2015年01月05日 (月曜日)

安倍首相と報道関係者との会食、山本太郎議員が質問主意書、小林秀雄ら戦前にも風に靡く文化人

第2次安倍政権が発足してから2年になる。この間の安倍首相と報道機関の親密な関係が批判の的になってきたが、昨年の12月24日、山本太郎議員が、公式に質問主意書のかたちで、この問題を指摘した。

質問主意書は8ページからなり、冒頭で安倍首相がこの2年間で報道関係者との会食を40回以上も重ねている事実を指摘して、「政権のトップとメディア関係者の親密な関係、メディアの癒着が、報道の中立公正公平、不偏不党の観点から批判の対象となることは、今や欧米などの先進諸国においては常識であり、安倍首相のこれらの行動は、国際的な常識から見ても極めて奇異であると言わざるを得ない」と述べている。

さらに飲食に関しては、報道関係者だけではなくて、企業や団体の関係者とも会食を重ねていることを指摘している。

一連の会食のうち、質問主意書では、具体的にいくつかの会食を指摘して、会計に関する明細を明らかにするように求めている。たとえば次の会食である。

特定秘密保護法が成立した10日後の2013年12月16日に、東京・赤坂の中国料理店で行われた会食。

安倍首相が初めて靖国神社を参拝した2013年12月26日に、東京・赤坂の日本料理店で行った会食。

消費増税が施行された2014年4月2日と翌3日に、行った会食。(料亭名は記されていない)。

2014年12月14日に行われた衆議院議員総選挙の2日後にあたる12月16に、東京・西新橋のすし店で行った会食。

会食に関する経理問題に加えて、山本議員は政府見解を求めている。

◇「アメと鞭」の政策

戦前から現代にいたるまで、国策を進めるうえで報道関係者(特に新聞)や文化人が果たしてきた負の役割は重大だ。しかし、両者が癒着する原因は、単に情交関係だけではなくて、利権がからんでいる。この点を見落としてはならない。

まず、新聞社についていえば、政府により新聞社の経営上の弱点を握られている事情がある。弱点を握ることで、政府は「アメと鞭」の政策を進める。たとえば次の「アメ」である。

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2014年12月30日 (火曜日)

KDDI基地局の操業停止を求める延岡大貫訴訟で原告が上告、原告団声明が司法を厳しく批判、「住民に苦痛と絶望を与えているのは裁判所」

KDDI基地局の稼働差し止めを求めた延岡大貫訴訟の原告団(岡田澄太原告団長)は、12月5日の控訴審敗訴(福岡高裁宮崎支部・田中哲朗裁判長)を受けて、地域住民を交えた今後の対応策を話し合い、19日に最高裁に上告した。

控訴審判決は、一審に続いて健康被害が発生していることは認めつつも、「科学的観点からの立証は不十分だと言わざるを得ない」という内容だった。

控訴審では、過去に起きた携帯基地局の稼働差し止めを求める3件の裁判で、いずれも被告の電話会社を勝訴させた前歴がある裁判長が担当するなど、電磁波問題とは別に、司法の公平性も問われていた。

12月5日の判決後に発表された原告団声明で岡田団長は、みずからの体験に照らし合わせて、日本の司法制度を次のように批判している。

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2014年12月26日 (金曜日)

鳩山検審に裏金づくりの疑惑、同じ請求書が2枚あったことが情報公開資料の精査で判明

2010年9月14日に検察審査会(以下、小沢検審)が小沢一郎議員に対して下した起訴相当議決は、最高裁事務総局による架空議決だったのではないかという疑惑があることはすでに周知となっている。

しかし、同じ時期に平行しておこなわれていた鳩山由紀夫元首相に対する検察審査会(鳩山検審)に関する疑惑についてはほとんど知られていない。

鳩山検審疑惑が浮上したのは、今年の8月だった。『最高裁の罠』の著者・志岐武彦氏が疑惑の裏付けを解明したのである。

先日、わたしはMEDIA KOKUSYOに「『最高裁をただす市民の会』(志岐武彦代表)が小沢検審の架空議決疑惑で、会計検査院に調査を要請」と題する記事を書いた。

「最高裁をただす市民の会」が、会計監査院に対して調査を依頼したという内容だ。が、この記事では、読者の混乱を避けるために、あえて書かなかったことがある。それが鳩山検審疑惑である。

実は、鳩山検審疑惑についても、「市民の会」は、同じ日に会計検査院に対して調査を要請する文書を提出した。

【注】検察審査会というのは、検察の組織ではなくて、検察による不起訴事件を検証して、被疑者を法廷に立たせる法的権限を持っている最高裁事務総局の組織である。審査員は、有権者から抽選で選ばれる。

鳩山検審疑惑とは、最高裁事務総局、あるいは裁判所にかかっている疑惑なのだ。その疑惑とは、ずばり裏金づくりである。にわかに信じがたい事であるが、「市民の会」は、裁判所による裏金づくりを示す決定的な証拠を握ったのである。

ちなみに鳩山事件とは、鳩山元首相が母親から資産譲渡を受け、秘書がこれを支援者120人からの献金として政治資金収支報告書に記載した事件である。鳩山氏は不起訴になったが、これを不服とした市民により、東京検察審査会への申し立てがあり、鳩山検審が開かれたのである。その鳩山検審で、裏金づくりが行われた決定的な裏付け証拠があるのだ。

