2014年04月22日 (火曜日)

喜田村洋一弁護士に対する懲戒請求、近々に綱紀審査会へ申し立て、袴田事件に類似した構図の民事事件

弁護士懲戒請求の最終プロセスに、綱紀審査という制度がある。日弁連のウエブサイトによると綱紀審査は、次のような制度である。

綱紀審査は、学識経験者(弁護士、裁判官、検察官およびそれらの経験者を除きます。)である委員のみで構成される綱紀審査会において行われます。

KOKUSYOで報じてきたように、わたしは著作権裁判(原告・読売の江崎法務室長 被告・黒薮)の勝訴(2010年2月)確定を受けて、江崎氏の弁護士を務めた喜田村洋一・自由人権協会代表理事に対する弁護士懲戒請求を第二東京弁護士会へ申し立てた。

江崎氏の名義で裁判所に提出した催告書の作成者が、実は喜田村弁護士の代筆であった可能性を認定する判決を根拠とした懲戒請求申立だった。江崎氏サイドには、もともと著作者人格権を根拠として提訴する権利がなかったのに、名義を「江崎」に偽って提訴し、それを前提に書面を提出し、みずからの主張を展開したからだ。

最近、捏造した証拠に基づいて、検察が有罪を主張した袴田事件が注目を集めているが、わたしの著作権裁判は、それとよくにた構図の「民事事件版」である。裁判所もそれを見抜いて、江崎氏らを敗訴させたのである。

この問題の責任追及は、2010年に勝訴が確定した時点から始まった。その具体的なかたちのひとつが、弁護士懲戒請求である。しかし、第二東京弁護士会はこれを棄却した。日弁連に異議を申し立てたが、ここでも棄却された。そこで今回、綱紀審査を求めたのである。

事件の経緯は、次の通りである。

■事件の経緯

■読売が黒薮に対して起こした著作権裁判の提訴行為が弁護士としてあるまじき行為だった高い可能性を認定した知財高裁判決。(7ページ[イ]参照)

以下、綱紀審査会に提出する「理由書」の草案を紹介しよう。

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2014年04月21日 (月曜日)

森ゆうこVS志岐武彦の裁判が結審、提訴からわずか7ヶ月、本人尋問は実施されず志岐氏の勝訴が濃厚に

森ゆうこ元参院議員が、『最高裁の罠』の著者で、ウエブサイト「一市民が斬る」の主宰者・志岐武彦さんを訴えた裁判が、18日、東京地裁で結審した。

森元議員が裁判を起こしたのは昨年の10月2日であるから、7ヶ月ではやばやと結審したことになる。裁判所が、森氏と志岐氏の本人尋問を実施しなかったことに加えて、訴因の発端となっている捏造報告書流出事件についての検証を避けたことから、森氏の訴えが棄却される可能性が極めて強い。

前回の口頭弁論で、原告の小倉秀夫弁護士は、審理の中で捏造報告書送付事件への関与疑惑が浮上しているX氏(訴状にもX氏で登場)の陳述書を提出する旨を表明していたが、結局、陳述書は提出されなかった。それに代わって、森氏本人と歌手・八木啓代氏、それに『サンデー毎日』の鳴海崇記者の陳述書が提出された。

これらの陳述書については、結審後にスタートする検証作業の中で、関係者の意見を考慮したうえで、インターネットで公開する機会があるかも知れない。 (裁判関係の書面の公開は、著作権法違反にはならない)

判決は、7月18日の13:10分、705号法廷で言い渡される。

◇名誉毀損裁判の法理

この裁判では、志岐氏が執筆して「一市民が斬る」に掲載した3件の記事をどのように解釈するかが争点になった。名誉毀損裁判では、まず、報道に公益性があるか否かを審理し、それが認められた場合には、次のステップとして、一般の人が普通の読み方をした時に、どのような受け止め方をするかを検証することで、争点となった表現が原告の社会的地位を低下させたか否かを判断する。

争点となった表現が事実であれば、たとえ原告の社会的地位を低下させても、被告は免責される。しかし、表現が事実であること、あるいは事実であると信じるだけの十分な根拠を示す責任は、被告側にある。

