2025年06月10日 (火曜日)

007年12月、読売新聞の「押し紙」を認定した判決が最高裁で確定した。この裁判は、新聞販売店が地位保全を求めて起こしたもので、販売店の残紙が「押し紙」か否かが争われた。裁判所は、残紙を「押し紙」と認定。その後、雑誌による「押し紙」報道が本格化するが、読売は、裁判提起により反撃した。読売裁判には、自由人権協会代表理事の喜田村洋一弁護士が、延々とかかわってきた。喜田村弁護士は、読売に「押し紙」は、一部も存在しないと主張してきた。

■【YouTube】読売新聞社の「押し紙」を認定した真村訴訟

2025年06月05日 (木曜日)

しばき隊の活動家・A氏が、作家の森奈津子氏と鹿砦社に対して、プライバシーを侵害されたとして、110万円を請求した裁判が、6月2日、東京地裁立川支部で結審した。判決は、7月14日に言い渡される。

提訴の背景は、森氏とA氏の間で行われていたツイッターでの交戦である。しばき隊についての論争の中で、森氏が、A氏が過去に起こした暴力事件の事実を立証する略式命令書をツイッター上で公表したことである。そこには、「被告人を罰金40万円に処する」などと記されている。改めて言うまでもなく、この罰金はA氏が起こした暴力事件の代償である。

略式命令の入手元は、鹿砦社である。鹿砦社は、A氏とその「仲間」が、起こしたある集団暴力事件を断続的に取材してきた唯一の出版社である。これまでしばき隊関連の本を6冊出版している。その中には、森氏が投稿したルポも含まれている。こうした背景があったので、森氏とA氏によるツイッター上の交戦に鹿砦社も注視していたのである。

ちなみに前科に関する事実は、公表が認められる場合と認められない場合がある。
認められる場合は、実名を使用する意義と必要性がある場合である。それが認められないケースでは、プライバシー侵害が認定される法理となっている。

◆2024年12月深夜、大阪市北新地で

A氏らしばき隊のメンバー数人が関与した事件は、2014年12月の深夜、大阪市の北新地で起きた。メンバーの中には、当時、カウンター運動の旗手としてマスコミが賞賛していた李信恵氏も含まれていた。暴力事件の背景には、組織内の金銭をめぐるもめごとがあったようだ。

ワンバー(酒場)に入ったA氏らは電話で、当時、大学院の博士課程に在籍していたM君を呼び出した。M君が店に入ると、興奮した李信恵氏がM君の胸倉を掴み威嚇した。一旦は、仲間が割って入ったが、その後、A氏がM君を店外へ連れ出し、およそ40分にわたって殴る蹴るを暴行を加え、瀕死の重傷を負わせたのである。

これら一連の経緯については、大阪高裁は、判決の中で次のような事実認定を行っている。

「被控訴人(注:李氏)は、Mが本件店舗に到着した際、最初にその胸倉を掴み、AとMが本件店舗の外に出た後、聞こえてきた物音から喧嘩になっている可能性を認識しながら、飲酒を続け、本件店舗に戻ってきたMがAからの暴行を受けて相当程度負傷していることを確認した後、「殺されるなら入ったらいいんちゃう。」と述べただけで、警察への通報や医者への連絡等をしないまま、最後は負傷しているMを放置して立ち去ったことが認められる。

この間、BやCはAに対し暴力を振るわないよう求める発言をしているが、被控訴人が暴力を否定するような発言をしたことは一度もなく、被控訴人は遅くともMが本件店舗内に戻った時点では、MがAから暴行を受けた事実を認識していながら、殺されなければよいという態度を示しただけで、本件店舗外に出てAの暴行を制止し、又は他人に依頼して制止させようとすることもなく、本件店舗内で飲食を続けていた。このような被控訴人の言動は、当時、被控訴人がAによる暴行を容認していたことを推認させるものであるということができる。(略)(控訴審判決、7P)」

この事件について、森氏と鹿砦社を訴えたA氏の代理人・神原元弁護士は「街角の小さな喧嘩にすぎない」と訴状に記しているが、事実とは著しく異なる。そのことは事件後のM君の顔写真で確認できる。(冒頭の写真参照)また、M君が録音していた暴行の際の罵声(CD有)からも凄まじい暴力の実態が推測できる。

第一、「街角の小さな喧嘩」であれば、簡易裁判所が40万円の罰金を課すはずがない。また、M君がA氏らに対して起こした民事裁判でも、約110万円の支払命令が下されている。

