
三宅雪子(元衆議院議員)氏は、本当に7人の元支援者を刑事告訴したのか?
筆者は、この事件を解明する鍵となるひとつの資料を、情報公開制度を利用して警視庁から入手した。警視庁が開示したのは「告訴(発)事件受理・処理状況一覧」という文書の平成29年4月分と5月分のうち、高輪署と目黒署における刑事告訴・刑事告発の処理件数を示す文書である。
その詳細を紹介する前に、事件の概要を簡単に説明しておこう。
◇事件の経緯
2017年5月10日、三宅氏はみずからのツイッターに次の投稿をした。
「本日、以下のアカウントに対して名誉毀損で告訴状を提出致しました。@gachktmama0113,@torch2012,@nanachan77,@makimakiia,@him_beereほか二名 私の名前を出してのツイート、家族知人、仕事先への接触を固くお断りします」
5人のアカウントを公開し、2人を匿名とした。原因はツィター上の「炎上」である。
告訴から1年半が過ぎたが、捜査機関から「被疑者」に対してなんの接触もない。そのために、告訴したという三宅氏のツィートは真っ赤なウソではないかという噂が広がった。そこで真相を解明するために、筆者が警視庁に対して上記の情報公開請求を行ったのだ。
情報公開の対象を警視庁の高輪署と目黒署に絞ったのは次の理由による。
【詳しい事件概要】三宅雪子元衆議院の支援者「告訴」騒動にみるTwitterの社会病理
◇高輪署のデータを入手した理由
通常、警察へ告訴する場合は、告訴人が在住する地域の最寄り警察署に相談するのが原則だ。それ以外の警察署で告訴の手続が出来ないわけではないが、筆者の取材を通じた経験則からすると、「被疑者」の最寄り警察に相談しても、告訴人の最寄り警察署に相談するようにアドバイスを受ける。特別な事情がない限りは、告発人の最寄り警察が窓口になる。
窓口が高輪署になった可能性が高いもうひつとの理由は、「被疑者」の在住地が関東から関西まで広域にまたがっており、たった1日で7つの警察署に足を運ぶことがむつかしいからだ。書面を郵送したというのなら、この限りではないが。
こうした理由で筆者は、まず、三宅氏の地元である高輪署を情報公開の対象にしたのである。ちなみに三宅氏の裁判で代理人を務めている落合洋二弁護士の最寄り警察署も港区・高輪署である。
目黒署を調査対象に加えたのは、「被疑者」の1人の最寄り警察が目黒署であるからだ。他の6人の「被疑者」の最寄り警察は、警視庁(東京都のみの管轄)の管轄外なので、情報公開請求する場合は、それぞれが在住する府県警察本部に相談しなければならない。そこで今回は、高輪署と目黒署だけになったのだ。
告訴の窓口としては、他に都府県の検察があるが、公的な要素が薄い今回の事件を検察が受理する可能性は極めて低いと判断して、これも対象から外した。
以上のような経緯を念頭において、次に紹介する情報開示結果を理解いただきたい。
◇高輪署における受理件数は0件
結論を先にいえば、高輪署に関しては、2017年5月中に1件の受理も行われていない。たとえ告訴状が提出されていても、その月のうちに不受理の決定が行われた可能性が濃厚だ。
目黒署に関しては、1件の事件が受理されている。しかし、それが三宅氏によるものかどうかは不明だ。
【高輪署】
4月末時点(5月末時点)
受理:12件 (12件)
処理:2件 (2件)
相談:8件 (10件)
未処理:10件(10件)
【目黒署】
4月末時点(5月末時点)
受理:10件 (11件)
処理:2件 (2件)
相談:30件 (32件)
未処理:8件(9件)
表の見方:データは今年に入ってからの累積件数である。たとえば高輪署の受理件数は、4月末までに12件発生している。5月末でもやはり12件なので、5月中の受理は0件ということになる。
一方、未処理(書類は受け取ったが受理・不受理の判断がペンディング)にも注目してほしい。4月末と5月末では数字に変化はない。それぞれ10件である。と、いうことは5月に何者かが告訴して、その受理・不受理の判断が5月中に下せずに、次月に持ち越した案件は0件ということになる。もし、告訴状は受け取ったがその月のうちに判断が下せないケースが発生していれば、5月末の「未処理」が11件になるはずだからだ。
