2014年03月05日 (水曜日)

読売・江崎法務室長による著作権裁判6周年 「反訴」は最高裁で、喜田村弁護士に対する懲戒請求は日弁連で継続

読売新聞西部本社の江崎徹志法務室長が、わたしに対して著作権裁判を起こして6年が過ぎた。先月25日は、提訴6周年である。読売が提訴した目的が何だったのか、わたしは今も検証を続けている。

周知のように、この裁判は既にわたしの勝訴が確定している。地裁、高裁、最高裁とすべてわたしの勝訴だった。勝訴を受けて現在、わたしは2つの「戦後処理」を行っている。

まず第一は、江崎氏と読売に対する損害賠償請求訴訟である。しかし、残念ながら地裁、高裁ではわたしの訴えは認められず、現在は最高裁で裁判を継続している。読売は、やはり裁判にはめっぽう強い。

「戦後処理」の第二は、江崎氏の代理人を務めた喜田村洋一・自由人権協会代表理事に対する弁護士懲戒請求の申し立てである。これは、現在、日弁連が審理している。

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2014年03月04日 (火曜日)

神田警察署が三角さんを釈放 『警察白書』に見る警察権力の拡大 スパイ活動の対象は・・・・

警視庁神田警察署に拘留されていた出版人・三角忠さんが、3月3日に釈放された。これにともない同日の午後3時から予定されていた勾留理由開示公判は中止となった。

三角さんは昨年の11月にJR水道橋駅で駅員とのトラブルに巻き込まれ、それを理由に3ヶ月後の先月20日、逮捕された。三角さんを支援している救援センターによると、24日以降は取り調べも行われなかった。

■参照:救援センターの抗議声明

この事件の背景には、安倍政権が導入を進めている構造改革=新自由主義がもたらしている貧困や格差社会に萌芽した社会運動を取り締まるための戦略があるようだ。警察権力の拡大である。秘密保護法の運用へ向けた流れと同じ脈絡の中で起きた事件といえる。

実際、構造改革=新自由主義の浸透と、国策としての警察権力の拡大を裏付ける客観的なデータも存在している。2013年度の『警察白書』である。同白書によると、2001年から2012年までの間に、都道府県警察の地方警察官の人員は、2万8266人も増えている。

現在の定員は、28万5867人

白書によると、これは自然増ではなくて、「増員を行ってきた」結果である。

2001年は、構造改革=新自由主義の「本丸」、小泉内閣がスタートした年である。?? しかし、日本の構造改革が本格的に始まったのは、それ以前の1996年、橋本内閣の成立時である。

ところが橋本首相は、大店法の廃止など、ドラスチックな規制緩和を進めた結果、国民の反発をかった。そのために橋本内閣に続く小渕内閣、森内閣の時代は、構造改革=新自由主義の導入にもたついた。むしろ民主党の方が、急進的な構造改革=新自由主義の導入を主張したのである。

そんな時、森喜朗首相に代わり、自民党の「救世主」として登場し、一気に構造改革=新自由主義を導入したのが小泉首相だった。

本来、構造改革=新自由主義の政策は、?規制緩和、?公共サービスの縮小など、「小さな政府」の実現、?法人税の減税と、消費税のアップ、?成長産業に対する公的支援の拡大、?大企業のブレインの育成、?「観念論」教育の徹底、?多国籍企業のための海外派兵体制の構築、などを柱としている。

これらの方針の背景には、国境なき時代に、非正規社員の拡大など国民を半ば奴隷化し、その一方で「治安」を維持し、大企業の国際競争力を高める狙いがある。

このうち?「小さな政府」を目指すのは、無駄な出費をなくすことで大企業の税負担を軽減することが目的である。同じ脈絡から、医療や福祉の切り捨ても行われる。省庁も再編してスリム化し、無駄な財政支出を抑制する。

公務員の人員削減の典型例として分かりやすいのは、国会議員の定数削減である。国民に対して、「国会議員みずから無駄を省いていきます」と意思表示することで、さらに公共機関全体のリストラを目論んでいるのだ。

