2023年12月28日 (木曜日)

次の記事は、EL TIRANO JAPONÉS DE LA INDUSTRIA MUSICAL(日本の音楽業界の暴君)の日本語訳である。初出は、AL Press. ■原文はここから。

 

今年3月にイギリスの公共放送BBCが放映したドキュメンタリー番組は、日本の主流メディアの怠慢(たいまん)を指摘する機会となった。ドキュメンタリーのタイトルは、『プレデター:J-POPの秘められたスキャンダル』。

このドキュメンタリーは、数多くの男性歌手グループを育て、2019年に87歳で他界したジョニー喜多川による少年への性的暴行を告発したものである。被害者は数百人にのぼる。

ジョニーは1962年にマネージャーとして芸能界に入った。東京事務所(旧ジョニー&アソシエイツ)を設立し、男性アイドルを育成した。ジョニーが育てた代表的な音楽グループには、スマップ、嵐、TOKIOなど、アジアの大スターらが名を連ねている。

ジョニーは「最も多くのコンサートをプロデュースした人物」としてギネス世界記録にも認定されている。が、性的犯罪が明るみに出たため、この記録は抹消された。

少年たちは歌手やアイドルとしての成功を夢見てジョニー&アソシエイツに入った。当然、ジョニーとの絆を深めようとした。そのため、ジョニーの性的暴力に抵抗できなかったのである。この弱みに付け込んで、ジョニーは少年たちへの性的虐待を繰り返したのである。

2023年9月7日、当時ジョニー&アソシエイツの代表取締役社長だった藤島ジュリー景子が都内で記者会見を開き、ジョニーによる性的暴行の事実を正式に認め謝罪した。ジョニー&アソシエイツが損害賠償請求を免れることは不可能だろう。それというのもジョニーの行為は刑法上の性犯罪に該当するからだ。

◆週刊誌と出版社の報道

前述の通り、BBCは今年3月にこの事件を報道した。 その結果、日本の新聞もこの事件報道に追随せざるを得なくなった。しかし、新聞とは異なって、日本の週刊誌や月刊誌は、それ以前から折に触れてジャニーズの性的虐待を報じていた。

例えば、日本を代表する週刊誌『文春』は1999年10月から14週連続でこのスキャンダルを報じた。これに対し、ジョニーは同誌を相手に名誉毀損訴訟を起こした。しかし、彼の抗弁が裁判所に認められることはなかった。

また、鹿砦社は1995年以降に、すでにジョニー&アソシエイツに関する書籍を多数出版していた。文春が取材を開始するまでの間だけでも、15冊のジャニーズ関連本を出版したのだ。

しかし、残念ながら雑誌も書籍も発行部数が少ないため、日本では大きな影響力を持たない。例えば、文春の発行部数は2023年で週47万部程度である。書籍の発行部数は通常3,000部から10,000部である。

一方、日本の日刊紙の発行部数は想像を絶するほど多い。例えば、日本最大の日刊紙である読売新聞の2023年7月の発行部数は約630万部である。

また、新聞社とテレビ局は系列関係にあるため、新聞社が取り上げないニュースはテレビ局も報道対象にはならない。ジャニーズのスキャンダルは、主要メディアが取り上げたがらない話題だった。というのも、ジャニーズは巨大な広告スポンサーである音楽業界や芸能界に大きな影響力を持っていたからだ。

多くのジャーナリストは、雑誌や本を通じてジョニーの性的虐待を知っていた。しかし、それをアンタッチャブルな領域と見なしていた。

◆日本の公共放送が謝罪した

ジャニーズのドキュメンタリーを制作するため、BBCは2020年に鹿砦社に接触した。東京の代表事務所を通じて同社にコンタクトを取ったのである。鹿砦社の松岡利康社長が言う:

「BBCからの協力要請は3年ほど前にありました。私は快諾し、私たちが出版した本を何冊か送り、短いレクチャーを行いました。しかし、その直後、コロナ感染の流行により、このプロジェクトは保留となったのです。このまま頓挫してしまうのかと思っていましたが、昨年、プロジェクトを再開するとの連絡がありました」