確かにこの事件をマスコミが報じることはなかったが、それをもって、「街角の小さな喧嘩にすぎない」とは言えない。報道されなかった背景には、カウンター運動に参加している著名人や記者クラブによる組織的な隠蔽工作があったのである。『ヘイト・スピーチとは何か』(岩波新書)の著者で、弁護士の師岡康子弁護士も隠蔽工作に関与した一人である。知人に充てて、事件の隠蔽を依頼するメールを送付している。

筆者の推測になるが、隠蔽工作の背景に国会で、ヘイトスピーチ解消法が成立直前になっていた事情があった。A氏が主導した暴行事件は、どうしてももみ消す必用があったのだ。そこで事件を「無かったこと」にしたのである。

◆しばき隊が関与した暴力事件で、M君は人生の軌道を狂わされた

さて、A氏の暴行を受けたM君は、その後、どのような軌跡をたどったのだろうか。ノンフィクション作家で精神科医の野田正影氏が行った精神鑑定書は、「外傷事件から6年が過ぎているが、被害者は典型的な『精神的外傷後ストレス障害』(PTSD=Post Traumatic Stress Disorder)の精神障害に苦しんでいる」。「本件例は、WHOの診断ガイドラインに基づいても、アメリカ精神医学会の『精神疾患の分類と診断の手引き』(DSM-5)に基づいても、疑う余地のない『精神的外傷ストレス障害』である」と結論付けている。

実際、M君は事件後、PTSDに悩まされて、博士論文を執筆できなくなった。事件の残像に苦しめられたのである。そのために内定していた大学での研究職も断念せざるを得なくなった。しばき隊が関与した暴力事件で、人生の軌道を狂わされたのである。その最大の責任が主犯のA氏にあることは論を待たない。

7月14日に言い渡しが予定されている判決で、東京地裁立川支部がどのような判断を示すかは不明だが、ジャーナリズムの記録性を重視するという観点からすれば、A氏の実名報道は何ら問題がない。過去に連合赤軍の永田洋子らが起こした集団リンチ事件で主犯格の実名が公表されているわけだから、この事件も例外ではない。M君も、ひとつ間違えば命を落としていた可能性もあるのだ。

◆神原弁護士は、M君の現在を想像したことはあるのか?

なお、この裁判の原告代理人は、神原元弁護士(下写真の右の人物)である。神原弁護士は、自由法曹団の常任幹事を務めている。自由法曹団といえば、健全な社会進歩に貢献する人権派弁護士の集まりのような印象があり、事実、素晴らしい仕事をしてきた弁護士も少なくない。

しかし、北新地でのしばき隊による事件のように、自由法曹団の常任幹事が、重大な集団暴力事件を起こした組織を全面的に擁護する姿勢には疑問を感じざるを得ない。どこか歯車が狂い始めているのではないか?「街角の小さな喧嘩にすぎない」と訴状に記すこと自体がM君に対する侮辱である。犯罪者にも人権はあるが、客観的な事実だけは曲げてはいけない。一体、神原弁護士は、M君の現在を想像したことはあるのだろうか?

2025年06月03日 (火曜日)

2025年4月21日付けで筆者が公正取引委員会へ申し立てた新聞特殊指定に関する情報公開請求に対して、同委員会は、5月27日付けで「開示決定等の期限の延長について(通知)」と題する文書を筆者宛てに送付した。延長の期間は、開示請求があった日から60日以内である。延長の理由は、「行政文書の精査及び開示の可否の検討に時間を要するため」としている。

通知文書の全文は次の通りである。

■開示決定等の期限の延長について(通知)

◆◆

メディア黒書で繰り返し報じてきたように、公正取引委員会は1999年7月に新聞特殊指定を改定した。その発端は、1977年に公取委が北國新聞に対して「押し紙」の排除勧告を行うと同時に、日本新聞協会に対しても、「押し紙」の事象が確認できる旨を申し入れたことである。

これを受けて公取委と新聞協会は、解決の方向性で協議を重ねた。しかし、その果実として改定された1999年の新聞特殊指定は、かえって新聞社の「押し紙」政策を加勢する内容になっていた。

そこで筆者は、両者がどのような話し合いを重ねたのかを検証するために、情報公開請求を行ったのだ。(写真:左・根来泰周公取委員長、右・渡辺恒雄新聞協会会長  出典:日刊スポーツ

