2015年01月14日 (水曜日)

ジャーナリズムの役割を放棄して、情報産業に変質した日本の新聞社の実態を如実に示す2つの事実を紹介しよう。もっとも「情報産業に変質した」といっても、これは昨今に起こった現象ではなく、枝葉末節の新聞肯定論は否定しないとしても、基本的に日本の新聞社は創業以来、公権力と本気で戦ったことはない。特に、ここ数年のデタラメぶりは目にあまるものがある。

まず、最初に紹介する事実は、昨年暮れに行われた衆議院議員選挙で新聞関係者が選挙活動を行ったことである。業界紙の報道によると、日本新聞協会と協同して新聞に対する消費税の軽減税率の適用を求めている日本新聞販売協会(日販協)が、衆院選で139人の候補者を推薦し、このうち131人が当選したという。

支援の対象となった候補者は、業界紙によると、「新聞への軽減税率適用に協力する候補」である。当選した議員の政党別内訳は、自民が102人、公明が19人、民主が9人、無所属が1人である。詳細は次の通りである。

  ■当選議員一覧PDF

結果として新聞関係者は、安倍政権下で進む新自由主義の再起動と軍事大国化の流れを、後押ししたことになる。安倍政権のサポーターになることで、新聞に対する軽減税率の適用を勝ち取る道を選んだのだ。

改めていうまでもなく、政治献金も支出している。

■参考記事:新聞業界から150人を超える議員へ献金、背景に軽減税率の問題、90年代には「新聞1部につき1円」の献金も

ちなみ新聞関係者は、なぜ、軽減税率適用にこだわりを見せるのだろうか。それは「押し紙」(販売店へ搬入される読者数を超えた新聞で、卸代金の徴収対象になる。「押し紙」は独禁法に違反する。)にも、消費税がかかるからだ。

読者から購読代金が集金できない「押し紙」の消費税を負担すれば、新聞販売店がつぶれて、販売網は崩壊しかねない。本来、「押し紙」政策をやめれば、軽減税率適用は不要だが、新聞社は、公称部数をかさ上げすることで、紙面広告の収入を増やそうとしている。それゆえに「押し紙」政策をやめない。

「1部も『押し紙』はない」と開き直ってきたのである。

第2の事実は、軽減税率に関する密約存在の可能性である。

◇密約存在の可能性

『マスコミ市民』(2015年1月)に掲載された川崎泰資氏と桂敬一氏の対談の中で、川崎氏が密約について、次のように述べている。

それから、読売のナベツネが主導して軽減税率の中に新聞を入れる密約ができました。そうすると、今度の選挙は新聞代の値上げを避けるために強権政権に協力したという話になるのです。

川崎氏に対して、桂氏も次のようにこの問題に言及している。

裏は取れませんが、現実にそういう流れができています。しかし、朝日にしても軽減税率となると、実施してほい気持ちが販売を中心にある。産業退勢のなか、どの社も独りで実施反対で頑張るなどできない。今度の総選挙は、そういう事情の下、言うべきことも言いにくい状況があり、一体どうなってしまうのか心配です。

かりに密約が事実だとすれば、政策上で便宜を図ってもらうことを条件に、新聞関係者たちは特定候補を支援したことになる。政策の買収にほかならない。

もともとジャーナリズムは自分の主張を展開する手段であるから、電波利権がからむ放送は別として、新聞が特定政党の支持を打ち出すのは自由だ。むしろ好ましい。しかし、日本の新聞関係者のように、「公正・中立」の看板をかかげ、その対極で政治活動をすることは、あるまじき行為である。

◇メディアコントロールの方法

権力を持つ者が言論をコントロールする最も簡単は方法は、経営上の弱点に付け込むことである。それを前提、利権を提供することだ。たとえば次の項目は、メディアコントロールの道具として機能する。

①独禁法違反の「押し紙」の放置。(本来は、公取委が取り締まるべき問題。)

②折込広告の詐欺行為の放置。(本来は、警察が取り締まるべき問題。)

③軽減税率の適用。

④再販制度の維持。

新聞と政界の関係を知れば、新聞紙面の読み方も違ってくるのではないだろうか。読者は、世論誘導に騙されてはいけない。

冒頭の動画:水増した折込広告を段ボールに詰めて、新聞販売店から搬出している場面を撮影したもの。段ボールは、新聞社の販売会社が提供していた

2015年01月13日 (火曜日)

携帯電話や無線PCなどの通信に欠くことができないのが、基地局である。マイクロ波による人体影響を想定して、インドや欧米では、基地局の設置を規制する動きがある。特にインドのムンバイ市では、2013年1月に、市当局が約3200局の基地局を撤去の対象に指定した。

