
大阪高裁は、3月28日(木)の13:20分に702号法廷で、読売新聞「押し紙」裁判の控訴審判決を言い渡す。当初、判決は3月7日に予定されていたが、急遽、28日に変更になっていた。
大阪地裁での第一審判決は、読売が勝訴したが、裁判所は読売の独禁法違反を一部認めた。控訴審でそれが維持されるかどうかがひとつの注目点になっている。維持された場合、新聞業界への影響は甚大なので、裁判所がそれに配慮するのではないかという見方が販売関係者らの間で広がっている。
「押し紙」問題は1960年代にはすでに浮上しているが、今だに解決のめどは立っていない。インターネットで「押し紙」を検索すると、2500万件もの記述が確認できる。しかし、日本新聞業界と新聞社は、「押し紙」をしたことは一度もないと主張してきた。公正取引委員会も取り締まろうとはしない。日本のジャーナリズムの恥部にほかならない。
読売の代理人には、人権擁護団体のひとつである自由人権協会の代表理事を務めている喜田村洋一弁護士も名を連ね、読売に「押し紙」は1部も存在しないと主張してきた。

横浜副流煙裁判の「反訴2」(被告:作田学、原告:藤井敦子・酒井久男)の口頭弁論が3月13日の13時30分から、東京地裁806号法廷で開かれる。だれでも傍聴可能。裁判はこれまでは弁論準備で非公開となっていたが、傍聴を希望するメディア関係者らの要望に応えて、裁判所が審理の公開を決めた。
この裁判は横浜副流煙裁判がスラップに該当するとして、藤井敦子氏が提起した裁判の尋問で、被告の作田医師が、藤井氏を指して根拠もなく喫煙者であると罵倒するなど不穏当な発言に及んだために、藤井氏らが最初の「反訴」とは別に作田医師を提訴したものである。横浜副流煙裁判の「戦後処理」の一環である。

添付した写真は、2014年12月の深夜に、大阪北新地で40分に渡って殴る蹴るの暴行を受けた大学院生(当時)の被害状況を裏付ける写真である。このたびこの事件の加害者が、事件を取材していた作家の森奈津子氏に対して名誉毀損裁判を提起した。
加害者の代理人を務めるのは、神原元弁護士である。神原弁護士の経歴には、自由法曹団常任幹事と記されている。
http://www.mklo.org/about/hajimekambara
わたしはかねてから「人権派」弁護士の言動に関心を持ってきた。神原弁護士がどのような理由で加害者を弁護しているのか、調べたい。その絶好に機会である。
人権派の弁護士といえば、自由人権協会の喜田村洋一弁護士が有名である。マスコミやメディア研究者から重宝がられている人である。この人は、長年にわたり読売新聞の代理人を務め、読売新聞販売店には一部も「押し紙」は存在しないと真面目に主張してきた。この人の言動も、「人権派とは何か?」という問いを喚起する。
最近、あるマンションの住民から携帯電話の基地局設置をめぐるトラブル相談を受けた。マンションの屋上に基地局を設置する方向で、電話会社と一体となってマンションの管理組合が動いているという。この管理組合の理事長を調べたところ、自由法曹団の弁護士であることが判明した。
これら3件の事例を見るだけで、人権派弁護士の中身が分からなくなる。混乱を招く。タブーを排除して取材してみる必要がある。

大阪高裁は、3月7日に予定していた読売新聞(大阪)を被告とする「押し紙」裁判の判決日を、急遽延期した。新しく指定した判決日は、3月28日(木)の13:20分である。法廷は702号。
このところ「押し紙」裁判で物議をかもす現象が立て続けに起きている。判決の直前になって判決日が延期されたり、担当裁判官が交代する例が相次いている。いずれのケースでも、最終的に裁判所は、新聞社を勝訴させ販売店を敗訴させている。
「押し紙」裁判が公正に実施されていないのではないかという指摘は以前からあった。わたしもかねてから、この点に疑惑を持っている。
「押し紙」は、今や多くの人が知っている新聞社の汚点であり、しかもそれが半世紀以上も続いてきた。新聞販売店が内容証明で「押し紙」の買い取りを断っていても、損害賠償は認められない。なんとも不思議な現象が続いてきた。
公平な裁判と「押し紙」問題を考える上で、参考までに2つの重要文書を紹介しておこう。
【1】 下記のURLで確認できる文書は、公正取引委員会と新聞協会が、新聞の商取引について話し合ったときの議事録(1999年)である。情報公開請求で入手したものであるが、肝心な部分が黒塗りになっている。
わたしは、「押し紙」ついての公正取引委員会と新聞協会の話し合いの内容を記録した箇所の情報公開を請求したのだが、それに該当する箇所は全部黒塗りになっていた。従って、両者が何を話し合ったかは分からない。
http://www.kokusyo.jp/wp-content/uploads/2022/09/1ef02ee05325114bdb6d10e32b6a8402.pdf
わたしは「押し紙」問題の取り扱いに関して、公正取引委員会と新聞協会の間に密約があるのではないかと疑っている。