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2014年12月25日 (木曜日)

著作権侵害で2億3千万円請求、「0円」で和解 穂口氏「実質勝訴、ネット社会にとって明るいニュース」

YouTube上の動画を携帯電話で視聴するためのサイト『TubeFire』が著作権を侵害しているとして、レコード会社など31社が、同サービスを運営するミュージックゲート社に約2億3千万円の損害賠償などを求めた裁判が12月17日、東京地裁で和解した。

主な和解内容は、被告の権利侵害を認定する代りに、原告は損害賠償を請求しない、など。原告のレコード会社らが10,431個分のファイルが違法にダウンロードされたと主張したにもかかわらず、実際には121個しか確認できなかった上に、「ダウンロード」と「ファイル変換」を勘違いしていたことが判明し、請求額は「0円」となった。

裁判を終えた被告の穂口氏は、筆者の取材に対し、裁判を起こす際には「自分達の『思い込み』が間違っていないか」を確認すべきで、実質勝訴、との認識を示した。レコード会社側の勘違いとは何だったのか。意外な幕切れで終わった“著作権侵害”事件を解説する。(和解条項、および穂口氏陳述書は、PDFダウンロード可)【続きはMyNewsJapan】

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2014年12月24日 (水曜日)

青色LEDによる人体影響を示唆する体験談はネット上に複数ある、環境問題で優先されるのは被害の事実

LEDと人体影響の関係を示唆するブログがMEDIA  KOKUSYO以外にもあることが分かった。それを紹介する前に、簡単にこれまでの経緯を振り返ってみよう。

東北大学大学院の研究グループが、青色LEDに殺虫能力があることを12月初旬にイギリスの科学誌「Scientific Reports」で発表した後、MEDIA KOKUSYOの次の記事にアクセスが殺到した。

LEDを4ヶ月浴びた熱帯魚の背骨がS字型に変形、原因不明も重い事実

アクセス数は1週間で20万件に迫り、フェイスブックの「いいね!」は2万4000件を超えた。

当然、さまざまなリアクションがあった。フェイスブックの書き込み欄に記された読者からのコメントは45件。その大半は科学的な根拠がないというものだった。

ところがLEDで熱帯魚が病気になったという報告が、今年の9月の段階ですでにネット上で公開されていたことが、読者からの情報提供で分かった。次のブログである。

■LEDライトを購入するも熱帯魚は死ぬは水草は枯れるは散々だった話 

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2014年12月23日 (火曜日)

日弁連から政治連盟を通じて山本一太議員らに政治献金、スラップの問題は棚上げ

総務省が公表した最新の政治資金収支報告書(2013年度分)によると、日弁連の政治団体・日本弁護士政治連盟から、依然として国会議員に政治献金が支出されていることが分かった。

支出先には、山本一太、世耕弘成、森まさこ議員らが含まれている。また、公明党の地方本部に対して献金が行われていることも分かった。

献金の目的は不明。

ちなみに現在、問題になっている高額訴訟の引き金を作ったひとりは、公明党の漆原良夫議員である。2002年5月、「赤ひげ」と題するブログで、次のように述べている。

 善良な市民が事実無根の報道で著しい人権侵害を受けているにもかかわらず、商業的な一部マスメディアは謝罪すらしていません。

  これには、民事裁判の損害賠償額が低い上、刑事裁判でも名誉毀損で実刑を受けた例は極めて少なく、抑止力として機能していない現状が一因としてあります。

 私は、懲罰的損害賠償制度を導入しなくとも現行法制度のままで、アメリカ並みの高額な損害賠償は可能であると指摘しました。これに対し、法務大臣は、「現行制度でも高額化可能」との認識を示しました。

当時は司法制度改革推進本部のトップに小泉首相を据えて、広義の構造改革=司法制度改革が始まったばかりの時期だった。それから10年が過ぎ、スラップが大きな問題になっている。訴訟ビジネスが横行している。

献金先の議員と政党は次の通りである。

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2014年12月22日 (月曜日)

米国とキューバが国交回復へ、背景にラテンアメリカの激変と国際政治地図の更新

米国とキューバが国交回復へ向けて動き始めた。

これから両国が話し合いに入るわけだから、最終的にどのような形で関係が改善されるのかは分からないが、このような動きの背景には、国際政治の勢力図が大きく変化した事情がある。

オバマ大統領による人権重視の姿勢や人道主義が今回の決断を生んだのではない。ラテンアメリカ全体と米国の力関係が決定的に変わってきたことが根底にある。

周知のように米国は、1959年のキューバ革命の後、1961年からキューバとの国交を断絶した。経済封鎖も断行し、現在に至っている。また、CIAがカストロ主将の暗殺計画を巡らせるなど、キューバの左派政権を排除する動きを延々と続けてきた。

ところが今世紀に入るころから、米国の裏庭といわれてきたラテンアメリカで政治地図が塗り変わりはじめる。次に示すのは、現在の南アメリカ(スペイン語・ポルトガル圏)における各国政府の政治姿勢を色分けしたものである。赤表示が左派、あるいは中道左派の政権である。