ところが日本では、基地局の設置に実質的に規制がない。電磁波の規制値をクリアーしていれば、自由に設置してもいいことになっている。その規制値は、たとえばオーストリアのザルツブルグ市に比較すると、1000万倍も緩やかなもので規制にはなっていない。箸にも棒にもかからない数値である。

こうした実態の背景に、ひとつには、IT関連の企業や業界団体、それに電話会社の労働組合からの莫大な政治献金がある。

自民党の政治資金団体・日本国民政治協会の政治資金収支報告書(2012年度分)によると、携帯電話3社(NTTドコモ・KDDI・ソフトバンク)のうち、NTTドコモとKDDIが政治献金を送っている。

■参考記事:携帯ビジネス関連の企業から、自民党の政治資金団体へ多額の献金、日本電機工業会から5000万円、ドコモから600万円、東芝から1400万円、2大政党制の影のカラクリ

改めて言うまでもなく、政治献金を提供するということは、政策の買収である。議会制民主主義の国では、やってはいけないことである。ところが日本では、自民党政治の下でそれが慣行化している。

かつて「エコノミック・アニマル」という言葉が流行したが、自社の収益を伸ばすために、住民の健康を犠牲にする企業の姿勢は、「エコノミック・アニマル」を通りこして、「死の商人」に等しい。

電磁波問題に関しては、国会議員もなかなか腰をあげないのが実態である。携帯電話や無線PCのヘビーユーザーが増えている状況の下で、これらの通信機器のリスクを口にすると、嫌われるからだ。大衆(特に若い世代)の支援を失いかねないからだ。ヘビーユーザーの大半は、「完全」と信じて、携帯電話を使いたい人々である。

「タバコはストレス解消になる」と言って、頑なに禁煙を拒否する心理と同じだ。

◇自由に配布できるチラシ

次にリンクしたのは、無線通信機器(携帯電話、無線PC,スマートフォンなど)や携帯基地局の安全性について考えるためのチラシである。特定の電話会社を名指していないので、修正することなくすべての基地局の周辺で配布できる。わたしを含めた制作者が著作権を放棄したので、誰でも自由に使うことができる。

表裏の両面を印刷して、基地局周辺や駅頭で配布することができる。

 ■著作権を放棄したチラシPDF

 ■著作権を放棄したチラシWORD

2015年01月12日 (月曜日)

『東洋経済(電子版)』(1月10日)に、「NTTドコモの誤算、インド投資撤退に難航、投資先の通信会社は960億円の債務超過」と題する記事が掲載されている。インドにおける携帯ビジネスが当初の予想どおりにいかなくなり、撤退しようにも、撤退できなくなったというのだ。

インドの投資案件から撤退を決めていたNTTドコモが、退くに退けない状況に陥っている。懸案は2009年に行った投資だ。ドコモは現地の通信事業者であるタタ・サービシズリミテッド(以下、タタ社)に合計2670億円を出資し、株式の26.5%を保有している。

だが、厳しい競争環境に加えて、獲得した電波が割り当てられないという誤算続き。業績は赤字で、投資から5年で減損など2220億円もの関連損失を計上している。

実は、インドで携帯ビジネスを進めている企業は、NTTドコモに限らず、大きな壁に突き当たっている。現地を取材していないので、確定的なことは言えないが、その大きな背景には、日本では報じられていないある決定的な事情があるのだ。

結論を先に言えば、携帯基地局の設置が極めて厳しく規制されるようになったのだ。その背景については、MEDIA KOKUSYO(2014年11月28日)で紹介した次の記事に詳しい。

インドで携帯基地局の規制がはじまる

ムンバイ市が、学校、大学、孤児院の近くでの携帯基地局設置を禁止

インドで最も人口が多いムンバイ市は、2013年8月、学校、大学、孤児院、児童リハビリテーション施設、それに老人ホームから100メートル以内に携帯基地局を設置することを禁止した。同市は、学校や大学、それに病院などに設置されているアンテナを撤去するように命じた。

さらにムンバイ市は、マンションの最上階に住む全居住者の承諾と、マンション居住者全体の70%の承諾がない場合、住宅の屋根にアンテナを設置することを禁止した。

 これにより法律に抵触する状態で設置されている3200の基地局の撤去が始まった。この政策は、もともと2013年1月に発案されたもの。(略)

ムンバイ市があるマハラシュトラ州の州政府は、2013年10月の中旬、放射線の規制値を10倍厳しくするかわりに、ムンバイ市の方針を採用しない試案を発表した。現在、州政府と市当局の交渉が続いている。(黒薮訳)

■出典 

◇理工系の先進国・インド

欧米こそが科学技術の先進国という偏見に支配されている人々は、インドが理工系の先進国に近づいている事実を冷静に受け止めるようとはしない。インドは、マイクロ波が生態系に及ぼす研究でも先端を走っている。

たとえば現在の段階では、ほとんど着手されていないマイクロ波が植物に及ぼす影響について、インド工科大学のギリッシュ・クマール教授は、『基地局からの放射に関するレポート』(Report on Cell tower Radiation,2010)で次のように述べている。

 携帯局タワーから放たれる電磁放射は、その付近の野菜、穀物、果実などの植物に影響を及ぼす。携帯電話用のEMFは種子を枯らし、発芽と根の成長を阻害し、穀物、果実、植物の成長に、農業全体に影響を与えることを、研究結果が決定的に示している。高圧EMF送電線近くの麦畑・トウモロコシ畑の減収も報告されている。(渡邉建訳)

◇海外派兵の目的は?

