1. 日本の政治

日本の政治に関連する記事

2019年04月26日 (金曜日)

議院大阪12区の補選、宮本たけし候補の敗因は、野党共闘とカウンター運動とTVドキュメンタリー

衆議院の大阪12区の補欠選挙で、宮本たけし氏が大敗した。宮本氏は、共産党を離れて、「野党共闘」の候補として立候補したのだが、接戦どころか他の候補にまったく対抗できなかった。

1 藤田文武 :日本維新の会 新 35,183 票
2北川晋平: 自由民主党 新 27,898 票
3たるとこ伸二: 無所属 元 23,460 票
4宮本たけし: 無所属 現 8,201 票

客観的にみて4人の候補の中では、宮本氏が最も議員にふさわしい。プロの政治家である。だれでもプロ野球の選手になれないように、本来、国会議員も政治のプロがなるべきで、その意味で宮本氏の力量は他の候補と比較にならないほどずば抜けている。国会質問を視聴すればそれは判然とする。

本来、たるとこ氏などに負けるはずがないのだが。

しかし、たるとこ氏にも及ばず最下位だった。【続きはウェブマガジン】

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2019年04月02日 (火曜日)

「令和」の「令」は法律による国家統制を、「和」は天皇を父とした偽りの平和を意味する

(「黒薮哲哉のウェブマガジン」より全文を転載)

4月1日、安倍内閣は「令和」を新元号として閣議決定した。この瞬間を待っていたかのように、テレビでスタンピード現象が始まった。「令和バームクーヘン」や「令和弁当」、さらにはさまざまな「令和」グッズなるものが、ニュースともCMとも判別できない番組に登場し、さながら朝鮮の「将軍様」の就任を祝う光景を連想させる祝賀ムードが演出されている。

わたしは、「令和」というその字面から、ファシズムの時代への回帰を直感した。不吉な印象。その不吉さの正体は、「平成」という時代を検証すれば輪郭を現してくる。

なお、安倍首相は、「令和」の意味を次のように説明しているが、この説明の中にも、首相が好んで口にしてきた「美しい国」といった言葉が使われている。心がけ次第で国は繁栄するという、ある種、前近代的な統治の思想である。

本日、元号を改める政令を閣議決定いたしました。新しい元号は「令和」(れいわ)であります。
 これは「万葉集」にある「初春の令月にして 気淑(よ)く風和(やわら)ぎ 梅は鏡前の粉(こ)を披(ひら)き 蘭(らん)は珮後(はいご)の香を薫(かおら)す」との文言から引用したものであります。そして、この「令和」には、人々が美しく心を寄せ合う中で文化が生まれ育つという意味が込められております。

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2019年04月01日 (月曜日)

元号と日本人のメンタリティー、国際規格と整合しない、近代化の障害に

4月1日に新元号が発表された。

「令和」である。

マスコミ各社は、天皇制や平成時代の回想に焦点を当てた報道を活発化させてきた。これから新天皇の即位まで、メディアのスタンピード現象がはじまるだろう。確実に皇室報道が過熱する。

天皇制度を肯定する考えの人々が、依然として多数を占めている情況の下で、報道もそれに迎合しているわけだが、ジャーナリズムは天皇制についても新しい視点を提供するべきだろう。ステレオタイプではこまる。

国際的に見て、元号を採用している国はほとんどない。韓国の金王朝ですら、元号などは採用していない。

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絶望・大阪府の2つの選挙、「維新の会VS自民党」の奇妙な構図、新自由主義の急進派と穏健派の争い

マスコミが大阪を舞台にした2つの選挙をクローズアップしている。大阪府知事選と大阪市長選である。周知のように、これらの選挙では実質的に「大阪維新の会VS自民党」の構図で、首長の座が争われる。立憲民主党や共産党は独自候補を立てて、自分たちの主張を展開する姿勢さえも放棄している。

「大阪維新の会VS自民党」の構図のどこにトリックがあるのか?

