2016年11月20日 (日曜日)

東京都板橋区小豆沢の住民とNTTドコモの間で持ちあがっている携帯電話の基地局問題は、新局面をむかえた。10月30日にNTTドコモを招いて住民が開いた説明会で、住民側は基地局の設置計画の中止を要請していたが、NTTドコモがそれを拒否して基地局を稼働させた可能性が生じている。
住民側は基地局の周辺で断続的に測定を続けてきたが、説明会の前は、200mV/mぐらいの数値だったが、現在では、高いところでは3500mV/mを超える数値に上がっている。
ただ、電磁波の数値は、変化の幅が大きいので、断定的なことはいえない。もし、NTTドコモがすでに基地局を稼働させているとすれば、住民にそれを通知していないわけだから、極めて不誠実な態度と言わなければならない。
同社は、練馬区でも住民の反対を押しきって、基地局を稼働させている。
ここには「予防原則」で住民の命を守るのか、それとも金銭欲を優先するのかという倫理上の問題がある。
ちなみにNTTグループには、これまで多人数の官僚が天下りしている。次に示すのが、そのリストである。(出典はソフトバンク)
■NTTグループへの天下り一覧

2015年度に博報堂と内閣府が交わしたPR業務の契約で取り決められた価格が約6700万円であるにもかかわらず、博報堂が年間で約20億円の請求を行い、しかも、過剰になった請求に対応する見積書を作成していなかった問題で、筆者は18日、博報堂と同社の外部取締役・松田昇(最高検察庁からの再就職・広義天下り )氏に対して取材を申し入れた。
申し入れ書の全文は次の通りである。
藤井様
お世話になっています。
フリーランスライターの黒薮哲哉です。
貴社が2015年度に内閣府に対して送付された請求書の請求総額と、同年度の業務契約で合意された金額に約20億円の差異があります。この問題について、貴社と貴社の社外取締役・松田昇氏を取材させていただきたく、連絡を取らせていただいた次第です。ご検討ください。
詳細については、取材時に説明させていただきます。
この問題は、アスカコーポレーションと貴社の係争とは無関係なので、取材に応じていただくように
要望します。特に松田昇氏に対する取材を強く希望します。
黒薮

博報堂事件の報道は、第1ステージの「博報堂VSアスカコーポレーション」から、第2ステージである「公費の検証」に入った。「公費の検証」とは、公共機関に対する博報堂からの請求書や契約書の検証である。たとえば、博報堂が企画したイベントでどの程度の「税金」が、同社に流れたかといった問題である。請求額や請求方法に問題はないのかといった点を検証する必要がある。
博報堂が内閣府に送付した請求書と契約書のうち、2015年度のものを検証してみよう。結論から先に言えば、極めて不可解な請求を行っている。
請求額が契約書に明記された金額を大幅に超えている事実があるのだ。その額は尋常ではない。
2015年度の年間契約額は、6701万58円である。これに対して、博報堂が実際に内閣府に請求した額は、20億3478万9949円である。しかも、この請求額には、テレビCMの請求分は含まれていない。
請求額が契約額をオーバーすること自体は、特に珍しいことではないが、その場合、どのような理由で請求額が超過したのかを裏付ける何らかの書面を作成するのが常識だ。たとえば見積書である。ところが博報堂はそうした書面は作成していない。少なくとも内閣府には存在しない。
また、全請求書に日付けが明記されていないことも特筆しておく必要がある。これについては、今後、取材を進める。
◇博報堂へ天下りしている元検事・松田昇氏の見解は?
ちなみに筆者は電通など、他の広告代理店と内閣府の取引についても、情報公開資料を基に検証したが、しかし、疑惑はなにもなかった。契約書の金額と請求額が正確に一致していた。
博報堂の書面だけが異常なのだ。
博報堂はこれまでアスカコーポレーションとの係争を理由に、筆者の取材を拒否してきたが、内閣府の問題はまったく別なので、今後、取材により同社の見解を引き出す必要があるだろう。
また、博報堂には、最高検察庁から松田昇氏が再就職(広義の天下り)しているので、見解を聞きたいと考えている。松田昇氏は、「ロッキード事件では児玉誉士夫の取調べ担当にあり、さらに1976年7月27日午前6時半、特捜部資料課事務官の4人らと共に、目白台の田中邸に出向き、田中角栄を逮捕、東京地検への同行を求めた」(ウィキペディア) 経歴がある。
いわば正義の塊のような人である。その元検事が社外取締役を務める博報堂が内閣府に対して行った「過剰請求」を松田氏がどう評価するのか、これについても取材を申し込む必要があるだろう。松田氏には見解を示してほしい。

筆者が内閣府に対して情報公開を請求していた資料が14日に開示された。
開示されたのは、博報堂が内閣府に対して送付した2016年度(16年4月から17年3月)の全請求書である。どのような広報活動に対して、どの程度の「税金」が使われているかを調査するのが、情報開示を求めた理由である。
今回、開示された請求書は5枚。タイトルは全て次のようになっている。
「モバイル携帯端末サイト等を活用した『官公庁専用ゲートアド』広告掲載料」
価格は、月によって若干の差があるが、約435万円である。この価格をどう解釈するかは別として、今回の情報公開請求については、次の重大な疑問点も指摘しておかなければならない。
◇不自然な請求書送付の時期
