フィクサーが博報堂に乗り込んだプロセスを描く『見えざる政府―児玉誉士夫とその黒の人脈』①

日本の広告業界は寡占化されている。その寡占化の下で、企業やメディアをコントロールできる暗黙の仕組みが構築されているようだ。当然、これではジャーナリズムは育たない。メディアを単なるプロパガンダの機関に変質させてしまう。
博報堂のケースを例に、この問題を検証してみよう。
北朝鮮脅威の「記事」を書かせて世論誘導、安倍政権から軍事産業へ国費800億円、国策プロパガンダの新しい手法、

読売新聞(電子版・5月13日)に、「陸上型イージス導入へ…ミサイル防衛強化」というタイトルの記事が掲載されている。この防衛システムの構築費用は、なんと800億円。当初、導入を検討していたTHAADよりも、価格的には450億円安い。とはいえ、莫大な国家予算の支出であることには変わりない。この800億円が米国の軍事産業の手に渡るのだ。
安倍政権からの高額なプレゼントである。安倍首相が推薦する読売の記事を引用してみよう。
博報堂によるエクセルやワードによる「手作り」請求書、対象は内閣府と中央省庁だけ、地方の「役所」宛ては正常

博報堂が内閣府や中央省庁に対して発行した請求書にインボイス・ナンバー(書類の番号)が欠落しているものが多量にあることは既報したとおりである。
これに対して、博報堂が地方自治体に対して発行した請求書はどうだろうか。筆者がこれについて調べたところ、サンプル数は少ないものの、正常であることが分かった。
つまり不正経理疑惑の対象となるのは、内閣府と中央省庁だけということになる。内閣府と中央省庁からは、これまで博報堂へ多人数が天下りしており、癒着関係はないのか、厳密な調査が必要になる。
【参考記事】1975年ごろから博報堂へ続々と天下り、元国税庁長官2名、内閣府からも多数、警察関係者も、病的腐敗の温床か?
内閣府の不正経理疑惑で会計検査院に審査要求書を提出、疑惑解明の新段階へ

【臨時ニュース】
内閣府が博報堂と契約を交わしたPRプロジェクト「政府広報ブランドコンセプトに基づく個別広報テーマの広報実施業務等」(2015年度)の不正経理疑惑の解明が新しい段階に入った。
筆者は、8日、山下幸夫弁護士を通じて、会計検査院に審査要求書を提出した。これにより会計検査院が申し立てを受理すれば、内閣府と博報堂の取引を会計検査院が調査することになる。
内閣府の「昭和の八百屋」レベルの手作り請求書、黒塗りになった政府広告の掲載費を全国73の新聞社に問い合わせたが・・

先月27日に、全国の新聞社73社に対して、筆者はある問い合わせを行った。問い合わせの内容は、内閣府が昨年、黒塗りにして開示した博報堂からの請求書(政府広告の掲載料を請求したもの)の金額明細のうち、自社に該当する部分を開示するようにお願いするものだった。
しかし、5月8日の段階でどの新聞社からも回答がない。国会予算の受取額を開示できないということらしい。
発端は、昨年の夏だった。筆者は、内閣府に対してある情報公開請求を行った。請求内容は、2015年度に広告代理店が内閣府に送付した見積書、契約書、それに請求書の3点の全部を開示するように求めたものである。
内閣府は開示に応じた。そこで開示されたものを精査したところ、内閣府が博報堂との間で交わした「政府広報ブランドコンセプトに基づく個別広報テーマの広報実施業務等」と題するプロジェクトの契約書と請求書に次の疑問点があることが分かった。
NHKの電通・高橋まつりさん報道の裏面、公共放送としての「公正・中立」の看板に要注意

TBSテレビ の出身で参議院議員の杉生秀哉氏が、2月7日に日本ジャーナリスト会議などが主催した講演で、NHKについて次のように述べている。
「NHKニュースについては、国会審議もその日の主なテーマが憲法問題であっても、NHKは憲法問題は取りあげずに、どうでもいいニュースをしている。しかも、質問者の音声は放映せず、答弁者のみです。
安倍首相が余裕しゃくしゃくと答弁しているように編集されています。」
テレビ局の不正にメスを入れない総務省・高市総務大臣の弱腰、金銭がらみ・ビジネス上の不正に対しては処罰が当然

電波政策を担当しているのは総務省である。その総務省に放送局を監督する能力はあるのだろうか?
2016年2月8日の衆議院予算委員会で、民主党の奥野総一郎議員の質問に答えるかたちで、総務省の高市早苗大臣は、次のように発言している。放送事業で不正行為が行われていた場合、総務省が「行政指導」することもありうるといのである。
安倍昭恵・晋三夫妻が環境省の広報ポスターにみずから登場、博報堂が制作、背景にクールビズの巨大な企業利権

