2017年02月21日 (火曜日)

19日付けのメディア黒書で、元日本新聞販売協会(日販協)理事の青木晃氏が「NO残紙キャンペーン」に加わったニュースを掲載した日の深夜、早々にリアクションがあった。何者かが匿名で、あちこちの販売店へ嫌がらせの電話をかけたという。複数の人から通報を受けた。

「今までさんざん儲けさせてもらってて、なんや!」

「恩知らず!」

電話をかけたのが販売局の人間とは限らないが、依頼された「ならず者」の仕業である可能性が高い。録音された声帯を分析すれば、人物は特定できる。

◇武富士から新聞社販売局へ

新聞社販売局の担当員のマナーが悪いことは定評がある。もちろん全員ではないが、「新聞を増やせ」「紙を増やせ」と命じられる中で、ストレスが最高潮に達し、自分たちが取っている行動の異常さを自覚できなくなっている人が多い。これに同じ新聞社の記者職に対する激しいコンプレックスが加わって、弱い者いじめに走るのだ。だからかなりたちが悪い。

販売店からの新聞代金の入金がないと、サラ金業者のようにしつこく取り立てる。店を改廃すると脅す。書面も送り付ける。店主が入院している病院にまで、連日のように押し掛けた例もある。(この件は、筆者が取材を申し込むと止まった。))

こうした異常行動も半ば当たりまえになっているようだ。「人権派」弁護士の支援で、店主の自宅を差し押さえた例もある。

◇担当員に残飯を食わされた

もう随分昔のことになるが、溝口さんという店主がこんな話をした。(これは『漫画実話ナックルズ』でも原案を提供した。)店主になってまもないころ、溝口氏は深夜に担当員から料亭に呼び出された。夫妻で指定された料亭へ来るように言うのだった。

そこで溝口夫妻がコートを着て料亭へ出向くと、新聞社の販売局員らが、酒盛りをしていた。宴は終盤になっていた。担当員が、新聞を増やすようにねちねちした声でアドバイスした後、皿の中の食べ残しの煮魚を指して、溝口夫妻に食べるように促した。溝口氏はいやいやながら半ば骸骨になった魚を口にした。

昔は、新聞社が販売店を改廃するときは、「整理屋」と呼ばれるヤクザが販売店に押し掛けて、店主や家族を追い出すこともあった。新聞業界とヤクザの親密な関係を知る最も手っ取り早い方法は、新聞販売関係の団体が総会を取材することだ。総会は、たいてい温泉で開かれる。

そこで総会の開催日と温泉宿を把握し、大浴場で張り込むことだ。総会が終わると、販売関係者が一斉に浴場に現れるので、各人の背中を観察してみるいい。必ず刺青が入っている人がいるはずだ。

筆者はこの話をある月刊誌に書いたことがある。するとそれ以後、この社からは一切に連絡がなくなった。タブーであるが、日本の新聞業界のありかたにかかわる重大な事実である。

◇かつては整理屋(ヤクザ)が・・・・

4,5年前、東京練馬区の販売店がつぶされそうになったとき、筆者は全印総連(印刷関係の労働組合)の人々と一緒に、この店に張り込んで、担当員が資金の取り立てに現れるのを待った。担当員が店に入るを待って、われわれ4、5人が姿をみせると、「あんたたちはなんだ?」という表情で睨みつけてきた。

結局、担当員はこの日はなにもできずに撤退した。

販売店の経営が悪化する状況の下で、報道すること、ジャーナリズムが監視することが、今後、何よりも重要になる。ジャーナリズムの光が当たらない業界-新聞業界・広告業界-に問題が多いのは、監視する者がだれもいないからだ。

今後、メディア黒書では、不良担当員について通報があれば随時掲載してゆく。そのためのロゴも作成した。店主の方には、必ず会話を録音するようにお願いしたい。

情報提供:電話048-464-1413
                 メール・xxmwg240@ybb.ne.jp

 

2017年02月20日 (月曜日)

2月17日付けのメディア黒書で、国勢調査の公共広告(新聞による告知)を、広告代理店・博報堂が「間引き」していた問題を報じたが、内閣府が2015年度に博報堂に対して発注したPR事業でも、同種の「間引き」が行われていた疑惑が浮上した。

【参考記事博報堂による6億円事業、H27年度国勢調査の新聞広告の間引き、架空請求の決定的な証拠

2015年4月1日、内閣府と博報堂は「政府広報ブランドコンセプトに基づく個別広報テーマの広報実施業務等」と題するPRプロジェクトの契約を交わした。この契約には、約6700万円の構想費が含まれている。

筆者が、この構想費の「成果物」の開示を情報公開請求したところ、16日に次のような連絡が書面であった。

本件についても、基本的に「成果物」として開示できるものは無いとお話させていただいておりましたが、あらためて業務内容を整理確認し、「成果物」として次の2点を開示します。

a 仕様書3ページ(1)政府ブランコンセプト~②WEB戦略(ウ)に該当する「動画」2本(18歳選挙)

b仕様書3ページ(1)政府ブランコンセプト~②WEB戦略(オ)に該当するニュースレター21本

つまり構想費の中味とは、内閣府に対するアドバイスや提案に加えて、2本の動画(各30秒)と、ニュースレター21本(プレスリレース)ということになる。

■裏付けの仕様書

ところが契約書の「仕様書」によると、上記の「成果物」に加えてフェイスブックやツイッター等のコンテンツを作成することになっている。これらのコンテンツを博報堂が制作していれば、その「成果物」が記録として保存されていないことはおおよそあり得ないだろう。

念のために、「仕様書」から該当部分を引用しておこう。裏付けの証拠は、上記の仕様書(PDF)。

(エ)フェイスブックやツイッター等のSNS(ソーシャルネットワーキングサービス)について、効果的な運用方法を提案するとともに、訴求力の高いコンテンツを作成すること。

◇「間引き」分を請求

契約書で決められた業務を行わなかった場合、契約した価格から、一定の作業代金を差し引くのは常識である。さもなければ、差額分は寄付として受け取ったか、詐取したかのどちらかになる。

そこで博報堂が全額を請求したか否かを調べてみると、契約書の額と請求書の額が一致しており、「間引き」した仕事についても、料金を請求していたことが分かった。次に示すのが2つの裏付け資料である。

■契約額(契約書)赤表示の部分

■請求額(請求書)赤表示の部分

差額分が寄付であれば、寄付として博報堂が申告しているかどうかを調査する必要がある。していなければ脱税である。また、詐取したのであれば、詐欺ということになる。国家予算の横領にもなるだろう。

