1. 江上弁護士

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2026年01月19日 (月曜日)

「司法の独立・裁判官の独立」について-モラル崩壊の元凶押し紙―(下)

福岡・佐賀押し紙弁護団 弁護士 江上武幸 2026年(令和8年)1月15日

近時、弁護士が依頼者の金銭を横領する事件が多発しています。また、弁護士事務所の法人化、支店の設置、広告宣伝の自由化により、相談料無料・着手金無料をうたったホームページが多く見られるようになりました。日本版アンビュランス・ローヤーの出現という問題です。

(注:アンビュランス・ローヤーとはアメリカの俗語で、交通事故などの被害者が乗った救急車(ambulance)を追いかけ、病院で動揺している被害者やその家族に接触し、損害賠償請求の訴訟を持ちかけて依頼を得ようとする弁護士たちを指す言葉です。基本的人権の擁護と社会正義の実現を使命とする日本の弁護士制度にはなじみません。)

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2026年01月16日 (金曜日)

「司法の独立・裁判官の独立」について-モラル崩壊の元凶押し紙―(上)

福岡・佐賀押し紙弁護団 弁護士 江上武幸 2026年(令和8年)1月15日

※日本に「司法の独立と裁判官の独立があるか」と聞かれたら、残念ながら「それはない」と答えざるを得ません。この問題については、岡口基一(元)裁判官が近著『裁判官はなぜ葬られたか』(講談社)で、自らの体験に基づく見解を述べておられます。

 なお、司法研修所29期には最高裁長官を含め、いわゆる出世組が多数おられますので(ちなみに押し紙訴訟の読売側代理人弁護士も同期です)、故・団藤重光最高裁判事のように、司法の世界の舞台裏を日誌等に残されておかれたら、貴重な資料になると思います。

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2025年12月06日 (土曜日)

裏千家千玄室大宗匠お別れの会に参加して

執筆者:福岡・佐賀押し紙弁護団 弁護士 江上武幸(2025年12月1日)

去る11月27日(木)、京都宝ヶ池の国際会館で開かれた裏千家前家元の千玄室さんのお別れの会に参加しました。白い菊が敷き詰められた献花台の上に千玄室さんの大きな写真が飾られており、参列者は入り口で手渡された一輪の菊を献花台に捧げ、102歳でこの世を去られた大宗匠の生前を偲びご冥福をお祈りしました。

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2025年09月22日 (月曜日)

西日本新聞押し紙裁判 控訴のお知らせ  -モラル崩壊の元凶 押し紙-

執筆者:弁護士 江上武幸(福岡・佐賀  押し紙弁護団) 2025年(令和7年)9月22日

去る9月9日(火)午後1時10分に福岡地裁902号法廷で言い渡された西日本新聞佐賀販売店の押し紙裁判の敗訴判決に対し、9月19日(金)、福岡高裁に対し郵送で控訴申立を行いましたのでご報告します。
販売店敗訴判決が続いており、押し紙問題の焦点は、新聞社の責任問題から裁判所が何故かたくなに押し紙の違法性を認めようとしないのかという点に次第に移ってきたように思います。

なお、参考のため福岡地裁敗訴判決と控訴申立書を添付します。

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2025年09月11日 (木曜日)

西日本新聞押し紙訴訟福岡地裁(敗訴)判決のお知らせ -モラル崩壊の元凶 押し紙-

弁護士・江上武幸(文責)福岡佐賀押し紙弁護団

9月9日(火)午後1時10分、福岡地裁902号法廷において、西日本新聞佐賀販売店の押し紙訴訟判決が言い渡されました。残念ながら、懸念していたとおり敗訴判決でした。

長崎県販売店の地裁担当裁判官の交代については、2024年12月26日(木)投稿の「西日本新聞福岡地裁敗訴判決のお知らせ」で報告したとおりです。今回の佐賀県販売店の地裁担当裁判官の交代についても、2025年8月1日(金)投稿の「佐賀県西日本新聞店押し紙訴訟裁判官交代について」で疑念を表明していたところです。

今回の敗訴判決を言い渡した三井教匡裁判長は、既報のとおり福岡地裁久留米支部に在籍していた当時、読売新聞販売店の地位保全仮処分決定を下した裁判官であり、押し紙問題については十分理解している裁判官です。そのため、一縷の期待を寄せていましたが、結果は敗訴判決でした。判決文が届き次第、内容を精査し、詳細をご報告いたします。

 

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2025年08月23日 (土曜日)

「司法の独立・裁判官の独立」について-モラル崩壊の元凶 押し紙-

執筆者:弁護士 江上武幸(福岡・佐賀押し紙弁護団、文責)2025年8月21日

井戸謙一・樋口英明両元裁判官が今年6月に旬報社から共著『司法が原発を止める』を刊行されました。これを契機に、司法の独立・裁判官の独立をめぐる議論が再び活発化しています。

*瀬木比呂志元裁判官が『絶望の裁判所』(講談社)を刊行したのは2014年2月、生田輝雄元裁判官が『最高裁に「安保法」違憲を出させる方法』(三五館)を刊行したのは2016年5月です。なお、岡口基一元裁判官は現在もFacebookで最新状況を発信し続けています。

