成27年度炭素社会づくり推進事業委託業務」と題するプロジェクトの見積書である。見積額は、8億6285万円。金額の内訳が分からない。

■最初に送付された見積書

契約額が高額なので、筆者が内訳も開示するように求めたところ、環境省は「検討する」と回答した。数日後、内訳が送られてきた。期待して封を切った。それが次の書面である。

■見積内訳

これでは内訳を情報開示したことにはなっていない。一体、博報堂がどのような仕事をしたのか全く分からない。このような見積書で湯水のように国家予算が支出されているのだ。

続きを読む »

2017年03月15日 (水曜日)

政府広報のテレビCMは本当に放送されているのか、民間企業のケースでは放送確認書の偽造・CM「間引き」が発覚、仲介者は博報堂

筆者は、内閣府や省庁が博報堂に発注してきたPR業務(公共事業)の検証を進めてきたが、唯一、解明が進んでいない分野がある。それはテレビCMだ。内閣府や省庁は、公共の新聞広告だけではなく、国策プロパガンダを目的としたテレビCMも博報堂に制作させている。

筆者が調査したいと考えているのは、テレビCMを本当に放送しているのかという点である。読者からは、「あまり見たことがない」という声が寄せられている。

新聞や雑誌の広報、あるいはインターネット広告は、なんらかの形で「成果物」を確認することができるが、テレビCMだけは、簡単に「成果物」を確認することができない。CMを放送したテレビ局には、放送の記録(動画)が残っているはずだが、広告代理店が関与した事件の取材に協力してくれるほどの寛大さはないので、まず「成果物」の確認は期待できない。

と、なれば放送確認書だけが頼りになる。

放送確認書とは、CMが放送されたことを証明する一種の証書である。重い意味を持つ。テレビCMを制作する際に、コンピューターにコードを入力すると、実際にCMが放送された際に、CMコードがデータとして記録される。放送局は、それをプリントアウトして、広告代理店を通じてスポンサーに届ける。人的な手を加えずに、コンピュータが書面を発行することで、「CM間引き」を監視するのだ。

CMコードは、現在ではほぼ全放送局が導入している。

筆者は、内閣府から2015年度の放送確認書を入手している。その数量は膨大なものになる。これらの放送確認書には、CMコードも付番されている。従って常識的には、政府CMは制作・放送されたことになるが、それですべてがクリアーになったわけではない。

続きを読む »

2017年03月13日 (月曜日)

博報堂が内閣府や防衛省に発行している怪しげな請求書、エクセルやワードで作成の可能性、あずさ監査法人と東証は調査を

内閣府や一部の省庁が博報堂に発注したPR業務には、不可解な点がまま見受けられる。社会通念から逸脱していて、その中にはブラックユーモアを伴うものもある。国家事業であるから大問題だ。

博報堂が発行している請求書もそのひとつの例である。内閣府に対して同社が発行している請求書が、エクセルで作成されているとしか思えないことは、繰り返し報じてきたが、それよりも杜撰で、失笑をかう請求書が防衛省で使われている。

次に示すのがその実物だ。

続きを読む »

2017年03月08日 (水曜日)

環境省が博報堂へ支払った「12億円プロジェクト」の見積明細の開示を要求、契約額を途中で1億円上積み

環境省から博報堂へクールビスのプロジェクトなどで支払われた約12億の明細を公開するように、筆者は環境省に申し入れた。環境省は、「検討する」と回答した。

筆者は昨年、環境省に対して博報堂から環境省へ送付されたすべての契約書、見積書、それに請求書を情報開示するように手続を行った。

これに対して環境省は、5件のプロジェクトに関連した契約書・見積書・請求書を提出した。このうちクールビスのプロジェクトに関して、成果物を開示させるなどして検証作業を行った。その中で、成果物と請求額に整合性がない疑いが浮上した。少なくとも筆者は、そんな印象を受けた。

その理由のひとつは、成果物を示した実施報告書の一部に記述のパクリがあったからだ。複数ある異なるプロジェクトの実施報告書の記述に、まったく同じ記述が見受けられるのだ。それぞれのプロジェクトの担当者が、自分の言葉で書いた文章でないことは明らかだ。

以下に示すように、2つのページの赤枠で囲んだ部分以外が、パクリの箇所である。このページでは、4分の3がパクリである。

■パクリ箇所の実物(赤枠以外が全部パクリ)

こうした事情から、筆者は見積もり明細を調べる必要を感じ、(注:明細は開示されなかった)環境省に申し入れたのである。見積もり明細を開示しなかった理由について、環境省は次のように述べている。

続きを読む »

2017年03月06日 (月曜日)