しかも、博報堂からの(有料の)アドバイスを参考に内閣府は、新聞広告の出稿やテレビCMの制作を博報堂へ次々と発注する決定を下していたわけだから、デタラメという他ない。内閣府の広報関係者は国家公務員として不適切だというのが、筆者の考えだ。

◇国家公務員法の改悪と官僚の腐敗

読者は、国家公務員の職務などを定めた国家公務委員法をご存じだろうか?もともとこの法律は、次のように国家公務員の「天下り」を規制していた。

職員は、離職後2年間は、営利企業の地位で、その離職前5年間に在職していた人事院規則で定める国の機関、特定独立行政法人又は日本郵政公社と密接な関係にあるものに就くことを承諾し又は就いてはならない

ところが第1次安倍内閣の時代、この条項は廃止となり、次の条項が加わったのである。

  第18 条の5 内閣総理大臣は、職員の離職に際しての離職後の就職の援助を行う。
2 内閣総理大臣は、官民の人材交流の円滑な実施のための支援を行う。

これは恐らく官僚を新自由主義の実働部隊に変質させるための暗黙の取り引きではないかと思われる。官僚が動かなければ、国策は進まない。特に内閣官房(総理直属の機関)や内閣府はその要だ。

実際、内閣府や内閣官房から、広告業務に携わった国家公務員が複数、博報堂にも再就職している。次の2名である。

■阪本和道氏(元内閣府審議官)

■田幸大輔氏(元広報室参事官補佐・広報戦略推進官)

■裏付け資料

構想費(約6700万円)を払ってPR戦略のアドバイスを受けた側が、アドバイスをした博報堂へ就職したわけだから、異常としか言いようがなく、状況を詳しく調べる必要があるだろう。その逆であれば、まだ、理解できるが。

国家公務員法で保護されても、別の問題があるのだ。

 

 

2017年02月19日 (日曜日)

【段ボールにはスポンサーから料金だけを受け取り、読者に配達することなく廃棄される折込チラシが入っている。1箱には約5000枚のチラシが入る。金額にして1万円から1万3千円くらいになる。これを週に4回岡山市内の中心部の販売店を回る。トラックには約70箱が積載されている。】

今月13日にスタートした「No残紙キャンペーン」に、元日本新聞販売協会(日販協)の理事・青木晃氏が賛同者として加わった。青木氏は、産経連合会の会長や東京都新聞販売組合の組合長を務めた経歴もある。

現在の日販協は新聞社と協調路線を取っていて、筆者が見る限りでは、あまり新聞販売店の支持を得られていないが、1990年ごろまでは、極めて真っ当な団体だった。『日販協月報』のバックナンバーを閲覧すると、「押し紙」を告発した記事が多数掲載されている。戦後、まもない時期から「押し紙」はあったのだ。

1977年に日販協は、全国の新聞販売店を対象とした「残紙」のアンケート調査を行った。その結果、搬入される新聞の8.3%が残紙になっていることが判明した。この調査結果をもとに、日販協は新聞各社に対して「押し紙」政策を改めるように繰り返し申し入れている。たとえば、

 この調査からの推計によれば、年額17.9万トン、207億円に相当する新聞用紙を無駄に消費し、これを新聞店に押しつけ、さらに莫大な拡材費(黒薮注:ビール券や洗剤などの景品)をかけて、ほんの一部の浮動読者の奪い合いを演じている実態を見るとき、ひとり1社の損害計算に止まらず、わが国の新聞産業全体の大局からみても、その利害損失は果たしてどうであるか、経営責任者である貴台には十分おわかりのことと存じます。

こうした真摯な申し入れに対して、新聞人(その大半は記者としては箸にも棒にもかからず、経営者を目指した人々)は耳を貸さなかったのである。

◇「押し紙」世界一

日販協の路線がおかしくなったのは、1980年代の後半に自民党新聞販売懇話会が発足してからである。再販制度を撤廃する動きが浮上する兆候があり、日販協は政界工作により、再販制度を維持する「必要悪」に迫られたのである。
それにつけ込んだのが、新聞社や放送局の元ジャーナリストである。

特に元NHKの水野清氏が新聞販売懇話会の会長になってから、おかしくなった。日販協からの政治献金も行われるようになった。

その後、小渕恵三氏が新聞販売懇話会の会長と内閣総理大臣を兼任するようになり、政界と新聞業界の癒着は病的に進行したのである。

現在の新聞販売懇話会の会長は、元読売新聞記者の丹羽雄哉氏である。丹羽氏は、日販協から政治献金を受けている。政治献金を受けて、新聞に対する軽減税率を阻止する運動に協力した事実がある。

「NO残紙キャンペーン」は、政界工作のためのキャンペーンではない。思想・信条も問わない。新聞の「押し売り」は、即刻中止すべきだという単純明快な観点で立ち上げたキャンペーンである。

「押し紙」は、厳密には戦前からある。それがまだ続いているのである。日本の新聞社には、反省という言葉がない。

2017年02月18日 (土曜日)

筆者の所に新聞販売店から、相談が相次いでいる。系統別でみると、産経と朝日が多い。さらに以外なことに日経を扱っている販売店からも情報提供がある。

昨日、産経新聞大阪本社に、産経の販売政策を調べるために取材を申し込んだところ、東京本社から電話があり、書面で取材を申し入れるように指示があった。本来であれば、筆者が取材するまでもなく、新聞社の記者の仕事であるが、それを期待することはできないので筆者がこの社会問題を取材し、記録していく。

◇販売店へのアドバイス

これまでの筆者の取材体験から、販売店は次のことを実行するのが望ましい。

新聞販売店の係争に詳しい弁護士に一刻も早く相談すること。

新聞社の担当員の会話を、隠し録音機(1万円程度で入手できる)で全て録音して、日付けと会話の内容を録音しておくこと。

新聞社側から受け取った書類は、メモ類も含めてすべて保管・整理しておくこと。

新聞代金の納金ができないなど、トラブルになる気配があるときは、すぐに相談すること。引き延ばしていると、保証金も家財もすべて取られた後、多額の負債を抱えたまま改廃される可能性が高い。家族が崩壊したり、自殺者が出た例も多い。

新聞社の担当員が、資金回収で自宅まで押し掛けてきて騒いだときは、警察に通報すること。以前、店主が入院していた病院まで押し掛けてきたことがあったが、筆者がこの新聞社へ取材を申し入れたところ、以後、このような行為はなくなった。編集部門の人々には、まだ、良心が残っている。