最もステータスの高いメディアのひとつであるBBCがジョニーの性的暴行を取り上げたとなると、日本の新聞社やテレビ局もこの事件を報道せざるを得なくなった。約30年おくれて、事件の重大性が広く国民に認知されたのである。日本の人々はジョニーの性犯罪を一度も報道しなかった主要メディアを痛烈に批判した。

2023年9月7日、日本の公共放送であるNHKは次のようなコメントを発表した;

「NHKは当時、この問題を十分に認識しておらず、ニュースやその後の番組で深く取り上げていませんでした。多くの未成年者が被害に遭ったにもかかわらず、メディアとしての役割を十分に果たせなかったことを遺憾に思います」

◆大手メディアが恐れたジャニーズ&アソシエイツ

このように日本の主要メディアがスキャンダルを取り上げなかった背景について、鹿砦社の松岡利康社長は次のように指摘する。

「マスコミはジョニー喜多川の未成年者への性的虐待を知っていました。しかし、ジャニーズ事務所の人気者を広告や記事に使いたがった。ジョニーによる性的虐待を報道すれば、ジャニーズ事務所が抗議して広告を取り下げたり、取材を拒否されることを恐れたのでしょう」

この事件は、はからずも日本の主要メディアの怠慢を露呈した。重大な性犯罪の解決に30年以上もかかったのである。BBCが報道しなければ、事件は永遠に葬り去られていただろう。

2023年09月30日 (土曜日)

化学物質過敏症は不治の病気ではない。舩越典子医師インタビュ 新世代の公害として浮上している化学物質過敏症について、典子エンジェルクリニックの舩越典子医師に伺った。化学物質過敏症は一旦、罹患すると治癒しないという偏見が昔からあるが、最新の臨床医療では治癒できる病気になっている。それが常識として、定着しはじめている。(インタビュアー:黒薮哲哉)

―――化学物質過敏症の原因について教えてください。

現在のところ化学物質過敏症の原因はいくつかあると考えられます。まず、中枢性感作と呼ばれるものです。これは客観的に神経などに傷がある場合です。たとえば脳神経系の腫瘍、頚椎症、頸椎ヘルニア、腰椎症、腰椎ヘルニア、神経痛、脳脊髄液減少症などで、神経がダメージを受けている場合です。

また、病気ではなくても、交通事故や強いショックにより神経が損傷された場合です。神経が損傷すると、神経そのものが非常に敏感になり、化学物質過敏症になることがあります。従って、神経を薬剤などで修復すれば、化学物質過敏症は治癒します。ちなみに慢性上咽頭炎も、原因のひとつです。

また、栄養の面からいえば、ビタミンD、亜鉛が不足するとこの病気の原因になります。さらに類似した症状として、発達障害や統合失調症の可能性もあります。

―――治療方法を教えてください。

中枢性感作に対しては、リリカ・タリージェを処方します。特に頭痛、頭の圧迫感、集中力の低下、頭が回らない、動いているものが眼で追いにくい、眼のピントが合わないといった症状に有効です。
栄養不足が原因の場合は、内服で補給します。特にビタミンDは効果が大きいです。神経系の症状に有効です。

慢性上咽頭炎に対しては、鼻うがいや、EAT(上咽頭擦過治療で従来Bスポット治療と呼ばれていたもの)が有効です。ニオイに対して気にならなくなった、イライラが減ったという人が多いです。

さらに精神科疾患の場合は、精神科専門医による治療が必要です。精神疾患であるのに、化学物質過敏症と誤診されてしまうと、この患者さんは、延々と不快な症状を引きずることになります。

―――治療する上で、難しい点は?

かつて化学物質過敏症は治癒しないという考え方が一般的でした。
患者さんは、治らない難病だと信じ切っている。治療法がないと思い込んでいるために、徹底的に化学物質を排除しなければならないと思っている。

そのため、患者さんの中には、治療についての話に積極的に耳を傾けない人がいます。そんなことより、化学物質を排除する情報が欲しいと言われます。ひどい場合は、わたしの話を全く聞かず、他のクリニックではこうだったと、逆にわたしの方が説教されます。

薬剤に対する拒否感が強く、どんな病気になっても、薬は飲んではいけないものだと信じ切っています。

そのため、いろいろな医療機関でトラブルを起こします。あれもダメこれもダメと言う。

―――精神疾患との区別は?