それゆえに名誉毀損裁判では、原告が圧倒的に優位になる傾向があり、SLAPPによる「訴訟ビジネス」を展開する弁護士にとって、格好の法理となっている。

原告の主張は、3件のブロク記事を横断的に読んだ時、森氏の社会的地位を低下させる事実摘示が構成されているという主張を展開してきた。これに対して被告は、それぞれのブログ記事は独立した評論という主張を展開した。

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2014年04月18日 (金曜日)

MEDIA KOKUSYOの課金システムに対する「攻撃」について

    重要なお知らせ

MEDIA KOKUSYOの課金システムに再び以下の不具合が発生しています。

【1】購読者がネット上で契約を解除した際に、解約者のもとへ解約手続きが完了した旨のメールが送られますが、カード決済を行っている(株)イプシロンには解約の指示が伝わっていないらしく、実際には登録が自動解除されていません。同じ不具合が過去にも繰り返し発しています。

【2】新規に購読を申し込んだ際に、契約が完了したメールが新規契約者に送られます。本来であれば、カード決済を行っている(株)イプシロンにもその旨が通知され、自動登録が行われ課金状態になるシステムになっています。しかし、実際にMEDIA KOKUSYOの「会員限定」画面にアクセスして、「続きを読む 」をクリックすると、「……この続きの文章は、会員のみに提供されております。 購読契約が終了しています。」という表示が現れます。

また、新規購読契約者がログインした状態で、「全文公開」の画面にアクセスして、「続きを読む」をクリックすると、本文が消えた状態、つまりタイトルだけが表示され、その下に、「購読契約が終了しています。」と表示されます。

■PDF上記の具体画像の例

繰り返しになりますが、この種のトラブルは、過去にも発生しており、サイトを構築したGMOクラウドは、そのたびに修復作業を行ってきました。同社とは、2012年6月にサイト構築に関する契約(3ヶ月で作業を完了する契約)を結んでおり、この6月で2年になりますが、未だに契約が履行されていない状態です。

GMOクラウドは、2014年2月に契約終了を宣言しましたが、その後も同じトラブルが続いています。

ちなみにサーバーもGMOクラウドです。

MEDIA KOKUSYOとの購読契約解約を希望される方は、連絡をいただければ応じます。黒薮が手動で解約します。また、念のためにクレジット決済の状態をご確認ください。不正な課金が発生している場合は、返済した上で、GMOクラウドに対して損害賠償を請求します。

Eメール:xxmwg240@ybb.ne.jp????? 電話:048?464?1413

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2014年04月17日 (木曜日)

一般紙よりも、機関紙の購読を ジャーナリズムに「不偏不党」はありえない

ジャーナリズム活動の展開方法について考えるとき、わたしは典型的な3つのモデルを思い浮かべる。NHK、読売新聞、それに中米エルサルバドルのラジオ・ベンセレーモスである。

◇公共放送モデル

念を押すまでもなくNHKは、国民から受信料を強制的(裁判の多発だけではなくて、強制執行も行っている)に集め、局を運営するための予算配分を国会が承諾し、それに従ってジャーナリズム活動を展開する。実際、NHKの籾井会長は、「政府が『右』と言っているものを、われわれが『左』と言うわけにはいかない。国際放送にはそういうニュアンスがある」と述べ、NHKには政府の「広報部」の側面があることを認めている。

従って公権力の監視機関としては、まったく機能していない。事実、2001年に安倍晋三と中川昭一の両議員がNHKの番組にいちゃもんをつけて、NHKはそれに屈している。放送史の汚点である。

ちなみに職員の待遇は、日本企業の中でもトップクラスで、庶民感覚からは程遠い。

◇興行との合体モデル

読売新聞は、日本の新聞社のビジネスモデルの典型といえる。景品を使って新聞拡販を展開し、販売収入と広告収入を増やして、新聞社経営の財政基盤とするモデルである。読売に限らず、日本の新聞社は、新聞拡販に依存して成長してきた。このような例は欧米では見られない。

