2019年03月11日 (月曜日)

雑誌なりテレビなりが過去に取り上げたテーマを歴史の時間軸にさかのぼって検証する作業は、ジャーナリズムを正当に評価する上で欠くことができない。それによりメディア企業の性質が輪郭を現わしてくる。

「訴訟ビジネス」とは、人権救済という弁護士本来の役割よりも、弁護活動によって得られる報酬を優先して、クライアントを選ぶ弁護活動を意味する。金さえ支払えば誰の弁護でも引き受ける弁護活動である。逆に貧乏人は対象外。1時間に5万円という相談料を弁護士から提示されたただけで、自分とは縁のないエリート達の世界であることを知る。

メディア黒書でも、度々、訴訟ビジネスを取り上げてきた。

ところがこの問題は、筆者が着目するよりも、かなり古くから存在し、しかも、あるメディアが徹底取材していたことが分かった。

2003年2月に発行された『スキャンダル大戦争③』(鹿砦社)が、「弁護士が『三百代言』といわれる理由」と題する特集を組んでいる。ここで批判されているのは、中坊公平、喜田村洋一、弘中惇一郎、矢田次男らの弁護士である。同誌が問題にしているのは、いわゆる弁護士の「2枚舌」である。

たとえば報道被害者の弁護をしながら、同時に報道加害者であるメディア企業の代理人として活動する。『スキャンダル大戦争③』が指摘したケースをいくつか引用してみよう。

〔喜田村洋一弁護士〕
文藝春秋、NHK、読売新聞社の顧問、『噂の眞相』の弁護をしながら三浦和義側の代理人をした。

〔弘中惇一郎〕
『噂の眞相』の「和久・西川刑事裁判」の弁護をしながら、三浦和義、野村抄知代、叶姉妹の対メディア裁判を務めた。

〔林陽子弁護士〕
文藝春秋の顧問弁護士だが、三浦和義対メディア裁判の一部の代理人を務めた。

〔飯田正剛〕
テレビ朝日の顧問弁護士をしながら、作家・柳美里の小説『石に泳ぐ魚』
でモデルとして描かれ、プライバシーを侵害されたとして訴えられていた原告女性の代理人をしていた。

◇「無罪請負人」

筆者に言わせれば、対立する双方の弁護を展開する弁護士は、人間性や人格そのものに問題がある。信用できない。嘘つきそのものだ。金銭目的で活動しているとしか思えない。

ところがこのような活動スタイルに徹している弁護士の人間性を異常とは感じない世論が形成されている。

たとえば、弘中弁護士がカルロス・ゴーンの代理人に就任すると、多くのメディアが「無罪請負人」の活躍に期待する視点から報道を展開した。過去にサラ金の武富士や先物投資会社・エーシーイー・インターナショナルの代理人を務めていた事実を伝えるメディアは皆無だ。ゴーンを勝訴させるためには、平気で嘘をつくのではないかというのが、筆者の見方だ。

ここ数年、訴訟ビジネスが急速に広がっている。その萌芽期は、実は『スキャンダル大戦争③』が発売された16年前の時代だった。小泉純一郎を長とする司法制度改革の時代である。長い歳月を挟んで、改めて過去のジャーナリズムを検証するとき、『スキャンダル大戦争』は単なる「読み捨て」雑誌ではなかったことが分かる。

しかし、過去にミニコミ誌が発掘したテーマを、その後、大メディアが引き継ぐことはなかった。このあたりに日本のジャーナリズムの深刻な問題がある。

2019年03月07日 (木曜日)

鎌倉市議会で、「“歩き食い”規制へ条例案」が審議されている。これは、歩きながら物を食べることを、「迷惑行為」として、規制しようとする動きだ。

このところ国や地方自治体、さらにはメディアが行動の規範を示す傾向が顕著になっている。鎌倉のケースもそのひとつにほかならない。食べ歩きそのものは、マナー違反という見方が一般的だから、大半の人は規制に違和感を感じない。あたりまえの議会活動と解釈する。

今、巧みな洗脳、あるいは世論誘導が日常生活の中に広がっている。おそらく鎌倉市議に悪気はないが、こうした動きを水面下で高笑いしながら観察している人々もいる。おそろしく巧妙な戦術家で、国民を意のままにあやつり、自分たちの経済活動に奴隷として動員したがっている連中だ。

 

◇ヘイトスピーチ対策法

東京都議会では、現在、受動喫煙防止条例の制定が検討されている。受動喫煙は迷惑行為だから、これも批判の余地がない。が、こうした時代の空気の中で、受動喫煙を口実とした裁判も複数提起される事態が起きている。その中には、メディア黒書で取りあげている横浜の恫喝裁判もある。禁煙ファシズムと呼ばれる現象だ。