昨年、新聞広告に対する総請求額が20億円を超えていたので、筆者は、今年度の新聞広告に対する請求はないのかを尋ねてみた。結論を先に言えば、内閣府の回答は、今年度についても新聞広告は掲載しているが、新聞広告に対する請求書は年度末にまとめて送られてくるのが慣例になっている、というものだった。
たとえば今年の4月に1億円の新聞広告を掲載したとすれば、その請求書は、会計年度末に送られてくるのだという。従って2017年の3月か4月ごろに送付される。事実、今回開示された請求書の中に、新聞広告に対するものは1枚もなかった。
これは通常ではありえない経理処理である。普通の広告代理店は、契約した業務が完了すると、ただちに請求書を送付して、支払いを求める。3ヶ月も支払いがなければ催促する。こうして資金を回収するのだ。
ところが内閣府の新聞広告の場合、博報堂は広告を掲載しても、その請求書はずっと後になってから送付するのだ。請求書を受け取る内閣府にとっても、これは不合理な方法に違いない。請求書対象になっている新聞広告に実態があるかどうかを精査するためには、バックナンバーに照合する必要があるからだ。
内閣府と国会図書館は、徒歩10分だが、これはやっかいな作業だ。
こうした状況なので、2016年度の新聞広告に対する請求の実態を知るためには、2017年度になってから情報公開請求をする必要がある。今回の情報公開請求で、それを再確認することができた。
◇正規の会計システムではない
なぜ、博報堂がこのような不可解な請求方法を採用しているのかは不明だ。
ちなみに今回入手した請求書も、前年度と同様に発行日が空白になっている。請求書番号も入っていない。大企業の場合、見積書から請求書まで、共通の番号(コード)でコンピュータ管理するのが常識になっているが、博報堂が内閣府に送付した請求書は、そんなふうにはなっていない。おそらくエクセルでも作成できる。
前年度の新聞に対する請求が20億円を超えているわけだから、徹底した解明が必要だ。
2016年11月16日 (水曜日)

今年の8月に、早稲田大応用脳科学研究所の研究グループ(代表:北條祥子尚絅学院大名誉教授)が、日本人の3.0~4.6%に電磁波過敏症の症状が観察できるという研究結果を発表した。その引き金はなにか?
従来から化学物質過敏症になると、電磁波過敏症を併発しやすいと言われてきた。筆者は研究者ではないので、断定的な事は言えないが、これまでの取材結果を見る限り、顕著にそういう傾向がある。
たとえば拙著『電磁波に苦しむ人々』(花伝社)で取り上げた塩田永さんという男性は、青年期に水道配管の仕事に従事したことがあり、その際に接着剤を多量に吸い込んでいる。後に重度の電磁波過敏症を発症し、携帯電話の「圏内」に住めなくなり、山間部にある「圏外」の村に引っ越した。
◇化学物質過敏症から電磁波過敏症
東京都目黒区中央町2丁目にあるスミレレジデンス(6階建て)の屋上にKDDIが基地局を設置する計画を押し進めている。この建物から60メートルの地点に住む藤川里美(仮名)さんは、基地局が稼働した場合に受ける健康被害を懸念している。すでに電磁波過敏症を発症しているからだ。
幸か不幸か、藤川さんは基地局が設置されるビルの屋上に、工事会社がクレーンで機材を運び上げていることに気づいて、KDDIに工事の中止を申し入れた。現在、工事は中断している。
藤川さんから筆者が、電磁波過敏症を発症するまでのプロセスを聞き取ったところ、塩田永さんと類似した経緯をたどっていることが分かった。塩田さんと同様に、強い化学物質を吸い込み、最初に化学物質過敏症を発症し、それから重度の電磁波過敏症を発症したのである。
発端は、自宅のリフォームだった。
2012年10月19日、朝の9時頃から、藤川さんの自宅で剥離剤を使って床(フロアマニキュア・ナノ)の剥離作業が始まった。藤川さんは、数日前から腰椎捻挫を発症していたため、作業現場のすぐ脇の部屋のベッドで静養していた。剥離剤の臭いが漂っていたが、それが後に化学物質過敏症の引き金になるとは想像もしなかった。
作業開始から3時間ほどが過ぎたころ藤川さんは、頭痛・吐き気・めまいを感じた。そこですぐ近くにある目黒病院を受診して点滴治療を受けた。また、目の充血・痛みがあったので、目薬を点眼した。
それから一旦自宅へ戻った。しかし、身体のしびれや背中の痛みなどの症状が現れたので、夕方に再び目黒病院を受診した。藤川さんが言う。
「剥離作業は素人から見ても明らかに難航しており、剥離剤を大量に使っている様子が伺われました。この日は、剥離剤をフロアマニキュア・ナノに浸潤させる作業を行って終了しました」
翌日も、藤川さんは作業現場近くのベッドで静養していたが、頭痛と吐き気に加え、めまいがした。のどや身体の痛みもあった。
午後2時半頃に作業は終わったが、フローリングの表面がめくれ、シミが多数生じているなどの不具合があった。結局、工事は失敗に終わったのである。
剥離作業終了後の翌日から、藤川さんは強い薬品臭を感じるようになり、眠れなくなった。体調もさらに悪化して、勤務していた銀行を休まざるを得なくなった。
また、飼っている猫も食事を摂らなくなり、下痢などが続いた。20日の深夜には吐血した。ほとんど動かなくなり、重篤状態に陥ったのである。
工事会社も大量に剥離剤を使ったことが、藤川さんが体調を崩した原因であることを認めて、避難先としてホテルを準備してくれた。
