2014年02月13日 (木曜日)

毎日新聞社の偽装部数を示す内部資料「朝刊 発証数の推移」 新聞社の主張は「『押し紙』は1部も存在しない」

2月10日と12日の2回に渡って、MEDIA KOKUSYOで折込チラシを廃棄する現場を撮影したビデオを公開したところ、ある広告主(塾の経営者)から、「このような実態は、山陽新聞だけのことなのか、それとも新聞業界全体の問題なのか」という問い合わせがあった。

結論を先に言えば、「折り込め詐欺」は新聞業界の普遍的な問題である。折込チラシをめぐる詐欺は、昔から新聞業界の水面下で問題になってきた。業界のタブーである。が、逆説的に言えば、タブーであるから、報道する高い価値があるのだ。

折込チラシの「水増し」や「中抜き」の温床は、ABC部数が新聞の実配部数と乖離(かいり)していることにある。

新聞販売店に割り当てられる折込チラシの枚数は、原則としてABC部数に一致させる慣行がある。そのためにたとえばA販売店のABC部数が3000部であるのに、実配部数が2000部しかなければ、差異の1000部が「押し紙」となり、折込チラシも1000枚が過剰になる。

もっとも広告主が、「詐欺」に気づいて、自主的に折込チラシの発注枚数を減数すれば、このような事態は発生しない。

◇「押し紙」は普遍的な問題

次に紹介するのは、毎日新聞の「押し紙」(残紙、あるいは偽装部数)の実態を示す決定的な内部資料である。2004年に外部にもれたもので、MyNewsJapanや『FLASH』でも紹介された。

資料のタイトルは、「朝刊 発証数の推移」。わたしが記した赤と青のマークに注目してほしい。

 

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2014年02月12日 (水曜日)

新聞に対する軽減税率を考える 折込チラシの「水増し」「中抜き」と「文化的商品」は両立しない

昔から「ジャーナリズムの役割は、権力の監視」と言われてきたが、現代日本の新聞社が採用しているビジネスモデルの下で、新聞ジャーナリズムは権力監視の役割を果たすことができるのだろうか?

新聞社のビジネスモデルは、新聞の販売収入と広告収入を主要な収入源としたものである。これに「押し紙」政策が連動している。具体的には、次のような構図になっている。

?新聞社は新聞販売店に対して「押し紙」をすることで、より多くの販売収入を獲得すると同時に、新聞の公称部数(ABC部数)をかさ上げする。

?広告の媒体価格、とりわけ政府広報など、公共広告の媒体価格は、ABC部数の序列によって決められるので、「押し紙」によりABC部数をかさ上げさすることで、広告収入も増やせる仕組みになっている。

次に示すのは、新聞の政府広告の新聞社別の価格を示したものである。トップは読売で、1回の掲載料が5000万円を超えている。ABC部数の序列に沿った価格設定になっている。

■政府広告の新聞社別の価格?

?「押し紙」の負担を被る販売店に対して、新聞社はある程度の補助金を提供して、負担を軽減する。このような構図は、補助金を提供して、その資金で「押し紙」を買い取ってもらい、ABC部数をかさ上げする仕組みとも解釈できる。

?一方、販売店に搬入される折込チラシは、「押し紙」を含む新聞の搬入部数に準じているので、「押し紙」が存在する販売店では、広告主が自主的に折込チラシの発注枚数を減数しない限り、折込チラシも過剰になる。

その結果、冒頭の動画に記録(店主の内部告発)されているように、広告主に秘密裏のうちに、折込チラシを捨てることになる。

■岡山県民共済の折込チラシ大量廃棄

これが日本の新聞社が構築してきたビジネスモデルである。ジャーナリズムとは縁もゆかりもない、とんでもないモデルである。

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2014年02月10日 (月曜日)

新聞に対する軽減税率の適用問題 新聞人の戦略は10%への引き上げ時に8%から5%への引き下げ

新聞に対する軽減税率の適用を求めている新聞業界であるが、具体的な陳情の中味は新聞関係者を除いてありま知られていない。消費税が8%から10%に引き上げられる際に、軽減税率を適用して8%に据え置く案が検討されるものと思っている人が多いようだが、事実は異なる。新聞関係者が求めているのは、一旦、引き上げられた8%から5%への引き戻しである。

