2017年04月20日 (木曜日)

森本学園の問題が視界から消えようとしている。メディアがニュースを流さなくなり、それに伴い、この話題が消えはじめている。

ヤフーニュースの「国内ニュース」のラインアップの上位20件は、20日午前6時半の段階で次のようになっている。「森友」の文字はどこにも見えない。ニュース価値がなくなったと判断した結果なのか?

①茨城で震度4 津波の心配なし
②日豪戦闘機 初の共同訓練へ
③岸田氏「安倍後」考えておく
④衆院区割り 97選挙区で見直し
⑤バイエル 医師名で論文代筆か
⑥旅券返納命令は適法 男性敗訴
⑦なぜ? 海の幸は共謀罪対象外
⑧20歳 女子大生冒険家が快挙
⑨シリア渡航計画で旅券返納命令は「適法」 
⑩なぜ? 海の幸は共謀罪対象外
⑪労基法改正案は今国会断念
⑫衆院区割り 97選挙区で見直し
⑬女性問題の中川氏 辞職の声も
⑭保育園落ちた 母親たちの選択
⑮「そもそも」定義は?国会論戦
⑯司法修習生の給費制が復活
⑰南スーダンPKO 第1陣が帰国
⑱「共謀罪」が実質審議入り
⑲役立たぬ過去 シニアの職探し
⑳豊洲延期 負担既に百億円近く

一国の首相の極右的な私的理念を実現させるための「安倍小学校」を設立する過程で、国有地の不自然な取引が行われたり、本来、国策を決定する権限がない首相夫人が、自らしゃしゃりでて「安倍小学校」の設立に便宜を図った疑惑のある前代未聞の疑獄事件が、真相を解明しないまま忘れさられようとしているのだ。

それを許してしまう鈍感さが、筆者には理解できない。しかも、森友疑惑を棚上げにして、国会では共謀罪の審議に入ったわけだから、異常としか言いようがない。本来、安倍首相は議員辞職しなければならないはずなのだが。

◇国策プロパガンダ

こうした日本のメディア状況を前に、筆者は何のためにジャーナリズムがあるのかという疑問を抱く。恐らく編集者サイドには、よく似た内容のニュースを繰り返し掲載すると、販売に直結しないという判断があるのだと思う。本来は、真相が解明されるまで報道を続けるべきなのだが。

森友疑惑の報道でも明らかなように、日本のジャーナリズムが権力にメスを入れた実績はほとんどない。田中角栄の金脈やリクルート事件などいくつかの例外的な実績はあるが、大半の事件報道は途中で頓挫している。最近の例でいえば、特定秘密保護法や安保関連法案は完全にメディアの話題から消えた。高市総務大臣によるマネーロンダリングは、ほとんど報道されていない。

【参考記事】高市早苗総務大臣によるマネーロンダリングの手口を解説する、大臣辞任が妥当

こうした現象が繰り返されるのは、メディア側に権力と対峙して戦う意思がないからだ。傍観者的な視点から、販売部数の増加に結び付くニュースを優先的に取り上げる方針に徹しているからだ。

確かに紙媒体の場合は、紙面のスペースに制限があるので、日々の事件を優先的に取り上げなければならない側面はあるが、インターネットのメディアにはスペースの制限がないわけだから、連続的に同じテーマを取り上げることができる。

それがインターネットのメリットでもあるが、それが生されていない。

どのようなニュースを取り上げ、どのようなニュースを取り上げないかは、編集者の判断で決まり、それによって世論が誘導される。責任は重大だ。

日本人の多くが政治に関心をいだかなくなった原因も、メディアによる世論誘導の結果にほかならない。広告代理店を優遇することで、国策プロパガンダは功を奏しているのだ。メディアに騙されているのは、国民の側である。

 

【写真】ニューヨークタイムスに掲載された森友学園の記事の写真。
A morning assembly at the Tsukamoto Kindergarten in Osaka, Japan, in November. Children at the school march to military music and recite instructions for patriotic behavior laid down by a 19th-century emperor. (大阪にある塚本学園の朝礼。11月。児童は軍歌に合わせて行進し、19世紀に天皇によって広められた愛国的な行動規範を暗唱する。)

 ■ 記事の全文

2017年04月19日 (水曜日)

千葉県松戸市で起きた女児殺害事件の報道に接していると、世論誘導の恐ろしさを感じる。新聞やテレビが垂れ流しているのは、警察が発表した情報である。それにもかかわらず、新聞読者やテレビ視聴者の大半は、逮捕された男性が犯人だと思いこんでいる。もちろん、その可能性もあるが、間違っている可能性もある。

男性が拘束され、外部と接触できない現段階では、何が真実なのかは不明なのだ。世論誘導は空気のように存在感がない。逆説的に言えば、その正体が分かりにくいから、世論誘導が可能になるのだ。

警察発表の信憑性を検証することが、ジャーナリズムの重要な役割のひとつであるのに、新聞もテレビも最初からその役割を放棄している。警察発表が真実という大前提に立って情報を発信しているのだ。これほど恐ろしい現象はないだろう。記者クラブの弊害である。

かりに警察が嘘の情報を流していれば、この事件はえん罪事件になってしまう。現時点では、匿名報道するのが原則なのだ。日本のメディア(新聞・テレビ)は、ここまで劣化している。

◇警察は信用できるのか?

