2020年09月03日 (木曜日)

9月8日に結審の予定、産経新聞の「押し紙」裁判、東京地裁

 千葉県内の元販売店主が起こした「押し紙」裁判(東京地裁)が9月8日に結審する。この裁判は、既報したように本人尋問と証人尋問が終わった後、裁判所が産経新聞に対して和解を勧告していたが決裂。そのまま結審の予定になっていたが、コロナウィールスの感染拡大で裁判所が閉鎖され、日程も未定になっていた。

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2020年09月01日 (火曜日)

読売の残紙とABC部数、「押し紙」であろうが残紙であろうが不正の温床に

既報したようにYC門前駅前(読売新聞・販売店)の元店主が、8月7日に、「押し紙」の損害賠償を求める裁判を起こした。読売が店舗の残紙が「押し紙」であるとは認めていないので、本稿では単純に残紙という言葉を採用するが、その割合は、搬入部数の約5割にも達していた。

しかも、読者数が変動していたにもかかわらず、搬入(供給)部数は一定にロックされていた。

■訴状

■「押し紙」一覧

裁判では、当然、これらの残紙が「押し紙」なのか、それとも予備紙なのかという点がひとつの争点になると思われるが、ジャーナリズムの観点からいえば、別の問題もある。仮に店舗に残っていた残紙が予備紙だとすれば、読売新聞社は免責されるのだろうか?

と、言うのも残紙はABC部数に反映される制度になっているので、ABC部数と実配部数に乖離があることを知らない広告主が、紙面広告や新聞折込をPR媒体として採用した場合、PR戦略を誤るリスクが高くなるからだ。広告主との関係で、残紙問題を問題をとらえると、公序良俗に違反する問題なのである。

また、このようなABC部数の実態が公になると、広告媒体としての新聞の信用が失墜して、新聞社も販売店もクライアントを失うことになりかねない。いわば過剰な部数を発生させることは自殺行為に等しい。

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2020年08月30日 (日曜日)

動画で見る「押し紙」回収の実態、「押し紙」回収が産業として成り立つ異常

ビニール梱包が解かれていない新聞束を、1日に10包装も20包装も古紙回収業界に回収させる行為が日常的に行われるようになったのは、おそらく1980年代からである。当然、「押し紙」とセットになっている折込広告や自治体の広報紙も廃棄されている。

それにもかかわらず日本新聞協会は、「押し紙」の存在そのものをいまだに否定している。延々と従来の商慣行を放置している。その結果、いまや「押し紙」回収業がひとつの産業として成り立っている。

この社会問題を理解するための最初のステップは、まず、「押し紙」回収の現場を見ることだろう。以下、現場を撮影した2本の動画を紹介する。その異常な実態が即座にわかる。

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2020年08月28日 (金曜日)

独禁法に忠実に則した「押し紙」の定義を紹介、週刊金曜日の最新号

本日(28日)発売の『週刊金曜日』の「金曜アンテナ」欄が、黒薮執筆の「『読売』を元販売店主が提訴」と題する記事を掲載している。最新の対読売裁判の争点について解説した。「押し紙」の定義が従来のものから修正される可能性が浮上しており、その背景について解説した。

今後の「押し紙」問題を考える上で、新しい視点なので購読してほしい。

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2020年08月26日 (水曜日)

滋賀医科大の河内教授による公文書偽造疑惑事件で、滋賀県警大津署が書類送検、アンケート用紙の偽造疑惑も検察庁が捜査へ

メディア黒書で報じてきた滋賀医科大事件で新しい動きがあった。滋賀県警大津警察署は、8月21日付けで、泌尿器科の河内明宏教授を有印公文書偽造などの容疑で大津地方検察庁へ書類送検した。

この事件は、昨年の11月で終了した前立腺癌の小線源治療に特化した寄付講座の運営をめぐり、主導権を握ろうとした河内教授が、部下の准教授を講座のスタッフに加えようと企てたのが発端である。自分の部下を講座のスタッフに加えるために必要な公文書を偽造したとされる。

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2020年08月25日 (火曜日)

KDDIエンジニアリング、KDDI本社の責任者名を明かさず、朝霞市の公有地360円賃料問題、交信記録を公開、系列ノート㉓

朝霞市(埼玉県)が月額360円(年間4300円)で、KDDIに城山公園の共有地を提供し、KDDIがそこに通信基地局を設置した事件の続報である。

この事件で、地元住民向けの窓口になっているのは、KDDIエンジニアリングの藤田智晃氏である。わたしはKDDI本社の担当部署と担当者を知りたいと考えて藤田氏に繰り返し問い合わせたが、これについての情報を開示しようとはしない。KDDIエンジニアリングとして対処するとのことである。