さらに5月の処理件数も0件である。
つまり高輪署に関していえば、告訴状すらも受け取ってもらえなかったことになる。あるいは元々提出しなかったか。
目黒署に関しては、1件の告訴が受理されている。その告訴が三宅氏によるものかどうかは分からない。
今後、念のために「被疑者」が在住する府県警察本部と検察に対しても情報公開請求をする必要があるかも知れない。真相が解明されるのも時間の問題だろう。来年の夏までには調査を完了したい。

英語版のウィキペディアに掲載されている新聞発行部数(2016年度)ランキングに、日本の新聞社が慣行化してきた「押し紙」についての注釈があることが分かった。ランキングは、世界新聞協会(WAN-World Association of Newspaper)が発表したデータを転載したもの。日本の新聞社がこれまでどおりに上位を占めているが、次のような注釈がついている。
【注1】
幾つかのデータについては議論の余地がある;日本の新聞の発行部数は、「押し紙」、取引先に過剰な新聞を供給することによる(数字の)誇張の影響下にあるとの主張もある。■出典(Notes 1)
海外でも、日本の新聞社の「押し紙」が問題視されはじめているのだ。
◇10位内に日本から4社
ちなみにランキングは次の通りである。
◇ニューヨークタイムズが台頭
興味深いのは、ニューヨークタイムズの部数変動である。筆者が初めて海外の新聞発行部数を調査した約20年前、1996年の時点でニューヨークタイムズの発行部数は107万部だった。
ところが2016年に213万部に、2018年9月末の段階では、同紙の電子版有料会員数が254万人を超えている。(共同通信などの報道による。)これは「紙」から「電子」への流れを象徴する現象だろう。
筆者の推測になるが多くの読者を獲得できた背景に、英語が世界の共通言語になっている事情があるようだ。対象となる市場が日本語と比較にならないほど大きいのがその要因だろう。インターネットのない時代は、日本でニューヨークタイムズを読む人は、ほんの限られた層だった。ところがいまは誰でも、電子版で読める。
もちろんジャーナリズムの評価が高いことは、改めて念を押すまでもないが。
だれにでも公の場ではあまり語りたくない話題があるものだ。わたしにも不特定の人々が読むメディア黒書では、絶対に取りあげない話題がある。もちろん、酒席でも口外することはない。自分には語る資格がないと考えているからだ。しかし、これでは面白い話題を墓場へ持参することになりかねない。
フリーライターになって21年。それ以前も執筆活動をしていたので、わたしは、かなり長期間にわたって売文業を持続してきたことになる。代筆を含めると、100冊ぐらい単行本を書いている。【続きは次ぎのサイト】

滋賀医科大学で前立腺がんの患者らを巻き込んだ医療事件が起きている。
この事件を筆者が知ったのは数ヶ月前で、数人のライターが取材していることも聞いていた。7日発売の『紙の爆弾』で、ジャーナリストの山口正紀氏が、事件を詳しく報告している。タイトルは、「滋賀医大病院 前立腺がん『小線源講座』廃止工作」、副題は「がん患者の命綱を断ち切る暴挙」。
前立腺がんは、男性が発症するがんで、60歳ごろから増え始める。胃がん、大腸がん、肺がんと同様に、発症率の高いがんのひとつである。その最先端治療のひとつに、滋賀医科大学の岡本圭生特認教授が開発した「小線源治療」がある。
山口氏のレポートによると、これは米国マウントサイナイ医科大学のネルソン・ストーン教授が開発したものである。岡本医師はそれを習得して、さらに改良を加え、「岡本メソッド」と命名した。
「岡本メソッド」では、非再発率(5年根治率)は高リスク症例でも96・3%で、治療成績が他の療法(30%~50%)に比べて卓越している。
岡本医師は、滋賀医大の小線源治療外来で、2015年から「岡本メソッド」による治療を始めた。評判はたちまち広がり、全国各地から患者たちが殺到した。治療件数は1000件を超えている。滋賀医大は、前立腺がん患者の「駆け込み寺」となったのだ。
当然、滋賀医大病院も、当初は岡本メソッドを病院の看板として支援していたのである。
◇重大な医療事故の寸前
が、岡本医師とは所属が異なる泌尿器科の河内明宏教授らのグループが奇妙な動きをはじめる。派閥争いなのかも知れないが、現時点では真相は分からない。
