2012年12月24日 (月曜日)

読売の江崎徹志法務室長がわたしに催告書を送付してから、21日で5年が過ぎた。この催告書をわたしが新聞販売黒書に掲載したことが原因で、江崎氏が著作権裁判を起こし、敗訴した経緯はたびたび報じてきたが、裁判の中であまり光が当たらなかった問題がひとつある。

ある意味では最も重要であるにもかかわらず、文書の内容よりも形式を法解釈の判断材料として重視する裁判所があまり問題視しなかったことである。

それは催告書に記されていた内容そのものである。次にリンクしたのが、催告書の全文である。

(ここをクリック=催告書の全文)

著作権法に親しんでいな者が一読すると何が問題なのか解釈に苦しむかも知れない。順を追って説明しよう。

催告書は、わたしが新聞販売黒書に掲載した次の文章の削除を求めた内容である。

前略 ?読売新聞西部本社法務室長の江崎徹志です。 ?2007年(平成19年)12月17日付け内容証明郵便の件で、訪店について回答いたします。 ?当社販売局として、通常の訪店です。

この文章は読売と係争状態になっていたYC広川に対する訪問再開を、読売の販売局員がYC広川に伝えたのを受けて、店主の代理人弁護士が読売に真意を確認したところ、送付された回答書である。(わたしはこの回答書を新聞販売黒書に掲載した。)

催告書の内容はこの回答書を新聞販売黒書から削除するように求めるものだった。

◆恫喝文書としての性質

なぜ、この催告書の内容に問題があるのだろうか? ? まず、第1にこの回答書が著作物であると強弁している点である。著作権法によると、著作物とは、

思想又は感情を創作的に表現したものであつて、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものをいう。

と、定義されている。

つまり回答書が著作物であるという催告書の記述は、完全に間違っている。催告書の作成者は、「黒薮はバカだ」とエリート特有の冷笑を浮かべて、回答書が著作物であると嘘を書いた可能性が高い。そして嘘を前提に、裁判を起こしたのだ。

第2の問題は、回答書が著作物だと我田引水の解釈をした上で、削除に応じなければ、刑事告訴も辞さない旨を記している点だ。わたしが怪文書をして分類しているゆえんだ。

◆「名義の偽り」日弁連の見解に注目

この催告書を書いたのは、本当に江崎氏なのだろうか?こんな疑問が審理が進む中で浮上した。

驚くべきことに裁判所は、この催告書の作成者は、実は江崎氏ではなくて、喜田村洋一・自由人権協会代表理事か、彼の事務所スタッフの可能性が極めて強いと認定したのである。最高裁も下級審の判決を追認した。

つまり催告書の名義を「江崎」に偽って、裁判が提起されたことになる。江崎には、もともと提訴する権利がなかったのだ。

(ここをクリック=作者が誰かを認定する判決の記述)

催告書送付事件から5周年をむかえ、現在は、喜田村弁護士に対する弁護士懲戒請求の審理に入っている。弁護士会の綱紀委員会は、事実関係の調査に乗り出している。来年の1月で調査に入って2年になる。

(ここをクリック=弁護士懲戒請求・準備書面)

司法制度改革を進めている日弁連が、この前代未聞も事件についてどのような見解を示すのか、今後の成り行きに注目したい。

2012年12月21日 (金曜日)

◆吉竹幸則(フリージャーナリスト・元朝日新聞記者)

今回の総選挙。世論調査で予想された通り、自民は294議席を獲得。既成メディアは自民の大勝利を伝えた。でも、投票の中身を見ると、自民圧勝と言うには、程遠い内容だ。

前回、この欄で私は、政治家の口・「上半身」より、支持層の既得権、資金源など「下半身」を見て品定めすることを何より薦めた。選挙結果も「下半身」から見直すと分かり易い。当選した候補者の「下半身」から選挙で示された「民意」とは何か。改めて探ってみたい。

私は投票日前、自民優勢を伝える世論調査を見て、政治家の「下半身」を支える従来の既得権を持つ支持層が雪崩をうって自民返りしている様相を見て取った。この欄で「政治家の『下半身』が、候補者の勢力地図に大きな変化をもたらしている」と書いた。しかし一方で、これまでの世論調査では見られなかった、ある特徴があり、選挙結果が調査予測通りになるか不安も感じ、こう疑問も呈しておいた。

「世論調査をもう少し詳しく読むと、優勢を伝えられる自民も政党支持率では低いまま。投票間近のこの時期になってさえ、まだ半数程度の人が態度を決めかねているのも、これまでの選挙になかった傾向だ。

『無党派層』は、『改憲』を主張する自民や『戦争の覚悟』、『核兵器保有の検討』まで口にする党首を頂く第3極を無条件に支持することに、未だ躊躇があるのかも知れない。態度を決めかねている無党派層が最後にどう動くか。それも勝敗の行方に大きな影響を持つだろう」

それでは、選挙結果はどうだったか。新聞やテレビでさんざん報道されているが、獲得議席数に惑わされず、もう一度、データを整理し直し、おさらいして見てみたい。

◆自民、得票数は大幅に減少

300の小選挙区では、自民候補者の得票を合計すると2564万票。実は大敗した09年からもさらに165万票減らしている。得票率43.0%なのに、小選挙区の8割近くで勝利し、237議席も獲得した計算だ。

民主は得票率22.8%、27議席にとどまった。農村部では自民の実力が民主より勝り、都市部では、民主、維新、未来の候補者の票を合計すると自民を上回るが、第3極への票の分散が民主を沈ませた形だ。有権者の投票が議席にならない「死票」は、計3730万票に達し、何とも凄しい小選挙区制の威力と言うほかない。

比例区では、自民は1662万票。05年の2588万票を大きく下回り、大負けの09年の1881万票にさえ及んでいない。得票率も前回選挙とほぼ同じ、27.6%で57議席。

次いで、維新が1226万票、得票率20.4%で40議席。民主は962万票で、09年の2984万票の約3分の1に激減。得票率も42・4%から15.9%へ大幅に減り、30議席に留まった。

以下、公明11.8%、22議席。健闘したみんなの党は前回の4.3%から8.7%に伸ばし、14議席。共産6.1%、8議席、未来5・7%,7議席、社民2.3%、1議席…と続く。 比例区が有権者の意向、政党支持分布を正確に反映すると見るなら、この国はとっくに多党化時代に入っている。しかし、小選挙区制が正確な民意の反映を妨げ、歪んだ議席配分を生んだとも言える。

そしてもう一つ、忘れてはならないデータがある。投票率だ。戦後最低の59.32%(小選挙区)で、前回選挙を10ポイント近く下回っている。つまり、前回投票に行った人のうち、1000万人程の人が今回は棄権に回った。民主が比例で獲得した962万票と比較すると、その大きさが分かろうと言うものだ。