結論を先にいえば、これらの選挙は、急進的な新自由主義政党である維新の会と、オーソドックスな、しかし、かなり過激な新自由主義政党である自民党の争いである。つまりどちらの政党が勝っても、現在の府政も市政も根本的には変わらないということである。

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2019年03月07日 (木曜日)

日常生活の隅々まで浸透してきた行動規範の強化、ヘイトスピーチ対策法から禁煙ファシズム、司法の腐敗まで

鎌倉市議会で、「“歩き食い”規制へ条例案」が審議されている。これは、歩きながら物を食べることを、「迷惑行為」として、規制しようとする動きだ。

このところ国や地方自治体、さらにはメディアが行動の規範を示す傾向が顕著になっている。鎌倉のケースもそのひとつにほかならない。食べ歩きそのものは、マナー違反という見方が一般的だから、大半の人は規制に違和感を感じない。あたりまえの議会活動と解釈する。

今、巧みな洗脳、あるいは世論誘導が日常生活の中に広がっている。おそらく鎌倉市議に悪気はないが、こうした動きを水面下で高笑いしながら観察している人々もいる。おそろしく巧妙な戦術家で、国民を意のままにあやつり、自分たちの経済活動に奴隷として動員したがっている連中だ。

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2018年12月13日 (木曜日)

高輪署と目黒署から情報公開資料を入手、三宅雪子・元議員が7人を刑事告訴したとされる件、

三宅雪子(元衆議院議員)氏は、本当に7人の元支援者を刑事告訴したのか?

筆者は、この事件を解明する鍵となるひとつの資料を、情報公開制度を利用して警視庁から入手した。警視庁が開示したのは「告訴(発)事件受理・処理状況一覧」という文書の平成29年4月分と5月分のうち、高輪署と目黒署における刑事告訴・刑事告発の処理件数を示す文書である。

その詳細を紹介する前に、事件の概要を簡単に説明しておこう。

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2018年12月03日 (月曜日)

黒薮のツイッターをロック、三宅雪子元衆院議員の「告訴」をめぐる記事に対する妨害

このところ言論を抑圧する動きが浮上している。12月1日(土曜日)の午前2:27に、筆者のツイッターがロックされた。

ロックとは、何者かがツイッター社に、特定のツィートの削除を申告して、それが認められた結果、投稿ができなくなる状態を意味する。再開の条件として、当該のツィートを削除することが求められる。削除要求に対して異議を申し立てることもできるが、この場合、ツイッター社による判断が下されるまで、数日を要するので、その間は、ツイッターが使えない。

ロックの原因となったのは、次の投稿である。

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2018年11月20日 (火曜日)

右派が描く広義しばき隊のイメージは、「日本を代表する左派」、住民運動に大きなダメージ

「押し紙」問題に、小坪慎也氏ら右派系の人々と一緒に取り組むなかで興味深い事実を知った。右派系の人々の全員ではないにしろ、かなり多くの人々が差別に反対するカウンター運動に参加している層を左派と勘違いしているようだ。とりわけ広義しばき隊こそが、日本の左派の代表だと思っているらしい。

そのためにしばき隊を批判している筆者を右翼のシンパと勘違いしている人も少なくない。

なぜ、しばき隊を日本の左翼の代表と考えているひとが多いのか。

原因を探ってみるといくつか思い当たる。まず、第一に反差別といういかにも左派らしい方向性と、それを力で押し進めるスタイルが、古い時代のソ連や中国のイメージに重なるのだろう。

広義しばき隊を象徴する武器に、「釘バット」(写真)がある。実際、彼らのメンバーがM君暴行事件を起こして、裁判では2名が損害賠償を命じられた。

「釘バット」はアートだと主張している人もいるが、たとえアートであるにしろ「釘バット」が暴力の象徴であることには変わりない。

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2018年11月16日 (金曜日)

オリンピック選手村建設用地は1611億円、鑑定書で明らかに、払い下げ価格130億円との著しい乖離

東京都が東京オリンピックの選手村建設用地をディベロッパーに「叩き売り」したとして住民グループが起こした裁判で、新しい展開があった。住民側の機関紙『臨海かわら版』(11月12日付け)が、不動産鑑定士による用地の鑑定結果を発表したのだ。

それによると鑑定価格は、1611億円だった。これに対して東京都が適正な評価額としていたのは129億円。後者の価格でデベロッパーに払い下げていた。129億円を適正価格とした根拠である東京都の土地価格調査報告書の中身は公開されていない。住民側が情報公開請求を行ったが、黒塗りの状態で開示された。そこで住民側が自己資金で不動産鑑定を行ったのだ。