この件については、次のYouTubeでも解説している。

2025年06月02日 (月曜日)

2021年度の政治資金収支報告書によると、新聞業界は政界に対して、総額で598万円の政治献金を行った。献金元は、新聞販売店の同業組合である日本新聞販売協会(日販協)の政治連盟である。さすがに日本新聞協会が政治献金を支出するわけにはいかないので、パートナーの日販協が献金元になっている。

政治献金という観点から、新聞業界と政界の関係を検証する。

2025年05月30日 (金曜日)

横浜副流煙事件「反訴」の控訴審第1回口頭弁論が、26日、東京高裁で開かれた。裁判所は、結審を宣言すると同時に、裁判の当事者双方に和解の提案を行った。双方とも今後、裁判所を介して話し合うことで合意した。事件は和解へ向けて動きはじめた。第1審は、原告の敗訴だった。

■控訴理由書

この裁判は、副流煙により甚大な健康被害を受けたとして、横浜市青葉区の団地にあるマンション2階に住む家族(父・母・娘)が、1階に住むミュージシャン藤井将登さんに対し、4518万円の損害賠償を求めたものである。しかし、家族3人の訴えに根拠はなく、横浜地裁は請求を棄却した。しかも、判決の中で、提訴の重要な根拠となった3人の診断書(日本禁煙学会の作田学医師が作成)に、さまざまな疑問があることが指摘された。

たとえば作田医師が、医師法20条に違反して、娘を診察せずに診断書を交付していたことが認定された。医師法20条は無診察で診断書を交付する行為を禁じている。

第20条 医師は、自ら診察しないで治療をし、若しくは診断書若しくは処方せん を交付し、自ら出産に立ち会わないで出生証明書若しくは死産証書を交付し、又は自ら検案をしないで検案書を交付してはならない。但し、診療中の患者が受診後二十四時間以内に死亡した場合に交付する死亡診断書については、この限りでない。

敗訴した家族3人は控訴したが、控訴審でも訴えは棄却され、藤井将登さんの勝訴が確定した。これを受けて、藤井将登さんと妻の敦子さんは、家族3人の提訴行為は、訴権の濫用に該当するとして、3人を訴え返した。その際、医師法20条に抵触する診断書を交付した作田医師も被告に加えた。俗にいう反スラップ訴訟である。

訴権の濫用を理由とした訴訟で原告が勝訴した判例は、裁判史の中でも10件にも満たない。最近の例では、NHK党の立花孝党首に対して、裁判所が賠償命令を下した例がある。ただ、反スラップ裁判は、よほど悪質な行為が訴因でない限り、訴えが認められることはない。日本国憲法で提訴権が保障されているからだ。それでも藤井夫妻は、「戦後処理」という観点から、あえて提訴に踏み切ったのである。

■事件の概要

控訴人の藤井敦子さんは、閉廷後に次のように語った。

「和解交渉は進めるが、今後の再発抑止に繋がるような結果にならない限り、
中途半端な和解に応じるつもりはない。金銭に関する交渉はしない」

◆◆

この「反スラップ訴訟」における争点のひとつは、提訴の根拠となった診断書の信憑性である。家族3人は、それぞれ体調の不良を訴え、その原因が何であれ医師や弁護士に相談したわけだから、診断書の内容がどうであれ、一応提訴の根拠はあった。しかし、問題はその診断書を作成した作田医師である。作田医師が交付した診断書が、提訴の根拠になっているわけだから、それが作成されたプロセスと、記述した内容を検証しなければならない。

たとえば次の記述である。

「1年前から団地の1階にミュージシャンが家にいてデンマーク産のコルトとインドネシアのガラムなど甘く強い香りのタバコを四六時中吸うようになり、徐々にタバコの煙に敏感になっていった。煙を感じるたびに喉に低温やけどのようなひりひりする感じが出始めた。(略)」

裁判の中で、藤井さん側が提出したH医師の意見書は、この記述について、「これは患者が訴えた言葉をそのまま文章にしたものと思われる」と述べている。H医師によると、診断書は、「客観的、医学的、科学的に評価された診断書に基づくものでなければならない」。