特に読売の場合は、渡邉会長が社長に就任した1991年に「販売第一主義」を打ち出し、部数にこだわってきた。読売巨人軍も拡販戦略上で重要な位置を占めている。巨人軍のフアンを増やすことで、読売新聞の拡販に結びつける戦略がある。そのために読売新聞社から、巨人軍への出向人事が当たり前になっている。

通常、ジャーナリズムは、報道内容で読者を獲得する原則があるが、日本の新聞は、報道内容では十分に販売できないので、副次的なメリットを提供して、「購読者」を増やしてきた。紙面が萎縮しているのは、記者に対して活動の自由を制限しているからだ。自己規制、自粛の結果である。

◇機関紙モデル

ラジオ・ベンセレーモス(冒頭の動画参照)は、エルサルバドル内戦(1980年?92年)時に設立されたFMLN(ファラブンド・マルチ民族解放戦線)の公式ラジオ放送である。ラジオ局を支えていたのは住民である。住民の支援なくして、FMLNの存続そのものがあり得なかった。

3つもモデルの中で最もジャーナリズムの原点に近いのは、疑いなくラジオ・ベンセレーモスである。自分たちの主張を伝える媒体であるからだ。元々、ジャーナリズムは、フランス革命の時代にビラ配布というかたちで始まったと言われている。

従って景品や野球の球団を使って、「支持者」を増やす発想もない。ラジオ局が空爆で破壊されないように、放送機材を運んで、発信拠点を移動させながら、内戦の時代を乗り切ったのである。

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2014年04月16日 (水曜日)

24万円の受信料滞納で出版労組委員長を訴えたNHKの「番組押し売り」と強制徴収の手口

NHKが受信料支払いを求める裁判を起こしたり、強制執行を断行するなど、強引な営業を展開している。フリーの編集者やライターでつくる労組・出版ネッツの委員長・澤田裕氏も今年に入って、8年10ヶ月分、約24万円の支払いを請求する裁判を起こされた。裁判でNHKは、弁護士の代わりに職員が原告席に着くなど、余裕をみせていた。

澤田氏が受信料支払いをペンディングするようになったのは、安倍晋三と中川昭一の両議員によるNHKへの介入をスクープした朝日新聞記事が発端だったが、裁判所はその争点化を拒否し、勝敗の行方は厳しい。

NHKは電話で澤田氏に支払いを催促し、それを録音までしていた。支払督促の対象になるのはどのような世帯なのか?自宅へ立ち入らない限り受信設備の有無は確認できないはずだが、どうやって個人情報を入手しているのか?どうすれば「理不尽な番組の押し売り」から逃れられるのか?受信料取り立てをめぐる謎に迫った。(訴状=支払督促状はPDFダウンロード可) 【続きはMyNeswJapan】

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2014年04月13日 (日曜日)

言論の自由にかかわる2つの裁判、16日(水)に読売VS七つ森書館 清武氏の尋問 18日(金)に森ゆうこVS志岐武彦

4月16日(水)と18(金)に、言論表現の自由にかかわる2つの裁判の法廷が開かれる。16日は、読売新聞社が弱小な出版社・七つ森書館に対して仕掛けている著作権裁判。18日は、森ゆうこ元参院議員が、『最高裁の闇』の著者・志岐武彦氏に仕掛けている名誉毀損裁判である。

それぞれの裁判の詳細は次の通りである。

【読売VS七つ森書館】

日時:4月16日 水曜日

場所:東京地方裁判所 721号法廷

午前10時20分?12時  原告側証人・星春海さん(出版契約当時、 読売新聞社会部次長)

 午後1時30分?3時30分 被告側証人・清武英利さん(元読売巨人軍 専務取締役)

午後3時30分?午後4時  中里英章(被告代表者・七つ森書館社長)

【森ゆうこVS志岐武彦】

日時:4月18日 金曜日

場所:東京地方裁判所 530号法廷

時間:午前10:00

 ※法廷の終了後、「志岐武彦さんを支援する会」が弁護士会館503号でミーティングを開きます。だれでも参加できます。問い合わせ先は、電話048?464?1413(黒薮)まで。