鑑定結果は、10月26日の第4回口頭弁論で裁判所に提出された。

次に示すのが、不動産鑑定士による鑑定結果と東京都の土地価格調査の比較表である。

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2018年11月08日 (木曜日)

三宅雪子氏による刑事告訴から1年半、捜査機関の動きが見えない、ついに「告訴は虚偽では」との声も

2017年5月10日は、元衆議院議員の三宅雪子氏が、みずからが起こしたある刑事告訴をツイッターで「告知」した日である。それから1年半。その後の経過は報告されていない。筆者が7月に三宅氏を取材したさいには、捜査中とのことだった。

ちなみに三宅氏による告知は、次のようなものだった。

「本日、以下のアカウントに対して名誉毀損で告訴状を提出致しました。@gachktmama0113,@torch2012,@nanachan77,@makimakiia,@him_beereほか二名 私の名前を出してのツイート、家族知人、仕事先への接触を固くお断りします」

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2018年10月13日 (土曜日)

【記者会見・動画】東京オリンピックの選手村建設用地の都有地「叩き売り」事件、土地評価額が鑑定で判明、推定よりも311億円高い1622億円

東京オリンピックの選手村建設用地の土地取引をめぐる「叩き売り」疑惑で、東京都を提訴している「晴海選手村土地投げ売りを正す会」は、2日、東京都庁で記者会見を開き、問題になっている用地の鑑定評価書を公表した。

それによると評価額は、1611億1800万円だった。これまで「正す会」が推定していた約1300億円よりも、約311億円高かった。

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2018年09月21日 (金曜日)

五輪選手村の建設予定地たたき売り裁判、東京都が原告住民側に求めていた時価1300億円の根拠が不動産鑑定で明らかに、苦境に立たされる小池知事

東京都が東京オリンピック選手村の建設予定地(中央区晴海5丁目、都有地)を時価の9割引きで、大手デベロッパーに売却した事件を裁く裁判に新しい動きがあった。既報したように、建設予定地は時価で約1300億円。一方、土地の売買価格は、約130億円だった。叩き売り同然である。

被告の東京都は、これまで原告住民らが主張してきた時価1300億円は推論であり根拠に乏しいと主張してきた。そこで原告は、不動産鑑定士に鑑定を依頼した。鑑定評価書は、すでに原告代表に届けられたという。

ミニコミ紙『臨海かわら版』(9月18日)によると、原告らは10月2日に都庁記者クラブで、午後2時から、記者会見を開き、鑑定結果を公表するという。『臨海かわら版』は、現時点では公式の鑑定額こそ公表していないが、「当初原告が周辺の公示価格や売買価格などから1300億円と想定していた額を大幅に上回ることになる」と述べている。

建設予定地の地価が鑑定士によって評価されたとなると、東京都は売買価格を10分の1(約130億円)に値引きした根拠を示さなくてはならない立場に追い込まれる。
大手デベロッパーとの間に、どのような話し合いがあったのかを明らかにしなければならない。小池知事は苦境に立たされそうだ。

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2018年09月14日 (金曜日)

三宅雪子元衆議院の支援者「告訴」騒動にみるTwitterの社会病理

(本稿は、『紙の爆弾』(9月号)に掲載したルポ、「三宅雪子元衆議院の支援者「告訴」騒動にみるTwitterの社会病理」をウエブサイト用に修正したものである。登場人物は、三宅氏を除いて仮名。敬称略とした。)

 

「心理作戦」という戦法がある。相手に精神的なゆさぶりをかけて、自分に有利な状況を作る戦術のことである。たとえば仮病で同情を惹く。暴力団員を装って交渉を優位に進める。その中でも最近、とりわけ増えているのが、裁判提起など法的措置をほのめかして、相手を恫喝する手口である。それは著名人についても例外ではない。

2017年5月10日、1件の「告知」がインターネット上のツイッターに投稿された。

「本日、以下のアカウントに対して名誉毀損で告訴状を提出致しました。@gachktmama0113,@torch2012,@nanachan77,@makimakiia,@him_beereほか二名 私の名前を出してのツイート、家族知人、仕事先への接触を固くお断りします」