コロンビア:フアン・マヌエル・サントス

ベネズエラ:ニコラス・マドゥロ

ペルー:オジャンタ・ウマラ

エクアドル:ラファエル・ コレア

チリ:ミチェル・バチェレ 

アルゼンチン:クリスティーナ・フェルナンデス・デ・キルチネル 

ボリビア:フアン・エボ・モラレス・アイマ 

パラグアイ:オラシオ・マヌエル・カルテス・ハラ

ウルグアイ:ホセ・ムヒカ

ブラジル:ジルマ・ヴァナ・ルセフ

ラテンアメリカの中でも南米は、左傾化が典型的に現れている地域である。
赤で示した国々がキューバと親密な関係にあることは言うまでもない。特にベネズエラとキューバの間には強い連帯がある。

中米のニカラグアとエルサルバドルも左翼政権で、キューバとは極めて親密な関係にある。つまりラテンアメリカでは、キューバの孤立はほぼ解消しているのだ。

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2014年12月20日 (土曜日)

新刊『ルポ 電磁波に苦しむ人々-携帯基地局の放射線』が発売

新刊、『ルポ 電磁波に苦しむ人々-携帯基地局の放射線』が発売になりました。

原発のガンマ線による人体影響は周知になっていますが、最近、同じ放射線の仲間であるマイクロ波(携帯電話の通信に使用)の危険性も否定できなくなってきました。本書は、携帯基地局の周辺で起きている健康被害や生態系の破壊を取材した本です。

また、なぜ、基地局問題が放置されているのかを、政治腐敗の観点から指摘しています。

【販売】すでに書店に配本されています。アマゾンでは25日から発売です。

■目次PDF

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2014年12月19日 (金曜日)

裁判に圧倒的に強い読売新聞、最高裁も読売裁判の関連情報開示に配慮

読売ジャイアンツが、同球団の元代表・清武英利氏(64)に対して損害賠償などを求めた裁判の判決が、18日、東京地裁であった。大竹昭彦裁判長は、清武氏に対して160万円の賠償を命じた。清武氏の反訴は棄却した。

判決を読んでいないので、論評は避けるが、読売がらみの裁判には、ある著しい特徴がある。読売の勝訴率が圧倒的に高いことである。

読売弁護団には、護憲派の喜田村洋一・自由人権協会代表理事ら、有能な弁護士が含まれていることも、勝率が高いひとつの要因だと思われるが、社会通念からして不自然な判決があることも否定できない。

その典型は、読売新聞販売店(YC)が2001年7月に、地位保全を求めて起こした裁判(仮処分申立て、後に本訴)だった。この裁判は、2007年12月に、YC側の勝訴判決が最高裁で確定した。ぞくに「真村裁判」と呼ばれる訴訟である。

判決の中で、はじめて読売の「押し紙」が認定されたこともあって関心を集めた。

ところが判決確定から半年後に、読売が再びYCに対して改廃を通告し、一方的に新聞の供給を止めた。その結果、YCの店主は、再び裁判を起こしたのである。それ以外に抵抗する方法がなかったのだ。これが第2次真村裁判である。

しかし、YC店主も弁護団も、勝訴の自信をみせていた。と、いうのも前訴で最高裁が店主の地位を保全していたからだ。実際、仮処分を申し立てたところ、すんなりと地位が保全された。仮処分の2審、3審、4審(特別抗告)も店主の勝ちだった。

ところが仮処分の審理と並行して進めていた本訴では、店主が全敗したのである。このうち控訴審(福岡高裁)で店主を敗訴させた裁判官は、なんと仮処分の2審で、店主を勝訴させた木村元昭氏裁判官だった。

木村裁判官は、仮処分の2審で店主を勝訴させた後、那覇地裁に異動になった。ところが第2次真村裁判が始まると、福岡高裁へ異動になり、第2次真村裁判を担当したのである。そして店主を敗訴させた。

わたしの手元に木村氏が書いた2つの判決があるが、読み比べてみると、同じ人物が書いたとは思えない。(拙著『新聞の危機と偽装部数』)

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2014年12月18日 (木曜日)

「最高裁をただす市民の会」が小沢検審の架空議決疑惑で、会計検査院に調査を要請

小沢一郎議員(当時は民主党)に対する検察審査会(以下、小沢検審)による起訴相当議決(2010年9月14日)が、最高裁事務総局による架空議決だったのではないかとの策略疑惑が浮上して約4年になる。

この問題は、当初、週刊誌が盛んに報じていたので、記憶している読者も多いと思うが、実は現在も調査は続いている。わたしも会員になっている「最高裁をただす市民の会」(志岐武彦代表)は、9日、会計監査院に対して、調査を求める要望書を提出した。調査項目は、以下の2点。

①小沢検審には、本当に審査員はいたか?