押し紙裁判においても、審理途中で不可解な裁判官交代があったり、販売店側の敗訴判決に類似性・同一性が認められることなどから、最高裁事務総局による報告事件指定がなされているのではないかとの疑念があります。

憲法76条3項は「すべて裁判官は、その良心に従い独立してその職権を行い、この憲法及び法律にのみ拘束される」と定め、81条は「最高裁判所は、一切の法律、命令、規則又は処分が憲法に適合するか否かを決定する権限を有する終審裁判所である」と規定しています。

このように、日本国憲法は裁判官の独立と違憲立法審査権を明確に定めていますが、実際に裁判の場で法令の無効を宣言するには、裁判官に相当の勇気が求められるのが現実です。

裁判官の独立を妨げる圧力や、さまざまなしがらみについて、少し考えてみたいと思います。

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2025年08月01日 (金曜日)

佐賀県西日本新聞店押し紙訴訟の裁判官交代について、モラル崩壊の元凶-押し紙-

福岡・佐賀押し紙弁護団 弁護士江上武幸(文責)2025年7月31日

長崎県販売店の地裁裁判官の交代については、2024年12月26日(木)投稿の「西日本新聞福岡地裁敗訴判決のお知らせ」で報告したとおりです。

今回は、佐賀県販売店の押し紙訴訟の担当裁判官の交代について報告いたします。

佐賀県販売店の押し紙訴訟は、令和7年5月20日に原告本人尋問と販売部長の証人尋問が実施され、即日結審し、来る9月9日が判決言渡期日と定められました。

前回の4月15日の期日において日景聡裁判長は「裁判官変更の予定はありません。」と告げました。裁判官の異動は4月1日付で行われますので、日景裁判長がそのようなことを当事者双方の代理人に告げたのは、今の合議体で本件事案の審理を終え判決を作成することを宣言したに等しい出来事でした。

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2025年07月28日 (月曜日)

新興政党が台頭する中で、急がれる押し紙問題の解決、モラル崩壊の元凶―押し紙―

福岡・佐賀押し紙弁護団 弁護士 江上武幸(文責)2025年7月28日

衆議院に続き、参議院でも自民・公明の与党両党が過半数を割りました。一方、国民民主党や参政党が大きく議席を伸ばし、これに維新、れいわ新選組、日本保守党などを加えた新興勢力が、今後の政治の行方を大きく左右する存在となりそうです。

今回の選挙では、30年に及ぶ経済の停滞と、それに伴う社会全体の閉塞感に対する、若者世代の強い反発と怒りが背景にあると考えられます。

若者たちは、国民民主党の玉木代表の不倫問題、参政党・神谷氏の偏った女性観、元維新・橋本氏のハニートラップ疑惑など、SNSを賑わせた政治家のスキャンダルには目もくれず、変革への強い衝動に突き動かされているように見えます。財務省解体デモに象徴されるように、政治変革を求めるエネルギーは今後さらに拡大していくでしょう。

参政党が発表した「新日本国憲法構想案」により、この党の思想的傾向が明らかになり、既存メディアも批判的に報じ始めました。

新聞やテレビが新興政党に対し、党首や所属議員の女性問題、金銭スキャンダル、運営上の問題点などを積極的に報道するようになれば、これらの政党は、既存政党とは異なる立場から、新聞の「押し紙問題」を政治問題化し、メディアに対する強力な攻勢を仕掛けてくる可能性があります。

熊本日日新聞や新潟日報など一部の例外を除き、多くの新聞社は、押し紙による収入を前提に経営を続けているのが現状です。押し紙とは、新聞社が販売店に対し、実際に販売されない部数を強制的に仕入れさせる行為であり、これは独占禁止法に違反する不公正な取引方法で、資源の浪費であり、広告主に対する詐欺でもあります。

若者たちは新聞を購読していませんが、Google検索やSNSを通じて、押し紙の存在についてはよく知っています。新聞社がこの問題の存在を認めようとしない姿勢は、大人社会の「二面性」として受け取られ、若者から「正義を語る資格があるのか」と批判される原因になり得ます。

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2025年07月09日 (水曜日)

西日本新聞押し紙訴訟福岡高裁判決(敗訴)のお知らせ -モラル崩壊の元凶 押し紙-

福岡・佐賀押し紙弁護団 弁護士江上武幸(文責)2025年(令和7年)7月8日(火)

去る7月3日(木)に、長崎県西日本新聞販売店の押し紙訴訟の福岡高裁判決が言い渡されました。地裁判決に続き販売店の敗訴判決でした。(なお、福岡地裁の佐賀県西日本新聞販売店の押し紙訴訟の判決言い渡し期日は、9月9日(火)午後1時10分に指定されています。)

この二つの裁判については折々に投稿させて頂いていますので、今回の高裁判決と併せて御覧ください。

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2025年06月16日 (月曜日)