こうして藤川さん一家は、以後、2016年の9月まで、自宅を離れた生活に入ったのである。この間に東京都、国土交通省、厚生労働省、東京労働安全衛生センター、目黒保健所、目黒消費生活センターなどとコンタクトを取り、自らの被害を訴えた。工事会社も責任を認めて、それなりに誠意ある対応をした。化学物質過敏症の原因が床の剥離作業で使った剥離剤にあることを認めたのである。
ちなみに藤川さんを、化学物質過敏症と診断したのは、北里大名誉教授・宮田幹夫さんが運営するそよ風クリニックだった。家族も同様の診断を受けた。
藤川さんの症状は特に重篤で、現在も通院している。職場はすでに退職している。客が柔軟剤などを使った衣服を身に着けていると、せき込んだりした。生理も止まった。ちょっと添加物が入った食品を食べると、血便がでるようになった。
◇電磁波過敏症の発症
電磁波過敏症を発症したのは、2014年3月だった。パークハウス世田谷松原に住んでいた時だった。近くに携帯電話の基地局があった。藤川さんは化学物質過敏症になると、電磁波過敏症を発症しやすいことを知っていたので、注意していたが、発症が現実になった。
しかも、それは前触れなく襲ってきたのである。
「スマートフォンを使っていたとき、急に動悸に見舞われました。それから吐き気に襲われました。スマートフォンを切ると症状が収まりました。試しにもう一度、スマートフォンを入れると、症状が再発しました。わたしは電磁波過敏症になったことを自覚しました」
再び住居を移した。ようやく化学物質の影響がなくなった自宅へ戻ってきたのは、2016年9月だった。そして10月26日に、クレーンが基地局の機材らしきものを、スミレレジデンスの屋上に搬入している光景を目撃したのである。
化学物資過敏症も、電磁波過敏症も、前触れなくいきなり発症するようだ。しかも、だれでも発症するリスクを抱えている。そして一旦「過敏症」になると、生活が破壊されてしまう。
KDDIの対応が注目される。

内閣府から14日(月)に、博報堂に関するいくつかの内部資料が開示される。これは情報公開制度に基づいた手続きで、わたしが申し立てた情報公開請求に応えるものである。
開示される資料は、2種類ある。まず第1の資料は、博報堂が内閣府に対して送付した全請求書のうち、2013年度分、2014年度分、2016年度分である。これらの請求書により、どの程度の金銭を博報堂が国に請求したかが判明する。
ちなみに既に入手している2015年度分の請求書によると、2015年度は、約20億35万円である。ただし、この数字には、テレビCMの金額は含まれていない。
第2の資料は、2015年度分の公共のテレビCM(国策のPR)の放送確認書である。放送確認書とは、テレビCMの放送状況を示す公式の書面のことである。証書の意味を持つ。ここに表示された記録を見れば、CMが放送されたか、それとも休止になったかが分かる。念を押すまでもなく、放送された場合は、放送された時間帯も書面に印字される。
◇放送確認書とは
放送確認書は、現在は、「CM10桁コード」によってコンピューター管理されている。クレジットカードや銀行口座に番号が付けられるように、テレビCMにもコードが付けられる。そのCMコードをコンピュータに入力して、テレビCMの放送状況などを正確に確認するシステムだ。
これによりクライアントは、自分がスポンサーとなったCMが契約どおりに放送されているか否かを確認できる。
コンピュータが人間を管理するこのようなシステムをテレビ業界が導入したのは、1990年代の後半に、福岡放送、北陸放送、それに静岡第一テレビで発覚したCM「間引き」事件が糸口だった。
再発を防止するために、日本民間放送連盟や日本アドバタイザーズ協会などの5団体が中心になって、CM「間引き」の防止対策を講じた結果だった。
しかし、メディア黒書で既報したように、アスカコーポレーション(以下、アスカ)と博報堂の裁判の中で、このCM10桁コードが非表示になった放送確認書が多量にあることが判明した。アスカが放映料を支払っていながら、実際には放送されていないCMが多量にある疑惑が生じたのである。
参考までに、放送局ごとのCM10桁コード非表示の件数を示しておこう。次の表である。
アスカとテレビ局の間に入っていた広告代理店・博報堂に責任があることは言うまでもない。ちなみに、CM10桁コードの非表示件数が最も多いスーパーネットワークは、博報堂DYホールディングスが株式の50%を占める衛星放送局である。博報堂そのものと言っても過言ではない。
◇3点の検証項目
わたしが内閣府に対して放送確認書の情報公開を請求したのは、アスカと博報堂の係争の中で浮上したCM間引きの疑惑が、公共のCMでも生じていないかを見極めるためである。その作業に必要なのが、放送確認書である。
もちろんCMが放送されたか、否かだけではなく、契約された放送時間帯にCMが放送されたかどうかも検証点になる。テレビの放送枠は、視聴率などによってランクがあり、放送料も異なる。視聴率が低い深夜や早朝の時間帯は、料金も安い。これらの時間帯にCMを放送して、他の放送時間帯、たとえば「ゴールデンタイム」(19時から22時)の料金を請求しても詐欺である。
本日、入手する資料については、解析したのち公表する予定だ。
ちなみに現在、問題になっているのは次の3点である。
①全体の請求額が異常に多い。
②テレビCMの請求額が完全に隠蔽されている。
③放送確認書にCM10桁コードが表示されていないものがある可能性がある。

博報堂事件で新たな検証点が浮上している。
2009年4月28日から9月27日までの日程で、「開国博Y150」と題する博覧会が横浜市で開かれた。主催者は、「財団法人横浜開港150周年協会」(以下、協会)で、この団体の監督官庁は神奈川県だった。