狭山事件についてご存じだろうか。1963年に埼玉県狭山市で高校1年生の女性徒が殺された事件で、被差別部落の石川一雄氏が逮捕された事件である。
えん罪の可能性が極めて高く、現在も再審を求める運動が展開されている。

この事件の直前に、「よしのぶちゃん誘拐事件」が起き、警察の失策で犯人を取り逃がし、批判されたことが、石川氏がでっちあげられた原因だといわれている。

最近では、和歌山カレー殺人事件もえん罪という説がある。犯行に使われたヒ素と容疑者の自宅から見つかり、逮捕の根拠とされたヒ素の種類が異なっていたことが分かっている。

警察の不祥事は、想像以上に多い。フリーランス記者に対しては、絶対に情報を提供しないといっても過言ではない。欧米に比べて捜査能力も低い。前近代的な組織で、情報の信憑性もとぼしいのが実態なのだ。

メディアの中には、警察と極めて親密な関係を維持している社もある。読売新聞社である。同社は、「おまわりさん作文コンクール」を主催するなど、警察のイメージアップに「貢献」している。

■「おまわりさん作文コンクール」

この作文コンクールもひとつの洗脳の手口にほかならない。

警察が発表する情報を鵜呑みにして、報道活動するのは無責任きわまりない。

松戸市の事件で逮捕された男性が、法廷でえん罪を訴えても、メディアによって作られた犯人のイメージを払拭するのは容易ではない。

2017年04月18日 (火曜日)

森友学園や加計学園の事件を通じて、国有地の払い下げの在り方が社会問題として浮上してきた。国有地の払い下げ問題には、政界との癒着だけではなくさまざまな側面がある。単に安価で土地を提供するケースだけではない。別の問題もある。

それは譲り受けた土地を、一定の期間を経たあと、大型の不動産開発を進める例である。もちろん、国有地が私有の土地になったわけだから、再開発が違法行為とはいえないが、倫理上の問題を考える必要がある。

東京豊島区にある学習院大学に隣接して巨大なマンションが建っている。「超」が着く高級マンションで、ロビーはホテルなみに受付嬢が配置されている。セキュリテーも厳重で、インターホンで受付嬢とコンタクトを取り、開錠してもらうルールになっている。

このマンションの敷地が元国有地だったという情報を得て、筆者はこの不動産に関する登記簿類を調査した。その結果、マンションが建つまえは、日本造船技術研究センターがあったことが判明した。同センターのウエブサイトによると沿革は以下の通りである。

■日本造船技術研究センターの沿革

沿革から需要な部分を抜粋してみよう。

大正5年(1916)   前身である逓信省管船局船用品検査所発足

昭和20年(1945)   運輸省船舶試験所に改称

昭和25年(1950)   運輸省運輸技術研究所発足

昭和38年(1963)   運輸省船舶技術研究所発足

昭和42年(1967)   (財)日本造船技術センター設立。運輸省船舶技術研究所より試験水槽及び技術を承継し、水槽試験等の推進性能試験業務、基本設計等の船舶設計・調査等の業務並びに技術研修及び技術指導業務を開始

平成16年(2004)   本部を目白から飯田橋に移転

平成20年(2008)   本部を吉祥寺に移転

船舶技術を発展させる団体のようだ。

◇エスエフ目白開発特定会社

もともと国の機関であったものが、1967年(昭和42年)に財団法人になった。その翌年、1963年、日本造船技術センターは約7億5000万円で大蔵省からこの土地を譲り受けている。

その後、エスエフ目白開発特定会社という企業がマンションを建設して、日本造船技術研究センターは他の場所へ移転している。

1963年当時の売買価格約7億5000万円が適正なのかどうかは不明だが、元々は国の土地だったものが、民間の手に渡り、しかも、そこで公益とはあまり関係のない不動産ビジネスに利用されている実態がある。

森友学園や加計学園の場合は学校であるから、一応の公益性はある。売買のプロセスが正当に行われていれば問題はない。が、目白のケースのように、合法であっても、最終的には私的なビジネスに使われているのは倫理上の問題があるのではないか。

 

2017年04月17日 (月曜日)