ヘイトスピーチ対策法は、2016年6月から施行されている。ヘイトスピーチは蛮行であるから、法律による規制は世論の支持を受けている。しかし、わざわざ新法を制定するまでもなく、名誉毀損罪で十分に取り締まることができる。

ヘイトスピーチ対策法の制定に至る過程では、カウンター運動を展開している一部のグループの「活動」があった。彼らが暴力事件を起こしたにもかかわらず、警察や司法が十分な取り締まりを実施しなかったのは、彼らの行動を逆手に取れば、法律の制定がより容易になるからだ。

メディアも同じ文脈の中にある。数年前からメディアがやたらと政治家の言動の揚げ足を取るようになった。最近では桜田オリンピック担当大臣の例がある。かつてはニュース価値がほとんどなかった失言が、ワイドショーなどで延々と流される。

さらにメディアがパワハラやセクハラをやたらと話題にする。話題にして暗黙のうちに国民に行動規範を示してみせる。

 

◇息苦しい社会

司法界でも尋常ではないことが起こっている。カルロス・ゴーン氏の例に見られるように、今や検察や警察が長期に渡って容疑者を拘束することはあたりまえの感覚になってきた。国際的にみると異常なことがまかりとおりはじめているのだ。

裁判そのものもおかしくなっている。「報告事件」が疑われるものが増えた。「報告事件」とは、最高裁事務総局が水面下で判決を下す事件のことだ。その前段として、裁判所の書記官が、「報告事件」に指定された事件の進捗を最高裁事務総局へ報告する。それゆえに「報告事件」と呼ばれる。

個々の現象をばらばらに切り離して考察しても、何も見えない。部品を繋いでみると、恐ろしい規制社会が刻々と輪郭を現し始めていることが分かる。

洗脳されている認識がない。それが洗脳の特徴なのだ。

 

2019年03月05日 (火曜日)

日産自動車のカルロス・ゴーン会長とグレッグ・ケリー代表取締役が逮捕されてのち、2人の著名な弁護士が登場した。弘中惇一郎弁護士と喜田村洋一弁護士である。

二人には、薬害エイズ事件の安部英被告の代理人を務めて無罪を勝ち取った経歴がある。ロス疑惑事件では、三浦和義被告を無罪にした。

弘中弁護士について言えば、サラ金の武富士の代理人を務めて、フリーランスライターや出版社を攻撃し続けた経歴がある。一方、喜田村弁護士は、読売新聞の代理人を務め、「『押し紙』は1部も存在しない」と主張してきた。もともと提訴の資格を欠くにもかかわらず、書類(催告書)の名義を偽って、裁判を起こした事実もある。

両人とも人権擁護団体、自由人権協会の重鎮である。喜田村氏は、現在の代表理事で、弘中氏も過去に代表理事を務めたことがある。【続きはウェブマガジン】

2019年03月04日 (月曜日)

メディア黒書に対して「押し紙」の内部告発が増えている。その大半は匿名で、裏付け資料が添付されていないので、事実確認ができずに放置するが、実名による内部告発で、連絡先が記されているものについては、弁護士を紹介して対処をお願いしている。今年中に、何件かの「押し紙」裁判が起こされるのではないかと思う。

筆者が「押し紙」の取材をはじめた1997年ごろ、日本新聞協会は「押し紙」の存在を全面的に否定していた。そのために「押し紙」という言葉も禁句になっていた。筆者が日本新聞協会の職員に、

「『押し紙』についてお尋ねしたいことがあります」

と、質問したところ、

「残紙のことですか?」

と、切り返えされたことがある。残紙とは文字通り販売店に残っている新聞の事である。新聞協会は、その新聞は新聞社が「押し売り」したものではなく、販売店が自主的に注文した新聞だと言いたかったのである。

その時代からすでに20年が経過しているが、最近は新聞協会もさすがに「押し紙」の存在を否定できなくなっている。数ヶ月前に筆者が協会に、これまでの主張に変わりはないかを確認したところ、「だれがそんなこと(「押し紙は1部もない」)を言いましたか?」と開き直ってきた。「押し紙」の存在を否定できなくなっているのである。協会の誰か言ったかという問題ではなく、それが協会としての公式見解だったのである。

現在、インターネット上に「押し紙」回収の動画や「押し紙」の写真が登場して、「押し紙」を否定することが、「大嘘つき」の烙印を押されかねない情況になっている。昨年の秋には、新聞販売店のパソコンに保管されている新聞部数に関するデータが、パソコン管理会社の社員によって、改ざんされていることも判明した。しかも、同じ手口の改ざんが系統の異なる新聞社の販売店で行われていたとする証言も出ている。

 

