2022年08月10日 (水曜日)
米国が台湾に4500億円相当の兵器を販売、中国に対する内政干渉をあおる日米政府と新聞・テレビ、ウクライナと同じ構図に

たとえば白い衝立に赤色の光を当てて、遠くから眺めると赤い衝立にみえる。青色の光に変えると、衝立に青色の錯覚が起きる。黄色にすると、衝立も黄色になる。
しかし、衝立の客観的な色は白である。ジャーナリズムの役割は、プロパガンダを排除して核の輪郭を示すことである。日本の新聞・テレビはその役割を放棄している。と、いうよりもそれだけの職能がない。
◆台湾への武器販売が約4500億円
米国のナンシー・ペロシ下院議長が8月2日に、台湾を訪問した。台湾と中国の関係が関心を集める中で、同氏の訪台は国際的にも波紋を広げている。日本の新聞・テレビは中国が台湾周辺で軍事的圧力を強めていることを前提に、台湾を擁護する方向で世論を誘導してきた。台湾が「正義」で、中国が「悪」という単純な紋切り型の構図を提示している。それはちょうどウクライナが「正義」でロシアが「悪」という大合唱の視点とも整合している。
米国はこのところ台湾への武器輸出を加速している。たとえばトランプ政権の末期、2020年10月に米国議会は、総額総額41億7000万ドル(当時、約4400億円相当の武器の販売を承認した。(出典)
2022年08月08日 (月曜日)
ヤフーニュース、安倍晋三関連の記事に対するコメントを大量に削除、メディアによる世論誘導①

ヤフーニュースに掲載された記事に対する読者のコメントを、ポータルサイトの管理者が安易に削除する現象が現れている。これは世論誘導の典型的な方法のひとつである。大半の人々が自覚しないところで進行している手口である。
言論の自由がいよいよ危ないことを意味する。インターネットには自由な言論の空間があるというのは幻想である。
メディア黒書に内部告発があった。安倍首相の暗殺に関連して、ヤフーニュースが次々と掲載した記事にコメントをしたところ、1週間たらずのあいだに多数のコメントが削除されたという。
以下、コメント対象となった記事と削除されたコメントを掲載しておこう。読者に、削除は妥当かどうかを判断ただきたい。
2022年06月13日 (月曜日)
米国によるNATO拡大の実態、ソ連崩壊後に14か国が新たに加盟、西側報道に欠落したウクライナ戦争の客観的な事実

ウクライナ戦争の客観的な構図を検証してみた。この紛争を検証する際の最も根本的な部分である。大前提である。
1991年にソ連が崩壊した後、NATO(北大西洋条約機構) の拡大は、急激に進んできた。ソ連が崩壊した際に、ソ連はワルシャワ条約機構を解体し、米国はNATOを拡大しないことを約束した。しかし、米国はこの取り決めを守らなかった。
ソ連の崩壊時点におけるNATO加盟国は、次の16カ国だった。
2022年04月26日 (火曜日)
ヒットラー、ムッソリーニ、今上天皇の同盟関係は歴史上の客観的事実、根拠がないのは塩沢内閣副官房長官の発言

マスコミ報道によると、塩沢内閣副官房長官は、「昭和天皇とヒトラーらの顔写真を並べた、ウクライナ政府のツイッター動画に対し」て、「極めて遺憾だ」として、「削除を要請した」という。(FNNプライムオンライン)
しかし、Hitler Mussolini, Hirohitoをインターネットで検察してみると、3者の同盟関係を裏付ける文書や動画が次々に出てくる。決定的な証拠が豊富にある。3者が親密な同盟関係にあったことは、歴史の客観的な事実である。
アジア諸国はいうまでもなく、世界の認識となっている。それに対して、塩崎氏は抗議したわけだから、ロシアがウクライナ侵攻を正当化しているのと同じレベルである。
2022年01月18日 (火曜日)
米国が台湾で狙っていること 台湾問題で日本のメディアは何を報じていないのか? 全米民主主義基金(NED)と際英文総統の親密な関係