ビジネスジャーナルが博報堂と総務省の癒着を示す記事を掲載した。タイトルは、「博報堂、国勢調査告知で『間引き』疑惑…国から受注の契約回数満たさぬまま満額請求か」。

  国勢調査の政府広告(新聞広告による告知)の半分以上を掲載せずにお金(国家予算)を取っていた疑惑について書いたものである。以下、ビジネスジャーナルの記事である。

・・・・・・・・・・・・・・・・

国勢調査は、国のもっとも大がかりな統計作成のための全数調査で、原則として5年に1度行われる。調査対象は国内の人口、世帯、産業構造などである。

この国勢調査に絶対に欠くことができないのが全戸に向けた告知なのだが、これを担当していた大手広告代理店の博報堂が、新聞広告(政府広報)による告知を大幅に「間引き」していた疑惑が浮上している。

2015年4月1日、総務省統計局長(当時)・井波哲尚氏は、博報堂の戸田裕一社長との間で「平成27年国勢調査の広報に関する総合企画」というタイトルの契約を交わした。それによると、一式(延べ回数にして25本)の新聞広告を制作・配信する取り決めになっていたが、博報堂が制作・配信したのは、12本だけだった。にもかかわらず、博報堂は25本分に当たる全額を請求していた。【続きはビジネスジャーナルで】

 

2017年04月15日 (土曜日)

共産党の清水忠史議員が、14日の衆議院経済産業委員会で「押し紙」問題を取り上げた。これは3月30日の消費者問題特別委員会での質問に続く、2回目の質問である。

■清水議員の質問動画(3:15:30秒から)

14日の質問で、清水議員は経産省に対して「押し紙」の実態調査をするように提案した。竹内審議官は、次のように回答した。

「経済産業省として新聞残紙問題に関しまして、業界団体から具体的な相談が寄せられました場合にはわたしどもとしてその必要について業界ともよく相談をしてまいりたいというふうに考えております。」

これに対して清水議員は、販売店がみずから声をあげにくい実態があることを指摘。販売店が「残紙」問題をマスコミにリークしたり、弁護士や政治家に相談して、それが発覚すれば、激しい圧力をかけられる実態があることを説明した。たとえば新聞社が販売店の台帳を取り上げたり、読者の住居を調査・把握したうえで、別の販売店を設置して、そこへ新聞の供給先を切り替え、従来の販売店を一方的につぶしてしまうような実態があるという。

「現に販売店と本社との間で、訴訟も継続しています。で、業界団体から相談があれば相談に応じるという待ちの姿勢ではだめだと思うんです」

清水議員は経産省に対して、積極的な対策を迫ったのである。
さらに政府広報を含む折込広告の水増し問題にも言及。水増し行為により消費者や企業が不利益を被っている可能性があるので、これについても実態調査の必要性を訴えた。

世耕弘成大臣は次のように答弁した。

「わたしは下請け取引の改善に取り組んでいるのですが、残念ながら新聞販売業というのは、下請け関係にはならないんですね。あくまでも新聞社が発行する新聞をそのまま供給を受けて、それを取引するという立場ですから、下請法の範囲には入らないということです。基本的には独禁法で問題があれば、公取委が厳正に対処してほしいと思います。経済産業省としては、経済産業省所管の法人として、日本新聞販売協会がありますから、本当にいまご指摘のような問題が広範に存在して、販売業界として深刻な問題なら、この団体からわが省に申告があると思いますから、それを受けて必要であれば対応したいと思います。」

世耕大臣もやはり消極的な姿勢を示したのである。
清水議員は、組織ジャーナリズムである新聞は必要なものであり、それが健全に発達するためには、新聞宅配制度の維持が必要であり、新聞販売店と本社が真に対等な立場で、問題の解決に努める必要があると強調した。

◇日本新聞販売協会の光と影

ちなみに世耕大臣の答弁にあった日本新聞販売協会(日販協)は、1980年代ごろまでは、熱心に「押し紙」問題に取り組んでいた。『日販協月報』には、その記録が残っている。巨悪と戦った貴重な記録だ。

しかし、1990年ごろから新聞業界の政界工作の「本部」に変質して、政治献金を支出したり、自民党議員らの選挙推薦まで行うようになっている。戦う姿勢を放棄したのだ

現在、日販協は新聞販売店の信頼を失っていると言っても過言ではない。

経産省や公正取引委員会が、「押し紙」問題を取り締まらない理由は、極めて単純だ。新聞社の最大の汚点、「押し紙」問題を把握した上で、それを放置することで、メディアコントロールが可能な構図を作り上げているからだ。反政府的言論の色合いが強まれば、「押し紙」問題を口実にメスを入れて、新聞社経営そのものを破綻させることが可能な状態にしているのだ。

 

【参考記事】安倍首相は「押し紙」問題を把握している 新聞ジャーナリズム衰退の背景に構造的な問題

2017年04月14日 (金曜日)

