2017年01月16日 (月曜日)

メディア黒書では、博報堂と内閣府の取り引き疑惑に焦点を当ててきたが、実は他の省庁でも、検証しなければならない問題が浮上している。

そのうちのひとつが総務省が2015年4月1日に博報堂に発注した「国勢調査の広報に関する総合企画」である。契約額は6億円。大型のプロジェクトである。

これは国勢調査への国民の協力を呼びかけるPR業務で、ラジオスポットCM、新聞広告、交通広告、インターネット広告など、かなり多岐の分野に渡っている。

◇広告掲載回数25回の予定が12回に

国勢調査であるから、告示に始まり、書類の戸別配布があり、回答書の回収、末回答書に対する回答推進など、7つのプロセスがある。PR活動も、国勢調査の進捗と連動して実施することになっている。実施内容は契約書の一部である仕様書に明記されている。

さて、新聞広告についていえば、第2ステージ「調査関係書類配布の告知期間(9月1日~30日)」から、第6ステージ「未回答者の回答促進期間(10月8日から20日まで)」のそれぞれで、新聞広告を掲載する契約になっている。

掲載新聞については次のような契約になっている。

各時期に全国紙5紙の朝刊に掲載すること。

上記写真参照

つまり第2ステージから第6ステージまで、5回の掲載を全国紙5紙に掲載する契約になっているのだ。掲載回数は延べ25回である。

ところが全国紙の縮刷版を使って、実際に広告が掲載されたかを調査したところ、契約書の仕様書どおりに掲載されていないことが分かった。半分以上が掲載されていなかった。公共広告の「間引き疑惑」が浮上したのである。

◇博報堂の回答

そこで博報堂に問い合わせたところ、「延べ12紙に広告は掲載されています」という回答があった。回答の全文は次の通りである。

ご指摘の「5回の記事下広告の掲載」というのは、
「全国紙5紙の朝刊に掲載すること」という記載のことを、おっしゃっていらっしゃいますでしょうか。

実際の出稿は以下のとおりです。
既に新聞に掲載された、言わば公開情報ですので、当社からご回答申し上げます。

①8月24日 朝日新聞(全国朝刊)、毎日新聞(全国朝刊)、読売新聞(全国朝刊)、日本経済新聞(全国朝刊)、産経新聞(全国朝刊)5紙に全2段の新聞広告を掲載。

②9月17日 読売新聞(全国朝刊)に連載漫画下に広告を掲載。

③10月1日 朝日新聞(全国朝刊)、毎日新聞(全国朝刊)、読売新聞(全国朝刊)、日本経済新聞(全国朝刊)、産経新聞(全国朝刊)5紙に半5段の新聞広告を掲載。

④10月8日 読売新聞(全国朝刊)に連載漫画下に広告を掲載。

以上、延べ12紙に広告は掲載されています。
①~④は広告原稿の内容も異なります。ご確認いただければと思います

よろしくお願いいたします。

筆者の解釈では、掲載回数は延べ25回でなければ契約に違反している。(全国紙5紙に各5回の掲載)それ以外に解釈できない。もちろん途中で変更になった可能性もあるが、筆者は、契約がきわめて曖昧に解釈されている印象を受ける。契約は表向きのもので、内容を厳守する必要がないという暗黙の合意があるのではないか?

この問題については、現在、総務省に対して契約の成果物を開示するように申し立てている。

◇郵政事件

かりに契約内容が守られていなかったとすれば、総務省は博報堂に対して入札停止の処分を取るべきだろう。郵政事件では博報堂の関与が指摘された2010年、総務書は、事件の報告書を作成している。本来は、総務省は、この時点で入札を禁止すべきだったのだ。

 ■郵政事件の調査報告書(博報堂に関する記述は29ページから)

※郵政の職員が博報堂から繰り返し接待を受けていた事実、年間の発注が200億円を超えていた事実、などが記録されている。

郵政事件に関して総務書が博報堂にどのような処分を下したのかも、筆者は調査していく方針だ。

2017年01月13日 (金曜日)

内閣府が博報堂と交わした「戦略的イノベーション創造プログラム」の契約書と業務計画書を入手した。しかし、業務計画書の肝心な部分、「委託業務経費の内訳」の詳細は黒塗りで隠されていて、総額が約6200万円ということ以外は、「税金」がどう使われたのか全く分からない。

「戦略的イノベーション創造プログラム」の内容は、「自動走行システムの実現に向けた諸課題とその解決の方向性に関する調査・検討における自動走行システムにおける国際協調活動の推進に係わる調査検討」(ママ)というものである。

意味不明瞭な文章で、具体的な業務内容がよく分からない。

「業務計画」の部分には、「自動走行システムに対する一般国民の社会受容性に関する意見や反応等を、イベント等を通じて収集、調査する」と記されていて、博報堂が企画する具体的なイベントも指定されている。その他、ウエブサーバーの運用維持なども含まれている。

業務計画書の全文は次の通りである。黒塗りの実態に注目してほしい。

■業務計画書

博報堂が総額6200万円に値する仕事をしているのかを検証するために、3月にプロジェクトが終了するのを待って、成果物の開示を請求することになる。

 

 

2017年01月13日 (金曜日)