◆無党派層の選挙離れ

このデータから、改めて候補者の「下半身」に焦点を当て、集票を分析することにしてみよう。

私は、投票日前の世論調査を見て、従来の既得権層が雪崩を打って自民返りしている様を感じ取った。しかし、候補者の当選予測数字に惑わされ、多分に錯覚が含まれていた。つまり、「雪崩を打って」既得権層が自民返りしている現象すら起きてはいなかった。自民は今回、前の選挙で票を投じ、資金面でも協力してくれた従来の固い既得権層、つまり「下半身」を手堅く固めたに過ぎない。

一方、民主は、自民的な既得権層を持つ人から、従来の伝統的な労組票まで、やはり議員自らの「下半身」を固めた結果が、小選挙区22.8%、比例区15.9%の得票率である。政権取りで、民主議員の「下半身」を支えてくれた既得権層に義理立てし、恩恵も与えたはずなのに、得票を伸ばすことに繋がっていない。逆に、無党派層が離れて行ったことで、大幅に票を減らす結果になった。

ここ10数年の政治動向を俯瞰すると、実はこの国の選挙結果ほど単純明快なものはない。

小泉自民党政権の郵政選挙、前回の民主による政権交代選挙…。「既得権打破」をスローガンに、官僚を敵に回し、「利権政治からの転換」を訴えた勢力が無党派層からの熱い風を受け、常に大勝しているのだ。

今回の選挙もデータを見直し、整理してみると、従来の既得権層を手堅く固めただけの自民相手なら、破る勝機は、どの党にもあったことが分かる。

政権が転がり込んだ途端、自分たちが何を約束して選挙に臨んだのか。民主の失敗は、そこをすっかり忘れてしまったことにある。古い議員体質・「下半身」が頭をもたげ、自らの既得権層に利権を配ってくれる官僚にすり寄った。結果、行革の足を裏で引っ張ることになり、「官僚利権政治の打破」を期待した無党派層の支持を失ったという構図である。

政治家にとって、カネと票で活動を支えてくれる既得権層は一番大事なお得意さんだ。しかし、この国の選挙は、それだけではもう票を伸ばせない構造になっている。

選挙プロの常識では考えられない話かも知れないが、たとえ従来の既得権者を敵に回してでも、雲をつかむような無党派層の支持を得る以外にない時代なのだ。無党派層は、私が言うまでもなく、政治家の「下半身」を良く見抜いている。自らの「下半身」に忠実になるより、「上半身」にいかに忠実になれるか、それが問われる時代と言うことも出来よう。

◆選挙結果が世論調査通りになった理由

今度の選挙で、自民も民主もその「下半身」を無党派層に見抜かれていた。なら本来、今回の選挙で「利権政治」批判の無党派層の風を受け、投票の受け皿になるのは、維新、未来などの第3極だったはずだ。

しかし、維新・橋本氏は、歯切れがよかった利権政治批判が、「戦争の覚悟」を説く石原氏との連携を優先したことで、無党派層全体の結集軸には成り得なかった。未来もその背後に、「下半身」を重視し、旧態依然たる元祖・利権政治に長けた人が構えていれば、やはり無党派は腰が引ける。選挙直前の世論調査でも、態度を決めかねていた有権者が半数近くもいたことがそのことの端的な表れだったと思う。

その人たちが最後にどう動くか。それによっては世論調査通りの議席配分に落ち着かない可能性がある。だから前回のこの欄で、私は疑問を呈しておいた。しかし、選挙結果で見ると、その人たちの大半は投票先が見つからないまま、結局、どこにも投票しなかった。投票率が前回より、10ポイント近くも低かったのも、議席配分が調査予測にほぼ合致したのも、そのためだろう。

つまり、前回の選挙で投票し、今回棄権した1000万近い人たちは、維新の「上半身」、未来の「下半身」を見て、投票日になっても態度を決めず、棄権に回ったのだ。第3極がまとまり、無党派からの熱い風を受けていれば、今回の選挙結果は全く違ったものになったのだろう。

◆既得権層への10兆円のばら撒き

その結果、「小選挙区制」と言う仕組みが功を奏し、逆に「下半身」をがっちり固めた自民が議席的には圧勝と言うのは、何とも皮肉な結果ではある。

ただ、「上半身」・マニフェストで「官僚利権政治」の打破を唱えつつ、「下半身」で利権擁護に回る議員が多かった民主と、自民は違う。最初から堂々と「200兆円の公共事業」を宣伝文句にし、「上半身」「下半身」とも、既得権政治だ。

早くも10兆円規模の補正予算を打ち出し、その多くは公共事業に使われ、この選挙で自民を支えてくれた既得権層を潤すだろう。しかし、財源は国債、借金頼みだ。株は好感し、大きく値上がりしている。でも、人々が浮かれている間も実は国債金利がじりじり上昇している。お金を刷って景気対策するなら、誰にでも出来るのだ。

国債増発は早晩、金利の大幅上昇を呼び、国は金利払いに追われ、景気対策はおろか、福祉に充てる資金すら枯渇するのではないか。不況の中での歯止めのない物価上昇(スタグフレーション)と増税…。低所得者層ほど苦しめられる。つまり、ギリシャの二の舞になる事態を私は心配している。

内政の混乱。人々に不満が溜まれば、為政者は必ず捌け口を外国に求めるのは、歴史が証明している。結果として、「上半身」の改憲では一致する維新を巻き込み、憲法9条の改正に一直線に突っ走るのではないか。前々回のこの欄で「国労名古屋地本委員長の遺言」で私が書いた通り、「護憲」と自らの「下半身」を一致させた勢力は、極めてか細くなってしまっている。

この時、「上半身」を見ても「下半身」を見ず、政局報道に終始する既成マスコミの政治報道が、広範な無党派層を含めた民意を深く探り、ブレーキ役を果たせるか否か。私は、その点を一番憂慮している。

 

≪筆者紹介≫ 吉竹幸則(よしたけ・ゆきのり)。

フリージャーナリスト。元朝日新聞記者。名古屋本社社会部で、警察、司法、調査報道などを担当。東京本社政治部で、首相番、自民党サブキャップ、遊軍、内政キャップを歴任。無駄な公共事業・長良川河口堰のウソを暴く報道を朝日から止められ、記者の職を剥奪され、名古屋本社広報室長を経て、ブラ勤に至る。記者の「報道実現権」を主張、朝日相手の不当差別訴訟は、戦前同様の報道規制に道を開く裁判所のデッチ上げ判決で敗訴に至る。その経過を描き、国民の「知る権利」の危機を訴える「報道弾圧」(東京図書出版)著者。

2012年12月19日 (水曜日)