「押し紙」を切るように新聞社と交渉する際、新聞社は、「『押し紙』は切るが、補助金も減らす」と回答する可能性が高いが、その際、補助金の減額は断ること。「押し紙」の規模に応じて補助金を支給する行為は、「押し紙」を販売店に買い取らせてABC部数をかさ上げする現在のビジネスモデルの証拠となり、刑事告発などが起こされた場合、新聞社にとっては大きな痛手となる。

折込広告の水増し問題を盾に取って恫喝されたときは、「折込定数を決めるためのデータを提供しているは新聞社」であると反論すること。

問題が深刻化する前に、集団で「押し紙」裁判を起こすことがふさわしい。集団で訴訟を起こした例としては、北國新聞と琉球新報の例がある。前者は、販売店の和解勝訴。後者は、現在係争中で、販売店側が有利だと聞いている。

1店だけ単独で「押し紙」を切ると、その部数が他の販売店へ押し売りされるので、集団で交渉して、交渉が決裂すれば、集団訴訟を起こすのが最良の解決策だ。

 

【無料相談先】「NO残紙キャンペーン」のウエブサイト
                    

                                 メディア黒書 048-464-1413

2017年02月17日 (金曜日)

総務省が博報堂に対して2015年(平成27年) に発注した「平成27年国勢調査の広報に関する総合企画」が、請負契約書で定められた仕様に則して履行されていなかったことが分かった。

筆者が問題にしているのは、国勢調査をPRするための新聞広告に関する業務である。契約書によると、博報堂は中央紙5紙(朝日、読売、毎日、産経、日経)にそれぞれ5回、述べ25回、新聞広告を掲載することになっていた。しかし、実際には12回しか掲載していない。これについては、博報堂も認めている。

◇どのような契約内容だったのか?

新聞広告の掲載時期は、契約書では次のように決められている。()内のナンバーは、契約書に付されたナンバーである。

(2)調査関係書類配布の告知機関(平成27年9月1日から30日まで)

(3)インターネット回答実施の告知機関(平成27年9月1日から16日まで)

(4)インターネット未回答者の回答促進機関(平成27年9月17日から20日まで)

(5)回答促進期間(平成27年10月1日から7日まで)

(6)未回答者の回答推進機関(平成27年10月8日から20日まで)

■裏付け資料

(2)から(6)は、国勢調査の各ステージだ。各ステージに連動して新聞広告を出し、国民に調査への協力をよびかけるのが、総務省の目的だった。掲載時期と掲載新聞について、契約書の「仕様書」は次のように指示している。

上記「7(2)~(6)の各時期に全国紙5紙の朝刊に掲載すること。

■裏付け資料

◇博報堂も12回しか掲載しなかったことを認めた

筆者は、国会図書館にある全国紙5紙の縮刷版を使って、実際に(2)から(6)の各ステージで、国勢調査の広告が掲載されているか否かを調査した。その結果、契約どおりに掲載されていないことが分かった。契約書では、国勢調査のそれぞれの5つのステージで、全国紙5紙に広告を掲載することになっていたのだから、述べ25回掲載しなくてはならない。さもなければ契約不履行ということになる。

実際の掲載回数は12回だった。述べ13回が欠落している。

この問題で博報堂に問い合わせたところ、掲載回数が12回であったことを通知してきた。書面で掲載日と掲載紙を知らせてきたのだ。参考までに、博報堂の回答を引用しておこう。

ご指摘の「5回の記事下広告の掲載」というのは、
「全国紙5紙の朝刊に掲載すること」という記載のことを、おっしゃっていらっしゃいますでしょうか。

実際の出稿は以下のとおりです。
既に新聞に掲載された、言わば公開情報ですので、当社からご回答申し上げます。

①8月24日 朝日新聞(全国朝刊)、毎日新聞(全国朝刊)、読売新聞(全国朝刊)、日本経済新聞(全国朝刊)、産経新聞(全国朝刊)5紙に全2段の新聞広告を掲載。

②9月17日 読売新聞(全国朝刊)に連載漫画下に広告を掲載。

③10月1日 朝日新聞(全国朝刊)、毎日新聞(全国朝刊)、読売新聞(全国朝刊)、日本経済新聞(全国朝刊)、産経新聞(全国朝刊)5紙に半5段の新聞広告を掲載。

④10月8日 読売新聞(全国朝刊)に連載漫画下に広告を掲載。

以上、延べ12紙に広告は掲載されています。
①~④は広告原稿の内容も異なります。ご確認いただければと思います。

よろしくお願いいたします。

回答の中にも、広告の掲載回数について、「延べ12紙に広告は掲載」と書いてある。25回の掲載を契約しておきながら、12回しか掲載しなかったのだ。

◇広告を間引いて正規の価格を請求

25回の掲載予定を12回に減らしたわけだから、当然、その分の請求額を差し引かなければならない。差引の有無を調べるために、筆者は契約書に記された額、見積書の額、それに請求書の額を点検した。その結果、次のように3者の額が正確に一致していた。

契約額:6億円(消費税を含む)

見積額:6億円(消費税を含む)

請求額:6億円(内訳:555,555,556円+所費税)

広告の未掲載分は差し引かれていない。
ちなみに見積書の上でも、掲載回数の変更に伴う修正は行われていない。後述するように契約書の取り決めによると、掲載回数など仕様を変更したときは、見積書の提出が義務付けられているのだが。

◇天災地変など不測の事態は発生していない

一方、発注元の総務省は、12回しか広告が掲載されていないことを認めた上で、なぜか博報堂を擁護している。次に引用する契約書の第18条が適用されるのだと主張している。

【第18条】甲及び乙は、この契約の締結後、天災地変、法令の制定又は改廃、その他の著しい事情の変更により、この契約に定めるところが不当となったと認められる場合は、この契約に定めるところを変更するため、協議することができる。

2 前条第2項の規定(黒薮注:仕様などを変更する場合の見積書の提出義務)は、前項の規定により契約金額の変更に関して、協議を行う場合に準備する。

■裏付け資料

国勢調査が行われた2015年度に、調査が困難になるような天災地変や法令の制定は発生していない。たとえ発生していたとしても、仕様を変更して広告の掲載回数を減らした場合は、見積書を修正して請求額を変更しなければならない。ところが博報堂は、最初に契約した金額をそのまま請求している。

筆者は総務省に対して、本件の契約書、見積書、請求書の情報公開請求を行った。しかし、開示された中に、変更済みの見積書は含まれていなかった。繰り返しになるが、博報堂は広告を間引いたうえに、契約した金額をそのまま請求したのである。