【参考記事】新聞「ABC部数」はこうして改ざんされる――実行者が手口を証言、本社販売局の指示でデュプロ(株)が偽の領収書を発行、入金一覧表なども偽造し数字を整合させる

 

「押し紙」の存在を否定できなくなっているのだ。が、それにもかかわらず依然として、新聞は「押し紙」をやめない。規模は相対的に縮小しているとはいえ同じことを延々と続けている。

 

◆理想と現実のギャップ

次に示すのは、京都新聞社の社是である。

 われらは正義を守る
 われらは自由を守る
 られらは真実を守る

京都新聞は過去にたびたび「押し紙」問題を起こしており、筆者が把握しているだけでも、少なくとも2度法廷に立たされている。

次に紹介するのは、読売新聞の「読売信条 」である。

読売新聞は

責任ある自由を追求する。

個人の尊厳と基本的人権に基づく

人間主義をめざす。

国際主義に立ち、日本と世界の平和、

繁栄に貢献する。

真実を追求する公正な報道、

勇気と責任ある言論により、

読者の信頼にこたえる。

この新聞社も一貫して、「押し紙」は1部も存在しないと主張してきた。読売の代理人を務めている自由人権代表理事の喜田村洋一弁護士も同じ見解だ。しかし、2007年に判決が確定した真村訴訟の中で、裁判所は読売による「押し紙」政策の存在を認定している。しかも、訴訟の中で「押し紙」を帳簿上で処理する目的で、コンピュータ上に架空の配達地区と架空の読者を設定していたことも明らかになっている。もちろんこれらの事実も、裁判所が事実認定している。

真村訴訟・福岡高裁判決

「押し紙」の存在は明白で、一部の新聞人は、それを認めているが、依然として大半の新聞社は「押し紙」政策を続けている。中止する意思はないようだ。

筆者には、彼らのメンタリティーが理解できない。どう考えても「腐った金」とジャーナリズムの精神とは両立しないはずだが。

「腐った金」とジャーナリズムの精神とは両立するのか、依然として「押し紙」政策を続けている新聞社

横浜の副流煙裁判とは、マンションの2階に住む一家3人(夫妻と娘)が、同じマンションの1階に住む家族の煙草の副流煙で、化学物質過敏症になったとして、4500万円の金銭支払いを請求している事件である。

ところが提訴から1年になろうとしていた昨年の10月、原告家族の夫が元喫煙者であったことが発覚した。しかも、禁煙に踏み切った時期は、家族3名が化学物質過敏症を発症する約1年前だった。当然、原告家族の夫の長年にわたる喫煙が本人の健康を害したことはいうまでもなく、妻と娘にも、副流煙による健康被害を引き起こした可能性が高い。

◆◆
裁判所は、原告家族の夫の能動喫煙と、それに連動する妻と娘の受動喫煙被害をどう評価するのだろうか。

これについて裁判所は原告に対して、原告3人を受動喫煙症と診断した作田学医師の新見解を提出するように求めている。提出期限は3月末である。

わたしは裁判所に提出されている3人の作田診断書を閲覧したが、原告の希望する通りの内容に診断書を仕上げた印象を払拭できなかった。娘の診断書に至っては、娘を直接診断していないことも判明した。これ自体が、医師法に違反している。【続きはウェブマガジン】

2019年02月25日 (月曜日)

反ヘイトの旗をかかげた活動家による侮辱的言論に対し、大阪地裁が名誉毀損の審判を下した。2月13日、末永雅之裁判長は、カウンター運動の中心人物でライターの李信恵氏に対し、10万円の支払を命じる判決を下した。

しかし、マスコミはこの判決を黙殺している。これまで李氏を反ヘイト運動の旗手としてさんざん持ち上げてきたマスコミ報道が、いま問われている。

李氏に名誉を毀損されたとして裁判を起こしていたのは、『紙の爆弾』などを出している鹿砦社である。次に引用するのが、鹿砦社が争点とした李氏の言論である。いずれもツイッターのツィートだ。茶色文字で示した3・4・6・7・8について、裁判所は名誉毀損を認定した。

◆繰り返し「クソ鹿砦社」

1)おいらに取材するなら、根性入れてやれ。ちゃんとしてたら受けるけど、ちゃんとしてないから受けないだけ。で、周りに迷惑かけんな。友人のFacebookの写真とか使うなよクソが。まあこんなん相手にはしたくなかったけど、鹿砦社はクソですね。まとめサイトと同じなので、普通に文句は言います。

2)幼稚園や小学生の時からいじめってあったけど、「誰々ちゃんがあなたの悪口を云ってたよ」って告げ口する人が、悪口云ってた人より嫌い。悪口云われたら、まあムカつくけど人間が生きてたらそんなもんだろうなあと思う。自分だって云っちゃうしね。しかし鹿砦社ってほんまクソやなあって改めて思った。

