2016年09月21日 (水曜日)

博報堂とアスカコーポレーションの係争で、次々と博報堂による騙しの手口が明らかになっている。

今回、紹介する騙しの手口は、アスカが依頼していない業務に対して博報堂が料金を徴収していたとされる例である。もっとも博報堂は取材を拒否しているので、以下、アスカ側からの情報提供に基づいた記述になるが、裏付け資料を見る限りでは、極めてトリッキーな手口が使われている。

◇知らぬうちに50万円を請求

通販会社に限らず商品販売を業とする企業は、顧客サービスのひとつとして、あるいは顧客を獲得するための戦略として、特定の商品を購入した顧客に、なんらかのプレゼント商品を提供することがある。2005年の冬、アスカは商品を7000円以上買った顧客に対してバックをプレゼントするキャンペーンを張った。下記が、その際の案内である。

当然、アスカはバックを準備しなければならない。そこでN株式会社から、バックを5万個購入した。次に示すのがそれを裏付ける請求書である。黄色の部分である。

こうしたサービスをプレミアムとかノベルティと呼ぶ。アスカはプレミアムとノベルティに関しては、請求書が裏付けるようにN株式会社と取り引きをしていたのである。

ところが博報堂は、「プレミアムコンサルティング(料金)」とか、「ノベルティコンサルティングフィー」の名目で、毎月50万円を請求していたのだ。請求回数は6回。下記がそれを裏付ける博報堂の請求書の一部だ。

アスカの担当者がほんのちょっと油断したスキを狙った不正請求であった可能性が高い。いわゆる「置き引き」にヒントを得た手口だ。博報堂は、この請求の中身を説明すべきだろう。取材に応じて弁解すべきだろう。

【参考記事】

この事件の全体の構図は、次の記事を読んでほしい。

【解説】奇怪な後付け見積書が多量に、博報堂事件の構図はどうなっているのか?

■ 博報堂問題の原点--郵政事件、郵政のC氏に対する接待工作

 

2016年09月20日 (火曜日)

メディア黒書に対する攻撃なのか、このところ「黒薮哲哉」を名乗った「なりすまし」メールが、おもに出版関係者に送られている。また、わたしが住んでいるマンションの管理会社の管理人のメールにも送られた。

管理人のPCメールアドレスなど、わたしが知るよしもなく、わたしに関する情報を収集していることを誇示するのが目的ではないかと思う。

メディア黒書は、さまざまな事件を扱うので、どの事件の関係者が「なりすまし」メールを発信しているのかは不明だが、PCに侵入して他人のメールアドレスを盗み出すか、あらかじめスパイが集めたメールアドレスを共有しなければ、このような「ネット犯罪」はできない。

かつて武富士がやった盗聴と同じレベルの悪質さだ。

◇毒物事件?

かつて新聞社の「押し紙」問題を取材しはじめたころは、留守電に街の騒音とカラスのような奇声が録音されたり、脅迫状が送られてくることがあったが、これらの事実を証拠と共に公開してからは収まった。

現在は、東京・港区で起きた毒物による殺人未遂事件を調べており、「なりすまし」メールはこちらの関係者が送付している可能性もある。

また、地方自治体の不正経理事件も調査しており、こちらの関係者の可能性もある。が、これだけは警察が捜査しなければ、だれがやったのか分からない。

いずれにしても情報を多人数のライターで共有することで、証拠の隠滅を防止する必要がありそうだ。

参考までに「なりすましメール」の実物を紹介しておこう。

■なりすましメールの実物

ちなみにメールの宛先(黒塗り部分)は、大半が九州の弁護士である。

こうしたいたずらにエネルギーを浪費するよりも、自分のライフワークにでも取り組んだほうが賢明だと思うのだが。

2016年09月19日 (月曜日)

10月2日に東京・板橋区の板橋文化会館で予定されている講演会とパネルディスカッション『新聞の偽装部数「押し紙」』の開催まで2週間を切った。

「押し紙」問題と新聞ジャーナリズムの正義は共存できるのか?これはかねてから筆者が考え続けてきたテーマである。新聞批判といえば、とかく新聞紙面の批判が主流となり、たとえば『創』などのメディア関連の雑誌を過去にさかのぼって調べてみると、少なくとも1970年代ごろから、新聞の「紙面批判」が繰り返し行われてきたことが分かる。40年前の人々も新聞に絶望していたのである。

つまり新聞批判といえば、紙面批判を意味する昔からの同じパターンが繰り返されてきたのだ。記事の質を嘆き、新聞記者の職能を罵倒し、心がけを改めて不屈の精神を手に入れれば、新聞ジャーナリズムは再生できるという観念論の視点からの議論が延々と繰り返されてきたのである。

そこには新聞社のビジネスモデルの中から客観的な問題点と原因を探ろうとする科学的な姿勢は皆無だった。紙面の劣化を記者個人の能力、あるいは不見識の問題として片づけてしまう主観主義の傾向があったのだ。

◇新聞劣化の客観的な原因は?