インドで携帯基地局の設置に厳しい規制が課せられるようになった事実は重い。今後、欧米でも同じ傾向が現れる可能性が高い。

ただ、日本の場合、自民党と民主党に対して、IT関連の業界から多額の政治献金が行われているので、規制が大幅に遅れる可能性が高い。当然、人的被害も拡大することになるだろう。献金の実態については、次の記事を参考にしてほしい。

■携帯ビジネス関連の企業から、自民党の政治資金団体へ多額の献金、日本電機工業会から5000万円、ドコモから600万円、東芝から1400万円、2大政党制の影のカラクリ

NTTドコモのケースは、日本政府の立場からすれば、単に日本企業1社の権益にかかわる問題なので、傍観せざるを得ないが、かりにインドに進出している日本企業全体の権益にかかわるような問題が起きた場合、どのような措置が取られるのだろうか。おそらく、条件さえ整えば、それは海外派兵である。そのために安倍内閣は、改憲を急いでいるのである。

海外派兵は、国際貢献が目的ではない。経済がグローバル化する中で、多国籍企業の権益を守ることが本当の目的なのだ。しかも、安倍内閣は、それを日本単独でも行える体制を整えようとしている。

かつて海外派兵といえば、他国を植民地化することだったが、現在は、企業防衛が最大の目的になっている。同じ派兵でも、太平洋戦争時のスタイルに戻そうとしているのではない。そのために血税が注ぎ込まれるのである。

2015年01月09日 (金曜日)

最高裁事務総局の組織である検察審査会の裏金疑惑を追及している志岐武彦氏が主宰するブログ「一市民が斬る」が、8日付けで、鳩山検審における裏金作りを証拠だてる主要な資料を公開した。

鳩山検審の主要な資料PDF

裏金作りの手口は、架空と思われる審査員の日当と旅費を、偽の請求書で支出させ、銀行口座に振り込むという古典的なものだった。しかし、裏金作りの首謀者が、偽の請求書に誤った金額やシリアル番号などを書き込んでいた足跡が、情報公開資料の精査によって発覚した。

偽の審査員の名前も間違っていた可能性が極めて高いが、情報公開資料にあるこの箇所が黒塗りにされているので、確実なことは言えない。

鳩山検審における裏金作りの手口は次の通りである。

鳩山検審に裏金づくりの疑惑、同じ請求書が2枚あったことが情報公開資料の精査で判明

志岐氏が解明した2つの検審事件-小沢検審と鳩山検審-のうち後者には、確証がある。実在する審査員が自分で請求書を作成したのであれば、絶対に起こりえない記入ミスを犯し、それに捺印(情報公開資料では、黒塗り)しているからだ。

なぜ、裁判所の不正が重大問題なのだろうか?

◇鳩山氏がなぜ不起訴なのか?

改めていうまでもなく、裁判所は、人を裁く特権を持った機関であるからだ。人を裁く機関が、組織ぐるみで不正(鳩山検審・小沢検審)を働くようでは、彼らが下している判決そのものが信用できなくなる。事実、このところだれが判断しても、おかしな判決や議決が増えている。

たとえば、「押し紙」裁判の判決である。多量の写真、動画、証言、裏付け書類が存在するにもかかわらず、裁判所は権力構造のひとつである新聞社を基本的に救済してきた。中央紙の勝率は、圧倒的に高い。

携帯電話の基地局の撤去を求める裁判でも、裁判所は、論理が破綻した的はずれな判決を出している。たとえば延岡大貫訴訟である。この裁判では、住民が受けている健康被害を認定しながら、医学的な根拠が不明であることを理由に、住民を敗訴させ、被告のKDDIを救済したのである。

しかも、裁判官は原告住民の要請にもかかわらず、現地を「取材」していない。物事を判断するさいの基本すら踏み外しているのである。

さらに鳩山検審・小沢検審の議決も、個人的に変だと思う。鳩山氏がなぜ不起訴になったのか疑問が残る。

わたしは「人を裁く特権」を持つ機関は、ある意味では尊ぶべきだと思う。が、そうであれば、不正が発覚した以上は、裏金を返済した上で、幹部が総辞職すべきだろう。最も厳しい「処分」が妥当だ。納税者として、当然の要求である。