これを投稿したのは、元衆院議員の三宅雪子である。刑事告訴が事実であるにしろ、単なる「心理作戦」であるにしろ、告知に自分のアカウントがあった5人は動揺した。

三宅のツイッターのフォロワーは、約5万8000人。ツィートの拡散が繰り返されると少なくとも15万人ぐらいの人の目に「告知」が知れるだろう。

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2018年09月04日 (火曜日)

野党共闘の何が問題なのか、保守2大政党制の舞台で演じる壮大な茶番劇

有田芳生参院議員が、8月29日に立憲民主党の沖縄県連会長に就任した。沖縄戦で大変な被害を受け、その後、米軍基地の問題で米国と対峙してきた沖縄の「戦士ら」を指導する立場になったようだ。

立憲民主党が脚光を浴びたのは、改めていうまでもなく、「希望の党」の騒動で民新党が分裂した時期である。が、政党支持率は、下降傾向にある。この3カ月を見ても、5.2%、4.7%、4.6%(時事)と下降を続けており、近い将来には3%、あるいは2%のレベルになるのではないか。

広義「しばき隊」との関係も刻々と輪郭を鮮明にしはじめている。

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2018年09月03日 (月曜日)

沖縄知事選の候補者選び、玉城デニー氏の選出の背景に誤った英雄史観、誰が米軍基地問題に対峙できるのか?

新潟県の知事選挙から沖縄県の知事選挙まで、国会での与野党の「対立」構造がそのまま地方に持ちこまれている。中央が主導して候補者選びを進める傾向きが顕著になっている。

柏崎刈羽原発にゆれる新潟県の場合は、最終的には県議の池田千賀子氏が候補になったが、最初に候補者の名前にあがったのは、中央政界の菊田真紀子衆院議員だった。米軍基地問題にゆれる沖縄県の場合もはやり中央政界の玉城デニー衆院議員が候補になった。

それぞれ新潟県、沖縄県の出身者である。

中央から地方へ選挙候補を送り込む戦術は、中選挙区制の時代にはほとんどなかったように記憶している。都道府県知事も、市町村の長も地元の人から選ぶのが恒例だった。

ところが小泉内閣の時代に「落下傘候補」が現れた。2005年の郵政民営化の是非を問う衆院選で、小泉首相はいわゆる「刺客」を投入する戦術に出たのである。

「落下傘候補」は、高い集票力があることを第一条件とした。政治家としての力量は最優先事項ではなかったようだ。つまり議席を獲得するための戦略として行われるようになったのだ。当然、タレントのような候補者も増えた。中には、漢字もろくに読めない人もいるらしい。筆者も銀行のペイオフが何かを知らない議員にあったことがある。集票力だけが、重視されるようになったのだ。

しかも、困ったことに「落下傘候補」の戦術に走りはじめたのは与党だけではない。野党もそれを真似しはじめた。たとえば2009年の衆院選で三宅雪子氏は、群馬4区から出馬して当選したが、2012年の選挙では、千葉4区から出馬して落選した。野田 佳彦首相(当時)の刺客だった。

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2018年08月29日 (水曜日)

障害者の雇用人数を3460人水増し、架空職員に人件費が支出されている可能性はないのか? 架空の人員と裏金の表裏関係を考える

障害者の雇用人数が水増しされていた事件が注目を集めている。

マスコミ報道によると、「厚生労働省は、中央省庁の8割にあたる行政機関で合わせて3460人が水増しされていたとする調査結果」をまとめた。■出典

この3460人という数字は、架空の職員ということになるが、実は数字の水増しよりももっと深刻な疑惑がある。それは3460人分の人件費が架空に計上され、銀行の裏口座などにプールされている可能性である。

筆者がこのような疑惑を抱くに至ったのは、それなりの根拠がある。これまで架空の数字と金銭の出費が表裏関係になっている事例を数多く取材してきたからだ。いわば経験則から、架空職員を設定した裏金づくりの手口を疑っているのだ。

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2018年08月21日 (火曜日)

東京オリンピック選手村施設、1200億円官製談合疑惑、「森友・加計」よりもはるかに深刻な中身

東京オリンピックの選手村の建設用地の取り引きをめぐる重大な疑惑が浮上している。東京都が都有地を地価の10分の1で、大手デベロッパーへ払い下げた事件だ。割引額は、約1200億円。当然、官製談合の疑惑がかかっているが、ほとんど報道されていない。