新聞社のビジネスモデルを客観的に分析してみると、政界との癒着なくして経営自体が成り立たない状況に置かれていることが分かる。その典型的な例が、再販制度という新聞業界の既得権である。再販制度がなくなれば、新聞社と販売店の従属関係が崩壊して、テリトリー制度も消え、「押し紙」政策も出来なくなる。それは新聞社に壊滅的な打撃を与える。

そこで新聞業界は、構造改革=新自由主義の導入の前夜にあたる1980年代の後半から、国策としての再販制度撤廃の流れを先読みし、新聞販売店の業界団体を通じて、政治献金を支出するなど、政界との癒着を強めていったのだ。そして1990年代には、政治家と「共闘」して、再販制度を守るという取り返しのつかない誤った戦略に走ったのである。

その延長線上に現在の新聞に対する消費税の軽減税率を認めさせる運動も成り立っている。意外に知られていないが、新聞業界が軽減税率の導入にこだわるのは、「押し紙」にも消費税が課されるからにほかならない。

再販制度と「押し紙」問題が連動しているように、消費税の軽減税率問題と「押し紙」問題も連動しているのだ。日本新聞協会は、未だに「押し紙」の存在すら否定し、「押し紙」を「残紙」とか「積み紙」と言い換えることで、過去の、そして現在の大失策を隠している。

裁判所も「押し紙」問題をよく理解していない。と、言うよりも、新聞社と同様に権力構造の歯車に組み込まれているために、「押し紙」を取り締まろうとはしない。取り締まれば、現在の新聞社のビジネスモデルが崩壊し、ジャーナリズムを再生する土台が生まれるからだ。それは政権党にとっては、最も避けたいことなのだ。いつまでも政府の「広報部」に徹してほしいというのが本音だ。それゆえに裁判所も国会も、故意に新聞社の「押し紙」政策を放置しているのである。

「押し紙」裁判が非公開にされるゆえんにほかならない。本来、裁判の公開は、憲法で謳われているのだが。

こうした状況の下で、「押し紙」政策は失策と考えている人々が、思想信条の違いを超えて、集まるのが10月2日の全国集会である。

◇集会の詳細

【日時】10月2日(日)13:30から16:00。(開場13:00)

【会場】板橋文化会館(東武東上線・大山駅下車3分)

【プログラム】

「押し紙」についての説明。「押し紙」回収を撮影した動画を公開する。

江上武幸弁護士の講演。「真村訴訟と『押し紙』問題」
読売の「押し紙」政策を事実上認定した福岡高裁判決(2007)を弁護士みずから解説する。

 ■パネルディスカッション
江上武幸(弁護士)
小坪慎也(行橋市議)
天木直人(評論家)

司会黒薮哲哉

■入場無料

■問い合わせ:メディア黒書(048-464-1413)

【動画】「押し紙」の回収場面

 

2016年09月16日 (金曜日)

 本日(16日)発売の『週刊金曜日』で「マスコミタブー・大手広告代理店・博報堂」の連載が始まる。執筆者は黒薮。第1回目のタイトルは、『テレビCMの「間引き」疑惑が浮上』。

メディア黒書でも報じてきたように、博報堂とアスカコーポレーションの間で起きた大規模訴訟の中で、博報堂によるCM「間引き」疑惑や視聴率偽装の疑惑が浮上している。さらに内閣府など公的機関に対する博報堂からの請求書にも、請求額が黒塗りになっていたり、日付がない不自然なものが多数見つかっている。

連載では、これら一連の問題をとりあげる。

週刊金曜日は、全国の書店で販売されている。

■週刊金曜日の目次

【メディア黒書の参考記事】

【解説】奇怪な後付け見積書が多量に、博報堂事件の構図はどうなっているのか?

郵政事件で浮彫になった博報堂の営業戦略、PR業務の1社独占と高額請求の手口、アスカの被害は氷山の一角か?

2016年09月15日 (木曜日)

最高裁の元長官・竹﨑博允(写真)氏の現役時代の経理には、さまざまな疑問点がある。たとえば既報したように、裁判員制度に関する出費が高額になっている事実である。日付が付されていない請求書が多量にある事実である。

次に示すのは、日立キャピタル(株)が、「平成21年」から「平成24年」の約4年間に最高裁事務総局に請求した項目の明細である。総額は1億8037万円。

■日立キャピタル(株)の明細

◇竹崎長官時代の疑惑

驚くべきことに「平成21年4月分」から、のサーバー料として、毎月366万3885円を請求している。正当な金額なのか調査が必要だ。

この請求書はいうまでもなく、上記のエクセルファイルで示したように、大半の請求書には日付が入っていない。これ自体が常識では考えられない。

民間企業の中には、博報堂のように見積書に日付や請求書番号を付番しない企業もあるが、法の番人、国権の最高機関のひとつである最高裁事務総局に対してこのような請求書を送付し続け、最高裁もそれを認めていた背景を調べる必要があるだろう。

下の請求書が、現物の例である。


裁判所は人を裁くただならぬ特権を持っている。と、すれば不正行為はあってはならない。みずからが経理上の不正を犯していたとすれば、日本の裁判制度そのものがペテン(最高裁主導の報告事件)ということになる。退官した最高裁判事たちの(広義の)天下り問題とあわせて精査しなければならない。

その意味で前近代的な竹崎時代の実態と裁判を、今後も検証する。

2016年09月14日 (水曜日)

特定秘密保護法が運用されるようになってのち、情報公開制度が形骸化しはじめている。「国家公務員」が肝心な情報を黒ぬりにしたうえで、書面を開示する傾向が顕著になっている。まったく愚かな行為だ。