繰り返しになるが、検察審査会の不祥事は、その上部機関である最高裁事務総局の不祥事である。

これから特定秘密保護法が本格的に運用されるだろう。警察による不当な逮捕にお墨付きを与えるのも、裁判所である。逆説的に言えば、裁判所に誇りと尊厳があれば、特定秘密保護法の濫用も防止できるのである。

【訂正】8日付け本サイトの記事の中で、「2008年1月は、安倍内閣の時代である」と書きましたが、「福田内閣」の間違いでした。訂正に伴い、記事全体を若干修正しました。

2015年01月08日 (木曜日)

本サイトで繰り返し報じてきた検察審査会をめぐる2つの疑惑。小沢検審疑惑と鳩山検審疑惑の共通点について、解説しておこう。そこから検察審査会制度の闇、あるいはそれを牛耳っている最高裁事務総局の実態が輪郭を現してくる。

なお、2つの検審疑惑の詳細については、次の記事を参考にされたい。

「最高裁をただす市民の会」が小沢検審の架空議決疑惑で、会計検査院に調査を要請 

鳩山検審に裏金づくりの疑惑、同じ請求書が2枚あったことが情報公開資料の精査で判明

繰り返しになるが、検察審査会とは、「検察」の名を付しているものの、検察による不起訴決定の当否を審査する最高裁事務総局の組織である。従って検察審査会の不正は、裁判所の不正にあたる。

2つの検審疑惑を解明した『最高裁の罠』(K&Kプレス)の著者・志岐武彦氏によると、この問題を考えるうえで、欠くことができないのは、2008年1月に最高裁がおこなったある「改革」である。

2008年1月21日、最高裁は、「全国に201カ所ある検察審査会のうち地方の50カ所を廃止し、9都市の大規模地裁管内で計14カ所を増設再編案を発表した」(日経新聞・2008年1月22日)のである。

このうち小沢検審と鳩山検審の舞台となった東京検察審査会(東京地裁内)は、「審査会を2カ所から6カ所へ増やす」ことになった。つまり従来は、第1検察審査会と第2検察審査会の2つだけだったが、これに第3、第4、第5、第6の検審を新たに設置することになったのだ。

事実、この計画は実施され、現在、東京地裁管内には、6つの検察審査会が置かれている。

◇なぜ、新設の検察審査会なのか?

小沢検審と鳩山検審は、どの検審に割り当てられたのだろうか?結論を先に言えば、小沢氏が第5検審で、鳩山氏が第4検審である。いずれも新設の検審が小沢事件・鳩山事件を担当することになったのだ。両人とも野に下ったばかりだった。(注:小沢氏の場合は、最初は第1検審、2回目で第5検審)。

なぜ、2人は新設に割り当てられたのか。答えは簡単で、検察審査員(補充員を含む)の任期は半年で、半年ごとに審査員の半数が入れ替わる制度になっているために、従来からある第1と第2では、架空審査員を設定することが出来ないからだ。

まったく新しい審査会であれば、架空審査員の設定と架空議決、さらには裏金づくりの舞台までを準備することが可能になるからだ。事実、小沢検審と鳩山検審には、本サイトで繰り返し述べてきた、根拠のある疑惑がかかっている。

◇第1次安倍内閣と検審の関係

志岐氏が指摘している2008年1月は、福田内閣の時代である。この時期に検察審査会の改編がおこなわれたわけだから、それ以前の内閣で改革案ができていたものと推測される。

当時は、小泉構造改革により社会的な格差が広がり、政権交代の世論が高まってきた時期である。多くの国民が新自由主義からの脱皮を求めたのである。

その結果、何が起こったか。改めて言うまでもなく民主党の台頭である。
安倍内閣に続く、福田・麻生の両政権は、やむなく構造改革=新自由主義の手直しをよぎなくされたが、それも失敗に終わり、民主党政権の成立が避けられなくなった。

そして実際に鳩山内閣が成立したのである。が、鳩山政権は、米国の圧力に屈した。鳩山氏の後任として、菅政権は構造改革=新自由主義への回帰をはかり、反新自由主義とまでは言えないまでも、民衆に一定のシンパシーを持っていた小沢氏は排除されたのである。

その後、鳩山氏は第4検審で、小沢氏は第5検審で、そろって議決を受けることになる。小沢氏が「起訴」で、鳩山氏が「不起訴」である。

が、現在、小沢検審と鳩山検審に本当に審査員がいたのかという根拠のある疑惑かかっているのである。

繰り返しになるが、新設の検察審査会は、自民党政権の時代に準備が整っていたのである。権力抗争と疑われても仕方がない。

2015年01月07日 (水曜日)