朝日、読売、毎日、日経がオリンピックのスポンサーになっている上に、この「商業オリンピック」に電通が深く関与していることが、その最大の理由である可能性が高い。

 次の掲載するルポルタージュは、『紙の爆弾』(8月号)で発表したものである。政治・メディア・大企業の劣化と腐敗を象徴する事件の中身を暴露した。

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新聞研究者の故・新井直は、『ジャーナリズム』(東洋経済新報社)の中で、ある貴重な提言をしている。

「新聞社や放送局の性格を見て行くためには、ある事実をどのように報道しているか、を見るとともに、どのようなニュースについて伝えていないか、を見ることが重要になってくる。ジャーナリズムを批評するときに欠くことができない視点は、『どのような記事を載せているか』ではなく、『どのような記事を載せていないか』なのである」

新井の提言を念頭に、新自由主義が大手を振って歩きはじめた21世紀初頭の報道検証をするとき、ある大がかりな官製談合事件疑惑が浮上してくる。

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2018年07月28日 (土曜日)

種子法の廃止で、日本に危険な遺伝子組み換え作物が溢れる

故新井直之氏は言う。

 新聞社や放送局の性格を見て行くためには、ある事実をどのように報道しているか、を見るとともに、どのようなニュースについて伝えていないか、を見ることが重要になってくる。ジャーナリズムを批評するときに欠くことができない視点は、「どのような記事を載せているか」ではなく、「どのような記事を載せていないか」なのである

森友学園や加計学園の事件、カジノ法案をめぐる攻防、それに赤坂自民亭などメディアが一応は伝える国会の動きの裏側で、皆無とはいえないまでも、ほとんど報じられない重大な問題がままある。その結果、国民が知らないうちに、とんでもない法律が可決されたりする。

次に紹介するのは、食の安全にかかわる種子法の廃止についての記事(2018年1月10日)である。

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2018年06月28日 (木曜日)

劣化する日本の国会、 権力維持のためのトリックとしての小選挙区制、小沢一郎氏に反省なし

国会の機能が麻痺している。公文書の隠蔽や破棄に対する責任追及が頓挫したり、今だに加計孝太郎氏や安倍昭恵氏を国会に招致できない状態だ。それにもかかわらず安倍内閣の支持率が「V字回復」の兆しを見せている。

日本の議会制民主主義をここまで危機に追い込んだ諸悪の根源は何か?

筆者はその最大の原因は、小選挙区制の導入とそれに連動して、小泉内閣の下で本格的に始まった新自由主義=構造改革の導入だと思う。その意味で小沢一郎氏の責任は重大だ。本人は、いまだに小選挙区制を肯定しているようだが、大変な間違いである。多くのメディアが、この人物を「改革の旗手」と勘違いしてサポートしてきた責任も重い。

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2018年06月26日 (火曜日)

東京都内にこんなに安い土地はない、東京オリ・パラの選手村建設用地、元東京都職員が三井や住友へ続々と天下り

臨海部開発問題を考える都民連絡会が発行している『臨海かわら版』(6月18日)が、東京オリンピック・パラリンピックの選手村建設地の販売価格と、それ以外の都内の地価(それぞれの区で最も安い地点)を比較した表を掲載している。

選手村建設用地は、1㎡が約10万円(坪に換算すると33万円)で、「2020 晴海Smart City グループ(ディベロッパーで構成)」へ販売された。通常、土地の取引価格を決める場合は、地価を標準的な販売価格として交渉する大原則があるのだが、選手村建設用地の販売価格は、地価の約10分の1で取引された。都内のどこを探しても、これほど安い土地はない。次に示すのが表である。

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2018年06月25日 (月曜日)

新自由主義が生んだ官製談合の温床、加計・森友・オリンピック選手村の土地大幅値引き事件の背景にあるもの

ここ数年、公有地の取り引きをめぐる疑惑が次々と浮上している。森友学園、加計学園、それに東京オリンピックの選手村建設が進んでいる中央区晴海5丁目の都有地である。このうち選手村の件は、ほどんど報道されていないが、最も深刻な官製談合疑惑がある。(詳細については、近々、紙媒体でリポートする)