「開国博Y150」にも、イベントの企画者として、博報堂がかかわっていたことが分かった。
このイベントは、当初、500万人の有料入場者数を達成することを目標に立案されたが、実際は123万人の入場者しかなかった。その結果、協会は巨大赤字を抱え込んだ。当然、未払い金が発生する。それが引き金になって、裁判所が介入した6件の係争が勃発したのである。
◇市民オンブズマンによる提訴
係争の中には、「横浜市民オンブズマン」と「かながわ市民オンブズマン」が、林文子横浜市長に対して起こした訴訟もある。「開国博Y150」が開かれた当時の市長は、林氏ではなく、中田宏氏だったが、その中田氏が協会に補助金を支出したのは「公益上の必要を欠く違法な決定」として、中田氏に約78億円の損害賠償を求めるように、訴訟というかたちで林市長に迫ったのである。
判決は、オンブズマン側の敗訴だった。
中田宏氏には資金の使い方に関する疑惑がかかった。その中田氏は、事件の渦の中で市長を辞任して、杉並区長の山田宏氏らと政治団体「よい国つくろう!日本志民会議」を結成して、中央政界へと近づいていく。しかし、議員の椅子は獲得できなかった。
◇博報堂と協会の特別調停事件
もうひとつの注目すべき係争は、博報堂JV(博報堂等協同企業体)と協会の間の特別調停事件である。協会が博報堂JVと交わした契約額は約61億9000万円だった。しかし、未払い金が約34億円も発生したので、そこからの減額を協会側は求めた。未払い金をどう処理するかが争点になったのだ。
博報堂JVと協会が交わした約61億9000万円という契約額がそもそも妥当な額だったのだろうか。この点を、今後、再検証しなければならない。筆者は、既に関係資料の一部を入手しているが、それによると博報堂との契約は概算契約だったようだ。つまり、後付けで、次々と請求額を増やしていける客観的な条件があったようだ。
博報堂による後付け請求の手口については、「博報堂VSアスカコーポレーション」の係争の中でも、その実態が明らかになっている。たとえば次の記事である。
福島の被災地でもビジネス感覚の博報堂、アスカ支援のクリスマスイベントで「後付け」の高額請求1250万円
2010年にアスカが特別協賛企業として、資金援助を行った福岡市の大濠公園でのイルミネーションイベントでも、当初、3000万円を限度とする支援約束だったが、イベントが終わった後、博報堂は5500万円を請求している。
「開国博Y150」は、福島や大濠公園のイベントとは、比較にならないほど大きく、当然、予算規模も大きい。博報堂が同じ方法で、後付けの請求をしていないか、今後、資料を分析する必要がある。
◇郵政事件と「開国博Y150」
「開国博Y150」は、既に述べたように2009年に行われたイベントである。この時期は、おりしも博報堂がからんだ郵政事件が発覚した時期だ。
郵政事件というのは、日本郵政公社が4社に分割され、民営化される際に博報堂が4社のPR業務を一括して引き受ける特権を勝ち取り、その後、法外な請求額が発覚した事件である。総務省もこれを問題視して、独自に調査した。その調査報告書によると、郵政側の一部の幹部が博報堂から繰り返し接待を受けていた事実がある。報告書の一部を引用しておこう。
「博報堂には民営化後の平成19年度の同グループの広告宣伝費約192億円(公社から承継された契約に係る部分を含む)のうち約154億円(全体の約80%)が、平成20年度の同247億円のうち約223億円(同約90%)が各支払われている」(『日本郵政ガバナンス問題調査専門委員会報告書の「別添」・検証総括報告書』、2010年)【博報堂関連の記述は29ページから】
2016年11月10日 (木曜日)

オーストリアのザルツブルグ市が定めているマイクロ波(携帯電話の通信に使われている)の目標値が、「2005年に失効した」という嘘の説明を、電話会社の社員があちこちで住民にふれ回っているらしいことが分かった。
マイクロ波の規制値や目標値、それに提言値は、地域により大きな差がある。ひとつの例を示すと、次のような数値の違いがある。
日本:1000 μW/c㎡ (マイクロワット・パー・ 平方センチメートル)
EU:0.1μW/c㎡【提言値】(室内は0.01μW/c㎡)
ザルツブルグ市:0.0001μW/c㎡【室内目標値】
ただ、ヨーロッパの国々を含めて、国家レベルでは、日本と同じレベルの数値を定めている場合が多く、たとえばザルツブルグ市のあるオーストリアの規制値は、900μW/c㎡ である。これは紛れのない事実である。
しかし、欧米では国が定めている高い数値とは別に、各自治体が独自の低い数値を定めているケースがあるのだ。そして優先され、影響力を持っているのは後者なのだ。特にEUの影響力は大きく、それを指標とした対策を取ることが常識となっている。
なぜ、これだけ数値に大きな差が生まれたのかといえば、国の基準がマイクロ波の熱作用だけしか考慮に入れていないのに対して、EUやザルツブルグ市は、非熱作用も考慮に入れているからだ。
非熱作用とは、おおむね遺伝子毒性のことである。国家レベルの規制値が決められた時期は、マイクロ波には遺伝子毒性はないとする説が有力だったが、その後、マイクロ波を含む電磁波全般(放射線)に遺伝子毒性があるとする説が有力になってきて、国の規制値とは別に目標値や提言値が生まれてきたのである。いわばこれらは世論の結晶なのだ。
◇業界の申し合わせか?