携帯電話、スマートフォン、無線のパソコンなどの通信に使われるマイクロ波の安全性について、通信会社はどのように考えているのだろうか。今回は、これまでMEDIA KOKUSYOであまり取り上げなかったUQコミュニケーションズのWiMAXサービスを検証してみた。

同社は、無線でパソコンを操作することを可能にしたWiMAXサービスを提供している。UQが使用しているマイクロ波は、同社のウエブサイトにある野坂章雄社長のあいさつによると、「2.5GHz帯の周波数30MHz」である。

2.5GHzという周波数は、家庭に普及している電子レンジの2.6 GHzに極めて近い。そのために最近、MEDIA KOKUSYO宛てに、電子レンジに近い周波数の電波を使用したパソコンの機能や人体影響に関する問い合わせが時々よせられるようになっている。

そこで昨年の12月にUQに問い合わせてみた。

 

黒薮:これ(無線のパソコン)は電子レンジの近くで使ってはいけないということですか?

UQ:そうですね。電子レンジ等をお使いになりますと、そちらの電波が干渉を受ける可能性がございますので、やはり通信中でしたら、あまりご使用ならない方がよろしいかと思います。

黒薮:電子レンジと同じ周波数であれば、体に悪くないですか?

UQ:そうですね。基本的には体に害のないレベルのものです。

黒薮:だってマイクロ波はWHOの外郭団体が、2011年に発癌性(の可能性)を認定していませんか。

UQ:はい。

黒薮:もし、健康被害が出た場合の補償はしていただけるのですか?

QU:基本的には、そういう話を聞いたことがないので、もし、そういったことがあれば、お問い合わせいただいての対応になるかと思います。

黒薮:対応していただけるわけですね。

UQ:そうですね。

黒薮:今のところは、(被害が)出ていないということですね。

UQ:さようでございます。

UQの主張をまとめると、①WiMAXサービスを利用しているときは、電磁レンジは使わない方がいい、②WiMAXサービスは人体に影響を及ぼすことはない、③健康被害が発生した場合は対処する、の3点である。

2015年01月06日 (火曜日)

携帯電話の基地局撤去を求める裁判は、九州を中心に全国で発生している。その大半は、住民が原告となって、電話会社に対し裁判を起こすオーソドックスな構図である。

次に示すのは、全国で最も基地局関連の裁判が多発している九州地区における訴訟の「足跡」である。

・沼山津裁判(熊本市)1997年

・御領裁判(熊本市)1998年

・三潴裁判(久留米市)2001年

・楡木裁判(熊本市)2001年

・春木裁判(別府市)2002年

・荘園裁判(別府市)2005年

・霧島裁判(霧島市)2005年

・延岡大貫裁判(延岡市)2009年

裁判の勝敗は、いずれも原告住民の敗訴である。電磁波による人体影響が医学的に立証されていないというのが、これまでの司法判断だった。

ただし、2009年に起こされた延岡大貫裁判(被告KDDI)では、基地局の周辺で健康被害が多発している事実は認定された。しかし、この裁判でも、医学的な立証が大きな壁として立ちはだかったのである。結果、今も住民たちは、基地局からの強い電磁波に被曝している。

◇地権者に対する提訴が必要

これまでの基地局裁判には、あるひとつの特徴がある。それは電話会社に基地局設置のスペースを提供している地権者が、法廷に立たされて、責任を追及された前例が1件もないことだ。地権者は常に係争の外側で、傍観者として係争を見守ってきた事実である。

地権者の責任は、電話会社と同等に重い。基地局近隣の住民が健康被害を受けるリスクを知りながら、あるいは実際に健康被害が発生していることを知っていながら、賃料ほしさに、電話会社にスペースを貸し付けるわけだから、「重罪」だ。

地権者の中には、みずからは基地局の影響が及ばないところに住んでいる「資産家」も少なくない。住民たちから苦情がでると、「窓口」は電話会社になっているので、電話会社と交渉してほしいというのが、彼らの常套手段になっている。

が、地権者を蚊帳の外において、電話会社と交渉するのは、電話会社の思うつぼである。電話会社と同様に、地権者の責任も問わなければならない。

今後、健康被害に対する損害賠償の問題も浮上してくると思うが、その際に地権者を被告にするのが得策である。地権者は、土地やビルの持ち主であるから、経済的にも賠償能力はある。

たとえば住民10名が、1人3000万円ぐらいの損害賠償(総計で3億円)は、十分に請求できるだろう。

◇兵庫県川西市の調停ケース

ちなみにこれまでわたしが取材した中では、裁判所が介入する係争に地権者を巻き込んだケースが1件だけある。裁判ではなくて調停である。2008年に解決した兵庫県川西市の例である。

