1. 「森裕子VS志岐武彦」の裁判

「森裕子VS志岐武彦」の裁判に関連する記事

2014年11月07日 (金曜日)

「小沢検審」にみる不可解な旅費支払い、島から来た審査員に4万円、支払遅れが6回にも

「架空」とは、「事実に基づかず、想像によってつくりあげること」(goo辞書)である。文藝の世界で架空の世界を創造しても問題はおきない。

ところが貨幣経済に支配された現実の世界で「架空」を設定すると、辻褄あわせのアリバイを設定しなければならない。

たとえば会議を開いていないのに、会議を招集したことにする。この架空会議の辻褄をあわせるために、参加者に旅費を出費したことにする。日当を払ったことにする。そのためにの経理帳簿を作成する。こうしたプロセスが必要になる。

◇「小沢検審」架空説

2010年9月14日に小沢一郎氏に対する起訴議決を行った東京第5検審(小沢検審)が架空だったのではないかという疑惑は、メディア黒書で繰り返し取り上げてきた。この問題を調査してきた志岐武彦氏は、『最高裁の罠』の中で、架空説を展開した後も、精力的に取材を続けている。

志岐氏が架空と推論する根拠については、次の記事を参考にしてほしい。

参考記事:『森ゆうこ元参議院議員が「一市民」に起こした恫喝訴訟が明かす「最高裁の闇」』(紙の爆弾3月号)

今回、ここで紹介するのは、「小沢検審」架空説を裏付ける新たな根拠である。結論を先に言えば、架空審査会(小沢検審)に参加した「架空審査員」の可能性がある人々の旅費に関連した不可解な事実である。

続きを読む »

2014年10月07日 (火曜日)

『財界にいがた』が森裕子裁判の総括特集、旭化成で鍛えた志岐氏の調査手法

『財界にいがた』が、森裕子裁判の総括特集を組んでいる。13ページを割いた大掛かりな企画で、タイトルは、「総括・最高裁と検察審査会の闇」。次の3編の記事から構成されている。

■勝訴した被告担当弁護士が語る″名誉毀損裁判″で敗訴した原告・森裕子の大誤算

■正義の実現のために今こそ国民は最高裁に厳しい監視の目を

■福島原発事故の刑事責任追及でカギを握る″霞が関の検察審査会

同誌の読者が多い新潟県は、森裕子前参院議員の地元である。その意味では、政治家などの公人を監視するジャーナリズムの役割を果たす価値ある特集だ。

続きを読む »

2014年09月26日 (金曜日)

「志岐VS八木」裁判の注目点は、「小沢検審」架空説と経理問題の根拠、志岐氏は新資料も入手、森裕子裁判の「戦後処理」②

『最高裁の罠』の著者・志岐武彦氏は、25日、歌手で作家の八木啓代氏を東京地裁へ提訴した。裁判は民事15部が担当する。

この裁判についてわたしは次のような見方をしている。名誉毀損裁判であるから、争点は当然、志岐氏が名誉毀損として指摘している八木氏による約200件のTwitterが名誉毀損に該当するか否かという点になる。しかし、客観的にみると、この裁判は個人の名誉よりも、もっと重大な問題をはらんでいる。

それは八木氏の一連のTwitterの引き金となっている最高裁事務総局が管轄していた東京第5検察審査会(俗に「小沢検審」)に関する数々の疑惑である。

日本の名誉毀損裁判では、名誉毀損を指摘された文章表現や発言に公益性があることや摘示内容が真実、あるいは真実に限りなく近いことを被告側が立証しなければならい。立証責任は八木氏の側にある。

◇新たな疑惑も浮上

「小沢検審」に関する疑惑は、MEDIA KOKUSYOでも繰り返し取り上げてきたが、志岐氏の一貫した主張は、小沢検審が架空であったと推測するに足りる十分すぎる証拠が存在する、というものである。

これは市民オンブズマンの石川克子氏の協力を得て、最高裁事務総局などに対して情報公開請求を繰り返し、膨大な量の資料を入手し、それを丹念に分析した結果、たどりついた根拠のある推論である。「妄想」ではない。

八木氏は、TWITTERなどを通じて、志岐氏の理論を「妄想」などと主張してきた。従って法廷では、志岐理論が妄想かどうかを検証せざるを得ない。すなわち法廷で志岐氏の理論が問われるのだ。

わたしは特に次の点に注目している。

検察審査のクジ引きソフトが、不正操作できる仕組みになっている疑惑の再検証。(これについては森裕子氏が議員の特権で調査し、『検察の罠』に詳しく記している)。

検察審査会が起訴相当の議決を下す前に、義務づけられる検察官による意見表明が行われていない疑惑の解明。志岐氏らが情報公開で得た検察官の出張記録によると、小沢検審の議決前に、担当検察官が小沢検審に出張した記録がない。

森議員の要請で、会計監査院が検察審査員(あるいは架空の検察審査員)に対する旅費支払いの有無などを調査したところ、肝心の「小沢検審」に関する調査は行っていなかった事実が判明した。(これは石川克子氏が膨大な資料を精読した結果判明した。ななめ読みしていれば、見落としていた可能性が高い)

検察審査員(あるいは架空の検察審査員)に対する旅費支払いの発議日が小沢検審ではばらばらになっている事実。これも情報公開で判明した。

だれが週刊朝日などに、検察の捏造報告書をリークしたのか。ルートは2つしかない。(窃盗のケースを除く)検察内部の者が捏造報告書を持ち出した可能性。小沢弁護団を介して何者かが、外部に持ち出した可能性。