もっとも、議員定数を減らしたり、参議院を廃止する程度では、財政支出の抑制も「焼け石に水」である。定数削減の本当の目的は、国民の参政権を縮小して、共産党と社民党を国会から排除することにある。

こうした流れからすれば、警察組織のリストラも必然的に断行されてもおかしくはないはずだが、実際は、警官の数に関しては、ここ10年の間に約3万人も増えているのだ。なぜ、増員が必要になるのか。

既に述べたように、構造改革=新自由主義の「前進」で拡大している社会矛盾が爆発するのを、警察の力で食い止める必要に迫られているからではないだろうか。

三角さんの逮捕も、このような脈絡から検証する必要がありそうだ。今後、出版人を狙った同じような「嫌がらせ」が繰り返される可能性が高い。

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2014年03月03日 (月曜日)

国境なき記者団の「報道の自由度ランキング」は、本当に信頼できるのか?

フランスに本部がある国境なき記者団が、2014年度の「報道の自由度ランキング」を発表した。

1位から20位までのランキングの中に、欧州と北欧の17カ国がランクインしている。

主なランキングは次の通りである。

1位:フィンランド

2位:オランダ

3位:ノルウェー

4位:ルクセンブルグ

5位:アンドラ

1位から5位は、前年のランキングそのままである。

46位:アメリカ合衆国

59位:日本

125位:グアテマラ

■全ランキング

新聞の印刷部数やHPへのアクセス、それに視聴率など、客観的に数値で測定できるものにランキングをつけるのであれば、それなりに有意義な情報になるが、果たして「言論の自由度」といった抽象的で、個人の主観に依存する要素が多いものを序列化できるのだろうか?疑問が多い。

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2014年02月28日 (金曜日)

警視庁神田警察署が編集者を逮捕 警察「暴走」の背景に新自由主義の破綻

編集者の三角忠さんが、20日に逮捕された。三角さんは、三一書房を退職したあと、編集工房・朔を経営し、精力的に社会問題を世に問う本を出版してきた。

また、救援連絡センター運営委員やユニオン東京合同副委員長などを務め、 秘密保護法に反対する運動にも熱心に取り組んできた。

27日の午前中、わたしは出版関係の友人たちと、三角さんが拘留されている警視庁神田警察署を訪れた。三角さんへの面談を申し入れると、面談者を3人に、面談時間を20分に限定した上で許可が下りた。面談には、このような条件が付けられる。しかも、1日に1回の面談に限られている。

神田署の接見室は6畳ほどの無機質な空間だ。透明なガラス壁で中央部が仕切られ、ガラス隔の両サイドに、それぞれ椅子が3脚設置されている。接見室に窓はなく、冷たいLDEの光が壁に反射している。

三角さんは、中央の椅子に腰を下ろし、われわれを待っていた。後ろには、警官が椅子に腰掛け、長い脚をだらしなく前方に伸ばして「監視」している。

三角さんの顔には疲れが現れていたが、話してみると、言葉はごく普通だった。

刑事事件の取材は、かならず「被害者」と「被疑者」の双方から、事情を聞き取らなければならない。逮捕の経緯を知るために、わたしは三角さんが所属する救援連絡センターから資料をもらい、関係者から話を聞いた。

一方、「被害者」の取材については、「被害者」の勤務先であるJR東日本に取材を申し入れた。しかし、同社は、電話をたらいまわしにしたあげく、取材を断ってきた。唯一、社員が口にした主張は、「暴力に対しては毅然として対処します」というものだった。

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2014年02月27日 (木曜日)

森ゆうこVS志岐武彦の裁判 訴状に匿名「X氏」で登場する人物がキーパーソンに


この裁判で最も重要な解明点のひとつに、検察が作成した小沢事件の捏造報告書を、だれがロシアのサーバーを使い、発信元を隠して、歌手で検察の「闇」を告発してきた八木啓代氏に流したのかという点である。この謎の中心にいるのがエンジニアで情報通のX氏という人物である。訴状にも実名を隠し、「X氏」で登場する。

とはいえ、いきなりX氏について述べても、初めてこの記事を読む読者には、事件の全体像が読み取れないはずだ。順を追って説明しよう。そもそもX氏とは何者で、どのような理由で、裁判のキーパーソンとして浮上したのだろうか?