これに関する詳細は、拙著『あぶない!あなたのそばの携帯基地局』(花伝社)に詳しいが、手短に言うと、NTTドコモ、阪急バス、それに住民の3者による調停事件である。

このケースでは、地権者である阪急バスが、住民の要望に応えて、NTTドコモに対して、スペースの賃貸を断った結果、事件はあっさりと解決した。

ただ、地方都市では地権者に対して、法的な措置を取ることに抵抗を覚える人も多いようだ。特に地権者が地域の有力者である場合などは、その傾向が強い。

わたしは地権者の責任を厳しく問うことで、基地局の設置に一定の歯止めをかけることができるのではないかと考えている。

2015年01月05日 (月曜日)

第2次安倍政権が発足してから2年になる。この間の安倍首相と報道機関の親密な関係が批判の的になってきたが、昨年の12月24日、山本太郎議員が、公式に質問主意書のかたちで、この問題を指摘した。

質問主意書は8ページからなり、冒頭で安倍首相がこの2年間で報道関係者との会食を40回以上も重ねている事実を指摘して、「政権のトップとメディア関係者の親密な関係、メディアの癒着が、報道の中立公正公平、不偏不党の観点から批判の対象となることは、今や欧米などの先進諸国においては常識であり、安倍首相のこれらの行動は、国際的な常識から見ても極めて奇異であると言わざるを得ない」と述べている。

さらに飲食に関しては、報道関係者だけではなくて、企業や団体の関係者とも会食を重ねていることを指摘している。

一連の会食のうち、質問主意書では、具体的にいくつかの会食を指摘して、会計に関する明細を明らかにするように求めている。たとえば次の会食である。

特定秘密保護法が成立した10日後の2013年12月16日に、東京・赤坂の中国料理店で行われた会食。

安倍首相が初めて靖国神社を参拝した2013年12月26日に、東京・赤坂の日本料理店で行った会食。

消費増税が施行された2014年4月2日と翌3日に、行った会食。(料亭名は記されていない)。

2014年12月14日に行われた衆議院議員総選挙の2日後にあたる12月16に、東京・西新橋のすし店で行った会食。

会食に関する経理問題に加えて、山本議員は政府見解を求めている。

◇「アメと鞭」の政策

戦前から現代にいたるまで、国策を進めるうえで報道関係者(特に新聞)や文化人が果たしてきた負の役割は重大だ。しかし、両者が癒着する原因は、単に情交関係だけではなくて、利権がからんでいる。この点を見落としてはならない。

まず、新聞社についていえば、政府により新聞社の経営上の弱点を握られている事情がある。弱点を握ることで、政府は「アメと鞭」の政策を進める。たとえば次の「アメ」である。

①再販制度という既得権益。

②新聞に対する軽減税率の適用。

③本来、公取委が取り締まるべき「押し紙」問題の放置。

④本来、警察が取り締まるべき「折込チラシ詐欺」問題の放置。

⑤記者クラブを通じた情報提供。

⑥安倍首相による新聞社に対する単独インタビューの提供。

◇フリーランサーの経済的事情

一方、文化人に関して言えば、雑誌を見ればすぐに分かる。読者は昨年の朝日バッシングに、文化人の誰が便乗したかを、次の記事を参考に検証してみてほしい。

朝日バッシングに見る国際感覚の欠落、雑誌ジャーナリズムにおける海外との質の差が顕著に

おそらく背景に、フリーランサーの経済的事情があるのではないか?

ちなみに文化人が時の政権にすり寄る傾向は、昔からあったようだ。たとえば半藤一利氏の『昭和史』(平凡社)は、太平洋戦争直後の文化人のコメントを紹介している。小林秀雄、亀井勝一郎、横光利一といった人々である。

中島健蔵:「(これは)ヨーロッパ文化というものに対する一つの戦争だと思う」

本多顕彰:「対米英宣戦が布告されて、からっとした気持ちです。・・・・・・聖戦という意味も、これではっきりしますし、戦争目的も簡単明瞭となり、新しい勇気も出て来たし、万事やりよくなりました」

小林秀雄:「大戦争がちょうどいい時にはじまってくれたという気持ちなのだ。戦争は思想のいろいろな無駄なものを一挙になくしてくれた。無駄なものがいろいろあればこそ無駄な口をきかねばならなかった」

亀井勝一郎:「勝利は、日本民族にとって実に長いあいだの夢であったと思う。即ち嘗てペルリによって武力的に開国を迫られた我が国の、これこそ最初にして最大の苛烈極まる返答であり、復讐だったのである。維新以来我ら祖先の抱いた無念の思いを、一挙にして晴すべきときが来たのである」

横光利一:「戦いはついに始まった。そして大勝した。先祖を神だと信じた民族が勝ったのだ。自分は不思議以上のものを感じた。出るものが出たのだ。それはもっとも自然なことだ。自分がパリにいるとき、毎夜念じて伊勢の大廟を拝したことが、ついに顕れてしまったのである」