ほかにも最近になって志岐氏が新たに入手した裏付け資料が存在する。たとえば検察審査会の経理を担当している東京地裁の経理書類を、何者かが修正液を使って偽造した疑惑が浮上している。また、原本のコピーとされる書類に記された金額の字体などが、原本と一致していない。この書類の原本は、会計監査院が保管している。

これに関して志岐氏は、東京地裁に説明を求めている。現在、東京地裁は総がかりで調査しているので、真相が分かり次第にMEDIA KOKUSYOでも報告したい。

(これに関しては実物のコピーがあるので、東京地裁の説明に道理がない場合、あるいは説明しない場合は、MEDIA KOKUSYOでも公開します。)

続きを読む »

2014年09月25日 (木曜日)

森裕子裁判の「戦後処理」、勝者の志岐武彦氏が25日に歌手の八木啓代氏を提訴、Twitterで「虚言癖」「早い内に病院か教会に行かれる方がよいと思います」

『最高裁の罠』の著者で、7月に判決が下された森裕子裁判に完全勝訴した志岐武彦氏が、歌手で作家の八木啓代氏に対して、200万円などを請求する名誉毀損裁判を起こすことが分かった。訴状は、25日に東京地裁に提出される予定。

八木氏は、ラテンアメリカと日本を往復しながら、歌手、作家、市民運動家として活動している。みずからのTWITTERのプロフィールは、自身の生き方について次のように述べている。

 立てば歌い手、座れば作家、歩く姿は放浪者。 座右の銘は「敵もできないような無難な人間になってはいけない」 Cantando se recrea esta mujer. この人何なの?と思われた場合は、とりあえず名前をググってください。Wikipediaなどに項目があります。

◇繰り返された「妄言癖」という表現

提訴の理由は、森裕子氏と志岐氏が、検察審査会の「闇」(東京第5検審が、2009年9月14日の民主党代表選の当日に、候補者だった小沢一郎氏に対して起訴相当の議決を下した事件)をめぐる解釈の違いから、ネット上で論争した際に、Twitterで執拗に志岐氏を誹謗中傷し続けたというものである。

参考記事:森裕子裁判が提起した最高裁事務総局の問題、だれが検察の捏造報告書をリークしたのか? ルートは2つしかない 

TWTTER攻撃は、2013年5月から始まり、2014年7月18日の「森裕子―志岐裁判」判決当日まで延々と続いた。ちなみに判決当日のツイートは次のようなものである。

卑劣な奴はとことん卑劣という好例ですね RT @moriyukogiin 裁判について小倉秀夫弁護士が説明文を RT ……

志岐氏が特に「許しがたい」としているのは、TWITTERの次のような表現である。一部を紹介しよう。

とにかく明らかなのは、志岐さんには、誰もかけていない電話が聞こえ、会ってもいないのに会った記憶が作られ、そこでは、志岐さんに都合の良い事実が曝露されるらしいことである。早急に病院に行かれた方がよろしいかと思う

ちなみに、どうせまともな人は信じないので改めて書く必要もないと思いますが、志岐氏が昨日付けブログに書いていることは、すべて妄想です。かなり症状が進んでいるなと思います。早い内に病院か教会に行かれる方がよいと思います

病的な虚言癖でなければそういうことになりますね

人格障害の可能性もありますね

病的な虚言癖」でなければそういうことに

自著を売るために、証拠もないのに妄言を並べているだけ。RT・・・

志岐さんは妄想の世界に入られました。私は私で独自の路線ですRT・・・

(注:太字は黒薮)

「早い内に病院か教会に行かれる方がよいと思います」といった精神障害者やキリスト教徒を、高慢な視点で蔑視した表現もある。

続きを読む »

2014年09月15日 (月曜日)

『東スポ』が森裕子裁判の検証記事、連載がスタート

だれかを法廷に引き出す行為は慎重にやらなければならない。提訴は司法制度を利用したドラスチックな攻勢ではあるが、同時にそれは高いリスクを伴う。

敗訴した場合に「反訴」という「返り血」を浴びる恐れが生じるうえに、たとえそれを回避できても、認定された裁判記録が永久に残り、それを根拠としたジャーナリズムの検証対象にされることがあるからだ。

場合によっては、訴訟に荷担した弁護士が懲戒請求の対象にされることもある。『弁護士職務基本規定』によると、「弁護士は、偽証若しくは虚偽の陳述をそそのかし、又は虚偽と知りながらその証拠を提出してはならない」(75条)ことになっている。この条項に抵触するケースがままある。

前参議院の森裕子氏が、『最高裁の罠』の著者・志岐武彦氏を訴えた裁判は、8月5日に判決が確定して、現在は検証の段階に入っている。この裁判は、既報したように森氏の敗訴だった。裁判所が、原告の本人尋問や証人尋問すらも認めない異例の裁判だった。

裁判所が尋問を実施しなかったこと自体には問題があるが、被告の志岐氏にしてみれば、裁判に膨大な労力を割く日々から解放されたわけだから、歓迎すべきことである。また、森氏の支援者らから、ネット上で変人あつかいされた屈辱から解放された。

一方、わたしのような取材者の立場からすれば、小沢一郎氏と弘中惇一郎弁護士に対する証人尋問を実施してほしかった。検察から外部に漏れるはずがない捏造報告書の流出ルートを解明する必要があるからだ。