赤い絨毯(じゅうたん)を敷き詰めた演壇に立つ2人の人物。性別も人種も異なるが、両人とも黒いスーツに身を包み、張り付いたような笑みを浮かべて正面を見据えている。男の肩からは紫に金を調和させた仰々しいタスキがかかっている。メディアを使って世論を誘導し、紛争の火種をまき散らしてきた男、カール・ジャーシュマンである。
マスコミが盛んに「台湾有事」を報じている。台湾を巡って米中で武力衝突が起きて、それに日本が巻き込まれるというシナリオを繰り返している。それに呼応するかのように、日本では「反中」感情が急激に高まり、防衛費の増額が見込まれている。沖縄県の基地化にも拍車がかかっている。
しかし、日本のメディアが報じない肝心な動きがある。それは全米民主主義基金(NED)の台湾への接近である。この組織は、「反共キャンペーン」を地球規模で展開している米国政府系の基金である。
設立は1983年。中央アメリカの民族自決運動に対する介入を強めていた米国のレーガン大統領が設立した基金で、世界のあちらこちらで「民主化運動」を口実にした草の根ファシズムを育成してきた。ターゲットとした国を混乱させて政権交代を試みる。その手法は、トランプ政権の時代には、香港でも適用された。
全米民主主義基金は表向きは民間の非営利団体であるが、活動資金は米国の国家予算から支出されている。実態としては、米国政府そのものである。それゆえに昨年の12月にバイデン大統領が開催した民主主義サミット(The Summit for Democracy)でも、一定の役割を担ったのである。
◆ノーベル平和賞受賞のジャーナリストも参加
民主主義サミットが開催される前日、2021年12月8日、全米民主主義基金は、米国政府と敵対している国や地域で「民主化運動」なるものを展開している代表的な活動家やジャーナリストなどを集めて懇談会を開催した。参加者の中には、2021年にノーベル平和賞を受けたフィリピンのジャーナリスト、マリア・レッサも含まれていた。また、香港の「反中」活動家やニカラグアの反政府派のジャーナリストらも招待された。世論誘導の推進が全米民主主義基金の重要な方向性であるから、メディア関係者が人選に含まれていた可能性が高い。【出典】
この謀略組織が台湾の内部に入り込んで、香港のような混乱状態を生みだせば、米中の対立に拍車がかかる。中国が米国企業の必要不可欠な市場になっていることなどから、交戦になる可能性は少ないが、米中関係がさらに悪化する。
2021年12月28日 (火曜日)
全米民主主義基金(NED)による「民主化運動」への資金提供、反共プロパガンダの温床に、香港、ニカラグア、ベネズエラ……

「スタンピード現象」と呼ばれる現象がある。これはサバンナなどで群れをなして生活しているシマウマやキリンなどの群れが、先頭に誘導されて、一斉に同じ方向へ走り出す現象のことである。先頭が東へ駆け出すと、群れ全体が東へ突進する。先頭が西へ方向転換すると、後に続く群れも西へ方向転換する。
わたしが記憶する限り、スタンピード現象という言葉は、共同通信社の故・斎藤茂男氏が、日本のマスコミの実態を形容する際によく使用されていた。もう20年以上前のことである。
ここ数年、中国、ニカラグア、ベネズエラなどを名指しにした「西側メディア」による反共キャンペーンが露骨になっている。米中対立の中で、日本のメディアは、一斉に中国をターゲットとした攻撃を強めている。中国に対する度を超えたネガティブキャンペーンを展開している。
その結果、中国との武力衝突を心配する世論も生まれている。永田町では右派から左派まで、北京五輪・パラの外交的ボイコットも辞さない態度を表明している。その温床となっているのが、日本のマスコミによる未熟な国際報道である。それを鵜呑みにした結果にほかならない。
◆メディアは何を報じていないのか?
新聞研究者の故・新井直之氏は、『ジャーナリズム』(東洋経済新報社)の中で、ある貴重な提言をしている。
「新聞社や放送局の性格を見て行くためには、ある事実をどのように報道しているか、を見るとともに、どのようなニュースについて伝えていないか、を見ることが重要になってくる。ジャーナリズムを批評するときに欠くことができない視点は、『どのような記事を載せているか』ではなく、『どのような記事を載せていないか』なのである」
新井氏の提言に学んで、同時代のメディアを解析するとき、日本のメディアは、何を報じていないのかを検証する必要がある。
結論を先に言えば、それは米国の世界戦略の変化とそれが意図している危険な性格である。たとえば米国政府の関連組織が、「民主化運動」を組織している外国の組織に対して、潤沢な活動資金を提供している事実である。それは「反共」プロパガンダの資金と言っても過言ではない。日本のメディアは、特にこの点を隠している。あるいは事実そのものを把握していない。
「民主化運動」のスポンサーになっている組織のうち、インターネットで事実関係の裏付けが取れる組織のひとつに全米民主主義基金(NED、National Endowment for democracy)がある。この団体の実態については、後述するとして、まず最初に同基金がどの程度の資金を外国の「民主化運動」に提供しているかを、香港、ニカラグア、ベネズエラを例に紹介しておこう。次の表である。 【続きはデジタル鹿砦社通信】
2021年09月10日 (金曜日)
新聞・テレビの世論調査、第3者によるデータ検証をスルー、歯止めがかからない自民党のPR

現在進行してる壮大な世論誘導のひとつに、自民党総裁選の報道がある。テレビ・新聞はいうまでもなく、雑誌やインターネット・メディアも盛んに自民党総裁を報じている。たとえば候補者の「お人柄」や人脈を紹介する。その先鋒を務めているのは、田崎史郎、鈴木哲夫、東国原英夫といった人々である。
しかし、大半の視聴者・読者は総裁選報道がメディアによる世論誘導であることに気付いていない。おそらく報道現場にいる人々も、自分たちがやっている「ジャーナリズム」活動が、自民党の支持率回復に、重要な役割を果たしていることを認識していない。悪気なく、無邪気にやっているのだ。世論誘導の構図とはそういうものなのだ。無知が、その根底にある。
2021年07月20日 (火曜日)
ラテンアメリカで展開される「反共プロパガンダ」、米国資金とSNSが主役に、ニカラグア革命42周年