②経理書類の再検証。

「市民の会」は、小沢検審が架空であったと推論するに十分な裏付けを入手している。そのなかで、経理上のさまざまな疑惑も浮上している。

なぜ、経理疑惑なのか?
架空議決を行うには、審査員も架空にしなければならない。しかし、帳簿上は、架空の審査員に対しても、旅費や日当を支給する必要が生じる。その結果、架空審査員には、必然的に不正経理が連動してしまうのだ。

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2014年12月17日 (水曜日)

衆議院選挙の投票結果で明確になった自民VS共産の対決構造の浮上、新自由主義VS反新自由主義

第47回衆議院選の投票結果は、日本の政治のゆくえを予測する顕著な特徴を示した。自民党と共産党の対立構造が明確になったのである。

次に示すのは、過去4回の総選挙で記録された比例区における自民党と共産党の得票数と得票率の比較である。比較対象として比例区を採用したのは、小選挙区制の下での投票は、「なるべく当選の可能性がある候補者へ」という選択肢をする人が多く、支持政党を調査する上では、適切ではないからだ。

比例区における得票数と得票率が、より正確に国民の支持政党の傾向を示している。

【自民党】
2009年衆議院選 1881万 (26.7%)自民→民主へ政権交代
2012年衆議院選  1662万 (27.6%)  民主→自民へ政権交代
2013年参議院選 1846万 (34.7%)
2014年衆議院選  1765万 (33.1%)

【共産党】
2009年衆議院選 494万(7.03%)
2012年衆議院選  369万(6.1%)
2013年参議院選 515万(9.9%)
2014年衆議院選  606万(11.4%)

数字を見ると、2013年の参院選を境に、自民党と共産党が得票率をのばしてることが分かる。両党とも支持者を増やしている客観的な事実が確認できる。自民党が議席を維持してきた背景には、小選挙区制のメリットもあるが、それだけではなく、実質的に支持層を増やしているのである。

今回、2014年の衆議院選は、投票率が50.9%だったこともあって、得票数に関しては、自民党は2013年の参議院選よりも81万票減らしている。これに対して共産党は、低投票率の下でも、87万票増やしている。共産党が台頭してきた事実が数字から読み取れる。

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2014年12月16日 (火曜日)

秘密保護法、集団的自衛権のあまりに危険な実態、ジョセフ・ナイ元米国防次官補の語る日米軍事戦略

◆吉竹幸則(フリージャーナリスト・元朝日新聞記者)

安倍政権の進める安保政策に、民主も維新も本格論争を避け、まともな争点にならないまま、総選挙で自民が圧勝。そのどさくさに紛れ、特定秘密保護法が施行され、集団的自衛権容認の実質改憲に基づく国内法の整備が今後、急速に進んで行く。

しかし、その先にこの国はどんな姿に変貌するのか。それを垣間見れる極めて興味深い記事が選挙中に朝日新聞に掲載されていた。記事を読み解けば、実は集団的自衛権とその運用を覆い隠すための秘密保護法がいかに危険か。改めてその実態が、私にはくっきり浮かび上がって見える。

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2014年12月15日 (月曜日)

危険性が指摘させている青色LEDを電磁波問題の視点から考える、「すべての電磁波には遺伝子毒性がある」

東北大学大学院の堀雅敏准教授の研究グループが青色LEDを昆虫に当てると死ぬことを発見した。この研究結果は、12月9日付けの英科学雑誌「Scientific Reports」に掲載された。

青色LEDの安全性を考える際の基本的な視点は、電磁波の安全性に関する考え方がどう変化してきたのかという点である。電磁波とは、簡単に言えば電波のことである。厳密にいえば、電波が磁気と磁場を伴っている形状を描写した表現である。従って「電磁波=電波」と考えても許容範囲である。

電磁波問題とは、科学の観点から言えば、人体が電磁波に被曝した際の人体影響の検証である。

電磁波には様々な種類がある。電磁波の分類基準になっているのが、1秒間に打つ波の数、ビート数(厳密には、周波数)である。周波数の違いにより、電磁波の種類は分類されている。たとえば、

送電線は、東日本で50ヘルツ(50ビート)。

第3世代携帯電話のマイクロ波は、2ギガヘルツ(20億ビート)。

周波数が高くなると、波は小刻みになり、その結果、波長も短くなる。それに伴いエネルギーも高くなる。

LEDは、上図に示した赤の部分「可視光線」の領域に該当する。つまりエックス線や紫外線ほど周波数は高くはないが、携帯電話や家電に比べるとはるかに高い。

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2014年12月10日 (水曜日)

ノーベル物理学賞の青色LEDと加齢黄斑変性の関係、受賞者と一体化して喜ぶメディアにも問題

新聞研究者の故新井直之氏は、『ジャーナリズム』(東洋経済新報社)の中で、報道の見方について、次のような方法論を展開している。

新聞社や放送局の性格を見て行くためには、ある事実をどのように報道しているか、を見るとともに、どのようなニュースについて伝えていないか、を見ることが重要になってくる。ジャーナリズムを批判するときに欠くことができない視点は、「どのような記事を載せているか」ではなく、「どのような記事を載せていないか」なのである。

映画字幕翻訳家・戸田奈津子氏が加齢黄斑変性という目の病気になっていることを公表した。病名こそあまり聞かないが、近年、急激に増えているそうだ。全盲になるリスクも高い。

この加齢黄斑変性の原因のひとつをご存じだろうか。実は、3人の日本人がノーベル物理学賞を受賞したのを機に、マスコミが歓喜の大合唱を続けている青色LED(ブルーライト)である。