「押し紙」は、新聞社に想像以上に莫大な利益をもたらす。新聞1部の卸値を月額1500円とすれば、10部の「押し紙」で1万5000円の不正収入が生まれる。それが新聞社に入る。100部で15万円、1000部で150万円、1万部で1500万円である。
日本の権力構造の一部である公正取引委員会やそれを管轄する内閣府が、この莫大な金額に着目すれば、新聞社を世論誘導に利用することができる。「押し紙」を取り締まらない代わりに、新聞紙面の内容を暗黙のうちにコントロールできる。裁判所が「押し紙」を断罪しない事情がここにあるとわたしは見ている。
【2】 下記のURLで確認できる文書は、最高裁事務総局が開示した下級裁判所から最高裁に充てた裁判の報告書である。個々の裁判は独立しているように考えられているが、最高裁事務総局が指定した事件については下級裁判所が審理内容を最高裁に逐一報告する制度が存在することをこの文書は裏付けている。この種の裁判は、「報告事件」と呼ばれている。1部の元裁判官らが問題視している。
http://www.kokusyo.jp/justice/16651/
中央紙が被告となっている「押し紙」裁判が報告事件に指定されているという確証はないが、URLリンク先の文書が示すように少なくとも「報告事件」そのものは存在する。従って不自然な裁判の進行が繰り返されれば、一応は報告事件を疑ってみる必要がある。わたしは、最高裁事務総局の指示によって、「押し紙」裁判の判決の方向性が決められていると見ている。

横浜副流煙事件の「反訴」で、被告A妻(3人の被告のひとり)の本人尋問が行なわれる公算が強くなった。しかし、A家の山田弁護士は、A妻の体調不良を理由として出廷できない旨を主張している。最終的に尋問が実現するかどうかは不透明で、3月11日に原告と被告の間で裁判の進行協議が行われる。
裁判では、作田医師が被告3人のために作成した診断書が争点になっている。これら3通の診断書は患者が自己申告した病状に重きを置いて、化学物質過敏症、あるいは「受動喫煙症」の病名が付された。それを根拠として、約4500万円を請求する前訴が提起されたのである。従って診断書が間違っていれば、提訴の根拠もなかったことになる。
つまり診断書の作成プロセスが問題になっているのだ。言葉を返ると、患者の希望に応じて作成した診断書に効力はあるかという問題である。
この「反訴」の発端は、2017年の秋にさかのぼる。
横浜市青葉区のすすき野団地に住むミュージシャン藤井将登さんは、自室で煙草を吸っていたところ、副流煙が原因で、化学物質過敏所に罹患したとして、上階の斜め上に住むAさん一家(A夫、A妻、A娘)から、約4500万円の損害賠償請求を受けた。しかし、将登さんが喫煙していた部屋は、防音構造が施されている音楽室で、煙は外部にもれない。しかも、喫煙量は1日に2、3本程度だった。さらに将登さんは留守がちだった。A家が主張する副流煙の発生源に十分な根拠がなかった。
それにもかかわらず原告(「反訴裁判の被告」)は、将登さんの煙草が原因で、化学物質過敏症になったと主張し、高額な金銭を請求したのだ。
裁判所はA家の訴えを棄却した。控訴審でも、A家の訴えは一切認められなかった。
将登さんは勝訴の確定を受けて、2022年3月にA家が起こした裁判はスラップに該当するとして、損害賠償裁判を起こした。これが現在進行している「反訴」である。この裁判の原告には、将登さんの他に、妻の敦子さんも加わった。さらに3人の診断書を交付した作田医師については、被告に加えた。
裁判は順調に進み、証人調べの人選の段階に入った。藤井さん側は、A夫の尋問を求めたが、A夫の山田弁護士は体調不良を理由に出廷はできないと主張した。しかし、藤井敦子さんは、A夫が戸外を歩いている場面をビデオに撮影して、山田弁護士の主張が事実に基づかない旨を主張した。
しかし、平田裁判官は山田弁護士の意見を重視して、A夫の尋問は行わない決定を下した。
これに怒った将登さん側は、平田裁判官に対する忌避を申し立てた。忌避の審理には、上級裁判所での審理も含めて、約1年を要した。結局、忌避そのものは認められなかったが、平田裁判官はA夫の尋問を決めた。
山田弁護士は、やはりA夫の尋問は難しい旨を説明した。医師の診断書も提出した。そこで藤井さんの側は、代案としてA妻の尋問を求めたのである。平田裁判長は、判断に迷ったようだが、最終的にそれを認めた。
こうしてA妻の尋問が実現する公算が高くなったが、山田弁護士はA妻の体調不良を理由に、出廷できないと主張している。既に述べたように、裁判の進行協議は3月11日に行われる。
※このところ一部の市民団体が化学物質過敏症の患者数を誇張して報じている。化学物質が人体に有害な影響を及ぼすことは、紛れもない科学的な事実で、規制も必要だが、実際の患者数については慎重に検討しなければならない。誇張があってはならない。横浜副流煙事件のような「冤罪」を生む可能性があるからだ。