新年に業界紙各紙に掲載された日本新聞協会の白石興二郎会長(読売) の念頭書簡は、軽減税率の問題で次のように述べている。

今後、10%に引き上げられる際には、軽減税率を導入し、新聞には現行の5%の税率を適用するよう政府・与党に強く求めていく所存です。併せて、新聞は日本の知的・文化水準を維持し民主主義を支える公共財であることを、国民に理解していただく活動を継続することも必要です。

新聞が「日本の知的・文化水準を維持し民主主義を支える公共財」であるから、軽減税率の適用は当然の措置だと言わんばかりの思い上がりも甚だしい主張だが、かりに新聞がそのような性質の文化商品であるならば、国民に対して業界をあげて新聞の公称部数を偽ってきた問題を、白石会長はどのように説明するのだろうか。説明責任がある。

新聞の「公称部数を偽り」とは、俗にいう「押し紙」問題である。が、配達されずに多量に破棄されているのは、実は「押し紙」だけではない。「押し紙」とセットになっている折込チラシも破棄されているのだ。

冒頭の動画は、破棄する折込チラシをトラックに積み込む場面である。ダンボールの中には、折込チラシが入っている。これらのダンボールを提供していたのは、新聞社直属の販売会社だった。この事実は、山陽新聞の元販売店主が起こした「押し紙」による損害を求める裁判の中で、次のように認定されている。

「同社は各販売センター(販売店)に段ボール及び荷紐の提供をしており(認定事実(2)カ)、これらが販売センターに残存している新聞の処理等に用いられた可能性は高い上、山陽新聞販売の営業部長等は各販売センターへの訪問に際し、同センターに残存している新聞を目にしていたはずであるから、押し紙の可能性を認識していたことは推認される。」

ちなみに裁判で裁判所は、「押し紙」の存在を認定して、元店主に約300万円の支払いを命じている。

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2014年02月07日 (金曜日)

本日発売の『紙の爆弾』に森ゆうこ裁判についてのルポ掲載?『森ゆうこ元参議院議員が「一市民」に起こした恫喝訴訟が明かす「最高裁の闇」』

本日(7日)発売の『紙の爆弾』(3月号)に、『森ゆうこ元参議院議員が「一市民」に起こした恫喝訴訟が明かす「最高裁の闇」』(執筆・黒薮哲哉)というタイトルのルポが掲載されている。

このルポは昨年の10月に、森ゆうこ元参院議員が、ブロガーで『最高裁の罠』(K&Kプレス)の著者・志岐武彦氏を提訴した裁判の概要を述べたものである。

この裁判については、MEDIA KOKUSYOでも既に報じている。次の記事である。

■森ゆうこ元議員が提訴した裁判 背景に小沢事件をめぐる最高裁事務総局の闇

【概略】  背景には小沢一郎氏が東京第5検察審査会(以下、第5検審)の起訴議決により法廷に立たされた事件がある。第5検審が起訴議決を下した日が、小沢氏が立候補していた民主党代表選の投票日にあてられたために、なんらかの謀略があったのではないかという漠然とした疑いが浮上した。

後にこの疑惑は、小沢氏を起訴した第5検審が架空だった可能性を示唆する根拠のある推論へと発展する。

それを裏付ける客観的な証拠が情報公開請求などの手続きにより、次々と出てきたのだ。日本の最高権力のひとつがからんだ事件の重大性に萎縮したのか、新聞・テレビは森氏による提訴を一切報じなかった。

かりに疑惑が事実だとすれば、日本の司法はまったくの欺瞞(ぎまん)ということになる。軍事政権下の司法レベルという評価にもなりかねない。これ自体が日本の大問題である。

この重大な疑惑を調査する先頭に立ったのが、国会議員の職権を行使できる森ゆうこ議員と、ブロガーの志岐氏だった。調査の中で、検察審査会を管轄する最高裁事務総局の「闇」が次々と浮上した。また、工作人の存在も浮上してきた。

森議員と志岐両氏は協力関係にあったが、ある時期から意見が対立するようになる。最高裁を「諸悪の根源」と見る志岐氏と、最高裁よりも検察の責任をより強調する森氏。両氏はブログやTWITTERで応戦したが、森氏が提訴に踏み切ったのである。

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2014年02月06日 (木曜日)

クローズアップ現代『 あしたが見えない 深刻化する”若年女性”の貧困』にみるNHKの限界

NHKが1月27日に放送したクローズアップ現代「あしたが見えない  ?深刻化する"若年女性"の貧困」は、NHKジャーナリズムの限界を露呈している。結論を先に言えば、若い女性の間で極端な貧困が急激に広がっている実態は伝えているが、このような社会現象の原因が、構造改革=新自由主義にあることを隠しているのだ。