【臨時ニュース】

明日(4月14日)、共産党の清水忠史議員が衆議院・経済産業委員会で、「押し紙」(残紙)問題を取りあげた。質問は、11時35分から25分。次のインターネット放送で視聴できる。

■インターネット中継(経済産業委員会)

清水議員は、3月30日にも、消費者問題特別委員会で「押し紙」(残紙)問題を取りあげた。

国会での「押し紙」(残紙)問題の追及は、35年前に瀬崎博義議員(共産)が行ったことがある。インターネットのない時代で、報道されることもなく、質問そのものが埋もれてしまったが、議事録には、読売新聞鶴舞直売所の店主が提供した内部資料(俗に「北田資料」)を使って、問題を明らかにした事実が記録されている。

2017年04月13日 (木曜日)

日本の未来を左右しかねない問題でありながら、メディアが自粛している報道がいくつかある。その筆頭は、森友学園事件と共謀罪である。

前者は前代未聞の疑獄事件で、しかも安倍夫妻や日本維新の会がかかわっている。重大な政治問題である。幕引きは許されない。

後者は、まったく必要のない前近代的な法律である。成立すれば、先人たちが命がけで勝ち取ってきた言論の自由を、われわれの世代でドブに捨てることになる。

2つの事件を手短に解説しておこう。

◇森友学園事件

ゴミの処理費用は、8億1900万円。これは土地の所有者である国の負担になる。この作業費のうち1億3200万円は、既に国から森友学園に支払われた。一方、森友学園が国に支払った額は、土地価格からゴミ処理費を差し引いた額、1億3400万円である。

このような構図を客観的に見ると、国から1億3200万円の作業費の仮払いを受け、それに200万円をプラスして、国に「返金」して、国有地を手に入れたことになる。フリーライターの筆者でも購入できる。

繰り返しになるが、このような構図になったのは、ゴミ処理に必要な8億1900万円を、土地の所有者である国が負担する法律になっているからである。

しかし、驚くべきことに本当にゴミを撤去する作業が行われたかどうかを国は確認していない。撤去されていないという見方が有力になっている。

つまり森友学園は、200万円で8770平方メートルの国有地の払い下げを受けたことになる。

この事件には、さらに別の側面がある。日本維新の会や安倍夫妻のかかわりである。たとえば、森友学園を作るに先立って、大阪府の松井知事は、学校開設の基準を緩和するなど、結果的に森友に便宜を図っている。それでもなお、開設の条件は満たしていなかったのだ。

その後、教育勅語を教育の中に取り入れようとしている極右グループで日本維新の会の遠藤敦氏が代表を務める日本教育再生機構大阪が、安倍首相を招いてタウンミーティングを開いている。

つまり森友学園は、安倍昭恵氏が名誉校長に就任するなど、「極右思想」の強いバックアップがあって、開校へ向けたプロセスを踏んでいたのである。それが豊中市議会で問題になり、共産党へ情報が持ち込まれ、国会質問を経て大きな問題になったのである。

だが、真相はまだ解明されていない。輪郭が明らかになった段階だ。ここで報道を断念する理由はなにひとつない。

◇共謀罪

「テロ等準備罪」として国会で審議に入った「共謀罪」は、特定秘密保護法よりもさらにたちの悪い法律である。話し合っただけで犯罪になるケースがあるわけだから、検察が犯罪を立証するためには、「話し合い」が行われた証拠を入手する必要がある。と、なれば当然、スパイ活動が連動してくるわけだが、恐るべきことに、既にそのインフラは構築されている。
メディア黒書で既報したように、新聞販売店が警察の「準交番」に変質して、警察の情報収集に協力させられかねない事態も起きている。

【参考記事】危惧される読売新聞販売店(YC)と警察によるスパイ活動、共謀罪と読売防犯協力会の関係

また、次のような例もある。
10年ほど前に、筆者は「押し紙」弁護団の弁護士さんらと北日本のある販売店を訪問したことがある。トラブルの相談を受けたのだが、その際、店主から販売店の業務についての説明を受けた。

筆者が驚愕したのは、販売店が管理していた読者の情報である。読者名や住所は言うまでもなく、組合活動の有無とか、宗教など30件ぐらいの項目がPC上の読者情報に記入されていた。このフォーマットが新聞社とオンラインで結ばれているのだ。当然、新聞社から警察へ情報が流されている可能性もある。

筆者が取材対象にしている新聞販売の業界ですら、半ば公権力に組み込まれ、いつでもスパイ活動が可能な状態になっているのだ。

共謀罪が成立すれば、盗聴などは、日常茶飯になりかねない。

政府が共謀罪の成立を狙っているのは、東京で開催される2020年のオリンピックと国連犯罪防止・刑事司法会議までに、国際組織犯罪防止条約に批准したいという思惑があるからだ。批准するために共謀罪が必要という論理だが、わざわざ共謀罪を成立させるまでもなく、日本はすでに批准の条件を満たしている。テロや犯罪を取り締まる法律は整備されている。