執筆者:本間龍(作家)

かつて昭和の人気者を指す「巨人・大鵬・卵焼き」というフレーズが流行ったことがあったが、これからは嫌われ者を指す言葉として「五輪・電通・共謀罪」を使うようにしてはどうか。

安倍首相は10日、共同通信社とのインタビューで「(共謀罪を)成立させなければ、テロ対策で各国と連携する国際組織犯罪防止条約が締結されず2020年東京五輪・パラリンピックが開催できない」と語ったと報道されたが、さすがにこれには驚いた人が多いようだ。

なにせ安倍本人が五輪誘致の際に「東京は世界でもっとも安全な都市です」と大見得を切っていたのだし、その後も共謀罪の必要なんぞにはひと言も触れていなかったのだから、何をいまさら「成立しなければ開催できない」などと言うのか、さすがに「息をするように嘘をつく」男の面目躍如である。

◇共謀罪、拡大解釈の危険性

この法案は過去3度も提出されたがその都度廃案になり、あの小泉元首相でさえ躊躇した「平成の治安維持法」だ。ひとたび成立を許せば、治安当局の拡大解釈で政府に反対する者は誰でも逮捕できるようになる危険性を秘めている。昭和の治安維持法も当初は共産党などの反政府組織を取り締まる為と導入されたが、後に警察や特高が拡大解釈して罪のない市民をも大量に獄に送る原動力となった。

まともにやれば世論の厳しい反対に遭うと考えての安倍の「五輪抱き合わせ」発言だったようだが、昨年来の五輪自体の予算膨張による不透明さ、不人気もあって、「ならば五輪なんてやめろ!」という声がネットを中心に急速に高まっている。そして、ここでまたもや登場してくるのが電通である。なにせ東京五輪とは、「電通の、電通による、電通のためのオリンピック」であるからだ。

電通は2020年東京五輪の全てを取り仕切っている。全てとは招致活動からロゴ選定、スポンサー獲得、現在放映されているテレビやラジオCMをはじめとする五輪PR活動、そしてこれから3年間、全国で開催される五輪関係行事、さらには五輪本番の管理進行等、文字通り全部である。そこに他の広告代理店は一切介在出来す、とにかく全てが電通の一社独占なのだ。

◇すでに3500億円を集めたJOCと電通

現在42社が決まっている東京五輪スポンサーも、全てが電通の一社独占契約である。これが何を意味するかというと、五輪マークがついているCMや広告、関連グッズには全て電通が介在し、その利益も全て電通に集中するということだ。
これは極めて異常な状況で、過去の開催国でこうした例はない。

スポンサーの数も異常だ。リオやロンドン五輪のスポンサーは一業種1社という取り決めがあり、13~15社だった。しかし東京五輪が決まると、電通はIOCに働きかけて一業種1社制を葬り、何社でもスポンサーになれるようにした。

その結果が異様なほどのスポンサー企業の発生である。現在12社が決まっているゴールドパートナーカテゴリーは5年間で1社150億、27社が決定しているオフィシャルパートナーは同じく60億円をスポンサー料として支払うから、JOCと電通は五輪3年前の段階ですでに3500億円を集めたと言える。そのうち約20%が電通の取り分になると思われ、なんとそれだけで700億の収益があがることになるのだ。

■スポンサー一覧

◇五輪開催CMの氾濫

だが電通はこれに満足せず、現在のゴールド及びオフィシャルパートナーの下にもう1つカテゴリーを増やし、さらに企業を集めようとしている。今でさえ五輪スポンサーを謳うCMに辟易しているのに、これから先は五輪開催までひたすら同じようなCMばかりが氾濫するようになる。もはやこれは悪夢としか言いようがない。

そして電通とJOCはこれだけのカネを集めながら、大会運営に必要な10万人以上といわれるボランティアを、全てタダで起用しようとしている。日本ではボランティアというと善意のただ働きという印象が強いが、語源は志願兵の意味であり、決して無料奉仕を指すものではないのだ。

昨年7月、組織委が「1日8時間、10日間以上できる」「採用面接や3段階の研修を受けられる」「外国語が話せる」「競技の知識があるか、観戦経験がある」などのボランティア要件を発表したが、あまりにも要求が高いのに無料奉仕が前提なため、ネット民から「ブラック過ぎる」などと総批判を浴びた。組織委は慌てて「まだ素案の段階」などと釈明したが、これが彼らの本音であることは間違いない。

灼熱の暑さとなる7月から8月の時期に、交通費も日当も支給せず、さらにもし熱中症で倒れても保険すらなく自己責任で済ませようなどと、それこそ善意を食い物にする詐欺行為に他ならない。そしてその現場を法令違反企業の烙印を押された電通が取り仕切り、開催のためには共謀罪が必要だなどと、まさに国家を挙げてのブラックジョークだ。もはや東京五輪は辞退するしかない。

2017年01月12日 (木曜日)

2016年11月に公表された15年度分の政治資金収支報告書によると、日販協政治連盟(日本新聞販売協会の政治団体)が、国会議員に対して支出した政治献金は、総額で504万円だった。このうち記載されている額は、約250万円だった。