ここで指摘した3件のケースのうち、加計学園のケースと、選手村のケースは、新自由主義とは何かを考える格好の題材である。新自由主義の政策が典型的に現れているのだ。

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2018年06月13日 (水曜日)

東京オリ・パラの選手村建築にからむ巨大な官製談合疑惑、1200億円の値引きが報じられない背景に大口広告主の存在

東京・晴海で建築が進んでいる東京オリンピック・パラリンピックの選手村の土地取引をめぐって、大がかりな官製談合の疑惑が浮上していることを、読者はご存じだろうか。

疑惑とは、選手村にあてられる13万3000平方メートルの更地(所有者は東京都)を129億6000万円で、開発業者に売却した問題である。その価格は、1平方メートルに換算すると9万6800円。

これがいかに安い価格であるかは、問題の都有地近辺の地価を比較するとはっきりする。選手村近辺の地価は次のようになっている。いずれも1平方メートルの価格である。

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2018年06月11日 (月曜日)

野党連合の限界を露呈、新潟知事選で池田氏が落選

10日に投票が行われた新潟知事選で、花角英世氏(自・公明支持)が、池田千賀子氏(立・国・共・自由・社推薦)との接戦を制して当選した。投票率は58.25%。投票数は次の通りである。

 

546,670  花角 英世 当選

509,568  池田千賀子 

45,628  安中  聡 

この選挙では、中央政界の構図がほとんどそのまま持ちこまれた。政権党と野党共闘のレースだった。

実際、各党の幹部や著名人が続々と新潟入りして、それぞれ自分が支持する候補者を応援した。小泉首相も、池田氏を支持して新潟に駆けつけた。それだけに敗北を喫した池田陣営の衝撃は大きかったようだ。朝日新聞は、次のように池田陣営の落胆ぶりを伝えている。

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2018年06月05日 (火曜日)

【動画】東京オリ・パラの選手村予定地の売買をめぐる重大疑惑、東京都が1200億円の値引き、払い下げ先は、三井・住友・三菱など大口ディベロッパー

東京オリンピック・パラリンピックの選手村を建設する予定地の売買価格をめぐって、住民訴訟が起こされていることを読者はご存じだろうか。提訴は昨年の8月だった。予定地は、東京都の所有である。

森友学園の事件では、8億円の値引きが問題になり、メディアが盛んに事件を報じているが、選手村予定地の方は、約1200億円の値引きという前代未聞の事件だが、メディアはほとんど報じない。オリンピックに連動した国策がらみの事件という事情があるうえに、値引きの恩恵を受けているのが巨大なディベロッパーばかりであるからだ。

ディベロッパーは次の通りである。

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2018年04月23日 (月曜日)

安倍内閣の支持率低下も、低迷を続ける野党各党の政党支持率、背景に根本的な方針の誤りか?

メディアの世論調査が安倍内閣不支持の傾向を顕著に示している。

毎日新聞が21日と22日に実施した世論調査によると、内閣支持率は30%。不支持率は49%だった。

また、朝日新聞が14日と15日に行った世論調査では、内閣支持率が31%で、不支持率は52%だった。

他のメディアによる世論調査も同じような傾向を示している。

もっとも、筆者は日本のメディア企業が実施する世論調査は、恣意的にデータが改ざんされている可能性が多分にあると考え、全面的に数字を信頼していないが。およそ公式のデータというからには、その裏付けを示す必要があるが、発表されるのは、数字だけなので、説得性に欠けるのだ。それに昨今の政治家や公務員、それにメディアの腐敗ぶりを目にしていると、彼らにとって数字の操作ぐらい当たり前の事なのかも知れないと思ってしまう。

が、それはともかくとして、データが大まかな傾向を反映しているという前提で、以下、ある興味深いポイントを指摘したい。結論を先に言えば、いくら内閣の支持率が落ちても、現在の野党の支持率がほとんど上下しない状態が、少なくとも今世紀に入ってから、延々と続いていることである。民主党が政権を取った時代は例外だが、民主党への期待が幻想であることが明確になった後、「分裂民主党」も低い支持率を延々と続けてきた。

たとえば、次に示すのは、共産党の支持率の変遷である。出典はNHKである。

 

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2018年04月18日 (水曜日)