森氏の訴えがあまりにも理不尽だったためなのか、それとも元国会議員が「一市民」を訴える異例の裁判だったためなのか、判決が確定したあと、裁判を検証する動きが現れている。『財界にいがた』(9月号)に続いて、『東京スポーツ』がウエブサイトで「前国会議員に提訴された一市民が勝訴」と題する連載を始めた。

リンク先は次の通りである。

■東京スポーツの連載=前国会議員に提訴された一市民が勝訴

ちなみに『財界にいがた』の記事は次の通りである。

■   森裕子・前参議院議員が痛恨の完全敗訴で控訴断念

 

続きを読む »

2014年09月09日 (火曜日)

森裕子裁判が提起した最高裁事務総局の問題、だれが検察の捏造報告書をリークしたのか? ルートは2つしかない

『財界にいがた』(9月号)が、7月18日に判決があった「森裕子VS志岐武彦」の裁判を総括する記事を掲載している。タイトルは、「一市民を名誉毀損で提訴した森裕子・前参院議員が痛恨の完全敗訴で控訴断念」。

通常、裁判が終了すると、法廷における被告と原告の攻防は、過去のでき事として、記憶の片隅に追いやられてしまうものだが、裁判の終わりは調査報道の終わりではない。5年、10年、あるいは20年の検証が必要だ。その意味で、『財界にいがた』の報道には意義がある。

この事件は、MEDIA KOKUSYOでも繰り返し報じたように、2009年9月14日に投票が行われた民主党の代表選に端を発している。菅直人氏と小沢一郎氏の対決だった。

ところが投票日と同じ14日に、小沢氏の身の上に政治生命にかかわる事件が勃発する。東京第5検察審査会が小沢氏に対して、起訴相当決議を下したのだ。これにより小沢氏は強制起訴されることになった。

小沢氏が菅氏を追い上げていただけに小沢落選で、支持者は落胆したと同時に、東京第5検察審査会を管轄する最高裁事務総局に対する疑念を抱いた。

あまりにも不自然だ。なにか裏工作が行われたのではないか?

この疑惑の解明に乗り出したのが森氏と志岐氏だった。そして調査の過程で東京第5検察審査会が、「幽霊審査会(架空の審査会)」だった疑惑が深まったのである。架空の審査会、つまり最高裁事務総局が小沢起訴を決めた公算が強くなったのだ。

それを裏付ける根拠が、情報公開制度で入手した膨大な資料を検証する中で、次から次へと浮上してきたのだ。さらに裁判が終了した後も、新疑惑が発見されている。これについては次の記事を参照にしてほしい。

■検察審査会法の41条の解釈変更、報道されないうちに変更されていた、だれもが簡単に刑事被告人になるリスクの到来

志岐氏は「幽霊審査会(架空の審査会)=最高裁事務総局のよる議決」説を一貫して主張した。これに対して、森氏はある時期から「幽霊審査会(架空の審査会)」を否定、「検察誘導説」(検察官が審査員を誘導して小沢氏を起訴させたとする説)を強調するようになった。そして論争に発展し、森氏が志岐氏を名誉毀損で提訴するに至ったのである。

続きを読む »

2014年08月14日 (木曜日)

森ゆうこ裁判の検証、いよいよこれから本格化、「終わりは始まり」

森裁判(原告・森ゆうこ前参院議員、被告・志岐武彦)の判決が確定し、いよいよこれからジャーナリズムによる裁判の検証が本格化しそうだ。

既に報じたように、この裁判は、被告・志岐氏の完全勝訴だった。表向きは、志岐氏によるブログを通じた言論活動が森氏の名誉を毀損したかどうかが争点になったが、より重要なのは裁判の勝敗ではなく、日本の戦後民主主義の評価見直しにかかわる大問題が背後に控えている事実である。それは・・・

「最高裁事務総局が管轄する検察審査会の制度そのものが、日本の権力構造を維持するための『装置』として構築され、民主主義のルールとはかけ離れた手法で運用されてきた疑惑」

である。

これから長期におよぶ検証作業と解明の第一ステップとして、判決文、関連資料、被告弁護士による解説(動画)を紹介しよう。

※判決文は、今度、繰り返し引用することになりますが、各自でダウンロードすることをお勧めします。

■判決文

■判決文別紙

■関連資料

■解説(動画)

続きを読む »

2014年08月07日 (木曜日)

判決文を公開、森ゆうこ前参院議員の敗訴が確定、裁判所は「一般読者の普通の注意と読み方」を重視

横綱が立ちあいに平幕力士の張り手を受けて、「腰砕け」であっけなく土俵に崩れ落ちたならば、引退を勧告されかねない。

前参院議員の森ゆうこ氏が、ブロガーを訴えた裁判は、控訴期限が過ぎた8月2日、森氏の敗訴が確定した。森氏が要求していたのは、500万円のお金と言論活動の一部禁止。が、請求はすべて棄却された。本人尋問も開かれなかった。前国会議員が「平幕」に完敗したのだ。

森氏の訴えが認められなかったわけだから、この裁判の被告・志岐武彦氏がみずから主宰するブログ「一市民が斬る」に書き続けた「最高裁事務総局の闇」は、決して根拠がない内容ではないということにもなる。その意味で、むしろ訴えられた志岐氏の側は、今後、より広い言論活動の可能性を獲得することになる。

「最高裁事務総局の闇」は、今後、ますますインターネット・ジャーナリズムの表舞台に浮上することになりそうだ。

続きを読む »

2014年07月29日 (火曜日)

小沢一郎を法廷に立たせた東京第5検察審査会には審査員がいなかったと判断した根拠、調査の当事者が語る

前参院議員の森裕子氏が、旭化成の元役員で『最高裁の罠』の著者・志岐武彦氏を訴えた裁判を通じて、小沢一郎事件の裏面が輪郭を現してきた。

東京第5検察審査会に対する重大疑惑。それは・・

---2度にわたる「起訴相当」議決を下して、小沢氏を法廷に立たせた同審査会には審査員が1人もいなかったのではないか?「起訴相当」議決は、検察審査会を管轄している最高裁事務総局によるでっちあげだったのではないか?審査員を選ぶくじ引きソフトのからくりとは?