献金先は、漆原良夫(公明)、中山泰秀(自民)、丹羽雄哉(自民)、中川雅治(自民)、柴山昌彦(自民)、高市早苗(自民)、中根一幸(自民)、菅義偉(自民)、西田まこと(公明)、斎藤鉄夫(公明)、新藤義孝(自民)などである。

■裏付け資料

このうち最も献金額が多いのは、丹羽雄哉議員への60万円。丹羽氏は読売新聞の元記者で、新聞販売懇話会の会長を務めている。

日本新聞協会が立場上、政治活動ができないので、日販協政治連盟が新聞業界と政界のパイプ役を務めてきたのだが、その政界側窓口になっているのが、新聞販売懇話会である。

献金の目的は、新聞に対する軽減税率の適用などである。これについて、日経新聞は次のような記事を掲載している。

■自民の新聞販売懇話会、軽減税率適用を党税調に要望

贈収賄の疑惑がある。

新聞に対する軽減税率は、新聞社経営のアキレス腱になっている。と、いうのも「押し紙」を実際に販売された新聞として経理処理しているために、「押し紙」にも消費税がかかるからだ。しかも、都合の悪いことに「押し紙」には読者がいないので、その消費税の負担をするのは、新聞販売店と新聞社になる。

「押し紙」ゆえに新聞業界は、政界工作を展開してきた事情がある。

【写真】「押し紙」回収の場面

2017年01月11日 (水曜日)

博報堂事件の取材を始めてまもなく1年になる。最初は、アスカコーポレーションと博報堂の間で起きた係争のうち、折込広告の業務をめぐるトラブルを取材し、その後、同社から入手した多量の資料を精査して、テレビCMの「中抜き」問題、視聴率の改ざん問題、通販誌制作の水増し請求などを取材・記事化した。

事件全体の構図は、次の記事で説明している。

【解説】奇怪な後付け見積書が多量に、博報堂事件の構図はどうなっているのか?

その後、博報堂が省庁から請け負っているPR業務を取材するようになった。これはまったくの偶然の成り行きだ。わたしは20年来、「押し紙」問題など新聞に関する諸問題を取材してきた関係で、定期的に公共広告の実態を調査してきたのだが、内閣府が博報堂に依頼したPR業務の中に、検証を必要とする疑惑が見つかったのが糸口である。

その際、アスカコーポレーションの取材で得た知識が役に立ったことはいうまでもない。たとえば博報堂の共通した特徴として、後付けで多額の金銭を請求する手口がある。その極端な例が、内閣府と博報堂の取り引きでも見られた。

以下に示すのは、契約額と実際の(請求額)の対比である。

2012年度  約3980万円(約14億700万円)
2013年度  約4600万円(約11億900万円)
2014年度  約6670万円(約17億6300万円)
2015年度  約7600万円(約20億3800万円)

◇年々高くなる「構想費」?

内閣府の説明によると、契約額はプロジェクトの「構想費」であり、必要に応じてPR活動を展開して、後付けで請求できるというものだが、そんなことは契約書のどこにも書いていない。我田引水の解釈だ。

その「構想費」が年々高くなっているのも不自然だ。

しかも、契約の期間が1年なので、請求は当該年度が終わってから行ってきたという。この説明が正しいとすれば、たとえば4月にA新聞社が博報堂を通じて掲載した公共広告の掲載料は、1年が過ぎなければ入金されないことになる。不自然としかいいようがない。

改めていうまでもなく、内閣府の予算は「税金」である。税がこれだけいいかげんな使い方をされている事実があるのだ。どんぶり勘定のように後付けで請求されている。しかも、政府広報は、そもそも国策のプロパガンダが目的であるから、政治的な色彩が濃い。中立はありえない。たとえばマイナンバー制度は個人情報の流出など多様な欠点が指摘されているが、制度を肯定する視点の広告が掲載されている。

本来は、ひとつのPR活動、たとえば新聞広告の制作・配信に対して、1つの契約書を作成して、それに対応する請求をしなければならない。実際、かつて内閣府は、そのような手法の取り引きを行っていた。1件の広告につき、1件の契約書と請求書だった。

ところが何らかの事情でそれが変更になったのだ。

個人的な見解になるがわたしは、2016年1月に博報堂に天下りした内閣府の元ナンバー2、阪本和道氏がなにか事情を知っているのではないかと思う。

◇事件の忘却という問題

さて、わたしが取材対象にしている新聞社や広告代理店は、世論を誘導する組織と言っても過言ではない。タブーの領域だ。一般のメディアはなかなか新聞社や広告代理店の闇を報道しない。報道しても、単発的な報道なので、あまり問題解決の力にはならない。

「押し紙」問題にしても、わたしは1997年から開始して、今年で20年になるが、まだ、完全にメスが入ったとは言えない。20年書き続けて、やっと「押し紙」の存在を新聞社が否定できないところまで追い込んだ段階である。
もう2年か3年を要する。

この間、雑誌とインターネットは、途切れ途切れであるものの「押し紙」問題を報じてきたが、ニュースを受け取る側に問題があった。問題とは、「押し紙」問題が報じられた時は、大変な社会問題だと認識するのだが、すぐにそれを忘れてしまうことだ。

電通の問題にしても、最初は国際陸連に関する海外報道で火がついたわけだが、その後の報道が途絶え、忘却の途についている。高橋まつりさんの問題もすでに忘却が始まっている。

