1. 元店主側が控訴準備書面(1)を提出、新聞特殊指定でいう「注文した部数」の定義をめぐる主張、拡大解釈に反論

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2025年05月25日 (日曜日)

元店主側が控訴準備書面(1)を提出、新聞特殊指定でいう「注文した部数」の定義をめぐる主張、拡大解釈に反論

西日本新聞社に対する「押し紙」裁判(原告:長崎県の元店主)で、元店主の弁護団は、5月12日、控訴準備書面(1)を提出した。第1審は、元店主の敗訴だった。12日に提出された書面は、前半で「押し紙」問題の概要を、おもにこれまで証拠として提出した文献を紹介するかたちで概略し、後半で元店主側の主張を展開している。

■控訴準備書面(全文)

■控訴準備書面(1)の補正申立

後半で特筆すべきは、「押し紙」を禁じている独禁法の新聞特殊指定(1999年)の解釈に言及している点だ。1999年の改定前の新聞特殊指定は、「注文部数」の定義が「実配部数+予備紙2%」であることを前提に、「注文部数」を超えた部数は、「押し紙」と規定していた。

しかし、公取委は、1999年に「注文部数」を「注文した部数」と改定した。新聞社と裁判所は、新たに採用された「注文した部数」という用語の定義は、新聞の発注書に外形的に記入された部数と解釈するようになった。その結果、「注文した部数」に「押し紙」が含まれていても、「予備紙」と分類され、不問に付されたようになった経緯がある。新聞社にとって、「押し紙」政策がより容易になったのだ。

こうした状況を受けて、元店主側は、「注文した部数」と「注文部数」は、同じ定義であると主張している。「注文した部数」の拡大解釈に反論している。

■写真出典:ウィキペディア

 

なお、新聞特殊指定の解釈をめぐる論争については、次の動画(6分30秒~)で解説している。