それに特定秘密保護法の中にも、共謀しただけで処罰対象とする条文が盛り込まれている。

第25条    第23条第1項又は前条第1項に規定する行為の遂行を共謀し、教唆し、又は煽動した者は、5年以下の懲役に処する。

2   第23条第2項に規定する行為の遂行を共謀し、教唆し、又は煽動した者は、3年以下の懲役に処する。

第26条    第23条第3項若しくは第24条第2項の罪を犯した者又は前条の罪を犯した者のうち第23条第1項若しくは第2項若しくは第24条第1項に規定する行為の遂行を共謀したものが自首したときは、その刑を減軽し、又は免除する。

共謀罪に固執しているのは、特定秘密保護法と同様に警察関係者にほかならない。自民党には、(失礼な言い方だが)学がない人が多いから、国際関係の中での法の在り方がよく分かっていないようだ。国際基準に合わせたいのであれば、むしろ死刑を廃止する方が先である。

2017年04月12日 (水曜日)

「裁判を起こしても、絶対に勝てないよ。そうなっているんだよ」

ある新聞社の担当員の暴言である。販売店主が録音したものだ。

販売店が「押し紙」裁判を起こした場合、勝算はあるのだろうか?これは、最近、筆者がよく質問される問いである。

【写真】「押し紙」と一緒に廃棄される大量の岡山県広報紙『晴れの国おかやま』

結論を先に言えば、勝訴するのはたやすいことではないが、かつてのような裁判所の方針-新聞社に有利な判決を下す-はなくなっているようだ。その結果、和解により新聞社が販売店に対して一定の賠償をおこなう例が増えている。

筆者が把握している例でいえば、毎日新聞箕面販売所(提訴は2007年、推定で1500万円の和解金)、毎日新聞関町販売所(提訴は2009年、500万円)などの例がある。これらの裁判では、判決が下される前に和解になった。

その他にも、和解で解決した例、あるいは提訴に至る前に、トラブルを金銭解決して、「押し紙」や「折り込め詐欺」が表沙汰になるのを防いだ例が数多くある。

◇被告・毎日新聞の密室裁判

このうち毎日新聞関町販売所が起こした裁判は、販売店が和解勝訴したとはいえ「密室裁判」であった。理由は定かではないが、1度も口頭弁論が開かれなかった。「弁論準備」というかたちで、個室で裁判が行われたのである。(ただし、筆者は傍聴させてもらった。)裁判官は、毎日を敗訴させる判決を書きたくなかったのか、原告が和解を受け入れると大喜びした。原告よりも嬉しそうだった。

現在、東京地裁で行われている毎日新聞を被告とした別の「押し紙」裁判も未公開になっている。

さらに琉球新報の店主ら8名が琉球新報を提訴している事件。この裁判についての情報はまったく入ってこない。聞くところによると、これも原告と被告が合意したうえで、「密室」で審理が行われているらしい。真相は分からない。現地の知り合いの元店主(沖縄タイムス、元「押し紙」裁判の原告)も、状況がまったく把握できないという。

ちなみに憲法82条は、裁判の公開について次のように述べている。

第八十二条    裁判の対審及び判決は、公開法廷でこれを行ふ。

○2   裁判所が、裁判官の全員一致で、公の秩序又は善良の風俗を害する虞があると決した場合には、対審は、公開しないでこれを行ふことができる。但し、政治犯罪、出版に関する犯罪又はこの憲法第三章で保障する国民の権利が問題となつてゐる事件の対審は、常にこれを公開しなければならない。

◇読売の「押し紙」を認定した福岡高裁判決

販売店が「押し紙」裁判で、和解ではなく、判決で勝訴した例としては、山陽新聞の例(提訴は2008年)がある。賠償額は376万円と少額だったが、「押し紙」政策が認定されたのである。しかし、公正取引委員会は、未だに山陽新聞社に対して、「押し紙」の排除命令を出していない。公正取引委員会が国民の信頼を失っているゆえんにほかならない。

【参考記事】新聞の偽装部数問題 「押し紙」そのものの損害を司法が認定 岡山地裁、376万円賠償命じる 

「押し紙」裁判ではないが、販売店の地位保全裁判の中で、新聞社の「押し紙」政策が認定された例もある。読売新聞の店主が読売新聞社に対して起こした地位保全裁判の中で、福岡高裁は読売の「押し紙」政策を認定した。そして最高裁で判決が確定(2007年)した。参考までに、判決文をリンクしておこう。