「森VS志岐」裁判の判決(志岐氏の勝訴)が下された7月18日の夜、東京都豊島区の豊島区民センターで、この問題を検証するシンポジウムが開かれた。わたしがコーディネーターを務めるかたちで、東京第5検察審査会にかけられた重大疑惑を解明したプロセスを、当事者の志岐武彦氏と石川克子氏に語ってもらった。

両氏は、なにを根拠に審査員がいなかったと判断したのか?

また、原発事故の被害者で福島原発告訴団のひとりである熊本美彌子氏には、この原発訴訟が福島地検から東京地検へ移送されたあげく不起訴にされ、疑惑の東京第5検察審査会に割り当てられるまでの経緯をうかがった。

コーディネーター黒薮哲哉

発言志岐武彦(本裁判の被告)

    石川克子(市民オンブズマンいばらき・幹事)

   熊本美彌子(福島原発事故で東京に避難中。福島原発告訴団の一員)

                       【動画撮影:山田幹夫】

 

 

続きを読む »

2014年07月17日 (木曜日)

明日18日に「森ゆうこVS志岐武彦」裁判の判決、裁判の背景に、日本の前近代的な組織-検察審査会を牛耳る最高裁事務総局の闇

元参院議員の森ゆうこ氏が、元旭化成の役員で、『最高裁の罠』の著者・志岐武彦氏に対して、500万円のお金と言論活動の制限を要求している裁判の判決が、7月18日の午後に言い渡される。

既報したように、この裁判の発端は、検察審査会が起訴議決により小沢一郎議員を法廷に立たせたことである。起訴議決が行われた日が、小沢氏が立候補していた民主党代表戦の投票日(2009年9月14日)と重なったために、小沢氏の支援者が不信感を募らせ、検察審査会の調査に乗り出した。

※検察審査会は、「検察」の名を付しているが、最高裁事務総局の組織。

調査の先頭に立ったのは、森氏、志岐氏、それに「市民おんぶずまん茨城」の石川克子事務局長(当時)だった。3人は抜群の連携プレーで調査を続けた。

その結果、小沢起訴は、審査委員不在で最高裁事務総局が行った「架空議決」だったのではないかという十分に根拠のある証拠が浮上してきたのである。最高裁事務総局にとっては危機だった。マスコミが書けない大スキャンダルだった。

ところが情勢が急変する。森氏が最高裁事務総局よりも、むしろ検察に責任があると強く主張するようになったのだ。森氏と志岐氏は、ネットなどを通じて論争を展開した。そして昨年、森氏が志岐氏に対して、500万円の金と言論活動の一部制限を要求して裁判を起こしたのだ。

森氏の行為は、志岐氏に対する口封じという声が広がり、志岐氏を支援する会が結成された。最高裁事務総局に不信感をいだく人々だった。

ちなみに小沢氏は無罪になった。その後、この問題については、沈黙されている。

小沢氏に対する起訴議決の仕掛け人は、最高裁事務総局による審査員不在の「架空議決」か、それとも検察が審査員を誘導して起訴議決させた結果なのか?この問題が裁判の根底にあるのだ。

続きを読む »

2014年06月15日 (日曜日)

小沢一郎を強制起訴に追い込んだ 検察審査会と最高裁の闇 〜『最高裁の罠』の著者・志岐武彦氏に聞く〜

 

2014年5月24日13時〜 ロフトプラスワン?ウエスト(大阪市)

【出演】志岐武彦氏、黒薮哲哉氏

続きを読む »

2014年05月29日 (木曜日)

小沢起訴に持ち込んだ東京第5検察審査会、志岐武彦氏が「架空議決」の根拠を語る、大阪のロフト・プラスワン・ウエストで

5月24日、大阪市のロフト・プラスワン・ウエストで森ゆうこ氏に提訴された志岐武彦氏(元旭化成の役員で、『最高裁の罠』の著者、ブログ「一市民が斬る」の主宰者)の講演が行われた。講演は、わたしがインタビューするかたちで進行した。

この裁判の発端には、小沢一郎氏に対して、2010年9月14日、第5検察審査会が起訴議決を行った日が、同氏が出馬していた民主党代表選の投票日と重なったために、小沢氏の支援者らが謀略の可能性を疑いはじめたことがある。真相究明の先頭に立ったのが、森氏と志岐氏だった。

ところが事件の深層が明らかになるにつれて、とんでもない事実が次々と浮上。架空議決説が濃厚になる。が、両氏は主張の違いから決別することになる。そして森氏が志岐氏を提訴して、500万円と、森批判の言論活動中止を請求するに至ったのである。

以下、講演を収録した動画である。

【1】http://www.ustream.tv/recorded/47954346

【2】http://www.ustream.tv/recorded/47957147

講演で使われた資料(パワーポイント)は次の通りである。

パワーポイント

続きを読む »

2014年05月28日 (水曜日)

小沢一郎を起訴に追い込んだ検察審査会の闇、秘密主義に徹する一方で委員のOB会を組織か?

