新聞、止まらぬ部数減 読売41万部減、毎日29万部減――最新のABC発表で浮き彫りになった「新聞崩壊」の現実
2025年6月度のABC部数が明らかになった。これは日本ABC協会が公表する最新の新聞発行部数であり、新聞業界の動向を示すひとつの指標である。
この1年間で、中央紙各社はいずれも大幅な減部数となった。最新のABC部数と、前年同月比(▲)は以下の通りである。
読売新聞:5,442,550部(▲413,770部)
朝日新聞:3,234,313部(▲156,690部)
毎日新聞:1,213,572部(▲285,999部)
日経新聞:1,288,439部(▲86,975部)
産経新聞:798,252部(▲51,539部)
佐賀県西日本新聞店押し紙訴訟の裁判官交代について、モラル崩壊の元凶-押し紙-
福岡・佐賀押し紙弁護団 弁護士江上武幸(文責)2025年7月31日
長崎県販売店の地裁裁判官の交代については、2024年12月26日(木)投稿の「西日本新聞福岡地裁敗訴判決のお知らせ」で報告したとおりです。
今回は、佐賀県販売店の押し紙訴訟の担当裁判官の交代について報告いたします。
佐賀県販売店の押し紙訴訟は、令和7年5月20日に原告本人尋問と販売部長の証人尋問が実施され、即日結審し、来る9月9日が判決言渡期日と定められました。
前回の4月15日の期日において日景聡裁判長は「裁判官変更の予定はありません。」と告げました。裁判官の異動は4月1日付で行われますので、日景裁判長がそのようなことを当事者双方の代理人に告げたのは、今の合議体で本件事案の審理を終え判決を作成することを宣言したに等しい出来事でした。
新興政党が台頭する中で、急がれる押し紙問題の解決、モラル崩壊の元凶―押し紙―
福岡・佐賀押し紙弁護団 弁護士 江上武幸(文責)2025年7月28日
衆議院に続き、参議院でも自民・公明の与党両党が過半数を割りました。一方、国民民主党や参政党が大きく議席を伸ばし、これに維新、れいわ新選組、日本保守党などを加えた新興勢力が、今後の政治の行方を大きく左右する存在となりそうです。
今回の選挙では、30年に及ぶ経済の停滞と、それに伴う社会全体の閉塞感に対する、若者世代の強い反発と怒りが背景にあると考えられます。
若者たちは、国民民主党の玉木代表の不倫問題、参政党・神谷氏の偏った女性観、元維新・橋本氏のハニートラップ疑惑など、SNSを賑わせた政治家のスキャンダルには目もくれず、変革への強い衝動に突き動かされているように見えます。財務省解体デモに象徴されるように、政治変革を求めるエネルギーは今後さらに拡大していくでしょう。
参政党が発表した「新日本国憲法構想案」により、この党の思想的傾向が明らかになり、既存メディアも批判的に報じ始めました。
新聞やテレビが新興政党に対し、党首や所属議員の女性問題、金銭スキャンダル、運営上の問題点などを積極的に報道するようになれば、これらの政党は、既存政党とは異なる立場から、新聞の「押し紙問題」を政治問題化し、メディアに対する強力な攻勢を仕掛けてくる可能性があります。
熊本日日新聞や新潟日報など一部の例外を除き、多くの新聞社は、押し紙による収入を前提に経営を続けているのが現状です。押し紙とは、新聞社が販売店に対し、実際に販売されない部数を強制的に仕入れさせる行為であり、これは独占禁止法に違反する不公正な取引方法で、資源の浪費であり、広告主に対する詐欺でもあります。
若者たちは新聞を購読していませんが、Google検索やSNSを通じて、押し紙の存在についてはよく知っています。新聞社がこの問題の存在を認めようとしない姿勢は、大人社会の「二面性」として受け取られ、若者から「正義を語る資格があるのか」と批判される原因になり得ます。
公取委が「押し紙」に関する公文書を黒塗り、情報公開請求で新聞協会との談合疑惑が浮上、迷宮の中、新聞特殊指定を骨抜きにした理由