これがなかなか難しい。わたしは、精神疾患の疑いがある患者さんには、まず最初に精神科の受診を勧めます。しかし、そのアドバイスがが大変屈辱的なことだと受け止められてしまいます。
少しでも精神科というワードを言うと、怒り出す。他の医師は精神科疾患ではないとはっきり認めてくれたと叱られることもあります。
わたしの方から、「あなたは元気になりたいのですか?治りたくないのですか?」と聞くと、「もちろん!元気になりたいし、治るものなら治りたいですよ」と言われます。

―――障害年金が目的で、クリニックを受診する患者も増えていると聞きますが。

もし、障害年金の診断書だけが欲しいというのであれば、それは医療とは呼べません。1例ではありますが、当院では実施した神経生理学的検査が全く正常値であった診断しているの、他のクリニックが化学物質過敏症の診断書を発行していたケースがありました。
医師の側にも、積極的に化学物質過敏症の診断書を発行して、障害年金の受給を支援している人がいますが、長い目でみると、それにより患者さんは治療の機会を奪われます。本当の親切とは言えないでしょう。

9月に筆者が出演した番組を2本紹介しよう。いずれも須田慎一郎氏がキャスターを務める「別冊! ニューソク通信」の番組である。ここで取り上げた2件の事件に初めて接する人にも理解できるように編成されている。

◆週刊金曜日と鹿砦社の決別をめぐる事件

7月初旬に週刊金曜日と鹿砦社が決別しておよそ3カ月になる。週刊金曜日に掲載された森奈津子編著『人権と利権』(鹿砦社)の書籍広告に対して、週刊金曜日が差別本のレッテルを張り、今後、鹿砦社の広告を拒否することを告知したことが決別の原因だった。

しかし、この決定の背景にある事情を調査したところ、週刊金曜日に対して、鹿砦社の書籍広告を掲載しないように求める声が、SNSなどで炎上していたことが明らかになった。SNS上の暴言・苦言が週刊金曜日の植村隆社長にプレッシャーを与え、一方的に鹿砦社に決別を宣言したのである。

これら一連の経過は、デジタル鹿砦社通信やメディア黒書が報じてきた。また『紙の爆弾』(10月号)は、筆者が執筆した「『週刊金曜日』書籍広告排除事件にみる『左派』言論の落日」と題する記事を掲載した。さらにインターネット放送局である「別冊! ニューソク通信」が取り上げた。

「別冊! ニューソク通信」の須田慎一郎氏はこの問題に着目した。と、いうのもコラボ問題についての須田氏と森奈津子氏の対談が『人権と利権』に収録されているからだ。その本が「差別本」と烙印されたのだから、ある意味では須田氏も当事者である。

【続きはデジタル鹿砦社通信】

2023年09月26日 (火曜日)

横浜副流煙事件を扱った最新の番組である。出演は、キャスターの須田慎一郎さんの他、藤井敦子さんとわたしである。おもに作田学・日本禁煙学会理事長に対する反訴に言及している。いずれも禁煙ファシズムに対する反転攻勢である。作田医師に対して次の係争が進行している。

1,前訴に対する損害賠償(訴権の濫用)裁判
2,損害賠償(名誉毀損)裁判
3,刑事告訴(名誉毀損)

2023年09月26日 (火曜日)

このところテレビで大活躍している知識人らが次々とフェイスブックの広告に登場して、株式投資などを奨励している。たとえばジャーナリストの池上彰氏は、「リタイア層は現在ある資金を減らさずに運用することが最優先です」と呼びかけ、森永卓郎氏は「私は株で十分なお金を稼ぎ、父を最高の老人ホームに送り、そこで残りの人生を過ごしました」と自慢話を披露し、落合陽一氏は、「新しい時代に磨くべき能力とは何でしょうか。それは、ポートフォリオマネジメントと金融的投資能力です」と露骨に投資を呼び掛けている。