◇読売VS七つ森書館?職務著作権をめぐる問題

この裁判の発端は、七つ森書館が『会長はなぜ自殺したか──金融腐敗=呪縛の検証』(読売新聞社会部。1998年新潮社刊、2000年新潮文庫)を復刊しようとしたことである。同書は清武英利氏が中心になって制作したもの。七つ森書館は、2011年5月9日に読売との間に出版契約を結んだ。

ところが本の制作が最終段階に差し掛かったころに、清武氏が記者会見を開いて、読売の渡邉恒雄会長を批判したのを機に、両者は裁判へと突入した。その影響が、七つ森書館にも及んだようだ。

読売が七つ森書館に「出版契約を解除したい。補償はお金でする」と申し入れてきたのだ。しかし、交渉は決裂。読売は、喜田村洋一自由人権協会代表理事を代理人に立て、出版契約の無効を主張して裁判を起こしたのである。

争点としては、出版契約の手続きが有効かどうかという点に加えて、職務著作権をめぐる問題も浮上している。

職務著作権とは、新聞社の場合に即していえば、ある記事を執筆した記者をその記事の著作権者と認定するのを回避して、記者が所属する新聞社を著作権者と定めるルールである。著作権法の15条1は、職務著作権を次のように定義している。

法人その他使用者(以下この条において「法人等」という。)の発意に基づきその法人等の業務に従事する者が職務上作成する著作物(プログラムの著作物を除く。)で、その法人等が自己の著作の名義の下に公表するものの著作者は、その作成の時における契約、勤務規則その他に別段の定めがない限り、その法人等とする。

問題となった『会長はなぜ自殺したか──金融腐敗=呪縛の検証』は、読売新聞の記者たちによる執筆・取材である。しかし、単行本として刊行する場合は、単行本に即した文体や形式に改めることが多い。

新聞連載をそのまま単行本にすれば、無機質な印象が露呈して単行本としては読みづらいからだ。

詳しいことは知らないが、この本が新潮社から出版されるに際して行われた「てなおし」の過程では、清武氏の功績が大きい。このあたりを裁判所がどう判断するかが注目される。

読売勝訴により、職務著作権の適用範囲を拡大する判例ができてしまうと、新聞記者や出版社の編集者が自分の名前で本を出版する自由が侵害される危険性も秘めている。出版関係者にとっては、重要な意味を持つ裁判である。

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2014年04月11日 (金曜日)

同じ脈絡の携帯基地局問題と原発問題、チェルノブイリの被害報告から察する電磁波の影響

原発には反対だが、携帯電話の基地局設置には反対しないという人が少なからずいる。その典型的な人物は、ソフトバンクの孫正義氏である。孫氏は「3・11」のあと、はやばやと原発に見切りをつけて、それを代用する新しいエネルギーの開発へ、第一歩を踏み出した。

しかし、「原発には反対だが、携帯電話の基地局設置には反対しない」という孫氏の立場は、電磁波による人体影響という観点からすると論理が破綻している。携帯基地局が発生源となるマイクロ波も、原発が発生源となるガンマ線も、同じ電磁波(放射線)の仲間である。前者のエネルギーが低く、後者のエネルギーが高いという違いはあっても、電磁波による人体影響という観点からすれば、いずれも電磁波問題である。

その電磁波が誘発する人体影響として、とかく癌がクローズアップされる傾向があるが、癌は数ある病変のひとつに過ぎない。電磁波によりどのような人体影響が現れるのかは、チェルノブイリの原発事故の後に報告されている被曝者の体調変化が参考になる。

 『チェルノブイリ被害の全貌』(アレクセイ・V・ヤブロコフ他 岩波書店)には、原発事故の後、確認されているがん以外の疾患につて次のように要約している。

(略)脳の損傷がリクビダートル(事故処理作業員)や汚染地域の住民とその子どもたちなど、放射線に直接さらされた人びとに見られた。若年性白内障、歯と口の異常、血液、リンパ、心臓、肺、消化器、泌尿器、骨および皮膚の疾患によって、人々は老若を問わず苦しめられ、健康を損なわれている。内分泌系の機能障害、とりわけ甲状腺疾患の広がりは予想をはるかに超え、甲状腺がんが1例あれば甲状腺の機能障害は約1000例あるというほど、大惨事後に著しく増加している。

? 遺伝的損傷と先天性異常が、特にリクビダートルの子どもや、放射性同位体によって高濃度に汚染された地域で生まれた子どもに認められる。免疫異常と、ウィルス、細菌、および寄生虫による疾患が、重度汚染地域に蔓延している。チェルノブイリ事故によって放出された放射線に被曝した人びとの総罹患率は、20年以上にわたり依然として高い。???