最初に開発されたLEDは、赤色LEDである。1961年のことだ。次に1968年になって、黄緑色LEDが開発された。そして、1993年に、今年のノーベル物理学賞受賞者である赤松勇教授と天野浩教授が、青色LEDを開発したのである。

皮肉なことに、危険性が指摘されているのは、赤色LEDでもなければ、黄緑色LEDでもない。青色LEDが危険視されているのである。厳密に言えば、ノーベル賞の受賞前の時期から、危険視されてきた。

しかし、日本のマスコミはノーベル賞の受賞者と一体になって、「日本人はやっぱりすごい」といわんばかりの提灯記事を連日掲載し、青色LEDが普及する過程で生じる健康被害についてはほとんど報じない。

具体的に青色LEDには、どのようなリスクがあるのだろうか。

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2014年12月09日 (火曜日)

公共事業は諸悪の根源⑱ デッチ上げまでした司法 その4

◆吉竹幸則(フリージャーナリスト・元朝日新聞記者)
安倍首相は「重要な政策では国民の声を聞く」として、解散に踏み切りました。しかし、憲法9条の実質改憲である集団的自衛権容認、憲法21条「表現の自由」の基礎である国民の「知る権利」を否定する特定秘密保護法の制定で、なぜ、「国民の声」を聞く解散に踏み切らなかったのでしょうか。まさに「まやかし解散」、「まやかし政権」と言わざるを得ません。

「アベノミクス解散」と称したことから、政治評論家の中には、したり顔で小泉首相当時の「郵政解散」になぞる向きもあります。しかし、根本的に違います。小泉首相は曲りなりにも、「官僚機構の財布」と言われた「郵貯資金」に手を付けようとしました。

勿論、自民党の既得利権擁護派の抵抗勢力、官僚機構、官公労やそれをバックにした野党まで反対の大合唱。その中で解散権を行使するのは、国民の声を聞くためにも当然の成り行きだったと思います。

しかし、アベノミクスは今のところ、日銀がお札を刷って貨幣価値を下げただけ。当然、その分インフレ・円安にはなりました。しかし、消費税で懐に入れた金を使って、ダムなど無駄な公共事業を既得権益層にバラまいただけです。公共事業予算は、民主政権時代の5兆円が10兆円に増えています。

しかし、私が解明した長良川河口堰のように、無駄な公共事業は金食い虫、「諸悪の根源」です。今、必要なのは、官から権限もお金も取り上げて民に回し、経済を活性化することです。

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2014年12月08日 (月曜日)

新聞業界から高市早苗議員に80万円の献金、軽減税率の公明・漆原良夫議員にも20万円

総務省が公表した政治資金収支報告書(2013年度、最新)によると、新聞業界から、自民、公明、民主の議員に政治献金が支出されていることが分かった。献金元は、新聞に対する軽減税率の適用を求めて、日本新聞協会と共闘体制を取っている日本新聞販売協会(日販協)の政治団体である。

献金回数は、述べ48件。献金額の第一位は、改憲派の先鋒である高市早苗議員への80万円。第2位は、読売新聞の記者である丹羽雄哉氏の60万円。

軽減税率を選挙公約にかかげている公明党に対する献金も記録されている。

詳細は次の通りである。

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2014年12月06日 (土曜日)

【近刊案内】ルポ 最後の公害、電磁波に苦しむ人々-- 携帯基地局の放射線

……めまい、頭痛、流産、そして癌
この悪夢は誰にも起こりうる!
WHOが電磁波とガンの関連性を発表!

 

危険なのは原発のガンマ線だけではない、

携帯基地局のマイクロ波もあぶない!

みえない新世代公害の実態と大罪

著者:黒薮哲哉
版元:花伝社

Amazon:ルポ 最後の公害、電磁波に苦しむ人々-- 携帯基地局の放射線

●目次●

第1章 「圏外」を求めて流浪する電磁波難民

第2章 電磁波問題とは何か?

第3章 電磁波による健康被害の実態と拡大

第4章 基地局周辺に現れた奇形植物

第5章 問われる企業倫理とメディアの責任

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2014年12月05日 (金曜日)

【臨時ニュース】 田中哲朗裁判長が原告の控訴を棄却、KDDI基地局の稼働停止を求める延岡大貫訴訟

臨時ニュース

KDDIの携帯基地局の操業停止を求めた延岡大貫訴訟の控訴審判決が5日、福岡高裁宮崎支部であった。田中哲郎裁判長(佐藤明裁判長代読)は、予想どおり原告の控訴を棄却した。

 参考記事:「明日、携帯基地局の放射線による健康被害を問う延岡大貫訴訟の判決、司法の劣化を象徴する「事件」が頂点に」

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2014年12月05日 (金曜日)

NTTドコモから自民党へ750万円の政治献金、最新の政治資金収支報告書で判明

総務省が公表した最新の政治資金収支報告書(2013年度分)によると、携帯ビジネスを行っている企業や、そのグループ会社から、自民党の政治資金団体・国民政治協会に対して、政治献金が行われていることが判明した。

電話会社からの政治献金は、2012年度の政治資金収支報告書でも確認されており、通信業界と自民党の癒着が進んでいる可能性が高い。

2013年度の政治資金収支報告書から、該当部分を紹介しよう。

NTTドコモ:700万円
NTTデータ:350万円
NTT都市開発:150万円

KDDI:300万円

電話会社からの政治献金PDF

ソフトバンクについては、記録が見あたらなかった。

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2014年12月04日 (木曜日)