次に示す内部資料(PDF)は、博報堂が内閣府に送付したテレビ・新聞関連の請求書の全部である。今年の8月に内閣府が、筆者の情報公開請求に基づいて内閣府の職員が公開したものだ。

■博報堂の請求書

内閣府の職員は肝心な数字の明細を完全に黒く塗りつぶしている。税金がどのように使われているのかを隠ぺいしているのだ。まっく理解できない行為であり、嫌がらせだ。

こんな実態は数年前にはなかった。大半の情報は開示されていた。

ところが特定秘密保護法が運用されるようになって後、国家公務員が露骨な情報隠しをはじめている。

民主主義と言論の自由度、それに知る権利がどんどん後退している。それが日本全体を後進国へ導くことはいうまでない。ますます欧米との格差が開く。

博報堂がテレビCMに対して請求した金額と請求先にいたっては、まったく情報が開示されていない。完全な秘密だ。

筆者は、博報堂のように過去に郵政事件など重大事件を起こした企業に関する情報こそ積極的に開示すべきだと思う。その上で、場合によっては、「税金」の提供を中止すべきだろう。ところが逆に書面を真っ黒にして情報を隠しているのだ。

■参考記事:郵政事件で浮彫になった博報堂の営業戦略、PR業務の1社独占と高額請求の手口、アスカの被害は氷山の一角か?

 

2016年09月13日 (火曜日)

アフィリエイトとは、成功報酬を基本とした広告のことで、インターネットの普及と共に新しいPR戦略として登場した。たとえば広告主が自社のバーナー広告をウエブサイトに張り付けてもらい、その結果、ここを窓口として新規顧客を獲得する。この場合、広告主はウエブサイトに対して成功報酬を支払う。

当然、新規の顧客が多ければおおいほど、成功報酬も高くなる。新規の顧客が少なければ、成功報酬も少なくなる。いわば完全な成果主義スタイルの広告と言えよう。

アスカコーポレーションが博報堂に対して起こした過払金返還請求訴訟(請求額は約15億円)の中でも、アフィリエイトをめぐる争点がある。新規の顧客獲得数を、博報堂が水増ししていたというのがアスカの主張である。

◇アフィリエイトの不透明さ

アスカが問題としているのは、2010年6月から12月までの間に、博報堂が任意に選択したアフィリエイトサイトを通じて獲得した「新規顧客」の信憑性である。新規ではない顧客が含まれているというのが、アスカの主張である。博報堂が新規としている顧客の中には、「既存顧客」、「重複登録」、「無効データ」が含まれているといのである。

具体的な数字をアスカの主張に沿って確認しておこう。6月から12月の顧客の内訳は次のようになっている。

新規顧客 :10,731人(23.9%)
既存顧客 : 8,778人(19.5%)
重複登録 :10,610人(23.6%)
無効データ:14,869人(33.1%)
合計    44,988人

博報堂は、当然、上記の「合計」を基準として請求を起こしたが、アスカの主張は、支払い義務があるのは、新規顧客に該当する10,731人(23.9%)分だけだというものである。これに基づいて金額を見てみよう。

博報堂がアスカに請求したのは、総計で2468万円である。これに対して、アスカは、支払い義務があるのは、2468万円の23.9%にあたる590万円だけだというものである。差額の1878万円の返還を求めている。

博報堂が新規登録者と主張する顧客の確認は、次のようなプロセスを経て行われていた。まず、博報堂からアスカに新規登録者についての情報が送られてくる。アスカはそれを電算室が保管している顧客情報などに照合して、確認する。そして「既存顧客」、「不正顧客(重複顧客)」、「無効顧客(情報足らず)」を差し引いた人数を請求対象として博報堂へ通知する。

ところが博報堂は、その通知とは無関係に顧客の総数でアフィリエイト代金を請求してきたというのがアスカの主張である。アスカが抗議すると、「南部社長の承認済みですから・・」と言ってかわしたという。

アスカによると、アフィリエイト経由の新規顧客の中には、「無料のお試しセット」が目的で、顧客にはならない客も多かったという。アスカが言う。

「1人の申込者が何人ものに成りすましている事が判明し、その数は1万人を超えました。直ちにアフェリエイトの停止を指示しまた。しかし、1万人の成りすましの客に対してトライアルセットを既に発送済みで、アスカに多大な損害がでました。そのためにアフェリエイト手数料の支払いは出来ない旨を博報堂も了承したうえでアフェリエイト広告を停止したのです。

ところがその3ヶ月後に経理に1万人分が請求をされ、弊社もすでに支払い済みでした。つまりこの件を忘れた頃に成りすまし分を請求していた訳です。そのために成りすましによる被害は数万人に膨れ上がったわけです。

ちなみに無料トライアルセットを発送しても通常は15%前後の本商品の受注率が、博報堂のアフェリエイト広告では、受注率はほぼゼロでした。」

これに対する博報堂の主張は、取材を拒否しているために分からない。取材を拒否して利益になることは何もないのだが、応じない方針のようだ。

◇入場者数の水増し

博報堂による数値の偽装として有名なのは、盛岡市の「いわて県民情報交流センター」を委託運営している同社が、4年間で延べ2380人分の入館者数を水増ししていた事件である。