昨年、財界展望や週刊金曜日が取りあげた博報堂とアスカコーポレーションの係争も、過去の事件になり始めている。実は、これから裁判が本格化するのだが。既報したように、この裁判では、テレビCMの中抜き問題や、視聴率の改ざんが争点になる。いずれもメディアのあり方を考える大変な問題だ。

報道されても、それが簡単に忘れられてしまう。従って報道しただけでは、社会問題を解決できない。沈黙を守れば、時間が不正にふたをする。郵政事件がその典型である。

■平成20年度だけで郵政から博報堂へ223億円を発注、日本郵政ガバナンス問題調査専門委員会の報告書が記録した事実

改めていうまでもなく、新聞社や広告代理店の問題を放置して、最も大きな損害を被るのは、国民である。あるいは広告主である。会社の金が、あるいは国の金が広告代理店や新聞社にどのように流れ込み、どう使われているのかを再検証して、当事者が情報提供すべきだろう。

2017年01月10日 (火曜日)

執筆者:本間龍(作家)

東京MXテレビの「ニュース女子」(月曜22時~)という番組が、ロクな取材もせず沖縄の基地反対運動を誹謗中傷したとして各方面から非難を受けている。口火を切ったのは1月7日付東京新聞の「こちら特報部」の記事だった。(以下抜粋)

 こちら特報部 東京のTV「基地反対派に日当」 「沖縄ヘイト」まん延 名指しされた団体「まごう事なき悪意」(2017/01/07 東京新聞朝刊)

 東京ローカル局のニュースバラエティー番組が、沖縄県の米軍基地反対運動を「日当をもらっている」などと攻撃した。反対派は「沖縄ヘイトの典型だ」と猛反発している。
 問題の番組は「東京メトロポリタンテレビジョン(通称・TOKYO MX)」(東京都千代田区)で二日に放送された「ニュース女子」。

沖縄の基地問題の特集コーナーで、軍事ジャーナリストの井上和彦氏が沖縄を訪れたVTRが流れ、「万が一逮捕されても影響が少ない六十五歳以上を過激デモ活動に従事させている」として、反対派に「シルバー部隊」がいると説明。「反対派の暴力行為で住民も現場に近づけない」と、反対派を「テロリスト」に例えた。

 また、ヘイトスピーチやレイシズムに反対する団体「のりこえねっと」(新宿区)を紹介し、「反対派は日当をもらっている」「何らかの組織に雇われている」と推測した。

 VTRの後、井上氏はスタジオで「韓国人はいるわ、中国人はいるわ。何でこんな奴らが反対運動やってるんだと地元の人は怒り心頭」と主張。元経済産業省官僚の岸博幸氏は「実は沖縄の人はみんなアメリカが好き」と決めつけた。経済ジャーナリストの須田慎一郎氏は、のりこえねっと共同代表の辛淑玉氏を「在日韓国人の差別と戦ってきたカリスマでお金がガンガン集まる」とやゆした。

 のりこえねっとは五日付で、「辛淑玉を誹謗(ひぼう)中傷する虚偽報道に対する抗議声明」を公表した。辛氏は、「MXの取材も連絡も一切受けていない」として「金でしか人間関係を築けない人は身銭を切って正義や人権のために動く人が理解できない。番組は沖縄で踏ん張って生きる人を侮辱した、まごう事なき悪意。沖縄ヘイトの典型だ」と批判する。

◇「私が出演しても大丈夫か」

この「ニュース女子」は東京新聞論説副主幹の長谷川幸洋氏がMCを勤め、右派系の評論家や作家を集めての左派やリベラル攻撃、政権擁護が目に余る番組だったが、ロクに取材もせず、確たる証拠もなく多くの人々を誹謗中傷したからには、その責任は重大だと言わざるを得ない。しかし東京新聞からの取材にもMXは反論できておらず、公式発表もないままだ。

偶然だがこの「ニュース女子」と私は浅からぬ因縁がある。実は昨年10月初旬、この番組から私に出演オファーが来たのだ。9月24日にネット関連業務の不正請求発覚で電通が記者会見を開き、それ以前にもオリンピック招致にまつわる裏金疑惑などもあったので、電通に関して話をして欲しい、ということだった。

正確にいうと、この番組はDHCという化粧品会社がボーイズという関西の制作会社に作らせている持ち込み企画で、要するに通販番組などと同じ仕組みである。ボーイズが企画制作をし、MXが番組放映用に時間貸しをしている形だ。つまりMXは制作内容に直接タッチしていない。こうした形式はBSなどの通販番組でおなじみのやり方だ。

その制作会社のディレクターから「ニュース女子」10月14日放送分に出演して欲しいと9月末に連絡があり、題材が電通だったので、念のため「本当に出来るのか」「私が出演しても大丈夫か」と確認した。

それに対しては、「電通を題材にするのが難しいのは事実だが、この番組はDHCの一社単独スポンサーで持ち込みという体裁なので、電通から文句が来ることはない。今まで様々な企画をやってきたが、MX側からストップがかかったことは一度もない」との返答だったので承諾した。