■福岡高裁判決

なお、読売の滝鼻広報部長は、福岡高裁判決が「押し紙」政策を認定したとする筆者の見解は誤りだとして、筆者が『月刊HANADA』(2016年7月)に「押し紙」についての記事を掲載した際に、抗議文を送付してきた。しかし、同判決は次のように、明らかに「押し紙」行為を認定している。

このように、一方で定数と実配数が異なることを知りながら、あえて定数と実配数を一致させることをせず、定数だけをABC協会に報告して広告料計算の基礎としているという態度が見られるのであり、これは、自らの利益のためには定数と実配数の齟齬をある程度容認するかのような姿勢であると評されても仕方のないところである。そうであれば、一審原告真村の虚偽報告を一方的に厳しく非難することは、上記のような自らの利益優先の態度と比較して身勝手のそしりを免れないものというべきである。

  販売部数にこだわるのは一審被告(読売)も例外ではなく、一審被告は極端に減紙を嫌う。一審被告は、発行部数の増加を図るために、新聞販売店に対して、増紙が実現するよう営業活動に励むことを強く求め、その一環として毎年増紙目標を定め、その達成を新聞販売店に求めている。このため、「目標達成は全YCの責務である。」「増やした者にのみ栄冠があり、減紙をした者は理由の如何を問わず敗残兵である、増紙こそ正義である。」などと記した文章(甲64)を配布し、定期的に販売会議を開いて、増紙のための努力を求めている。

滝鼻氏の主張に対しては、メディア黒書の紙上でも、次のように反論している。今後、公開質問状などを送付して論争に決着をつけたい。

【参考記事】読売の滝鼻広報部長からの抗議文に対する反論、真村訴訟の福岡高裁判決が「押し紙」を認定したと判例解釈した理由

滝鼻氏の他に、読売の代理人弁護士である喜田村洋一・自由人権協会も読売に「押し紙」は一部も存在しないと主張してきた。

【参考記事】「押し紙」否定論者の読売・宮本友丘副社長がABC協会の理事に就任していた、実配部数を反映しないABC部数問題に解決策はあるのか?

◇「押し紙」を公開法廷で

裁判を公開しないのは、ルール違反である。
とりわけ「押し紙」問題は、折込広告や紙面広告に関連した詐欺行為と表裏関係にあるので、公の場で審理を進めることが重要だ。裁判は一種の意見表明の場でもあるから、その権利を保証する必要がある。

「押し紙」裁判に勝算はあるのか?「押し紙」問題は密室で審理するも、袋小路に追い込まれた新聞社

2017年04月11日 (火曜日)

『週刊金曜日』(4月7日)が「テレビ報道の危機」という特集を組んで、もはや真っ当なジャーナリズム企業とはいえないNHK、TBS、テレビ朝日の実態を特集している。

このうちNHKは、今年の会長賞(NHKの社内賞)の選考結果に現れたNHKの実態を報じている。安倍首相のメッセンジャー的な存在で官邸の動きをタイムリーに報じてきた岩田明子記者が会長賞を受賞する一方で、「天皇陛下、生前退位の意向」をスクープした橋口和人記者が落選した背景に、次のような事情があるという。

このスクープに安倍は「よりによってNHKが自分の意向に反する報道をするとは何事か」と激怒したと伝えている。

安倍政権に配慮したNHKの姿勢は、森友学園についての報道にも見られる。

 2月17日、衆院予算委員会で森友学園との関係を問われた安倍が「もし関係していたら総理も国会議員も辞める」と明言したときもニュースにしているが、驚くべきことに、安倍昭恵が講演していたことなどの質問には一切触れていない。(略)その後も、安倍本人や昭恵の名前をできるだけ出さない形での報道が続き、私たち内部の人間も、さすがに恥ずかしい思いだった。

◇TBSとテレビ朝日

TBSは、かつてはジャーナリズム企業として定評があった。ところがTBSジャーナリズムの看板である『NEWS23』でも、徹底した調査報道を放棄する現象があるという。現在、大問題になっている共謀罪についても、報道に消極的だという。

 象徴的なのが、3月21日放送の『NEWS23』。この日は安倍晋三内閣で「共謀罪」法案が閣議決定された。当然、『NEWS23』はトップで重点的に報道するだろうとオンエアを見た視聴者もいるはずだが、なんと「30秒の項目ニュース」。

第2の森友学園事件ともいわれる加計学園問題については、「先陣を切って報道する動きを抑えたとの話も伝わってくる」という。

さらにテレビ朝日は、安倍首相と懇意な関係にある幻冬社の見城徹社長が、2014年に同テレビ局の放送番組審議会の委員長に就任して以来、放送局を私物化する兆候が浮上しているという。たとえば幻冬社から著書を出している山口敦之氏や田崎史郎氏をニュース番組に起用している。

◇真っ当なジャーナリズムは書籍とインターネット

テレビはジャーナリズム性を失っている。その結果、特に政治がらみの重要事件にメスが入らない状況が生まれている。その典型は、森友学園事件の幕引きである。既に忘却の途についている。本来は5年でも10年でも、法廷で事件の決着が着くまで報じなければならない。さもなければ、体質は改善しない。

南スーダンの問題で辞任に追い込まれそうになっていた稲田朋美大臣も息を吹き返している。

【参考記事】稲田朋美防衛相の南スーダン隠ぺい開き直り答弁に国会前で抗議デモ! 憲法を蹂躙する稲田は即刻辞任しろ!