こうした契約不履行が国勢調査に及ぼした影響は、計り知れないだろう。博報堂は記者会見を開いて、謝罪した上で、金銭を返金すべきだろう。

◇高市総務相にも「還付金」疑惑

現在の総務大臣は高市早苗氏(写真)である。高市氏が金銭面の不正を改めさせる可能性は少ない。高市氏の政治資金収支報告書を調べたところ、自らの政党支部に自ら寄付して、不正に「還付金」を受け取っていることが分かった。金銭感覚がおかしい。

高市氏による「還付金」問題は、自由党・森裕子氏と同じ手口である。森氏は、還付金を不正に受け取った疑惑で、新潟地検の取り調べ対象になっている。以下、森氏の手口を説明した筆者の記事と、高市氏が還付金を受けた証拠を紹介しておこう。

森裕子議員、詐欺の疑いで地検が刑事告発状を受理…献金で違法な還付金受領か(ビジネスジャーナル)

■高市総務相・還付金を受けた証拠1

■高市総務相・還付金を受けた証拠2

高市氏に、この事件はおそらく解決できない。総務省の職員は、ドン・キホーテの精神を発揮し、独自にこの問題を調査すべきだろう。

筆者は、今後、広告の仕様(サイズ等)、その他のPR業務についても契約に則しているかを調査する。

2017年02月16日 (木曜日)

メディア黒書へ送付されてきた朝日新聞の内部資料を紹介しよう。発送元が不明だが、知り合いのASA関係者に確認したところ、朝日新聞の資料だということだ。

資料は「労務研修委員会」という部署のもので、朝日新聞東京本社の管内におけるASA従業員数の増減を示したものである。専業、副業、奨学生に分類して提示されている。2016年10月時点でのデータである。()内は前年同月比。

■専業
8,073人(-708)

■副業
2,299人(-274)

■奨学生
959人(+56)

■計
11,331(-926)

奨学生を除いて、新聞販売業に従事する人口が減っていることを示している。奨学生が増えているのは、相対的に貧困が進行している裏返しではないかと思われる。

新聞のABC部数は、右肩下がりの傾向が止まらない。それに連動するように、新聞販売店の整理統合が進んでいる。販売店の経営を圧迫しているのは、新聞社による「押し紙」政策と、折込広告の需要減である。状況は、都市部も農村部も変わらない。販売店の経営者が希望を失い、たとえ自主廃業しても、販売店の後継者をみつけるのが難しい状況になっている。

新聞社の中には、販売店の業務を宅配まで拡大する方向性を打ち出しているところもあるが、販売店側の反応は冷ややかだ。人員が足りないという。

新聞販売店の従業員は、午前2時に出勤して7時まで配達業務を行う。その後、仮眠を取ったあと11時に再び出勤する。そして折込広告をセットする作業に入る。夕刊の配達が終わるのは17時。それから集金に出ることもある。

かなりハードな仕事をこなす。そのうえ宅配事業に参入するとなれば、新たな従業員を雇う必要がある。実質的に、宅配との兼業は不可能というのが販売店関係者の考えである。

唯一生き残る方法は、新聞社が「押し紙」政策をやめて、販売店を健全に経営できるだけの補助金を支給することである。新聞社の社員の高給待遇を少し切り下げれば、十分にできる対策である。

■「NO残紙!キャンペーン」のウエブサイト

【情報提供は、048-464-1413】

2017年02月15日 (水曜日)

内閣府、あるいは内閣官房(総理直属の機関)から博報堂への「天下り」が慣行化している実態が過去の国会議事録などから分かった。

現時点でも、博報堂への天下りは、少なくとも阪本和道氏(元内閣府審議官)と、田幸大輔氏(元広報室参事官補佐・広報戦略推進官)のケースが判明している。他の省庁からのものを含めると、松田昇氏(元最高検刑事部長)、前川信一氏(元大阪府警察学校長)、蛭田正則氏(元警視庁地域部長)らも博報堂、あるいはその持株会社である博報堂DYホールディングスに再就職している。

国家予算の一部が形を変えて、彼らに報酬として支払われていることになる。

なんのために博報堂グループが退職した国家公務員を受け入れているのかについては、個々の元国家公務員か、内閣府を取材しなければ分からないにもかかわらず、「天下り」の連携プレーを演じている当事者らは、阪本氏らの再就職は合法で「天下り」に該当しないという詭弁(きべん)を弄しているので、真相解明の糸口すら掴めない。

彼らの詭弁がどのようなものであるかは、後述することにして、国家公務員らによる凄まじい天下りの実態を過去の国会議事録から紹介しよう。

◇過去にも博報堂に5名が天下り

2007年5月11日の国会。内閣委員会で共産党の吉井英勝議員(写真)は、内閣府と広告代理店の不透明な関係を、特に新聞の公共広告に特化して追及した。内閣府が募集する公共の新聞広告(国策プロパガンダの媒体)の入札が、表向きは競争入札になっているが、実態としては随意入札や談合になっている事実を指摘している。

もちろんこの国会質問は、博報堂の実態だけに特化したものではなく、電通を筆頭とする日本の広告業界全体の談合体質を糾弾しているのだが、その中に不透明な取り引きの背景に「天下り」があることを指摘している。

博報堂の場合は、「経済社会総合研究所総括政策研究官を最後に退職した丸岡淳助氏の二人の天下りがあるということになっております」と、述べているほか、他の省庁も含めた実態については、「衆院調査局の中央省庁の補助金等交付状況、事業発注状況及び国家公務員の再就職状況予備的調査によれば」「博報堂には五人、うち常勤三人」だと指摘している。

その上で吉井議員は、次のように公務員制度改革が機能していない実態を批判する。

 政府広報を契約する内閣府の人が天下りをしていっている。そして、この入札の一連のいろいろな問題の中で、いろいろな疑念とか疑惑、そういったものが持たれるものについて、やはりまずこれを徹底的に解明する。そのことなしに公務員制度改革を口にするということは、私は、かなり筋が違うんじゃないか。改革を口にするんだったら、まず実態の究明、解明だということを言わなきゃならぬと思うんです。

 ◇天下りが後を絶たない本当の理由

「天下り」はなぜ後を絶たないのか?
答えは簡単で、言葉の定義にある。伝統的に司法の場では、天下りは官庁が国家公務員の退官後のポストを民間企業に設けさせて受け入れさせることを意味し、このような上からの強制がなければ、「天下り」とは解釈されないからだ。

実際には、「天下り」という言葉は、広義に国家公務員が取引先に再就職することを指しているが、司法の世界では、狭義の「天下り」にしか解釈されない。従って、再就職等監視委員会による調査基準も次のようにずさんなものになっている。

