訴状を公開、毎日新聞の「押し紙」裁判、約1億2000万円を請求、前近代的な新聞の発注方法で被害が拡大
福岡・佐賀押し紙弁護団は、10月1日、毎日新聞の元店主Aさんが大阪地裁へ提起した「押し紙」裁判の訴状(9月20日付け)を公開した。
それによると請求額は、1億3823万円。その内訳は、預託金返還請求金が623万円で、販売店経営譲渡代金が1033万円、それに「押し紙」の仕入れ代金が1億2167万円である。
■訴状の全文(PDF)
http://www.kokusyo.jp/wp-content/uploads/2024/10/MDK241001-1.pdf
預託金とは、広義の保証金のことである。身近な例としては、不動産賃貸の敷金の類いである。新聞販売店を開業するに際して、新しい店主は新聞社に預託金を預ける。Aさんの場合は623万円だった。
経営譲渡代金というのは、販売店を廃業して後継者に営業権を譲渡する際に、前任店主が受け取ることが出来る営業譲渡金のことである。新聞部数に連動して金額が異なる。Aさんのケースでは、1033万円だった。
しかし、Aさんは預託金も経営譲渡代金も受け取ることが出来なった。毎日新聞社が「押し紙」によるAさんの未払い金額から、これらの金額を相殺したからである。
今回、提起された「押し紙」裁判のひとつの特徴は、販売店に搬入する新聞の部数の決定方法である。訴状によると、「新聞販売店の注文は、FAXやメール等により行われるのが普通であるが」、Aさんの場合は、担当員の訪店時に部数の増減を報告するだけで、販売店に搬入する新聞の部数は毎日新聞社が決定していた。注文方法そのものが、前近代的なものだった。
ちなみに大半の新聞社は、販売店に送付する新聞代金の請求書に、「新聞部数を注文する際は、購読部数に予備紙等を加えたものを超えないでください」という注意書きを記している。毎日新聞社の場合も例外ではなかった。
しかし、逆説的に見ると、この注意書きは新聞社が俗に言う「積み紙」をも禁止していることを意味する。言葉を替えると、販売店に搬入される新聞の部数のうち、販売店経営に真に必要な部数(実配部数+予備紙)を超えた部数は、違法な部数である。独禁法の新聞特殊指定に抵触する。
メディア黒書は、今後、Aさんの「押し紙」裁判を報じていく。
【参考記事】
■モラル崩壊の元凶-押し紙- 毎日新聞押し紙裁判提訴のお知らせ
http://www.kokusyo.jp/oshigami_c/18093/
■「押し紙」問題がジャーナリズムの根源的な問題である理由と構図、年間932億円の不正な販売収入、公権力によるメディアコントロールの温床に
http://www.kokusyo.jp/oshigami_c/18097/