なぜか「岡本メソッド」を希望して来院した患者の一部を、岡本医師の小線源治療外来ではなく、河内医師の泌尿器科へ送り込むようになったのだ。ところが河内医師には、「岡本メソッド」の経験が十分ではない。そこで患者が「岡本メソッド」を希望すると、自分の未経験を隠したまま治療計画を立てる。こうして泌尿器科で小線源治療を受ける予定に組み込まれた患者は23名にもなった。
岡本医師は、危険きわまりない泌尿器科の方針に対して行動を起こした。医大の学長に、未経験者が「岡本メソッド」を使う危険性を強く進言したのだ。その甲斐があって、泌尿器科に送られた23人が直接小線源治療の医療事故にあう最悪の事態だけは回避できたが、インフォームドコンセントが十分ではなかったために希望する治療を受けることができなかった。
◇提起された2つの裁判
不幸中の幸いで、自分の意思に反して泌尿器科へ送られた患者は、岡本医師が治療を引き継ぐことになった。
しかし、問題はこれで落着したわけではなかった。泌尿器科の責任を明らかにする過程で、岡本医師と院長の関係が悪化したのだ。そして2017年11月に病院側は暴挙にでる。同年の12月末で小線源講座を打ち切ることを告知したのである。
この時点で既に2018年度の治療予約が入っていたので、大混乱になった。病院はやむなく打ち切りの期限を2019年末まで延期した。しかし、小線源講座の打ち切り方針はそのままだった。
この事件では、4人の患者が河内明宏教授らを提訴している。十分なインフォームドコンセントが行われておらず、「治療方法を自己決定する権利が侵害され、精神的苦痛を被った」とする内容である。
病院はウェブサイトに、「岡本医師は成田準教授を指導する立場にあり、協働して準備してきたにもかかわらず、直前に協力を拒んだ」とする見解をだした。これに対して岡本医師は、11月16日に、この見解は事実に反するとして、削除を求める仮処分を申し立てた。
この事件では、900名を超える人々が患者会を結成している。今後の展開が注目される。
【最近・参考記事】滋賀医科大学医学部付属病院で発覚した患者モルモット未遂事件――患者を守るために体を張ったスーパードクターに対する組織的報復
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室内環境学会という研究者の集まりをご存じだろうか。数ある「学会」のひとつで、文字通り室内の環境に関する研究をしている人々で構成するグループである。電磁波過敏症や化学物質過敏症の研究者の多くがこの学会に属している。
次に示すのがウエブサイトだ。
http://www.siej.org/
◆◆
さて、この室内環境学会が主催するセミナーを取材しようとしたところ、まったく想像しなかったことが起こった。【続きは次のサイト】

このところツイッターがロック(凍結)されたという話をよく耳にする。ロック(凍結)とは、ネット上に投稿されているツィートがツイッター社の規程にあわない場合に、Twitter社がそれを非表示にすると同時に、投稿者に対してツイッターの使用を禁止する処分を意味する。処分の決定は、ツイッターの利用者からの申し立てを審査して決められる。
筆者自身も、12月1日から数日間、「処分」を受けてツイッターが使用できなくなった。何者かが、筆者のツィートが使用規程に違反しているとする旨の申告を行った結果であるが、実は、筆者の言論を封じようとする動きはこれだけではない。
先日から、度々、何者かが筆者のツイッターの乗っ取りを企てている兆候がある。なぜ、それが分るかといえば、自分が所有していない通信機からツイッターにログインがあった場合、通知が送られて来るからだ。
昨夜(7日、午前3時39分)、次のような通知がきた。
ご利用中のTwitterアカウント(@kuroyabu)へのログインがありましたのでお知らせします。
端末 Safari on iPhone
場所* 東京 港区
*場所はログイン時のIPアドレスに基づいて推定されています。
ご自身で行った場合
ご確認をありがとうございます。引き続きTwitterをご利用ください。
このログインに心当たりがない場合
