
企業には広報部とか、広報室と呼ばれる部門がある。筆者のようなルポライターが、記事を公表するにあたって、取材対象にした企業から事実関係や見解などを聞き出す時にコンタクトを取る窓口である。新聞社の場合は、ある程度の記者経験を積んだ者が広報の任務に就いているようだ。
今月に入って、兵庫県姫路市で毎日新聞・販売店の改廃にともなう事件が起きた。店主が、新聞の仕入れ代金などで累積した約3916万円の未払い金の支払いを履行できずに、廃業に追い込まれたのである。公式には双方の合意による取引の終了である。
請求は、さやか法律事務所(大阪市)の里井義昇弁護士が販売店主に内容証明で催告書を送付するかたちで行われた。里井弁護士は、催告書の中で、店主が積み立てた信認金(約80万円)を未払い金から相殺することや、12月分の読者からの新聞購読料は毎日新聞社のものであるから、店主が集金してはいけない旨も通知していた。
集金した場合は、「株式会社毎日新聞社としましても、民事上のみならず、それにとどまらない刑事上のものを含めた法的対応を講ずることを検討せざるを得ませんので、たとえ購読者の方より申し出がありましても、一切収受等することなく、後任の販売店主への支払いをと伝えられるようご留意ください」と述べている。
かりに請求金額に「押し紙」による代金が含まれていれば、実に厚かましい話である。
◆「押し紙」問題に向き合わない毎日新聞の社員
毎日新聞社は、この販売店に対する新聞の供給を15日から停止している。そして別の拠点から配達を始めた。
毎日新聞が請求している約3916万円の中身については、今後、筆者が調査して、「押し紙」が含まれていれば、「押し紙」裁判を起こす方向で検討する。クラウドファンディングで裁判資金を募る予定だ。
また、里井弁護士に対しては、懲戒請求を視野に入れる。「押し紙」であることを認識していながら、高額な金銭を請求した可能性があるからだ。里井弁護士は過去にも「押し紙」裁判にかかわった経緯がある。従って「押し紙」とは、何かを知っている可能性が高い。
筆者はこの改廃事件についての毎日新聞の見解を知るために、同社の東京本社・社長室広報ユニットに対して2度に渡って問い合わせた。(質問状は、文末)しかし、返ってきた答は、いずれも「個々の取引に関することは、お答えできません。」というものだった。たったの1行だった。回答者は、石丸整、加藤潔の両社員である。
わたしは2人の社員が「押し紙」問題から逃げていると思った。自分たちが制作した新聞を配達してくれる人が、借金を背負ったまま露頭に放り出されようとしているのに、何の声もあげない冷酷さに驚いた。
筆者は、「押し紙」問題は、商取引の問題であると同時に、人権問題である旨を2人にメールで知らせ、再度回答するように求めたが、やはり回答しなかった。筆者は、2014年12月17日にしばき隊が起こしたリンチ事件の後、識者の多くが事件の隠蔽に走ったことを思い出した。
これは日本が内包する深刻な社会病理なのである。企業社会の中で身体にしみ込んだ処世術に外ならない。
ちなみに日本新聞協会の会長は、毎日新聞社の丸山昌宏社長である。
◆弁護士が資金回収の最前線に
かつてサラ金や商工ローンの厳しい取り立てが社会問題になったことがある。「目の玉を売れ」とか、「腎臓をひとつ売れ」といった罵倒を浴びせて、借金を取り立てることもあった。幸いにこの問題には、メスが入った。武富士は倒産し、同社の代理人を務めていた弘中惇一郎らに対する信用も堕ちた。
「押し紙」の取り立ても、サラ金や商工ローンと同様に凄まじい。毎日新聞・網干大津勝原店の場合は、弁護士が資金回収の最前線に立っている。幸いに現時点では、催告書の送付以外に毎日新聞社の目立った動きはないが、今後、どのような手段に出てくるのかは予断を許さない。
店主には、妻子がいる。
「自分はどうなってもいいが、妻子を露頭に迷わすわけにはいかない」
と、話している。
失業の不安が頭から離れないらしく、毎日、筆者のところに電話がかかってくる。筆者も新聞業界の裏金問題を取材していて業界紙を解雇された体験がある。失業後は、未来が描けないことが苦痛だった。店主も同じ気持ちではないか。
これまで何人もの店主がみずから命を絶っている。失踪者もいる。週刊誌もたびたび店主の自殺を報じているので、新聞社の社員が「押し紙」の悲劇を知らないはずがない。だが、毎日新聞の2人の社員は、自社の問題であっても、逃げの一手なのである。
筆者は2人に対して、会社員としてではなく独立した個人として「押し紙」を告発するように書き送ってみたが、やはり回答はなかった。
この問題は、今後、内部資料を精査し、現地を取材して、続報を出していく。筆者が毎日新聞社に送付した2通目の質問状は次の通りである。回答は、既に述べたように、「個々の取引に関することは、お答えできません。」の1行だった。
筆者は、新聞社の社員が1行の作文しかできない事実に驚愕した。
◆毎日新聞社に対する公開質問状
公開質問状
毎日新聞 社長室
石丸整様
加藤潔様
発信者:黒薮哲哉
連絡先:xxmwg240@ybb.ne.jp 電話:048-464-1413
先日、毎日新聞・網干大津勝原店の改廃問題について問い合わせをさせていただきました。これに対して、貴殿らは「個々の取引に関することは、お答えできません。」と回答されました。
改めて質問させていただきますが、貴社の「押し紙」問題をわたしが報じる際に、今後、貴社の見解を確認する必要はないと理解してもよろしいでしょうか。この点について、必ず回答していただくようにお願い申し上げます。
さらにこの機会に、「押し紙」問題について貴社社長室の見解を教えてください。
社長室は、毎日新聞社で最も功績があるジャーナリストで構成されている機関だと理解しております。特に毎日新聞グループホールディングス社長の丸山昌宏氏は、日本新聞協会の会長を兼任するなど、日本を代表する新聞記者です。それを前提に次の4点についてお尋ねします。書面でご回答ください。貴社のジャーナリズムの信用性にかかわる重大問題なので、必ず回答ください。
1、貴社が網干大津勝原店に対し、里井義昇弁護士(やさか法律事務所)を通じて請求されている金額は、約3915万円になります。店主は、この金額は残紙の代金が大半を占めていると話していますが、同店に残紙があったことは認識しておられたのでしょうか。それとも残紙以外の請求なのでしょうか?