番組は、次のようなナレーションで始まる。

「学校を卒業後非正規の不安定な職にしかつけない女性が増加し続けています。」

「今、働く女性の3分の1が年収114万円未満」

「なかでも深刻化しているのが、10代、20代の貧困です」

◇大企業の内部留保は260兆円

かつて海外メディアは日本人を、「働きすぎ」とか、「会社に忠誠すぎる」と評した。実際、上司が帰宅するまで、部下も仕事を続けることが慣行化している会社はめずらしくなかった。昔から日本人は、延々と「働く」ことを強要されてきたのだ。長時間労働は今に始まったことではない。

しかし、現在と過去では、決定的に異なる部分がある。それは賃金である。むかしは働けば、最低限の生活は維持できたが、今はいくら働いても、極貧から抜け出せない人が増えている。

このような変化が生じたのは、構造改革=新自由主義の政策のひとつとして、自民党が派遣労働の規制緩和を進めたからである。勤労者が多様な働き方を自由に選択できる制度というのが、規制を緩和した表向きの理由のようだが、本当の理由は別にあったようだ。

経営者が際限なく高い利益を得られる労働市場へ「構造」を「改革」するのが、派遣の枠を広げた主目的にほかならない。さらに安倍内閣は、3年に定められている派遣の期限を、無期限に「改正」しようとしている。さらに規制を緩和しようとしているのだ。

構造改革=新自由主義の結果、大企業の内部留保は260兆円にも達している。大企業にとっては、不況どころではない。構造改革=新自由主義が大企業に、空前の儲けをもたらす例は、米国でも英国でも、そしてチリでも証明済みである。

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2014年02月05日 (水曜日)

「子供たちをマイクロ波被曝のモルモットにしてもいいのか?」NTTドコモが長野県で基地局10倍計画を断行、反発する母親たち

長野県飯田市で、子を持つ母親たちが、NTTドコモによる携帯電話の基地局設置に反対する声をあげている。基地局からは、IARC(国際がん研究機関)が発癌の可能性を認定しているマイクロ波が放射され、長期に渡って被曝した場合の人体影響が懸念されている。

母親たちの抗議で工事は一時休止になったが、ドコモは年明け1月13日に説明会を開催したあと、工事を再開。これに対し母親たちは、集団で現場に乗り込み工事の中止を求めたが、ドコモは現在も工事を強行している。ドコモは長野県で基地局を10倍に増やす計画を進めており、強引な「再発進」はその一環だ。

このまま基地局操業にこぎ着け、将来、子供たちの人体に被害が発生した場合、一体だれが責任を取るのだろうか?幼い生命をモルモットにすることは許されるのか?母親たちの思いをレポートする。 【続きはMyNewsJapan】

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2014年02月04日 (火曜日)

最高裁の上告審における朝日、読売、日経の勝敗は「88勝4敗」、逆転勝訴は黒薮裁判の1件、情報開示まで8ヶ月の延滞

1997年から2013年までの間に、最高裁に上告された裁判のうち、朝日新聞社、読売新聞社、それに日経新聞社が上告人か被上告人になったケースの勝敗を調べた。裏付け資料として採用したのは、情報公開請求によって最高裁から入手した次の資料である。

最高裁からの情報公開資料=ここをクリック

結論を先に言えば、法廷闘争では、大新聞社が圧倒的に強いことが分かった。

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2014年02月03日 (月曜日)

新聞販売店と警察の関係について日本新聞協会に電話インタビューしてみた 「異常」という認識は皆無

新聞に対する消費税の軽減税率の適用の是非を考える上で、考慮しなければならないのは、日本の新聞社の特異な体質である。彼らが一方では社会正義の旗を掲げ、もう一方では、新聞ジャーナリズムの根幹にかかわる重大なあやまちを繰り返し犯してきた事実は、本サイトで繰り返し報じてきた。

具体的には、「押し紙」(公称部数の偽装)、それにともない紙面上の公共広告の価格を不当にかさ上げしてきた事実、新聞社の一部の幹部が安倍首相と会食を重ねてきた事実。公共広告を媒体とした官庁や裁判所との癒着。そしてここにきて浮上したのは、警察と新聞社の親密な関係である。