福岡県の篠栗町が制定していた携帯基地局の設置を規制する条例が廃止されることになった。この条例は同町議会が、2006年に電話会社と住民の間で生じる基地局設置をめぐるトラブルを防止することを目的に制定された。

条例廃止の決定は、12月17日の町議会で可決された。

篠栗町の役場に問い合わせたところ、次のような説明があった。

「条例の制定から6年が過ぎました。この間、携帯電話の基地局設置は進んでいません。電話会社から、このままだと携帯電話が通じない地域になりかねないと言われました。そこで町の総務部建設委員会が電話会社と話し合いを持つようになりました。その中で廃止案が出されて、12月17日の町議会で9対2の賛成多数で廃止案が可決されました」

携帯基地局の設置を規制する条例は、鎌倉市のものが比較的よく知られているが、篠栗町の条例はもっとも早い時期に制定されたもので、この種の条例のモデルのひとつになっていた。

廃止される条例の全文は次の通りである。

(ここをクリック=篠栗町携帯電話中継基地局の設置に関する条例)

2012年12月18日 (火曜日)

読売新聞が起した裁判で代理人を務めてきた弁護士が所属する事務所のひとつにTMI総合法律事務所がある。

わたしを原告とする名誉毀損裁判(原審・さいたま地裁)は、言うまでもなく、七つ森書館を被告とした裁判、清武英利氏を被告とした裁判でも、TMI総合法律事務所の弁護士らが、読売の代理人を務めている。(朝日を被告とした裁判、文春を被告とした裁判については、調査中)

ところが本サイトやMyNewsJapanでも繰り返し報じて来たように、TMI総合法律事務所には、元最高裁の判事が3人も天下りしている。次の3氏である。

泉?治    :元最高裁判所判事・東京高等裁判所長官

今井功    :元最高裁判所判事・東京高等裁判所長官

才口千晴   :元最高裁判所判事

ちなみに最高裁判事以外の再就職組は次の方々である。

頃安健司   :元大阪高等検察庁検事長

三谷紘    :元公正取引委員会委員・横浜地方検察庁検事正

相良朋紀   :元広島高等裁判所長官

塚原朋一   :元知的財産高等裁判所長

樋渡利秋   :元検事総長

さて、日弁連はこの重大な問題をどのように考えているのだろうか。「天下り問題」に直接言及した文書類の存在は不明だが、参考になる文書はある。『弁護士業務基本規程』の第77条は、次のように述べている。

(裁判官等との私的関係の不当利用) 第77条 弁護士は、その職務を行うに当たり、裁判官、検察官その他裁判手続きに関わる公職になる者との縁故その他の私的関係があることを不当に利用してはならない。

 (解説は、ここをクリック)

TMI総合法律事務所に3人の元最高裁判事がいる事実が、一連の読売裁判の判決に影響を及ぼすか否かは、さまざまな視点から検討を重ねて答えを出す必要があるが、少なくとも次の事はいえる。被告にされた側は、強い不公平感を抱くということである。

実際、わたを被告とした名誉毀損裁判では、地裁、高裁はわたしの勝訴だったが、最高裁で逆転された。最高裁判事が読売を勝訴させ、わたしを敗訴させる決定を下したのである。そして差し戻し審で、加藤新太郎裁判官が110万円の支払いを命じた。

裁判に公正な舞台が求められるのは言うまでもない。それは司法関係者の共通した認識になっている。たとえば最高裁判事・須藤正彦氏は、「最高裁判所裁判官国民審査公報」で次のように述べている。

(略)裁判は、公正で、社会常識にかない、しかも迅速であることが求められますが、特に最高裁判所に対しては、『憲法の番人』として、あるいは、立法、行政、司法の三権のチェック・アンド・バランスの下での司法として、あるべき役割を果たすことについて国民の皆様の期待が大きいことを改めて感じさせられています。」 と述べている。

須藤氏は、自分たちの先輩が退官後、大手法律事務所へ堂々と天下りしている事実をどのように考えているのだろうか?司法制度改革の中で最初に取り組むべき大問題ではないだろうか?

2012年12月13日 (木曜日)

◆吉竹幸則(フリージャーナリスト・元朝日新聞記者)

「今度は、実現可能なマニフェストにしなければ…」。民主の言い訳には、正直、笑ってしまった。なぜ、民主が「公約」から「マニフェスト」にしたのか。選挙の度に大風呂敷を広げる「公約」では、結局、何も国民に約束しないことに等しい。

「実現可能なマニフェストでなければ」と言い出したのが民主のはずである。結局、「公約」でも「マニフェスト」でも、選挙目当ての美辞麗句を信じていれば、国民は騙されるだけ。これが政権交代からの3年間、人々が得た唯一の教訓だったのかも知れない。「公約」も「マニフェスト」も信じられなければ、国民は何を見て、政治家を選べばいいのか。私は、政治家の「上半身」より、「下半身」を見て品定めすることを何より薦めたい。

◆資金源、支持層、票田

別に下世話な話ではない。「上半身」とは、政治家の口である。いかに口がうまいか。これが政治家の条件だ。その時、その時の状況に応じ、どう自分の利益・立場に都合よく結び付ける論理を導き出すか。政治討論を見ていても、口のうまさに舌を巻かれた人も多いだろう。

ただ、その時の思いつき、我田引水だから、後から冷静に考えれば論理は支離滅裂。1か月前の言動との違いに気づくことも多いはずだ。

では、「下半身」とは何か。政治家個人の資金源、支持層・票田のことである。政治家は選挙に落ちればただの人。何より大事なのは選挙である。選挙に必要なのは、カネと票。人手も出し、票をかき集めてくれる支持組織ほど有難いものはない。だから政治家は、カネと人手・票を出してくれる有力な支持組織は絶対裏切れないのだ。

口で何を言っても、結局、政治家はこんな支持組織に束縛される。政治家を見抜こうとしたら、資金源・支持組織を見れば、口で言っていることの裏が読める。つまり、口に騙されず、政治家を品定めするには、「下半身」を見るのが一番早い。

◆破綻した民主党のマニフェスト

「聖域なき行政改革」「ゼロベースからの見直し」を掲げた民主のマニフェストが何故破たんしたか。決して「もう削るところがない」ではなかったはずだ。それが証拠に、中央官庁の出先機関の整理はほとんど手付かず。「脱官僚」のはずなのに、元国交省官僚を大臣に据え、整備新幹線の復活、八ツ場ダム中止方針の撤回…。あげればきりがない。

3年前の選挙。私は、「政治を変える」と言って立候補した民主議員の「下半身」を見た。これでは、民主が政権を取ってもマニフェストが実現するはずはないだろうと予想した。結果は、その通りだった。

なぜなら、民主は様々な資金源・支持団体をバックに持った人の寄せ集めだ。支援組織の延命、利権擁護のために、民主が政権与党になることを見越して、自民からちゃっかり鞍替えした人も少なくなかった。

政権交代で国民が民主に一番期待したのは、「事業仕分け」だろう。でも、既得権益を守りたい支持組織の意を受けた議員は、口利きで官僚に借りも作っている。政権の座につき、「行革」・「事業仕分け」が各論に入ると、こんな議員は、支持組織の既得権に踏み込まれるのを恐れ、陰に陽に既得権を守ってくれる官庁・官僚の応援団に変身。行革・予算削減を妨害する方に回るのは必然だったのだ。

◆民主の支持母体は?