2、貴社長室が考える「押し紙」の定義を教えてください。
3、仮に網干大津勝原店の残紙が「押し紙」であっても、貴社は今後も店主に対する新聞代金の請求を続ける方針なのでしょうか? 残紙が「押し紙」であることを知りながら、請求を続ける行為は、サラ金業者の借金取り立てと性質が変わらない蛮行だとわたしは考えています。まして貴社は過去の「押し紙」裁判の中で、和解というかたちで販売店に慰謝料を払ったことが繰り返しあり、「押し紙」の存在を認識しているはずです。実際、貴社の出身である河内孝氏も『新聞社』の中で、「押し紙」の存在に言及されています。
4、貴殿らのジャーナリストとしての「押し紙」についての見解を教えてください。会社員としてではなく、ジャーナリストとしての見解です。
※なお必要であれば、貴社の販売政策を裏付ける内聞資料等を提供させていただきます。
回答は、12月22日(木)の夕方までにメールでお願いします。

新聞販売店の強制改廃が後を絶たない。新聞社は、販売店の廃業に際して、店主に対し新聞の卸代金の未払い金を請求する。しかし、それには「押し紙」が含まれているので、請求額は尋常ではない。3000万円とか4000万円のレベルになることもある。ある店主に尋ねてみた。
「廃業後にどうやって未払い金を返済するのですか?」
「他の販売店で従業員として雇用してもらい、月に5万円とか7万円を新聞社に入金している人がかなりいます」
月に5万円。年間で60万円。10年で600万円。3000万円も4000万円も借金がある元店主、生涯、新聞社の奴隷として生きるしか選択肢がない。戦前のように前近代的な制度である。
ある意味ではサラ金や商工ローンの取り立てよりも残酷だ。ジャーナリズムの看板を上げた新聞社がこの実態であるから問題は深刻だ。しかし、新聞社は日本の権力構造に組み込まれているので、公正取引委員会も裁判所も、「押し紙」問題にはメスを入れない。「押し紙」を放置することで、新聞社に恩を売って、「世論誘導」の役割を担当させているのである。
新聞記者は「押し紙」問題はから逃げてしまう。それが処世術であることを子供のころから脳裏に叩き込まれているのだろう。

2019年、滋賀医科大病院の岡本圭生医師が追放された事件の取材を皮切りに、筆者は医療問題に取材分野を広げた。その中で常に直面してきたのが、診断書のグレーゾーンである。
滋賀医科大病院のケースでは、1000通を超える診断書が不正に閲覧されていた。岡本医師の医療過誤を根掘り葉掘り探るために、診断書にアクセスする権限がない医師や職員らが、血眼になって診断書を物色していたのである。電子カルテだったので、閲覧歴が残っており、カルテの不正閲覧が発覚したのである。
■前立腺がん、手術後の非再発率99%の小線源治療、画期的な「岡本メソッド」確立
◆◆
同じころ、労災保険の不正受給疑惑を告発した人がいて、筆者はそれを調査した。精神疾患を理由にS氏(男性)が、労災保険を受給しているが、不正の可能性が高いというのである。不自然だというのだ。
この事件で筆者が取材した保育園の理事長は、次のような話をした。
「S氏は、自分の子供をわたしが経営する保育園に毎日送り迎えしている。それが日課になっている。ごく普通の人である。奥さんが腕利きの看護師で、医師との人脈が広い。その関係で知り合いの医師にS氏の診断書を交付させている。労災保険は非課税だから、S氏は税金も払わない。そのうえ子供の保育料も無料になる。奥さんの給料と労災保険による収入で悠々自適の生活をしている。車も買い替えた」
S氏が仮病を使っているのか、それとも本当に精神疾患なのかは不明だが、精神に関する病気は、医師の主観で診断書を交付せざるを得ない側面がある。「患者」がそれを逆手に取って、不正確な診断書を交付させ、労災年金や障害年金を不正に受給する温床がある。
◆◆◆
横浜副流煙事件では、作田学医師が作成した診断書のグレーゾーンが浮上した。さまざまな疑惑がかかっている。この事件で作田医師は、A家3人のために診断書を交付した。それを根拠としてA家は、警察を動かしたり、4500万円の損害賠償裁判を起こした。
が、それぞれの診断書に異なる問題がある。
まず、A娘の診断書である。既報してきたように、A娘の診断書は、少なくとも2通存在する。2つの診断書に付された病名は異なっている。A家の代理人弁護士は、単純なミスだと主張してきたが、そもそも日赤医療センター(作田医師の当時の職場)の診断書作成システムを使って診断書を交付した場合、同じ患者の診断書が2通作成できるシステムにはなっていない。つまり作田医師は、日赤医療センターとは別のフォーマットで診断書を作成した可能性があるのだ。
また、A夫の診断書については、「受動喫煙症」という病名に疑問符が付く。と、いうのも横浜副流煙裁判が始まって約1年が過ぎたころ、 A夫に約25年の喫煙歴があることが発覚したからだ。