さらに300万円の還付金詐欺疑惑がある高市早苗総務大臣に至っては、話題にもなっていない。この事件を報じたテレビは、大阪毎日報道だけである。電波を止められるのを警戒しているのではないだろうか。

【参考記事】YouTube・民進党・那谷屋議員が高市早苗総務大臣の「還付金詐欺」疑惑を追及

日本のテレビジャーナリズムはまったく機能していない。欧米と比較すると、大学生と小学生ぐらいの差がある。

故新井直之氏(創価大学教授)がメディアを読み解く鍵として、何が報道されたかよりも、何が報道されていないか、あるいは何が隠されているかを見抜くことが、メディアの体質を知るポイントになるという意味のことを述べているが、新井教授の観点からすれば、日本のテレビジャーナリズムは、世論誘導の道具でしかない。ジャーナリズムではない。

国家権力に経営上の汚点--「押し紙」問題を握られている新聞もまったく信用できない。リベラル右派の朝日新聞や東京新聞を左派のメディアと勘違いしている人が圧倒的に多いわけだから、日本のメディア状況は相当深刻だ。

真っ当なジャーナリズムは、書籍、インターネット、それに一部の雑誌である。雑誌も堕落が始まっているので、結局、これからは書籍出版とインターネットだけが信頼できるメディアになりそうだ。

 

【写真】大量に廃棄されていた自民党の折込広告

2017年04月10日 (月曜日)

新聞の発行部数が激減を続けているにもかかわらず、個々の新聞販売店に対する搬入部数が大幅に増えているケースがあることが、メディア黒書へ送付されてきた内部資料で判明した。

次の資料は、新聞の「管理センター」が発行している2016年11月における販売店別の部数内訳の1ページである。新聞社名と販売店名を明かさないことを条件に、資料を公開する承諾を得た。

読者に注視していただきたいのは、「2016年11月部数」と「前月比」の欄である。

赤丸を付けた販売店では、前月比が大幅に増えている。500部を超えている店も4店ある。新聞離れが進んでいる最中に、たとえば高額な景品類をばらまいても、ひと月で500部も増えているのは不自然だ。東京都内の元店主が言う。

「こんな数字はありえません。これは『押し紙』か『積み紙』のどちらかでしょう。ABC部数を維持するための談合の可能性もあります」

新聞社が過剰な部数を押し付けたか、販売店が折込広告の水増し詐欺を働くために自主的に買い取った新聞である可能性が高いという。

◇折込広告の水増し詐欺

改めて言うまでもなく、「2016年10月部数」にも「押し紙」や「積み紙」が含まれている可能性が高い。従って前月比で500部が増えたということは、従来の「押し紙」部数にさらに500部の「押し紙」が上乗せされたことを意味する。

ただ、いくら「押し紙」や「積み紙」があっても、折込広告の需要の多い地域では、赤字にはならない。折込広告の搬入枚数を、新聞の搬入部数に連動させる基本原則があるからだ。従って水増しした折込広告を配達せずに捨てても、広告料金だけは徴収できる仕組みになっている。

最近、折込広告の需要が減っているのは、ひとつにはこうした新聞業界の慣行が広告主の怒りをかっているからにほかならない。

公正取引委員会が「押し紙」の排除命令を発令するまで、内部資料の公開を続けざるを得ないだろう。

【写真】大量の捨てられていた旧民主党の折込広告

2017年04月08日 (土曜日)

国会で共謀罪が審議入りした。平成の治安維持法とも言われるこの法律の審議入りに対して全国的な規模で反対の声が広がっている。日本ペンクラブも共謀罪に反対する声明を出している。

■日本ペンクラブの声明

この法律の危険な側面のひとつに、法律の施行に連動して、国家権力によるスパイ活動の必然性が浮上してくる点である。と、いうのも「共謀」を立証するためには、それを裏付ける情報の入手が不可欠になるからだ。その結果、会話の盗聴やインターネットの監視などが、昼夜を問わず日常的に行われるようになるのは間違いない。