3)鹿砦社の件で、まあ大丈夫かなあと思ったけどなんか傷ついていたのかな。土曜日から目が痛くて、イベントの最中からここに嫌がらせが来たらとか思ったら瞬きが出来なくなった。日曜も目薬刺しても痛くて、涙も出なかった。月曜の朝、「傷ついていないわけなでしょう」と電話があってから、ずっと泣いた。

4)    鹿砦社の人は何が面白いのか、お金目当てなのか、ネタなのかわかんないけど。ほんまに嫌がらせやめて下さい。私に関することだけならいいけど、私の周りに対してのやり方が異常だし酷すぎる。私が死んだらいいのかな。死にたくないし死なないけど。

5)おいらは自分の「女性」とか「在日」とか、いろんな属性を他人に利用されたくはないし。クソ鹿砦社の対立を煽る芸風には乗りたくないなあ。あんなクソに、真摯に対応する友人や友人でない人もいて、ほんとうに嬉しいなあと思う。取材って暴力でもあるし、その自覚がないメディアもどきはクソ。

6)鹿砦社からの嫌がらせのおかげで、講演会などの告知もSNSで出来なくなった。講演会をした時も、問い合わせや妨害が来ると聞いた。普通に威力業務妨害だし。警察に相談に行ったら、今後も被害が続くようであればその状況を残してと云われたのでツイッター上でもこうして書いている。

7)この1週間で4キロ瘠せた!鹿砦社の嫌がらせで、しんどくて食べても食べても吐いてたら、ダイエットになるみたい。せっかく太って来たのに。鹿砦社の内外の人たちの嫌がらせ、そろそろやめてほしいな。そう云えば、提訴前からおいらに関してデマを流した高島弁護士はもうTwitterにいないね。

8)鹿砦社って、ほんまよくわかんないけど。社長は元中核派?革マル派?どっち?そんなのも知らないおいら。在日の普通の女に、ネットや普通の暮らしの中で嫌がらしかできない奴が、革命なんか起こせないよね。爆笑。おいらは普通の自分の暮らしを守りたいし、クソの代理戦争する気もないし。

◆裁判所の判断

鹿砦社の主張は、これら8件のツィートは個々に切り離して評価するのではなく、一連一体の名誉毀損行為を構成するというものだった。

しかし、裁判所は鹿砦社の視点は受け入れず、個々のツィートについて検証した。その結果、1から8の全部に対して、「原告の社会的評価を低下させるもの」と認定した。

ただし、1・2・5については、李氏が自分の考えを表明した意見・評論であるから、違法性はないと判断したのである。3.4.6.7.8について、裁判所は李氏が根拠のない事実を摘示したと認定したのに対して、1・2・5は意見表明と認定したのである。意見表明の場合は、許容範囲とされる場合もある。

◆請求額の10万円

最近の高額訴訟・高額賠償の傾向からすれば、10万円という額は少額だ。これについての裁判所の見解は、李氏と鹿砦社の間では、以前から係争が続いており、両者の対立が深まっている状況の中で発せられた口汚いツィートであるから、李氏の言論は「言論活動の応酬の中の一部」と見なすことができる、というものだ。

ちなみにツィターによる名誉毀損は、賠償額が少額になる傾向がある。たとえば市民運動家の志岐武彦氏が、歌手で作家の八木啓代氏を訴えたツイッターをめぐる名誉毀損裁判では、志岐氏が勝訴したが、賠償額は10万円だった。

◆カウンター運動の手法は誤っている

大阪地裁の判決は妥当な判決だ。

しかし、不思議なことに李氏の敗訴を大手メディアは取り上げなかった。李氏が原告になった数々の裁判は常に報じ、李氏が人権運動家の旗手ような世論誘導を展開してきたが、李氏の暴言と敗訴は報じない。

それどころか、司法記者クラブは、鹿砦社が申し込んだ勝訴の記者会見を認めなかったのである。

鹿砦社はヘイトスピーチやネットウヨを支援しているわけではない。大学院生のリンチ事件を起こすなどしてきたカウンター運動の方針や、それを黙殺している文化人の姿勢が誤っていると主張しているだけのことである。

2019年02月21日 (木曜日)

横浜の副流煙裁判では、原告が被告に4500万円を請求している。法人に対する請求であれば、ともかくも一個人に対する額としては尋常ではない。しかも、被告の副流煙が原因で病気になったことを請求の根拠にしていながら、実は、原告自身が元喫煙者だったわけだから言語道断だ。それが発覚した後も、原告は請求を取り下げていない。