手口は簡単で、カウンターの前をアルバイトが往復して、カウント数を増やすという幼稚なものだった。毎日新聞によると、今年の「1月23日、利用者がアルバイト職員の不審な行為を目撃して」職員に指摘した。そして「2月10日に県に通報して発覚した。」という。

上の「イメージ動画」は、この事件をイメージ化したものである。

 出典:入館者数水増し、県の施設で管理委託グループが4年間で2380人分

◇原点は郵政事件

ちなみに博報堂事件の原点は、郵政民営化の際に水面下で進行していた郵政事件にほかならない。博報堂は郵政グループの社員を接待づけにして、同グループとの間でPR業務の独占契約を取り付けている。郵政民営化は、国策だったので、ほとんど報じられなかったが、水面下の大事件である。

以下、参考記事である。

■郵政事件で浮彫になった博報堂の営業戦略、PR業務の1社独占と高額請求の手口、アスカの被害は氷山の一角か?

■日本郵政、広告発注に契約書なし 博報堂に368億円

2016年09月12日 (月曜日)

【前半】

【後半】

チリの軍事クーデターから、43年が過ぎた。

ラテンアメリカの諸紙によると、クーデターで亡くなった「サルバドール・アジェンデ元大統領と1973年の軍事クーデターを記憶するための儀式、オマージュ、それに祈念行事が9月11日に各地で行われた」(チリの国営新聞『LaNacion』)

1970年にチリは、大統領選挙で社会党のサルバドール・アジェンデが当選して、社会党、共産党、キリスト教民主党の連立政権(UP)が成立した。これは世界史上ではじめて、選挙によって成立した社会主義をめざす政権だった。

しかし、米国のニクソン政権は、チリに多国籍企業が進出していることなどから、アジェンデ政権に猛反発して、経済封鎖などさまざまな策略をめぐらせる。資本家の〈ストライキ〉まで起こり、チリ経済は混乱に陥った。

しかし、1973年の総選挙でUPが勝利して合法的にアジェンデ政権を倒せないことが明らかになると、米国CIAがピノチェット将軍と共謀して、軍事クーデターを断行。アジェンデ政権の支持者に銃弾が襲い掛かった。国立サッカースタジアムでは、連行されてきた多くの人々が命を落とした。歌手のビクトル・ハラも銃弾に倒れたひとりである。

◇政治家とは何か?

テロは全土に広がり、ピノチェットによる軍事政権が敷かれた。チリはスパイの眼が光る国になったのである。

不幸中の幸いで死を免れ、国外追放になった人物のひとりに、映画監督ミゲル・リティンがいた。クーデターから13年を経た1985年、リティン監督は、パラグアイ籍のビジネスマンに変装し、偽のパスポートを所持して、空港から堂々とチリに潜入した。

潜入に先立つて、CM撮影を口実として、3つの撮影部隊をチリに送り込んでいた。リティン監督は、撮影部隊と連絡を密にしながら、軍事政権下のチリの実態をカメラで記録したのである。

『チリ潜入記』は、映像ジャーナリズムの最高傑作のひとつだ。とりわけ後半が圧巻だ。たとえば、クーデターの中でなくなったパブロ・ネルーダ(1970年のノーベル文学賞受賞者でアジェンデの親友)の家が立ち入り禁止になっている様子を撮影している。当時、ピノチェットに対峙して武装闘争を展開していたマヌエル・ロドリゲス愛国戦線(FPMR)との会見も実現し、その映像を収録した。さらにクーデターの勃発からアジェンデの死までを秘書や主治医など側近たちの証言で再構成している。

歴史の事実は、映像や文字で記録しておかなければ消えてしまう。その意味で、『チリ潜入記』は、ラテンアメリカの歴史の中で、極めて貴重なジャーナリズムの功績なのである。

日本の政治家にアジェンデの最後の1日を証言で構成した部分をよく見ていただきたい。自民党だけではなく、大衆の顔色ばかり気にしている野党にも見ていただきたい。政治家とは何かがよく分かる。政治家が豪邸に住んだり、料亭で遊び人ではだめなのだ。

ちなみに現在のチリ大統領・ミシェル・バチェレの父親は、軍事クーデターの直後に逮捕され、半年後に拷問死をとげている。彼女も家族と共にヨーロッパへ亡命した過去を持つ。

2016年09月10日 (土曜日)

アスカコポーレーションと博報堂の係争を理解する上で欠くことが出来ないのは、俗にいう郵政事件の中身である。郵政民営化は、国策として推進された事情があるので、郵政事件に関する報道は、皆無ではないにしろ、極めて限定的で、その全容は報じられていない。

しかし、事件である以上は、完全に闇の中に消し去ることはできない。事実、事件に関する調査報告書の類は存在する。

改めていうまでもなく筆者が、郵政事件をクローズアップするのは、郵政を舞台に博報堂が繰り広げた策略と極めて類似した策略が、アスカに対しても適用されていたからだ。結論を先に言えば、企業方針を決める権限を持つ上層部と一般社員の間に、博報堂が介在して巧みに方針をねじまげ、PR業務を乗っ取ってしまう策略である。

が、この点に言及する前に、数少ないマスコミ報道の中から、郵政事件の異常さを物語る記事を紹介しよう。この記事は、はからずもPR業務の「乗っ取り」が招く恐るべき実態を描いている。2009年10月4日付けのAsahi.comの記事である。