1 現職職員による他の職員・元職員の再就職依頼・情報提供等規制
2 現職職員による利害関係企業等への求職活動規制
3 再就職者(元職員)による元の職場への働きかけ規制

これでは、問題の根源を絶てるはずがない。また、彼らに問題を解決しようという気概もない。彼ら自分自身、退官後の再就職を希望しているからだろう。

◇国策プロパガンダと金

余談になるが、「押し紙」という言葉も、恣意的な解釈が行われている。たとえば「押し紙」裁判で読売の代理人を務めてきた自由人権協会・代表理事の喜田村洋一弁護士らは、読売には、過去も現在も、1部の「押し紙」も存在しないと主張してきたが、筆者が保存している裁判記録によると、そのひとつの根拠になっていたのが、なんと「押し紙」の定義である。喜田村弁護士らによれば、押し売りした証拠がない新聞は、「押し紙」ではないので、読売には1部も「押し紙」が存在しないという理論になるのだ。

司法の世界では、この程度の論理が通用してしまう危険性があるのだ。実社会では、社会通念からして、販売予定のない商品を多量に仕入れるバカはいないので、販売店に残っている新聞は押し売りされたものと解釈して、広義に「押し紙」と言っているのだが。

「天下り」という言葉にも、まったく同じ罠が潜んでいる。

博報堂の諸問題は、かなり以前から国会で問題になってきた事が過去の国会議事録から判明した。しかし、まったく改善されることなく今日に至っている。
今も同じことを繰り返しているのだ。

これにメスを入れるには、やはり公共広告の在り方、あるいは国策プロパガンダと公共広告、金について考える住民運動を組織することも必要ではないか。

 

2017年02月14日 (火曜日)

「押し紙」問題に取り組んでいる弁護士や地方議会の議員らが中心になって、「NO残紙!キャンペーン」のウエブサイトを立ち上げた。

このサイトは、残紙(広義の「押し紙」)の実態を知らせ、公正取引員会による抜き打ち実態調査の実施を求めるキャンペーンを展開するためのサイトである。

残紙問題は、厳密にいえば戦前からあるが、深刻な社会問題として浮上してきたのは、1970年代の後半である。日本新聞販売協会が、残紙の調査を行い新聞発行本社に改善を求めたのが最初だ。

■「NO残紙!キャンペーン」のウエブサイト

その後、1980年代になり、国会質問の場で、共産党、公明党、社会党の3党が超党派で5年に渡り「押し紙」をはじめ、新聞販売の諸問題を追及したが、結局、解決には至らなかった。新聞社は、みすからの販売政策を改めるどころか、その後、かつてない規模で配達されない新聞を販売店へ送り続けたのである。

「押し紙」は戦後の日本の新聞ジャーナリズムにおける最大の汚点にほかならない。販売局はいうまでもなく、編集局も自分足下にあることの大問題を避けたのである。日本のジャーナリズムのレベルがここに現れている。

2000年代に入って残紙率が50%を超えるケースも現れた。大量の残紙で生じる損害を相殺する手段になっていたのは、折込広告の水増し行為と、新聞社が支給する補助金である。こうしたカラクリにより、新聞社はABC部数をかさ上げして、紙面広告の媒体価値を高め、広告収入を増やしてきたのである。これが日本の新聞社のビジネスモデルである。

が、折込広告の水増し行為が広く社会に知られるようになったことに加えて、新聞からインターネットへの移行が進んだことで、急激な新聞ばなれが進んだ。
その結果、廃業寸前の販売店が相次いでいる。

一体、誰に責任があるのか。念を押すまでもなく、それはこのようなビジネスモデルを構築した新聞発行本社である。販売店の側は、ビジネスモデルに組み込まれていたわけだから、「押し紙」の受け入れを拒否すれば、経営が成り立たなくなる。従わざるを得なかったのだ。

しかし、新聞社は今なお「押し紙」政策を中止しようとはしない。病的な実態になっている。

先日、筆者のところへ送られてきた告発、「管理センター」の内部資料によると、「押し紙」は一部もないと豪語してきたある新聞社が、2016年9月から10月にかけて、A店に対して534部も搬入部数を増やしている。

独禁法の観点からして、正常な販売店経営に不要な新聞は、すべて「押し紙」であるから、この新聞社の「押し紙」は公正取引委員会に報告することになる。

また、今月に入ってから、ある販売店から、新聞社に恫喝されたとの連絡があった。話を聞いてみると、「押し紙」を断ったところ、「折込詐欺で広告主から、2億か3億請求されるだろう」と脅されたというのだ。これが新聞社販売局の人間のレベルなのだ。どこにでもいる下品なちんぴらとあまり変わらないのが実態なのである。

これも記録しておく大事な事実にほかならない。

◇「押し紙」についての2つの相談窓口

このところの新聞販売店の惨状に、販売店OBからも「支援を」との声があがっている。日本新聞販売協会の元理事のひとりが、メディア黒書に対して、「困っている販売店がいれば相談に乗る」と名乗りでられた。黒薮が取り次ぐので、048-464-1413まで連絡を願いたい。

新聞社は、「押し紙」を告発する者に対して、「恐い人間」というレッテルを張っているそうだが、おろかな評価である。詐欺を主導してきた新聞社販売局にとって、恐いだけの話である。

なお、「NO残紙!キャンペーン」のウエブサイトは、黒薮が管理者なので、問い合わせ(048-464-1413)には黒薮が対応する。

2017年02月13日 (月曜日)

博報堂と省庁の不自然な取り引きが、内閣府だけではなく、環境省でも10年以上も前に行われていたことが分かった。古い国会議事録を調査したところ、2007年6月8日に、民主党の末松義規議員が、環境省から博報堂へ3年間で約90億円もの国家予算がPR活動費として支出されていた事実を追及していたことが分かった。

現在、内閣府で問題になっているのは、2015年度の25億円などの支出であるが、かつてはもっと大規模な取り引きがあったのだ。

◇国策プロパガンダの仕掛け人

2007年6月8日、末松議員は外務委員会で、博報堂が制作したクールビズのポスターと新聞広告について質問した。このうちポスターについて、末松議員は次のように言う。

これは今月6日に私自身が撮った写真です。(略)柱に、総理(安倍)と若林環境大臣が相互にずっと写真が並んでいるわけですよね。ポスターで。そして、その側面、横に、同じように総理、あと若林環境大臣、そしていろいろな有名企業の社長がどんどん写真に出ているわけです。