安倍晋三夫妻が地球温暖化防止の政府広報ポスターにみずから登場していたことを、読者はご存じだろうか。制作したのは博報堂で、制作を依頼したのは環境省である。地球温暖化防止のPR活動の一端である。
筆者がこれを知ったのは、民進党(旧民主党)の末松義規議員の国会質問を過去にさかのぼって調べていた時である。2007年ごろ環境省が3年間で約90億円のPR業務を博報堂に発注していた問題などを追及した国会質問の議事録のなかで、首相夫妻が登場したポスターの存在を知ったのである。
末松議員の質問に答えて、政府参考人は次のように答弁している。
「ポスターにつきましては、総理が先頭に立ってやっていただくわけですが、今回のアイデアが、特に家庭における省エネで電球等の買いかえでございます。そういった観点から、主婦の方にご理解いただきたいということで、私どもから官邸にお願いして、ご婦人にも御出演いただいたわけでございます」
博報堂発行のインボイスナンバー不在の請求書、内閣府から中央省庁へ拡大、会計監査を受けているのかを博報堂へ質問

博報堂が内閣府と中央省庁に対して発行してきたPR業務に関する請求書にインボイスナンバー(コンピューター制御により、見積書や請求書に印字されるナンバー)が欠落している問題の続報である。既にのべたように、インボイスナンバーが付番されていない事実は、コンピューター制御の下で経理処理が行われていない可能性を示唆する。
会計システム監査の専門家によると、インボイスナンバーの不在は不正の温床にはなるが、違法行為ではないし、不在になっていても経理処理はできるという。
しかし、インボイスナンバーを付番して経理処理した方がはるかに合理的であることはいうまでもない。事実、個人業者は別として、大企業はほぼ全面的にインボイスナンバーを使って経理処理している。わざわざそれを不在にして、経理処理する合理的な理由がまったくないからだ。
内閣府の黒塗り請求書問題、「国家予算」を受け取った全新聞社・テレビ局へ質問状送付

内閣府が博報堂と契約したプロジェクト「政府広報ブランドコンセプトに基づく個別広報テーマの広報実施業務等」の請求書がほとんど「黒塗り」で開示された件は、メディア黒書で繰り返し報じてきたとおりである。
「黒塗り」が原因で、各新聞社や各テレビ局が受け取った広告費、あるいは放送料の金額が分からない。つまり国家予算の使い方が不明瞭になっている問題がある。
しかも、請求書にはインボイス・ナンバーが付番されておらず、会計監査やシステム監査の対象外になっている可能性もあるのだ。個人事業者がインボイス・ナンバーが付番されていない請求書を発行することはあっても、博報堂のような大企業がインボイス・ナンバーのない請求書を発行するのは尋常ではない。その理由も説明されていない。博報堂の監査法人であるあずさ監査法人も取材を拒否している。
この件についてこれまで何度か内閣府と話し合ったが、やはり内閣府の方針は変わらない。黒塗り部分の開示は行わない方針だ。インボイス・ナンバーが付番されていない明確な説明もしていない。
そこで筆者は次の取材戦略を採用することにしたので、読者にお知らせしたい。博報堂を通じて「国家予算」を受け取ったすべての新聞社とテレビ局に対して、「黒塗り」部分の金額を開示するように求めるのである。近々に請求書の実物と質問状、それにプレスリリースを送付する。
回答につてはメディア黒書で随時公開していきたい。
博報堂、国勢調査告知で「間引き」疑惑…国から受注の契約回数満たさぬまま満額請求か

ビジネスジャーナルが博報堂と総務省の癒着を示す記事を掲載した。タイトルは、「博報堂、国勢調査告知で『間引き』疑惑…国から受注の契約回数満たさぬまま満額請求か」。
国勢調査の政府広告(新聞広告による告知)の半分以上を掲載せずにお金(国家予算)を取っていた疑惑について書いたものである。以下、ビジネスジャーナルの記事である。
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国勢調査は、国のもっとも大がかりな統計作成のための全数調査で、原則として5年に1度行われる。調査対象は国内の人口、世帯、産業構造などである。
この国勢調査に絶対に欠くことができないのが全戸に向けた告知なのだが、これを担当していた大手広告代理店の博報堂が、新聞広告(政府広報)による告知を大幅に「間引き」していた疑惑が浮上している。
2015年4月1日、総務省統計局長(当時)・井波哲尚氏は、博報堂の戸田裕一社長との間で「平成27年国勢調査の広報に関する総合企画」というタイトルの契約を交わした。それによると、一式(延べ回数にして25本)の新聞広告を制作・配信する取り決めになっていたが、博報堂が制作・配信したのは、12本だけだった。にもかかわらず、博報堂は25本分に当たる全額を請求していた。【続きはビジネスジャーナルで】