■日本郵政、広告発注に契約書なし 博報堂に368億円

記事が述べているように、博報堂は日本郵政グループ(持株会社を含めて4社)との間で、PR業務を独占する契約を交わしたが、「同社との間で覚書や合意書などの契約書類」は交わしていなかった。しかし、契約額は2年間に368億円にもなっていたという。

◇業務を独占する意味
 
広告代理店がある企業のPR業務を独占するメリットのひとつは、業務に対する報酬を高く設定できることである。競合相手がいれば、適正な価格を設定しなければ、業務から締め出されるが、独占の状態であれば、価格のコントロールが容易になる。特に担当の営業マンが、企業の上層部との太いパイプを構築したあとは、価格のつりあげが容易になる。

アスカの場合は、博報堂の営業マンが、社員に対して「社長の承諾を得ている」との文言を繰り返し、PR業務をほとんど自在にコントロールしていたようだ。特に請求方法に疑惑が多い。しかし、業務の方針に関しては、実際は社長の承諾を得ていなかったものも存在するが、それが社員にまで伝わっていなかったようだ。

一方、郵政事件の場合は、アスカのケースよりも一層露骨な工作が博報堂によって行われたことが、調査報告書に記録されいる。日本郵政ガバナンス問題調査専門委員会の報告書の「別添」・検証総括報告書を紹介しよう。

◇博報堂の接待づけになった男C

この報告書には、博報堂が郵政グループのPR業務を独占するようになった経緯が記録されている。中心的な役割を果たしたのは、日本郵政のCという人物である。この人物が博報堂から繰り返し飲食などの接待を受けていたのだ。
接待の目的は、郵政グループのPR業務を独占できるように、取り計らってもらうことだったと推測される。

しかし、郵政グループとしては、当初からPR業務の発注をひとつの広告代理店だけに独占させる方針はなかったのである。独占に反対する意見もあった。ひとつの広告代理店が業務を独占すると、PR業務に対する価格が高く設定される懸念などが、その理由だったようだ。

が、博報堂から接待を受けているCにとっては、どうしても郵政グループのPR業務を博報堂に独占させる必要があった。接待だけ受けて、「恩返し」をしなければ、接待の事実を拡散される恐れがあったからだ。そのためにCが断行した「作戦」のひとつが、虚偽内容のメールだった。順を追って説明しよう。

◇CPTの設置

当時、郵政グループの中には、CPT(コミュニケーション・プロジェクト・チーム)が設置され、そこが広告代理店を選ぶ役を担っていた。CPTの中心メンバーは、Cを含めて以下の5名だった。

A専務
C(秘書役)
広報関係者,
X社から派遣されたD氏(博報堂の関係者)。
さらにアドバイザーとしてX社の当時の監査役(元博報堂執行役員・平成19年11月X社取締役会長に就任・以下、単に「監査役」)

④と⑤が博報堂の関係者である。この2人がどのような経緯で、CPTのメンバーになったのかは不明だが、この時点で博報堂がPR業務を独占する条件がかなり出来上がっていたのである。

しかし、5人が中心になっていたとはいえ、CPTには郵政グループの事業会社の担当者も加わり、意見を述べる権利を保証されていた。

CがCPTのメンバーに対して送付したメールは、郵政の西川善文社長の承諾により、広告代理店を一社に絞って選ぶことが決まったとする内容だった。この虚偽内容は、報告書によると、

「西川社長の承諾により郵政民営化前後の4カ月間の宣伝広告に対応する広告代理店(以下、誕生期代理店)と、その後、平成20年1月以降の日本郵政グループの広告代理店の各一元化を実施」

と、いう部分である。

「一元化」とは、一社による独占を意味する。

しかし、CPTの設置を決めた時には、このような話はなかった。それどころか、その後のCPTでは、 グループ会社がそれぞれ広告代理店を選ぶ方針が示されていたのである。

この点について、報告書は、西川社長の承諾を得ることなく「C秘書役が他の1部CPTメンバーと相談して事実上の決定をし、それをあたかも既定方針でもあるかのように」公言して、CPTの方針にしたと結論づけている。

◇博報堂が選ばれた経緯

こうしてCを中心に、博報堂に郵政グループのPR業務を博報堂に独占させる方針が動き始めたのである。

ちなみに広告代理店の選定は、2回行うことになっていた。まず、最初は「誕生期代理店選定」である。これは郵政の民営化が完了するまでの時期を対象として、PR活動をする広告代理店の選定を意味する。

次に郵政の民営化が完了した後にPR業務を独占する広告代理店の選定がある。

2つの選定で、選ばれたのは、いずれも博報堂だった。電通もADKも敗れて撤退したのである。当然、選考のプロセスにもおかしな部分が見受けられる。たとえば報告書は、最初の選定では、「正式な稟議・決裁手続きは行われなかったものと思われる」と結論付けている。また、2回目の選定も公正なものではなかった。報告書は次のように述べている。

「事前の段階では拡大CPTのメンバーである各事業会社の担当者も当事者として参加することが予定され、実情としても同各担当者から強い参加希望が出されていたのであるが、その後、同プレゼンが実施された際には、同各担当は発言権・投票権のないオブザーバーとしての参加が許されたに過ぎなかったとの事実が認められる」

問題の多いCPTにより、博報堂が郵政グループのPR業務を独占するようになったのだが、その結果、Asahi.comが報じたように、2年間で博報堂から368億円もの請求を受けることになったのである。

◇アスカの被害は氷山の一角か?