公正取引委員会は、6月27日付で、筆者に対して行政文書開示決定通知書を送付した。この文書は、筆者が公正取引委員会に申し立てた情報公開請求に対する通知である。これを根拠として筆者は、開示された文書を入手したが、公取委は、解読を困難にするために肝心な分部を黒く塗りつぶしていた。(全文は、文末からダウンロード可)
公正取引委員会に対して筆者が、「押し紙」に関連した文書の情報公開請求を申し立てたのは、今年の4月21日である。請求内容は次の通りだ。
『1998年(平成10年)1月に公正取引委員会が下した(株)北國新聞社に対する「押し紙」の排除勧告の後、1999年(平成11年)8月に公正取引委員会が新聞特殊指定を改訂して、従来の「注文部数」を「注文した部数」に変更(「新聞業における特定の不公正な取引方法」の箇所)するまでの期間に、公取委と新聞公正取引協議会の間で行われた話し合いの全記録。』
請求内容を説明する前に、情報公開請求に至る経緯を説明しておこう。
2025年07月18日 (金曜日)
【YouTube動画】動画で見る参院選・選挙公報の水増し現場、税金の騙し取りもお咎めなし、新聞人は「知らぬ、存ぜぬ」
ユーチューブ動画で紹介したのは、廃棄される前段の参院選・選挙公報である。撮影日は、7月13日の21時。撮影場所は、千葉県流山市のASA(朝日新聞販売店)の前である。撮影者は、大野富雄・元流山市議。税金で制作された選挙公報が大幅に水増しされ、新聞に折り込まれないまま廃棄される前段を記録した動画を撮影した。
参院選の選挙公報は、7月12日に新聞折込のかたちで配布された。その翌日にあたる13日に大野議員はかねてから観察拠点としていた「押し紙」や折込媒体の収集場所を確認した。選挙公報は、12日に新聞に折り込まれたわけだから、本来であれば、13日に大量の選挙公報が積み上げられているはずがない。ところが収集場所には、大量の選挙公報が残っていた。(動画:1分10秒~)。大野元市議は、選挙公報の水増しの決定的な証拠を掴んだのである。
2025年07月17日 (木曜日)
参院選の選挙公報、全国で水増しが起きている可能性、流山市のケースは氷山の一角、背景に新聞社による「押し紙」政策
7月14日付けのメディア黒書で既報したように、新聞に折り込む参院選の選挙公報が、新聞の配達部数を大幅に超えて、新聞販売店に搬入されていることが千葉県流山市で発覚した。過剰になった選挙公報が山積みされている現場を、筆者は確認して、新聞販売店の店長に事実関係を確認した。
実は、流山市では4,5年前から、「押し紙」とそれに連動た折込媒体の水増しが発覚して、地元の市議が市議会で繰り返しこの問題を追及してきた。
たとえば、2021年10月時点での流山市のABC部数(新聞の公称部数)は、36,815部だったが、同市はこの数字をはるかに上回る50,128部の広報紙(流山市発行)を広告代理店に発注していた。その結果、たとえ「押し紙」が1部も存在しないとしても、1万3000部ほど折込媒体が過剰になっていた。これについて市当局は、広告代理店から指示された部数を発注しているだけと回答した。こうした問題は放置された。状況は改善しなかった。
2025年07月14日 (月曜日)
【速報】参院選の公報を水増し、千葉県流山市で発覚、住民が通報、背景に「押し紙」問題
7月20日に投票の参議院議員選挙の選挙公報が、ASA(朝日新聞販売店)で水増しされていることが分かった。筆者は、同市に在住する男性から通報を受け、14日の午後、男性と一緒にASAに急行した。店舗の外側に残紙や包装物(折込チラシの可能性が高い)に交じって、参院選の選挙公報の束が山積みになっていた。
目視できたのは、2包装。その下にも、包装束が積まれており推測で4包装から、5包装の公報が古紙回収の対象になっていた可能性が高い。
西日本新聞押し紙訴訟福岡高裁判決(敗訴)のお知らせ -モラル崩壊の元凶 押し紙-
福岡・佐賀押し紙弁護団 弁護士江上武幸(文責)2025年(令和7年)7月8日(火)