明日、携帯基地局の放射線による健康被害を問う延岡大貫訴訟の判決、司法の劣化を象徴する「事件」が頂点に

宮崎県延岡市の住民30人が、KDDIの基地局がまき散らしている放射線(マイクロ波)が原因で健康被害を受けたとして、KDDIに対して稼働停止を求めた裁判の控訴審判決が、明日(5日)、福岡高裁・宮崎支部で言い渡される。

この裁判は、2009年12月に提起されたもので、基地局問題を象徴する事件として、全国の注目を集めてきた。

第1審は原告の敗訴。原告が控訴していた。

勝敗について、結論を先に言えば、控訴審で原告が勝訴する確率は、限りなくゼロに近い。裁判の進行そのものが尋常ではなかったからだ。

そのために、皮肉にも電磁波問題だけではなくて、日本の司法制度が内包する「闇」も露呈することになった。

◇論理が破たんした地裁判決
周知のように携帯基地局から放射される放射線(マイクロ波)が人体に悪影響を及ぼすとする説は、年々、説得力を深めている。2011年には、WHOの外部団体である世界癌研究機関(IARC)が、マイクロ波に発癌性の可能性
があることを認定している。

実際、ドイツ、イスラエル、ブラジルなどで行われた疫学調査では、携帯基地局の周辺に住む人々の間で、癌が多発していることが分かった。

インドのムンバイ市では、最高裁の司法判断を背景に、3200の基地局が撤去の対象になっている。

こうした世界の動きを見据えると、当然、延岡大貫訴訟は原告を救済するのが常識だが、第1審では、健康被害の発生は、客観的な事実として司法認定されたものの、基地局の稼働中止はそのまま続けてもいいことになった。
司法がKDDIのビジネスを救済したのである。
裁判所がその根拠としたのは、俗にいう「ノセボ効果」による健康被害であるとの判断である。「ノセボ効果」とは、思い込みによって生じる症状のことである。判決は、次のように「ノセボ効果」を認定して、KDDIを勝訴させた。

原告らその他の住民の中には、反対運動などを通じて電磁波の危険性についての情報を得たことにより、電磁波の健康被害の不安を意識したことや、被告の対応に対して憤りを感じたことなどにより、もともとあった何らかの持病に基づく症状を明確に意識するようになったり、症状に関する意識が主観的に増幅されていき、重くとらえるようになった者がいる可能性がある。

健康被害という客観的な事実と、「ノセボ効果」を結びつけるには、科学的な根拠が不可欠であるが、判決文では、それが完全に欠落しているので、判決全体を通読した時、論理が完全に破たんしていることが分かる。「論文」としては、失格のレベルである。

それにもかかわらず判決は効力を持ち、現在も延岡市の原告を苦しめている。

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2014年12月02日 (火曜日)

数字で見る小選挙区制のカラクリ、前回の衆院選で自民は27%の得票率で294議席を獲得

衆院選がスタートする。わたしは衆院選のたびに小選挙区制の理不尽さを痛感する。

小選挙区制についての論文は多いが、その中でも際だって説得力があるのは、渡辺治著『安倍政権と日本政治の新段階』(旬報社)の劈頭(へきとう)に掲載された「総選挙の結果が示した日本政治の新たな段階」と題する論考である。

この論文は小選挙区制の矛盾をずばり指摘している。とても明快に論じられている。

渡辺氏が例として引き合いにだしているのは、2012年12月16日に投票が行われた衆院選である。周知のように、これは第2次安部内閣を成立させた選挙である。客観的な事実(数字)をもとに小選挙区制のカラクリを説明している。

この選挙で自民党は、294議席を獲得した。このうちの237議席が小選挙区の議席である。民主党が大勝した2009年の衆院選における自民党の獲得議席数は、119議席だったから、議席を約2.5倍に増やしたのである。

この数字だけを見れば、自民党は国民から圧倒的な支持を受けたような印象を受ける。ところが2009年の衆院選と2012年の衆院選における自民党の得票率(比例区を採用)を比較してみると、それが幻想であったことが分かる。小選挙区制のカラクリが一目瞭然になる。

【自民党の得票率の変化】
2009年の衆院選:26.72% (119議席)
2012年の衆院選:27.62%  (294議席)

つまり自民党の得票率は0.9%しかアップしていないのに、議席数は2.5倍に増えているのだ。それどころか、「得票数においては投票率が下がったことも影響して、およそ219万票も減少している」(同書)のである。

このような現象が起こった原因は、民主党の大敗である。渡辺氏は次のように述べている。

では、小選挙区において自民党はなぜ議席の独占を果たすことができたのだろうか。その最大の理由は、定数一という小選挙区制の条件のもとで、自民党に対抗して議席を争ってきた民主党が激減し、維新の会はじめ新党も、小選挙区では知名度、浸透の点で、自民党に遠く及ばなかったからである。民主党票の歴史的激減、これが自民党大勝の第一の理由である。

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2014年12月01日 (月曜日)

