1. 【報道と人権4】喜田村洋一・自由人権協会代表理事らによる著作権を盾にした言論封殺とその崩壊、虚偽の事実を前提に裁判を提訴

「押し紙」の実態に関連する記事

2026年03月18日 (水曜日)

【報道と人権4】喜田村洋一・自由人権協会代表理事らによる著作権を盾にした言論封殺とその崩壊、虚偽の事実を前提に裁判を提訴

2007年12月、真村訴訟の勝訴が最高裁で確定した。それに伴い読売新聞の「押し紙」政策が崩壊する兆しが現れた。すでに述べたように、福岡県久留米地区にある3店のYCが、江上武幸弁護士を通じて「押し紙」排除に成功したのである。

店主としての地位を保全された真村さんにも新たな動きに直面した。読売は、それまで「死に店」扱いにしていたYC広川の経営を正常化する方向へ動きはじめた。
同時に、筆者(黒薮)に対する裁判攻勢を開始したのである。その先頭に立ったのが、喜田村洋一・自由人権協会代表理事だった。

発端は、読売の販売局が真村さんに対して、販売店の定期訪問を再開する旨を通知したことだった。しかし、真村さんは読売に対する不信感があり、念のために江上弁護士を通じて読売に内容証明郵便で、読売の真意を確認してもらった。

これに対して読売の江崎徹志法務室長は、次のように回答した。

前略  読売新聞西部本社法務室長の江崎徹志です。
2007年(平成19年)12月17日付け内容証明郵便の件で、訪店について回答いたします。当社販売局として、通常の訪店です。

江崎氏の文書を入手したわたしは、メディア黒書(当時は、新聞販売黒書)でそれを公開した。何の悪意もなかった。真村訴訟の中の重要な事実であり、客観的な事実を、客観的な裏付けに基づいて公表するジャーナリズムの原則を忠実に貫いただけである。

ところが江崎氏は、メディア黒書からこの文書を削除するように求めて、筆者に対して催告書を送付してきたのである。催告書の内容は、筆者がメディア黒書に掲載した江崎法務室長の文書は、著作権法でいう著作物に該当するので、筆者には公表権がないとしたうえで、それを削除するように求めてきたのである。次の文面である。

冠省 貴殿が主宰するサイト「新聞販売黒書」に2007年12月21日付けでアップされた「読売がYC広川の訪店を再開」と題する記事には、真村氏の代理人である江上武幸弁護士に対する私の回答書の本文が全文掲載されています。

しかし、上記の回答書は特定の個人に宛てたものであり、未公表の著作物ですので、これを公表する権利は、著作者である私が専有しています(著作権法18条1項)。  貴殿が、この回答書を上記サイトにアップしてその内容を公表したことは、私が上記回答書について有する公表権を侵害する行為であり、民事上も刑事上も違法な行為です。

そして、このような違法行為に対して、著作権者である私は、差止請求権を有しています(同法112条1項)ので、貴殿に対し、本書面到達日3日以内に上記記事から私の回答を削除するように催告します。

貴殿がこの催告に従わない場合は、相応の法的手段を採ることとなりますので、この旨を付言します。

■原文出典

江崎法務室長が催告書に中で削除を求めた文書を再度引用しておこう。

前略  読売新聞西部本社法務室長の江崎徹志です。
2007年(平成19年)12月17日付け内容証明郵便の件で、訪店について回答いたします。当社販売局として、通常の訪店です。

江崎法務室長は、このメモ書き程度の文書が著作権法の著作物に該当するというのである。それゆえに削除しろと通知してきたのだ。しかし、著作物とは、「思想又は感情を創作的に表現したものであつて、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するもの」(著作権法2条1項1号)である。どう考えても江崎氏による通知文書は、著作権法の著作物には該当しない。単なるメモ、あるいは通知である。

当然、筆者はメディア黒書から該当文書を削除することを断った。さらに奇妙な内容の催告書を「怪文書」としてメディア黒書で公開した。内容があまりにも支離滅裂だったので、公表することで幅広く意見を募りたいと考えたのである。

これに対して江崎法務室長は、喜田村弁護士を代理人に立てて、催告書の削除を求めて仮処分を申し立ててきたのである。だが、なぜか元の通知文書の削除は求めてこなかった。催告書のみを削除するように求めてきたのである。その理由というのが、催告書は江崎氏の著作物なので、筆者には公表権がないというものだった。催告書の場合は、通知文書とは異なり著作物に該当する可能性もあった。

◆提訴までの流れ

以上の流れを整理すると次のようになる。

1 江崎法務室長が、真村さんに販売店の定期訪問の再開を通知した。
2 その通知文書を筆者がメディア黒書に掲載した。
3 江崎法務室長が通知文書の削除を求めて、内容証明で催告書を送付してきた。
4 筆者が催告書をメディア黒書に掲載した。
5 江崎法務室長が催告書の削除を求めて仮処分を申し立てた。催告書は江崎法務室長の著作物であるから、筆者には公表権はないという主張である。

◆著作者を「江崎」に偽って裁判提起

仮処分は江崎氏の勝訴だった。そこで筆者は、福岡の「押し紙」弁護団の支援を得て、東京地裁で本訴に踏み切った。

本訴は筆者の勝訴だった。知財高裁も最高裁の筆者の勝訴だった。

地裁・高裁を通じた審理の中で、大変な事実が明るみにでた。それが喜田村弁護士らが敗訴した意外な原因である。

判決の中で裁判所は、催告書には、「江崎徹志」の名前が付してあったが、実際に執筆したのは、喜田村弁護士か彼の事務所スタッフの可能性が極めて高いと判断したのだ。つまり催告書の著作権者を「江崎」に偽って裁判を起こした高い可能性を認定したのだ。端的に言えば、虚偽の事実を根拠として裁判を起こしたといる。

ちなみに著作権は大別して著作者人格権と著作者財産権に分かれる。著作者人格権は、「著作者の人格価値を保護しようとする権利」(知的財産用語辞典)である。だれが著作物の制作者であるかを明確化することで、著作者の名誉を守る。従って
著作者の人格価値は、他人に譲渡できない。

これに対して著作者財産権は、著作物から発生する財産に関する事項で、他人に譲渡することができる。

裁判所は、喜田村弁護士らが、催告書の著作者を「江崎」に偽って裁判を起こした高い可能性を認定したのである。

その根拠は複数あるが、たとえば喜田村弁護士が他者に送付していた催告書と筆者に「江崎名義」で送付した催告書のフォントや構成が瓜二つだったことである。また、本人尋問で江崎氏が、催告書を作成する際に使ったワープロソフトを覚えていないと供述したことである。さらに江崎氏の法律知識と催告書の内容が整合しないと判断されたことなどである。

従って、裁判所が催告書が著作物か否かを判断するまでもなく、喜田村弁護士らの訴えを退けたのである。その悪質性は、記録するに値する。

だが、喜田村らによる裁判攻勢はこれだけでではなかった。