2024年07月30日 (火曜日)
支離滅裂、『週刊金曜日』の「モンロー主義」の解釈

『週刊金曜日』(7月26日)の記事「バイデン撤退ハリス後継でトランプ優勢変わらぬが・・」(編集部の本田雅和氏の署名)に、基本的な事実関係が間違っている箇所がある。現代史の中で重要な分部なので、指摘しておこう。トランプ候補の政治姿勢について、述べた箇所である。

2024年07月30日 (火曜日)

『週刊金曜日』(7月26日)の記事「バイデン撤退ハリス後継でトランプ優勢変わらぬが・・」(編集部の本田雅和氏の署名)に、基本的な事実関係が間違っている箇所がある。現代史の中で重要な分部なので、指摘しておこう。トランプ候補の政治姿勢について、述べた箇所である。

新聞業界の「押し紙」問題の本質を考える上で欠くことのできない公文書の原文を公開しておこう。この文書は、公正取引委員会が1997年(平成9年)12月22日付けで、北國新聞に対して交付した「押し紙」の排除勧告書である。
この事件を契機として、公正取引委員会と日本新聞協会(新聞取引協議会)は、「押し紙」問題解決へむけた話し合いを始めた。そして約2年後の1999年に、独禁法の新聞特殊指定の改訂というかたちで決着した。
ところが不思議なことに改訂された新聞特殊指定は、「押し紙」問題の解決への道を開くどころが、逆に「押し紙」をより簡単に強要できる内容となっていた。実際、その後、「押し紙」率が50%を超えるケースが、「押し紙」裁判の中で判明するようになった。
本稿で紹介するのは、この問題(新聞業界の「1999年問題」)の発端となった公文書である。事件の概要については、下記のURLからアクセスできる。

福岡・佐賀押し紙訴訟弁護団 弁護士・江上武幸(文責)
去る7月2日、西日本新聞販売店を経営していたAさんが、押し紙の仕入代金3051万円の損害賠償を求めた福岡地裁の裁判で、被告の担当員と販売部長の証人尋問が実施されました。双方の最終準備書の提出を待って、早ければ年内に判決が言い渡される見込みです。
押し紙は、新聞社が販売店に対し経営に必要のない部数を仕入れさせることをいいます。販売店への売上を増やすと同時に、紙面広告料の単価を吊り上げるためABC部数の水増しを目的とする独禁法で禁止された違法な商法で
す。
押し紙は、1955年(昭和30年)の独占禁止法の新聞特殊指定で禁止されてから約70年になります。このような長い歴史があり、国会でも再三質問に取り上げられてきたにもかかわらず、なぜ押し紙はなくならないのか、公正取引委員会や検察はなぜそれを取り締まろうとしないのか、押し紙訴訟に見られる裁判官の奇怪な人事異動の背景にはなにが隠されているのか、といった問題については、マスコミ関係者、フリージャーナリスト、新聞労連、独禁法研究者、公正取引委員会関係者、司法関係者など多方面の関係者、研究者・学者らによって更に解明が進められることが求められます。
新聞の発行部数は1997年(平成9年)の5376万部をピークに、2023年(令和5年)10月には2859万部と半世紀で約46%も減少しています。新聞販売店も2004年(平成16年)の2万1064店舗から、2023年(令和5年)の1万3373店舗と大きく減っています。
このまま推移すれば、10数年後には紙の新聞はなくなるだろうと予想されており、現在進行中の裁判の経過や背景事情について、時期を失せず皆様にお知らせすることはますます重要性を増しています。

長崎県の元販売店主が2021年に起こした西日本新聞社を被告とする「押し紙」裁判の尋問が、7月2日の午後、福岡地裁で行われた。この中で証人として出廷した西日本新聞社の担当員は、原告弁護士の質問に答えるかたちで、同社が管轄する長崎県全域の販売店の残紙の実態を示す機密資料が存在することを認めた。
すでに佐賀県下の販売店については2016年に、この種の資料が存在することが、メディア黒書への内部告発で明らかになっていた。今回の尋問により、長崎県についても、同種の資料を西日本新聞社が内部で作成していた事実が分かったのだ。
既に暴露されている「佐賀県の資料」によると、西日本新聞社は、8月3日に販売店からの新聞の注文部数を確認し、その後、6日に販売店に新聞を搬入していた。しかし、搬入部数が注文部数を超えていた。
たとえば3日の注文部数が2000部で、6日の搬入部数が2200部であれば、差異の200部が残紙ということになる。たとえば次のように。