警察と新聞社の協力関係。これは欧米では絶対にありえない。

その典型例が全国読売防犯協力会の活動である。全国のほとんどの警察が同協会と覚書を交わして、次のような活動を展開している事実がある。同協会のウエブサイトは、活動目標として、次の4点を明記している。

(1)配達・集金時に街の様子に目を配り、不審人物などを積極的に通報する

(2)警察署・交番と連携し、折り込みチラシやミニコミ紙などで防犯情報を発信する

(3)「こども110番の家」に登録、独居高齢者を見守るなど弱者の安全確保に努める

(4)警察、行政、自治会などとのつながりを深め、地域に防犯活動の輪を広げる

覚書を交わしている全国の警察は、次の通りである。

 ■全国読売防犯協力会と警察の覚書一覧=ここをクリック

(1)(4)の活動の何が問題なのか?結論を言えば、「民間人」が「民間人」を監視して、情況を警察に報告する制度が構築されてしまうことが問題なのだ。これは戦前の「隣組」の発想と同じだ。

海外では、1980年代に中米グアテマラの軍事政権が、自警団と呼ばれる住民が住民を監視して、解放戦線のシンパを取り締まる政策を敷したことがある。結果、住民監視がエスカレートして、最後はジェノサイド作戦を断行するに至った。(昨年、当時の大統領リオス・モントは、禁固80年の判決を受けた。)

 ■リオス・モントに禁固80年=ここをクリック

新聞業界と警察の関係を日本新聞協会に直接質問してみた。

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2014年01月31日 (金曜日)

これがマイクロ波の発生源だ 街中の携帯電話の基地局(アンテナ)の形状を写真で紹介

最近、携帯電話の基地局(アンテナ)の見分け方を教えてほしいという問い合わせが増えている。日本の隅々まで基地局が張り巡らされ、その近辺に住む人々が1日24時間にわたってマイクロ波を浴びているにもかかわらず、基地局の形状は意外に知られていない。

そこで典型的な基地局(アンテナ)を写真で紹介することにした。第1弾は埼玉県朝霞市の基地局である。朝霞市議会は2010年に、公明党などの賛成で、わたしが請願した基地局設置を規制する条例案を否決している。

冒頭写真:埼玉土建「朝志和支部」のビルに立つNTTドコモの基地局。住宅街の中にある。近くには公園もある。

■見落としやすいアンテナ?=ここをクリック

■見落としやすいアンテナ?=ここをクリック

■ビルの屋上に設置されたアンテナ?=ここをクリック?

■ビルの屋上に設置されたアンテナ?=ここをクリック

■ビルの屋上に設置されたアンテナ?=ここをクリック

■ビルの屋上に設置されたアンテナ?=ここをクリック

■鉄塔型のアンテナ?=ここをクリック

■鉄塔型のアンテナ?=ここをクリック

■忍者型のアンテナ?=ここをクリック

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2014年01月30日 (木曜日)

携帯電話の基地局周辺で発見された奇形植物が発する人類への警鐘 長野県木曽町と伊那市の例

携帯電話の基地局周辺で奇形植物が発見されるケースが増えている。

その原因が基地局から放射されるマイクロ波によるものなのか、それとも別に原因があるのかは、現在の段階では断定できない。奇形の原因は必ずしも、単一とは限らないからだ。複合汚染の観点から原因を検証するのが常識になっている。

たとえば、オゾン層の減少によって地球に放射される紫外線が生態系を破壊するとする説は、いまや常識になっている。

化学物質による汚染が奇形を引き起こす可能性もある。米国のケミカル・アブストラクト・サービス(CAS)が1日に登録する新しい化学物質の数は、約1万5000件に達するという。膨大な新型の化学物質が地球上に広がっているのだ。外界は常に運動し、変化しているのだ。一瞬たりとも静止しない。

生態系の破壊は、複合汚染という視点から考えなければならない。たとえばよく引き合いに出される例に、子宮頸がんとヒト・パピローマ・ウイルスの関係がある。子宮頸がんは、ヒト・パピローマ・ウイルスに感染した状態のときに、何らかの外的な要因が重複して発症すると言われている。

ヒト・パピローマ・ウイルスに感染した人全員が必ず子宮頸癌になるわけではない。たとえば感染した状態で、ある環境因子にさらされてDNAがダメージを受けるなどの条件が重なった場合、発癌のリスクが高くなるのだ。(『性感染症』利部輝雄著)