若松氏が問題にしたのは、参院選が近づいていたために、安倍首相の顔写真入りの公共ポスターが、選挙のPRを意図したとも考え得るからである。

さらに末松議員は、安倍夫妻が新聞の全面広告のモデルとして登場している問題にも言及した。

これらのPR業務を担当したのが、博報堂である。末松議員は、その博報堂へ莫大な国家予算が流し込まれている事実を指摘した。結論を先に言えば、その金額は、3年間で約90億円である。

末松 博報堂とは年間どのくらいの費用というか契約をやっているんですか。27億円という話を聞きますが、それは事実ですか。

南川参考人  今年度につきましては、年間トータルで27億円の契約をいたしております。

末松 広告については1億6500万円という話が出ていますが、それも事実ですね。

南川参考人 確定作業はこれからでございますが、ほぼ昨年と同じで1億6500万円だというふうに考えております。

末松 最後の質問なんですけれども、博報堂とは、では、ことしと去年とおととし、これはずっと30億円近くのお金で契約をしてきたんですね。(略)

南川参考人 企画競争をして、外部の審査も行った上で、そういった契約をしております。

◇総理直属の機関から職員が博報堂に再就職

巨額の国家予算が博報堂へ流れ込んでいる問題は、実は10年以上も前からあったことになる。博報堂は2009年に発覚した郵政事件の中でも、年間、200億円を超える規模の国家予算を手にしていたことが、朝日新聞などの報道で分かっている。

■参考記事:日本郵政、広告発注に契約書なし 博報堂に368億円(朝日)

その手口のひとつに、民間企業でも被害が報告されている後付け請求がある。現在、内閣府で行われている公共広告の出稿システムがその典型で、見積書もなく、内閣府の職員の裁量で自由に国家予算を博報堂に支払う。しかも、PR活動についてのアドバイスを博報堂から受け、この業務に対しても、約6700万円(2015年度)の「構想費」を支払っているから驚きだ。

改めていうまでもなく、納税者の側から見れば、国が被害を受けているのである。

ちなみに内閣官房(総理直属の機関)から、2014年5月1日に田幸大輔氏(広報室参事官補佐・広報戦略推進官)が博報堂に再就職(広義の天下り)している事実も明らかになっている。

環境省における不自然な取り引きが判明したことで、今後の調査対象は、内閣府、文部科学省、総務省、環境省となった。岩手県など地方自治体と博報堂の関係も、今後、調査する必要がありそうだ。

■末松義規議員の国会議事録

【写真】2015年度も、環境省は、博報堂との間に巨額の契約を結んでいる。約8億6000万円は契約の一例にすぎない。

 

2017年02月12日 (日曜日)

日系ブラジル人のアイドル、壁画を描いて政治的な主張を展開するメキシコのアーティスト集団、キューバ音楽をテーマとした映画の制作記録。

『中南米マガジン』は、日本に在住する中南米の人々の生活と、ラテンアメリカの話題を網羅する日本で唯一の中南米をテーマとした季刊誌だ。

最新号には、『「おとぎの国」の革命家集団 ASARO』と題する山越英嗣さんの写真ルポが掲載されている。メキシコのオアハカ市は、観光地としても有名だが、街角の壁画でも知られるようになっている。

壁画で描かれているのは、たとえば「粗末な帽子をかぶった農民が、スーツ姿にシルクハットをかぶり丸々と太った政治家を、手にした山刀で突き刺している過激な内容」である。

2006年、オアハカ市で教員組合のストライキを政府が暴力的に排除する事件が起きた。その時に、地元の美術学校の学生たちが中心になって結成したのが、ASARO(オアハカ芸術家革命集団、Asamblea de Artists Revolicionarios de Oaxaca)である。

州政府も今では、ASAROの実力を認め、資金援助受を行っている。しかし、だからといって政府のプロパガンダ集団になっているわけではない。絵を通じて自分たちの主張を続けている。

ギャラリーではなく、屋外の壁画にこだわるのは、本当に絵を見てほしいのがギャラリーにも行けない貧しい人々であかるからにほかならない。

■『中南米マガジン』ウエブサイ

2017年02月11日 (土曜日)

2月7日付け京都新聞が、電磁波過敏症について、早稲田大学応用脳科学研究所「生活環境と健康研究会」が公表した結果を紹介している。それによると電磁波過敏症の有症率は、日本人の場合3%から5.7%である。

この数字は、10万人の都市であれば、3000人から5700人に相当する。100万人の都市であれば、3万人から5万7000人である。想像以上に大きな数字だ。かなり多くのひとが電磁波過敏症になっている可能性を示唆している。

症状は多種多様で、京都新聞が紹介しているものは、極度の疲労、集中困難、憂鬱、発疹、頭痛、耳鳴り、などである。

■京都新聞の記事 

電磁波が人体に及ぼす影響は、まだ完全には解明されていない。電磁波の危険性がクローズアップされたのは、1980年代に入ってからで、もちろんそれ以前からリスクを指摘する研究結果はあったが、社会問題になったのは、欧米で小児白血病と電磁波(超低周波)の関係が疫学調査で明らかになってからである。

その後、携帯電話の電磁波(マイクロ波)の危険性も指摘されるようになった。そして現在では、電磁波は放射線の仲間であり、エネルギーの低いものから、高いものまで、人体に負の影響を及ぼすという見解がほぼ常識として定着している。原発の放射線とおなじ線上で考えられているのである。

それを認めていないのは、日本の総務省ぐらいである。

電磁波に対する日本と欧米の考え方の違いは、携帯電話の通信に使われる電磁波(マイクロ波)の規制値や提言値の違いに典型的に現れている。次の数値をご覧いただきたい。

日本:1000 μW/c㎡ (マイクロワット・パー・ 平方センチメートル)

欧州評議会:0.1μW/c㎡、(勧告値)

ザルツブルグ市:0.0001μW/c㎡(目標)

筆者は、時々、電車の中で、電磁波(マイクロ波)の測定をするが、EUの規制値の50倍から100倍ぐらいの数値になっていることがよくある。毎日、通勤電車に乗るだけで、電磁波過敏症を発症するリスクが高まるのだ。相対的に癌が増えているのも、ひとつには電磁波に被曝する機会が増えてるからではないか。

以下、マイクロ波のリスクについて説明した。メディア黒書で既報した記述の再録である。

◇電磁波とはなにか?