収録日は10月6日に決まり、当日の進行台本やVTR内容表(別添)も送られてきたので、そのまま収録するものと思っていた。

◇MXの自粛で突然の番組中止

ところが10月4日の夜になって、突然「電通企画」は中止にしたいとの連絡が入った。番組収録前の最終打ち合わせでMXの編成局が、「電通を取り上げるのは絶対に不可」として強く中止を求めたとのことであった。ボーイズ側が「不正請求案件は電通自らが記者会見を開き、多くのメディアがニュースとして報じたのだから問題ないのでは」と粘ったが、MX側は「たとえ報道でも、電通を話材にすること自体がNG」として収録許可を出さなかったという。

話を聞いていると、電通から何か圧力がかかったわけではなく、あくまでMX編成局が電通との軋轢を回避するための「自主規制」であるとの印象だった。だが「VTR内容表」を見ても分かるように、別に電通を批判するような内容になっていない。

こんなことがありますけれど、本間さんはどう考えてますか、と私に全部語らせる手法になっていて、コーナー自体も10分程度である。こんな軽い内容でさえ修正させず、「とにかく電通という言葉を出すのはNG」としてコーナー自体を潰すという卑屈さにはただただ呆れた。

結局、私があちこちで指摘してきた、メディアは電通と揉めるようなことを未然に防ぐために電通批判を自粛しているという実態を、はからずも自分自身で体験することになったのだった。

◇岩上安身氏や上杉隆氏も降板

かつてMXはジャーナリストの岩上安身氏や上杉隆氏などを番組に起用していたが、今はしていない。それどころか、昨年7月に「週刊リテラシー」という番組に出演していた上杉氏に対し、何の事前相談もなく突然降板させるという暴挙を行った。上杉氏の調査では、裏で電通と五輪組織委員会からの圧力があったことが判明している。

このように、MXという局は、自由な立場で発言するジャーナリストを切り、権力を持つ電通に対してはニュースで名を流すことさえ怖がるくせに、権力を持たない市民の基地反対運動は取材もせず憶測で批判・攻撃している。このような体質のテレビ局に公共の電波を使用する資格があるだろうか。MXの大株主である東京都の小池知事の意見も聞いてみたいものだ。

■(参考資料)本間氏に送付された「ニュース女子」#79 VTR内容表」

2017年01月10日 (火曜日)

内閣府に対して筆者は、6日、内閣府が博報堂グループに支払った補助金等の総額、売買、貸借、請負その他の契約の総額の開示を請求した。これは官庁の管理職員が退官後に民間に再就職した場合、その官庁と就職先との取り引きの詳細を明確にすることを定めた国家公務員法106条の27に基づいたものである。

昨年末、読者からの通報で内閣府のナンバー2にあたる元審議官・阪本和道氏が博報堂に再就職していることが判明したために、今回の情報公開請求に至った。請求内容は次の通りである。

2016年1月1日付けで内閣府の阪本和道元審議官が博報堂に再就職されています。従って国家公務員法の第106条27の規定により、2016年1月1日以後に博報堂グループに支払った補助金等の総額、売買、貸借、請負その他の契約の総額の開示を請求します。
  参考までに国家公務員法の第106条27を、下記に引用しておきます。

(再就職後の公表)
第一〇六条の二七 在職中に第百六条の三第二項第四号の承認を得た管理職職員が離職後に当該承認に係る営利企業等の地位に就いた場合には、当該管理職職員が離職時に在職していた府省その他の政令で定める国の機関、行政執行法人又は都道府県警察(以下この条において「在職機関」という。)は、政令で定めるところにより、その者の離職後二年間(その者が当該営利企業等の地位に就いている間に限る。)、次に掲げる事項を公表しなければならない。
一 その者の氏名

二 在職機関が当該営利企業等に対して交付した補助金等(補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律(昭和三十年法律第百七十九号)第二条第一項に規定する補助金等をいう。)の総額

三 在職機関と当該営利企業等との間の売買、貸借、請負その他の契約の総額

四 その他政令で定める事項

◇行政事業レビューシート

省庁がどのような国家予算の使い方をしているのかは、意外に知られていない。と、言うよりも、調査方法を知らない人が大半を占める。しかし、それはインターネットで公開されている。情報へのアクセス方法を知れば、誰でも情報を入手できる。

たとえば行政事業レビューシートと呼ばれる書面がある。内閣府のウエブサイトは、行政事業レビューシートについて、次のように説明している。

行政事業レビューシートとは、政府が実施している約5,000の各事業について、各府省において、事業の執行状況や資金の流れ等を統一した様式に記載するものです。行政事業レビューシートは各府省のHPにて、毎年7月上旬までに中間公表され、8月末~9月中旬までに最終公表されます。

行政事業レビューシートによると、たとえば2015年に内閣府の「重要施策に関する広報」の名目で、支出された費用は、次のリンク先の「0003~0007」に記入されている。

■内閣府の行政事業レビューシート

これらの資料によると、博報堂には25億4500万円が支払われ、電通には30億900万円が支払われた。この両者だけで優に55億円を超えている。このうちのかなりの部分が新聞社やテレビ局に移動している。

広告代理店が尋常ではない高額請求を繰り返してきた背景に、広告代理店が公共機関とメディアをつなぐ役割を果たしている事情がある。公共機関は広告代理店と新聞やテレビなどに「国策プロパガンダ」の役割を期待しているのである。