トヨタから自民党へ6000万円の献金、トヨタが販売する「水素自動車」1台につき200万円から300万円の補助金

安倍内閣の下では、政治献金により政策を取り決める暗黙の了解があるようだ。

まず、テレビ朝日の次の報道(2014年8月7日)に注目してほしい。

 次世代のエコカーとして注目されている燃料電池車について、政府は、購入した場合に最大300万円の補助金を支給する方針を固めました。

  燃料電池車は走行中に水しか出さず、究極のエコカーと呼ばれています。トヨタが今年度中に一般向けに販売するほか、ホンダや日産なども販売を計画しています。価格が1台700万円程度とガソリン車よりも割高なため、政府は販売に合わせて、1台につき200万円から300万円の補助金を出し、世界に先駆けて普及させる方針です。電気自動車の購入補助金などとともに、来年度予算の概算要求にも盛り込まれる見通しです。

燃料電池車は「水素で走る車」である。引用文には、具体的に水素自動車を販売する会社としてトヨタの名前があがっている。

そのトヨタグループから、自民党の政治資金団体・国民政治協会に対する政治献金(最新の2013年度分)を調べたところ、7000万円を超える額が支出されていることが分かった。

このうちの大半は、トヨタ自動車からのもので、6440万円。

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2014年11月28日 (金曜日)

インドのムンバイ市が携帯基地局の設置を厳しく規制、3200局が撤去の対象

携帯基地局の放射線問題の解決に向けて最先端を走っている国はどこか?
そのひとつがインドである。インドのムンバイ市が、携帯基地局の厳しい規制に乗り出している。

インドで電磁波問題の研究が進んでいることは、つい最近、知人の研究者から聞いていたが、下記の記事を読む限り、想像以上にドラスチックな規制が導入されている。

しかも、このような激変は、インドの最高裁が出した決定に、端を発している。電話会社の権益を侵さない判決しか出さない日本の司法当局との違いを見せつけられる。次の記事を紹介しよう。

インドで携帯基地局の規制がはじまる

ムンバイ市が、学校、大学、孤児院の近くでの携帯基地局設置を禁止

インドで最も人口が多いムンバイ市は、2013年8月、学校、大学、孤児院、児童リハビリテーション施設、それに老人ホームから100メートル以内に携帯基地局を設置することを禁止した。同市は、学校や大学、それに病院などに設置されているアンテナを撤去するように命じた。

  さらにムンバイ市は、マンションの最上階に住む全居住者の承諾と、マンション居住者全体の70%の承諾がない場合、住宅の屋根にアンテナを設置することを禁止した。

 これにより法律に抵触する状態で設置されている3200の基地局の撤去が始まった。この政策は、もともと2013年1月に発案されたもの。(略)

  ムンバイ市があるマハラシュトラ州の州政府は、2013年10月の中旬、放射線の規制値を10倍厳しくするかわりに、ムンバイ市の方針を採用しない試案を発表した。現在、州政府と市当局の交渉が続いている。(黒薮訳)

■出典:Cellular Phone Task Force

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2014年11月27日 (木曜日)

10月度の新聞の公称部数、朝日が対前月差で19万部減、読売は12万部増

2014年10月度のABC部数が明らかになった。それによると、朝日新聞は、対前月差で-19万2642部で、読売新聞は+12万8489部だった。朝日は大幅に部数を減らしている。

対前年同月差は、朝日が-51万8764部、読売が-51万1522部である。

読売は、11月2日の「発刊140年」にあわせて拡販キャンペーン(新聞の無料配布など、冒頭の写真参照)を行った。その結果、約13万何部増えた。

◇毎日と産経は増部数

一方、毎日新聞は、対前月差で+3万1619部。産経新聞は、+7万1043部である。日経は、-2万9647部である。

地方紙については、大きな部数の変動はなかった。朝日、読売、毎日、産経、日経を除く日刊紙の対前月差は、-3289部だった。

中央紙のABC部数をまとめると次のようになる。

朝日:7,021,480(-19万2642)
読売:9,371,103(+12万8489)
毎日:3,328,281(+3万1619)
産経:1,671,465(+7万1043)
日経:2,737,373(-2万9647部)

2014年10月度のABC部数詳細(PDF)

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2014年11月26日 (水曜日)

『福田君を殺して何になる』出版差し止めで勝訴した寺澤有氏に聞く、 「裁判は弁護過誤隠しが目的だった」

光市母子殺害事件の福田孝之死刑囚の実名や写真を載せた本の出版差し止めなどを求めた訴訟の判決が9月29日、福田死刑囚の上告を退けるかたちで確定した。寺澤氏による反訴も棄却された。

この裁判は、福田死刑囚(犯行時は少年)が、実名や顔写真を単行本『福田君を殺して何になる』の中で公表されたとして、著者の増田美智子氏と版元のインシデンツ代表・寺澤有氏に対し、出版差し止めなどを求めたもの。

こうした言論抑圧に遭遇した際には、どう対処し、どうすれば勝てるのか。「福田君は弁護団が方針を誤ったために死刑になったのであり、死刑になるまでのプロセスを隠すために裁判制度を利用し出版差し止めを図った」と分析する寺澤有氏に、5年にわたった裁判を振り返ってもらった。【続きはマイニュースジャパン】