そもそも電磁波とは何だろうか。最低限必要な範囲で、電磁波の正体を説明しておこう。

電磁波の「電」とは電気のことである。その電気が空間に放たれたものが電波である。しかし、電気や電波には、その影響が及ぶ領域がある。炎に手を近づけていくと、熱を感じる領域があるように、電気や電波にも、影響が及ぶ範囲がある。この領域を「電場」という。

電波は、われわれの生活に利便性をもたらした。携帯電話やスマホはその典型と言えよう。通信の革命と言っても過言ではない。が、その背景にある負の側面、あるいは「闇」の部分は、マスコミによってすっかり隠されている。

マスコミの大口広告主である電気・通信業界の権益がからんでいるからである。

電波による交信で絶対に欠くことができないものがある。それはアンテナである。電波はアンテナから発せられ、アンテナで受け止められる。それゆえに携帯電話の普及には、携帯基地局の設置が絶対的に必要になるのだが、この基地局が住民と電話会社のトラブルのもとになっているのだ。

次に電磁波の「磁」について考えてみよう。「磁」は何を意味するのだろうか。「磁」とは磁気、あるいは磁場を意味する。磁石が鉄を引き寄せることは周知であるが、その際に働く吸引力が「磁気」で、磁気が及ぶ範囲のことを「磁場」という。

電流が流れると、その周りには「電(場)」と「磁(場)」が発生する。電磁波とは、電気によって生じる「電場」と「磁場」を伴った波のことである。電波の形状と性質をより厳密に描写した言葉ということになる。

ちなみに単純に電磁波=電波と理解しても許容範囲である。枝葉末節にこだわりすぎて、物事を複雑に解釈すると、かえって電磁波問題を理解する妨げになりかねない。

電磁波問題とは、人体が電磁波(電波)を被曝し続けたときに生じる被害を公害の観点から指摘することである。広義に捉えれば、電磁波による人体影響だけではなく、生態系への影響も電磁波問題の範疇に入る。

電磁波問題の検証作業には1年、2年、あるいは5年、20年という長い歳月を要する。短期間の電磁波被曝では影響が現れなくても、長期にわたる被曝により影響が現れる場合もあるからだ。携帯電話の普及が始まったのち、長い歳月を経て、ようやく基地局の危険性が指摘されるようになったのも、安全性の検証には、長期の被曝による人体影響を調べる必要があったからである。

電磁波はエネルギーが低いものでは、家電機器などから漏れる「低周波電磁波」がある。また高いものでは、レントゲンのエックス線や原発のガンマ線など、さまざまな種類がある。従来は、ガンマ線やエックス線などエネルギーが高いものについては、遺伝子に対する毒性があると考えられてきたが、既に述べたように、最近では全ての電磁波に毒性があるという見解が主流になってきた。

このあたりの事情について、電磁波研究の第一人者である荻野晃也氏は、『携帯電話基地局の真実』の中で次のように述べている。

これらの電磁波のうちで、原爆の被爆者・被曝者などの研究から、「電離放射線(黒薮注:電離放射線とは、ガンマ線やX線を指す。詳しくは後述する。)が特に発癌の危険性が高い」と思われてきたのです。ところが、最近の研究の進展で「電磁波全体が危険な可能性」があり、「共通した遺伝的毒性を示す」と考えられるようになってきたのが、現在の「電磁波問題」の本質だといってよいでしょう。

また、北里大学の名誉教授・宮田幹夫氏らがまとめた『生体と電磁波』にも、次のような記述がある。

エックス線もガンマ線も電磁波である。人工の電磁波に比べてエネルギーが非常に大きいため、物質への浸透性が強く、生体へのダメージも非常に大きい。しかし、極低周波から超高周波まで、人工電磁波も生体へのダメージは大きく、身近にある場合は障害を生じる。放射線と電磁波はメカニズムが異なるが、同じように体内にフリーラジカルを生産し、DNAを破損してがんの原因を作る点では、同じような環境汚染源としてみることができる。

広島と長崎に投下された原爆の影響で、癌や白血病が増えたこともあって、かねてからガンマ線と癌の関係は定説となってきたが、実はマイクロ波など他の種類の電磁波でも、遺伝子に対する見解が変化してきたのである。

◇電磁波の分類

既に述べたように電磁波には、ガンマ線、X線、マイクロ波など様々な種類があるが、これらは何を基準に分類されているのだろうか。結論を先に言えば、それは電波の波打ちの頻度である。1秒間に打つ波の頻度、つまり周波数の違いにより、電磁波は分類され、ヘルツという単位で分類される。

波打ちの頻度が多ければ多いほど、周波数が高いことになる。少なければ少ないほど周波数が低いことになる。

たとえば電力会社が供給する電気の周波数は、東日本で50ヘルツ(一秒に50回)、西日本では60ヘルツ(一秒に60回)である。一方、携帯電話(第3世代)の周波数は、2000MHz(メガヘルツ)である。これは一秒間に20億回の波打ちが発生することを意味している。この領域の電磁波は、マイクロ波という呼び方で分類されている。

さらにガンマ線の周波数は、「10の19乗」から「23乗ヘルツ」にもなる。

従来から、ガンマ線やX線など極めて周波数の高い電磁波は、電離放射線と呼ばれている。「エネルギーが高く、分子や原子を構成する電子を『バラバラに離してしまう(「電離」といいます)』」(荻野晃也著、『携帯電話基地局の真実』)電離作用を伴うからだ。それが遺伝子を傷つけたりする。

これに対して、赤外線、マイクロ波、低周波電磁波など、ガンマ線やX線に比べるとはるかにエネルギーが低い電磁波は、電離作用を伴わないので非電離放射線と呼ばれる。

現在、電離放射線に遺伝子に対する毒性があることを否定する研究者はいない。それはすでに定説となっている。

これに対してマイクロ波など非電離放射線の毒性については論争がある。既に述べたように、すべての種類の電磁波が人体に悪影響を及ぼすという考えが有力になってきたものの、現在の時点では論争に決着が着いているわけではない。

従って「予防原則」に基づいて、危険性を想定した対策を取っておかなければ、後に、取り返しがつかない悲劇を生む可能性がある。

次に示すのが電磁波の分類図である。


◇携帯電話の電磁波(マイクロ波)

携帯電話に使われているのは、マイクロ波と呼ばれる領域の電磁波である。たとえば広く普及している第3世代携帯電話の周波数は、2000メガヘルツである。これは1秒間に20億回の周波が観測されることを意味する。電子レンジは、約25億回。とてつもない波の動きが熱エネルギーを発生させる。

こうした高周波の電磁波を携帯電話の受話器から直接に、あるいは携帯基地局の周辺で長期に渡って浴び続けたとき、人体影響が生じるリスクがないのかを考えるのが、俗にいう携帯電話の電磁波問題である。従って、パナウエーブ(白装束集団)の考えとはまったく性格が異なる科学である。