裁判を起こされると、たとえ敗訴しなくても、重い金銭負担を強いられることを読者はご存じだろうか。そういう制度になっているのだ。

裁判になると、法律に詳しい人は別として、通常は弁護士を選任しなければならない。その際の着手金は、原則として、裁判で請求されている額の10%になる。横浜の副流煙裁判のケースでは、請求額が4500万円だから、被告の藤井さんが準備しなければならない着手金は450万円になる。勝訴した場合は、さらに成功報酬を支払わなければならない。これはあくまで原則論であるが、歴然とした慣行である。

藤井さんは、着手金の額に納得できずに、最初の弁護士選任には失敗した。450万円を支払う気持ちにはなれなかった。そこで自分で得た情報や人脈をたよりに、安い費用で引き受けてくれる弁護士を探したのである。

ちなみに筆者も、裁判を5回経験(被告4回、原告1回)しているが、幸いに金銭的な負担はほとんどなかった。それどころか弁護士の側が赤字になっている。が、これは例外中の例外で、大半の被告は請求額の10%までにはならないまでも、重い金銭負担を強いられる。

◆ウソを前提にした裁判

米国ではスラップ防止法があり、デタラメな裁判を水際で食い止めることができる。米国と日本では、基本的な法体系が異なるので、日本で米国モデルのスラップ防止法を制定するためには、高いハードルがある。が、それでも不可能というわけではない。

事実、訴訟の提起そのものを違法とした裁判の判例は、これまで3件か4件ある。いずれも、勝訴の可能性がないことが分かっていながら起こした裁判だ。
現在、化粧品会社DHCの吉田嘉明会長を「反訴被告」とするスラップ認定裁判が東京地裁で行われている。

横浜の副流煙裁判は、若干性質が異なる。副流煙による健康被害を理由に裁判を起こしていながら、実は原告が元喫煙者であり、副流煙の発生源だったわけだから、ウソを前提に裁判を起こした疑惑があるのだ。それゆえに筆者は、取材を続けているのだ。

既に述べたように、筆者は5回、裁判を経験しているが、そのうちの最初の裁判が、やはりウソを前提にした提訴だった。この裁判を起こしたのは、読売新聞の法務室長なのだが、法務室長にアドバイスをしていたのが、自由人権協会の現在の代表理事で、最近、日産・ケリー氏の代理人になった喜田村洋一弁護士だった。審理の中で、法務室長と喜田村氏のウソが発覚して、原告が完全敗訴したのである。

たまたま筆者が取材した副流煙裁判でも、ウソを前提した疑惑が出ているわけだから、筆者は2度も類似したデタラメ裁判に直面したことになる。当然、他にも多数、同じようなケースがあるのではないかと疑っている。

◆弁護士が原告の喫煙歴を知っていた

日本にスラップ防止法がない以上、無謀な裁判を防止するためには、弁護士の良心に頼らざるを得ない。弁護士はクライアントが希望すれば、どんな裁判でも引き受けてもいいわけではない。裁判提起の依頼に対しては、裁判を起こさないようにアドバイスすることも必要なのだ。

筆者も、裁判を起こさないようにアドバイスを受けた体験がある。歌手の八木啓代氏が筆者と志岐武彦氏を訴えた裁判で勝訴した後、八木氏に対して損害賠償を求める裁判を計画したが、弁護士から止められた。

横浜の副流煙裁判で、山田義雄弁護士は、原告にどのようなアドバイスをしたのだろうか。山田弁護士自身が、原告の喫煙歴を知っていたわけだから、悪質の極みだ。

 

【注】喫煙による長期の人体影響については、次の記事に詳しい。

歌丸師匠も苦しんだCOPD(慢性閉塞性肺疾患)~患者と専門家の声から「タバコ病」の実態に迫る

時事通信の報道によると、14日、大阪府消費生活センターが、産経新聞大阪本社に、景品表示法違反の疑いで立ち入り検査に入った。

産経新聞の販売店が高額な景品で長期契約の勧誘を行っていたのは景品表示法に違反する疑いがあるとして、大阪府消費生活センターが同法に基づき、産経新聞大阪本社(大阪市浪速区)を立ち入り検査していたことが14日、分かった。

関係者によると、大阪府内にある産経新聞の販売店は、高額な景品と引き換えに1人暮らしの高齢者らに長期の新聞購読契約を勧誘。解約を申し出たところ、高額な解約金を求められたとして、府などに苦情が寄せられていたという。

景品表示法は、商品に見合わない高額景品を用いた勧誘を禁じており、これまで府は販売店に改善を指導していた。■出典

 

◆産経販売店からの苦情が相次ぐ

新聞拡販の現場で、勧誘員が高価な景品を使う慣行は昔から問題になってきた。1990年代は、テレビや自転車を景品に長期の購読契約を求める勧誘も横行していた。「新聞屋が、コシヒカリを配っている」といったユーモアな話もあった。