【27日付け記事の続き】

検察審査会の正体とは何か? 検察審査会は、「普通の人々」にとっては、なじみのない組織である。しかし、森ゆうこVS志岐武彦の裁判を通じて、さまざまな負の側面が、国民の前に輪郭を現してきた。具体的には、27日付け本サイトで報じた2つの点に加えて、次の運用実態も指摘されている。

【3】既報したように、検察審査会の闇を徹底調査したのは、志岐武彦氏と市民オンブズマンの石川克子氏である。2人は、検察や最高裁、それに会計監査院に対して、情報公開請求を繰り返し、東京第5検察審査会に関する膨大な資料を入手した。

ところがそのうちのかなりの部分が「黒塗り」にされていた。が、「黒塗り」は、逆説的に考えれば、役所にとっては、手痛い事実が隠されている箇所にほかならない。調査のヒントにはなる。

たとえば志岐氏と石川氏が、小沢一郎氏を裁いた第5検察審査会に属する委員の氏名公表を求めたところ、「黒塗り」の書類が公開された。個人名は、個人情報の範疇なので、やむを得ないとしても、生年月日も「黒塗り」で公開されたのである。

そこで志岐氏らは、「生年」と「月」だけでも公開するように迫った。「生年月」を公開しても、個人名を特定することは不可能であるからだ。しかし、この請求も拒否された。

が、不思議なことに秘密主義に徹していながら、委員の経験者がOB会なるものを組織しているのだ。もっとも、OB会については、直接確認したわけではないが、目撃証言がいる。

裁判員の候補になったひとは、読者の身の回りにも複数いるだろう。しかし、検察審査会の委員になったひとはだれもいないのでは。少なくともわたしの知人に元委員はいない。

ちなみに検察審査会の制度が始まったのは、1948年である。検察審査会法に基づき設置されたのである。

続きを読む »

2014年05月27日 (火曜日)

小沢起訴に持ち込んだ新設の第5検察審査会は自民党政権の末期に設定されていた、台頭する「民主党対策」だった可能性も

森裕子元参院議員が『最高裁の罠』の著者・志岐武彦氏を訴えた裁判の中で浮上したのは、検察審査会の謎である。検察審査会は、「検察」という名を付しているが、最高裁事務総局が管轄する組織である。検察が不起訴にした事件に対して、有権者から異議申立があった場合、検察審査会が事件を検証して、起訴すべきかどうかを判断する。

起訴すべきと判断した場合は、検察が事件を再検証して、再び起訴するかしないかを決める。不起訴にした結果、再び検察審査会に事件が持ち込まれることもある。そして「起訴相当」の結論に達した場合は、2度にわたる起訴相当決議を根拠に、容疑者の起訴が決定する。つまり容疑者を起訴するか、不起訴にするかの権限を持つ、人権にかかわるかなり重要な役割を果たす組織なのだ。

しかも、法律がからんだ重大事項であるにもかかわらず、検察審査会の委員は、有権者の中から選ばれているのである。素人に法の専門知識があるとはとても思えないのだが。

ところがその検察審査会の存在は、国民の間では、ほとんど知られていない。この組織が知られるようになったのは、検察審査会の制度により、小沢一郎氏が起訴されてからである。わたし自身もそれまでは、検察審査会の制度について聞いたことがなかった。

森VS志岐の裁判を取材する中で、わたしは志岐氏だけではなくて、たくさんの関係者を取材した。その中で判明した不可解な事実をいくつか紹介しよう。

続きを読む »

2014年05月09日 (金曜日)

『財界にいがた』が森裕子裁判の記事を掲載、2010年9月14日の民主党代表選の舞台裏は?

新潟県を地盤とした経済誌『財界にいがた』 (5月号)が、「小沢一郎を強制起訴に追い込んだ検察審査会と最高裁の闇」と題する記事を掲載している。これは森裕子元参院議員が昨年、志岐武彦氏に対して起こした裁判について報じるレポートの第2回目である。

裁判の発端は、2010年9月14日に投票が行われた民主党代表選の当日に、東京第五検察審査会が候補者だった小沢一郎氏に対する2度目の起訴議決を行ったことに、小沢氏の支援者らが「策略ではないか」との疑いを抱いて、独自の調査を開始したことである。調査の先頭に立ったのは、森議員(当時)と、後に『最高裁の罠』を著す志岐武彦氏だった。

『財界にいがた』の記事は、調査の過程で判明した事実を紹介している。それは、小沢氏に対する起訴議決が架空だったという推論を裏付ける内部資料である。情報公開制度を利用して入手したものである。

■『財界にいがた』

なお、検察審査会というのは、「検察」の名前を付しているが、最高裁事務総局が管轄する組織である。つまり森氏と志岐氏は、最高裁事務総局の「闇」を調査し、暴露したのであるが、その後、意見の相違から決別した。森氏は、検察を諸悪の根源と主張したのに対して、志岐氏は最高裁を諸悪の根源と主張した。そして意見の対立が高じ、森氏が志岐氏を提訴するに至ったのである。

続きを読む »

2014年04月21日 (月曜日)

森ゆうこVS志岐武彦の裁判が結審、提訴からわずか7ヶ月、本人尋問は実施されず志岐氏の勝訴が濃厚に

森ゆうこ元参院議員が、『最高裁の罠』の著者で、ウエブサイト「一市民が斬る」の主宰者・志岐武彦さんを訴えた裁判が、18日、東京地裁で結審した。

森元議員が裁判を起こしたのは昨年の10月2日であるから、7ヶ月ではやばやと結審したことになる。裁判所が、森氏と志岐氏の本人尋問を実施しなかったことに加えて、訴因の発端となっている捏造報告書流出事件についての検証を避けたことから、森氏の訴えが棄却される可能性が極めて強い。