郵政事件では、郵政グループのCPTに入り込んだ博報堂関係者と、接待を受けていたCが同社を攪乱したことになる。攪乱して巨額の請求を行うようになったのだ。これに類似した手口が、アスカでも行われたのだ。

メディア黒書で既報したように、博報堂は、まず、競合相手だった電通と東急エィジェンシーを排除した。郵政のケースと同様に、業務の独占を狙ったのだ。そのために採用した戦略のひとつが、担当営業マンがアスカのために広告契約を取り付けて、博報堂の営業力を誇示するというものだった。が、その広告契約が真っ赤な嘘だったことが、後日、発覚する。次の記事が参考になるだろう。

■博報堂の広告マンに電通も歯が立たずに撤退、京都きもの友禅とHISを巻き込んだ奇妙な「広告事件」

2008年ごろから、博報堂は、アスカのPR業務を独占した。それからは、後に裁判の争点になる数々の疑惑のある請求を繰り返すようになったのである。南部社長と社員の間に、博報堂の営業マンが介在していたために、意思の疎通が不十分だったことが、被害を大きくした。

アスカ側も、この点については、不注意だったことを認めている。

上層部から下への確認は直ぐに取れるが、下から上層部への確認は取りにくい。博報堂が請求のタイミングを数ヶ月遅らせれば、責任者の記憶は薄れる。その結果、不正な請求がまかり通ってしまう。

しかし、アスカが事前に承認していない業務に対する請求項目があることは、業務以前に見積もりが提示されていない事実でも判明する。事前に見積もりを提示するようにアスカが指示しても、見積書の名称だけは「事前御見積書」に変更して、実際には相変わらず、後付けの日付けで見積もりを提示し、しかも、その内容が請求書の項目と一致している。

さらに驚くべきことに、「事前御見積書」の日付けすら、従来どおり月末日のままという怠慢ぶり、不注意ぶりだった。

これでは最初から徴収の手口も徴収額も決まっていて、それに整合するように書類を作成しているようなものだ。被害額が増えても不思議はない。実際、アスカはCM関係だけで、約48億円の損害を受けている。

郵政事件という観点から、アスカと博報堂の係争を見ると、この係争は氷山の一角に過ぎない可能性もある。営業マンだけの責任というようりも、博報堂という組織が背後にいると考えるべきだろう。本質的な部分では、郵政事件と同じなのだ。

今後、アスカと同様に被害を訴える企業も現れるのではないかという気がする。

Cが受けた接待の詳細については誰も知らない。

■日本郵政ガバナンス問題調査専門委員会の報告書の「別添」・検証総括報告書

 

【情報提供窓口】048-464-1413(メディア黒書)

2016年09月09日 (金曜日)

「置き引き」という行為がある。空港などで足元に荷物をおいて搭乗手続きをしている時など、ちょっと目を離したすきに、さっと荷物をさらっていく手口である。ネズミ小僧も顔負けの早業だ。

筆者が博報堂の取材をはじめたのは、今年の3月であるから、開始から半年が過ぎた。最初は折込広告の水増し疑惑程度に考えていたが、その後、取材が進むにつれて、アスカコーポレーションが被った被害額の大きさもさることながら、騙しの手口が多様でさまざまな分野に被害が及んでいることがわった。

スキがあれば、そこに付け込んでくる。まさに置き引きを連想させる手口なのだ。経済事件の取材には、怒りや悲壮感が付きものなのだが、今回は、ブラックユーモアがある。

たとえば、2010年に福岡市の大濠公園でイルミネーションイベントが行われ、アスカは主催者にはならなかったものの、特別協賛企業として3000万円の予算を限度として、イベントをサポートしたのだが、イベントが終わってみると、イベントを仕切った博報堂側から5,500万円も請求された。しかも、警備費やらPR費やら、事務局対応費やら、わけのわからない請求が並んでいたという。(この事件については、日を改めて記述する機会があるかも知れない)。

不正は、アスカが過去の調査を強化するにつれて、次々と「発見」されている。もちろん、「置き引き」レベルよりも遥かに悪質な不正、たとえばCMの番組提案書に嘘の視聴率を書き込んで、番組枠を買い取らせた疑惑で、約48億円を請求されている大事件もあるが、不正の手数と言う点からすると、「置き引き」のレベルが多い。

最高検察庁から松田昇氏が人物が天下りしている事実と不正の多さが整合しない。本来、検察人脈を使って、不正を「取り締まる」のが松田氏の任務なのだが、何をやっているのだろうか。が、これでも博報堂DYメディアパートナーズは東証の上場企業である。

半年の取材を経て、次に考えなくてはならないのは、天下り問題も含めた企業体質である。博報堂事件を考えるうえで、特に留意しなければならない過去の事件がある。それは2008年ごろから明るみに出てきた郵政関連の事件である。ちょうどこの同じ時期に、博報堂は同じ「指揮官」の下で、アスカのPR業務を独占するようになったのである。そして、今にして思えば「置き引き」を連想させる不正を繰り返していたのだ。