◇すべては小沢起訴から始まった

事件の発端は、小沢一郎氏が2010年に東京第5検察審査会(以下、第5検審)の議決で起訴され、最終的には無罪になった件である。メディアでも大きく報道され、喜びを露呈した小沢氏の映像はわれわれの記憶に新しい。冒頭の画像は、小沢弁護団による会見である。

ところが第5検審の起訴議決には、当初から不可解な点があった。起訴議決を行った日が、小沢氏が立候補していた民主党代表選の投票日と重複したのだ。故意なのか、偶然なのか、いずれにしても不自然さを払拭できない。そのために、何者かが「小沢排除」をたくらみ、なんらかの裏工作を行ったのではないか、という噂が広がったのだ。特に小沢氏の支持者の間で、第5検審に対する漠然とした不信感が広がった。

ちなみに検察審査会は、「検察」という名前を付しているが、検察の組織ではなく、文字通り「検察」を「審査」する最高裁事務総局の機関である。

従って小沢氏の支援者らが抱いた不信感は、最高裁事務総局に向けられたものだった。

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2014年02月26日 (水曜日)

森ゆうこVS志岐武彦裁判 森側はX氏の陳述書作成へ 志岐側は小沢一郎氏の証人調べも視野に?

森ゆうこ元参議院議員が、『最高裁の罠』(K&Kプレス)の著者で、ブログ「一市民が斬る」の主宰者・志岐武彦氏を訴えた裁判の第3回口頭弁論が、25日の午後、東京地裁で開かれた。同じ法廷で、ほぼ同じ時刻に別の裁判が予定されていたこともあって、30名を超える傍聴者が席を占めた。

原告の森氏は出廷しなかった。原告席には小倉秀夫弁護士、被告席には山下幸夫弁護士と志岐氏の姿があった。

(注:事件の経緯については、記事末の資料を参照にしてください。)

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2014年02月24日 (月曜日)

情報通信政策に見る政府・官庁・財界の癒着 構造改革(新自由主義)=脱官僚支配のウソ

次に示すのは、安倍内閣の下で総務省に設置された「電波政策ビジョン懇話会」の構成員一覧である。

■「電波政策ビジョン懇話会」構成員一覧 

最も異様なのは、企業や業界団体の面々が名を連ねていることである。つまり選挙で選ばれたわけでもない企業人が望む政策が、直に政策決定に反映する仕組みが機能しているのだ。

驚くべきことに経団連の常務理事・椋田哲史氏も構成員になっている。改めていうまでもなく、経団連は財界人の集まりである。

■経団連の役員一覧 ?

また、情報通信ネットワーク産業協会専務理事の大木一夫氏も、構成員になっている。ちなみに同協会の役員構成は次の通りである。

■「情報通信ネットワーク産業協会」構成員一覧

他にも野村総合研究所、三菱総合研究所、日本総合研究所などの関係者が名を連ねている。

さらに興味深いことに、日経新聞の論説委員までがメンバーに加わっている。おそらくこれは「広報」の役割を果たしてもらうための措置ではないか。皮肉にも、日経の論説委員が独立したジャーナリストと見なされていない証である。

日本の権力構造を、内閣府や省庁に設置される各種の審議会・委員会などを検証することで部分的に解剖すると、極めて前近代的で、議会制民主主義の理念に反した側面が露呈する。

委員は、選挙で国民の信任を得ているわけではない。政治家や官僚の裁量で選出されているのだ。

ちなみに「電波政策ビジョン懇話会」の他に、総務省には、情報通信審議会も設置されている。委員は次の通りである。読売新聞の知野恵子氏の名もある。

■情報通信審議会の委員

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2014年02月21日 (金曜日)

最高裁が(株)NTTデータに、裁判員候補者名簿管理システムの開発と保守名目で2億4300万円を支出 相場は700万円?