これらの人々による指南は、投資を活性化するという政府の金融政策と完全に一致している。自分の老後資金は、年金よりも自己責任で確保すべきだとする新自由主義の自己責任論の反映にほかならない。

識者を通じて投資がPRされる背景には、社会福祉制度が崩壊に近づいている事情がある。投資に消極的な人は、いずれ行き場を失いかねないという恐怖を喚起して投資に走らせる目的があるようだ。これはわたしに言わせれば、悪質なセールスと同じである。

それをテレビの常連が、ジャーナリストや評論家の肩書で展開しているのである。投資に走らなくても、安心して老後が送れる社会を構築するために自らの職能を活用しようという視点は何も感じられない。日本の社会制度の中に埋没しているのだ。

投資に失敗して、露頭に迷う層が出現する状況は、カジノにのめり込んで自殺に追い込まれる層が現れる状況に類似している。

◆「中国による謀略論」の愚

日本のテレビには、良識のある識者が登場することは根本的にはありえない。福島原発の汚染水問題にしても、真面目な顔で中国の陰謀論を展開する連中が後を絶たない。政治的な意図があって、中国は日本の水産物の輸入を全面的に禁止したのだと。そんなことを評論家の肩書で、真面目な顔をして言っているのだ。

しかし、汚染水の問題を考える際の大前提になるのは、汚染水そのものが人体に及ぼす影響である。放射性物質が海のプランクトンを汚染し、そのプランクトンを魚が食べ、さらにそれが人間の体内に入った場合にリスクがあるのかどうかが、議論の中心にならなくてはいけないのに、汚染水の「安全」を大前提にして、中国謀略論が前面に出ているのだ。

海水をくみ上げて放射性物質を測定するのも、愚の絶頂である。海水ではなく海底の土壌を調査しなければ何の意味もない。

先日、筆者は遺伝子について詳しいある識者と話す機会があった。この人は、原発反対運動に参加しているわけではないが、物事を純粋に評価するので、わたしは客観的な意見を知りたいときに指導を仰ぐ。汚染水については、次のようなコメントを頂いた。

「危険に決まっているでしょう。テレビに出ている人たちは、本当のアホですわ。何も分かっていない。中国が日本の魚を買おうが買うまいが、そんなことは中国の自由でしょう」

◆軍事大国・米国の裏の顔

ウクライナ戦争の報道についても、慶応義塾大学の廣瀬陽子氏らを筆頭にウクライナが善でロシアが悪という構図での評論が主流になっている。しかし、海外では決してそうではない。

むしろ米国主導のNATOによる東方への勢力拡張やウクライナ政府による人権侵害を問題にしているケースが多い。少なくとも非西側メディアはその傾向が強い。

わたしはウクライナの戦地を取材するまでもなく、この戦争は米国による他国への内政干渉の結果である可能性が高いと推測している。次に示すのは、太平洋戦争の後における米国によるラテンアメリカへの軍事介入とクーデターを示した地図である。

地図(本ページの上部)を見るだけで、戦争国家としての米国の性質が理解できる。そこから米国が主導するウクライナ戦争の性質も推測できるのである。

日本のテレビがジャーナリズムとして機能しなくなって久しいが、このところ識者たちが、テレビを通じて国策に全面的に協力する傾向は一層露骨になっている。わたしは、最近、テレビよりもユーチューブの番組の方が相対的にレベルが高いように感じる。

【初出はデジタル鹿砦社通信】

2023年09月15日 (金曜日)

書籍広告をめぐる『週刊金曜日』と鹿砦社の係争についてジャーナリスト・須田慎一郎さんによるインタビュー。事件の詳細については、今月発売の『紙の爆弾』を参照にしてほしい。また、メディア黒書でも次のURLからアクセスできる。

■Colabo問題に関する記事

 

2023年09月11日 (月曜日)

9月11日、南米チリは1973年の軍事クーデターから半世紀の節目を迎える。チリはもとより、ラテンアメリカ各地でさまざまな催しが予定されている。

わたしが初めてこの事件を知ったのは、高校生の時だった。NHKの夜のニュースが軍事クーデターを報じた。アナウンサーが淡々とした口調で、「アジェンデ大統領は自殺しました」と伝えたのを鮮明に記憶している。

