広義の「しばき隊事件」の大阪地裁判決が認定した事実、暴力は客観的な事実
広義の「しばき隊」事件。差別と闘っているグループの中で、2014年12月、集団暴力があったとされる事件である。被害者のMさんが、刑事処分のあと、民事裁判で損害賠償を求めた裁判の判決が、19日に大阪地裁で下された。現場にいた5人のうち、3人に対して損害賠償命令が下された。
この裁判は客観的にみれば原告の勝訴である。しかし、原告・被告とも判決内容には不服があるようだ。双方が控訴することはまず、まちがいない。
ところでメディア黒書で既報したように、判決が下った19日の夜、被告の李信恵氏の代理人を務めている神原元弁護士(自由法曹団常任幹事)が、次のようなツィートを投稿した。
「しばき隊リンチ事件」「主水事件」「M君事件」等と称された事件に判決が下りた。結論は、共謀なし。李信恵さんの責任はなし。一部に誤った認定はあったが、原告のストーリーは全て否定された。「しばき隊がリンチ事件を起こした」等とデマに踊った人々は猛省すべきである。今後、誹謗中傷は許さない
神原弁護士は、「原告のストーリーは全て否定された」と述べている。わたしは真意を確かめるために、同弁護士に取材を申し入れたが、現時点では返事がない。わたしが、「原告のストーリーは全て否定された」という記述に違和感を感じたのは、判決の中で裁判所が認定した事実を確認したところ、暴行の事実が複数認定されていたからだ。
神原弁護士は、「李信恵さんの責任はなし」と述べているが、判決文の事実認定は次のようになっている。Mさんが事件の現場となった居酒屋に到着した直後の状況である。
(ア)被告普鉉が原告を迎えに出て、同月17日午前2時頃、原告及び被告普鉉が本件店舗内に入ったところ、出入口に最も近い席に坐っていた被告信恵が、原告に対して「なんやのお前」などと言いながら、原告に詰め寄り、その胸倉をつかんだ。これに対し、被告普鉉が、直ちに「まあまあまあ、リンダさん、ごめんな。」と言い、被告金も「店やし、店やし。」などと言いながら、被告信恵を制止して、原告から引き離した。