月額360円の賃借料を取り決めた朝霞市の責任者は判明しているが、KDDIの側が不明だ。

以下のメールは、わたしと藤田氏の間で交わされたものだ。藤田氏がKDDIの責任者が誰であるかを巧に隠していく「足跡」が記録されている。

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2020年08月22日 (土曜日)

電磁波問題の「全国ネット」主催の5G学習会に九州大学大学院の近藤加代子教授がゲスト出演

9月8日に「電磁波からいのちを守る全国ネット」が予定している第2回の5G学習会に、九州大学大学院の近藤加代子教授がゲスト出演する。プロフィールは次の通り。

スペシャルゲスト:近藤加代子氏
九州大学大学院 芸術工学研究院 環境デザイン部門 教授・博士(工学)。
携帯電話基地局に近い小学校での健康調査や、幼稚園・保育園を対象にした疫学調査を実施している。

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2020年08月21日 (金曜日)

藤井さん一家、3年にわたるスラップから解放される、横浜副流煙裁判・控訴審が結審

横浜副流煙裁判の控訴審の第1回口頭弁論が、20日、東京高裁で開かれ、三角比呂裁判長は結審を言い渡した。判決は、10月に29日に言い渡される。

わたしは裁判を傍聴しなかったが、原告の妻・藤井敦子さんが、法廷の様子をメモしたものを、フェイスブックで公表している。それよると、原告は反論を希望したが、裁判所は認めなかった。

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2020年08月17日 (月曜日)

8月20日に横浜副流煙裁判の控訴審、藤井さんの被控訴人準備書面(1)を全文公開

横浜副流煙裁判の控訴審・ 第1回口頭弁論が8月20日の午後2時20分から、東京高裁の809号法廷で開かれる。この裁判は、被告にされた藤井将登さんが吸う煙草の煙で化学物質過敏症に罹患させられたとして、藤井さんが住む同じマンションに住居がある家族3人が起こしたものである。請求額は、4500万円(原審)。

しかし、藤井さんは仕事柄、外出していることが多く、自宅にいるときも密封状態(防音構造)になっている自室で、少量の煙草を嗜むに過ぎない。しかも、提訴後に原告のひとりに25年の喫煙歴があったことが判明した。つまり25年も煙草を吸っていながら、家族が健康を害した責任は、藤井さんの煙草にあると主張して、高額な金銭を請求しているのだ。

かなり無理のある主張だが、複数の著名な科学者が原告を支援して、原告のために繰り返し意見書を提出している。

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2020年08月15日 (土曜日)

「押し紙」で読売新聞を提訴、元販売店主…供給部数の5割が“残紙”、業界の闇が明るみに

《ビジネスジャーナル掲載》元新聞販売店主が読売新聞大阪本社から過剰な部数の新聞の仕入れを強制されたとして、8月7日、約4120万円の損害賠償を求める「押し紙」裁判を起こした。原告の元店主、濱中勇志さんは、広島県福山市で2012年4月から6年あまりYC大門駅前を経営していた。

大阪地裁へ提出された訴状によると、請求の対象期間は17年1月から18年6月までの1年6カ月。この間、供給される新聞の約5割が残紙となっていた。しかも読売新聞社が販売店へ供給していた部数は、読者数の変動とはかかわりなく毎月2280部でロック(固定)されていた。

「押し紙」裁判が多発するなかで、新聞の供給部数が1年以上もロックされ、しかも、約半分が残紙になっていたケースはまれだ。【続きはビジネスジャーナル】

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全国で多発する通信基地局の設置をめぐるトラブル、広島県尾道市・向島町(ソフトバンク、ドコモ)、東京都目黒区・八雲(KDDI)のケース、楽天は住民に配慮

5G導入を促進する空気の中で、電磁波による人体への影響を懸念する世論が徐々に広がっている。それに伴って通信基地局に関するトラブル相談が、全国からメディア黒書に寄せられている。本稿では、その中から2つの実例を紹介しよう。

広島県尾道市向島町のケース(ソフトバンク、NTTドコモ)と、東京都目黒区八雲(KDDI)のケースである。

しかし、その前に手短に電磁波による人体影響が認識されるようになった背景を手短に説明しておこう。電磁波問題を理解する上で不可欠な要素であるからだ。

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2020年08月12日 (水曜日)

「押し紙」問題に本腰を入れた小坪慎也議員、「戦えば戦死するリスクもある」

小坪慎也・行橋市議が「押し紙」問題の解決へ本腰をあげた。5月に佐賀地裁が地元の佐賀新聞社に対して独禁法違反を認定したことや、8月にYC大門駅前(広島県福山市)の元店主・濱中勇志氏が読売新聞社に対して「押し紙」裁判を起こしたことを受けて、政治家として社会正義を実現するために活動を開始することを宣言したのだ。

次のブログがその表明である。

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