◆◆

社会党、共産党、それにキリスト教民主党の3党から構成された人民連合(UP)は、1970年9月4日の大統領選挙でサルバドール・アジェンデが当選して成立した。世界史の中で初めて選挙により合法的に成立した社会主義政権である。従来、社会主義革命は武力によって成就するというのがセオリーだったが、アジェンデ政権は初めてその偏見を打ち破ったのだ。

世界の眼がアジェンデ政権の行方に注目した。議会制度を尊重した上で、社会主義へ移行するという壮大な実験を見守ったのだ。

チリの上流階級や米国の多国籍企業は、アジェンデ政権の転覆を企てた。富裕層の婦人らがフライパンを叩き、「チリにシチューと自由を!」と叫びながら、デモ行進する事態となった。資本家のストも勃発した。チリ経済は混乱に陥り、アジェンデ政権に暗雲が広がった。

ところが予想に反して1993年3月の総選挙で、人民連合は議席を伸ばした。この時点で合法的にアジェンデ政権を打倒できないことが明らかになったのである。クーデターの予兆が現れ、9月11日、陸軍のピノチェト将軍がついにアジェンデ大統領に対して国外への亡命を進言した。そのための飛行機を準備するとまで言った。アジェンデ大統領はこれを拒否し、部下と共に大統領公邸に留まった。その後、大統領公邸は空軍の爆撃を受け、陸からは戦車砲と銃弾を浴びた。アジェンデはラジオ放送を使って、最後の演説を行ったのである。

チリ全土にテロが広がり、3000人を超える人々が殺害されたり、行方不明になった。この中には歌手のビクトル・ハラやノーベル賞詩人のパブロ・ネルーダも含まれている。

◆◆◆

軍事クーデターから50年を経た現在、ラテンアメリカのスペイン語圏とポルトガル圏の大半の国々が左派政権を樹立し、社会主義へ向かって歩んでいる。議会制民主主義を重視しながら、新しい政治体制を目指す流れが生まれている。

2020年の9月には、チリの人民連合の成立から50年を記念する式典がブラジルのサンパウロで開かれた。チリの軍事政権は、結局、人民連合の記憶を消し去ることはできなかったのだ。ビクトル・ハラの歌も、パブロ・ネルーダの歌も後世へと受け継がれた。

◆◆◆◆

1985年の5月、チリの映画監督ミゲル・リティンが、ビジネスマンに変装し、偽造パスポートを使って軍事政権下のチリに潜入した。そしてCM撮影を口実に事前に送り込んでいた映画チームを使って、軍事政権下のチリの現実を撮影した。

このドキュメントは「大いなるチリの証言」(日本語は、「戒厳令下 チリ潜入記」)というタイトルを付し、世界各国で上映された。クーデターの終始も関係者の証言により語られている。アジェンデ大統領の死も記録されている。それはNHKが報じたように、自殺などではなかった。

日本の新聞・テレビは、軍事クーデター50周年を報じるのだろうか。米国の9・11は報じても、このニュースには触れないのではないかとわたしは推測する。しんぶん赤旗は報じるのではないかと期待しているが、仮に報じなければ、赤旗のジャーナリズムも衰退したという評価になるだろう。

わたしは1970年9月4日のチリ革命は、フランス革命やロシア革命と並んで重要な歴史的事件だと考えている。実際、50年後の現在、ラテンアメリカはかつてのアジェンデ政権が模索した道を進んでいる。新自由主義が破綻したいま、いずれ他の諸国も、同じ方向へシフトするのではないかとわたしは見ている。

幸いに米国は、50年前のような残忍なことはできない。社会制度や人間の意識、それに世論の影響力が各段に進歩したからだ。

【チリ潜入記・前編】

【チリ潜入記・後編】

※軍事クーデターについての証言は、後編の「8分40秒」から。

 

2023年09月09日 (土曜日)