テレビで放送される「仕分け」現場。そこで流れる政治家の格好いい発言にころりと騙された人がいたかもしれない。でも、「最初から裏では異論が噴出していた。与党が一枚岩でないのだから、官僚に対抗出来るはずもない。仕分けがまともに実現するなんて、あり得るはずもなかった」と、ある事情通は私に打ち明けてくれた。

せっかく「仕分け」で無駄な事業の廃止を盛り込んでも、省庁にはこんな議員応援団がいる。「仕分け」結果を無視し、中止にすべき事業を堂々と予算に計上出来たのも、そのためだ。実は、仕分けに始まる前に裏で潰され、遡上にすら上がらないものの方が多かった、と言う。

一方、こうした議員たちは与党になったのをいいことに、支持母体の既得権益のさらなる拡大を省庁に働きかけた。民主議員は前述の通り、いろんな党からの寄せ集めだ。

支持母体は、従来の自民系支持組織の建設などの業界団体、農協や医師会など。元社会や民社系議員が持つ公務員労組や東電などの大企業労組、各種福祉団体まで加わるのだから、何とも幅広い。その支持母体の要望を一つずつ聞いていれば、行革どころでなくなり、予算がどんどん膨らんでいったのも当然の成り行きだったのだろう。

「上半身」より「下半身」で見る政治家透視術。その術で民主議員を「下半身」から見ていけば、この通り、すべてが分かるのだ。党内はバラバラ。痛みを伴う改革・重要政策ではまとまらなかった理由も、「決められない政治」、分裂した訳も、彼らの「下半身」にその原因がある。行革を進めるどころか、自民以上に予算を膨らませただけで、政権の終焉を迎えようとしている姿は、何ともむなしい。

一方の自民。政権の座を追われ、これまでの自民手法を取る民主議員に建設業界からのカネと票も奪われかけていた。「200兆円の公共事業」を打ち出した背景を「下半身」から透視すれば、従来のお得意先である建設業界からのカネと票を再び取り戻し、自らの「下半身」を盤石にすることにあることも見て取れる。

◆政治資金収支報告書の解析

私が政治家を「下半身」から見てみようと思い立ったのには、一つの理由がある。以前にも書いたことがあるが、私は、政治記者になるまで名古屋本社社会部記者として異動もせず、10年以上過ごした。その間のほとんどを、警察、司法、調査報道を担当、東京政治部の記者になったのは、40歳を前にしてのことだった。

なぜ、私が名古屋に長居することになったか。愛知県警の裏金資料を、「警察取材の取り引きに使え」と露骨に言ったり、愛知県庁の裏金報道を持ち場替えでやらせなかった時の名古屋本社最高幹部とぶつかったこと…などが影響したと思っている。

政治記者は、10年も20年もかけて政治家との人脈を作り、彼らから情報が自由に取れるようになって、やっと一人前と認められる世界だ。40歳を前にして、初めて国会の中をお上りさん(http://zokugo-dict.com/05o/onoborisan.htm)のように回る私は、「1人前の政治記者」にはとても見てもらえない。

でも、こんな経過で政治記者に転身した私だ。ジャーナリストの風上にも置けないこの幹部への意地もあった。名古屋で積み重ねた記者経験を無駄にせず、何とか政治記者の取材で生かせる道がないか探った。

幸い私は、長く調査報道をしてきた。政治家の政治資金収支報告書(以下、資金報告書)の分析は得意分野でもある。長く政治記者の経験を積んだ同僚記者に一つぐらい勝る能力を持つなら、この資金報告書の活用だと思いついたのだ。

だから私は、政治家に取材の約束を取り付けると、必ず調査報道で鍛えた能力で、その人物の資金報告書を見て分析。つまり、政治家の「下半身」の品定めを終えてから行くことを心掛けた。そうすると、政治家の発言の裏にあるものが驚くほど良く見えた。私の政治記者時代に親しくなったある自民党の代議士から、こんな嘆きを聞いたこともある。

「自民も長い単独政権から連立政権への移行を余儀なくされた。小渕政権の頃は、人のいい小渕さんは連立与党議員の陳情をよく聞いたから、予算は膨らんだ。でも、あまり借金が増えてはとの躊躇があの人にはあった。議員のおねだりは半分に値切ったから、実は予算の伸びはそれほどでもなかった。でも、森政権になって、連立する議員の陳情を値切らず予算をつけたから、歯止めなく膨らんだ。3党連立なら、おねだり予算は3倍になる理屈だ」

なぜ、この国はバブル崩壊以降、借金が1000兆円になるまで急速に膨れ上がったのか。謎を解くカギはここにある。単独政権から連立政権に移行。党ごとに性格の違う議員の「下半身」からの要求に応える予算を組んだからに他ならない。「下半身」がバラバラな議員の寄せ集め。党内だけで連立政権的様相を持っていた民主政権は、森政権の二の前をやったと、私は思っている。

◆政治家人脈の是非

新聞の政治記事は、権力闘争を追うだけ。政治の大きな流れにより、自分たちの生活はどうなるのかといった政策の問題が見えない。こんな読者からの不満を、私は朝日の在社中にしばしば聞いた。私もそう思う。

長く政治記者をしていると、政治家との人脈が自分の財産だと、知らず知らずに思い込む。そんな政治家が自分にだけ漏らしてくれた言葉なら、それを特ダネで記事にすることが重要だと考える習性がこびりつく。結局、その人の言動から、「政治情勢」を占う記事が溢れてしまう原因になっているのだろう。

しかし、その政治家の「上半身」は常に見ていても、「下半身」をあまり見ていないから、政策も大きな政治の方向性も見えてこない。「自分にだけ漏らしてくれた言葉」の裏の意図も読めないから、結局、政治家の術中にはまり、都合よく踊らされてしまっていることも少なくないのだ。

私のわずかながらの自負心から言えば、人脈作りで政治家の「上半身」の言動取材に終始する既成政治記者より、「下半身」で判断していた私の方が政治の流れをより読めていた部分もあったような気もしている。

◆ほんとうの第三極の体質

世論調査を見る限り、自民が圧倒的優位に立っている。そこからは、政治家の「下半身」を支える従来の既得権団体に所属する支持層が雪崩をうって自民返りしている様相が見て取れる。もう民主が政権を継続する可能性は少ないかも知れない。