たとえば市民団体代表の加藤やすこ氏は、「あたらしい年は香害のないきれいな空気で過ごしたい」(『週刊金曜日』2月9日)の中で、化学物質による被害の実態について次のように述べている。
香害に関する情報発信などを行うフェイスブック「香害をなくそう」は、2022年に移香で困っていることについてWEBアンケートを実施した。
回答者600人のうち、「家の中に入る人や、近隣からの移香や残留で、家の中が汚染される」は、90.9%で、「外出先の空間や人から移香して汚染される」は90.0%……
有病率を明記しているわけではないが、香による被害を殊更に強調している。数値に客観性があるのか否かを慎重に検討しなければならない。
この件については、別稿を準備している。
2024年02月10日 (土曜日)

次の記事は、『紙の爆弾』(2023年10月号)に掲載した記事のネットでの再掲載である。原題は、「週刊金曜日 書籍広告排除事件にみる 左派言論の落日」。メディア黒書の企画、「市民運動」の危険性を考えるシリーズの1回目である。
(株)週刊金曜日と鹿砦社の関係に亀裂が生じている。この事件は、はからずしも独立したジャーナリズムとは何かという問題を突きつけている。
発端は、鹿砦社が5月に刊行したムック、『人権と利権』である。この本は少女売春の防止や性的マイノリティの権利確立など、一般的にはあまり知られていな市民運動のありかたに疑問を呈した内容だ。新聞・テレビのステレタイプな報道とは方向を異にしている。編著者で作家の森奈津子氏は、性の自認を正当化する政界の動きと世論に警鐘を鳴らし、「女子トイレを守る運動」にも奔走している。
6月18日付けの『週刊金曜日』は、裏表紙に『人権と利権』の書籍広告を掲載した。鹿砦社は定期的に同誌に書籍広告を掲載してきた。
『人権と利権』がアマゾンの書籍販売ランキングで首位に躍り出ると、SNS上では炎上現象が起きた。「ネット民」らの罵倒がネット上に広がり、その矛先は同書の広告を掲載した(株)週刊金曜日にも向けられた。同社の植村隆社長によると『週刊金曜日』を指した次のようなツイートが投稿されたという。「今は極右の雑誌なのか?」、「終わっとるな」、「いい加減に鹿砦社の広告を載せるのを止めた方がいい。言論の自由とヘイトの自由は別でしょう」。Colaboの仁藤夢乃代表も、同誌を指して「最悪」と投稿した。また直接、(株)週刊金曜日に抗議したという。
Colaboとは、家出した少女らを売春から救済するなどの活動を東京の歌舞伎町などで展開している市民運動体である。仁藤氏は、フィリピンのマニラあたりまで足を運び、「日本人買春者が集まる性売買集結地「#マラテ」の夜の街を歩き」(ツィター)、その実態を発信したりもしている。著名な辣腕社会運動家である。
仁藤氏による抗議の発端は、『人権と利権』の広告を『週刊金曜日』が掲載したことである。『人権と利権』にColaboの批判が含まれていたことが許せなかったのだろう。今年1月、東京都監査事務局は、Colabo(コラボ)」の経理に関して、住民が申し立てた住民監査請求を認めた。一部に不当な点があるとして再調査を指示した。最終的に東京都は、不正は無かったと結論づけたが、鹿砦社と森氏はジャーナリズムの観点から再検証して、『人権と利権』にまとめた。しかし、仁藤氏は版元の鹿砦社ではなく、(株)週刊金曜日に抗議の矛先を向けたのである。
それを受けて植村社長と文聖姫編集長は、仁藤氏を訪ねて謝罪した。『週刊金曜日』誌上に謝罪告知を出すことも約束した。こうして両者の不和は解消され、仁藤氏は、植村社長とのツーショット写真を自らのツイッターに掲載した。問題が解決して、2人とも満面の笑みを浮べていた。その直後、仁藤氏は「ネット民」による「週刊金曜日を定期購読再開しよ」という投稿をリツィートした。はからずも『週刊金曜日』の購読者層が、編集部にとって外圧なっていることが露呈したのだ。
謝罪告知は、6月30日付け『週刊金曜日』に掲載された。その中で同社は、『人権と利権』を「差別、プライバシーの侵害など基本的人権を侵害するおそれがある」書籍と断定した上で、仁藤氏とLGBT関係者に謝意を表明した。その後、植村社長が西宮市の鹿砦社本社に足を運び、今後、広告掲載を認めない旨を申し入れた。さらに植村社長は、2度にわたり鹿砦社との決別を宣言するコラムを『週刊金曜日』に掲載したのである。そこには「Colabo攻撃を許さない」といった言葉もある。
ちなみに植村氏は、『人権と利権』を「差別本」と公言するに先立って、鹿砦社からも森氏からも一切事情を聞いていない。書籍広告を掲載するかどうかを判断する際には、著者や版元を取材する必要はないが、このケースは、鹿砦社の社会的評価を失墜させる謝罪告知の内容にかかわることであるから、相手の言分を取材するのが原則である。そのプロセスがまったく無視されたのだ。
■許可を得てから写真撮影するのがジャーナリズムの常識なのか?