福田事務次官のセクハラ問題で麻生財務相が内部告発の勧め、腐敗にメスを入れる恰好のタイミングも、野党議員が反発

財務省の福田淳一事務次官のセクハラ問題に関する麻生財務相の発言が物議をかもしている。次の引用はFNNの記事である。

財務省の福田淳一事務次官のセクハラ疑惑の調査について、麻生財務相は、相手の女性記者が申し出てこない限り、セクハラの認定は難しいとの認識を示すとともに、「女性の弁護士も入れて、女性が名乗り出やすい状況にしてある」と述べ、調査の進め方に問題はないとの考えを強調している。出典

麻生財務相は、週刊新潮が報じた被害者の記者(匿名)だけではなく、他の女性記者に対しても、内部告発を奨励している。セクハラの実態を調査する意向を示している。

これに対して野党は、麻生氏は内部告発が極めて困難であることを認識した上で、内部告発を奨励していると批判している。

麻生氏と野党議員との攻防は、多くの問題を含んでいる。手短にまとめてみた。

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2018年04月17日 (火曜日)

小泉親子のむなしい安倍批判と政治力学の原理、だれが日本の政治を舞台裏で牛耳っているのか?

 加計事件や森友事件、それに自衛隊の日報問題など、深刻な事件の内側が次々と発覚するのを受けて、自民党関係者からも安倍内閣に対する批判の声があがり始めている。たとえば、小泉純一郎氏はAERAで次のように発言している。

「本件は首相案件」。嘘が次々と暴かれ、森友、加計疑惑が底なし沼になってきた。それでも居丈高に開き直る安倍晋三首相に「引き際だ」とついに引導が渡された。「本当ならとっくに辞めてなきゃいけないはず。なのに、バレている嘘をぬけぬけと今も言ってるなぁとあきれているんだよ、国民は――」。安倍氏の「政治の師匠」でもある小泉純一郎元首相の言葉だ。その思いの丈を週刊朝日に独白した。出典

また、小泉進次郎氏も次のように発言している。日経新聞から引用しよう。

与党内で学校法人「加計学園」の獣医学部新設に関する柳瀬唯夫経済産業審議官の説明に対する批判の声が広がっている。自民党の小泉進次郎筆頭副幹事長は11日、都内で講演し「(柳瀬氏が)『記憶の限りでは』という注釈を付けないといけないのであれば『会っていない』と言い切ることはできるはずがない。理解できない」と厳しく批判した。出典

これらは歓迎すべき発言であると同時に、心配な部分もある。安倍首相が辞任して、次に登場することになる政治家を有権者がどう評価するのかという問題を考える時、有権者を「誤審」に導く危険性を孕んでいるからだ。

たとえば小泉進次郎氏が次期の首相候補になるとする。当然、マスコミは彼の斬新さをアピールするだろう。が、この人が首相になっても、結局は自民党政治を継承する可能性が極めて高い。その必然性はまず伝えない。

政策の方向性は、政治家個人の思想で決定されるわけではない。その時代を牛耳っている勢力が希望する路線を進むものなのである。それが政治の力学だ。従って現在の安倍政治も、究極のところでは財界の要望に応えているだけといえるだろう。逆説的に言えば、安倍氏が財界の要望に応えてくれる鈍感な人物であるから、首相に君臨できていのである。

このあたりの力学を理解していない人が多い。

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2018年04月04日 (水曜日)

三井、三菱、住友などに1300億円の都有地を129億6000万円で投げ売り、報じられない五輪・パラ選手村の開発をめぐる官製談合

森友事件と加計事件は、メディアのスポットライトを浴びているが、ほとんど報じられていないのが、東京都による「都有地投げ売り事件」である。都有地に東京オリンピック・パラリンピックの選手村を建設することを口実に、相場で1300億円の土地を、129億6000万円で投げ売りした事件である。坪あたり33万円。9割の値引きという計算になる。

不正の規模は、森友事件や加計事件の比ではない。

売却先は、次の企業である。天下り受け入れの実態も確認してほしい。

 

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2018年01月30日 (火曜日)

野中広務の消えぬ汚点-新ガイドライン関連法、国旗・国歌法、改正住民基本台帳法、そして盗聴法

野中広務氏が1月26日に亡くなった。享年92歳。同氏の際だったキャリアと言えば、改めていうまでもなく、1998年に成立した小渕恵三内閣の下で内閣官房長官として辣腕ぶりを発揮したことである。「影の総理」とまで言われた。