安倍首相とメディア幹部の会食は、表向きのことであって、水面下では巨額な資金が動いているのだ。

行政事業レビューシートを利用して、細かく「税金」の使い方を検証する意義は大きい。

2017年01月09日 (月曜日)

7日付け産経新聞(電子)の報道によると、筆者とA氏が新潟地検に提出していた森裕子参議院議員(自由党、写真左)に対する2度目の刑事告発が受理された。昨年、10月には、森氏に対する最初の刑事告発も受理されており、これから新潟地検は、本格的な捜査に入るようだ。

■森裕子参院議員への告発受理 還付金詐欺の疑いで新潟地検(産経)

◇事件の解説

政治献金は、政治家の活動を支えるために不可欠なものである。そのために政治家は、有権者から政治献金を集める。その際、地元の政党支部に対して献金をした有権者は、ある優遇措置を受けることができる。それが「還付制度」といわれるものだ。

たとえばA議員の政党支部に100万円献金して、税務署で所定の手続きを
取れば、献金額の30%が戻ってくる。100万円を献金した場合は、30万円が戻るので、寄付者の負担は70万円に軽減される。政治資金を集めやすくするために政治家に配慮した措置である。

森氏はこの制度を利用して、自分で自分の政党支部へ献金を行い、還付を受けていたのだ。自分で自分の政党支部へ献金したわけだから、そのお金は全部自分で使える。それに加えて、還付金も自分の懐に入る。

還付金制度は租税特別措置法の41条18・1で定められているが、例外として、「その寄付をした者に特別の利益が及ぶと認められたものを除く」と定められている。つまり森氏がやったことは違法行為である。

筆者らは、森議員がこの方法で還付金を受け続けていたとして、今年の8月に森氏を新潟地検に刑事告発した。10月に新潟地検はそれを受理した。

◇寄付額の詳細

第1回目の告発の際に指摘した金額は次ぎの通りである。

2009~11年度:2190万円(読売新聞、2013年4月24日電子版)

2013年度:600万円

告発の対象は2013年度の600万円である。第2回目の告発は、昨秋に公表された2015年度の政治資金収支報告書に基づいたもので、金額は次の通りである。

2015年度:605万120円

裏付けは次の書面である。

■寄附金(税額)控除のための書類(証拠)

◇森議員の他にも・・・

この種の詐欺は、政治家の間では、かなり広く行われているという情報もある。たとえば、昨年の12月25日に発売された『財界新潟』は、菊田真紀子議員(民進党・写真右)が5年間で675万円の還付金を受けていたことを伝えている。

さらに他の議員らについての情報もある。

森氏が起訴された場合、水面下で広がっているこのような脱法行為が一気に摘発される可能性もある。

2017年01月07日 (土曜日)

行政事業レビューシートの金額と請求額がかい離していると報じたメディア黒書の記述を訂正し、関係者に謝罪する。この疑惑について、内閣府と博報堂に質問状を提出したところ、内閣府から回答があった。

12月31日付けのメディア黒書で筆者は、次のように記載した。

行政事業の結果を検証するために省庁が発行している行政事業レビューシートという書面に記された同年度における博報堂への支払い実績を調べたところ、PR業務に関しては、総額で3億5700万円しか支払われていないことが判明した。しかも、その全額が新聞広告の制作と掲載に対するものである。

総額で約20億円の額になる請求書には、いずれも会計課の受領印が押されているわけだから、支払いが承認されたことを意味している。そうすると3億5700万円との差額にあたる約16億4300万円は、非正規のルートから新聞社に流れたと考えるのが自然だ。すなわち裏金疑惑があるのだ。収入として計上されていないわけだから、脱税の可能性もある。

ちなみに支払い実績としてレビューシートに記載されているプロジェクト名は、博報堂の請求書にも記載されているタイトルと同一である。次のものである。

「政府広報ブランドコンセプトに基づく個別広報テーマの実施(新聞記事下広告の制作・掲載)

内閣府の説明は、上記のレビューシートの他に、別のレビューシートがあり、そこにも博報堂に対する支払い実績が記入されているので、それらを総計すると、請求額とレビューシートに記録された支払い金額の乖離はなくなるというものである。

確かに別のレビューシートには、博報堂への支出として、17億円が記録されている。支払い実績として記載されているプロジェクト名も、ほぼ同じで、次の通りである。

「政府広報ブランドコンセプトに基づく個別広報テーマの実施〔新聞(記事下)及び雑誌広告の制作・掲載

さらに同じプロジェクト名のレビューシートが2枚あり、金額を合計すると、25億4500万円になる。

■4つのレビューシートに示された各執行実績の詳細

以上の事実関係から、レビューシートに記録された金額が3億5700万円とするメディア黒書の記述は誤りである。博報堂と内閣府、読者には謝罪する。

また、12月31日の記事から、関連部分を削除した。

◇訂正箇所のまとめ

正確な事実関係を踏まえた上での疑問になるが、同じプロジェクトに関する「執行実績」を複数のレビューシートに分散して記入する意味は不明だ。筆者が調べた限りでは、通常、ひとつのプロジェクトは、同一のレビューシートに記入されている。たとえば総務省の国勢調査に関するPRプロジェクトでは、同じレビューシートに全情報があり、しかも、契約額、見積額、レビューシートの支出実績額が一致している。