ザルツブルグ市の数値、0.0001μW/c㎡が「2005年に失効した」という説明をわたしが初めて聞いたのは、10月30日に、NTTドコモが東京板橋区小豆沢で行った説明の中でのことだった。
この発言をしたのは、ドコモの下請け会社・ミライト(株)の社員で、「オーストリアは2005年にザルツブルグ規制を失効させた、また他のEU諸国とおなじ、2GHz帯で1mW/cm2(1000uW/cm2)にした」と発言したのである。
発言はビデオに録音録画されており、間違いはない。
その後、メディア黒書に、ザルツブルグ市の数値、0.0001μW/c㎡が「2005年に失効した」とする説明は、ドコモとは別の電話会社の住民説明会でも聞いたという情報提供が寄せられた。その住民説明会に筆者は参加していなかったので、発言の真意は分からないが、それが事実とすれば、電話業界で申し合わせて同じ嘘の説明をしている可能性もある。
これまでわたしは、住民説明会を取材してきたが、会場の入り口で、「黒薮さんは地元住民ではないので入場できません」と入場を断られたことがたびたびある。今、考えてみるとザルツブルグ市の数値についての知識がある者が説明会にいると、数値のごまかしが出来なくなるから、入場を断ったのではないだろうか。
◇バイオイニシアティブ報告ではナノワットの水準
ザルツブルグ市の目標値が2005年に失効したというのは誤った情報である。と、いうよりも真っ赤な嘘である。電磁波問題のある研究者は、これについて、次のようにコメントしている。
1.ザルツブルク勧告値が撤回されたといふ話は聞いてゐない。
2.オーストリア医師会は、2012年に、同じ値(屋内勧告値)を「正常値」としてガイドライン化してゐる。
3.バイオイニシアティブ報告2012年版は、0.3~0.6 nW/cm2(ナノワット、nW=1/1000uW)である。
4.欧州評議会は暫定値として0.1uW/cm2を、将来的にはその0.01(1/100)にすることを示す議案を採択してゐる。
5.ザルツブルクだけでなく、基準値見直しが世界的潮流であることは明らか。

電通の長時間労働など、広告業界の不祥事が次々と発覚する状況の下で、10月24日に日本広告審査機構(JARO)に提出した質問状の回答が、8日にメールで届いた。この回答は、同機構の井尻靖事務局長に宛てた質問状に対するもので、2度目の回答である。最初の回答は、不思議なことに、10月27日に博報堂の広報部から届いた。日本広告審査機構に対する質問が、博報堂から届いたのである。
最初の回答は、「井尻は博報堂に在籍する社員であり、お尋ねの件(ご質問の①~⑤)も博報堂の井尻に対するものです。当社では社員に関するご取材、お尋ねにつきましては広報からご回答申しあげることとなっており、本件に関しましても広報よりご回答する次第です」と前置きした上で、アスカコーポレーションとの係争中を理由に拒否してきた。
その後、11月8日になって、今度は日本広告審査機構からメールで回答が届いた。回答者は総務部長の地主正人氏だった。上記①~⑤の博報堂に対する質問項目とは別の同機構に対する質問項目⑥~⑨に対する回答である。ちなみに⑥~⑨の質問項目は次の通りである。
◇質問事項
⑥がれき処理に関連した公共広告の出費額は、広告業界全体でどの程度になっているのでしょうか。
⑦2016年3月10日に、福島民友、福島新報など東北4紙に掲載された公共広告は、7段広告にもかかわらず、15段で請求されています。(この広告は、貴殿が所属されている博報堂の制作になっております)。これも嘘で紛らわしい行為です。貴機構として、この問題を調査される予定はあるのでしょうか。必要であれば、わたしが貴協会に資料を提供します。
⑧2015年度に博報堂が内閣府に提出された請求書を調査したところ、テレビCMの額が不開示になっています。貴機構で金額を把握されているようでしたら、教えてください。また、貴協会として、調査されるのでしょうか。
⑨防衛省から開示された広告業界からの請求書の中に、桁はずれに高額の請求書が含まれていますが、公的な資金から広告業界にどの程度の「税金」が支払われているのかを教えてください。
◇日本広告審査機構
日本広告審査機構の回答は次の通りだった。
黒藪様
時下、益々ご清栄のこととお喜び申し上げます。
10月24日に当機構あてご送信いただきましたファックスによる
ご質問⑥~⑨につきましてご連絡いたします。
当機構は、広告・表示の適正化を進める民間の自主規制機関であり、ご質問いただいた件につきましては、当機構としては知り得ることではなく、お答えする立場にはありません。
以上、ご理解いただきますようお願いいたします。
公益社団法人 日本広告審査機構
総務部長 地主正人
◇広告制作に倫理は問われないのか?