第三者によるアカウント乗っ取りの可能性があります。 安全のため、パスワードをリセットしてください。
今回で、確か4度か5度目の通知だった。ログインの場所は、港区または足立区である。
◇私企業が言論の許容範囲を規制する危険性
言論弾圧や言論抑圧といえば、政府などの巨大権力が警察などを使うことで押し進めていくような印象があるが、実はそれよりももっと危険なものがある。いわゆるソーシャルメディアに言論規制の権限を丸投げして、そのルールに従って、不特定多数の人々が、敵対言論を委縮させる方向へ動くことである。Twitter社に繰り返し、違反例を申告することで、言論をコントロールする権限を、Twitter社に一任する状況が生まれているのだ。
ツィートは便利な道具だから、なかなか縁を切ることはできない。特にネットメディアにとっては不可欠だ。と、すればTwitter社の規程にそった言論の領域を超えることができない。こうして、ひとつの私企業が世界の言論をコントロールしはじめているのだ。
わざわざイメージダウンを覚悟のうえで、政府や警察が名誉毀損的な言論を取り締まるまでもなく、ソーシャルメディアの運営会社を通じて、暗黙のうちに許容される言論の枠を設ける流れがあるのだ。
おそらく大半の人には、ソーシャルメディアが持つこうした全体の構図が見えていないのではないか。言論の規制といえば、とかく特定秘密保護法や共謀罪に関心が向きがちで、それはそれで間違いではないが、実は日常生活の中にバクテリアのように言論の芽を摘む毒が広がっているのである。
自分で自分の首を絞める行為は愚かで無知としかいいようがない。
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「押し紙」問題の近況を報告しておこう。新しい動きがいくつか現われている。
11月1日に、国会の衆議院議員会館で「押し紙を考える勉強会」を開催した。この集会には、報道関係者を含めて50人あまりが集まった。「押し紙」をテーマとした集会を国会内で開催したのは初めてだ。1980年度の前半に、新聞販売の諸問題が国会質問の場で繰り返し取り上げられたことはあるが、集会を開いたことはなかった。
この集会の報道を含めて、その後、「押し紙」報道は活発化している。【続きはここをクリック】

筆者(黒薮)のTwitterがロックされている問題について、その後の経緯を簡単に報告しておこう。ロックされる原因となったのは、次のツィートである。
【バックナンバー】三宅雪子元衆議院の支援者「告訴」騒動にみるTwitterの社会病理 | MEDIA KOKUSYO https://t.co/3mj9hR2EOO
誰かがロックを申し立て、Twitter社がそれを認めたという流れになるだろう。このツィートを削除すれば、ロックは解除される。が、ここには簡単に見過ごせない問題が何点かある。それが解決しない限り、筆者はみずからツィートを削除して、ロックを解除するプロセスに従うつもりはない。
■黒薮のTwitter(更新不能ですが、筆者以外は閲覧できます)
何が問題なのか?
1,まずTwitter社が削除を要請してきた時点で、ツィートはすでに削除されていた事実である。もちろん問題のツィートは、著作権法でいう著作物には該当しないが、作成者に無断でツィートを削除する行為が許されるのか?しかも、削除されたのは事実に基づいた普通のツィートである。
2,筆者は、筆者のTwitterがロックされた理由をTwitter社に問い合わせた。すると次のような耳を疑うような答が返ってきた。回答文は、言葉の相関関係があいまいで意味不明瞭だが、そのまま引用しよう。
ご利用のアカウントは、Twitterルール、具体的にはプライバシー法に対する権利が認められている国の人物の私的なメディアの投稿を禁止するルールに違反したため、一定期間ロックされるかご利用が制限されます。ご利用を再開するにはこのメディアを削除してください。
おそらく次のような意味ではないか。プライバシー法というものがある。この法律で保護対象になっている「国の人物」(国会公務員)についての、私的なメディアによる投稿を禁止するルールに違反している。
問題のツィートの中で「国の人物」とは、元衆議院議員である三宅氏を指しているとしか思えない。念のために問い合わせてみたが、これに対する回答はない。