■意見書の全文

引用した診断書の記述が「客観的」な事実であると記述するためには、現場に足を運んで、事実を確認しなければならないが、作田医師はこのプロセスを怠っている。

さらに家族3人のうち娘とは面識がない。もちろん診察したこともない。娘がたの医療機関で交付してもらった診断書と、両親からの聞き取りを根拠に、診断書の中で藤井将登さんと娘の「健康被害」を結び付けたのである。喫煙者を法廷に立たせて糾弾する目的があったから、藤井将登さんを「犯人」にでっちあげる診断書を作成した可能性が高い。みずからが作成した杜撰な診断書が高額訴訟の提訴に利用されることを想定していたとも言える。そのことは、日本禁煙学会のウエブサイトで、提訴を副流煙問題解決のひとつの手段として提案していることからも、否定しようがない。

しかし、化学物質過敏症を訴える人の中には、精神疾患を患っているひとが、かなり高い割合でいる。化学物質過敏症に詳しい坂部貢医師は、「平成27年度 環境中の微量な化学物質による健康影響に関する調査研究業務」で、この点に言及している。次のくだりである。

「9.治療
病態生理に不明な点が多いため、本症に特化した治療法は未だ確立されていない。その理由は、複数の病態が重なり合って存在することによる個人差要因が極めて大きいからである。現時点での対応としては、症状を誘発させると考えられる原因物質からの回避がもっとも有効な対処法である。また本症ではアレルギー疾患の合併率が高いため、アレルギー症状を十分コントロールすることもQOLを高めるために必要である。さらに、精神疾患の合併率が80%と高いため、心身医学・精神医学的アプローチも有効である。」

藤井将登さんが煙草を吸っていた場所は、防音設備を備えた部屋の中で、外気からは遮断されていた。しかも、将登さんはヘビースモーカーではない。また、家族3人の自宅の窓は、外気の侵入を防ぐために、ビニールシートで覆われていた。さらに気象庁の風向記録によると、家族3人の住居は、藤井将登さんの部屋よりも風上になることの方が多い。

これらの事実から、藤井将登さんと娘の体調不良を結び付けることは難しい。

が、作田医師は、娘が体調不良になったのは、藤井将登さんの副流煙が原因であると、診断書に中で事実摘示したのである。これは明らかに名誉を毀損している上に、事実にも反している。作田医師の主観であって、客観的な事実ではない。その非科学的な診断書が、4518万円を請求する高額訴訟の根拠になったわけだから、作田医師は責任を免れない。4518万円は、尋常な請求額ではなく、裁判を悪用した恫喝の色合いが濃厚だ。

東京高裁が和解を提案したのは、隣人同士のトラブルで判決を下すことが今後の人間関係に与える負の影響を考慮した結果である可能性が高い。ただ、作田医師については、明確に断罪すべきだろう。医師法20条違反の下で作成された嘘の診断書が高額訴訟の根拠になる事態を容認すれば、司法制度が恫喝に悪用されかねない。

 

2025年05月29日 (木曜日)

レイバーネットTVで「押し紙」問題について黒薮が解説した。出演者は次の通りである。

出演者:黒薮哲哉(フリージャーナリスト、「メディア黒書」主宰)

岩本太郎(ライター、週刊金曜日)

中川紗矢子(元毎日新聞記者、イギリス在住/オンライン)

アシスタント:馬場朋子

放送日 2025年5月28日(水)19:30~20:40(70分放送)

2025年05月25日 (日曜日)

福岡・佐賀押し紙弁護団  江上武幸(文責)2025(令7)年5月22日

福岡地裁の西日本新聞佐賀県販売店の押し紙訴訟は、5月20日に原告本人尋問と販売部長の証人尋問が実施され、9月9日(火)1時10分に判決言渡しと決まりました。一審で敗訴した長崎県販売店の福岡高裁の判決は、既報のとおり、7月3日(木)1時25分に言渡し予定です。

二つの訴訟は、主張と証拠はほぼ同一ですので、担当する裁判官によって、それぞれどのような判断が示されるのか興味が持たれるところです。

なお、佐賀県販売店の原告本人と販売部長の尋問の結果とその評価については、近日中に報告させていただくことにします。

* 追記
 長崎販売店の控訴審において、提出済みの書証について説明した準備書面を提出しましたので、興味のある方は御覧ください。なお、個人名は黒塗りしております。

 

2025年05月25日 (日曜日)

西日本新聞社に対する「押し紙」裁判(原告:長崎県の元店主)で、元店主の弁護団は、5月12日、控訴準備書面(1)を提出した。第1審は、元店主の敗訴だった。12日に提出された書面は、前半で「押し紙」問題の概要を、おもにこれまで証拠として提出した文献を紹介するかたちで概略し、後半で元店主側の主張を展開している。

