ブラジル大統領選でルナ元大統領が当選、ラテンアメリカに広がる左傾化の波
10月30日に投票が行われたブラジル大統領選で、左派のルイス・イナシオ・ルラ・ダ・シルヴァ元大統領(写真左)が、極右のジャイル・メシアス・ボルソナロ大統領(写真右)を破って当選した。両氏の得票率は、次の通りである。
ルラ元大統領:50.83%
ボルソナロ大統領:49.17%
ルラ氏は、2003年から2010年までブラジルの大統領を務め、好調な経済成長をけん引したり、福祉政策を進めるなどして、著しい成果をあげた。とりわけ貧困層の救済を優先する政策を進めた。その後、後継者のジルマ・ルセフ氏に政策を引き継いだ。
ルラ氏は、2018年の大統領選に再出馬を予定していたが、汚職容疑で逮捕され出馬が困難になった。刑務所の牢獄の中で、ボルソナロ現大統領の当選を知ったのである。ブラジスのトランプ大統領を呼ばれる人物である。新自由主義者であり新保守主義者である。
翌年、最高連邦裁判所は、ルナ氏の投獄を違法とする判決を下した。投獄は、国民の間で人気が高いルラ元大統領を政界から排除することが目的だったとする見方が有力だ。
2022年の大統領選でルナ氏は、世論調査で終始ボルソナロ大統領を大きくリードしていた。選挙戦が始まると両者の支持率の差は徐々に接近したが、1%に満たない僅差で、ルラ氏が逃げ切った。
ルラ元大統領は勝利演説で、ホームレスに住居を提供すること、貧しい人々に仕事と機会をあたえること、教育の向上、男女平等などを約束した。