わたしは植村社長に、『人権と利権』のどの箇所を問題視したのかを文書で問い合わせてみた。その結果、具体的な指摘があった。たとえば表紙のデザインに問題があるとして、次のような自論を述べている。
「実際にコラボのバスが傷つけられた事件が起きており、(このデザインは)それを想起させます。同書の中で、編者の森奈津子さんと対談した富士見市議の加賀ななえさんは、『女性に対する暴力を想起させる表紙はあってはならず、気づかずにいた事は私の過ちです』とツイートで発信しています。『週刊金曜日』も同じように考えています。」
「女性に対する暴力を想起させる表紙」が、『人権と利権』を「差別本」と判断した理由のひとつだというのだ。しかし、背景色の赤とバスの赤は重複していて、バスの輪郭を識別することは容易ではない。なんとか識別した後も、わたしは豪雨の中をバスが迷走しているイラストだと思った。太く白い線は、バケツの水を散らしたような雨に見えた。白い線がナイフを意味していても、それが特に悪意を持った表現だとは感じなかった。と、いうのも実際にナイフでColaboのバスを傷付ける事件が起きた経緯があるからだ。事件をイラストで表現することは、ジャーナリズムの正当な表現である。イラストレーターや鹿砦社にはなんの汚点もない。
さらに植村社長は、『人権と利権』に掲載された仁藤氏の写真に言及して、「仁藤さんを盗撮しています。これは肖像権の侵害ではないでしょうか」と指摘する。しかし、取材対象者の承諾を得てから写真を撮っていたのでは、リアルな報道は成立しない。
それに掲載された写真は、仁藤氏の醜態を公衆にさらしたものではない。すでにツイッターなどで十分に認知されている顔を、カメラマンが現場でアリバイとして撮影したものに過ぎない。肖像権を理由に『人権と利権』を排除するのは、報道規制に加担するに等しい。
記述についての言いがかりめいた批判もあるが、いずれも言葉尻を捉えて我田引水に解釈しているに過ぎない。わたしは植村社長が『人権と利権』を「差別本」と認定した根拠をまったく発見できなかった。背景に何か別の動機があったとしか思えない。
■市民運動に対する過信
実は、書籍広告をめぐる(株)週刊金曜日と鹿砦社のトラブルは、『週刊金曜日』の2016年8月19日号でも起きている。特定の購読者が(株)週刊金曜日に対して圧力をかける構図は昔からあったのだ。それはSEALDs を肯定的に取り上げた特集号で起きた。この号の裏表紙に(株)週刊金曜日は、鹿砦社が編集した『ヘイトと暴力の連鎖 反原連─SEALDs─しばき隊─カウンター』を掲載した。同書は、反原連やSEALDsとも関係の深いしばき隊が、2014年12月14日の深夜に大阪市の北新地で起こした大学生リンチ事件を取材したものである。メディアや有識者らが申し合わせたように沈黙したために、あまり知られていないが、市民運動が孕む危険性を露呈した事件である。
しばき隊のリーダー格の女は、法廷で最後まで自分は大学院生の暴行には加わっていないと主張し続けたが、大阪高裁は次のような興味深い事実認定を下している。
「被控訴人(リーダー格の女)は、Mが本件店舗に到着した際、最初にその胸倉を掴み、AとMが本件店舗の外に出た後、聞こえてきた物音から喧嘩になっている可能性を認識しながら、飲酒を続け、本件店舗に戻ってきたMがAからの暴行を受けて相当程度負傷していることを確認した後、『殺されるなら入ったらいいんちゃう。』と述べただけで、警察への通報や医者への連絡等をしないまま、最後は負傷しているMを放置して立ち去ったことが認められる」
『ヘイトと暴力の連鎖』の書籍広告を掲載した(株)週刊金曜日には抗議が殺到したという。この点ついて植村社長は、次のように述べている。
「『SEALDs を特集しておいて、SEALDs を叩く本の広告を載せている』などと、弊社は様々な批判を受けました。北村肇前社長時代のトラブルですが、その記憶は、弊誌の読者に強く残っており、私が社長になった後も、『鹿砦社の広告を出すべきではない」という批判の手紙などが私の手元や編集部に送られてくることもありました。』」(松岡社長への書簡)
北村前社長は、「外野の声」に屈しなかったが、植村社長は屈したのである。念のために、わたしは植村社長に書面でしばき隊が起こした大学生リンチ事件についての見解を問うたが、回答は控えるとの返答だった。
外圧が『週刊金曜日』の編集方針に影響を及ぼしている実態が露呈したのである。さらに気になるのは、仁藤氏らの抗議に屈した流れで、同誌が市民運動との連帯をさらに強める可能性である。
しかし、既に述べてきたように市民運動体の中には、単眼的で運動方針に問題がある団体も少なくない。たとえば法律による差別の取り締まりやLGBTは、簡単に白黒の判定ができる性質の問題ではない。人間の心を法律で規制できるはずがないし、性の自認を認めてしまえば、女子トイレでの盗撮が増え、混乱が生じるのは目に見えている。さらにそのトラブルに付け込む弁護士の利権も絡んでいる可能性もある。これらの問題は慎重に検討しなければならないジャーナリズムのテーマなのである。
それにもかかわらず、(株)週刊金曜日が仁藤氏の要請に応じ、鹿砦社側を取材することなく、高飛車に切り捨てたことは重大な問題を孕んでいる。

「押し紙」弁護団から、メディア黒書へ「押し紙」問題を考える上で参考になる2件の準備書面の提供があった。江上武幸弁護士の解説と共に掲載した。裁判資料を公開する意図について、江上弁護士は、『押し紙』裁判が「特定の新聞社に限られた裁判ではないことを読まれる方々に理解してもらうこと」が目的と述べている。準備書面には、新聞の商取引の恐ろしい実態が記録されている。
福岡・佐賀「押し紙」訴訟弁護団 弁護士・江上武幸
2026年(令和6年)2月9日
2011年、東日本大震災を境に急激に発行部数が減少し続ける新聞業界において、今だに販売店からの「押し紙」の相談がたえません。新聞販売店経営に見切りをつけて、次の事業に転身できた方は幸いであり、他方、「押し紙」の仕入代金の支払いにあてるために多額の負債をかかえた方や、帳簿上、借金を新聞社の未納金として処理されてきた方は、生活資金のあてにしていた譲渡代金や保証金を受け取ることも出来ず、自己破産申立をせざるを得ない状況におかれています。