前回の口頭弁論で、原告の小倉秀夫弁護士は、審理の中で捏造報告書送付事件への関与疑惑が浮上しているX氏(訴状にもX氏で登場)の陳述書を提出する旨を表明していたが、結局、陳述書は提出されなかった。それに代わって、森氏本人と歌手・八木啓代氏、それに『サンデー毎日』の鳴海崇記者の陳述書が提出された。

これらの陳述書については、結審後にスタートする検証作業の中で、関係者の意見を考慮したうえで、インターネットで公開する機会があるかも知れない。 (裁判関係の書面の公開は、著作権法違反にはならない)

判決は、7月18日の13:10分、705号法廷で言い渡される。

◇名誉毀損裁判の法理

この裁判では、志岐氏が執筆して「一市民が斬る」に掲載した3件の記事をどのように解釈するかが争点になった。名誉毀損裁判では、まず、報道に公益性があるか否かを審理し、それが認められた場合には、次のステップとして、一般の人が普通の読み方をした時に、どのような受け止め方をするかを検証することで、争点となった表現が原告の社会的地位を低下させたか否かを判断する。

争点となった表現が事実であれば、たとえ原告の社会的地位を低下させても、被告は免責される。しかし、表現が事実であること、あるいは事実であると信じるだけの十分な根拠を示す責任は、被告側にある。

それゆえに名誉毀損裁判では、原告が圧倒的に優位になる傾向があり、SLAPPによる「訴訟ビジネス」を展開する弁護士にとって、格好の法理となっている。

原告の主張は、3件のブロク記事を横断的に読んだ時、森氏の社会的地位を低下させる事実摘示が構成されているという主張を展開してきた。これに対して被告は、それぞれのブログ記事は独立した評論という主張を展開した。

続きを読む »

2014年03月28日 (金曜日)

『財界にいがた』が森裁判の連載を開始 公益性のあるテーマは論争で決着を

新潟県を中心に普及している月刊誌、『財界にいがた』(http://zaikainiigata.com)4月号で、「小沢一郎を強制起訴に追い込んだ検察審査会と最高裁の闇」と題する連載が始まった。第1回のタイトルは、「森裕子・前参院議員はなぜ一市民を名誉毀損で提訴したのか」。

森裕子氏は新潟県出身の前参院議員である。一方、「一市民」とは、『最高裁の闇』の著者で、森裁判の被告・志岐武彦氏のことである。

この裁判については、MEDIA KOKUSYOでも断続的に取り上げている。事件の概要は、小沢一郎氏を強制起訴した東京第5検察審査会が、実は審査員が存在しない「架空審査会」だったのではないか、というかなり客観性がある証拠が浮上し、この点をめぐって意見が対立した森氏と志岐氏の論争が、訴訟にまでエスカレートしたというものである。

志岐氏が東京第5検察審査会を管轄する最高裁事務総局の責任を強調しているのに対して、森氏は最高裁にも問題はあるが、むしろ検察の誘導により小沢氏の起訴議決が下されたとする説を展開してきた。

事件の経緯については、次のPDFを参考にしてほしい。

■PDF『森ゆうこ元参議院議員が「一市民」に起こした恫喝訴訟が明かす「最高裁の闇」』

■PDF『浮上する最高裁事務総局の闇 森ゆうこ元参院議員が一市民を提訴』

リンクした2つの記事は、『ジャーナリスト』と『紙の爆弾』にわたしが執筆したものである。このほか、MyNewsJapanにも次の記事を掲載した。

■生活の党・森ゆうこ氏が最高裁の闇を指摘した「一市民」を提訴、820万円と言論活動の制限求める

今回、『財界にいがた』に掲載された記事の最大の特徴は、森氏の反論が掲載されていることである。

※『財界にいがた』の記事は、黒薮が執筆したものではありません。

森氏の反論の趣旨は、

?志岐氏がインターネットで悪質なデマを拡散しているので裁判を提起した。

?小沢無罪を勝ち取るために最高裁と裏取引をしたことはない。

?検察の捏造報告書を流出させたのは自分ではない。

続きを読む »

2014年03月25日 (火曜日)

小沢一郎氏の不正議決事件に見るメディアによる世論形成 最高裁事務総局の責任は自然消滅

【訂正】昨日(24日)付けのMEDIA KOKUSYOで、TBSのドキュメンタリー「追跡クロス『小沢一郎起訴議決 検察審査会の審査員が証言』」が放送された日を、2010年9月14日と記載しましたが、正しくは2012年4月26日でした。TBSと読者の皆様にお詫びします。原因は、メモの取り間違いでした。

さて、「訂正」した上で、改めて「追跡クロス『小沢一郎起訴議決 検察審査会の審査員が証言』」をどう解釈するかを、わたしなりに論評してみる。既にのべたように、わたしが問題としているのは、TBSが何者かによりガセネタを掴まされた可能性である。

と、いうのもTBSは検察審査会の審査員による証言を報じていながら、石川克子氏(市民オンブズマンいばらぎ事務局長)や志岐武彦氏(森ゆうこ裁判の被告)らが行った調査により、「審査員」そのものが架空だった疑惑が持ち上がっていたからだ。しかも、この疑惑は、憶測ではなく、裁判所、検察、会計監査院などに対する情報公開請求により入手した客観的な裏付け資料に基づいたものである。