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2014年04月10日 (木曜日)

携帯電話の電磁波問題で何が危険視されているのか?欧州と日本の見解の違いとは

携帯電話やスマートフォンの普及が進むにつれて、携帯電話の基地局が増えている。会社から帰宅すると、自宅の隣ビルに携帯基地局が立っていたといった話があとを絶たない。笑うに笑えないブラックユーモアである。

それに伴いMEDIA KOKUSYOにも携帯電話の電磁波(マイクロ波)とは何かという問い合わせが寄せられようになった。

電磁波とは、ごく簡単に言えば電波のことである。その電波とは、電気を空間に飛ばしたものである。電波はアンテナから発せられて、アンテナで受信される。アンテナがなければ、利用価値はない。

固定電話では、ケーブルを通じて情報が送られてくるが、携帯電話では、電波を通じて情報が送られてくる。

ちなみに電磁波の「電」とは、電気のことで、「磁」とは磁気を意味する。「波」は文字通り波。つまり電磁波とは、磁気を帯びている電波の性質をより正確に定義したものである。それゆえに単純に電磁波=電波と考えても、許容範囲といえる。

しかし、電磁波の存在はなかなか認識するのがむずかしい。肉眼で知覚することができないからだ。色もなければ、音も匂いもない。ビルの屋上から街を見下ろして、目の前の空間を電波が飛び交っているイメージを描くひとは、ほとんどいない。

これに対して、たとえば風は目には見えないが、街路樹が揺れたり、桜が花吹雪となって散る光景をまえにすると、風が客観的存在であることを認識できる。

が、認識の壁が、客観的存在を否定することにはならない。マイクロ波が携帯基地局と「電話器」の間に介在しなければ、携帯電話で通話できない事実は、情報を運ぶマイクロ波が客観的存在であることを物語っている。そのマイクロ波を生物、特に人間が被曝した際に現れる負の人体影響が、新世代公害?電磁波問題としてクローズアップされているのだ。

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2014年04月09日 (水曜日)

マッカーサーと最高裁長官の談合で決めた砂川事件・最高裁判決 瀬木比呂志著『絶望の裁判所』?

最高裁事務総局に在職した体験をもつ瀬木比呂志氏の著書、『絶望の裁判所』(講談社現代新書)は、最高裁の実態を冷静な筆づかいて内部告発している。

裁判の原告、あるいは被告になったことがある人であれば、権力を持つものにより親和的な判決を下す傾向がある裁判所の実態を肌で感じたことがあるのではないだろうか。「公正」とか、「正義」といった言葉とは程遠い。

しかし、不公平感の具体像はなにか?『絶望の裁判所』の中で瀬木氏は、判決の内容が方向づけられる不正なプロセスを暴露している。最高裁が民主主義の理念に著しく反し、この国のあり方を国策に照合しながら、「談合」や「密談」で決めてきた恐るべき実態を批判している。

具体例を3件、紹介しよう。まず、最初は次の記述である。

 その後、(私は)東京地裁の保全部というセクションに1年間所属した。  ここでも一つおかしなことがあった。国が債権者(申立人)となる仮の地位を定める仮処分命令事件について、国(法務省)が、事前に、秘密裏に、裁判所に対して、その可否、可能であるとすればどのような申立てを行えばよいのかを事実上問い合わせ、未だ仮処分の申立すらない時点で、かなりの数の裁判官たちがそれについて知恵を絞ったのである。