新聞社本体すら経営危機が叫ばれており、新聞社の衰退とともに販売店もなくなることが避けられません。「押し紙」も、いずれその歴史を閉じることになります。
黒薮哲哉さんの最新著作『新聞と公権力の暗部』(鹿砦社刊)の192頁以下に「付録5 公取委と消費者庁が黒塗りで情報開示、『押し紙』問題に関する交渉文書」が掲載されていますが、肝心の「押し紙禁止規定」の議論の部分はすべて黒塗りにされています。昭和30年に禁止された「押し紙」が、70年後の現在まで何故続いているのか、その秘密が黒塗り部分に隠されていると思います。さらなる情報開示が必要です。
「押し紙」問題は、我が国の言論・表現・報道の自由、ひいては民主主義の根幹にふれる問題であり、今後、多方面からのより詳細な調査・研究が望まれます。
名古屋大学教授の林秀弥先生や鹿児島大学準教授の宮下正昭先生などジャーナリズム研究の諸先生方、および元毎日新聞社常務取締役の河内孝氏、さらに公正取引委員会事務総局経済取引局取引部取引課長(平成11年当時)であった山本康孝氏ら、これまで「押し紙」問題の解決のためにご尽力されてきた方々の一層のご活躍を願う次第です。
なお、今回は、ブロック紙を相手方とする2件の「押し紙」裁判の準備書面を資料として添付します。
公正取引委員会の勧告を受けた北國新聞社、名古屋高裁判決の相手方新聞社、それに「押し紙」問題を自主解決した熊本日々新聞社と新潟日報社を除けば、他の新聞社名と原告名は●●で隠しています。
この公表は、「押し紙」が我が国の新聞業界が抱える普遍的な共通性を有する問題であることから、「押し紙」裁判も特定の新聞社に限られた裁判ではないことを読まれる方々に理解してもらうことを意図したものです。
また、「押し紙」訴訟の提訴を検討されている弁護士の方々には、引用した証拠の写しの提供が可能と考えますので御連絡(☏0942-30-3275)ください。
最後に、熊本日々新聞社・新潟日報社以外に「押し紙」問題を解決した新聞社があれば御連絡戴ければ幸いです。「押し紙」問題は後世に伝えるべき現代史の重要な一局面ですので、可能な限り正確な歴史を残すために御協力をお願いします。
以上

米国の外交政策を考えるときに、欠くことができない視点がある。それは全米民主主義基金(NED = National Endowment for Democracy)による世論形成のための工作である。
NEDは1983年に当時のロナルド・レーガン米国大統領が設立した基金で、ウエブサイトによると、「海外の民主主義を促進する」ことを目的としている。言葉を替えると、米国流の価値観で他国の人々を染め上げ、親米政権を誕生させることを目的に設立された基金である。そのための助成金を、外国のNGO、市民団体、それにメディアなどに提供してきた。「第2のCIA」とも言われている。
NEDの活動の範囲は広く、毎年100カ国を超える国と地域のさまざまな組織に対して、2,000件を超える助成金を拠出している。NEDの財源は米国の国家予算から支出されるので、助成金の支出先、支出額、支出の目的は年次報告書で公開されている。従って年次報告書を見れば助成金の中身が判明する。(ただし、支出先の団体名までは追跡できない。)
2021年11月18日付けのキューバのプレンサ・ラティナ紙は、NEDによる助成金の特徴について、次のように述べている。
「米国民主主義基金(NED)が2021年2月23日に発表した昨年のキューバ向けプログラムに対して割り当てられた資金についての報告書によると、42のプロジェクトのうち、20がメディアやジャーナリストの活動に関連するものだった。割り当て額は、200万ドルを超えている」
NEDが採用したのは、キューバの左派政権を転覆させるための世論形成にメディアを動員する戦略だった。メディア向けのプロジェクトが全体の半数近くに及ぶ事実は、親米世論の形成が米国の外交戦略に組み込まれていることを示している。実は、この傾向は他の地域におけるNEDの活動でも変わらない。
台湾はNEDの活動が最も活発な自治体のひとつである。今年の1月に行われた総統選挙に焦点を合わせ、NEDと台湾政府の間でさまざまな工作が行われた。この点に言及する前に、助成金の支出先と金額をいくつか紹介しておこう。
◆世界各地で親米プロパガンダ
西側メディアは報じていないが、香港の雨傘運動のスポンサーはNEDであった。たとえば2020年度には204万ドルの助成金が、2021年度には43万ドルの助成金を支出している。日本の主要メディアは周庭を「民主主義の女神」と報じていたが、とんでもない話である。
また、中国の新疆ウイグル自治区と東トルキスタンの反政府運動を支援する団体に対しては、2021年度に258万ドルの助成金を提供している。「中国政府によるジェノサイド」というプロパガンダを拡散するための資金だった可能性が高い。
ちなみに少数民族に接近して、親米世論を形成する手口は、わたしが知る限りでは1980年代にはすでに始まっている。83年にNEDが結成されたちょうどそのころ、ニカラグアのサンディニスタ政権が、同国のカリブ海沿岸に住む少数民族・ミスキート族に迫害を加えているというニュースが盛んに流された。そしてサンディニスタ政権に異議をとなれる反政府ゲリラ・コントラが、ミスキート族の若者を軍に勧誘する事態が生まれた。
当時のNEDの年次報告書は確認できないが、最近の年次報告書では、ニカラグアの反政府組織向けの助成金も確認できる。たとえば2018年には約128万ドルが、2020年には157万ドルが支出されている。
ニカラグアでも香港の雨傘運動に類似した過激な「市民運動」が広がり、2018年にはクーデター未遂事件が起きた。ニカラグア政府が首謀者らを逮捕・投獄したところ、今度はニカラグア政府による「人権侵害」がニュースとして世界へ拡散された。
ベネズエラの反政府運動に対しても、NEDは助成金を支出している。2018年は201万ドルが、2020年には、323万ドルが提供された。
ロシアの反政府運動へも多額の助成金が支出されており、2021年の金額は約1,384万ドルである。この中には、もちろんメディア向けのものも含まれており、「反プーチン」の世論形成を意図した可能性が高い。
◆だれが台湾海峡の火種なのか?