小沢検審に検察審査会の審査員がいたのか、それとも審査員は架空であり、最高裁事務総局が小沢起訴を決め、審査員が起訴議決したかのように装ったのか?この問題は、特に小沢一郎氏の支持者の間で大きな話題になり、両者の説が激突して、裁判(森ゆうこ氏が志岐氏を提訴)にまでエスカレートした。

審査員がいたと主張する人々は、「不正な小沢起訴」の責任を捏造報告書を小沢検審に送った検察にあるという世論を形成しようとした。これに対して「不正な小沢起訴」の責任は、最高裁事務総局の謀略と主張する人々は、「検察諸悪の根源派」の言動を批判した。

「検察諸悪の根源派」が、不正な起訴議決の責任を検察に転嫁することで、結果的に最高裁を前代未聞のスキャンダルから救済していると考えた。彼らのマスコミ批判もこの点に重きがある。

※検察審査会は検察の管轄ではなく、最高裁事務総局の管轄

こうした対立軸が存在するとき、マスコミの影響力は大きい。

小沢裁判の無罪判決(東京地裁)が下る直前に、まず、週刊朝日が「小沢一郎を陥れた検察の『謀略』」と題する記事を掲載した。それからまもなく検察批判を展開している歌手の八木啓代氏に、何者かによりロシアのサーバーを使って発信元を隠し、検察による捏造報告書が送られた。八木氏はそれをウエブサイトで公開した。

結果、小沢氏の不正起訴の責任は、検察にあるとする世論が広がった。

さて、TBSが「追跡クロス『小沢一郎起訴議決 検察審査会の審査員が証言』」を放映したのは、2012年4月26日である。この日はどんな日なのか?

改めて言うまでもなく、小沢氏に無罪判決が下った日である。TBSは無罪判決が下った日の夜に、小沢検審に審査員は実在したことを証言する人物(ただし肉声も画像もない)を登場させたのだ。いわば架空審査会の疑惑を否定するアリバイを示したのである。

続きを読む »

2014年03月24日 (月曜日)

TBSドキュメンタリー「追跡クロス『小沢一郎起訴議決 検察審査会の審査員が証言』」、ガセネタの可能性を検証する 証言者の画像も肉声もなし

昔から後を絶たないのがテレビ番組のヤラセである。たとえば古い事件では、1992年にNHKスペシャル『奥ヒマラヤ 禁断の王国・ムスタン』にヤラセ場面(スタッフが高山病になった芝居等)があったことが問題になった。

次にリンクするTBS「ニュース23」の画像を見たとき、わたしはTSBのスタッフが報道内容の裏付けを取ったのかを疑った。ガセネタを掴まされた可能性を考えたのだ。なぜ、そんなふうに感じたか、わたしの意見を述べよう。

タイトルは、「追跡クロス『小沢一郎起訴議決 検察審査会の審査員が証言』」。ところがこの事件では、もともと検察審査会の審査員が架空だった疑惑が、市民オンブズマンなどの調査を通じて浮上しているのだ。しかも、憶測ではなくて、審査員が不在だったことを証す客観的な裏付け資料が明らかになっているのである。「架空審査員」の疑惑である。

■追跡クロス「小沢一郎起訴議決 検察審査会の審査員が証言」

裏付け資料は、いずれも情報公開請求により検察や裁判所、会計監査院などから入手したものである。審査員が架空だった疑惑が調査により指摘されているのに、あえてこのようなドキュメンタリーを放映したのだ。

この番組は、視聴者に対して、審査員が存在したという主張を広げる役割を果たしている。その裏付けとして審査員の証言をクローズアップしたのだ。少なくともわたしはそんなふうに解釈した。

ところが番組のタイトルとは裏腹に、審査員を自称する男の画像はどこにも現れない。男の声も収録されていない。ナレーションが読み上げられるだけで、ドキュメンタリーとして最低限必要な要素すらも欠落しているのだ。このようなものをあえて放送した意図そのものが不自然だ。

TBSといえば調査報道に定評がある。それゆえに世論誘導の「装置」としては申し分がない。

それだけに「追跡クロス『小沢一郎起訴議決 検察審査会の審査員が証言』」は検証を要する。

続きを読む »

2014年02月27日 (木曜日)

森ゆうこVS志岐武彦の裁判 訴状に匿名「X氏」で登場する人物がキーパーソンに


この裁判で最も重要な解明点のひとつに、検察が作成した小沢事件の捏造報告書を、だれがロシアのサーバーを使い、発信元を隠して、歌手で検察の「闇」を告発してきた八木啓代氏に流したのかという点である。この謎の中心にいるのがエンジニアで情報通のX氏という人物である。訴状にも実名を隠し、「X氏」で登場する。

とはいえ、いきなりX氏について述べても、初めてこの記事を読む読者には、事件の全体像が読み取れないはずだ。順を追って説明しよう。そもそもX氏とは何者で、どのような理由で、裁判のキーパーソンとして浮上したのだろうか?