3,Twitter社が「国の人物」(国会公務員)については、私的なメディアによる言及を禁止しているのであれば、今後、筆者だけではなく、全員がTwitter上で政治家や国家公務員に言及できないことになる。
Twitterなどのメディアを逆手に取る手法で、じわじわと言論統制が始まっているらしい。この問題は、曖昧にはできない。危険な兆候だ。
ちなみにだれが筆者のTwitter凍結を求めたのかは分からない。筆者は敵が多く、時には群れになって攻撃してくることもあるからだ。
◆Twitterが凍結されているために、筆者のTwitterメールは機能しません。情報提供は、次の窓口までお願いします。
メール:xxmwg240@ybb.ne.jp
「黒薮哲哉ウェブマガジン-報道されないニュースと視点」発刊のお知らせ
ウェブマガジンを発刊しました。こちらは有料になります。週に2回程度の更新で月額864円(税込み)です。
ウェブマガジン発刊に伴い、メディア黒書の更新は、週に3回から4回程度に減りますが、ご理解ください。
ちなみに本日の記事は、「新聞業界から約130人の政治家へ政治献金、最新の政治資金収支報告書で判明、その背景にある権益は・・」。

新聞の没落傾向に歯止めがかからない。新聞の発行部数を示すABC部数(2018年10月度)によると、朝日新聞は前年同月比で約36万部減、読売新聞は約41万部、日経新聞は約30万部減、毎日新聞は約31万部減、産経新聞は約11万部減となった。
中央紙5紙のABC部数は次の通りである。()は前年同月比である。
朝日 5,763,923(-357,682)
毎日 2,646,202(-314,076)
読売 8,328,646(-406,279)
日経 2,398,162(-297,093)
産経 1,465,842(-112,190)
合計 20,602,775(-1,487,320)
これら5紙で、総計約149万部が減ったことになる。これは京都新聞(発行部数約43万部)クラスの地方紙が、3社消えたに等しい。新聞業界の深刻な内情が改めて浮彫になった。
ちなみにABC部数には、「押し紙」が含まれている。「押し紙」とは、新聞社がノルマとして新聞販売店に買い取りを強要する新聞のことで、昔から業界内で大きな問題になってきた。新聞ばなれが進み、販売店の経営が悪化してくると、「押し紙」の負担が重くなる。そこで新聞社は、販売網を維持するためにやむなく「押し紙」を減らすことがある。その結果、ABC部数も減る。
このところの極端な部数減の背景には、単に新聞ばなれだけではなく、新聞社が「押し紙」を減らさざるを得なくなっている事情もあるようだ。それだけ経営悪化が深刻になっているのだ。
なお、折込広告の販売店への割り当て枚数は、ABC部数に準じる基本原則がある。従ってABC部数の中に「押し紙」が含まれていれば、それとセットになっている折込広告も、配達されないまま「押し紙」と一緒に廃棄されている可能性が高い。
◇見えざるメディアコントロール
こうした商取引の「闇」が業界の汚点となり、仮にそれを政府が逆手に取れば、合法的な摘発の口実になる。ここに日本の新聞ジャーナリズムの決定的な弱点があるのだ。それは「忖度」の温床であり、メディアコントロールの見えざるからくりなのである。
新聞販売店の整理統合は恐ろしい勢いで進んでいる。朝日新聞と読売新聞の販売店が統合されるケースも生まれている。
倒産する新聞社がでるのは時間の問題だろう。「紙」新聞の崩壊は秒読み段階に入った。

新聞の没落ぶりは、なにも部数減に歯止めがかからないことだけではない。報道内容そのものにウソが多い。その典型例は、世論調査報道による印象操作である。
次に紹介するバックナンバー記事、「新聞協会が発表した『新聞を読む』83%、世論調査を実施したのは時事通信社と親密な中央調査会」は、世論調査が実は身内による調査で、第3者によるものではなかったことを暴露したものである。ある種のフェイクニュースである。
2014年の記事だが、実態はいまも同じではないかと推測する。
■■■■■
日本人(子供を除く)の83%が「新聞を読む」習慣があるという日本新聞協会の調査結果を、読者の皆さんはどう感じるだろうか?