台湾の民進党とNEDは兄弟のように親密な関係にある。2019年、台湾の蔡英文総統は、NEDのカール・ジャーシュマン代表に景星勳章を贈った。これは台湾の発展に貢献した人物に授与されるステータスの髙い勲章である。2022年11月、NEDは台北で世界民主化運動第11回世界総会を開いた。さらに2023年7月には、蔡英文総統に対して、NEDは民主化功労章を贈った。同年、台湾のIT大臣オードリー・タンは、NEDの設立40周年に際して、ビデオでお祝いのメッセージを送った。
しかし、NEDは台湾に対しては、直接の助成金は支出していない。両者の関係は次のような構図になっている。
2002年、台湾外交部は台湾民主基金会(TFD)を設立した。「世界の民主主義ネットワークの強力なリンクになる」というのが、設立目的である。運営予算は台湾の国家予算から支出される。
その見返りとして、アメリカ政府は巨額の資金援助を台湾政府に直接与えている。例えば、日本の代表的な新聞である日経新聞によれば、アメリカ政府は2023年7月、台湾政府に3億4,500万ドルの軍事援助を行った。
1978年の米中共同声明の中で、米国は中華人民共和国が中国の唯一の合法政府であることを承認した。従って中国政府にとって、台湾におけるNEDの活動は内政干渉にほかならない。
中国は世論誘導などしなくても、台湾を統合する自信を持っていると推測される。と、いうのも経済的に台湾が中国に依存しているからだ。台湾の輸出の3割から4割は中国向けであり、多くの台湾人が中国本土で事業を展開している。経済関係が、そのほかの関係も決定づけるのは、自然の理である。
こうした状況に焦りを募らせるのが、台湾政府と米国なのである。

福岡・佐賀県押し紙訴訟弁護団 弁護士 江上武幸
正月早々、能登半島地震・日航機と海保の飛行機の衝突事故など、驚くニュースが次々と飛び込んでくる波乱の年明けとなりました。犠牲になられた方々やご遺族の方々に対し謹んでお悔やみを申し上げます。
読売新聞大阪本社を相手方とした「濱中押し紙訴訟」の大阪高裁判決の言渡期日は、3月7日(木)午後1時20分からと決まりました。また、読売新聞西部本社を相手方とした「川口押し紙訴訟」の福岡高裁判決の言渡期日は4月19日(金)午後1時10分からと決まりました。
濱中訴訟の大阪地裁判決は、濱中さんが販売店経営を開始した月の仕入れ部数の約半分が押し紙であることを認める画期的な判断を示しています。大阪高裁が引き続きこの押し紙を認めるかどうかが注目されます。
川口訴訟の福岡地裁判決は、川口さんが950部の減紙を申し出たのに対し読売新聞が減紙を認めなかった点について減紙拒否の押し紙は認めませんでした。福岡高裁が減紙拒否の押し紙であるとの判断を示す可能性は残されていると考えています。
それぞれの高裁の裁判官達が、独占禁止法新聞特殊指定の「押し紙禁止規定」についてどのような解釈を示すのか、全国的な関心を呼ぶ判決となることは間違いありません。
販売店経営者の方から、押し紙裁判を起こしてもどうせ新聞社には勝てないのでしょうと言われることがありますが、「やってみないとわかりませんよ。勝ち負けは裁判官次第ですから。」と答えています。
福井県の関西電力大飯原発運転差し止め判決を下した裁判官やパンツの裁判官で有名な裁判官もおられます。押し紙裁判でも、販売店が勝訴した判決や勝訴判決に等しい和解で解決した例もあります。
公正取引委員会や国会・裁判所等で押し紙問題が長い間取り上げられてきているにもかかわらず、何故、いつまでも解決しないのかといった疑問についての回答は、黒薮さんの押し紙問題シリーズの最新版「新聞の公権力の暗部『押し紙』問題とメディアコントロール」(鹿砦社刊)が答えてくれています。是非、ご購入されることをおすすめします。
最近、「一月万冊」・「金子吉友」・「原口一博(議員)」・「管理人のぼやきラジオ」などのネット番組をよく視聴するようになりました。これらの番組の主催者は、失われた30年といわれる日本社会の没落の原因は、日本がアメリカの半植民地である状態が戦後ずっと続いているためであるとの認識で一致しておられるように思われます。
黒藪さんにも、押し紙問題に限らず様々な分野の知識・経験をネット番組で全国に発信されることをおおいに期待しております。
高裁判決の結果については、判決が出てその内容を見てから報告させていただきます。
最後になりますが、昨年は多額の活動資金のご寄付をいただき有難うございました。重ねてお礼を申し上げます。ありがとうございました。

化学物質過敏症がクローズアップされるようになっている。化学物質過敏症は、文字どおり、ある種の化学物質を体内に取り込んだときに、神経が過敏に反応して、さまざまな症状を引き起こすと説明されている現象である。
WHOは、化学物質過敏症を公式の病名として認定しているが、最近は、別の疾患が原因で出現する症状のひとつと考えている専門家も少なくない。
現在、最も中心的な議論のひとつが、化学物質過敏症状を訴えている患者の中に一定の割合で精神疾患の患者が含まれているのではないかという議論である。これについて、典子エンジェルクリニックの舩越典子医師(写真)は次のように話す。
「問診や行動から明らかに精神疾患の疑いがある患者さんに対してわたしは、精神科を受診するように勧めています。精神科で治療を受けて、回復された患者さんも多数おられます。こうした患者さんは、元々、精神疾患を患っているために化学物質過敏症の症状が出現したということです」