このように日本の新聞社は、景品をばらまいて読者を増やしてきたのである。ジャーナリズムの質を高めることで、読者を増やすという発想に乏しかった。

その後、新聞業界の内部で景品使用を自主規制する動きが生まれた。日販協(日本新聞販売協会)などが、そのイニシアティブを取ったのである。しかし、まったく効果はあがらず、景品表示法で購読料(6か月)の8%に相当する額を景品の上限額として定められる実態となったのだ。それ以前は、景品の使用は禁止されていた。

しかし、法による規制がはじまっても、それが厳守されることはなかった。相変わらず高価な景品が使われた。

変化のきざしが現れたのは、ここ数年である。新聞産業が急激に衰退して、高価な景品をばらまくだけの経費が確保できなくなったのだ。強制勧誘で悪名をはせた新聞拡張団も、ビジネスとして成立しなくなり、解散に追い込まれる団があいついだ。

こうした状況の下で、経営悪化の噂が絶えない産経が高価な景品を使っていたのである。ある意味では驚くべきことだが、景品の経費の大半を販売店が負担させられていたと考えると説明が付く。産経新聞販売店からの苦情は、筆者のところにも数多く寄せられている。

2019年02月16日 (土曜日)

競泳の池江璃花子(いけい・りかこ)選手が白血病を公表したことを受けて、桜田五輪担当相が発表したコメントが物議をかもしている。立憲民主党の枝野代表ら野党議員が、鬼の首をとったといわんばかりに、大臣の発言をバッシングしている。(桜田発言の記録は、このブログの末尾に引用している。)

わたしにはこの発言のどこが不適切なのか全く分からない。

「たいへんな病気で、ここまで頑張ってこられたお嬢さんが本当に苦悩の中にいるところに寄り添えない、この6年余りの政治の象徴ではないか」(枝野)

「まさに命にかかわる病に直面しているときに大臣をされている方がかける言葉がそれなのか」(玉木)

「桜田氏の発言には、『白血病』を宣告されたショックや長い闘病生活といった患者やその家族の苦しみへの思いやりが全くありません。

しかも、金メダル候補が離脱するから『がっかりだ』と述べたことは、金メダル獲得こそ国の目標だとして、出場選手を“金メダル獲得の道具”とみなすものです。これはスポーツを『人権の一つ』と定め、スポーツを通じて『人間の尊厳の保持に重きを置く平和な社会』を目指すと述べた五輪憲章の精神から著しく逸脱しています。」(しんぶん赤旗)

野党の声を集めてみたが、どのコメントも明らかに論理が飛躍している。【続きはウェブマガジン】

白血病が好奇心の的になっている。

改めて言うまでもなく、競泳の池江璃花子(いけえ・りかこ)選手が、練習中に体調不良を訴え、病院で検査を受けた結果、白血病と診断されたからだ。

東京オリンピックで金メダルが期待されているアスリートが深刻な病に侵されたこともあり、報道が過熱しているが、白血病について故意に隠してる重要な事実がある。

電磁波と白血病の深い関係である。

第5世代移動通信システム(5G)の導入を夏にひかえ、有線を含む通信システムと連動している電磁波によるリスク論は極力隠したいというのが電話会社や電気メーカーの本音である。国策も同じ方向を向いている。それに配慮してマスコミは、電磁波の害に関する報道をいっさい控えているのだ。

池江選手の発病は、この問題を考える糸口であるはずなのだが。

◆日本でも疫学調査では4.73倍

実は、白血病(特に小児白血病)と送電線からもれる超低周波電磁波の因果関係は、医学的にはまだ立証されていないものの、疫学調査では明白になっている。読者は、「高圧電線の近くに住む住民に白血病が多い」という話を、一度や二度は耳にしたことがあるのではないだろうか。それはデータとしては裏付けられている。

超低周波電磁波と白血病の関係がはじめて指摘されたのは、1979年である。ナンシー・ワルトハイマー博士が、『米国疫学ジャーナル』で調査結果を発表したのち、それを検証するために、世界各国で疫学調査が行われた。その結果、両者の因果関係が疫学的に立証されたのである。

日本でもWHOの依頼を受けて、国立環境研究所の兜真徳博士が、7億円の予算で、大がかりな疫学調査を実施した。その結果、送電線(4ミリガウス以上)の近くでは、それ以外の場所に比べて白血病が2.7倍(急性リンパ性白血病を含めると4.73倍)も多いことが判明したのだ。