「反訴」の損害賠償裁判(2022年5月~)の中で、裁判所が先月、日赤医療センターに対して、A夫が作田医師の初診を受けた際の問診表の開示を命じたところ、日赤がそれに応じた。開示された問診表によると、A夫は、過去の喫煙歴の有無を記入する欄を空白にしていた。つまり過去の喫煙歴を隠していたのである。
それにもかかわらず作田医師は、「受動喫煙症」という病名を付した診断書を交付した。問診を重視した弊害である。
※喫煙者が禁煙した後に、受動喫煙症に罹患することは普通にあるが、煙草が人体に対して及ぼした長期の影響という観点からすると、25年の喫煙歴を無視することはできない。むしろ「能動喫煙症」と書くべきだったのではないか?
さらにA妻の診断書にも重大な問題があった。診断書の所見の中で、A家の下階に住む「ミュージシャン」が副流煙の発生源であると事実摘示を行ったのだ。もちろんこの大胆な事実摘示は根拠に乏しい。ミュージシャンに対する偏見を感じる。
本来、診断書は医師の主観を入れず、客観的な事実のみを記入するものだ。作田医師は、その基本原則を完全に無視していた。
日本禁煙学会は、受動喫煙症の診断は問診を重視する方針を示している。しかし、問診に頼りすぎると、診断書交付が「患者サービス」に変質し、客観的な疾病の実態が把握できなくなる。これは医学にとって大きなマイナス要素である。
◆◆◆◆
宮田幹夫医師についても、安易な診断書交付が指摘されている。患者が精神疾患か化学物質過敏症なのか判断できない場合、「エイヤア」で化学物質過敏症の病名を付した診断書を交付したというのだ。
さらに宮田医師は、知り合いの医師に対して、化学物質過敏症の病名を付した診断書交付に躊躇(ちゅうちょ)するときは、自分のところへ患者を紹介するように指示している。
※筆者は、煙草を吸わない。分煙には賛成している。

16日からHUMAXシネマズ(東京・池袋)で上映されている『[窓]MADO』を制作した麻王監督と藤村政樹プロジューサーに、須田慎一郎氏がインタビューした。インタビューは、20日にニューソク通信で公開された。
タイトルは、『「横浜副流煙裁判」が映画化!!『[窓]MADO』を見に行ってきた!監督である被告家族の息子から見た原告の「家族愛」』。
この映画は、横浜副流煙裁判をドラマ化したものである。事件そのものは、拙著『禁煙ファシズム』(鹿砦社)に詳しく記録している。
映画は、29日まで上映される。映画の公式ウエブサイトは次の通りである。

中央紙が「押し紙」政策に徹していることは周知の事実になっている。ブロック紙や地方紙もやはり「押し紙」を柱としたビジネスモデルを導入している社が多いが、少数の例外もある。たとえば熊本日日新聞である。同社は、販売店に搬入する予備紙は、搬入部数の1・5%に固定している。その結果、残紙が店舗にあふれる状況はない。
熊本日日新聞の他に、わたしが調査した限りでは、新潟日報も「押し紙」政策を廃止した時期が確認できる。現在も正常な新聞販売政策を実践しているかどうかは不明だが、少なくとも過去に「押し紙」政策を廃止した時期がある。
◆新潟日報
『新潟日報五十年史』によると、1975年ごろから新聞社相互の拡販競争が激化した。この「拡材戦に火をつけたのは読売系であった。昭和54年(1979年)に新潟市小針でセールスマンが絵皿時計を使って購読勧誘したことが発見されたのに始まって、電卓、デジタル置き時計、ヘルスメーター、ビールやしょうちゅうのギフト券のばらまきなど、拡材戦は同市全域に拡大された」。
当時、拡販時の景品使用は禁止されていた。それを中央紙が踏みにじっていたのである。そこで新潟日報は、読者に販売正常化を呼び掛けるチラシを配布した。資金力では中央紙に対抗できないからにほかならない。
こうした流れの中で新潟日報は、「56年(1981年)4月、正常化を厳守して実配部数を堅持する政策を打ち出した」のである。社内には、「押し紙」の排除に反対する意見もあったようだ。これについて社史は次のように述べている。
実配政策、“紙切り”について当時社内には「正常化のお先棒を担ぐ必要はない」とする慎重論、どうにか死守してきたセット10万部の大台割れと減収を気遣う反対論などがもちろんあった。しかし、予備紙の多さは販売店の増紙意欲を減退させており、実配部数主義こそ新しい販売の在り方であるとして、あえて踏み切った。
そして「実配主義を基調とする新しい販売政策は合売店を含む全販売店へ徹底されることとなった」。

横浜副流煙裁判は、煙草の煙で「受動喫煙症」になったとして隣人が隣人に対して約4500万円の損害賠償を請求した事件である。第1審も第2審も請求は棄却された。原告(控訴審では、控訴人)の敗訴だった。
裁判の勝訴を受けて、元被告の藤井将登さんは、裁判提起そのものを不当とする反スラップ訴訟を起こした。妻の敦子さんも原告になった。
この反スラップ訴訟の被告は、改めて言うまでもなく、前訴を提起したA家の3人(夫・妻・娘)である。さらに作田学・日本禁煙学会理事長を被告に加えた。と、いうのも前訴を提起するための有力な根拠になったのが、作田医師が3人のために交付した3通の診断書だったからだ。また、これらの診断書にさまざまな疑惑があったからだ。