この郵政関連の事件には博報堂の体質がよく現れている。

◇郵政民営化の闇

小泉内閣の下で、構造改革=新自由主義導入の象徴として断行されたのが郵政民営化だった。従来、公的な機関が担ってきた公共サービスを民営化することで、政府などの公的機関を縮小し、公権力の介入を弱め、経済を市場に委ねる政策で、米国のレーガン、イギリスのサッチャー、チリのピノチェットが先駆人だ。市場原理主義ともいう。

小泉構造改革の是非については、ここでは言及しないが、結果として、郵便局が民営化された時期に、熾烈な利権争いが生じたのである。

この問題の詳細につて、大メディアはあまり報じていないが、幸いに総務省がウエブサイトで「報じて」いる。たとえば2010年に「日本郵政ガバナンス問題調査専門委員会」が、報告書を発表している。

■日本郵政ガバナンス問題調査専門委員会

国会が郵政民営化を決定したことで、2007年に日本郵政公社が解散して、4つの事業会社が誕生した。具体的には、郵便事業株式会社、郵便局株式会社、ゆうちょ銀行、かんぽ生命保険である。

さらにこれら4社を統括する持ち株会社である日本郵政が誕生したのである。トップに座ったのは、元三井住友銀行頭取の西川善文氏である。

が、西川体制の下で、利権をめぐるさまざまな不正が起こる。比較的よく知られているのは、「かんぽの宿」70施設をオリックスに一括売却しようとした事件である。この計画は、鳩山邦夫総務大臣が中止させたが、当時の利権争がどのようなもんであったかを物語るエピソードといえよう。

ちなみにオリックスの宮内義彦氏は、典型的な構造改革=新自由主義の信者で小泉内閣の時代、総合規制改革会議の議長を務めていた。

が、事件はこれだけではない。日本郵政ガバナンス問題調査専門委員会の報告書には、筆者も知らなかった事件に関する記述が複数ある。たとえば、これも不動産に関するもので、東池袋事案、那覇事案、そして東山事案。また、ゆうパックとペリカン便の統合に端を発した失策。さらに、その他、いちいち記述すると際限がない。

◇博報堂がらみの事件の数々

その数多い不祥事のひとつとして報告されているのが、博報堂が関与した「責任代理店」問題である。順を追って説明しよう。

既にのべたように郵政民営化により、従来の「郵便局」は、4社に分社され、さらにそれを統括する持ち株会社・日本郵政が置かれた。これらの社が広告代理店を使ってPR活動を行う場合、当然、契約する広告代理店を選ぶ必要があるのだが、その際、個々の会社が独自に広告代理店と契約するのではなく、統括の役を担う日本郵政が代表して広告代理店と契約するのだ。

と、なれば当然、日本郵政と取り引き契約を交わした広告代理店は、郵政関連4社のPR事業も請け負うことができる。

その「責任代理店」を選ぶ過程で、博報堂の不正があったことが、報告書に記録されているのだ。次の記述である。

  博報堂が広告責任代理店に選定されるについては、アドバイザーなどとして博報堂出身者が関与している一方、博報堂への一元化に対する各事業会社の反対意見が考慮されていない。

しかも、博報堂が広告責任代理店になった後、郵政グループ内では、「稟議決裁などが行われた形跡がなく、事実上、日本郵政の三井住友銀行出身の事務幹事部において決定したかのよう」な実態が生まれていたのだ。

アスカでもまったく同じ事態が生まれていた。博報堂の営業マンが、南部社長に接近して親密になり、たとえ社員が疑問を呈しても、「社長の承諾を得ている」の一言で、全てが決せられていたのだ。

このような実態については、次の記事に詳しい。事件の全体像も合わせて説明している。

【解説】奇怪な後付け見積書が多量に、博報堂事件の構図はどうなっているのか?

郵政の社員もアスカの社員も同じ時期に博報堂の巧みな戦術に落ちたのである。

郵政から博報堂への発注額は、2008年(平成20年)だけでも、223億円に達している。また、朝日新聞の報道によると、契約書を結ぶことなく2年間で368億円の広告が発注されている。次の記事である。

■日本郵政、広告発注に契約書なし 博報堂に368億円

こうした実態について、同報告書は、次のように述べている。

  当時の日本郵政においても、行動憲章、コンプライアンス基本方針が定められ、コンプライアンス委員会、内部通報窓口なども設置されるなど、一般的な観点からは、コンプライアンスに対してそれなりの取り組みが行われていた。

不正防止の取り組みという点では、郵政に比べて経営規模がはるかに小さいアスカの方が厳格だったことはいうまでもない。それにもかかわらず博報堂の暴走を許してしまったのだ。

意外に認識されていないが、郵政事件とアスカが巻き込まれた事件は、実は同じ土壌の上にある。同じ企業体質の上にある。

博報堂の手口は、誰も承認していない不当に高額な請求書を送って経理や会計担当者に、社長や責任者が承認していると思わせて金員を騙し取るという手口だ。

その意味でアスカが巻き込まれた事件に類似しており、郵政事件の全容解明は、不可欠だ。郵政に関連した博報堂の過去の業務を洗いなおしてみる必要がある。その際、歴代の天下りの有無も調査する必要がある。

