1. 新聞の無料配布、中央紙から地方紙まで、ABC部数のかさ上げが目的か?

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2020年06月05日 (金曜日)

新聞の無料配布、中央紙から地方紙まで、ABC部数のかさ上げが目的か?

新聞を無料で提供する慣行がいつのまにか定着した。ホテルのロビーに朝刊が山積みになっている光景はすっかり定着した。

これらの新聞は、ホテルが一旦仕入れたものを、客に無料配布しているのか、それとも新聞社サイトがPR用に無料で提供しているのかは不明だが、いずれにしても問題がある。仮に仕入れたものであるとしても、読者の実態が不明なPR紙がABC部数に加算されているからだ。

新聞社にとってABC部数の維持は新聞社経営の中心的課題である。と、いうのもABC部数の規模に応じて紙面広告の価値が決まるからだ。民間企業との広告取引では、この基本原則は崩壊の方向へ向かっているが、内閣府などが出稿する公共広告は、厳密にABC部数のランクによって、広告費が割り当てられている。

従って残紙(「積み紙」「押し紙」)政策を続けたり、ホテルなどにPR紙を搬入することで、新聞社はABC部数を維持して、紙面広告の価値を維持する販売政策を取っているのだ。

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また、ABC部数を維持することは、読者を維持することでもある。意外に知られていないが、新聞購読者の中には、折込広告が主要な目的で新聞を定期購読している人もいる。販売店に対して、「新聞本体はいならい。折込チラシだけ配布してほしい」という要望もあるらしい。

ABC部数が減ると広告効果が低下して、折込チラシの需要が下がる。その結果、読者ばなれが起きる。それゆえに残紙をしてでも、無料配布をしてでも、とにかくABC部数を維持したいというのが、新聞人の本音といえるだろう。

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新聞の無料配布は、地方紙でも行われている。右写真◆は、新潟日報が発行している「おとなプラス」という新聞である。これはフリーペーパーではない。

月ぎめで1750円の日刊紙である。この新聞も無料配布されている。広告営業を優位に展開するために、このような戦略が取られているのではないか。

ちなみに新聞の価格を割り引きしたり、無料配布する行為は、新聞特殊指定で禁止されている。公正取引委員会は、広義の無料配布の実態について調査すべきだろう。

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日本の新聞社が主導している残紙政策は、実は海外でも問題になっている。

ウィキペディアの英語版に、世界の新聞の発行ランキング(2016年)が掲載されていて、そこには次のような但し書きがある。

    Some figures are disputed; the numbers for Japanese newspapers have been subjected to claims of "oshigami" (exaggeration by over-supplying papers to businesses).[一部の数字には議論がある。日本の新聞の部数は押し紙(過剰供給による誇張)ではないかという主張にずっとさらされてきている]

実は、2010年ごろ、わたしはたびたび海外のメディアから「押し紙」についての取材を受けていた。次の記事は、最初にThe Australianに掲載されたものである。それからAsia Pacific Journalに転載された。

https://apjjf.org/-David-McNeill/3318/article.html

近々、ギネスブックに調査を申し立てる必要があるだろう。