1. 世耕弘成・経産大臣が「日本新聞販売協会から相談があれば、残紙調査をする」と約束、共産党・清水忠史議員の「押し紙」問題の国会質問

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2017年04月15日 (土曜日)

世耕弘成・経産大臣が「日本新聞販売協会から相談があれば、残紙調査をする」と約束、共産党・清水忠史議員の「押し紙」問題の国会質問

共産党の清水忠史議員が、14日の衆議院経済産業委員会で「押し紙」問題を取り上げた。これは3月30日の消費者問題特別委員会での質問に続く、2回目の質問である。

■清水議員の質問動画(3:15:30秒から)

14日の質問で、清水議員は経産省に対して「押し紙」の実態調査をするように提案した。竹内審議官は、次のように回答した。

「経済産業省として新聞残紙問題に関しまして、業界団体から具体的な相談が寄せられました場合にはわたしどもとしてその必要について業界ともよく相談をしてまいりたいというふうに考えております。」

これに対して清水議員は、販売店がみずから声をあげにくい実態があることを指摘。販売店が「残紙」問題をマスコミにリークしたり、弁護士や政治家に相談して、それが発覚すれば、激しい圧力をかけられる実態があることを説明した。たとえば新聞社が販売店の台帳を取り上げたり、読者の住居を調査・把握したうえで、別の販売店を設置して、そこへ新聞の供給先を切り替え、従来の販売店を一方的につぶしてしまうような実態があるという。

「現に販売店と本社との間で、訴訟も継続しています。で、業界団体から相談があれば相談に応じるという待ちの姿勢ではだめだと思うんです」

清水議員は経産省に対して、積極的な対策を迫ったのである。
さらに政府広報を含む折込広告の水増し問題にも言及。水増し行為により消費者や企業が不利益を被っている可能性があるので、これについても実態調査の必要性を訴えた。

世耕弘成大臣は次のように答弁した。

「わたしは下請け取引の改善に取り組んでいるのですが、残念ながら新聞販売業というのは、下請け関係にはならないんですね。あくまでも新聞社が発行する新聞をそのまま供給を受けて、それを取引するという立場ですから、下請法の範囲には入らないということです。基本的には独禁法で問題があれば、公取委が厳正に対処してほしいと思います。経済産業省としては、経済産業省所管の法人として、日本新聞販売協会がありますから、本当にいまご指摘のような問題が広範に存在して、販売業界として深刻な問題なら、この団体からわが省に申告があると思いますから、それを受けて必要であれば対応したいと思います。」

世耕大臣もやはり消極的な姿勢を示したのである。
清水議員は、組織ジャーナリズムである新聞は必要なものであり、それが健全に発達するためには、新聞宅配制度の維持が必要であり、新聞販売店と本社が真に対等な立場で、問題の解決に努める必要があると強調した。

◇日本新聞販売協会の光と影

ちなみに世耕大臣の答弁にあった日本新聞販売協会(日販協)は、1980年代ごろまでは、熱心に「押し紙」問題に取り組んでいた。『日販協月報』には、その記録が残っている。巨悪と戦った貴重な記録だ。

しかし、1990年ごろから新聞業界の政界工作の「本部」に変質して、政治献金を支出したり、自民党議員らの選挙推薦まで行うようになっている。戦う姿勢を放棄したのだ

現在、日販協は新聞販売店の信頼を失っていると言っても過言ではない。

経産省や公正取引委員会が、「押し紙」問題を取り締まらない理由は、極めて単純だ。新聞社の最大の汚点、「押し紙」問題を把握した上で、それを放置することで、メディアコントロールが可能な構図を作り上げているからだ。反政府的言論の色合いが強まれば、「押し紙」問題を口実にメスを入れて、新聞社経営そのものを破綻させることが可能な状態にしているのだ。

 

【参考記事】安倍首相は「押し紙」問題を把握している 新聞ジャーナリズム衰退の背景に構造的な問題