この点について内閣府に質問したところ、昔からそういう慣行になっているとの説明だった。

レビューシートについての記述を訂正したことで、2015年度(平成27年度)に博報堂が請け負った「政府広報ブランドコンセプトに基づく個別広報テーマの実施」に関する重要な事実は次のようになる。

契約額:約6700万円

情報開示資料から判明した請求額:約20億3500万円(一部不明)

行政事業レビューシートに記された支払い実績:約25億4500万円

見積書の有無:存在しない

請求書の発行:契約終了後(1年契約)

 見積書なしの多額の出費(契約額の38倍)について、違法性がないというのが内閣府の主張である。

博報堂からの回答は現在のところ到着していない。

2017年01月06日 (金曜日)

安倍内閣が「働き方改革実現会議」なるものを立ち上げ、2016年9月27日に第1回の集まりを持った。構成メンバーは次の方々である。

内閣総理大臣:安倍晋三(議長)
働き方改革担当大臣:加藤勝信(議長代理)
厚生労働大臣:塩崎恭久(議長代理)
副総理兼財務大臣:麻生太郎
内閣官房長官:菅義偉
経済再生担当大臣兼内閣府特命担当大臣(経済財政政策担当):石原伸晃
文部科学大臣:松野博一
経済産業大臣:世耕弘成
国土交通大臣:石井啓一

これら9名の国会議員に加えて15名の有識者が加わっている。
いわば国をあげて「働き方改革」に着手したのである。こうした動きにNHKも連動して、電通の「過労死問題」を盛んに報じている。わたしには、それが見事な連携プレーに見える。

◇小沢一郎から安倍晋三まで

なぜ、安倍内閣は、「働き方改革」に乗り出したのだろうか。
結論を言えば、自らが押し進めてきた新自由主義=構造改革の路線が完全に破たんしたからである。政権を維持するためには、政策を部分的であれ、修正せざるを得ない状況に追い込まれたからである。

新自由主義=構造改革の路線は、1993年に、小沢一郎氏が構造改革を叫んで自民党を飛び出し、野党再編に乗り出したのが発端である。小沢氏は、自著『日本改造計画』の中で、自己責任論を展開した。その思想は過激で、経済の原理を市場にまかせ、規制をも緩和し、その中で落ちこぼれた個人や小企業は、救済もしないという新自由主義の考えであった。自己責任としたのである。

実際、この20年で福祉が大幅に切り捨てられている。その一方で大企業の法人税は、どんどん軽減されている。

こうした方法で企業の国際競争力強化を支援して、市場を海外へ広げていこうという政策が、新自由主義である。それに連動して、自衛隊も多国籍企業の防衛部隊として海外へ派兵する方向へ進んでいったのだ。国際貢献は口実にすぎない。このような一連の政策を財界も歓迎していた。国籍を問わず企業が多国籍企業化を進めていたからだ。それゆえに小沢氏は、財界の支援を受け改革の旗手となったのである。ある意味では、時代の流れに敏感だった。

これに対して自民党は、もともと構造改革=新自由主義にはなかなか踏み出さなかった。国内市場を優先して、利益誘導型の政治をモットーとしていたからだ。

しかし、小沢氏と財界の動きやグローバルゼーションを警戒して、橋本内閣の下で、構造改革=新自由主義の方向へ転換したのである。そして、足踏みはしたが、小泉構造改革で一応の頂点に達した。だが、経済格差が広がった。そして「改革」は再び足踏みしたが、第2次安倍政権の下で再稼働した。

しかも、今度はグローバル化した多国籍企業のために、自衛隊の海外派兵への道を開き、安倍首相みずから頻繁に海外へ足を運ぶ本格的なものだった。新自由主義と軍事大国化が完全にセットになったのだ。

ところが世界は、新自由主義者の思惑通りにはいかなかった。まず、労働格差が広がった。いまや非正規の社員は国内で4割を超える。国際間の格差も広がった。それが中東などで紛争が勃発するひとつの原因となっている。

このまま新自由主義の政策を続けると、状況はもっと悪くなる。そのことに気づく人々が世界中で増えてきたのだ。極右勢力が台頭したり、EUが分裂をはじめた背景には、このような事情があるのだ。極右勢力は、新自由主義やグローバルゼーションには親和的ではないから、多くの人々が直観的に極右に期待するようになったのだ。

安倍内閣の「働き方改革実現会議」の発足も、このような流れの中で把握するのが正しいだろう。自分たちが押し進めてきた新自由主義の路線が完全に行き詰ったのだ。部分的であれ、政権維持のためには、修正せざるを得なくなっているのだ。

◇電通報道と安倍内閣

ところが、マスコミは新自由主義の失敗を報じない。新自由主義という言葉さえ避けている。NHKが電通の労働問題を報じたとはいえ、その背景にある本当の原因は表に出さない。記者が新自由主義が生み出した職場の実態を認識していないはずはないだろう。知っていて報じないのだ。