それを見越してか、自らの当選とバックの支持母体の延命を求める人たちの駆け込み寺は、前回の民主から今回は第三極に移ったようでもある。私が何より恐ろしいと思っているのは、「下半身」で動くこんな政治家たちが、深い考えも定見もないままに付和雷同、「毒を食らわば皿まで」と「駆け込み寺」にした第三極の路線に安易に乗り、「改憲路線」を突っ走ることである。

ただ、世論調査をもう少し詳しく読むと、優勢を伝えられる自民も政党支持率では低いまま。投票間近のこの時期になってさえ、まだ半数程度の人が態度を決めかねているのも、これまでの選挙になかった傾向だ。「無党派層」は、「改憲」を主張する自民や「戦争の覚悟」、「核兵器保有の検討」まで口にする党首を頂く第3極を無条件に支持することに、いまだ躊躇があるのかも知れない。

そんな中で、投票日が刻々迫ってきた。「態度を決めかねている」無党派層が最後にどう動くか。それも勝敗の行方に大きな影響を持つだろう。でも何より、政治家の「下半身」が候補者の勢力地図に大きな変化をもたらしたのも、今度の選挙の特徴だ。

どの政党が政権を握っても、この国の行く末を決める重要政策を決定する際には、「無党派層の躊躇」がなぜだったのかを考え、数の力に頼るだけでなく、もう一度立ち止まり、国民にじっくり考える機会を与えて欲しいと私は思う。

自分たちが提示した政策のすべてが国民に支持されたと思い込むべきではない。

≪筆者紹介≫ 吉竹幸則(よしたけ・ゆきのり)

フリージャーナリスト。元朝日新聞記者。名古屋本社社会部で、警察、司法、調査報道などを担当。東京本社政治部で、首相番、自民党サブキャップ、遊軍、内政キャップを歴任。無駄な公共事業・長良川河口堰のウソを暴く報道を朝日から止められ、記者の職を剥奪され、名古屋本社広報室長を経て、ブラ勤に至る。記者の「報道実現権」を主張、朝日相手の不当差別訴訟は、戦前同様の報道規制に道を開く裁判所のデッチ上げ判決で敗訴に至る。その経過を描き、国民の「知る権利」の危機を訴える「報道弾圧」(東京図書出版)著者。

2012年12月11日 (火曜日)

読売新聞社が提起した3件の裁判が「一連一体」の言論弾圧にあたるとして、わたしが起した損害賠償裁判の尋問が、12日の午後2時30分から、福岡高裁の大法廷で行われる。尋問を受けるのは、被告の江崎法務室長と原告のわたしの2名である。

削除を要求した根拠は、著作者人格権だった。著作者人格権は、著作者財産権と比較すると、その内容が理解しやすい。たとえば、次のサイト。(全文はここをクリック)

著作者の権利は、人格的な利益を保護する著作者人格権と財産的な利益を保護する著作権(財産権)の二つに分かれます。

著作者人格権は、著作者だけが持っている権利で、譲渡したり、相続したりすることはできません(一身専属権)。この権利は著作者の死亡によって消滅しますが、著作者の死後も一定の範囲で守られることになっています。

一方、財産的な意味の著作権は、その一部又は全部を譲渡したり相続したりできます。ですから、そうした場合の著作権者は著作者ではなく、著作権を譲り受けたり、相続したりした人ということになります。

江崎氏側は、著作者人格権に基づき、催告書が江崎氏みずから作成した江崎氏の著作物であるから、新聞販売黒書に掲載する権利がないと主張し、削除を求めて裁判を起こしたのである。

ところが審理が進むにつれて、催告書の作成者が江崎氏以外にいる可能性が浮上してくる。

そして東京地裁は最終的に、催告書の作成者は江崎氏ではなく、喜田村洋一弁護士(自由人権協会代表理事)か、彼の事務所スタッフの可能性が極めて高いと認定したのだ。知的財産高裁も同じ判断を示し、最高裁もこれを認定した。

(知的財産高裁の判決:上記の認定部分)

つまり江崎側には、元来、著作者人格権を根拠に著作権裁判を起こす権利がない。それにもかかわらず、催告書の名義を「江崎」に偽って裁判を起こしたことになる。

なぜ、名義を偽ってまで裁判を起す必要があったのだろうか?わたしを法廷に立たせることそのものが究極の目的だったからではないろうか?

一方、催告書を作成したとされる喜田村弁護士の責任も重い。『弁護士職務基本規程』の75条は、このような行為を禁止している。

第75条:弁護士は、偽証若しくは虚偽の陳述をそそのかし、又は虚偽と知りながらその証拠を提出してはならない。

催告書の名義を偽るなど、裁判の前提が虚偽だったわけだから、その後、喜田村弁護士が裁判所に提出した書面や証拠も虚偽を前提としたものである可能性が高い。さらにそれを前提として、法廷で催告書の削除を主張した。「虚偽と知りながらその証拠を提出」にほかならない。

この問題に関しては、喜田村氏が所属する第2東京弁護士会に、懲戒請求を申し立てている。現在、同会の綱紀委員会が2年近くの時間(通常は半年)をかけて綿密に調査している。

これら一連の経緯は、新刊『新聞の危機と偽装部数』(花伝社)に詳しい。

黒薮の陳述書は、MEDIA KOKUSYOの「資料室」(トップページの右側)

2012年12月10日 (月曜日)

11月に公開された民主党の政治資金収支報告書の「支出」の項目に新聞代金の記載がないので、党本部に問い合わせたところ、新聞代金を「事務所費」として仕訳していることが、分かった。

これについてまず総務省の政治資金課に問い合わせたところ、政党の政治資金収支報告書には、新聞代金を「備品・消耗品費」か「事務所費」として処理することが認められているとの説明があった。つまり公表の必要がないとのことである。

実際、民主党の会計担当者によると、新聞代金は、「事務所費」に含まれているとのことだった。その事務所費は、約4億98万円(2011年度)である。

考えてみれば、これは不思議な制度である。なぜ、このようなシステムになっているのかは不明だが、新聞業界と政界の不透明な関係の温床になる危険性がある。

一般的にはほとんど知られていないが、実は丸の内界隈にある官庁や政党本部に新聞を配達しているのは、通常の販売店ではない。新聞社が共同で運営している丸の内新聞販事業協同組合という会社である。現在の代表理事は、元毎日新聞販売局長の古池國雄氏である。

通常、新聞は各新聞社の専売店から個別に配達される。ところが丸の内新聞事業協同組合だけは例外で、全紙を一括して官庁や政党事務所へ届ける。

いわば政界の中枢と新聞業界のパイプが構築されているのだ。それにもかかわらず、政党の政治資金収支報告書では、新聞代金を「事務所費」としてあいまいに処理することが認められているのだ。