旧ソ連や軍事政権下のチリ、それに北朝鮮のようになるのは間違いない。

◇新聞販売店を通じた情報収集

こうした状況の下で、特定の組織が警察によりスパイ活動に悪用されかねない危険性がある。たとえば全国読売防犯協力会(Y防協)という組織がある。これは全国の読売新聞販売店(YC)と警察の協力で、防犯活動を展開するボランティア組織である。本部は、読売新聞東京本社内にある。

警察と新聞関係者が協力体制を敷いている例は、世界でも極めてまれだが、このようなことが可能なのは、読売の故正力松太郎社長(元A級戦犯容疑者・写真)が戦前の特高警察の出身という特殊な事情があるようだ。

新聞販売店は早朝(午前2時)に仕事を開始する。しかも、販売店網は全国の隅々にまで張り巡らされている。そのため販売店をある種の「警察支部」的な拠点にすれば、確かに防犯には効果的だ。路地裏まで「監視」できる。

Y防協のウエブサイトによると、「活動の目標は次の4点に集約できる」という。

1.配達・集金時に街の様子に目を配り、不審人物などを積極的に通報する

2.警察署・交番と連携し、折り込みチラシやミニコミ紙などで防犯情報を発信する
3.「こども110番の家」に登録、独居高齢者を見守るなど弱者の安全確保に努める

4.警察、行政、自治会などとのつながりを深め、地域に防犯活動の輪を広げる

■出典

「1」は特に懸念材料だ。読者の自宅を訪れた集金人から、訪問先の家に集まってなにかを話し合っている人々に関する情報が警察へ通報されるかも知れない。

防犯活動そのものは社会貢献に違いないが、それを警察と連携し、しかも、情報の通報が活動の中心になっているわけだから、共謀罪が成立すれば、Y防協は準スパイ組織に変質する危険性がある。

◇読売と全国の警察が覚書

Y防協が覚書を交わしている警察は次の通りである。

■出典

高知県警 2005年11月2日
福井県警 2005年11月9日
香川県警 2005年12月9日
岡山県警 2005年12月14日
警視庁 2005年12月26日

鳥取県警 2005年12月28日
愛媛県警 2006年1月16日
徳島県警 2006年1月31日
群馬県警 2006年2月14日
島根県警 2006年2月21日

宮城県警 2006年2月27日
静岡県警 2006年3月3日
広島県警 2006年3月13日
兵庫県警 2006年3月15日
栃木県警 2006年3月23日

和歌山県警 2006年5月1日
滋賀県警 2006年6月7日
福岡県警 2006年6月7日
山口県警 2006年6月12日
長崎県警 2006年6月13日

茨城県警 2006年6月14日
宮崎県警 2006年6月19日
熊本県警 2006年6月29日
京都府警 2006年6月30日
鹿児島県警 2006年7月6日
千葉県警 2006年7月12日

山梨県警 2006年7月12日
大分県警 2006年7月18日
長野県警 2006年7月31日
福島県警 2006年8月1日
佐賀県警 2006年8月1日

大阪府警 2006年8月4日
青森県警 2006年8月11日
秋田県警 2006年8月31日
神奈川県警 2006年9月1日
埼玉県警 2006年9月14日

山形県警 2006年9月27日
富山県警 2006年9月29日
岩手県警 2006年10月2日
石川県警 2006年10月10日
三重県警 2006年10月10日

愛知県警 2006年10月16日
岐阜県警 2006年10月17日
奈良県警 2006年10月17日
北海道警 2006年10月19日
新潟県警※ 2003年3月26日
沖縄県警 2008年6月12日

※新潟県警との締結は、03年9月に当時の生活安全部長と新潟県読売防犯協力会が締結したもの。県警の希望で新規更新はしていない

2017年04月07日 (金曜日)

防衛省に対して博報堂が発行している請求書の中には、極めてずさんなものが見受けられる。

通常、博報堂ぐらいの大企業になると、社のロゴが入った請求書の書式を使うものだが、ワードで作成されたとしか思えない請求書があるのだ。不思議なことに肝心の請求書番号(インボイス・ナンバー)も刻印されていない。

従ってコンピューターを使った正規の会計システムから除外されたところで、経理処理されている可能性が高い。これが筆者のように「個人業者」が発行した請求書ならわかるが、大企業のレベルになると普通ではない。

念のために、防衛省に問い合わせてみたところ、一旦、回答が保留になった後、最終的に「お答えしません」という回答を得た。公的機関が国民からの問い合わせに対して、「お答えできない」というのだから、なにかやましい部分があるのではないだろうか。

筆者が不思議に思うのは、経理がこれだけIT化されている時代に、なぜあえて手作りに近い請求書を作成して金銭のやりとりをしているのかという点である。

先に紹介した請求書でも明らかなようにどこの銀行へお金を振り込んだのかも黒塗りで隠してある。口座番号を非公開にすることは、認められても、国会予算から支出されたお金の振込先を隠しているのは問題だ。