西日本新聞社を被告とする「押し紙」裁判の尋問が、次のスケジュールで実施される。
場所;福岡地裁 903号法廷
日時:7月2日 13時から17時
被告:西日本新聞社
この「押し紙」事件では、業界用語でいう「4・10増減(よんじゅう・増減)」が問題になっている。4・10増減とは、4月と10月に「押し紙」を増やす販売政策である。4月と10月のABC部数が、折込広告の定数を決める重要な目安になることから、新聞社が4月と10月に「押し紙」を増やしてABC部数をかさ上げする手口である。広告主の怒りをかいかねない販売政策にほかならない。
原告の元店主は、「4・10増減(よんじゅう・増減)」の被害を受けており、裁判所がそれをどう判断するかが注目されている。
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神奈川県青葉警察署が、6月19日付けで日本禁煙学会の作田学理事長(写真:日経メディカル)を名誉毀損の疑いで横浜地検へ書類送検したことが、告訴人本人への取材で分かった。
横浜副流煙裁判「反訴」(原告・藤井敦子他)の証人尋問の席で、作田理事長が特定の人物を指して、「うさんくさい患者さんでした」「当然、会計にも行っていないと思います」と証言したことが告訴の根拠である。横浜地裁の傍聴席はほぼ満席で、その中に「うさんくさい患者」と名指しにされた酒井久男氏もいた。

しばき隊のメンバーが大阪市の北新地で起こした大学院生M君に対する暴力事件。連載の第1回では、事件を起こしたしばき隊のリーダーE氏の代理人である神原元・自由法曹団常任幹事が展開してきたリンチはなかったとする主張に全く根拠がないことを指摘した。それは組織的に事件を隠蔽しようとする一連の動きと整合している。
たとえば事件が、ヘイトスピーチ規制法の成立に障害となることを警戒した師岡康子弁護士は、M君とEの共通の知人にメールを送って、裏工作を依頼した。それが逆に事件の裏付けとなった。
事件は、多くの識者たちの耳に入っていたのである。入っていながら、大半の人は知らぬ風を装っていたのである。
連載〈1〉の全文は次のとおりである。

「新聞ジャーナリズムが機能しない背景に何が?」の連載(2)である。連載(1)では、2つの点に言及した。企業の不祥事に対して、公権力のメスが入ることがあっても、新聞業界に限っては、例外的に摘発の対象から完全に除外されている実態を述べた。
その上で新聞人らによる不正行為の際たるものである「押し紙」行為が生む黒い利益の実態を数字で示した。「押し紙」により年間で、少なくとも900億円程度の不正な販売収入が新聞社のふところに入っている。連載(1)の全文は次のとおりである。
■新聞ジャーナリズムが機能しない背景に何が? 「押し紙」を放置する国策、年間の闇資金は932億の試算(1)
本稿では、1997年の北國新聞事件の顛末に言及する。この事件は、新聞業界に公権力のメスが入りかけたが、結局、最後は密約の疑惑がかかってもおかしくない終焉を迎えることになる。この事件は、日本新聞協会と公権力機関、特に公正取引委員会の闇を象徴している。メディア史に記録しておかなければならない恐ろしい事件である。
2024年06月07日 (金曜日)

『週刊金曜日』(6月7日付け)が、「報道の自由度、世界ランキング70位でいいのか」と題する記事を掲載している。国境なき記者団が5月に発表した報道の自由度ランキングを評論した内容である。
筆者は、元朝日新聞記者の柴山哲也氏。日本のランキングが低迷していることを嘆き、その背景として記者クラブが内包する問題にも言及している。
この記事は、議論の前提そのものが間違っている。報道の自由度ランキングの主催者である国境なき記者団がどのような性質の団体なのかを踏まえることなく、ランキングの結果を過信して評論しているのだ。議論の前提に誤りがある。