こうした行為は、入試のカンニングと同じである。「出題者」に事前に答えを教えてもらうのであるから、法務省と最高裁が結託して不正を働いたことになる。

もうひつと類似した例をあげよう。

重要なことなのでほかの例も挙げておくと、ずっと後のことであるが、東京地裁の多数の部で審理が行われている同種憲法訴訟について、同様に事前談合に類した行為が行われたことがある。裁判長の定例会議におけるある女性裁判長の提案により、裁判長たちが秘密裏に断続的な会合をもち、却下ないし棄却を暗黙の前提として審理の進め方等について相談を行ったのである。(略)  こうした不正は、裁判の基本的な公正を害する行為なのだが、おそらく、日本の司法においては、さまざまな場所にさまざまな形で存在するのではないかと思われる。

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2014年04月08日 (火曜日)

新聞を読む事と知力の発達は関係あるのか? 我田引水の『新聞協会報』の記事、背景に新聞に対する軽減税率適用の問題

『新聞協会報』(2014年1月14日)は、新聞を読むことが子供の知力の発達を促すとする観点から、新聞の優位性をPRする記事を掲載した。タイトルは、

新聞読む子供、正答率高く

学力テスト 文部省分析 閲読習慣と相関関係

と、なっている。この記事によると、「新聞をよく読む児童・生徒ほど全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)で正答率が高かった」ことが「文部科学省の分析で明らかになった」という。記事の冒頭には、次のような記述がある。

文科省が公表したクロス集計結果によると、小6国語Aでは、新聞を「ほぼ毎日」読んでいると答えた生徒の正答率は69.4%、「週に1?3回」は67.0%、「月に1?3回」は63.1%、「読まない」は59.3%だった。新聞を頻繁に読む生徒ほど、正答率が高かった。

 中3国語Aでも「ほぼ毎日」が80.3%、「週に1?3回」80.0%、「月に1?3回」77.6%、「読まない」75.4%だった。

 算数、数学でも同じ傾向だった。小6算数Bでは、「ほぼ毎日」読む児童は「読まない」児童より、正答率が9.7ポイント高かった。中3数学Bでも8.8ポイント高い。文科省初等中等教育局の八田和嗣学力調査室長は「新聞などで培った言語力は、問題文の理解に役立つだろう」と話す。

注意深く記事を読むと、新聞をPRするために、不自然な論理をこじつけた記事であることがわかる。このような記事を掲載した背景には、新聞に対する軽減税率適用の是非をめぐる議論が、今後、高まることが予測される中で、新聞協会が新聞の優位性をPRする戦略にでた事情があるようだ。

が、新聞協会が情報源とした文科省実施の調査は、科学的な視点を欠いている。情報源となる調査そのものが非科学的なので、記事もずさんなものになっている。それでもあえて記事掲載に踏み切った背景に、新聞協会のあせりがかいま見える。

まず、学力向上と新聞を読む行為の関係を調べるためには、その前提として調査対象を同程度の学力の児童・生徒に限定しなければならない。その上で新聞を読むグループと読まないグループに分けて、一定の期間を経た後に学力テストを実施して、成績を分析しなければならない。

さらに同程度の学力グループを対象として、たとえば新聞を読んだグループと夏目漱石の小説を読んだグループに分けて、一定の期間を経た後に成績の変化を分析しなければならない。

教育問題の専門家にアドバイスを求めれば、他にもたくさん基本的な留意点の誤りがあるかも知れない。

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2014年04月07日 (月曜日)

安倍内閣の下でエスカレートする内閣とメディアの癒着 アメとムチの政策の背景に「押し紙」問題の汚点

『しんぶん赤旗』(3月27日付け・電子版)が、安倍内閣が消費増税に反発する世論を抑えるために政府広報に12億6000万円を支出していたことを報じている。

同紙によると、「政府広報はテレビスポット、新聞・雑誌広告、新聞折り込み広告、ラジオCM」のほか、「インターネット上の広告にあたるウェブバナーや駅貼りポスター、コンビニ有線放送CM」など、「あらゆる階層にいきわたるように広報を展開した」という。