■山本議員の質問主意書PDF

 

2014年12月31日 (水曜日)

MEDIA KOKUSYOの主要ニュースです。アクセスが多かったものを中心に選びました。2015年度の更新は、5日からの予定です。

LEDを4ヶ月浴びた熱帯魚の背骨がS字型に変形、原因不明も重い事実

読売の部数が10カ月で約77万4000部減、「数字で見る読売新聞」には10,007,440部と表示、部数減は朝日の比ではない

ノーベル物理学賞の青色LEDと加齢黄斑変性の関係、受賞者と一体化して喜ぶメディアにも問題

LEDのリスクを提起する視点が欠落、ノーベル物理学賞をめぐるマスコミ報道の盲点

小渕優子議員の自民群馬県第5選挙区支部から、東京ドームへ入場料84万円、明治座から寄付金24万円

ソフトバンクが公開したNTTグループへの天下りリスト 総務省が基地局問題を規制しない背景か

鳩山検審に裏金づくりの疑惑、同じ請求書が2枚あったことが情報公開資料の精査で判明

米国とキューバが国交回復へ、背景にラテンアメリカの激変と国際政治地図の更新 

「最高裁をただす市民の会」が小沢検審の架空議決疑惑で、会計検査院に調査を要請 

インドのムンバイ市が携帯基地局の設置を厳しく規制、3200局が撤去の対象 

携帯ビジネス関連の企業から、自民党の政治資金団体へ多額の献金、日本電機工業会から5000万円、ドコモから600万円、東芝から1400万円、2大政党制の影のカラクリ

安倍首相が「共同通信加盟社編集局長会議」に参加、進むマスコミと政府の病理、背景に新聞に対する消費税の軽減税率適用問題など

米国CSIS (戦略国際問題研究センター)のウエブサイトで読み解く解釈改憲の舞台裏、安倍首相が米側に「強い日本を取り戻します」

2014年12月30日 (火曜日)

KDDI基地局の稼働差し止めを求めた延岡大貫訴訟の原告団(岡田澄太原告団長)は、12月5日の控訴審敗訴(福岡高裁宮崎支部・田中哲朗裁判長)を受けて、地域住民を交えた今後の対応策を話し合い、19日に最高裁に上告した。

控訴審判決は、一審に続いて健康被害が発生していることは認めつつも、「科学的観点からの立証は不十分だと言わざるを得ない」という内容だった。

控訴審では、過去に起きた携帯基地局の稼働差し止めを求める3件の裁判で、いずれも被告の電話会社を勝訴させた前歴がある裁判長が担当するなど、電磁波問題とは別に、司法の公平性も問われていた。

12月5日の判決後に発表された原告団声明で岡田団長は、みずからの体験に照らし合わせて、日本の司法制度を次のように批判している。

大貫町の住民を24時間、電磁波という「見えないムチ」で叩き続けているのはKDDIであり、まさに刑法で裁かれるべき刑事犯であります。

しかしながらこの憎きKDDIと並んで、私たち住民に苦痛と絶望を与えているのは裁判所であることを、この裁判を通じて思い知らされました。
裁判という解決手段の闘いを振り返って、私たちは裁判所・司法に対して、むなしさがこみ上げてきます。

なぜ、私たちの助けてくださいという命の叫びを裁判所・司法は分からないのか、分かろうとしないのか。

立法の行き過ぎを諫め、行政の横暴を質し、国民が健康で文化的な営みをすることの担保を担っているのが、司法であり、それが司法の責務ではないのか。

国民の基本的人権をそして生存権を、あらゆる事象から守り抜くことが「司法」の存在意義ではないのか。

その司法が、立法に慮り行政にすり寄り、その裏返しとして国民の基本的人権を踏みにじるという、今の司法はまさに死んでいるとしか思えません。
三権分立の要である位置にいながら、自らその職責を忘れ、国民を絶望の淵へと導こうとしています。

■原告団声明全文

■判決の要旨

2014年12月26日 (金曜日)

2010年9月14日に検察審査会(以下、小沢検審)が小沢一郎議員に対して下した起訴相当議決は、最高裁事務総局による架空議決だったのではないかという疑惑があることはすでに周知となっている。

しかし、同じ時期に平行しておこなわれていた鳩山由紀夫元首相に対する検察審査会(鳩山検審)に関する疑惑についてはほとんど知られていない。

鳩山検審疑惑が浮上したのは、今年の8月だった。『最高裁の罠』の著者・志岐武彦氏が疑惑の裏付けを解明したのである。

先日、わたしはMEDIA KOKUSYOに「『最高裁をただす市民の会』(志岐武彦代表)が小沢検審の架空議決疑惑で、会計検査院に調査を要請」と題する記事を書いた。

「最高裁をただす市民の会」が、会計監査院に対して調査を依頼したという内容だ。が、この記事では、読者の混乱を避けるために、あえて書かなかったことがある。それが鳩山検審疑惑である。