同協会は18日、自らが主催した「全国メディア接触・評価調査」の結果を公表した。ところがこの調査は、厳密にいえば新聞協会とは無関係の第三者に依頼して実施したものではないことが分かった。本来、「身内」以外に発注するのが常識なのだが。
調査は、新聞協会の会員社である時事通信の西澤豊社長が会長を務める中央調査社が実施したものである。西澤氏は、少なくとも昨年の1月までは、新聞協会の監事だった。
この調査の結果を伝える新聞協会のウェブサイトをご覧いただきたい。調査概要の最終項目に「実査・レターヘッド:中央調査社」と、明記されている。これが実際に調査を行った組織である。
■http://www.pressnet.or.jp/adarc/data/rep/
つまりこの調査では、意図的な情報操作をおこなうことができる余地があったのだ。新聞を読む習慣がある人が83%を占めるという信じがたい数字が出たゆえんではないか。
かりにこの数字が、新聞の公称部数と同様にまったく実態を反映していないとした場合、情報操作の背景に、新聞に対する消費税の軽減税率の適用を勝ち取りたいという新聞経営社(以下、新聞人)の思惑があるのではないか。
◇実態と離れた感覚
調査結果は、読売や毎日の紙面とウェブサイトなどでも紹介された。次のような結果だった。
日本新聞協会広告委員会は「2013年全国メディア接触・評価調査」の結果を発表した。新聞を読んでいる人は83.6%だった。電子版の新聞を読んでいる人は7.7%で、紙と電子版を併読している人は6.3%だった。新聞社が発行する電子版の認知度は49.2%で、半数が「知っている」と答えた。(毎日新聞)
データを要約すると次のようになる。
新聞を読んでいる人:83.6%
電子版の新聞を読んでいる人:7.7%
紙と電子版を併読している人:6.3%
新聞社が発行する電子版の認知度:49.2%
わたしの予想とはかけ離れていた。わたしは次のように予想していた。
新聞を読んでいる人:50%
電子版の新聞を読んでいる人:70%
紙と電子版を併読している人:80%
新聞社が発行する電子版の認知度:90%
ちなみに読売の渡邉恒雄会長は、今年の読売賀詞交換会で新聞離れについて次のように述べている。渡邉氏の推測では、新聞を読んでいる人は50%である。
もうひとつの悲観要因は活字離れです。東京23区の無購読者層は約5割です。日本の中心の23区で新聞を読まない世帯が50%近いということは、新聞界の将来に響く大きな問題です。
◇新聞に対する消費税軽減税率の適用を問う調査でも・・
実は、日本新聞協会は、今回とまったく同じ手口の世論調査を過去にも行っている。新聞に対する減税率適用の是非を問う世論調査を主催するさいに、やはり中央調査社に調査を発注している。これについては、昨年の1月にMyNewsJapanで実態を明らかにしたので、掲載記事のリードの部分を紹介しておこう。
新聞社が新聞に対する消費税の軽減税率適用を求めて紙面を使ったPRを展開している。その根拠として記事などに引用しているのが、日本新聞協会が実施したとされる世論調査の結果で、実に、国民の8割が生活必需品に対する軽減税率適用を求め、新聞・書籍に対しても、その4分の3が賛成している、というものだ。
ところが、実際にこの調査を行ったのは、中立な第三者どころか、新聞協会の監事・西澤豊氏が会長を務める中央調査社。しかも、実際に面接調査をしたのは、4000人の候補者のうち1210名だけで、新聞の定期購読率が極めて高いと思われる層のみに聞いた“イカサマ調査”といえる。
新聞と書籍をごちゃ混ぜにして質問するなど、質問内容にも結果を誘導した跡がある。新聞業界は「押し紙」分まで増税されてしまうことを極端に警戒し、世論調査・世論誘導すべくしゃかりきに走り出した。
◇住所も電話も同じ
新聞協会がアンケート調査を発注してきた中央調査社と、新聞協会の会員社である時事通信の親密な関係は否定のしようがない。
中央調査社の地方事務所の所在地を調査したところ、大阪事業所、名古屋事業所、広島事業所の住所がいずれも、時事通信の支社と一致することが分かった。以下のとおりである。
時事通信大阪支社: 大阪市中央区備後町4-1-3(御堂筋三井ビルディング6F)
中央調査社大阪支社:大阪府大阪市中央区備後町4-1-3 御堂筋三井ビル6F
時事通信名古屋支社:名古屋市中区錦2-2-13(センタービル8F)
中央調査社名古屋支社:名古屋市中区錦2-2-13 センタービル
時事通信広島支社:広島市中区基町5-44(商工会議所ビル5F)