政府広報を受注したメディア企業各社に対して12億円6000万円がどのように配分されたかは不明だが、この支出には不適正な要素がある。改めて言うまでもなく、それは新聞の紙面広告の価格が、実態のない部数データに基づいて決められているために、不当に高い広告費を手にした新聞社が存在する可能性である。周知のように紙面広告の価格は、ABC部数(印刷部数)に準じて決められる。

たとえば、次に例として示すのは、代表的な公共広告のひとつである最高裁がスポンサーになった公共広告でみられる支払い配分の実態である。

■PDF公共広告の価格と部数の関係データ

ABC部数が全国1位の読売がトップで、以下、朝日、毎日、産経の順番になっている。ABC部数の序列も同じである。

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2014年04月04日 (金曜日)

1966年の袴田事件にみる読売記事を検証する、逮捕まえから実名報道「従業員『袴田』逮捕へ」 警察情報が裏目に

袴田巌氏が殺人で逮捕された事件の新聞報道を検証してみると、記者クラブや「サツまわり」を通じて、警察から得た話をもとに記事を書くことが、いかに危険であるかが浮かびあがってくる。事件が起きた1966年の新聞には、警察情報をうのみにして、袴田氏を犯人と決めつけた記事が並んでいる。

袴田氏が殺人で逮捕された事件は、静岡県清水市で起きた。6月30日の未明に味噌製造業を営む一家4人が殺害され、9月になって従業員の袴田巌氏が逮捕された。これが袴田冤罪事件の発端である。

◇皮切りは、「血染めの手ぬぐい押収」

一家殺害の5日後にあたる7月4日には、匿名とはいえ早くも袴田氏を容疑者とする記事が新聞に掲載された。『読売新聞』は、

「清水の殺人放火 有力な容疑者 血染めの手ぬぐい押収」

と、いう見出しで事件を報じた。また、『毎日新聞』は、

「清水の殺人放火 従業員『H』浮かぶ 血染めのシャツを発見」

と、報じた。

2つの記事は内容も見出しもそっくりだ。警察のリーク情報をもとに記事を書いたことが類似の要因にほかならない。

当時、警察がいかにしてマスコミを利用したかは、弁護士の秋山賢三氏が「精神障害者の獄中処遇?袴田巌氏の事例」(『精神神経学雑誌』2001年9月)の中で、次のように指摘している。「その事実(黒薮注:警察が自白を強要した事実)ができると、警察所長とか次席検事が大々的に記者会見して、『本日、袴田巌は自白いたしました』ということで、翌日の新聞やテレビ」で大きく報道された。

ちなみに秋山弁護士は、「精神障害者」として袴田氏を位置づけているが、これは死刑が確定した後、同氏が精神に異常をきたした事実を根拠としている。従って精神障害と犯罪の関係に言及したものではない。

参考までに、警察所長や次席検事に操られて、新聞はどのような記事を掲載したのだろうか。『読売新聞』の記事を検証してみよう。

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しばき隊の活動家が森奈津子氏と鹿砦社を訴えた裁判、実名報道の是...

しばき隊の活動家・A氏が、作家の森奈津子氏と鹿砦社に対して、プライバシーを侵害されたとして、110万円を請求...

【YouTube 配信7】 徹底検証「押し紙」、新聞業界から政...

2021年度の政治資金収支報告書によると、新聞業界は政界に対して、総額で598万円の政治献金を行った。献金元...

東京高裁が和解を提案、作田医師の責任は免れない、横浜副流煙事件...

横浜副流煙事件「反訴」の控訴審第1回口頭弁論が、26日、東京高裁で開かれた。裁判所は、結審を宣言すると同時に...

【YouTube版】レイバーネットTVが「押し紙」問題を特集

レイバーネットTVで「押し紙」問題について黒薮が解説した。出演者は次の通りである。 出演者:黒薮哲哉(...

PICK UP

元店主側が控訴準備書面(1)を提出、新聞特殊指定でいう「注文し...

西日本新聞社に対する「押し紙」裁判(原告:長崎県の元店主)で、元店主の弁護団は、5月12日、控訴準備書面(1...

【YouTube配信6】徹底検証 産経、読売の「押し紙」、新聞...