宮城県伊具郡丸森町で楽天モバイルの基地局撤去を求めている住民の会が、三木谷浩史社長に対して署名を提出した。基地局は、今年の6月に丸森町の公有地に設置された。基地局から直近の民家までは10数メートル。

住民の代表は町議を伴って、電磁波による人体影響を裏付ける資料や日弁連の見解などを町当局へ提出し、撤去を求めたが要望を拒否された。そこで今回の署名活動に至った。

住民側の要望は、次の点である。

・ケータイの電波(マイクロ波)が遺伝子毒性を有している事実。

・総務省の規制値があまりにも緩く、住民らが恐怖を感じている事実。

・予防原則を遵守してほしいという要望。

・ケータイ端末であれば、使用時以外は電源を切るなどして管理できるが、基地局は24時間稼働しているので、住民が常時危険にさらされること。

・楽天モバイルを使用する必要がないこと。

住民らは、楽天モバイルに対する調停の申し立ても検討している。

2023年09月06日 (水曜日)

「押し紙」弁護団から、カンパに対するお礼の書簡が送られたきた。以下、全文である。

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運動資金カンパのお礼
                  2023年(令和5年)9月5日
                     福岡・佐賀 押し紙弁護団
                          江 上 武 幸

皆さま 猛暑の夏、如何がお過ごしでしたでしょうか。

去る8月29日、黒薮さんから、有志の方々から寄せられた夏のカンパを、当弁護団の活動費として寄付いただきました。お名前は、黒薮さんから連絡を受けておりますが、連絡先が不明なため、この投稿をもってお礼とさせていただきます。有効に活用させていただきます。ありがとうございます。

私どもは、大阪高裁と福岡高裁で読売新聞の押し紙裁判を一件づつ、福岡地裁で西日本新聞の押し紙裁判を二件かかえております。
大阪地裁判決が読売新聞の押し紙(注文部数指示行為)を認めたことについては、押し紙裁判史上画期的判断であると評価しております。しかし、その画期的判断と原告敗訴の結論には大きな落差がありますので、個人的には判決言渡し直前に裁判官全員が交代したことが、結論に何らか影響しているのではないかという疑念を拭いきれないでいます。
原発訴訟や沖縄県の辺野古の埋め立て工事をめぐる裁判で、最高裁は政権よりの不当な判決を相次いで下しています。押し紙裁判の行方も予断を許しません。

引き続き、皆様のご支援とご協力をお願いします。

 

2023年09月04日 (月曜日)

8月24日に福島原発の汚染水を海に放出し始めたのち、中国から激しい批判の声が上がっている。これに対して、外務省は9月1日に反論を発表した。中国の主張を「科学的根拠に基づかないものだ」と決めつけ、国際原子力委員会(IAEA)のお墨付きがあるので、安全性に問題はないという趣旨である。

マスコミはALPSを通過する水を「処理水」と表現するなど国策に寄り添った方向で報道を続けている。テレビは連日のように福島沖で捕獲させる魚介類をPRしている。「汚染水」という言葉は絶対に使わない。売れない魚を学校給食で使う案も出始めているらしい。

政府や東電、それにマスコミの主張は、「規制値を遵守しているから絶対に安全」だというものである。しかし、この考え方は、放射線や化学物質の安全性には「閾値」がないことを隠している。

「閾値とは、ある値が所定の水準を超えると特定の変化が生じたり判定・区別が変わったりする、という場合の『所定の水準』『数値的な境目』『境界線となる値』を意味する語である」(Weblio)

放射線の人体影響に閾値がないことについて、岡山大学の津田敏秀教授は次のように指摘している。

(日本では)「100ミリシーベルト以下ではがんが増加しない」ことになってしまっている。2013年5月27日付けで出された「国連特別報告者の報告の誤りに対する日本政府の修正」と題された日本国政府代表部の文書にも、「広島と長崎のデータに基づき、放射線被ばくによる健康への影響は、100ミリシーベルト以下の水準であれば、他の原因による影響よりも顕著ではない、もしくは存在しないと信じられている」と記されている。これは100ミリシーベルトの放射線被ばくが、発がんの「閾値(しきい値)」のように考えられていることを意味する。