広告制作を取り巻く社会的な環境や広告関係者のモラルは、広告制作とは関係がないので、回答しないという考え方のようだ。制作された広告そのものに倫理的な問題がなければ、その広告を制作するプロセスの中で、どのような不適切な行為が行われていようが、関知しないという立場のようだ。
読売ジャイアンツで、野球賭博や覚醒剤の問題が発覚して、同球団は謝罪したが、たとえ広告業界で深刻な不祥事が発生しても、自分たちは広告そのものの審査機構なので、関知しない立場だという主張である。一種の責任の転嫁といえよう。
おなじような見解を持つ組織が放送倫理・番組向上機構(BPO)である。かつてこの団体に対して博報堂事件についての見解を尋ねたことがあるが、取材を拒否した。あげくの果てに、取材を申し込んだ事に対して、週刊金曜日の編集部に電話で抗議するありさまだった。
取材を拒否する自由は保証されてしかるべきだが、公的な問題に対しては、回答するのが世界の常識である。日本の広告関係者は、それをわきまえていない。
電通の過労死問題に見るように、広告業界は外部から強力な外圧がかからない限りは自浄能力がない。メディア黒書で既報したように、放送確認書の代筆や放送確認書の偽造、また視聴率の偽装についても、博報堂とテレビ局はまったく回答しない。広告業協会も問題を事件化しない限りは、解決の糸口がないようだ。

博報堂とアスカコーポレーション(以下、アスカ) の裁判が始まって1年が過ぎた。
最初の裁判は、博報堂がアスカに対して、約6億1000万円の未払い金の支払いを求めたものだった。博報堂は、2005年頃から、アスカのPR業務を独占して請け負い、テレビCMをはじめ通販情報紙の制作、新聞折込、それにイベントなどを企画してきた。
ところが2014年ごろから、アスカの資金繰りが悪化して、支払いがスムーズにいかなくなった。そこで覚書や支払い計画を制作するなど、両者の間で交渉が続いていたが、博報堂の態度が硬化して、アスカに対し公正証書の作成を求めたり財務資料の提出を求めるようになった。さらにアスカの銀行口座を差し押さえた。
そして2015年10月に博報堂がアスカに対して、俗に言う「6億円」訴訟を提起したのだ。
これに対して係争に巻き込まれたアスカは、博報堂との過去の取引を精査せざるを得なくなった。段ボールなどに保管していた大量の商取引に関する書類を調べたところ、次々と疑惑がもちあがってきたのである。
そこでアスカは、博報堂に対して2016年5月、約15億3000万円の過払い金の返済を求める裁判を起こした。俗に「15億円」訴訟という。ちなみにこの裁判は、「6億円」訴訟に対する反訴ではない。アスカが原告となって起こしたのである。2つの裁判の統合は行われていない。
さらにアスカは、2016年8月に、偽装した視聴率を記入した番組提案書(CMなどの制作が目的)で、博報堂から放送枠を買い取らされたとして、取引の無効と返金を求める裁判を起こした。請求額は約47億9000万円。俗に「48億円訴訟」と呼ぶ。
以上が博報堂とアスカの係争の構図である。
◇内閣府と博報堂の取り引き
しかし、「博報堂事件」を広義に捉えると、その範囲がかなり拡大する。たとえば、今、大きな疑惑がかかっているのが、内閣府に対する博報堂からの請求書である。情報公開により筆者が入手した請求書を精査したところ、請求額が不当に高額であることなどが判明した。
これは月刊誌『ZAITEN』でも、明らかにした事実であるが、請求額の規模が明らかに不自然なのだ。公共広告の場合、新聞の発行部数に準じて広告価格を決める基本原則があるのだが、内閣府から入手した博報堂の請求書は、大半が黒塗りになっているので、新聞社ごとの価格が分からない。そこで各新聞社の新聞発行部数に準じて、まず、配分率を求めた。下記のPDFが、2016年1月に掲載された全面広告(15段・モノクロ、価格2億7073万594円)を例にして、計算した配分率と、それに準じた価格になる。
筆者は2012年にも、内閣府に対して過去4年間の広告費に関する情報公開請求を行ったことがある。当時は、黒塗りが少なく、契約書に記されている新聞広告1段あたりの契約価格が新聞社ごとに示されていた。一例を示そう。
《2007年度の単価》
読売:239万円
朝日:192万円
毎日:108万円
《2010年度の単価》
読売:223万円
朝日:206万円
毎日:128万円
2007年度の平均が140万円で、2010年度の141万円である。つまり公共広告の場合、経済状況とは無関係に価格がほぼ固定されているのだ。この価格水準で、たとえば読売、朝日、毎日の15段広告の適正価格を試算(10年度の数値を採用)すると次のようになる。()内は、2016年1月に掲載された15段広告の価格である。
読売:3345万円(6159万円)
朝日:3090万円(4516万円)
毎日:1920万円(2178万円)
※価格は、博報堂と新聞社の取り分の総計。
だれが見ても()で示した2016年1月の広告価格は不自然だ。
◇郵政事件と接待工作