筆者が裁判員制度に関する支出について調べたところ、2009年1月、最高裁が裁判員候補者名簿管理システムの開発・保守費として、(株)NTTデータに対し、総計で約2億4300万円の大金を支払った疑惑があることが分かった。支出の詳細は次の通りである。

■裁判員候補者名簿管理システムの開発:190,995,000円

■裁判員候補者名簿管理システム開発のアプリケーション保守:51,975,000円?

「疑惑」と書いたのは、上記の数字を裏付ける資料が(株)NTTデータが最高裁に送った請求書であるからだ。請求書であるから、額面どおりに支出した絶対的な確証はないが、通常、公的機関に対する請求書は、事前合意の上で送付されるので、実際に最高裁が約2億4300万円を支出した可能性は極めて高い。

この約2億4300万円という数字をどう評価すべきだろうか。

比較対象として、森ゆうこ元参議院が作成した「検察審査会調査報告書」と題する資料を紹介しよう。作成日は、2011年6月30日。この資料に検察審査会のクジ引きソフトを開発・保守するための費用として、最高裁(注:検察審査会は最高裁が管轄している)が支払った次の額が表示されている。

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2014年02月20日 (木曜日)

公共事業は諸悪の根源 ジャーナリズムでなくなった朝日 その8 (後編)

◆吉竹幸則(フリージャーナリスト・元朝日新聞記者)

◇初耳、地方版紙面委員

◇箱島社長に「人事案件の不同意」を送付

◇朝日の取締役会が決定した差別人事

◇闘うジャーナリズムへの報復?窓際族へ

案の定、箱島社長からは何の返事もありませんでした。直接見た訳ではないので真偽のほどは分かりませんが、「箱島氏は『忙しい社長に、こんな長文を送ってくるなんて……』と、社長室の応接テーブルに私からの文書をたたきつけた」と、後日、周辺から聞きました。

それでも社長側近の一人が「この件は社長に代わって、私が話をしたい」と、私に電話してきました。しかし、その後、待てど暮らせど、なしのつぶてでした。

箱島社長の答がない以上、とるべき手段は、内部告発しかありません。でも、私にさえ、まともに答えられないのが、朝日の幹部です。この問題が週刊誌などに取り上げられ、正面から世間の批判を浴びたら、どうなるか。私は不安でした。

というのも、当時、小泉純一郎政権が全盛を迎えていたからでした。私は政治記者時代、まだ奇人変人扱いされていた頃の小泉氏に何回か直接会い、取材したことがあります。歯に衣を着せぬ官庁批判、行政改革の姿勢に強い共感を覚えました。

しかし、首相になり、人気は急上昇。靖国参拝で、憲法9条などの改憲論議が急速に盛り上がっていました。それまで私は、親しくなった小泉氏から、たとえ雑談でも「靖国」や熱心な「親米」は、聞いたことはありませんでした。

郵政民営化を進めるには、自民党の旧来の支持者の応援が不可欠です。小泉氏のことだから、異端児のイメージを拭い去り、保守層の支持を盤石にするために突然、熱心な靖国参拝論者に衣替えしたのではないか…、「どうせ小泉劇場の一環」と、タカをくくっていました。

でも、時として為政者の思惑をも超えて、時代は進んでしまうものです。官庁を握った者の独裁、官庁批判を旗印にした独裁…。「官庁を握った者の独裁」がここまで無駄な公共事業を拡大させた元凶です。でも、官庁、政党の腐敗を批判して権力を握った者の独裁が、いかに国民を不幸に陥れたかは、ナチス、日本の軍部など、過去の歴史を見れば明らかです。どちらの独裁も、世の中を危うくする前兆です。