■控訴準備書面(全文)

■控訴準備書面(1)の補正申立

後半で特筆すべきは、「押し紙」を禁じている独禁法の新聞特殊指定(1999年)の解釈に言及している点だ。1999年の改定前の新聞特殊指定は、「注文部数」の定義が「実配部数+予備紙2%」であることを前提に、「注文部数」を超えた部数は、「押し紙」と規定していた。

しかし、公取委は、1999年に「注文部数」を「注文した部数」と改定した。新聞社と裁判所は、新たに採用された「注文した部数」という用語の定義は、新聞の発注書に外形的に記入された部数と解釈するようになった。その結果、「注文した部数」に「押し紙」が含まれていても、「予備紙」と分類され、不問に付されたようになった経緯がある。新聞社にとって、「押し紙」政策がより容易になったのだ。

こうした状況を受けて、元店主側は、「注文した部数」と「注文部数」は、同じ定義であると主張している。「注文した部数」の拡大解釈に反論している。

■写真出典:ウィキペディア

 

なお、新聞特殊指定の解釈をめぐる論争については、次の動画(6分30秒~)で解説している。

2025年05月24日 (土曜日)

「配信6」では、産経新聞と読売新聞の「押し紙」の実態を紹介する。「押し紙」は1999年の新聞特殊指定の改定を機に急激に増えた。搬入される新聞の
40%が「押し紙」といった例も当たり前になった。

「押し紙」の元凶である1999年の新聞特殊指定の改定について、イラストを使って具体的に説明する。「押し紙」問題の核心に外ならない。この改定は、北國新聞に対する公取委による「押し紙」の排除勧告を受けて、公取委と新聞協会の間で対策を協議した結果行われたものなのだが、なぜか新聞社の「押し紙」政策に加勢する内容になった。

かえって「押し紙」がしやすくなったわけだから、独禁法の主旨や方個性とも整合していない。

2025年05月21日 (水曜日)

「押し紙」が急激に増えたのは、1999年に新聞特殊指定の改訂で、「押し紙」の定義が変更されたのち。改訂前は、「実配部数+予備紙2%」を超える部数は、理由のいかんを問わず「押し紙」とされた。

ところが改訂後は、予備紙2%のルールが撤廃され、残紙はすべて予備紙とみなすようになった。これにより「押し紙」の概念はなくなり、残紙はすべて販売店が自主的に買い入れた部数ということになってしました。

「注文部数」という用語も、「注文した部数」に変更された。

特殊指定の改訂前と改訂後の「押し紙」の定義を図にしてみた。詳細については、近々に説明する。

劈頭の図は、搬入部数が4000部の販売店で例証したものだ。

2025年05月20日 (火曜日)

古くて新しい社会問題----「押し紙」問題を検証するインターネットの番組が5月28日、午後7時30分から、生配信される。タイトルは、「新聞『押し紙』のヤミ」。レイバーネットTVが企画した番組で、出演者は次の通りである。

出演者:黒薮哲哉(フリージャーナリスト、「メディア黒書」主宰)
    岩本太郎(ライター、週刊金曜日)
    中川紗矢子(元毎日新聞記者、イギリス在住/オンライン)

アシスタント:馬場朋子

放送日 2025年5月28日(水)19:30~20:40(70分放送)

・視聴サイト https://www.labornetjp2.org/labornet-tv/216/
YouTube配信 https://youtube.com/live/mKSHrurEzXs?feature=share

企画の発端は、レイバーネットTVによると、昨年末に同事務所宛てに「一枚のFAXが届いた」ことである。「送り主は「読売新聞東京本社管内 読売新聞販売店 店主有志一同」。『34店を代表してやむにやまれずお伝えします』の書き出しで、『読売新聞の予備紙(押し紙)率が40%を超えていて、その負担に耐えきれず倒産、破産とともに一家離散などの悲劇が各所で生まれている。事実を知らせ世論喚起をしてほしい』という内容だった」。

番組の詳細については、次のURLを参考にしてほしい。

http://www.labornetjp.org/news/2025/0528kokuti

◆◆

ちなみに日本新聞協会をはじめ、新聞各社は、「押し紙」は一部も存在しないという立場を取ってきた。たとえ残紙があっても、それは販売店が自発的に購入した新聞であるから予備紙に該当し、新聞社が押し売りしたものではないという主張である。