中央調査社広島支社:広島市中区基町5-44 商工会議所ビル
また、大阪事業所の電話番号(6231-6340)と時事通信大阪支社・調査部の電話番号(6231-6340)が同じであることも分かった。
2018年11月30日 (金曜日)

市民運動家の志岐武彦氏と筆者は、奈良地検が下した高市早苗議員(自民)の不起訴決定を不服として、18日、奈良検察審査会に審査を請求した。
この事件は志岐武彦氏が、高市早苗議員の政治資金の実態を調べた結果、浮上したものである。複雑なようで単純な構図だ。大阪毎日放送が、一度だけテレビで取りあげたが、なぜか続報がない。
読者は、政治献金の還付金制度をご存じだろうか。これが事件のキーワードなのだ。
簡単に言えば、有権者が特定の政党支部に政治献金をした後、税務署で所定の手続をすれば、寄付した金の30%が税金からバックされる制度だ。こうした方法で、政府は国民の政治参加を奨励しているのである。
ただし、ここから先が肝心なのだが、「寄付をした者に特別の利益が及ぶと認められるものを除く」ことが法律で定められている。その「特別の利益が及ぶ」人に高市氏が該当するのに、還付金を受け取ったというのが告発人(志岐氏、黒薮)らの主張だ。
【還付金制度】議員が代表を務める地元の政党支部などへ有権者が政治献金を行った場合、税務署で所定の手続きをすれば、寄付した金額の30%が戻ってくる。たとえば1000万円を寄付すれば、300万円が戻ってくる。
このような制度を設けることで、政治資金の支出を活発にしているのであるが、逆説的に考えると、寄付された金額の30%は税金から補填される構図になっている。当然、厳正に運用されなければならない。
それゆえに、租税特別措置法の41条18・1は、還付金制度適用の例外事項を設けている。つまり、「寄付をした者に特別の利益が及ぶと認められるものを除く」と定めているのだ。
「特別の利益が及ぶ」場合とは、具体的にどのようなケースなのだろうか。結論を先に言えば、議員が自らの政党支部に自分の金を寄付して、還付金を受ける場合である。
高市議員は、平成24年に1000万円を、平成25年に300万円を自らの政党支部へ「寄付」して、還付金を受けていたのだ。その総計は、約390万円になる。自分で自分の支部へ寄付したわけだから、資金を動かすだけで、「持ち金」を30%増やしたことになる。
◇所得税法にも抵触
既報しているように、志岐氏と筆者は2017年2月に、最初の刑事告発を行った。本来は租税特別措置法違反を理由にするのが妥当だが、この法律には罰則規定がないので、詐欺罪で告発した。
しかし、奈良地検は告発を受理したものの、不起訴と結論づけた。詐欺には該当しないと判断したのである。
その後、この種のマネーロンダリングが所得税法にも抵触することが分かった。参考までに所得税法の第238条の1を引用しておこう。言葉の相関関係が複雑で、分かりにくい文章だが、「偽って税還付を受けた者は、10年以下の懲役か、1000万円以下の罰金を課せられる」とする論旨である。(注:太文字は黒薮)
第二三八条:偽りその他不正の行為により、第百二十条第一項第三号(確定所得申告に係る所得税額)(第百六十六条[非居住者に対する準用]において準用する場合を含む。)に規定する所得税の額(第九十五条[外国税額控除]の規定により控除をされるべき金額がある場合には、同号の規定による計算を同条の規定を適用しないでした所得税の額)若しくは第百七十二条第一項第一号若しくは第二項第一号(給与等につき源泉徴収を受けない場合の申告)に規定する所得税の額につき所得税を免れ、又は第百四十二条第二項(純損失の繰戻しによる還付)(第百六十六条において準用する場合を含む。)の規定による所得税の還付を受けた者は、十年以下の懲役若しくは千万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
◇「捜査の結果です」
そこで再び高市議員を刑事告発した。この時は、所得税法違反を根拠とした。奈良地検は、告発を受理したが、最終的には不起訴とした。志岐氏が執拗に理由を尋ねたが、「嫌疑なしだからです」とか、「捜査の結果です」とか言うだけで、具体的な説明はできなかった。
志岐氏が説明を求めた肝心な点は、なぜ高市氏のやったことが租税特別措置法や所得税法に違反しないのかという点なのだが。
そこで志岐氏と筆者は、やむなく11月18日に、奈良検察審査会に審査を請求(受理済み)したのである。