作田医師は、問診により得た情報を重視するかたちで、3通の診断書を交付した。実際、診断書の所見で、副流煙の発生源が将登さんの煙草であり、それがA家3人の化学物質過敏症の原因であると事実摘示した。これはおそらく原告らの告発内容である可能性が高い。
作田医師が交付した診断書には、これ以外にもさまざまな問題がある。診断書を複写して私的に外部へ持ち出したり、原告弁護士に送付していた事実などである。ひとりの原告の診断書を2通交付(病名が異なる)した事実もある。
これらの疑惑が浮上しために、日赤も裁判に協力する姿勢を示している。裁判所からの命令を受けて、日赤は被告の問診表2通を開示した。その結果、被告のひとりがみずからの喫煙歴を作田医師に隠していたことが判明した。
ちなみに日本禁煙学会のウエブサイトには、「受動喫煙症」の病名を付した診断書を作成するためのひな型が掲載されている。
この裁判には、複数の医療関係者が強力する姿勢を示している。次に紹介する書面は、大阪府堺市の典子エンジェルクリニックで化学物質過敏症の外来を設けている舩越典子医師が裁判所へ提出した意見書である。この意見書の中で舩越医師は、診断書を交付する正常なプロセスを説明している。
また、医師の主観ではなく科学的な見地に立って診断する重要性を述べている。
〇〇〇・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
1,はじめに
わたしは平成元年3月に京都府立医科大学を卒業し、研修医を経て国立舞鶴病院、清恵会病院などで勤務した後、平成13年3月に大阪府堺市で典子エンジェルクリニックを開業しました。一般婦人科に加えて、化学物質過敏症外来を設けています。その関係で2013年10月から日本禁煙学会に所属し、受動喫煙症の診療に関する情報も収集してきました。
この陳述書では診断書のオーソドックスな作成方法を説明した上で、日本禁煙学会が推奨している診断書作成の問題点を指摘します。
2,オーソドックスな診断書作成
わたしが勤務医として病院で臨床医療に携わっていた時期の体験から言うと、診断書作成に際して遵守しなければならない基本的な項目がいくつかあります。それは患者から、診断書の提出先、診断書の提出理由、診断書の用途の3点を確認することです。これは医療界で常識として定着していることです。診断書の提出先や使用目的を確認しないで診断書を交付した場合、それが悪用される可能性があるからです。診断書は一種の証明書ですから、交付に際しては細心の注意を要します。
改めて言うまでもなく、これらの基本的な情報は患者本人から医師が直接聞き取ります。当然、医療機関はそれを保存して、何かトラブルがあった場合に参照にします。もちろん医師が勝手にカルテや診断書を外部へ持ち出すことは許されません。患者の機密情報にあたるからです。
診断書の書式は、小規模な開業医は別として、通常はそれぞれに医療機関が定めている定型の書式を使います。典子エンジェルクリニックでも定型の書式を使っています。わたしが勤務医だった時期、勤務先の病院でも定型の書式がありました。
診断書に所見を記入する際は、原則として客観的な症状やデータのみを記述します。患者が言う事を鵜吞みにして、親切心から希望する内容を事実とは異なると認識しているにもかかわらず、客観的な所見として記述する医師がいるという話はよく聞きます。客観的に判断できない事を客観的な事実として記載することは虚偽の診断書を作成するという事になります。虚偽の診断書を作成する事は医療倫理に反する行為であるとともに医師法違反にあたると考えます。
3,日本禁煙学会が推奨する診断書作成
次に日本禁煙学会が推奨している診断書作成について記述します。ただし、推奨と言っても、日本禁煙学会が会員の医師を個別に指導しているわけではなく、ウエブサイトやメーリングリストを通じて情報を提供している範囲内での推奨です。
日本禁煙学会が推奨している患者の診断方法の最大の特徴は、問診の重視です。
日本禁煙学会が出している受動喫煙症診療にあたっての留意点(別紙添付)2は、患者に対して「受動喫煙の場所・期間・頻度・程度を詳しくたずねる」ことを進言しています。「詳しく聴きましょう」「ほとんどの場合、患者の申告だけで十分です」などと記載されています。喫煙場所の証拠写真や関連資料の提出は求めていません。
診断書の提出先、診断書の提出理由、診断書の用途の3点の確認については、医療界の常識として定着しているためか、あえて指標は示していません。わたしが確認した限りでは、それに類するガイドラインは見当たりませんでした。
4、診断書交付に関する私見
以上の記述を踏まえて、診断書交付に関するわたしの個人的な意見を述べます。化学物質過敏症の診断方法が十分に確立されていない現在の状況の下では、診断書の交付に際して、問診を重視せざるを得ない傾向があるのはやむを得ない側面もありますが、それを隠れ蓑にして患者の希望や申告に応じた所見を記入する行為は問題があります。診断書は一種の証明書ですから、客観的なものでなくてはなりません。