そんなご時世に、私が朝日の内情を暴露。読者の信頼をこれ以上失っては、「護憲」対「改憲」という、この国の言論バランスを根本から崩しかねません。私は朝日を旧社会党のようにするのが怖かったのです。本来、誰が心配すべき問題か…。でも、保身と派閥抗争にうつつを抜かす社長・幹部が何も考えていない以上、自分で心配するしかありませんでした。

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2014年02月19日 (水曜日)

公共事業は諸悪の根源  ジャーナリズムでなくなった朝日 その8(前編)

◆吉竹幸則(フリージャーナリスト・元朝日新聞記者)

【サマリー】

◇品性が欠落したNHKの経営委員

◇反原発発言を制限した籾井会長

◇メディア企業の「異能分子」

◇メディア企業の労組とは何だ?

◇朝日と闘う覚悟

◇年俸制の下で差別待遇

◇記者職の剥奪、5年間昇給なし

◇箱島社長宛に調査依頼書を送付

◇朝日ジャーナリズムの限界

従軍慰安婦問題で、NHK籾井勝人会長の「戦争地域ではどこにでもあった」との記者会見発言が問題となっています。昨年、同様の趣旨の発言をしたのは維新・橋下徹共同代表です。橋本氏は反省したはずでしたが、「言っていることは正論。僕がずっと言い続けてきたことだ」と理解を示したことからも、これもやはり彼の本音なのでしょう。

しかし、ジャーナリズムを担うNHK会長や政治家の立場で、この発言・資質がなぜ不適確なのでしょうか?。私はそれをツイッターで何回か書いています。発言の根底に「戦争なら何をやってもいい」との考え方、「女性は戦争の道具」という度し難い女性蔑視思想があるからです。この考え方で報道や政治が行われたら、この国、世界がどうなってしまうのか、それを考えただけでも恐ろしいことです。

それだけではありません。朝日に押し入り、拳銃自殺した新右翼「大悲会」の野村秋介・元会長を追悼する文集に、メディアへの暴力行使を礼賛したとも取れる文章を発表した長谷川三千子氏もNHKの経営委員です。

長谷川氏はこの文集に「人間が自らの命をもつて神と対話することができるなどといふことを露ほども信じてゐない連中の目の前で、野村秋介は神にその死をささげたのである」と書いています。また、野村氏の自殺で「わが国の今上陛下はふたたび現御神(あきつみかみ)となられたのである」との記載もあります。「人間宣言」された天皇が誰より、この文章に困惑されているのではないかと思います。

また、都知事選で田母神俊雄候補の応援演説に立ち、他候補を「人間のくず」呼ばわりした作家の百田尚樹氏も経営委員です。彼は、「戦争では恐らく一部軍人で残虐行為がありました。でも日本人だけじゃない。アメリカ軍も、中国軍も、ソ連軍もありました。

こういうことを義務教育の子どもたち、少年少女に教える理由はどこにもない。何も知らない子どもたちに自虐史観を与える必要はどこにもない」との持論も展開しています。

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2014年02月17日 (月曜日)

長野県飯田市の基地局問題 NTTドコモが雪の中で工事を続行 母親たち「設置に合意していない」

本稿は、長野県飯田市の正永町でNTTドコモが携帯電話の基地局の設置工事を進めていることに対して、住民が反発している件の続報である。現地の住民を電話取材したところ、基地局の設置工事は、雪の中でその後も進行しているとの説明があった。

? ■参考記事:「長野県飯田市でNTTドコモの基地局問題が発生、住民側「設置に合意していない」

NTTドコモが住民の合意を得たという前提に立って基地局設置の工事を進めている。しかし、反対運動を進めているお母さんたちは、合意していないと話している。

同社は長野県で高速通信LTE基地を10倍に増やす計画を展開している。

このケースでは、行政機関や市議の動きが、他の地区(たとえば、超党派の議員が住民の立場に立って問題を解決した東京目黒区など)に比べて鈍いことである。「NTTドコモは法的な違反をしていないので、基地局の設置を止めることはできない」という論理が支配的で、住民サイドに立った支援が出来ていないのが実態だ。