6月に入ってから、企業の摘発が相次いでいる。
国土交通省は4日、トヨタ、マツダ、ヤマハ発動機、ホンダ、スズキの各社が不正なデータで型式指定の認定をクリアーしていたことを公表した。型式指定とは、自動車の大量生産の前段で自動車メーカーが、国土交通省に対して環境対策やブレーキ性能など、安全性に関するデータを提出して、同省から認可を得る手続きのことである。
公正取引委員会も4日に、医療メーカーを摘発した。神戸の大手医療機器メーカー「シスメックス」に対し、「抱き合わせ販売」をおこなった疑いで、立ち入り検査を実施した。独占禁止法違反するというのがその根拠である。同社は、血液凝固の機能測定装置を医療機関に販売する際に、検査用の試薬をセットで購入するように条件設置をしていた疑惑がある。
こうした取り締まりは、健全な企業活動を促進する意味で重要だが、日本の産業会の中で、絶対に公権力のメスが入らない領域がある。それは新聞業界である。ここは公権力がメスを入れない領域として周知されている。
その結果、厳重に壁で遮られた業界内部は無法地帯になっている。週刊誌も月刊誌も、そして書籍もめったにこの領域には踏み込まない。書籍広告や書評を掲載してくれる新聞社を敵に回して利益になることはなにもないからだ。

カウンター運動の市民運動体が、2014年12月の深夜に大阪市の北新地で起こした暴力事件は、メディア黒書で報じてきたこともあって、読者の記憶に残っているのではないか。内輪のもめごとが高じて、暴力沙汰に発展した事件である。
暴力の標的になったのは、大学院生M君である。全治3カ月の重傷を負い、トラウマにも悩まされて、生活に支障を来たすようになる。M君を精神鑑定した精神科医で作家の野田正彰氏も、鑑定書の中で事件がM君に及ぼした負の影響に言及している。
2024年05月08日 (水曜日)

本稿は、携帯電話基地局から放射させる電磁波をめぐる電話会社と住民のトラブルに焦点を当てた連載の後編である。前編では、電磁波による人体影響を科学的な観点から説明した。電磁波に関するフェイクニュースの氾濫を踏まえたうえで、電磁波の何が問題なのかを指摘した。
◎携帯電話基地局から放射させるマイクロ波の何が問題なのか?〈前編〉
◆楽天モバイル、天井裏に基地局を設置
JR大宮駅(さいたま市)の周辺には、商業施設やマンションが立ち並ぶ。その一角に空を背に聳える大宮ファーストプレイスタワーがある。25階の高層マンションである。戸数は179戸。
2023年の秋、楽天モバイルは、この集合住宅の管理組合に対して、建物内に5Gの基地局を設置する案を打診してきた。賃料は、最初は月額3万円を提示し、後日、4万円に改めた。設置場所は、1階ロビーの天井裏である。
天井裏に基地局を設置する手法について、わたしはかねてから違和感を感じていた。このタイプの基地局の存在をわたしが知ったのは2年ほど前だった。やはり楽天モバイルの基地局で、大阪市の住民から相談があったのが発端だった。その後、何人かの住民が同じタイプの基地局について、わたしに相談してきた。
楽天モバイルが管理組合に提出した基地局の位置と電磁波の照射方向を示すイメージ図によると、照射範囲は1階のロビーになっている。注意書は、次のように記述している。
「今回の電波対策はスポットでのアンテナ設置の為、局所的なサービスとなり、マンション全体への電波対策ではない」

「香害」は、横浜副流煙裁判を通じてクローズアップされた。それ以前にも『週刊金曜日』など一部メディアがこの問題...

「押し紙」裁判における発行本社の主張は、もはやパターン化している。それはおおむね次のような内容である。新聞社...

9月1日発売の『ZAITEN』(財界展望新社)は、「朝日新聞『選挙公報』折込で“水増し発覚”」と題する記事を...

選挙公報など、税金で制作された新聞折込媒体を新聞社系の印刷会社が印刷するケースが少なからず存在する。既報のと...

8月20日に東京高裁が判決を下した横浜副流煙事件「反訴」の判決をめぐって、日本禁煙学会の会員である「またも会...

執筆者:弁護士 江上武幸(福岡・佐賀押し紙弁護団、文責)2025年8月21日 井戸謙一・樋口英明両元裁...

東京高裁は20日、横浜副流煙裁判控訴審の「反訴」で、控訴人の控訴を棄却する判決を言い渡した。ただし、被控訴人...