去る7月3日(木)に、長崎県西日本新聞販売店の押し紙訴訟の福岡高裁判決が言い渡されました。地裁判決に続き販売店の敗訴判決でした。(なお、福岡地裁の佐賀県西日本新聞販売店の押し紙訴訟の判決言い渡し期日は、9月9日(火)午後1時10分に指定されています。)
この二つの裁判については折々に投稿させて頂いていますので、今回の高裁判決と併せて御覧ください。
【YouTube配信9】西日本新聞 4月と10月に「押し紙」を増やす変則的な手口
「4・10増減」(よんじゅう・そうげん)と呼ばれる変則的な「押し紙」の手口がある。4月と10月に「押し紙」を増やす販売政策である。なぜ、4月と10月なのか。
結論を先に言えば、4月と10月のABC部数が、折込広告の設定枚数(折込定数)を決めるための有力なデータになるからだ。4月の数値は、6月から11月の折込定数に反映し、10月の数値は、12月から翌年の5月までの折込定数に反映する。新聞社は、それを知っているから「4・10増減」に走るのである。
控訴審判決を前にして モラル崩壊の元凶 -押し紙-
福岡・佐賀押し紙弁護団 江 上 武 幸 (文責)2025(令和7)年7月16日
7月3日(木)午後1時25分の西日本新聞押し紙訴訟福岡高裁判決の言渡期日が迫ってきました。既報のとおり、福岡地裁判決は前年の4月1日に東京高裁・東京地裁・札幌地裁から転勤してきたいわゆる「東京組」と呼ばれる3人の裁判官達による判決でしたので、敗訴判決が出る可能性はある程度予期せざるを得ませんでした。
しかし、この裁判では、西日本新聞社が原告販売店に毎年4月と10月に前月より200部も多い部数を供給し続けていること、その目的は、原告の押し紙の仕入代金の赤字を補填するために折込広告部数算定の基礎となるABC部数を大きくするためであること、つまり、押し紙政策を続けるために西日本新聞社が主導して折込広告料の不正取得(詐欺行為)を行わせていたことが明らかでした。
また、押し紙を行っている新聞社は、西日本新聞社に限らず押し紙の責任を販売店に押し付けるために、販売店の実配数は知らないし知り得ないと主張します。しかしこの点についても、西日本新聞社は販売店の実配数を把握しており、毎月、実売部数を記載した部数表を作成し、外部に知れないように本社で厳重に管理している事実を認めました。
この裁判は販売店が勝訴する条件が充分に揃った裁判でしたので、敗訴判決を聞いた瞬間、東京組の裁判官3名を福岡に派遣した最高裁事務総局の、新聞社の押し紙敗訴判決は出させないという強い意志を感じました。
* 福岡地裁判決の問題点については、5月25日に投稿した「控訴準備書面(全文)」をご覧ください。
福岡高裁の裁判官達が九州モンロー主義が支配した時代にみられた「最高裁なにするものぞ」という気概に満ちた判決をくだしてくれるかどうか、皆様と共に期待しながら待ちたいと思います。
なお、近時、司法試験合格者の裁判官希望者が少なくなっており、若い裁判官の中途退官も増えていると聞いています。外部からはこれらの情報はなかなか知ることはできませんが、幸い、岡口基一元裁判官がフェイスブックで裁判の独立と裁判官の果たすべき役割について積極的に発信しておられますので、それらの様子を伺い知ることができています。
裁判所内部からも岡口元裁判官と同じ危機意識をもった人たちの動きが表面化してくれることを期待しています。
【YouTube】読売新聞社の「押し紙」を認定した真村訴訟、読売代理人として喜田村洋一弁護士も登場
007年12月、読売新聞の「押し紙」を認定した判決が最高裁で確定した。この裁判は、新聞販売店が地位保全を求めて起こしたもので、販売店の残紙が「押し紙」か否かが争われた。裁判所は、残紙を「押し紙」と認定。その後、雑誌による「押し紙」報道が本格化するが、読売は、裁判提起により反撃した。読売裁判には、自由人権協会代表理事の喜田村洋一弁護士が、延々とかかわってきた。喜田村弁護士は、読売に「押し紙」は、一部も存在しないと主張してきた。