「配信6」では、産経新聞と読売新聞の「押し紙」の実態を紹介する。「押し紙」は1999年の新聞特殊指定の改定を...

1999年の新聞特殊指定の改訂、大量の「押し紙」を容認する方向...

「押し紙」が急激に増えたのは、1999年に新聞特殊指定の改訂で、「押し紙」の定義が変更されたのち。改訂前は、...

煙草の副流煙をめぐる極論、法律で集合住宅全体を禁煙にすべきだと...

煙草の副流煙が第3者に及ぼす影響についての議論が活発になっている。法律で集合住宅全体を禁煙にすべきだという考...

トランプ政権がUSAIA傘下の全米民主主義基金(NED)への資...

トランプ政権が凍結したはずのUSAID(アメリカ合衆国国際開発庁)向けの資金提供の一部が、3月から再開されて...

甲斐弦著『GHQ検閲官』の読後感-モラル崩壊の元凶「押し紙」-

福岡・佐賀押し紙弁護団 江上武幸(文責) 2025(令和7)年5月 1日 阿蘇の北外輪山に、カルデラの...

2025年2月度のABC部数、読売は前年同月比で-40万部、毎...

2025年2月度のABC部数が明らかになった。前年同月比で、最も減部数が多いのは読売新聞で、-40万部だった...

押し紙(その1)平成11年の新聞特殊指定「改正」の謎-モラル崩...

福岡・佐賀押し紙弁護団 弁護士 江上武幸(文責)2025年(令和7年)4月15日 (年号は、西暦と和暦...

検察審査会が「不起訴処分相当」の結論、作田学医師の法廷での発言...

横浜副流煙事件の法廷で作田学医師(冒頭写真、当時、日本禁煙学会理事長)が行った証言の内容をめぐり、刑事告訴に...

統一教会の霊感商法による被害額は35年間で1237億円、「押し...

東京地裁は25日、統一教会に対して解散を命じた。このカルト集団が不正に集めた資金は、全国霊感商法対策弁護士連...

【書評】喜田村洋一の『報道しないメディア』、著者の思想の整合性...

『報道しないメディア』(喜田村洋一著、岩波書店)は、英国BBCが点火したジャニー喜多川による性加害問題の背景...

雑誌『創』の新聞社特集、「押し紙」問題の隠蔽と誌面の劣化

『創』の3月号(2025年)が「新聞社の徹底研究」と題する特集を組んでいる。これは、延々と続いてきた企画で定...

ニューソク通信がインタビュー(youTube)、作田学医師が主...

横浜副流煙事件の「反訴」について筆者は、ニューソク通信の須田慎一郎氏から、インタビューを受けた。メディア黒書...

喫煙撲滅運動と専門医師の関係、客観的な事実が欠落した診断書、横...

診断書がアクションを起こすための通行証になる現象は昔から続いてきた。たとえば大相撲の力士が本場所を休場すると...

患者が退出して3分後に煙草臭、偽証の疑い、作田学医師の証言、横...

喫煙者の呼気が孕んでいる煙草臭が持続する時間はどの程度なのか?東京地裁で、ある著名な医師が興味深い証言をした...

横浜副流煙裁判、カウンター裁判で藤井敦子さんらが敗訴、検証が不...

横浜副流煙事件に関連した2つの裁判の判決が、それぞれ1月14日と22日に言い渡された。裁判所は、いずれも原告...

西日本新聞押し紙裁判 控訴のお知らせ―モラル崩壊の元凶 押し紙...

福岡・佐賀押し紙弁護団弁護士 江上武幸(文責)2025年(令和7年)1月15日 令和6年12月24日の西日...

1999年の新聞特殊指定の改訂、「押し紙」容認への道を開く「策...

渡邉恒雄氏の死に際して、次から次へと追悼記事が掲載されている。ここまで夥しく提灯記事が現れるとさすがに吐き気...

西日本新聞福岡地裁押し紙敗訴判決のお知らせ―モラル崩壊の元凶 ...

福岡・佐賀押し紙弁護団 弁護士・江上武幸(文責)2024年(令和6年)12月25日 昨日(24...