わたしの臨床体験からすれば、化学物質過敏症を疑って来院する患者の中には精神疾患や発達障害を合併されている人もかなりいます。しかし、問診を重視し過ぎると、それが見抜けない危険性があります。
日本禁煙学会は、診断書のひな型を提供していますが、それを見る限り、「受動喫煙症」という病名を付することを最終目的にしているように見受けられます。「患者さんのために希望どおりの診断書を発行してあげてください」と言っているような印象を受けます。しかし、医師の責任において、患者を客観的に診察するのが医療の基本です。
本件裁判では、診断書に書かれた所見が問題になっていますが、患者の訴えだけでは化学物質過敏症の曝露状況を把握することは難しく、さらに詳しい検査や診察が必要だったのではないかと思います。患者に「受動喫煙症」という病名を付す前に、他の疾患、特に精神科疾患や煙草以外の物が原因となった化学物質過敏症の合併がないかどうかを見極める必要があったと考えます。
精神科疾患が疑われた場合は、必ず先に精神科を受診してもらい、化学物質過敏症の診断の参考にすることが推奨されます。本件裁判のケースでは、そのプロセスが無視されているように感じます。
「受動喫煙症」以外の疾患が疑われ、本件裁判で患者が不利になる結果になる可能性があっても、客観的な病名と所見を記入することが役割です。所見に医療以外のことが記されているのも問題です。診断書交付の基本原則が無視されているような印象を受けました。
今回の裁判で作田医師一個人だけでなく、日本禁煙学会として客観的エビデンス不在の「被害」主張を安易に認め、結果として「冤罪」を作り出していたことを知りました。自然科学としての医学を探究する学会にはあるまじき、エビデンス軽視の姿勢に、わたしは失望しました。とてもついていけないと思い、日本禁煙学会を退会することを決めました。

網干大津勝原店(兵庫県姫路市)の内部資料を入手した。その中に2022年4月9日付けの「通知兼催告書」と題する内容証明郵便がある。執筆者は、毎日新聞社の里井義昇弁護士である。
「通知兼催告書」の中で里井弁護士は、店主が未払いにしている代金として、約3915万円を明記した上で、「直ちに株式会社毎日新聞社の指定する下記代理人預かり口座に振り込まれるよう催促いたします」記している。
この約3915万円の請求に、かりに「押し紙」代金が含まれているとすれば、請求書を送り付ける行為そのものに問題があるのではないか。里井弁護士は、長年にわたって毎日新聞社の代理人を務めているわけだから、「押し紙」問題を認識していないはずがない。しかも、店主に支払い能力がないことも知っている可能性が高い。
『弁護士職務基本規定』の第1条は、弁護士の使命について、次のように述べている。
第1条:弁護士は、その使命が基本的人権の擁護と社会正義の実現にあることを自覚し、その使命の達成に努める。
里井弁護士が所属する大阪弁護士会は、この件に関して、どのような見解を持っているのか、今後、取材することになりそうだ。
里井弁護士を電話取材したが、コメントはなかった。

毎日新聞社は、15日、網干大津勝原販売店(兵庫県姫路市)に対する新聞の供給をストップした。店主からの連絡によると、新聞配達員らは新聞の到着を待っていたが、新聞は供給されなかった。同店で扱っている産経新聞は通常通りに供給された。
毎日新聞社は、新たに設けた販売店から新聞を配達したが、店主によると、十分に新聞購読者の住所を把握できていなかったために、新聞が届かないケースが発生して、自店へ苦情の電話が殺到したという。
既報したように、この事件について筆者は、毎日新聞東京本社に事情を説明するように書面で質問状を送付していた。回答は社長室から14日の夜に、メールに添付したPDF書面で到着した。次に引用するのが、回答の全文である。
12 月 14 日付の貴殿のご質問に対し、毎日新聞社社長室広報ユニットとして以下の通り回答します。よろしくお願いします。
個々の取引に関することは、お答えできません。
毎日新聞社
社長室広報 ユニット
加藤、石丸
筆者は、回答が添付されたメールに返信するかたちで次のような追加質問を行った。
石丸整様
ご連絡いただきありがとうございます。
「個々の取引に関することは、お答えできません。 」との回答ですが、今後も商取引に関する問い合わせには応じないと理解してもよろしいでしょうか。ご回答ください。
ちなみに販売店を一方的に改廃に追い込むことは、単に商取引の問題ではなく、人権問題でもあります。石丸さんたちが制作した新聞を配達してくれていた人が、今後直面しなければならない精神的、あるいは経済的なダメージについて、石丸さんは記者として何も感じないのですか。長年にわたり報道の仕事に従事していながら、1行の作文しかできないのは問題ではないでしょうか。そもそも取材をしましたか?