しかし、公害対策を策定するとき、最優先しなければならないのは、異常が発生している事実である。公害対策は常に事実を優先して、対策を取るのが常識になっている。

公害の原因が科学的に立証されるのを待ってから対策をとるのであれば、手遅れになる可能性が高いからだ。

携帯基地局が設置された後、その周辺で、奇形植物が現れた場合、「予防原則」に基づいて基地局の操業を停止するのは、ある意味では常識中の常識である。

本稿の冒頭写真と次に紹介する写真は、NTTドコモの基地局周辺で発見された奇形植物である。長野県木曽町と伊那市の例で、住民たちの話によると、基地局の稼働開始から1年以内に奇形が現れた事実がある。

冒頭の写真:奇形のナスビ。野球のグローブのように数本が連なっている。

キューリの実から発芽した茎=ここをクリック   

ひまわりの裏面から別のひまわりが=ここをクリック  

たんぽぽの奇形=ここをクリック  

トマトの実から別のトマトが=ここをクリック

携帯基地局問題についての情報提供は:048-464-1413(黒薮)まで。

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2014年01月29日 (水曜日)

森ゆうこ元参院議員が提訴した裁判 背景に小沢事件をめぐる最高裁事務総局の闇

昨年の10月2日、森ゆうこ元参院議員が、『最高裁の罠』(K&Kプレス)の著者で、ブロガーの志岐武彦氏に対して500万円の支払い(訴訟価額は820万円)を求める名誉毀損裁判を起こした。先の参院選で落選して現職を退いたとはいえ、元国会議員が一市民を提訴するのは異例だ。

が、マスコミは一切、この提訴を報じなかった。最高裁の闇が絡んだ裁判であるにもかかわらず、無視したのである。

日本ジャーナリスト会議(JCJ)のフリーランス部会は、昨年の12月18日、裁判を検証するために、文京区民センターで、訴えられた側の志岐氏から話を聞く会を開催した。参加者は約50名。志岐氏の話を通じて浮上してきたのは、恐るべき最高裁事務総局の実態である。マスコミが報道を自粛したゆえんにほかならない。

裁判の発端は、小沢一郎議員が2010年に東京第5検察審査会の議決で起訴され、最終的に無罪になった事件である。起訴直後から、小沢氏の支持者の間で起訴に対する疑問の声があがり、第5検察審査会とその上部機関である最高裁事務総局を調査する動きが広がった。その先鋒に立ったのが森氏と志岐氏(市民グループ)だった。

なお、検察審査会という組織は、「検察」という名前を付しているが、検察の組織ではなく、文字通り「検察」を「審査」する最高裁の機関である。従って森、志岐、石川が追及したのは、最高裁事務総局の謀略疑惑である。

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2014年01月28日 (火曜日)

公共事業は諸悪の根源?  ジャーナリズムでなくなった朝日 その7(後編)

◆吉竹幸則(フリージャーナリスト・元朝日新聞記者)

後任の編集局長は東京本社から来た、箱島社長と同じ経済部畑の人物でした。東京6大学の万年最下位チームの元投手。当時、明治大学にいた星野仙一氏と投げ合ったのが、何よりの自慢。当時、星野氏が中日の監督をしていたこともあり、聞かれもしないのに「昨日、星野君と飲んで来たよ」と、社内で吹聴して回るような人でした。

「社長にベッタリ。取締役を狙っている」とのウワサもありました。案の定、「広報は1年」の約束は簡単に反故にされ、私は広報留め置きになりました。関連会社社長に出向した前局長は、約束通り2年で朝日の取締役に戻りましたが、私との約束が果たされることはありませんでした。

「広報」は、「朝日読者との窓口」と言えば聞こえはいいのです。しかし、実質は、苦情処理部門です。記者を志望して新聞社の門をたたいた人間なら、誰も希望しない嫌悪ポストでした。特に万年赤字の名古屋本社は人手不足。、私に「広報室長」の肩書きがあっても、社員は私一人だけの期間が長くありました。

あとは、定年になったOBです。私の立場を気遣って、随分支えてもらいました。それでも、いざという場面での厄介な抗議・危機管理は、社員である私が一人で体を張って処理していく以外にありません。

新聞社の広報には、社会の中でストレスをいっぱい溜め込み、不満のはけ口に電話してくる読者も珍しくありません。「星が攻撃してくる」や人生相談の類いもあれば、記事に強硬に抗議する人もいます。朝日の場合、右翼からもたびたび脅迫に近い電話もかかってきます。正直、筋違いの批判や無理難題も多いのです。

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