野中氏についての人物評は裾野が広い。野中氏が護憲派だったこともあって、最近は、共産党も野中氏を高く評価している。リベラル保守の人々の間では、おおむね評判がよく、その死を惜しむ声が多いのが実態だ。

しかし、筆者は、こうした評価には合意しない。小渕恵三内閣の下で、野中氏らは、後の軍事大国化に繋がる法律を次々と成立させたからだ。具体的には、新ガイドライン関連法、国旗・国歌法、改正住民基本台帳法、盗聴法などである。こらの法律が成立した1999年の第145回通常国会を、作家の辺見庸氏は、「1999年問題」と命名し、歴史の転換点と位置づけている。

僕の記憶では、首相が平気で有事法制について公言できるっていう雰囲気も、かつてなかった。今度の第145通常国会というのはすごい国会です。

ところで、99年問題の中心は「君が代・日の丸」だけではないのだと思います。第145通常国会の柱は、むしろガイドライン関連法です。これに精神的な価値づけをしていく。これに付随して必要な諸法案を強引に通していく。すべてが地続きではありますが。もちろん国旗・国歌法も改正住民基本台帳法も個別に論じることはできるし、それはそれで間違いではないと思いますが、個々の樹木というより、森全体が深く病んでいるとみたほうがいい。とりわけ、ガイドラインとその関連法は安保条約の条文にもない対米軍事協力の項目を明文化し、米国による戦争に日本が自衛隊だけではなく官民挙げて関与することを決定づけています。憲法違反どころの騒ぎじゃない、この国のありようを本質的に変えています。(『私たちはどのような時代に生きているのか』)

日本の軍事大国化は、1990代の初頭からPKOという形で始まり、小渕内閣の時代にひとつの節目をむかえた。本格的な軍事大国化へ舵を切ったのである。憲法を擁護する後年の野中氏の態度とは相容れない方向性を野中氏らは打ち出したのであるが、この矛盾は政治力学の観点から説明がつく。

つまり政策は、必ずしも政治家個人の思想によって決まるのではなく、それよりもむしろその時代の経済を支配する者の意思で決まる原理があるからだ。グローバリゼーションの中で、多国籍企業を防衛するための海外派兵の体制を構築するのが、日本の財界の意思だった。それに野中氏らは応えたのである。と、いうのも自民党は財界に支えられている政党であるからだ。政治家個人の意思ではどうにもならないのだ。

しかし、軍事大国へ舵を切った小渕内閣の責任はあまりにも重い。

 

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2018年01月10日 (水曜日)

種子法の廃止で、日本に危険な遺伝子組み換え作物が溢れる、恐ろしく無知な安倍内閣の政策

今年の3月末で種子法(主要農作物種子法)が廃止される。安倍内閣の下では、特定秘密保護法や共謀罪など言論の自由を抑制するための法の整備が際だった暴挙のような印象があるが、実は日本人の生命にかかわる「食」に関する法の改悪も進んでいる。そのひとつが種子法の廃止だ。あまりなじみがない法律だが、廃止により重大なことが起こりかねない。

この法律の廃止は、先の通常国会で決まった。共謀罪法案への関心が高まる中で、ほとんど報道されることもなく、廃止が決まってしまった。

種子法廃止の何が問題なのだろうか。結論を先に言えば、日本の農業が多国籍企業(米国のモンサント社など)に市場を開くことになり、その結果、日本中に危険な遺伝子組み換え食品が溢れかねない。

この法律の下で、日本の主要な農作物(具体的には、稲、大麦、はだか麦、小麦及び大豆)は、国の管理下で品種改良などを行い、種の保存と普及が推進されてきた。戦後の食糧難の時代を乗り切るために、このような方法が取られたのだ。

ところが1990年代から本格化したグロバリぜーションとそれに伴う新自由主義=構造改革の流れの中で、企業活動の国境が事実上、消滅した。とりわけ小泉内閣の時代から、多国籍企業が日本に進出しやすい法体系の整備が行われた。たとえば司法制度改革なども、そのひとつである。国際法務に強い弁護士の育成が行われたのである。

こうした流れの中で、種子法を廃止して、米国の種会社などに日本市場を開放することになったのである。

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