控訴審判決を前にして   モラル崩壊の元凶 -押し紙-

福岡・佐賀押し紙弁護団 江 上 武 幸 (文責)2025(令和7)年7月16日

7月3日(木)午後1時25分の西日本新聞押し紙訴訟福岡高裁判決の言渡期日が迫ってきました。既報のとおり、福岡地裁判決は前年の4月1日に東京高裁・東京地裁・札幌地裁から転勤してきたいわゆる「東京組」と呼ばれる3人の裁判官達による判決でしたので、敗訴判決が出る可能性はある程度予期せざるを得ませんでした。

しかし、この裁判では、西日本新聞社が原告販売店に毎年4月と10月に前月より200部も多い部数を供給し続けていること、その目的は、原告の押し紙の仕入代金の赤字を補填するために折込広告部数算定の基礎となるABC部数を大きくするためであること、つまり、押し紙政策を続けるために西日本新聞社が主導して折込広告料の不正取得(詐欺行為)を行わせていたことが明らかでした。

また、押し紙を行っている新聞社は、西日本新聞社に限らず押し紙の責任を販売店に押し付けるために、販売店の実配数は知らないし知り得ないと主張します。しかしこの点についても、西日本新聞社は販売店の実配数を把握しており、毎月、実売部数を記載した部数表を作成し、外部に知れないように本社で厳重に管理している事実を認めました。

この裁判は販売店が勝訴する条件が充分に揃った裁判でしたので、敗訴判決を聞いた瞬間、東京組の裁判官3名を福岡に派遣した最高裁事務総局の、新聞社の押し紙敗訴判決は出させないという強い意志を感じました。

* 福岡地裁判決の問題点については、5月25日に投稿した「控訴準備書面(全文)」をご覧ください。

福岡高裁の裁判官達が九州モンロー主義が支配した時代にみられた「最高裁なにするものぞ」という気概に満ちた判決をくだしてくれるかどうか、皆様と共に期待しながら待ちたいと思います。

なお、近時、司法試験合格者の裁判官希望者が少なくなっており、若い裁判官の中途退官も増えていると聞いています。外部からはこれらの情報はなかなか知ることはできませんが、幸い、岡口基一元裁判官がフェイスブックで裁判の独立と裁判官の果たすべき役割について積極的に発信しておられますので、それらの様子を伺い知ることができています。

裁判所内部からも岡口元裁判官と同じ危機意識をもった人たちの動きが表面化してくれることを期待しています。

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2025年05月25日 (日曜日)

西日本新聞佐賀県販売店押し紙訴訟結審のお知らせ、モラル崩壊の元凶―押し紙―

福岡・佐賀押し紙弁護団  江上武幸(文責)2025(令7)年5月22日

福岡地裁の西日本新聞佐賀県販売店の押し紙訴訟は、5月20日に原告本人尋問と販売部長の証人尋問が実施され、9月9日(火)1時10分に判決言渡しと決まりました。一審で敗訴した長崎県販売店の福岡高裁の判決は、既報のとおり、7月3日(木)1時25分に言渡し予定です。

二つの訴訟は、主張と証拠はほぼ同一ですので、担当する裁判官によって、それぞれどのような判断が示されるのか興味が持たれるところです。

なお、佐賀県販売店の原告本人と販売部長の尋問の結果とその評価については、近日中に報告させていただくことにします。

* 追記
 長崎販売店の控訴審において、提出済みの書証について説明した準備書面を提出しましたので、興味のある方は御覧ください。なお、個人名は黒塗りしております。

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2025年05月05日 (月曜日)

甲斐弦著『GHQ検閲官』の読後感-モラル崩壊の元凶「押し紙」-

福岡・佐賀押し紙弁護団 江上武幸(文責) 2025(令和7)年5月 1日

阿蘇の北外輪山に、カルデラの中央に横たわる涅槃像の形をした噴煙をたなびかせる阿蘇五岳をながめることができる絶好の観光スポットがあります。外輪山最高峰の「大観峰」と呼ばれる峰です。小国町の温泉旅館に宿泊したときなど、天気がよければ大観峰まで足を延ばし雄大な阿蘇の景色をみて帰ったりします。

最近、熊本インター経由で久留米に帰るため大観峰から内牧温泉にくだる道を通ったことがあります。 山の上の広々した草原地帯と異なり、道の両側には鬱蒼とした杉林が続いていました。おそらく、湯けむりで湿った空気が斜面をのぼり、時には雨を降らせるような地形が杉の成長に適しているのではないでしょうか。

ところで、昨年12月に関東地区新聞労連の役員会に招かれたことから、ネットで新聞の歴史を調べていたところ、偶然、甲斐弦熊本学園大学名誉教授の『GHQ検閲官』(経営科学出版)という本を見つけました。

「元検閲官だった著者が米軍検閲の実態を生々しく描き出した敗戦秘史がここに復刻」・「敗戦で日本人は軍のくびきから解放され自由を与えられたと無邪気に信じ込んでいるが、戦争は終わったわけではなく、今なお続いているのである。」とのカバーに目をひかれ、さっそくアマゾンで購入しました。

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