◇すべては小沢起訴から始まった

事件の発端は、小沢一郎氏が2010年に東京第5検察審査会(以下、第5検審)の議決で起訴され、最終的には無罪になった件である。メディアでも大きく報道され、喜びを露呈した小沢氏の映像はわれわれの記憶に新しい。冒頭の画像は、小沢弁護団による会見である。

ところが第5検審の起訴議決には、当初から不可解な点があった。起訴議決を行った日が、小沢氏が立候補していた民主党代表選の投票日と重複したのだ。故意なのか、偶然なのか、いずれにしても不自然さを払拭できない。そのために、何者かが「小沢排除」をたくらみ、なんらかの裏工作を行ったのではないか、という噂が広がったのだ。特に小沢氏の支持者の間で、第5検審に対する漠然とした不信感が広がった。

ちなみに検察審査会は、「検察」という名前を付しているが、検察の組織ではなく、文字通り「検察」を「審査」する最高裁事務総局の機関である。

従って小沢氏の支援者らが抱いた不信感は、最高裁事務総局に向けられたものだった。

続きを読む »

2014年02月26日 (水曜日)

森ゆうこVS志岐武彦裁判 森側はX氏の陳述書作成へ 志岐側は小沢一郎氏の証人調べも視野に?

森ゆうこ元参議院議員が、『最高裁の罠』(K&Kプレス)の著者で、ブログ「一市民が斬る」の主宰者・志岐武彦氏を訴えた裁判の第3回口頭弁論が、25日の午後、東京地裁で開かれた。同じ法廷で、ほぼ同じ時刻に別の裁判が予定されていたこともあって、30名を超える傍聴者が席を占めた。

原告の森氏は出廷しなかった。原告席には小倉秀夫弁護士、被告席には山下幸夫弁護士と志岐氏の姿があった。

(注:事件の経緯については、記事末の資料を参照にしてください。)

続きを読む »

2014年02月07日 (金曜日)

本日発売の『紙の爆弾』に森ゆうこ裁判についてのルポ掲載?『森ゆうこ元参議院議員が「一市民」に起こした恫喝訴訟が明かす「最高裁の闇」』

本日(7日)発売の『紙の爆弾』(3月号)に、『森ゆうこ元参議院議員が「一市民」に起こした恫喝訴訟が明かす「最高裁の闇」』(執筆・黒薮哲哉)というタイトルのルポが掲載されている。

このルポは昨年の10月に、森ゆうこ元参院議員が、ブロガーで『最高裁の罠』(K&Kプレス)の著者・志岐武彦氏を提訴した裁判の概要を述べたものである。

この裁判については、MEDIA KOKUSYOでも既に報じている。次の記事である。

■森ゆうこ元議員が提訴した裁判 背景に小沢事件をめぐる最高裁事務総局の闇

【概略】  背景には小沢一郎氏が東京第5検察審査会(以下、第5検審)の起訴議決により法廷に立たされた事件がある。第5検審が起訴議決を下した日が、小沢氏が立候補していた民主党代表選の投票日にあてられたために、なんらかの謀略があったのではないかという漠然とした疑いが浮上した。

後にこの疑惑は、小沢氏を起訴した第5検審が架空だった可能性を示唆する根拠のある推論へと発展する。

それを裏付ける客観的な証拠が情報公開請求などの手続きにより、次々と出てきたのだ。日本の最高権力のひとつがからんだ事件の重大性に萎縮したのか、新聞・テレビは森氏による提訴を一切報じなかった。

かりに疑惑が事実だとすれば、日本の司法はまったくの欺瞞(ぎまん)ということになる。軍事政権下の司法レベルという評価にもなりかねない。これ自体が日本の大問題である。

この重大な疑惑を調査する先頭に立ったのが、国会議員の職権を行使できる森ゆうこ議員と、ブロガーの志岐氏だった。調査の中で、検察審査会を管轄する最高裁事務総局の「闇」が次々と浮上した。また、工作人の存在も浮上してきた。

森議員と志岐両氏は協力関係にあったが、ある時期から意見が対立するようになる。最高裁を「諸悪の根源」と見る志岐氏と、最高裁よりも検察の責任をより強調する森氏。両氏はブログやTWITTERで応戦したが、森氏が提訴に踏み切ったのである。

続きを読む »

2014年01月29日 (水曜日)

森ゆうこ元参院議員が提訴した裁判 背景に小沢事件をめぐる最高裁事務総局の闇

昨年の10月2日、森ゆうこ元参院議員が、『最高裁の罠』(K&Kプレス)の著者で、ブロガーの志岐武彦氏に対して500万円の支払い(訴訟価額は820万円)を求める名誉毀損裁判を起こした。先の参院選で落選して現職を退いたとはいえ、元国会議員が一市民を提訴するのは異例だ。

が、マスコミは一切、この提訴を報じなかった。最高裁の闇が絡んだ裁判であるにもかかわらず、無視したのである。

日本ジャーナリスト会議(JCJ)のフリーランス部会は、昨年の12月18日、裁判を検証するために、文京区民センターで、訴えられた側の志岐氏から話を聞く会を開催した。参加者は約50名。志岐氏の話を通じて浮上してきたのは、恐るべき最高裁事務総局の実態である。マスコミが報道を自粛したゆえんにほかならない。

裁判の発端は、小沢一郎議員が2010年に東京第5検察審査会の議決で起訴され、最終的に無罪になった事件である。起訴直後から、小沢氏の支持者の間で起訴に対する疑問の声があがり、第5検察審査会とその上部機関である最高裁事務総局を調査する動きが広がった。その先鋒に立ったのが森氏と志岐氏(市民グループ)だった。

なお、検察審査会という組織は、「検察」という名前を付しているが、検察の組織ではなく、文字通り「検察」を「審査」する最高裁の機関である。従って森、志岐、石川が追及したのは、最高裁事務総局の謀略疑惑である。

続きを読む »