実は、鳩山検審疑惑についても、「市民の会」は、同じ日に会計検査院に対して調査を要請する文書を提出した。

【注】検察審査会というのは、検察の組織ではなくて、検察による不起訴事件を検証して、被疑者を法廷に立たせる法的権限を持っている最高裁事務総局の組織である。審査員は、有権者から抽選で選ばれる。

鳩山検審疑惑とは、最高裁事務総局、あるいは裁判所にかかっている疑惑なのだ。その疑惑とは、ずばり裏金づくりである。にわかに信じがたい事であるが、「市民の会」は、裁判所による裏金づくりを示す決定的な証拠を握ったのである。

ちなみに鳩山事件とは、鳩山元首相が母親から資産譲渡を受け、秘書がこれを支援者120人からの献金として政治資金収支報告書に記載した事件である。鳩山氏は不起訴になったが、これを不服とした市民により、東京検察審査会への申し立てがあり、鳩山検審が開かれたのである。その鳩山検審で、裏金づくりが行われた決定的な裏付け証拠があるのだ。

◇裏金づくりの方法
この疑惑を理解するために、読者はまず、自分が検察審査会の事務局員という立場で、裏金づくりをするには、どのような方法を取るかを、たとえば次のような設定で、考えてほしい。

【設定】
、検察審査会の審査員名簿に、Aさん、Bさん2人の架空審査員を加える。

、審査会を開催するたびに、Aさん、Bさんの日当と交通費を「裏口座」に振り込む。

これはもっともオーソドックスな裏金づくりの方法である。

【請求手続き】
しかし、検察審査会の事務局に日当と旅費を請求する場合に不可欠になるのは、請求書である。経理処理をする上で、架空人物であるAさん、Bさんが作成した請求書が不可欠になる。

ところがAさん、Bさんは架空人物であるから、検察審査会の事務局員が架空の請求書を作成せざるを得ない。その際、たとえばBさんの請求書に、間違ってAさんに関する記載事項(シリアルナンバー、身分)を記載すれば、同じ内容のAさんの請求書が2枚できてしまう。

◇裏金づくりの足跡

Aさんの請求書が2枚存在していることに気づいた時点で、1枚を破棄して、最初からBさんの請求書を作成しなおしていれば、内部告発がない限り、裏金づくりは発覚しない。が、鳩山検審のケースでは、同じ審査員(A)の請求書が2枚あることに気づいた職員が、請求書上で訂正作業を行ったようだ。そして、別の人物(B)の請求書としてお金を支出したのである。

その足跡が情報公開資料を精査した結果、明らかになったのだ。

Bさんが実在する人物であれば、自分で作成する請求書の記入事項(シリアルナンバー、身分など)を間違うはずがない。たとえば間違ったとしても、最初から請求書をつくりなおすだろう。後から職員がとんでもない間違いに気づいたから、請求書上で訂正作業をせざるを得なかったのだ。

次に示すのは、鳩山検審の関係者による訂正作業の跡を示す書面である。

■請求書上の訂正作業の跡を示す書面

繰り返しになるが、本人が請求書を作成して提出していれば、自分に該当しない身分やシリアルナンバーを記入するはずがない。職員が作成したから間違ったのである。

以上の点を踏まえて、11月19日付けの次の記事を読むと、鳩山検審疑惑とは何かが見えてくる。

  鳩山検審に架空審査会の疑惑、いわくつきの請求書で浮上した裏金づくりの舞台裏、志岐武彦氏が新事実を指摘 

ちなみに東京地裁の事務局は、この問題についての説明を延々と引き延ばしている。

写真出典:ウィキペディア

2014年12月25日 (木曜日)

YouTube上の動画を携帯電話で視聴するためのサイト『TubeFire』が著作権を侵害しているとして、レコード会社など31社が、同サービスを運営するミュージックゲート社に約2億3千万円の損害賠償などを求めた裁判が12月17日、東京地裁で和解した。

主な和解内容は、被告の権利侵害を認定する代りに、原告は損害賠償を請求しない、など。原告のレコード会社らが10,431個分のファイルが違法にダウンロードされたと主張したにもかかわらず、実際には121個しか確認できなかった上に、「ダウンロード」と「ファイル変換」を勘違いしていたことが判明し、請求額は「0円」となった。

裁判を終えた被告の穂口氏は、筆者の取材に対し、裁判を起こす際には「自分達の『思い込み』が間違っていないか」を確認すべきで、実質勝訴、との認識を示した。レコード会社側の勘違いとは何だったのか。意外な幕切れで終わった“著作権侵害”事件を解説する。(和解条項、および穂口氏陳述書は、PDFダウンロード可)【続きはMyNewsJapan】