7月2o日に投票が行われた参議院選挙の選挙公報について、首都圏の一都三県(東京・神奈川・千葉・埼玉)を対象に...

大阪市の都心から離れた住宅街に、2024年4月、前立腺がんの小線源治療を専門とするクリニックが開業した。院長...

2025年6月度のABC部数が明らかになった。これは、新聞各社が公表する最新の発行部数であり、新聞業界の...

執筆者:ロベルト・トロバホ・エルナンデス 想像してみてほしい。教室で生徒たちが学んでいるのは、数学や歴...

福岡・佐賀押し紙弁護団 弁護士江上武幸(文責)2025年7月31日 長崎県販売店の地裁裁判官の交代につ...

「4・10増減」(よんじゅう・そうげん)と呼ばれる変則的な「押し紙」の手口がある。4月と10月に「押し紙」を...

007年12月、読売新聞の「押し紙」を認定した判決が最高裁で確定した。この裁判は、新聞販売店が地位保全を求め...

しばき隊の活動家・A氏が、作家の森奈津子氏と鹿砦社に対して、プライバシーを侵害されたとして、110万円を請求...

2021年度の政治資金収支報告書によると、新聞業界は政界に対して、総額で598万円の政治献金を行った。献金元...

横浜副流煙事件「反訴」の控訴審第1回口頭弁論が、26日、東京高裁で開かれた。裁判所は、結審を宣言すると同時に...

レイバーネットTVで「押し紙」問題について黒薮が解説した。出演者は次の通りである。 出演者:黒薮哲哉(...
西日本新聞社に対する「押し紙」裁判(原告:長崎県の元店主)で、元店主の弁護団は、5月12日、控訴準備書面(1...
「配信6」では、産経新聞と読売新聞の「押し紙」の実態を紹介する。「押し紙」は1999年の新聞特殊指定の改定を...
「押し紙」が急激に増えたのは、1999年に新聞特殊指定の改訂で、「押し紙」の定義が変更されたのち。改訂前は、...
煙草の副流煙が第3者に及ぼす影響についての議論が活発になっている。法律で集合住宅全体を禁煙にすべきだという考...
トランプ政権が凍結したはずのUSAID(アメリカ合衆国国際開発庁)向けの資金提供の一部が、3月から再開されて...
福岡・佐賀押し紙弁護団 江上武幸(文責) 2025(令和7)年5月 1日 阿蘇の北外輪山に、カルデラの...
2025年2月度のABC部数が明らかになった。前年同月比で、最も減部数が多いのは読売新聞で、-40万部だった...
福岡・佐賀押し紙弁護団 弁護士 江上武幸(文責)2025年(令和7年)4月15日 (年号は、西暦と和暦...
横浜副流煙事件の法廷で作田学医師(冒頭写真、当時、日本禁煙学会理事長)が行った証言の内容をめぐり、刑事告訴に...
東京地裁は25日、統一教会に対して解散を命じた。このカルト集団が不正に集めた資金は、全国霊感商法対策弁護士連...
『報道しないメディア』(喜田村洋一著、岩波書店)は、英国BBCが点火したジャニー喜多川による性加害問題の背景...
『創』の3月号(2025年)が「新聞社の徹底研究」と題する特集を組んでいる。これは、延々と続いてきた企画で定...
横浜副流煙事件の「反訴」について筆者は、ニューソク通信の須田慎一郎氏から、インタビューを受けた。メディア黒書...
診断書がアクションを起こすための通行証になる現象は昔から続いてきた。たとえば大相撲の力士が本場所を休場すると...
喫煙者の呼気が孕んでいる煙草臭が持続する時間はどの程度なのか?東京地裁で、ある著名な医師が興味深い証言をした...
横浜副流煙事件に関連した2つの裁判の判決が、それぞれ1月14日と22日に言い渡された。裁判所は、いずれも原告...
福岡・佐賀押し紙弁護団弁護士 江上武幸(文責)2025年(令和7年)1月15日 令和6年12月24日の西日...
渡邉恒雄氏の死に際して、次から次へと追悼記事が掲載されている。ここまで夥しく提灯記事が現れるとさすがに吐き気...
福岡・佐賀押し紙弁護団 弁護士・江上武幸(文責)2024年(令和6年)12月25日 昨日(24...