マスコミは常に世論誘導(プロパガンダ)の役割を担ってきたが、安倍内閣が「働き方改革実現会議」を発足させた時期に、NHKが電通問題を報じたのも、わたしは偶然とは思わない。労働問題を報じることで、新自由主義の路線には本来あり得ない「働き方改革実現会議」の設置を必然と勘違いさせる世論形成に貢献したのである。

◇新自由主義の幻想

もともと新自由主義の理論に、深い科学的根拠があるわけではない。経済を市場原理にゆだねて、国家の介入を最小限にすれば、経済はよくなるという極めて主観的で、我田引水的なものである。

資本主義が発達する時期に、長時間労働や低賃金が社会問題になったのは周知の事実である。こうした状況の下で、社会主義の思想が生まれてきた。これに対抗するために、企業活動に規制を加えて、福祉国家に近づけて誕生したのが、ひと昔前までの資本主義である。それは国内の経済を中心とした。

しかし、企業が国際市場を競う「怪物」になってくると、規制が足枷になってきた。そこでさまざまな口実を設けて強引に規制を外したのが、新自由主義の社会である。これにより大企業は潤って、国際競争力をつけても、それが逆に格差を広げてしまい、結局は、国内経済の循環を悪くしたのだ。

かといって市場はすでに国際化しているわけだから、自国内で再び規制を強化しても、問題の解決にはならない。それをやれば日本の企業だけが、国際競争力を失ってしまうからだ。財界が猛反発するのは目に見ている。と、すれば国際的な視点で、格差の是正を進めなけばならないはずだが、安倍内閣にはその視点がない。トランプ新大統領には、さらにない。

結局、「働き方改革実現会議」を設置しても、多少の手直しはできても、抜本的な解決にはならない。99%失敗する。

2017年01月05日 (木曜日)

 内閣府の元審議官・阪本和道氏は博報堂に再就職(広義の天下り)している事は既報したとおりである。読者は、省庁から民間企業へ再就職した場合、国家公務員法を根拠としたいくつかの情報開示義務があることをご存じだろうか。第106条の27を紹介しよう。

(再就職後の公表)
第一〇六条の二七 在職中に第百六条の三第二項第四号の承認を得た管理職職員が離職後に当該承認に係る営利企業等の地位に就いた場合には、当該管理職職員が離職時に在職していた府省その他の政令で定める国の機関、行政執行法人又は都道府県警察(以下この条において「在職機関」という。)は、政令で定めるところにより、その者の離職後二年間(その者が当該営利企業等の地位に就いている間に限る。)、次に掲げる事項を公表しなければならない。
一 その者の氏名

二 在職機関が当該営利企業等に対して交付した補助金等(補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律(昭和三十年法律第百七十九号)第二条第一項に規定する補助金等をいう。)の総額

三 在職機関と当該営利企業等との間の売買、貸借、請負その他の契約の総額

四 その他政令で定める事項

◇書面の黒塗りは許されない

メディア黒書で既報したように、内閣府の元審議官・阪本和道氏は退官の約半年後、2016年1月に博報堂に再就職している。

■阪本和道氏の再就職に関する裏付け資料

国家公務員法の規定によると、少なくとも2016年度に内閣府が博報堂に対して交付した補助金等の総額と、両者の間の「売買、貸借、請負その他の契約の総額」をすべて開示しなければならないことになる。

当然、筆者は情報公開請求の手続を取ることになる。それにより2016年度にメディア企業に対して支払われたPR費の総額が明らかになる。これについては、黒塗りは許されないことになる。

2017年01月05日 (木曜日)

内閣府に対する博報堂からの請求書(平成25年度分)を検証したところ、
新聞の紙面広告を対象とした広告効果測定調査やマーケティング調査の名目
で、8回の請求が行われていたことが分かった。金額は、いずれも黒く塗りつぶされ、隠蔽されている。

8回の調査対象になったものは、いずれも内閣府がスポンサーになった広告で、広告のテーマごとに、請求が起こされている。テーマは次の通りである。

◇不可解な請求額の黒塗り

「高齢者に対する振り込め詐欺を始めとする特殊詐欺などの未然防止」

「社会保障と税の一体改革」

「いじめ問題」

「若年者雇用対策」

「政府広報プランコンセプトに基づく個別広告テーマの広報実施業務等・年度末調査」

「消費者問題」

「いじめ問題」

「防災・減災」

これらのテーマの中には、「政府広報プランコンセプトに基づく個別広告テーマの広報実施業務等」のように、博報堂自身が業務を請け負った当事者であるものも含まれている。つまり自分の仕事の評価を自分で行って国から料金を徴収していたのである。

が、不思議なことに、その請求額を内閣府の方が黒塗りにして隠している。8枚の請求書のうち、参考までにその一部をPDFで紹介しよう。

■黒塗りにされた請求書の一部

◇成果物の情報開示

新聞の紙面広告の広告効果測定調査とは、具体的にどのようなものなのかという疑問もある。インターネット広告は、アクセス解析によって広告効果を測定できるが、新聞広告の広告効果を測定することは極めて難しい。

しかし、平成25年度に博報堂が実際に、広告効果測定調査を行ったわけだから、その成果物は存在するはずだ。今後、筆者は成果物を情報開示するように内閣府に求めることになる。