これでは新聞各社に対する口止め料として、政党本部が新聞の購読部数を増やすなどの策略を採用して、情報を操作する危険性をまぬがれない。

(参考記事)前原氏政治団体が不明朗支出 新聞代を付け替えか

2012年12月07日 (金曜日)

インターネットの時代になって、ネット上でテレビや新聞よりも優れた調査報道が登場するようになった。

YOUTUBEで公開されている『 「フジテレビがKPOPをゴリ押しする理由 」これが韓流の真実 』のパート1とパート2は、放送局の闇を見事に暴いている。公共の電波が一部の心ない人々に牛耳られ、とんでもないビジネスに悪用され、日本の文化を低劣化させている実態を報じている。

◆パート1フジテレビの子会社であるフジパシフィック出版(音楽出版)が韓国から多量の音楽著作権を譲渡されている事実がある。そのためにフジテレビがひっきりなしにK-POPを宣伝している可能性が高い。放送局が音楽出版を所有する弊害である。

作曲家の穂口雄右氏によると、 「欧米ではテレビ局が音楽の著作権を持って収入を得る事を禁止してる」という。

パート?では、放送局と音楽出版の提携が問題としてクロースアップされる。

◆パート2ここでは「吉本興業とフジテレビの関係」、「吉本音楽出版とフジテレビの関係」がクロースアップされる。

吉本興業の筆頭株主はフジテレビである。その他に、日本テレビ、テレビ朝日、テレビ東京など多数の民放局が名を連ねている。さらにパンチコの京楽産業、ソフトバンク、電通・・・。

通常、テレビに登場する韓国人アーティストは、本国で人気をはくした人々であるが、人気がないアーティストもフジテレビに登場したという。そのアーティストの音楽著作権を調べてみると、吉本音楽出版を持っていたことが判明。

つまり吉本興業が著作権収入を得るために、フジテレビの番組編成に影響を及ぼしている可能性がある。

このような構図が生まれる引き金となったのが、2007年にソニーの出井伸之氏が代表を務めたクオンタムリーブによる吉本興業の買収事件だという。これを機に、株主として放送局などが群がったらしい。

10月から施行された「改正」著作権法は、放送局とスクラムを組んで音楽ビジネスを展開している面々の利権に奉仕する代物にほかならない。

■パート1=ここをクリック

■パート2=ここをクリック

改正著作権法は、即刻に廃止されるべきだ。

2012年12月06日 (木曜日)

5日付けの「黒書」でNTT労組の政治団体「アピール21」の政治資金収支報告書を紹介したところ、政治資金収支報告書の検索方法を教えてほしいとの問い合わせがあった。

実は、政治資金収支報告書はネット上で公開されている。PCがあれば誰でもアクセスできる。順を追って、検索方法を説明しよう。

◆検索のステップ

まず、次の画面にアクセスしてほしい。

政治資金収支報告書及び政党交付金使途等報告書

年度別にデータの目次がある。「定期公開」「解散分」「追加分」の3つに分類されているが、通常、「定期公開」が検索・検証の対象になる。

このページに表示されている最新の「定期公開」は、目次の冒頭にある「平成24年11月30日公表(平成23年分 定期公表)」 である。ここをクリックすると次のページへ移る。

平成24年11月30日公表(平成23年分 定期公表)

「政党本部」、 「政党支部」、 「政治資金団体」、「資金管理団体」、 「その他の政治団体 」に分かれているが、ここでは、次の3分野を対象に検索方法を紹介しよう。

◆「政党本部」

たとえば「公明党」をクリックすると、次のような画面が出てくる。

公明党(1/5)〔表紙、収支の総括表、収入〕

公明党(2/5)〔支出(1)〕

公明党(3/5)〔支出(2)〕

公明党(4/5)〔支出(3)〕

公明党(5/5)〔支出(4)、資産、宣誓書等 

このうちたとえば「公明党(3/5)〔支出(2)〕」をクリックしてみる。すると「支出」が詳細に表示される。

13ページからは、公明新聞を印刷している新聞社や関連の印刷会社の名前が出てくる。高速オフセットは毎日新聞、東京メディア制作は読売新聞系の印刷会社である。公明党と新聞社がいかに親密な関係にあるかが分かる。

公明党がどの文化人にいくらの原稿料を支払っているかも知ることができる。

◆ 「資金管理団体」

この項目には、政治家の資金管理団体の収支報告書が収録されている。たとえば、山本一太議員の資金管理団体は、「一伸会」である。そこで、「イ」をクリックする。すると「一伸会」の収支報告書が出てくる。

◆「その他の政治団体 」

この項目には、業界団体が作っている政治団体の収支報告書が出ている。

たとえば「ア」をクリックする。すると「ア」ではじまる業界団体のリストが表示される。

「アピール21」の収支報告書は、ここに分類されている。

日弁連の政治団体「日本弁護士政治連盟」は、「二」に分類されている。

マスメディアが政治資金収支報告書を綿密に検証しないとなれば、個人のレベルで情報へアクセスする以外に仕方がない。

ちなみに政治資金収支報告書は、総務省に提出されるものと、各都道府県の選挙管理委員会に提出されるものがある。後者の政治資金収支報告書は、情報公開を請求しなければならない場合が多い。時間を要する。

従って「うしろめたい金」は、各都道府県の選管に届けられる政治資金収支報告書に記載されることが多いようだ。

2012年12月05日 (水曜日)

先月末に公開された政治資金収支報告書(2011年度分)の中から、アピール21(NTT労組の政治同盟)のものを紹介しよう。アピール21が毎年、多額の政治献金を行っていることは、マイニュースジャパンやMEDIA KOKUSYOで報じてきたとおりである。

2011年度も例外ではない。民主党を中心に地方議員から、国会議員まで393人に対して、約1億4000万円の政治献金をばらまいている。自民党かおまけの金権政治の典型的光景である。

周知のように携帯基地局の設置は、野放し状態になっていて、各地でマイクロ波による健康被害が発生している。が、このような政治献金がある限り、規制はむつかしい。

(■政治資金収支報告書のアピール21分・タウンロード)

【パーティー、・・会、フォラム等】(前半)

合計金額:743万7000円

対象となった議員(述べ人数):52人

海江田万里を支える会望年会・・20万円

松野頼久さんを囲む「新春のつどい」・・・30万円

「町村信孝君を囲む会」・・・10万円

まえはら誠司東京後援会総会・・・20万円

その他。

【パーティー、・・会、フォラム等】(後半)

合計金額:1809万6802円

対象となった議員(述べ人数):88人

全国江田五月会講演会・・・20万円

東京淳風会政経懇話会・・・20万円

樽床伸二政経フォーラム朝食勉強会・・・20万円

自見庄三郎政経懇話会・・・・10万円

その他。

【推薦料】

合計金額:2080万7140円

対象となった議員(述べ人数):60人

小嶋秀行・・・120万円

澁谷陵候・・・100万円?