当然、長期にわたる科学的な観測が不可欠になる。たとえば10歳でスマホを使い始めた子供が、30歳になったとき、あるいは40歳に、さらには老齢に達したとき、電磁波被曝による負の影響を受けていないか、というような長期の問題なのだ。

◇安全基準

長期にわたる被曝を前提としているのか、電磁波問題に敏感な欧米では、地方自治体が独自に電磁波強度の基準を設定している。そのうちのいくつかを、日本の総務省が定めている基準値と比較してみよう。対象は1800メガヘルツの基地局である。

日本:1000μW/cm2

イタリア:10μW/cm2

スイス:6.6μW/cm2

欧州評議会:0.1μW/cm2(勧告値)

ザルツブルグ市:0.0001W/cm2(室内目標値)

この数値を見ただけで、総務省がいかに電話会社のビジネスに貢献しているかが明らかになる。数値の大きな差異から異常な実態と言っても過言ではない。ちなみにザルツブルグ市の値でも、通信は可能だ。

◇携帯電話基地局の周辺で奇形

携帯電話の基地局が設置された後、直近の場所に次々と奇形植物が出現したという報告が複数ある。

そのうち筆者が直接取材した長野県木曽町で撮影した写真(奇形のヒマワリ=地元住民が撮影。奇形のナスビ=黒薮が撮影)ものを紹介しよう。

電柱の上に基地局を設置した後、設置場所の畑や近くの民家の庭で奇形植物が表れた。同じ現象が毎年続き、基地局が撤去された後、出現しなくなったので、原因が基地局のマイクロ波だった可能性が高い。

 

 

【参考記事】≪ビジネスジャーナル≫携帯電話基地局、周辺住民の「がん死亡率」高く…5G、一部欧州で中止、人体へ影響懸念

 

2017年02月10日 (金曜日)

内閣府から少なくとも2人の国家公務員が博報堂に再就職(広義の天下り)していることが分かっている。

既報したように次の2氏である。()内は退職時の地位だ。

■阪本和道氏(審議官)

■田幸大輔氏(広報室参事官補佐・広報戦略推進官)

なお、内閣府は、田幸氏について、「田幸氏は内閣府ではなく、内閣官房の所属なので、無関係」と話している。内閣官房というのは、内閣総理大臣の直属機関である。そうであるなら、より問題は重大だ。

その一方で、内閣府の裁量で湯水のように国家予算を博報堂に流し込める仕組みになっているプロジェクト「政府広報ブランドコンセプトに基づく個別広報テーマの広報実施業務」が、2012年度から進行してきた事実がある。このシステムで内閣府が博報堂に支払った金額の合計は、2015年度を例に引くと、25億円を超える。

しかも、おかしなことに巨額の国家予算の支出に際して、内閣府は博報堂からアドバイスを受け、新聞広告やテレビCMの制作などで発生する費用とは別に、「構想費」という名目の費用も支出しているのだ。次に示すのが、構想費の年度別変遷だ。

2012年度:約3980万円
2013年度:約4640万円
2014年度:約6670万円
2015年度:約6700万円

【参考】2015年度の「構想費」請求書

年々、構想費が高くなっているのも極めて不自然だ。内閣府は事情を説明すべきだろう。

筆者が「構想費」について内閣府に説明を求めたところ、博報堂とはほとんど毎日打ち合わせを行いアドバイスを受けていた旨の説明があった。しかし、その日当が10万円で、365日、休みなくミーティングを開いたとしても、3650万円にしかならない。誰が見ても、不自然なお金が支払われているのだ。

ちなみに博報堂が内閣府に提出している請求書には、日付が入っていない。書面は、恐らくエクセルである。正規の会計システムに則した書面とは言えない。これについて博報堂のあすさ監査法人は、特に問題ないとしている。一方、博報堂DYホールディングスが上場している東証については、現在、書面で調査を求めている。

◇内閣府に対する情報公開請求

こうした状況の下で、メディア黒書への匿名通報で、2名の天下りが発覚したのだ。裏付けもある。両者とも広報業務に携わった職歴がある。

そこで筆者は、内閣府に対して次の情報公開請求を行った。

元内閣府職員の次の人物の内閣府内での職務歴を示す全資料。
阪本和道氏。田幸大輔氏。

開示が行われない場合は、異議申し立て、訴訟という段取りになるだろう。訴訟もジャーナリズム活動の「知らせる」という観点からすれば効果的な手段である。

◇再就職等監視委員会の調査依頼

一方、阪本氏に関しては、再就職等監視委員会に調査の申し立てを行った。次の内容である。

【引用】
2016年1月に内閣府から博報堂へ再就職された阪本和道氏について、調査を求めます。阪本氏が内閣府大臣官房長であった12年、内閣府と博報堂の間で「政府広報ブランドコンセプトに基づく個別広報テーマの広報実施業務」と題する新しい政府広報の制度が構築され、この年から15年度まで、博報堂が連続してこの業務を請け負っております。

この制度の下で内閣府の裁量により、新聞広告やテレビCMの制作や配信、あるいは放送業務を発注することができます。その結果、15年度だけで約25億円もの国家予算が見積書による精査を経ることなく博報堂へ供給されてました。

この制度が設けられた12年当時に阪本氏が内閣府大臣官房長として、内閣府の広報に携わっていたことは、筆者にあてた「開示決定等の期限の延長について」(府広第533号 平成24年11月7日)などでも明らかになっています。博報堂はその後も、「政府広報ブランドコンセプトに基づく個別広報テーマの広報実施業務」を請け負い、阪本氏が博報堂へ再就職した16年1月も、この業務は進行中でした。

従って国家公務員法の106条に抵触している可能性があり、調査していただくように求めます。

これに対して再就職等監視委員会から次のような返答があった。

2017年2月6日11:43着信「情報」拝読いたしました。

当委員会の調査事務への御理解・御協力ありがとうございます。

国家公務員法の再就職等規制に規定されているのは、

1 現職職員による他の職員・元職員の再就職依頼・情報提供等規制
2 現職職員による利害関係企業等への求職活動規制
3 再就職者(元職員)による元の職場への働きかけ規制
の3つの規制です。

もし具体的な規制違反行為に関する情報(担当・氏名・時期など)がありましたら、お願いいたします。

この回答を読んで、読者は何を感じるだろうか。「1」から「3」に該当しなければ、「天下り」ではありませんと言っているのではないだろうか。調査するように依頼しているのに、証拠を提出しなければ調査しないと言っているのだ。

官庁からの「天下り」がなくならない原因がこのあたりにあるのではないか。マスコミは、このあたりをもっと厳しく指摘すべきだろう。

【写真】博報堂・戸田裕一社長