舩越医師の話を裏付ける公文書も存在する。たとえば東海大学医学部の坂部貢医師(写真)は、「平成 27 年度 環境中の微量な化学物質による健康影響に関する調査研究業務」と題する報告書の中で、化学物質過敏症と同じ症状を現わす患者には精神疾患の症状が見られるケースがあると述べている。精神疾患との併症率は、なんと80%にもなるという。
この報告書が公表されたのは平成27年、つまり2015年である。9年前には既に化学物質過敏症の伝統的な診断方法(問診を最重視した診断)をめぐる疑問が提起されていたのである。
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化学物質過敏症の診断について舩越医師は次のように話す。
「まず、よくあるのが神経に何らかの傷がある場合です。腫瘍、頸椎症、頸椎ヘルニア、腰椎症、腰椎ヘルニア、神経痛、脳脊髄液減少症などが原因で神経が傷つくと、神経が敏感になってごく微量の化学物質でも身体が反応しやすくなります。この状態を一般的には化学物質過敏症と言っていますが、神経を傷つけた別の疾患があるわけですから、化学物質過敏症は症状であって、病名というのは不適切です。実際、原因となる元の疾患を治療すれば、不快な症状は消えます。また、ビタミンDや亜鉛が不足するなど栄養がアンバランスになっていたり、慢性上咽頭炎がある場合なども、不快な症状が現れることがあります。さらに患者さんに統合失調症や神経発達症などの精神疾患がある場合もあります。」
ちなみに特定の化学物質に対するアレルギー反応は、体質が原因なので、俗にいう化学物質過敏症とは性質が異なるという。またサリンなど神経そのものに対する毒性が強い化学物質を体内に取り込んだ場合に出現する症状は、むしろ「中毒」の範疇にはいる。
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化学物質過敏症の診断方法をめぐる議論が活発化したのは、ここ数年のことである。その引き金となったのは、横浜副流煙裁判である。
この裁判は煙草の副流煙による健康被害を争点とした事件である。2017年11月に横浜地裁で始まった。Aさん一家3人が、同じマンションの下階にすむミュージシャンに対して、煙草の副流煙により「受動喫煙症」になったとして4500万円の損害賠償を求めた事件である。判決は2020年に原告の敗訴で終わった。
提訴の根拠となるA家3人の診断書を作成したのは、化学物質過敏症の権威と言われてきた作田学医師や宮田幹夫医師らである。しかし、2人は問診を重視して診断を下し、原告のひとりが精神疾患である可能性を考慮していなかった。考慮せずに、「受動喫煙症」、「化学物質過敏症」の病名を付した診断書を交付したのである。その診断書が提訴の根拠となった。
ところが裁判の中で、ミュージシャンがほとんど煙草を吸っていなかったことが分かった。たとえ吸っても部屋が防音構造で密閉されていて、煙が外部にもれる状況がなかったことも判明した。さらにミュージシャンが自宅を不在にしているときにも、原告が煙草の匂いと煙に悩まされていたと訴えていたことが明らかになった。それにもかかわらず作田医師は、副流煙の発生源が1階に住むミュージシャンであると診断書に明記した。
現在、作田医師は元被告のミュージシャンとその家族から、損害賠償を請求する裁判を起こされている。化学物質過敏症をめぐる誤診が「冤罪」を生んでしまったからである。
横浜副流煙裁判に関心をいだいた舩越医師は、化学物質過敏症についての自らの見解を、インターネット放送などで表明するようになった。患者の中には、一定の割合で精神疾患の人が含まれているというのが舩越医師の見解である。前出の坂部医師の報告書もそれを裏付けている。
2024年01月09日 (火曜日)

携帯電話基地の設置をめぐる町長と住民のトラブルで、宮城県の簡易裁判所が前代未聞の暴挙に走った。発端は、今年の6月である。筆者のもとに、宮城県丸森町のAさん(男性)から、自宅の直近10数メートルの地点に楽天モバイルと丸森町が、町有地に基地局を設置したので相談に乗ってほしいと連絡があった。
基地局からは、高周波のマイクロ波が途切れることなく放射され、近隣住民に健康上の被害を及ぼすリスクがある。とりわけマイクロ波の遺伝子毒性が指摘されていて、たとえばIARC(国際がん研究機構)は、2011年にマイクロ波に発がん性がある可能性を認定している。
ドイツやブラジルで実施された基地局と発がんの関係を調べる疫学調査によると、基地局周辺では癌の発症率が相対的に高い(3倍程度)ことが判明している。
Aさんは、町当局や弁護士に相談するなど孤軍奮闘していたが、結局、有効な解決策はみつからなかった。そこで裁判所に民事調停を申し立て、メディアで事件を公にする決心をしたのだ。民事調停の「相手方」は、楽天モバイルの矢澤俊介社長か丸森町の保科郷雄町長ということになる。
そこでAさんは、より身近な人物である保科郷雄町長を「相手方」として、10月2日に民事調停申立書を大河原簡易裁判所(管轄は仙台地裁)に提出した。
通常、民事調停申立書が提出されると裁判所は調停の日程を決めて、「申立人」と「相手方」の双方へ通知する。ところがいつまでたっても、Aさんのもとには通知が届かない。
10月30日になってAさんのもとに、大河原簡易裁判所の山本久美子書記官から、照合書と題する書面が届いた。そこには3つの問い合わせ事項が記されていた。
1. 本件はいかなる法的根拠に基づく請求なのか