今回の改廃事件について、記者として声を上げる意思はないのでしょうか。
黒薮
現時点では、石丸記者からの回答はない。
「押し紙」問題や販売店の労務問題は、本来、新聞記者が率先して取材しなければならない問題である。ジャーナリズムの信用性にかかわる足もとの問題であるからだ。新聞は単なる商品ではないはずだ。

たとえば隣席の同僚が使っている香水が神経に障って、使用を控えるように要望する。同僚は、取り合ってくれない。けんもほろろに撥ねつけた。総務部へも相談したが、「あの程度の臭いであれば許容範囲」と冷笑する。
次に化学物質過敏症の外来のあるクリニックを訪れ、すがるような気持ちで診断書を交付してもらい、それを持って再び総務部へ足を運ぶ。やはり拒絶される。そこでやむなく隣席の同僚に対して高額な損害賠償裁判を起こす。
夜が深まると壁を隔てた向こう側から、リズムに乗った地響きのような音が響いてくるので、隣人に苦情を言うと「わが家ではない」と言われた。そこでマンションの管理組合に相談すると、マンションに隣接する駐車場の車が音の発生源であることが分かった。「犯人」の特定を間違ったことを隣人に詫びる。
新世代公害の正体は見えにくい。それが人間関係に亀裂を生じさせることもある。コミュニティーが冷戦状態のようになり、住民相互に不和を生じさせるリスクが生じる。
◆実在の事件をドラマに、ロケは事件現場
デジタル鹿砦社通信でも取り上げてきた横浜副流煙裁判をドラマ化した『[窓]MADO』(監督・麻王)の上映が、池袋HUMAXシネマズ(東京・池袋)で12月16日から29日の予定で始まる。
煙草による被害を執拗に訴える老人を西村まさ彦が演じる。また、煙草の煙で化学物質過敏症になったとして隣人から訴えられ、4500万円を請求されるミュージシャンを慈五郎さんが演じる。慈五郎さんは、上映に際して次のようなメッセージを寄せている。
「煙草がメインテーマになってくる話なのですが、今、煙草自体を吸うシーンが、あまり見られなくなっています。コンプライアンスの問題だと思いますが。その意味で、こんなに真っ向から煙草をテーマにした映画っていうのは、勇気もいるだろうし、共感できる部分も色々あります」
この映画は実際に起きた事件をベースにしたドラマである。ロケも事件現場となった横浜市青葉区のすすき野団地で行われた。その意味では、事件をドラマで再現したと言っても過言ではない。
しかし、法廷に立たされた被害者であるミュージシャンを擁護した映画ではない。ミュージシャンを訴えた家族の立場からも事件を考察して、新世代公害の複雑な側面を描いている。その意味では客観性が強い作品である。
◆新世代公害という未知の領域
かつて公害といえば、赤茶けた工場排水が海へ放出されている光景とか、工場の煙突から黒々としたスモッグが立ち昇る場面など、具体的なイメージがあった。従ってカメラは問題の所在を特定することができた。それゆえに映像化も容易だった。
ところが新世代公害は正体が見えにくい。それゆえにマスコミの視点もなかなかそこへは向かない。が、水面下では公害の世代交代が急速に進んでいて、新しい形の被害を広げている。コミュニティーの破壊をも起こしている。
米国のCAS(ケミカル・アブストラクト・サービス)が登録する新生の化学物質の件数は、1日で1万件を超えると言われている。複合汚染を引き起こす。
新世代公害の実態は大学の研究室の中ではある程度まで解明されていても、どのように人間関係やコミュニティーを分断していくのかという点に関しては考察されてこなかった。映像ジャーナリズムも、この点を凝視することを怠ってきたのである。背景に利権があるからだ。
『[窓]MADO』は、この未知の領域に正面から挑戦した作品である。

毎日新聞の網干大津勝原販売店の店主から、残紙の負担で新聞の卸代金の入金が困難になり、強制改廃されるリスクが高まっているとの相談を受けた。15日にも、毎日新聞が新聞の供給をストップする可能性がある。
この件に関して毎日新聞側の主張が聴取できていないので、断定的なことは言えないが、店主の報告が事実だとすれば、販売網を整備する政策の一端である可能性が高い。今後、新聞社の系統を問わず他の販売店にも起こり得る問題である。
念のために大阪本社の販売局に事情を問い合わせたが、担当者と話すことはできなかった。要件を伝えるためにFAX番号を尋ねたところ、同社の社会部のFAXが提示された。