よく知られていることだが、国際X線およびラジウム防護委員会IXRPは1949年に、放射線被ばくによる癌の発生に閾値はないことを結論づけ、この結論は現在に至るまで変えられていない。(『医学的根拠とは何か』津田敏秀著、岩波書店【続きはデジタル鹿砦社通信】

2023年09月02日 (土曜日)

横浜副流煙事件(反訴)の原告である藤井敦子さんと、支援者の酒井久男さんが、8月31日、日本禁煙学会の作田学理事長に対して165万円の支払を求める裁判を起こした。事件の概略は、次の記事が参考になる。

■横浜副流煙裁判を描いた映画『[窓]MADO 』が、ロンドン独立映画賞を受賞

また、訴状は藤井さんが、自身のNoteで公開している。次のURLからアクセスできる。

■訴状の全文

なお、横浜副流煙事件に材を取った映画「Mado」は、欧州でも話題になりはじめている。先月、ロンドン独立映画賞(London Independent Film Award)の最優秀外国映画賞を受賞したのを皮切りに、佐賀県のボンダンス国際映画祭のファイナリストにも選出された。

2023年08月30日 (水曜日)

煙草の副流煙による被害をめぐって係争になっている横浜副流煙事件で、当事者の藤井敦子さんと支援者の酒井久男さんが、31日、日本禁煙学会の作田学理事長に対して約150万円の損害賠償を請求する裁判を起こす。提訴に際して、次のスケジュールで記者会見を開く。

日時:8月31日 15時~

場所:東京地方裁判所 司法記者クラブ(2階)

関係資料:当日に参加者に配布予定

【発言者】
藤井敦子(原告)
酒井久男(原告)
石岡淑道(藤井さんを支援する会代表)
黒薮哲哉(ジャーナリスト)
山下幸夫(原告訴訟代理人)

横浜副流煙事件の発端は、2016年にさかのぼる。副流煙で健康被害を害されたとして、横浜市青葉区のAさん一家が、ミュージシャンの藤井将登さんに苦情を申し入れた。将登さんは、防音装置が施されて外部と遮断された自宅の音楽室で日に2,3本程度の煙草を嗜んでいた。煙は外部にはもれない。それでも加害者にされたことに衝撃を受けて、実験的に禁煙に踏み切ってみた。

しかし、Aさん一家の抗議は執拗に続いた。将登さんは、煙の発生源はほかにあると確信した。が、事態は警察が事情を聴取するまでに悪化した。そして2017年にAさんらは、将登さんに対して4518万円の支払を求める損害賠償裁判を起こした。提訴の根拠となったのは、作田医師が作成したAさん一家3人の診断書だった。「受動喫煙症」という病名を付し、将登さんを「犯人」として、事実摘示したのである。

ところが審理の中で、作田医師が作成した診断書に次々と疑惑が浮上した。患者の申告をそのまま診断書の所見にしていたうえに、診断書の一通については、無診察のまま交付されていたことが分かった。

そこで藤井敦子さんは、作田氏の診断を確認するために、日赤医療センターの作田外来に「潜入」する計画を立てた。協力者は酒井久男さんだった。二人は夫妻に扮して、作田外来を受診し、診断の一部始終を音声に録音したのである。

裁判は、将登さんの勝訴だった。その後、藤井さん夫妻は、作田医師らに対して訴権の濫用で約1000万円を請求する裁判を起こした。この裁判の本人尋問の席で、作田医師は暴言を吐いた。これが新しい裁判の訴因である。

作田医師は本人尋問の中でまず、根拠もなく敦子さんが喫煙者であると証言した。酒井さんについては、「うさん臭い人間」であり、会計を経ずに帰宅したと証言した。しかし、酒井さんは会計を済ませてから帰宅している。

このところ一部の市民運動体による、「差別者」探しや、「犯人」探しが横行している。横浜副流煙事件の背景にも、喫煙撲滅を旗印にした人々が喫煙者を探し出して、徹底的に糾弾するという理論がある。それが今回の「冤罪」を招いたのである。

藤井さんと酒井さんによる提訴は、過激な市民運動に一石を投じる。