とりわけ読売新聞の代理人を務めている自由人権協会代表理事の喜田村洋一弁護士は、20年来この考えに固執していて、法廷でも、堂々とこの主張を繰り返してきた。

たとえば、読売が『週刊新潮』に対して起こした裁判の中で、喜田村弁護士は、当時の宮本友丘専務に次のように証言(2010年11月16日、東京地裁)させている。

喜田村弁護士:この裁判では、読売新聞の押し紙が全国的に見ると30パーセントから40パーセントあるんだという週刊新潮の記事が問題になっております。この点は陳述書でも書いていただいていることですけれども、大切なことですのでもう1度お尋ねいたしますけれども、読売新聞社にとって不要な新聞を販売店に強要するという意味での押し紙政策があるのかどうか、この点について裁判所にご説明ください。

宮本:読売新聞の販売局、あと読売新聞社として押し紙をしたことは1回もございません。

喜田村弁護士:それは、昔からそういう状況が続いているというふうにお聞きしてよろしいですか。

宮本:はい。

喜田村弁護士:新聞の注文の仕方について改めて確認をさせていただきますけれども、販売店が自分のお店に何部配達してほしいのか、搬入してほしいのかということを読売新聞社に注文するわけですね。

宮本:はい。

2012年7月6日には、元販売店主の家屋を仮差押えするなどの行為にも及んでいる。(右写真参照)

2025年05月18日 (日曜日)

煙草の副流煙が第3者に及ぼす影響についての議論が活発になっている。法律で集合住宅全体を禁煙にすべきだという考えも検討され始めている。改めていうまでもなく、その引き金のなったのは、横浜副流煙裁判である。

この裁判は、ミュージシャンの藤井将登さんが吸った煙草の煙により健康被害を受けたとして、藤井さんの隣人家族3人が、藤井さんに対して4518万円の損害賠償を求めたものである。詳細については、次の事件概要を参考にしてほしい。

■事件の概要

しかし、家族3人の訴えは棄却された。それどころか判決の中で裁判所は、「受動喫煙症」と診断した診断書そのものに根拠がないことや、日本禁煙学会がみずからの政策を実現するために喫煙撲滅運動を展開したり、「受動喫煙症」の診断基準を決めていることなどを認定した。単に藤井さんを発生源とする副流煙と3人の健康被害の因果関係が立証できなかいから、訴えを棄却したというだけではなかったのだ。喫煙撲滅運動そのものに悪意があったことを認定したのである。

◆◆

喫煙撲滅運動を推進しているひとや、それに共感しているジャーナリストの記事を読んで感じることのひとつに、事実の裏付けが乏しい点である。煙草による被害を誇張する傾向がある。(※筆者は、非喫煙者である)。たとえば次の記事である。

「お隣さん」から致死性の「タバコ煙」が我が家へ。近隣住宅からの受動喫煙問題を考える

この記事に、次のような記述がある。

非喫煙者の家庭では、自宅に厳格な禁煙ルールをもうけていることが多い。例えば、喫煙者の友人が訪問しても自宅ではタバコを吸わせないなどだ。

こうした対策を講じていても近隣からのタバコ煙は容赦なく禁煙宅へ侵入する。韓国ソウル市内の集合住宅に住む禁煙家庭の受動喫煙状況を調べた研究によれば、1年間に約3/4の禁煙居住者が受動喫煙を1回以上経験していたという(※5)

 「※5」の論文を確認したところ、調査方法が自己申告によるものであることが分かった。問診の類いである。非喫煙者は煙草が嫌いなわけだから、アンケート形式の質問となれば、副流煙による被害を誇張する傾向があることは容易に想像できる。現に、横浜副流煙事件では、家族3人による被害の誇張や妄想が大事な争点になったのである。

◆◆

横浜副流煙事件で藤井さんが勝訴したのは、横浜地裁が判断を誤ったからではない。日本禁煙学会に喫煙撲滅という政策目的があった上に、藤井さんが、副流煙の外部流失を防ぐための十分な対策を取っていたからである。

窓を開けて煙草を吸えば、その副流煙が近隣家庭に入り込むことは言うまでもなし、近隣住民のコチニンの濃度も高くなるのは当たり前である。窓を閉めた状態で、喫煙したときの考察が欠落している。

従って、法律で集合住宅全体を禁煙にすべきだという考えは、極論以外の何者でもない。こうした思考の傾向を禁煙ファシズムと呼ぶ。実は、これはアルコールの類が病気の引き金になるので、法律で禁酒すべきだという考えと同じ原理なのだ。

■写真出典