毎日新聞東京本社の広報担当者に次の問い合わせメールを送付した。大阪本社の社会部にも、「CC」のかたちで同じ問い合わせを送った。残紙問題は、本来、新聞記者が報じるべき重大な問題なので、どう対処するかがみものだ。
わたしからの問い合わせは次の通りである。回答が到着次第に、メディア黒書で公表する。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
2022.12.14
毎日新聞社
広報担当者様 CC:大阪本社社会部
発信者:黒薮哲哉
連絡先:048-464-1413 xxmwg240@ybb.ne.jp
お世話になります。
わたしはフリーランス記者の黒薮哲哉というものです。
毎日新聞の網干大津勝原販売店の所長から、大量の残紙が原因で新聞の卸代金が支払えなくなり、販売店を強制改廃されそうになっているとの告発を受けました。15日にも新聞の供給が停止される可能性があるとのことです。
この件に関して、貴社はどのような方針を出しておられるのでしょうか。この販売店に対して、過去に残紙による損害を与えていたのであれば、当然、貴社がそれを賠償する義務が生じますが、損害を相殺した上で強制改廃するということでしょうか。ご回答いただければ幸いです。
なお、大阪本社に問い合わせたところ、広報窓口のFAXやメールは公開していないとのことでした。その上で大阪本社社会部のFAXを知らされました。高いニュース価値はありますが、本来は販売局が対応する問題ではないでしょうか。
貴社と大阪本社社会部に本件の問い合わせをしたゆえんです。
なお、回答はメールでお願いします。
記事の発表媒体は、現時点では未定です。
■参考記事
【試算】毎日新聞、1日に144万部の「押し紙」を回収、「朝刊 発証数の推移」(2002年のデータ)に基づく試算
■情報提供の窓口
048-464-1413
2022年12月12日 (月曜日)

スマホや携帯電話の通信に使われるマイクロ波による人体影響が懸念されている。しかし、日本の総務省は、マイクロ波の強度を厳しく規制していない。その根拠となっている考え方にどのような問題があるのだろうか?
通信基地局の設置をめぐり電話会社と住民のトラブルが多発している状況下で、マイクロ波による人体影響(リスク)を科学的に把握しておく必要がある。
次に示すのは、日本の総務省が定めた規制値と、欧州評議会が定めた規制値(厳密には勧告値)の比較である。数値が少なければ少ないほど規制が厳しいことになる。
日本の総務省:1000 μW/c㎡ (マイクロワット・パー・ 平方センチメートル)
欧州評議会:0.1μW/c㎡、(勧告値)
日本以外の多くの国々も、なかり高い数値を設置している傾向があるが、日本の総務省の規制値は、米国の規制値と並んで世界一高い。
◆マイクロ波の熱作用と非熱作用
マイクロ波による人体影響には、大別して2つの学説がある。人体影響は、「熱作用」に限定されるという説と、熱作用に加えて「非熱作用」も考慮しなければならないという説である。この2つの説の違いが、総務省による規制値と欧州評議会による勧告値の違いを生じさせたのである。
■熱作用
「熱作用」とは、マイクロ波が熱を発生させる作用のことである。典型的な例としては、電子レンジがある。マイクロ波に熱作用があるがゆえに、マイクロ波を放射することで、食品を加熱することができる。
日本の総務省は、マイクロ波の熱作用だけを考慮して、1000 μW/c㎡というとてつなく緩やかな規制値を設置したのである。
■非熱作用
これに対して「非熱作用」とは、「熱作用」以外の作用の総称である。その代表格は、遺伝子毒性である。遺伝子を破壊して癌を引き起こす作用である。他にも神経系に悪影響を及ぼして、パーキンソン病などを発生させるとする説もある。
「熱」は知覚できるが、「非熱」は知覚できない。それはちょうどレントゲン撮影で、熱も痛みも感じない原理と同じである。それゆえにわれわれはエックス線のリスクについての情報を得て、はじめて自主的に被曝をさける行動をとる。
ところが総務省は、マイクロ波の「非熱作用」について注意喚起していない。従って日本人の大半は、マイクロ波の「非熱作用」によるリスクをまったく認識していない。恐ろしいことである。
電磁波(放射線)は、エネルギーの高いガンマ線やエックス線から、エネルギーの低い低周波電磁波(家電や送電線)までさまざまな種類(領域)がある。かつてはガンマ線やエックス線などエネルギーの高いものは危険で、エネルギーの低いものは安全とされていた。