澁谷陵候・・・100万円?

その他。

【寄附】

合計金額:9462万8350円

対象となった議員(述べ人数):193人

はんだ貫後援会・・・100万円

田村てるお後援会・・・100万円

小嶋秀行後援会・・・・100万円?

小嶋秀行後援会・・・・35万円?

小嶋秀行後援会・・・・60万円?

森本真治後援会・・・・100万円

内海太後援会・・・・・100万円?

内海太後援会・・・・・100万円?

その他。

2012年12月04日 (火曜日)

◆吉竹幸則(フリージャーナリスト・元朝日新聞記者)

何とも心のはずまない総選挙だ。まだしも前の選挙は、少しは政治が変わるとの期待もあった。でも、「戦争の覚悟」を言い出す爺さんもいれば、「200兆円の公共事業」と旧態依然の政策を唱え、先祖返りする党もある。一方で、これまで土建業界などからの資金で選挙をしていた人たちが、国民受けする「脱原発」で厚化粧…。

こんな選挙で国民に「政治が変わる」との期待感を持てと言う方が無理だろう。まともな選択肢がない中で、選挙を境にこの国は、「いつか来た道」にますます迷い込んでしまうのではないか。むしろ私は、それを恐れる。

今回から少し「政治」について語ろうと思う。政治記者時代の経験を披露する前に、皆さんにどうしても聞いてもらいたい話がある。今の政治状況を25年以上も前に予見していた人がいるからだ。

◆国鉄民営化の取材の中で

1986年から87年、私が名古屋本社社会部での国鉄民営化取材で出会った、当時の国労名古屋地方本部委員長だ。その人が私へ語った「遺言」が、今でも私の脳裏に深く刻まれている。

委員長は、私が取材を始めた頃、すでに末期の肝臓がんだった。国鉄民営化を前に、死期を覚悟しながらも入院を拒み、国労組織を何とか守ろうと奔走していた。

その頃の国鉄は、政治家が選挙目当てに作った赤字路線など様々な利権に翻弄され、借金が巨額に積み上がっていた。毎年のように繰り返される運賃値上げ。職員のモラル低下も著しく、国労への世間の風当たりも強かった。

当時の中曽根政権は国鉄経営が行き詰る中、こんな世論を巧みに利用し、民営化とともに戦後の労働運動の大きな担い手だった国労の解体も同時に目論んでいた。委員長は、病気を押してでも、そうした政権の思惑に少しでも抵抗したいとの思いだったと思う。

◆社会党と共産党を分断

委員長と親しくなった私は、フリーパスで部屋に入れた。取材に行くと委員長は、どんな重要な電話をしていても私を横のソファに座るよう手招きしてくれた。だから、委員長が国労中央の幹部らとどのような話をしているか、脇で聞いていて手に取るように分かった。

「革新」を標榜、戦後労働・平和護憲運動を担って来た総評。国労はその主力部隊でもあった。中曽根政権の狙いは、国労の主流派とされる社会党勢力と反主流派の共産党勢力を切り離し、連合を中心とする労働運動に再編することにあったのは確かだろう。

狙いを察知した委員長は、「国労の分裂を出来るだけ避けたい」との名古屋地本の方針を中央本部に伝え、説得していた。

しかし、世間の国鉄への強い批判が国労批判に向く中、主流派勢力の温存のためには、国労の分裂はやむを得ないと考え始めていた中央。何とかその流れを止めたいと思っていた委員長。意見の隔たりは大きくなるばかりだった。委員長は苦しい息の中でも、時には大きな声も出し、激論を交わしていた姿が何より印象的だった。

結局、大勢に抗せず、国鉄は民営化。国労分裂の流れも決定的になった時、委員長は「もはやこれまで」と私に言い残し、入院を決断した。余程、それまで苦しい体を我慢していたのだろう。すぐに重篤に陥り、面会謝絶になった。

◆利権の巣窟になった国鉄

私は、何とか委員長に最後の見舞いだけはしておきたいと思い、国労幹部を介してお願いした。家族を通じて委員長から、「君にはぜひ会いたい」との返事が来て、面会が許された。

病室に入ると、委員長は点滴などの多くの管が繋がれていて、もう起きることさえままならなかった。か細い声で私に話し始めた。

「君にはどうしても言い残しておきたいことがあった。だから来てもらった。いろいろ君とは話してきた。でも立場上、未だに話していない国労運動の神髄がある。それは何だと思う」

私が委員長の話す真意が分からず、答えに戸惑った。すると、委員長はこう続けた。

「少なくとも私たち国労主流派は、どんなに言葉では激しく当局に迫っても実は、国鉄キャリア官僚の利権の聖域には踏み込まなかった。『主流派』が『主流派』でいられた理由もそこにある。だから官僚は、私たち労働者の『権利』にも、踏み込まなかった。官僚は自らの『利権』を守るために、国労・労働者の『権利』にも手を付けないという構図だ」

「その結果として利権の巣窟になり、ボロボロになった国鉄の現状がある。私たちが労働者の『権利』と言って来たものの中にも、今から思うと、実は『労働者利権』と言われても仕方ないものもある。世間の国労批判もそこにあるのだろう。君たちの厳しい国労批判報道も甘んじて受けなければならない面もあることも否定しない。だから私は君にも真摯に対応してきたつもりだ」

そこまで話すと、委員長は、最後の力を振り絞り、「だが」と続けた。

「戦後の平和運動を主力部隊として担ってきたのも、私たち国鉄の労組と炭鉱労組だ。先の事情もあって、国鉄キャリアが私たちの組合運動に干渉してこなかったから、団結も守られ、平和運動に資金も人も思う存分投入出来た。しかし、三池労組も解体した今、国労まで実質潰されたら、この国の平和運動は誰が担っていくのか」

「君たちが国労をどんなに批判してもいい。でも、平和運動を担って来た国労の役割だけは、ぜひ忘れないでもらいたい。多くの労組員はこの国を二度と戦争の惨禍にさらしてはならないと、純粋に平和を願う気持ちで運動に参加した。そこだけは分かって欲しい」

「ここで国労が事実上解体されると、この国の平和運動は資金的にも動員力でも大きな痛手となる。保守勢力が憲法9条の改憲を持ち出したら、それに対抗する国民運動が構築出来るのか。その結果、この国が『いつか来た道』にもう一度、入り込むことがないのか。もう君たち記者に、これまで国労の果たして来たブレーキの役割を期待するしかない」