【参考資料-日本郵政ガバナンス問題調査専門委員会】

・日本郵政グループの広告代理店の一元化のため、平成19年12月17日に広告責任代理店として株式会社博報堂(以下、「博報堂」)を選定し、グループ全体の広告が同社に発注されることになった。このような広告代理店の一元化の方針については、これが同グループ全体の広告宣伝に関わる重要事項であるにも関わらず、稟議決裁などが行われた形跡がなく、事実上、日本郵政の三井住友銀行出身の事務幹事部において決定したかのようであることに加え、以下のような事実があり、手続の適正性・透明性並びに公正性の欠如、経営判断の在り方の問題、コンプライアンス関連の問題などが認められる。

・ 同一元化の方針決定により、その後、博報堂が広告責任代理店に選定されるについては、アドバイザーなどとして博報堂出身者が関与している一方、博報堂への一元化に対する各事業会社の反対意見が考慮されていない。

・ 株式会社博報堂エルグ(以下、「エルグ」)問題の報道(平成20年11月8日)以後、郵便事業会社による親会社博報堂に対する損害賠償請求、エルグ役員の逮捕・起訴、博報堂による日本郵政グループへの一般競争入札参加自粛通知などのことがあり、その間、各事業会社から対応についての問い合わせなどがあったにも関わらず、日本郵政は、各事業会社の博報堂に対する随意契約による発注を継続させ、総務大臣による批判、総務省からの報告徴求の翌日(平成21年6月4日)に至って、ようやく博報堂を責任代理店とすることを取りやめた。

・ 日本郵政の上記事務方幹部は、博報堂関係者からの飲食等の接待を受け、その上司(博報堂選定の稟議決裁者)においても同接待を受けていたものと思われる。

2016年09月08日 (木曜日)

2016年7月度のABC部数が明らかになった。急激な部数減の傾向に歯止めはかかっていない。特に朝日新聞と毎日新聞の部数減が著しく、朝日は対前年同月差で-325,156、毎日は-192,085である。

朝日新聞 6,465,794(-325,156)
読売新聞 8,979,199(-130,270)
毎日新聞 3,060,091(-192,085)
日経新聞 2,719,928(-18,041)
産経新聞 1,569,836(-31,998)

地方紙を含む全紙の部数は次の通りである。

■2016年度のABC部数

◇ABC部数は「押し紙」を含む

ちなみに実際に配達されている新聞部数(実配部数)とABC部数との間には乖離がある。ABC部数に「押し紙」が含まれているからだ。

「押し紙」とは、広義には新聞社が新聞販売店に対して供給する過剰な新聞部数を意味する。残紙ともいう。たとえば2000部しか配達していない販売店に対して3000部を搬入すれば、差異の1000部が「押し紙」である。この1000部に対しても、新聞社は卸代金を徴収する。普通の新聞とまったく同じ扱いにしているのだ。

かりにジャーナリストが「押し紙」問題で新聞社を追及しても、新聞社は自分たちは一度も「押し紙」をしたことはないと真面目な顔で反論してくる。

◇10月2日に「押し紙」問題の全国集会

「押し紙」が深刻になっている状況の下で、10月2日、「新聞の偽装部数『押し紙』」と題する講演会とパネルディスカッションが東京・板橋区の板橋文化会館で開かれる。

この集会では、新聞ジャーナリズムの「正義」と「押し紙」政策は両立するかについて考える。詳細は次の通りである。

■「新聞の偽装部数『押し紙』」の案内

※冒頭の動画は、「押し紙」の回収場面

 

2016年09月07日 (水曜日)

政府の広報活動の実態が明らかになった。2015年度、内閣府に対して広告代理店が送付した公共広告(主に新聞)とテレビスポットCMの請求額の総額は、48億1704万485円だった。

この金銭は、主に新聞社、放送局、広告代理店の収益になっている。

広告代理店ごとの請求額内訳は次の通りである。

◇黒塗りにされた請求書

このうち博報堂から請求のあったCM分は、未公開になっている。電通をはじめ他の広告代理店は、すべて数字が公開されているが、なぜか博報堂のCM請求だけが未公開になっている。従ってどの程度の金額が内閣府から博報堂に流れ込んでいるのかは知り得ない。

博報堂がらみのCMで「間引き」疑惑が浮上している時期なので、公共CMについても放送確認書の情報開示が不可欠になる。

次に示すのは、請求額に関する部分が黒塗りにされた書面の一部である。

■黒塗りになった博報堂の請求書

◇請求書の番号と発行月日が空白に

博報堂の請求書のうち数字が不明な請求書の内訳は次の通りである。

また、数字が公開されている請求書の内訳は次の通りである

一体、何を基準に広告価格を決めているのかよく分からない。たとえば、10月に掲載された次の広告の価格は約2億6000万円

「社会保障と税の一体改革(マイナンバー制度)」 契約71紙、各紙全5段、見開き(4色)(「アカン!ホカン!」篇)

これに対して、掲載条件がほとんど同じ次の広告は約1億3000万円

「社会保障と税の一体改革(マイナンバー制度)」 契約71紙、各紙全5段(4色) (「Q&A」篇) ※但し、市民タイムスのみ全11段(4色) 

何がこれら2つの広告の価格差を生んだのか分からない。

さらに請求書番号も付番されていなければ、請求書の発行月日も入っていない。過去の会計年度で次年度に繰り越さなかった金額から、資金を支出した可能性もあるが、このあたりの事情は、内閣府と会計検査院に問い合わせる必要がありそうだ。