さらに「博報堂事件」は、過去にさかのぼると郵政が民営化された時代にまで遡航する。あまり報じられなかったので、一般的には知られていないが、郵政公社が分割され、民間企業になる際に、博報堂が4つの新会社のPR業務を一括して請け負うことになった。その際に、博報堂が郵政側に対して接待を繰り返していたことが、総務省の内部調査で判明している。その調査書は、インターネットでも公開されている。次のリンク先である。
■『日本郵政ガバナンス問題調査専門委員会報告書の「別添」・検証総括報告書』、2010年)【博報堂関連の記述は29ページから】
この報告書から一部を引用してみよう。当時、博報堂と郵政側の取引がどのような実態であったかが判明する。
「博報堂には民営化後の平成19年度の同グループの広告宣伝費約192億円(公社から承継された契約に係る部分を含む)のうち約154億円(全体の約80%)が、平成20年度の同247億円のうち約223億円(同約90%)が各支払われている」
郵政事件といえば、当時は博報堂による接待の問題よりも、むしろ「低料金第3種郵便物の割引制度」(障害者団体の定期刊行物を、格安な郵便料金で送るための優遇制度。)を不正利用した事件が話題になった。
これは2008年10月に朝日新聞のスクープによって明らかになった。企業がPR活動などの手段として利用するダイレクトメール(広告の一種)を、障害者団体の定期刊行物と偽って、違法な低価格で発送していたというものである。このような方法で、企業は総額数十億単位の経費を削減したと言われている。
この不正工作の「営業」を担当していたのが、博報堂の関係者である。アスカによると、当時、アスカにも博報堂の関係者が営業訪問したという。筆者はその名前が上がっている人物を、昨日、出向先の銀座の事務所に尋ねたが、不在だった。博報堂側が取材を拒否しているので、真相は分からないが、この種の組織的な事件を社員単独で出来るはずがない。上層部の関与が疑われるのである。
◇入場者数の水増し事件
その他、博報堂の不祥事はたびたび報じられてきた。たとえば2015年12月、東北博報堂は、岩手県大槌町で問題を起こしている。
産経新聞の報道によると、岩手県大槌町は、東北博報堂に対して大震災の記録誌編集事業を委託していたが、それを解除した。理由は、「納期の7月に内容を確認したところ、被害状況などのデータの羅列にとどまり、震災の悲惨さを伝える記録誌」のレベルには達していなかったからだ。さらに一部の記述で、県が発行した別の記録誌からの無断コピーも発覚したことも、契約解除の原因となったようだ。
この記録誌を制作するための価格もおかしい。
記録誌は約250ページで1千部を発行する予定だった。また、そのダイジェスト版は約25ページで8千部を発行する予定だった。見積もり額は、総額で1250万円にもなっている。
大手の自費出版会社で250ページの本を1000部制作して流通させた場合、ゴーストライターの料金を含めても、250万円程度である。博報堂の1250万円が適正価格とは思えない。
岩手県盛岡市でも博報堂は不祥事を起こしている。県の複合施設「アイーナ」の総括責任者を務めていた東北博報堂の男性社員が、入館者数を水増しして県に報告していたことが分かったのだ。次の記事をリンクしておこう。
■入館者数水増し、県の施設で管理委託グループが4年間で2380人分
博報堂事件は、いまや博報堂とアスカの係争を意味するにとどまらない。取材が進につれて、どんどんその範囲が広がっている。すでにいくつかの自治体からも、資料を入手しており、今後、解析の結果を順次、報道する。
2016年11月07日 (月曜日)

本日(7日)発売の『紙の爆弾』が、「私が森裕子議員の詐欺疑惑を刑事告発した理由」と題するわたし(黒薮)の手記を掲載している。これは還付金制度を悪用して、「税金」を自分のポケットに入れた森氏の手口を告発したものである。告発はわたしとA氏の2人で行った。主導したのは、むしろA氏であるが、それは重要な点ではない。
新潟地方検察庁は、この告発状を10月3日に受理し、捜査に入った。
読者は還付金制度についてご存じだろうか。還付金制度というのは、有権者が政党支部へ、政治献金を行った場合、税務署で手続きをすれば、寄付した金額の30%をバックしてもらえる制度である。
たとえば100万円を○○党の政党支部に寄付して、還付金制度を利用すれば、30%にあたる30万円が戻ってくる。
森氏は、自分で自分の政党支部へ自分のお金を寄付し、その後、税務署で所定の手続きを踏んで還付金を受けていたのである。寄付したのは自分のお金だから、このお金の全額を政党支部で使える上に、還付金として、寄付額の30%も自分のものにしていたのだ。
還付金制度は租税特別措置法の41条18・1で定められているが、例外として、「その寄付をした者に特別の利益が及ぶと認められたものを除く」と定められている。つまり森氏がやったことは違法行為である。
森氏はこのような行為を単年ではなく、何年も繰り返していたのである。
◇小沢一郎氏の軌跡
森氏は、小沢一郎氏に近い政治家のようだが、筆者は、その小沢氏に対して重大な疑念を抱いている。政治家として重大な過ちを犯したというのがわたしの認識だ。一時期、多くのフリーライターが、小沢氏を崇拝して、食事会などを開いていたが、わたしには、全くわけがわからなかった。