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2014年11月25日 (火曜日)

大手旅行代理店が関与したホテルに搬入する新聞のビジネスモデル①

ホテルに積み上げられている新聞のビジネスモデルについての情報を入手した。情報提供者の希望で、現段階では社名を匿名にするが、この種の無料新聞の拡販には、大手の旅行代理店が関与していることが裏付けられた。

旅行代理店がみずからの系列のホテルを中心に営業を展開して、新聞を拡販する。そのこと自体は、違法行為でもなんでもないが、問題は新聞の卸価格がばらばになっている点である。

入手した資料によると、新聞の卸価格が、(1部)79円から(1部)17円幅になっている。

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2014年11月24日 (月曜日)

これだけある裁判所の問題、「日本は三権分立の国」は幻想

たとえば裁判所の強権的な姿勢を報告した次のレポートがある。特定秘密保護法に対する違憲訴訟(静岡地裁、原告:藤森克美弁護士、被告:国)の第2回口頭弁論で、村野裕二裁判長が早々と結審をほのめかした場面である。

一つは民事第2部の村野裕二裁判長がきわめて強権的な指揮をしていること。藤森弁護士が提出した準備書面(2)から(7)の確認をしたあと、進行に言及し「そろそろ終り」にと結審をほのめかす発言。しかしその少し前に国の代理人から「原告に反論したい」と申し出たことと、藤森弁護士から主張を補充したいとの申し出があり、いったん退廷して合議。その結果、あと1回弁論は認めるがこれを最終とする旨を伝えられました。

日本の裁判所は公平な裁判を行ってきたのだろうか?あるいは最高裁事務総局は、本当に政府や官庁、それに大企業といった巨大権力を持つ者と一定の距離を置いて、独立性を保っているのだろうか?

かりに裁判所が権力構造の歯車に組み込まれているとすれば、戦後日本の「民主主義」を根本から再検証しなければならない。日本は三権分立の国ではない。これは受け入れたくないが、紛れもない真実である。

具体的に、日本の裁判所には、どのような問題があるのか、手短に抜き出してみた。

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2014年11月21日 (金曜日)

急激に進む米国新聞の電子化、日本の新聞社と販売店は生き残れるのか

次に掲載するのは、米国のインターネット新聞『ハフィントン・ポスト』に掲載された全米主要紙の発行部数である。記事の日付は、2013年4月30日。データの出典はABC部数。米国のABC部数は、日本とは違って電子版(デジタル)の購読者を含んだ数字が表示される。

その背景には、 電子版のデータがなければ、ABC部数はマーケット戦略の道具にはならなくなっている事情があるようだ。

1. The Wall Street Journal — 2,378,827 (898,102 デジタルを含む)

2. The New York Times — 1,865,318 (1,133,923 デジタルを含む)

3. USA Today — 1,674,306 (249,900 デジタルを含む)

4. Los Angeles Times — 653,868 (177,720 デジタル、 43,275特別版を含む )

5. Daily News of New York — 516,165 (155,706デジタルを含む)

6. New York Post — 500,521 (200,571 デジタルを含む)

7. The Washington Post — 474,767 (42,313デジタル、 1,305 特別版を含む)

8. Chicago Sun-Times — 470,548 (77,660デジタル、 208,087 特別版を含む)

9. The Denver Post — 416,676 (192,805デジタル、 10,041 特別版を含む)

10. Chicago Tribune — 414,930 ( 46,785デジタルを含む)

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2014年11月20日 (木曜日)

日弁連が喜田村洋一弁護士に対する懲戒請求を棄却、審査内容はブラックボックスのなか

11月17日付けで、日弁連はわたしが喜田村洋一弁護士(自由人権協会代表理事で読売新聞社の代理人)に対して2011年1月に申し立てた弁護士懲戒請求を棄却する決定を下した。申し立てから、最終的な決定まで、約4年の歳月を費やした。

審査のプロセスは次の通りである。

1,第2東京弁護士会による棄却
 
2,日弁連による棄却

3,綱紀審査(外部有識者)による棄却

この問題については、これから検証に入るが、わたしとしては到底納得できない。と、いうのも「1」の段階では、棄却理由が示されたものの、「2」と「3」では、実質的に理由が示されていないからだ。誰が審査したのかも、審査の長を除いてわからない。ブラック・ボックスの中である。

議決書の全文PDF

今後、公開質問状などのかたちで審査内容の開示を求めていく。

あえて理由として日弁連サイドがあげているのは、第2東京弁護士会の議決書の認定と判断に誤りがない、というものである。が、これは厳密な理由ではない。結論にすぎない。最初から棄却という結論を決めていたから、論理的な理由書が書けなかったのではないだろうか。

あるいは、まったく反論できないほど、わたしの主張が真っ当だったということである。審査に4年も時間がかかった原因もこのあたりにあるのでは。

この事件の詳細は、次の記事を読むとわかりやすい。「2」の段階で「メディア黒書」に掲載したものである。

■喜田村洋一弁護士に対する懲戒請求、近々に綱紀審査会へ申し立て、袴田事件に類似した構図の民事事件

■袴田事件と類似した事件の構図、喜田村弁護士に対する懲戒請求、準備書面(1)を公開  

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