USAID傘下の全米民主主義基金(NED)が、3月5日、行政機関と政府高官を相手に提訴、「予算を違法に保留している」
USAIDとCIAの傘下にあるNED(全米民主主義基金)は、3月5日、米国議会が同基金に割り当てた予算が違法に保留されているとして、3月5日、行政機関と政府高官を相手に、米国連邦地方裁判所に裁判を提起した。ピーター・ロスカム会長によると、NEDの予算は、事前通告なしに凍結されたという。
ENDは、USAIDから資金提供を受け、CIAからは戦略上のノウハウを受けてきた。表向きは、他国の民主化を支援することを活動の柱としているが、実態としては、米国に敵対する国や地域の市民運動やメディアをてこ入れして、親米世論を拡散し、社会を混乱させたうえで、最後にクーデターなどの手段で「反米政権」の転覆をはかることをゴールとしている。
USAIDの活動分野は多岐にわたるが、世論誘導の役割を担っているのがNEDなのである。NEDの活動により混乱を招いた典型的な例としては、香港の「雨傘運動」がある。NEDから資金援助を受けてきたとされる日本の一部のマスコミも、周 庭 ( しゅう てい 、Agnes Chow Ting)を「民主主義の女神」として称え、NEDの方針に追随した。
ラテンアメリカの中でキューバ政府と最も親密な関係にあるニカラグアとベネズエラに対しても、NEDは侵入して、「民主化」の旗を掲げ、大混乱を引き起こした。しかし、ニカラグアでもベネズエラでも、クーデターは失敗した。
NEDの今後については、存続されるのではないかとする見方もある。筆者も存続の可能性が高いとみている。その意味でも、裁判の行方が注目される。