2.(基地局)を設置したのは楽天なのに、何故、土地を賃借した自治体(首町個人)を相手方とするのか。
3. 相手方について、住所は役場住所を記しておきながら、相手方を自治体ではなく自治体の首長個人としている理由
「1」の質問はともかくとして、「2」「3」の質問は、司法関係者とは思えないばかげた質問である。会社を提訴する場合に、社長名を明記するのと同じ原理である。
「1」についてAさんは、日本政府も署名しているリオ宣言などで明記されている予防原則に基づいた民事調停であると回答した。
【予防原則】予防原則(よぼうげんそく)とは、化学物質や遺伝子組換えなどの新技術などに対して、環境に重大かつ不可逆的な影響を及ぼす仮説上の恐れがある場合、科学的に因果関係が十分証明されない状況でも、規制措置を可能にする制度や考え方のこと。1990年頃から欧米を中心に取り入れられてきた概念であるが、「疑わしいものはすべて禁止」といった極論に理解される場合もあり、行政機関などはこの言葉の使用に慎重である。(ウィキペディア)
Aさんが大河原簡易裁判所に回答してからひと月になる11月29日、Aさんの宅に「事件終了通知」と題する書面が届いた。山本久美子書記官名で「頭書の事件は、令和5年11月29日、調停しないものとして、終了しました」と記されていた。印紙も返還された。
民事調停や訴訟を受理しない場合、通常は不備がある箇所を書記官が指摘したうえで、受理する方向で指導する。しかし、Aさんのケースでは、そのプロセスが踏まれていない。調停のテーマが裁判所が毛嫌いしているタブーであるから、却下したとしか思えない。
12月末に筆者は、電話で山本書記官に却下の理由を問い合わせた。しかし、自分で回答する代わりに、仙台地裁の総務担当者に問い合わせるように指示してきた。そこでわたしは、仙台地裁の総務に問い合わせた。総務の回答は、「お答えできない」とのことだった。しかし、繰り返し回答を求めると、大河原簡易裁判所の山本書記官に問い合わせるように指示した。
筆者からの2度目の問い合わせを受けて、山本書記官も「回答しない」と繰り返した。
「上司の指示か?」
「裁判官はだれだ?」
「自分の意思で、却下を決めたのか?」
山本書記官は、当事者以外には回答できないと答えた。そして一方的に電話を切った。その後、Aさんが山本書記官に電話で問い合わせたところ、民事調停法13条を根拠にした却下であることが分かった。
【民事調停法】調停委員会は、事件が性質上調停をするのに適当でないと認めるとき、又は当事者が不当な目的でみだりに調停の申立てをしたと認めるときは、調停をしないものとして、事件を終了させることができる。
しかし、具体的に何を根拠として調停委員会がAさんの調停申立を却下したのかは分からない。裁判所が司法の役割を完全に放棄したとしか言いようがない 。

メディアによる報道自粛が指摘され始めて久しい。少なくとも30年ぐらい前からこの問題が浮上している。沈黙を美徳とする価値観。これにより国民がジャーナリズムによる恩恵を受けられなくなっている。
このところ大量の死魚が海岸に打ち上げられる珍現象が相次いている。2023年の12月だけでも、三重県と北海道で大量の魚が海岸に打ち上げられた。海外メディアの中にはロシアのRTのように、その原因のひとつの「可能性」として福島の汚染水を指摘した報道もあった。イギリスの大衆紙もやはり同じ方向性でこれを報じた。
これに対して日本の外務省は、関係メディアに抗議した。
【引用】北海道函館市の海岸にイワシなどが大量に打ち上げられた映像を、イギリスのメディアが福島第一原発の処理水放出と関連があるかのように報じているとして、外務省は「誤解を生じさせる発信は遺憾だ」として、訂正するよう申し入れました。(NHK)
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しかし、現時点では原因が特定されたわけではない。従って福島の原発汚染水と何らかの関係がある可能性まで否定できない。原因が分からない場合は、予防原則の観点から検証するのが常識なのだが。
まして、短期間のうちに日本だけで同じタイプの大量死が相次いているのである。海外でも大量死が報告された例はあるが、短期間のうちに同じ現象が繰り返されたケースは、わたしが調べた限りでは見当たらなかった。となれば日本で起きた現象の背景に何か特殊な事情、海外の事例を識別する何かがあると推測するのが自然だ。
汚染水が直接の原因ではないにしても、汚染水が原因で生態系が異変をきたし、魚の習性を「誤作動」させたのかも知れない。汚染水の汚染度が総務省の規制値をクリアーしているから、安全とは断言できない。原発汚染水の性質は、また研究途上で正確に解明されていないからだ。化学物質や電磁波には、「閾値」がないというのが科学の常識である。
【閾値】閾値とは、ある値が所定の水準を超えると特定の変化が生じたり判定・区別が変わったりする、という場合の「所定の水準」「数値的な境目」「境界線となる値」を意味する語である。(Weblio)
科学的な根拠に乏しいから、「安全」という政府の見解は論理の飛躍である。汚染水の海洋投棄の後に、日本の海域に限って魚の大量死が相次いでいる事実の方が優先されるべきなのである。
バッシングを恐れて自らを口封じするのは、メディアの自殺行為にほかならない。
※3カ月ほどメディア黒書を更新しなかったこともあって、「病気」ですかという問い合わせが何件かありました。日本を離れていたのが原因です。今後、更新を再開します。