環境省からは博報堂へクールビスで12億円、報告書の一部記述をパクリ、自民党政権下で国家予算の無駄遣いが止まらない

環境省が2015年度に博報堂に発注したクールビス関連の事業は、少なくとも総額で約12億円になることが、情報公開で入手した資料によって分かった。主要なものは次の通りである。

①平成27年度CO2テクノロジーアセスメント推進事業委託業務
約9900万円

②平成27年度CO2削減アクション推進事業委託業務
2億2500万円

③平成27年低酸素社会づくり推進事業委託業務
8億6300万円

①から③のテーマから察し、分割して発注する必要があるのかも疑問だ。具体的にこれらの国家予算をどのような用途に使ったのかもよく分からない。見積書の明細を、環境省が開示しなかったからだ。

②と③の実施報告書の冒頭にある「業務の目的」の記述は、約7割がまったく同じだ。どちらかの文章をコピーして貼り付けた可能性が高い。読者には下記の2つのPDFでそれを確認してほしい。筆者が赤枠を付けた部分だけが、記述が異なる部分で、それ以外は一字一句同じである。

■①②の冒頭部分

他の箇所についても調査が必要だ。

続きを読む »

2017年03月04日 (土曜日)

【動画解説】博報堂を通じて「血税」を新聞社やテレビ局に湯水のように流し込む仕組み

博報堂を通じて国会予算を新聞社やテレビ局に湯水のように流し込む仕組みを解説した動画を制作した。この動画は、『週刊金曜日』(2月24日号)に掲載した「裁量は内閣府次第、政府広報費の杜撰な使い道」をベースにしたものである。

続きを読む »

2017年03月02日 (木曜日)

内閣委員会の議員58名に博報堂関連の資料を提供、メディア企業に巨額な国家予算注入の恐るべきシステムの裏付け

博報堂を通じて巨額の国家予算をメディア企業へ流し込むカラクリを暴いた『週刊金曜日』(2月24日)の記事、「裁量は内閣府次第、政府広報費の杜撰な使い道」(黒薮執筆)のコピーを、1日、内閣委員会の国会議員58名に送付した。

日本の場合、欧米に比べて議員定数が少ないので、議員ひとりあたりの仕事の量が多く、積極的に国会質問を依頼しない限り、大問題が放置されてしまう可能性が高い。こうした配慮から、今回の記事送付に至った。

書き手の側は単に記事を執筆するだけではなく、資料の配布、講演、訴訟など、PRの舞台を自分で準備する必要がある。

記事に添付した手紙は次の通りである。

続きを読む »

2017年03月01日 (水曜日)

法知識に乏しい筆者を騙した内閣府の手口を記録する、なぜか博報堂を擁護

省庁などいわゆる「役所」に対して情報公開請求を申し立てると、役所がどのような情報を隠したがっているかが分かる。

■内閣府の不開示決定通知書

内閣府が筆者の情報公開請求に対して開示をかたくなに拒否している情報がある。それは電通が制作した新聞広告の版下価格だ。

メディア黒書で報じてきたように、政府の新聞広告の中には、電通が版下を制作して、それを博報堂へ譲り、博報堂が新聞各社に版下を配信してマージンを得ているものが複数ある。まったくあり得ないことではない(「制作代理店」と「媒体代理店」)が、これ自体に多少疑問がある。

もともと広告代理店の収益は、広告のマージンが大部分を占めるので、電通にとって版下を博報堂へ提供することは、納得がいかないシステムのはずだ。だが、内閣府はこのような方法を採用している。ちなみに版下制作費は、推定で30万円から100万円程度である。

当然、次のような疑惑が浮上する。新聞社への版下配信は、実はそれを制作した電通が行っていて、広告掲載料のマージンも得ている。電通は何の不利益も被っていない。その一方で、博報堂からも、広告掲載料として莫大な国家予算が支払されている。2重支払いの疑惑である。

このような疑惑が浮上する背景には、次のような事情がある。

①情報公開資料を、真っ黒にして、情報隠しをしている。

②博報堂が内閣府へ送付した請求書が、エクセルで作成されたものだった。通常はあり得ない。社の公式の請求書が使用される。

③請求書に日付が付されていない。これは会計システムに則して会計処理が行われていない証拠である。

④博報堂と内閣府の間で交わされた契約書に明記されたPR業務のうち、実際には履行されなかったものが含まれている。(フェイスブックやツイッターのコンテンツ制作) 

⑤総務省、文部科学省、環境省などでも、博報堂がからんだ経理の疑惑がある。たとえば文部科学省は、9ページのホームページ制作に2100万円を支出している。

⑥地方自治体のレベルでも、博報堂の業務が問題になったことがある。(盛岡市、大槌町、横浜市、志布志市など)

⑦民間企業との間でも問題を起こしている。

⑧過去に国会で繰り返し、博報堂の経理問題が取りあげられている。

続きを読む »