ニカラグアは、7月19日に42回目の革命記念日を迎える。
1979年7月17日、明け方の空へマイアミに向かう一機の自家用ジェット機が姿を消した。ソモサ独裁政権が終わった瞬間だった。その2日後、7月19日にFSLN(サンディニスタ民族解放戦線)が首都を制圧した。
それから42年、ラテンアメリカは大きく変化した。軍事政権の時代が終わり、議会制民主主義が定着した。左派勢力が台頭し、それを押し戻そうとする勢力がメディアを武器に攻勢を強めている。
7月11日には、キューバで反政府デモが行われた。キューバ政府は、その背景に米国によるメディアを取り込んだ戦略があると分析している。
実際、反政府デモに対抗するキューバ政府支援のデモを米国のメディアが撮影して、「反政府デモ」と報じた。ニューヨークタイムス紙やガーディアン紙も、このフェイクニュースを掲載した。ツイッターによる世論誘導も行われた。「反政府デモ」のPRが拡散される一方で、親キューバのアカウントが凍結される現象も起きた。世論誘導にもSNSが入り込んできたのである。
もっとも露骨なフェイクニュースの例としては、ハイチの大規模な反政府デモを、キューバの「反政府デモ」として、インターネットに動画が配信されたことである。
2021年07月15日 (木曜日)
欧米のフリージャーナリストらが、ニューヨーク・タイムス(NYT)などのフェイクニュースを指摘、「キューバ政府支援デモ」を「反政府デモ」と報道、写真の誤使用

5月12日、キューバで反政府デモが行われた。このデモの報道をめぐって欧米のフリージャーナリストらが、フェイクニュースが拡散されていることを、SNSを使って発進している。彼らが批判しているメディアは、フィナンシャル・タイムス(the Financial Times),フォックス・ニュース( Fox News),ニューヨークタイムス( The New York Times )、ガーディアン(The Guardian)の4紙である。
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キューバは、60年に及ぶ米国による経済封鎖の影響と、コロナウィルスの感染拡大の影響で経済が疲弊している。住民の不満が高まっているとされている。
反政府デモに対して、キューバ政府を支援するデモも行われた。両者が衝突して、死者が1名発生した。
キューバのミゲル・ディアス・カネル大統領は、キューバが置かれている状況に不満を持っている層がデモに参加したことを認めたうえで、背景に米国による資金援助と扇動があるとの見解を表明した。
反政府デモがあったこと自体は、東京新聞など日本の一部メディアも報じている。
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2021年05月21日 (金曜日)
新聞通信調査会の世論調査、新聞が最も信頼できるメディアに

日本新聞販売協会(日販協)が発行する『日販協月報』(2021年3月)が「新聞の信頼度はトップ」と題する記事を掲載している。これは新聞通信調査会の調査で判明したものである。『日販協月報』は、次のように調査結果を伝えている。
新聞通信調査会は1月23日、「第13回メディアに関する全国世論調査」の結果を発表した。各メディアの情報を「全面的に信頼している」場合は100点、「全く信頼していない」場合は0点、「普通」の場合は50点として点数をつけてもらったところ、「新聞」は69.3点と前回調査より0.3上昇し、昨年に続きトップを維持した。
2021年02月09日 (火曜日)
森喜朗の失言問題、炎上現象の背景に潜んでいる日本社会の危険な側面、世論誘導は自覚できない

さながら「一億総決起」、スタンピード現象である。
森喜朗(東京五輪・パラリンピック大会組織委員会会長)の女性差別をめぐる失言の後、メディアで炎上現象が起きている。新聞・テレビが執拗に報じるだけでなく、ワイドショーもツィッターも森バッシングで溢れている。
坂本龍一(ミュージシャン)や為末大(元陸上競技選手)といった著名人も、森批判の姿勢を表明している。おそらくこれは、メディアからコメントを求められた末の態度表明ではないか。
2020年12月05日 (土曜日)
前最高裁事務総局長の今崎幸彦氏と元読売新聞論説委員の桝井成夫氏、新聞人と裁判官の関係はどうあるべきなのか?

10年ほど前から注視しているテーマのひとつに、新聞社と裁判所の関係がある。両者は、特別な関係にあるのか、それとも独立した関係にあるのかというテーマである。かりに事件や人を裁くただならぬ特権を付与された裁判官が、特定の組織や個人と特別な関係を持った場合、人脈が幅を利かせている日本社会では、裁判の公平性が保てなくなる可能性が高い。それゆえにわたしは、これを重大なテーマと考えたのである。
2009年2月、読売新聞がわたしを名誉毀損で提訴した。メディア黒書の記事で社会的な評価を低下させられたという理由で2200万円の「金銭」を請求してきたのだ。読売の代理人として登場したのは、喜田村洋一・自由人権協会理事だった。
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この裁判で筆者と弁護団は、第1審のさいたま地裁、第2審の東京高裁で勝訴した。いずれの裁判所も読売の請求を棄却したのである。しかし、読売は最高裁に上告(厳密には、判例を根拠とした上告受理申立て)した。【続きはウエブマガジン】