しかし、この調査結果は文部省に酷評され、闇に葬られてしまった。読売新聞が報道しただけである。

海外の疫学調査でも、送電線と白血病の関係を示す疫学調査の結果が次々と報告された。荻野晃也氏の『健康を脅かす電磁波』によると、その数は60件を超えているという。

◆電磁波・放射線のリスク

電磁波の危険性が指摘されはじめたのは、前出のナンシー・ワルトハイマー博士による疫学調査の後である。もっとも電磁波の「毒性」にいち早く気づいて、それを軍事兵器に転用する動きは古くからあり、ソ連は1970年代には、すでにマイクロ波を使った武器の開発に成功している。しかし、大学などの研究者の間で、従来の常識がくつがえり問題意識が生まれてきたのが、この時期なのである。

最初に超低周波電磁波が問題になり、その後、携帯電話の普及に伴って、マイクロ波(高周波)による人体影響が明らかになってきた。

ちなみに電磁波とは、端的に言えば電波のことである。その電波にも様々な種類がある。レントゲンのエックス線や原発のガンマ線は、放射線と呼ばれているが、広義には電磁波の一種である。

日本では、エネルギー(周波数)が比較的弱い送電線や携帯電話の電波は、電磁波と呼ばれ、エックス線やガンマ線は放射線と呼ばれている。が、欧米では両者を区別せずに総括して放射線と呼んでいる。

電磁波・放射線の人体影響についての評価は、ワルトハイマー博士の時代から大きく変化している。従来は、エネルギーが高いエックス線やガンマ線については危険だが、エネルギーが小さい電磁波は安全と考えられていた。それを前提に携帯電話の開発が進んだのである。

ところが現在では、エネルギーの大小を問わず、電磁波・放射線はすべて人体影響を及ぼすというリスク論が定説になっている。人体影響とは、具体的に言えば、「遺伝子毒性」である。遺伝子を破壊して、癌などを発症させるリスクである。

◆レーザーによるタイム測定

競泳のタイム測定のシステムがどうなっているのか不明なので、確かな事は言えないが、電子測定の場合、ある種のレーザー(これも電磁波)を使うのが一般的だ。このレーザーが使われていれば、ゴール地点(ラップタイムを測定する場合は折り返し地点も)で、選手はレーザーを浴びることになる。(念を押すが、筆者は競泳のタイム測定の仕組みを確認していないので、確証はない。)

実は、レーザーによる人体影響は、海外では問題になっている。前出・荻野氏の『携帯電話は安全か?』によると、米国では警官が車のスピード違反の取り締まりにレーザーガンを使うのだが、1990年代にそれが原因で癌になったとする訴訟が相次いだという。

日本でも中日ドラゴンズの大豊泰昭(たいほう やすあき)選手が白血病になったが、考えてみれば、球速を測定するためのレーザーを毎日浴びていたはずだ。

◆桜田義孝大臣の発言

余談になるが、池江選手の白血病をめぐり桜田義孝大臣の発言が国会で問題になっているが、わたしには、どこが問題発言なのか全くわからない。全体を聞けば、まったく違和感がない。話し言葉とは、もともと自由闊達なもので、それを模範型を当てはめて「指導」する風潮が広がると、モノが言えなくなる。

この件も含めて、池江選手をめぐる報道は、どこかピントはずれの感を免れない。

2019年02月13日 (水曜日)

3日に投票が行われたエルサルバドルの大統領選挙で、中道右派のナジブ・ブケレ氏(37)が当選した。得票率が54%で、決戦投票を経ることなく圧勝した。

ナジブ・ブケレ氏は前サンサルバドル市長(エルサルバドルの首都)で、元々はFMLN(ファラブンド・マルティ民族解放戦線)の党員だった。サンサルバドル市長の時代にFMLN内での対立が激化して、今回の大統領選では、保守・革新の2大政党とは距離を置いて、第3政党として出馬していた。

投票前の世論調査の段階から、圧勝が予測されていた。

◆内戦を経て議会制民主主義

エルサルバドルは、日本では馴染みのない国である。左派のFMLNと米国をバックにした右派政権との間で、1980年から92年まで内戦を経験した。この内戦は、世界で最も残忍な戦争とされている。

内戦の背景には、著しい社会格差があり、1970年代の後半には、それを平和的に是正する社会運動が活発化していたが、軍部による武力鎮圧が広がった。それはカソリック教会の関係者にまで及び、1980年のオスカー・ロメロ大司教の殺害で頂点に達する。

同年の10月に、それまでばらばらだった5つのゲリラ組織が統一してFMLNを結成すると、首都へ向かって進撃を開始した。政府軍は戦意を失い、首都陥落は避けられないとの見方が広がっていたが、米国のレーガン政権が介入してきて、内戦が泥沼化したのだ。

92年に和平が成立して、FMLNは合法政党になった。本当の意味での政治の自由がエルサルバドルにはじめて訪れたのである。終戦から保守政権が続いたが、その後、2009年にFMLNがはじめて政権の座についた。FMLN政権は2期(10年)続き、今年2月の大統領選挙の敗北で、下野したのである。