小沢氏の軌跡については、政治学者の渡辺治氏の一連の著書に詳しいが、それを基に、同氏の軌跡をたどってみよう。混迷した現在日本を作った張本人と言っても過言ではない。
発端は、1993年の「政変」である。新自由主義=構造改革の早期導入を叫ぶ小沢氏らは、自民党を飛び出して、新進党を結成した。財界もこれを支援した。と、いうよりも財界の要請だった。
当時の自民党は、基本的に新自由主義=構造改革を政策とした政党ではなく、利益誘導型の政策を柱とする政党だった。しかし、利益誘導型の政治では、自民党の支持基盤である地方や中小企業に金をばらまく必要がある。その結果、財界が税の負担を強いられる。グローバルゼーションの下で、国際競争力を付けたい財界としては、自民党政治は容認できないものになってきたのである。
財界が小沢氏らを担ぎ出して、小さな政府「新自由主義=構造改革」の導入を進めようとしたゆえんにほかならない。
小沢氏らの動きに焦った自民党は、社会党と共闘して政権を取り戻した。そして村山内閣の後、橋下内閣の時代に、小沢氏らを後追いするかたちで、本格的に「新自由主義=構造改革」へと舵を切ったのである。
ところが「新自由主義=構造改革」の方向性は、それまでの自民党の支持基盤の反発を買った。橋本内閣は、国政選挙で大敗して、自民党は再び利益誘導型の方向へ軌道修正した。利益誘導派の小渕内閣が誕生して、「新自由主義=構造改革」の導入は、ペンディングとなったのである。
小渕氏は急死。その次に登場した森内閣に至っては、さらに、「新自由主義=構造改革」を足踏みさせ、財界からもマスコミからも総バッシングを受けた。
マスコミは、森氏を無能な人間として描き出したのである。メディア史に残るプロパガンダが展開されたのだ。
そこに彗星のように登場して、ドラスチックな「新自由主義=構造改革」を導入したのが、小泉純一郎氏である。「新自由主義=構造改革」の弊害も他人の痛みも想像できない無謀な男だったからこそ、一気に「改革」を進めることができたのだ。
結果、格差が広がり、非正規社員が急増する。ここから日本の悪夢が始まったのだ。
改めていうまでもなく、「小泉改革」の象徴が、郵政民営化である。
「新自由主義=構造改革」の導入を進めるために、導入されたのが、小選挙区制による2大政党制だった。「新自由主義=構造改革」の導入を、2大政党が競い合う構図が確立されたのである。この小選挙区制を導入したのも、小沢一郎氏である。
小沢氏の著書『日本改造計画』には、冒頭から自己責任論を展開している。政治家としても、最低の人間というのが、わたしの評価だ。
小沢検察審査会の問題でも、捏造報告書を外部へ流出させた疑惑があることは、メディア黒書でも報じてきた通りである。
ジャーナリズムはもっと小沢氏の責任を追及すべきだろう。

博報堂による公費請求の実態を検証してみよう。11日付けのメディア黒書では、自衛隊音楽まつりの企画(陸上自衛隊)に関連した出費の不自然な増加に焦点を当てたが、今回は、「広報コンサルタント」を名目とした出費を検証してみよう。
結論を先に言えば、広報コンサルタント委託料が不自然に高額であるだけではなく、2重請求を疑わせる事実もある。次に示すのが、明細である。
◇2重請求の疑惑
まず、コンサルタントという漠然とした概念の仕事であるにもかかわらず、請求額がバラバラだ。たとえば、平成21年3月の請求額は、35万7000円だが、平成22年4月の場合は、いきなり417万9000円になっている。
コンサルタント委託料は、平均すると200万円弱で、請求額そのものが異常に高い。いくら高く見積もっても50万円程度が適正な価格である。
次に上記明細の①と②に注意してほしい。平成23年4月4日付けで、「広報コンサルティング」の名目により博報堂は、2枚の請求書を発行しているのだ。金額は、ひとつめが147万円で、2つ目が182万7000円である。
二重請求の疑惑がある。
平成24年3月26日にも、「広報コンサルティング」の名目で、2枚の請求書を発行している。(③④)。ひとつめの請求額が163万8000円で、2つ目が299万2500円である。③と④を合計すると、463万500円にもなる。
陸上自衛隊にこれらの請求書に対応する見積書があるかを問い合わせたところ、情報公開請求を申し立てれば、見積書がある場合は開示するとのことだった。つまり見積書が存在しない可能性もあるのだ。
改めていうまでもなく、見積書を作成せずに、請求書だけで取引した場合、高額な料金を請求されることがままある。が、公費は、「血税」である。それでは済まされない。仮に社会通念からして、博報堂による請求額が不適切な場合は、訴訟で過払い金を返済させるために、住民訴訟を提起することも大事だろう。
ちなみに「広報コンサルティング」とは、おそらく自衛隊のプロパガンダを進めるための戦略に関するアドバイスである。本来、公共的な性格を帯びている自衛隊のイメージを、プロパガンダによってゆがめるのは許されないはずなのだが。