ところが今世紀に入るころから、電磁波はエネルギーの大小とはかかわりなく、すべて「非熱作用」があるとする説が有力になってきた。こうした学説の変化に反応するかたちで、欧米では国が設置している緩やかな規制値とは別に、地方自治体が独自に厳しい規制値を設置する動きが現れたのである。
その典型例が、欧州評議会の勧告値、0.1μW/c㎡なのだ。
◆科学的な疫学調査
次に示すのは、ブラジルで実施された疫学調査(冒頭の図)である。この調査は、癌で死亡した人の住居とそこから最短の基地局までの距離を計測して、統計としてまとめたもので
ある。基地局の近くほど、癌による死亡率が高いという結果を示した。
■基地局の周辺ほど癌が多いことを示すブラジルの疫学調査、癌による死亡7191例と基地局の距離の関係を検証 疫学調査①
この種の疫学調査(2011年に公表)は、現在では基地局の数が増えすぎて、実地そのものが困難になっている。当時は3Gの時代で、マイクロ波のエネルギーも現在と比較してかなり低い。かりに同じような調査が5G基地局を対象に実施できれば、さらにマイクロ波の遺伝子毒性が輪郭を現わす可能性もある。(ただし、エネルギーが高ければ高いほど、リスクが高くなるという確証も現時点では存在しない)。
◆アンケート調査の問題点
マイクロ波による電磁波過敏症を調査する際、よくアンケートが行われる。基地局周辺の住民に対して、調査員が「問診」のかたちで、電磁波過敏症の症状(めまい、吐き気、頭痛など)を聞きたす調査である。
わたしは、この種の調査をまったく信用していない。と、いうのも「問診」による調査は、質問の仕方で答えがどうにでも変わるからだ。また、回答者は心理的な影響も受けるからだ。実際、基地局の設置された地域で、ひとしく身体の不調を訴える人がいるわけではない。
しかし、電磁波過敏症が客観的な存在であることは紛れもない事実である。人口の一定割合は、電磁波過敏症に罹患している。
これに対してブラジルで実施されたような疫学調査は、癌という客観的な病気と基地局までの距離を調べたものであるから、心因性の要素を排除しており、信ぴょう性が極めて高い。科学的な根拠がある。しかも、調査対象がラットではなく人間なのである。ラットの体質と人間の体質は異なるわけだから、やはり人間で調査した結果は重みがある。調査の規模も大きい。

人種差別に抗する市民運動を進めると自認していると思われるグループ、「しばき隊」が2014年12月17日の深夜に大阪市の北新地で、大学院生リンチ事件を起こしてからまもなく8年になる。
この間、被害者のM君としばき隊の間で、あるいはM君を支援する鹿砦社としばき隊の間で、裁判の応酬が続いてきた。しかし、それも、鹿砦社が自社に潜り込んでいたしばき隊のシンパを訴えた裁判の判決を最後に表面上の係争は終わった。6年半にわたる一連の法廷闘争はピリオドを打ったのである。
事件そのものは、『暴力・暴言型社会運動の終焉』(鹿砦社)など5冊の書籍に記録されているが、記憶の中の事件は忘却の途についている。同時に距離をおいて事件を多角的に検証する視点が筆者には浮上している。あの事件は何だったのか?
筆者はこの事件を通じて、マスコミとは何か、インテリ層とはなにか、司法制度とは何かという3つの点について検証している。記者クラブはM君と鹿砦社から記者会見の機会を完全に奪った。M君や鹿砦社が原告であった裁判で、大阪司法記者クラブ(大阪地裁の記者クラブ)は、幾度にもわたる記者会見開催要請を、すべて拒否したのだ。これに対してしばき隊関連訴訟の会見はほぼすべて開き、発言者の主張を新聞紙などマスコミに掲載するなど、活動を支援し続けた。その典型として、リンチ事件の現場にいた女性を繰り返しテレビや新聞に登場させた。
一部の文化人は事件を隠蔽するために奔走した。その中には、『ヘイトスピーチとは何か』(岩波新書)で、差別を取り締まるための法整備を提唱していた師岡康子弁護士もいた。
裁判所は、杜撰な審理でM君と鹿砦社に敵意ともとれる態度を示した。形式的には、被害者のM君を勝訴させざるを得なかったが、しばき隊の女性リーダーの責任は問わなかった。M君に対する賠償額も小額だった。
◆法曹界のタブー、「報告事件」
筆者は、この事件の一連の裁判は、最高裁事務総局が舞台裏で糸を引いた「報告事件」ではないかと疑っている。「報告事件」とは、最高裁事務総局が関与したペテン裁判のことである。
元大阪高裁判事の生田暉夫弁護士は、『最高裁に「安保法」違憲判決を出させる方法』(三五館刊)の中で、報告事件とは何かに言及している。【続きはデジタル鹿砦社通信】