ちなみに隣国ニカラグアも左派と右派の政権が何度か交代する政情が続いている。現在は左派のFSLN(サンディニスタ民族解放戦線)の政権だ。

◆画期的に変革できないジレンマ

昨年、ホンジュラスから米国へ流入する移民が国際問題として浮上した。現地の情報を集めてみると、この移民キャラバンには、エルサルバドル、グアテマラ、ニカラグアの人々が混じっていることが分かった。

つまり米国の裏庭といわれる中米では、左派政権を作っても、画期的に人々の生活が改善していない可能性が高い。この傾向は昔からみれら、1995年に筆者がニカラグアを取材したときも、FSLNに対する不満の声をよく聞いた。革命後、農村部の生活は飛躍的に改善したが、首都では、あまり変わらないという声が多かった。

もっとも客観的に見れば、病院が増えたり、教育を受ける機会が増えたりしている事実はあるが、生活実感としては、何も変わらないというのだ。

◆中米自由貿易協定

今回のエルサルバドルの大統領選も、庶民のこうした感じ方の反映にほかならない、というのが筆者の想像だ。

しかし、新大統領が誕生しても、基本的には変化はない。筆者はそう断言する。理由は簡単で、経済を牛耳っているのが米国であるからだ。政権が代っても急激な政策は転換は難しいのだ。

中米は伝統的に米国依存型の経済なのだ。その象徴的なものが、2005年に調印された中米自由貿易協定である。この協定の下では、多国籍企業を差別的に扱ってはいけないことになっている。多国籍企業が好き勝手に振る舞うことが保証されているのだ。新自由主義が徹底されたのである。

中米の経済は、米国に依存してきた。特に米国のフルーツ会社が巨大な力を持っていて、それに立ち向かう政権は、たちまち軍事クーデターなどでつぶされてきた。中米自由貿易協定はこうした不公平に拍車をかけたのである。

現在の資本主義は、グローバリゼーションの中で国境の枠を超えている。怪物だ。国単位では語れなくなっている。

◆民族主義の傾向

元々、中米を含むラテンアメリカの社会運動は、民族自決主義の色合いが濃かった。自分の国の運命は自国民で決める権利を獲得する運動である。左派と右派の対立という側面も否定できないが、それ以前にまず民族自決主義があるのだ。

改めていうまでもなく、その典型はキューバ革命である。カストロが自分の師としていたのは、キューバの民族主義者、ホセ・マルティである。革命後、キューバの進む方向を模索する中で、社会主義を選択したのである。だからキューバ革命は、厳密に言えば、社会主義の革命ではない。

ニカラグアのFSLNには、自国の民族主義者サンディノの思想がある。サンディノ主義ともいう。

ラテンアメリカは、スペインによる征服と収奪という悲劇的な歴史があるので、社会運動も民族主義の傾向を強めたのである。

◆歪んだグローバリゼーション

しかし、グローバリゼーションの時代になり、長いあいだかかって手に入れた議会制民主主義の下で、政権交代を実現しても、自分たちの意思で国の方向を決められないジレンマに陥っているようだ。日本も例外ではない。歪んだかたちの国際関係の下で、多くの国が身動きが取れなくなっている。

経済が国境を超えて動いている現代、自国が自国の進む方向を決めることもままならなくなってきている。多国籍企業の横暴により、利益を独占するのは、ほんの少数派である。大半の人々にとっては何の益にもならない。

エルサルバドルの新政権に期待するものは何もない。
何も変わらないだろう。

今年の夏から、第5世代移動通信システム(5G)の導入がはじまる。これは既存の(4G)を広域に使いながら、同時に特定のエリアで28GHzという極めてエネルギーの高い電磁波を使って、超高速通信を可能にするものである。自動運転のインフラでもある。

筆者が関係者から聞いたところによると、最初の超高速通信の対象エリアになるのは、東京の都心(山手線沿線)らしい。オリンピックの開催にあわせて5Gの開発を進め、それから郊外へ向けて適用エリアを拡大していくらしい。

近い将来には、日本人全体が恐ろしく高いエネルギーの電磁波の中で、生活を強いられることになる。電磁波過敏症と併発しやすい化学物質過敏症を発症する人が、これまで以上に増えることは間違いない。

筆者に言わせれば、人命を軽視したプロジェクトに等しい。大半の人は、何も知らされていないのだ。

「リベラル21」(7日付け)に、環境ジャーナリストの加藤やすこ氏が、5Gの危険性について、海外の著名な2人の専門家の見解を紹介している。一部を引用してみよう。【続きはウェブマガジン】