◆「労組利権」に固執する民主党

委員長はその数日後に、息を引き取った。まもなく国労も総評も分裂。労働運動は「連合」が主流となり、平和運動に参加する労組員の姿はめっきり減った。

私は、「労働者利権」を厳しく追及した以上、「政治家・官僚利権」にはそれ以上に厳しく対処したいと、無駄な公共事業の典型「長良川河口堰報道」に取り組んだ。でも、朝日にその記事を止められた。記者の職まで剥奪されたので、委員長から託された「記者の役割」を果たすことが出来なかった。そのことを、大変申し訳なく思っている。

それから25年余り。国鉄とともに郵政は何とか民営化された。だが、民主政権になっても、震災復興費までつまみ食いする官僚利権政治はますますはびこり、国の借金は1000兆円近くにまで積み上がった。

公務員労組を抱える「連合」を有力な支持母体とする民主は、その既得権益になかなか踏み込もうせず、行政改革や公約した公務員の削減はほとんど実現していない。寄合世帯では、「改憲」か「護憲」かの態度すら、あいまいなままだ。

一方、この総選挙では、先祖返りして「200兆円の公共事業」を売り物に、「改憲」や「国防軍」の設置を主張する自民の優勢が伝えられる。「行政改革」「利権政治の打破」を主張する有力な第3極は、セットで憲法9条の改憲をおおっぴらに唱える。「護憲」を唱える社会や共産は、広範な労働者のバックを失い、その声はか細くなるばかりである。

「利権」か否かは議論があっても、少なくとも「労働者の権利」を主張した勢力と、「平和・護憲勢力」が一体化していた過去の歴史を考えれば、「平和・護憲」を唱える勢力から、「行政改革」「小さな政府」を主張する勢力が出にくい事情はそこにあるのだろう。

まさに委員長が予言した通りの政治情勢が、今ここにある。その中で展開される今度の総選挙。官僚・公務員利権を排した「小さな政府」を望みつつ、「改憲」も嫌と言う人たちは、どうすればいいのか。

その結果、委員長が危惧した通りのブレーキ役を失った改憲勢力片肺政治が現実となると、この国は何処へ行くのか。私はぜひもう一度、「委員長の遺言」を多くの人に噛みしめてもらいたいと思うのだ。

≪筆者紹介≫ 吉竹幸則(よしたけ・ゆきのり)

フリージャーナリスト。元朝日新聞記者。名古屋本社社会部で、警察、司法、調査報道などを担当。東京本社政治部で、首相番、自民党サブキャップ、遊軍、内政キャップを歴任。無駄な公共事業・長良川河口堰のウソを暴く報道を朝日から止められ、記者の職を剥奪され、名古屋本社広報室長を経て、ブラ勤に至る。記者の「報道実現権」を主張、朝日相手の不当差別訴訟は、戦前同様の報道規制に道を開く裁判所のデッチ上げ判決で敗訴に至る。その経過を描き、国民の「知る権利」の危機を訴え報道弾圧(東京図書出版)著者。

2012年12月03日 (月曜日)

2001年6月、司法制度審議会が提出した意見書に基づいて、司法制度改革が始まった。小泉内閣に司法制度改革推進本部が設置された。イニシアチブを取ったのは、次の国会議員である。

本部長:小泉純一郎(内閣総理大臣)

副本部長:福田康夫(内閣官房長官)、森山眞弓(法務大臣)、

本部長補佐:安倍晋三(内閣官房副長官)、上野公成本部長補佐(内閣官房副長官)

人事構成を見れば分かるように、司法制度改革は自民党のメンバーを中心に押し進められてきたのだ。

それから10年。現在の司法界には、さまざまな問題が吹き出している。代表的なものとしては、SLAPPの多発、高額訴訟の多発、虚偽の事実を前提に提訴して弁護士報酬をかせぐ手口の多発などである。

結論を先に言えば、わたしは司法制度改革は、弊害の方がはるかに大きいと思う。訴訟をビジネス化した。もちろん、まだ良心的な弁護士も多いが、金さえ払えば誰の弁護でも引き受ける金銭感覚が欠落した者も増えている。

司法制度改革は、米国からの外圧によって推進されたという説も有力だ。たとえば、『拒否できない日本』(関岡英之著・文春新書)は、このような視点から書かれた本だ。同書によると、米国政府は「年次改革要望書」で司法改革についての方向性も示していたという。

たしかにアメリカは高額訴訟の国である。が、米国にはSLAPPを禁止する法律も存在する。この点が日本とは違う。一方、日本ではSLAPPの概念すらない。類似したものとしては、訴権の濫用があるが、これはめったに適応されない。

(例外的な例としては、加藤新太郎裁判官(東京地裁)が、被告・池田大作氏に適用したことがある。)

SLAPPを厳しく罰すれば、司法制度改革で増えた弁護士が収入の道を断たれるリスクがあるからだ。日弁連がこの問題に沈黙しているゆえんではないだろうか。

◇虚偽の事実を前提とした裁判  

虚偽の事実を前提とした訴訟とは、具体的にどのようなものを言うのだろうか。最も分かりやすい例は、読売の江崎法務室長がわたしに仕掛けた著作権裁判である。

(参考:12月12日に福岡高裁の大法廷で本人尋問、対読売の「反訴」裁判 )

さらにレコード会社31社が作曲家の穂口雄右氏にしかけた2億3000万円を請求する訴訟も、検証が必要だ。この裁判は、穂口雄右氏が経営するミュージックゲート社が提供するYOUTUBE上の楽曲などを対象としたファイル転換サービス(移動通信機器での視聴を可能にする)が、著作権違反にあたるとして起こされたものである。

訴状でレコード会社側は、証拠ファイルが1万個を超えると述べていた。ところが実際に提出できた証拠ファイルは、150個に満たなかった。訴状に明記した記述に裏付けがあるのか、という疑問が生じている。まだ、事実関係が確定したわけではないが、さらなる検証が求められる。

もちろん請求額は、証拠ファイル1万個を前提に見積もられている。

この他にも明らかに弁護士が作文したと思われる嘘の陳述書が提出される例が後を断たない。

このような陳述書は、文体と作文のパターンを見れば見当がつく。たとえばわたしの手元に、店主がいかに無能であるかを綴った新聞販売店の従業員たちによる陳述書がある。これらを読み比べると、同じ文体、同じパターンで書かれていることが多い。

新聞社の記者や弁護士が作成した嘘の記述の可能性がある。

なぜ、嘘の証拠を提出してまで、裁判を起こすのだろうか?訴訟をビジネスとして位置づけている結果ではないだろうか。が、嘘の証拠を提出して、それが暴露された時は、弁護士の側が懲戒請求などのリスクに晒されることになる。

ちなみに最も勝率の高い裁判は、名誉毀損裁判である。SLAPPと名誉毀損裁判がむつび付くゆえんにほかならない。