しかし、法律を根拠としたこの種の論理には、決定的な間違いがある。基地局から発せられるマイクロ波の危険性は、海外ではあたりまえに論じられ、行政機関がさまざまな規制を課している。それに行政機関が、企業の利益よりも、地元住民の利益を優先しなければならないのは、当たり前のことである。

基地局設置が合法的であるから、何もできないというのであれば、国会で、自民党(山谷議員)や共産党(紙議員)などが、基地局問題を取り上げた意味がない。

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2014年02月14日 (金曜日)

産経新聞の「押し紙」、古紙回収業者の荷受伝票によると四条畷販売所から10日間で11トンを回収、「押し紙」小屋も設置

「押し紙」(新聞の残紙、あるいは偽装部数)の実態を示す決定的な資料を紹介しよう。やや古い資料になるが、次のPDF(冒頭の画像)は、2001年8月21日から29日の間に、産経新聞四条畷販売所から、古紙回収業者・(株)ウエダが回収した「押し紙」の量を示す荷受伝票である。

           ■ウエダの伝票??

「新聞上」とは、朝刊を意味する。「新聞下」は夕刊を意味する。以下、数字を抜き書きしてみよう。

【8月21日】

朝刊:1500kg

夕刊: 510kg

【8月22日】

朝刊:2200kg

夕刊:1090kg

【8月28日】

朝刊:1550kg

夕刊: 540kg

【8月29日】

朝刊:2380kg

夕刊:1590kg

【合計】

朝刊:7630kg

夕刊:3730kg

合計:11、360kg   (11・36トン)

約10日間で11トンもの「押し紙」が発生していたのである。実際、この店に搬入される新聞の4割から5割は、「押し紙」だった。

膨大な量の偽装部数を処理するために、店主は店舗の横に「押し紙」小屋を設置していた。作業場も、物置も、仮眠室も、そこら中が「押し紙」だらけになってしまい、小屋を設けたという。次から次へと押し寄せてくる新聞の中に埋もれてしまう危機に陥ったのである。

この店の元店主は、「押し紙」裁判(損害賠償)を起こしたが、裁判所は「押し紙」の買取を断った証拠がないとして、訴えを棄却した。

日本の司法当局は、この程度なのだ。新聞販売の現場に足を運んで実態調査をすれば、こうした異常な実態があることが分かり、司法の力で解決しなければならないことが判然とするはずだが、頭の中の理屈だけで判断して、「押し紙」問題を放置してきたのである。

新聞業界は、安倍内閣に新聞に対する軽減税率の適用を求めるに際して、こうした過去の大問題も検証すべきだろう。

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柔軟剤や煙草など、広義の「香害」をどう診断するかをめぐる議論が沸騰している。日本では、「香害」による体の不調...

―モラル崩壊の元凶、「押し紙」― 西日本新聞・押し紙訴訟の報...

福岡・佐賀押し紙訴訟弁護団 弁護士・江上武幸(文責) 去る7月2日、西日本新聞販売店を経営していたAさ...

西日本新聞「押し紙」裁判、証人尋問で残紙部数を把握した機密資料...

長崎県の元販売店主が2021年に起こした西日本新聞社を被告とする「押し紙」裁判の尋問が、7月2日の午後、福岡...

7月2日に尋問、西日本新聞の「押し紙」裁判、福岡地裁で、「4・...

西日本新聞社を被告とする「押し紙」裁判の尋問が、次のスケジュールで実施される。 場所;福岡地裁 903...

国境なき記者団の「報道の自由度ランキング」のでたらめ、スポンサ...

『週刊金曜日』(6月7日付け)が、「報道の自由度、世界ランキング70位でいいのか」と題する記事を掲載している...