1. 埼玉県秩父市で選挙公報の廃棄、2万6000世帯の地域で1万部水増し疑惑、問われる新聞協会の「教育の中に新聞を運動」(NIE)、過去に秩父市立大田中学校を指定校に

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埼玉県秩父市で選挙公報の廃棄、2万6000世帯の地域で1万部水増し疑惑、問われる新聞協会の「教育の中に新聞を運動」(NIE)、過去に秩父市立大田中学校を指定校に

2019年4月7日に投票が行われた埼玉県議会選挙の選挙公報(新聞折り込みで配布)が、一部の地域で水増しされ、廃棄されていた疑惑が浮上した。

筆者ら取材チームが埼玉県秩父市における選挙公報の卸部数と、ABC部数(新聞の発行部数)を調査したところ、選挙公報の卸部数がABC部数を約1万部上回っていた。

詳細は次の通りである。

選挙公報の卸部数:24,000部(2019年4月)
ABC部数:14,969部(2020年4月)

※埼玉新聞は除く
※世帯数:26,408世帯 (12月1日)

選挙公報の卸部数とABC部数の確認時期に1年のタイムラグがあるが、1年間で新聞の部数が1万部も減少することはありえず、水増しの疑惑がぬぐい切れない。

また、このABC部数には埼玉新聞の部数は含まれていないが、埼玉新聞の発行部数は埼玉県全域でも11万部程度なので、入間市における新聞の普及率もそれに準じたものでしかない。ほとんど普及していない。

選挙公報の新聞折り込みを仲介した広告代理店は、「新聞販売店からの申告部数にそって卸部数を決めた」と話している。

◆背景に新聞社の「押し紙」政策

折込媒体の水増し行為の背景には、新聞社による「押し紙」政策がある。「押し紙」で販売店が被る損害を、折込媒体の水増し手数料などで相殺する新聞のビジネスモデルが、このような水増し行為を生む温床になっている。責任は、ビジネスモデルを構築した新聞社にある。しかし、新聞社は依然として、「押し紙」の存在を認めていない。認めるとビジネスモデルが崩壊するからだ。

◆秩父市立大田中学校でNIE

なお、•秩父市の大田中学校は、2007年度に日本新聞協会のNIE(教育の中に新聞を運動)の実践指定校になった。かりに当時から同じことが行われていたとすれば、NIEそのものが問われる。

参考記事

「公正取引委員会を電話取材、「押し紙」を取り締まらない理由」