2015年06月10日 (水曜日)

自民党の政治資金団体である国民政治協会へ献金しているのは、企業だけではない。業界団体も多額の献金をしている。

次に紹介する資料は、政治資金収支報告書(2014年度公開の13年度分)のうち業界団体からの献金を記録した箇所だ。ただし、ここで紹介するのは、業界団体の中央本部からの献金だけで、これ以外にも、地方支部からの献金が記録されている業界団体もある。

大口の献金者をリストアップしてみよう。

自動車流通政経懇話会:2000万円
全国不動産政治連盟: 1000万円
日本医師連盟:    2億円
日本歯科医師連盟:  1億円
日本商工連盟:    1000万円
日本薬剤師連盟:   1000万円

■国民政治協会への業界団体からの献金PDF

献金の目的は不明だが、日本医師連盟と日本歯科医師連盟からの献金は3億円に達しており、尋常ではない。「政策を買っている」と評されても、弁解の余地がないのでは

2015年06月09日 (火曜日)

政府が打ち出す政策の方向性を決定づける大きな条件のひとつは、政治献金の提供である。そのことは古くから指摘され、問題視されてきた。実行は伴わないものの、政治献金は禁止すべきとの議論も断続的に行われてきた。

政治献金の提供は半ば慣行化していて、改まる気配がない。金銭感覚がおかしくなり、政治家に罪悪感もないようだ。

次に示すのは、自民党の政治資金団体である国民政治協会への政治献金のうち、企業からの提供実態を示す部分である。企業名や金額などが明記されている。(政治資金収支報告書2014年度公開の13年度分)

■国民政治協会に対する企業からの政治献金①

■国民政治協会に対する企業からの政治献金②

献金額が多い企業(1000万円超)は次の通りである。

トヨタ自動車・・・6440万円
伊藤忠商事・・・・1800万円
日本生命保険・・・1700万円
パナソニック・・・1400万円
スズキ・・・・・・1285万円
(このほか業界団体からの大口献金もある)

◇政治献金と軍事大国化

財界から多額の献金を受けている自民党が打ち出している政策を検証してみよう。財界の要望は、経団連や経済同友会などが発表する提言というかたちで、政府に突きつけられるわけだが、結果的に財界の面々が要望している内容がそのまま政策として浮上していると言っても過言ではない。

金で政治を動かす。これが政治献金の目的である。

たとえばいま話題になっている安保法制や改憲に関する政策。これについて経済同友会などは、1990年代から集団的自衛権の行使を可能にする方向性を提言している。1999年3月9日に発表した緊急提言「早急に取り組むべき緊急提言-我が国の安全保障上の四つの課題」は、集団的自衛権の行使について、次のように述べている。

我が国の防衛と国際安全保障への貢献を考える上で、もはや避けて通ることのできない重要課題の一つとして、「集団的自衛権の行使」にかかわる政府見解がある。

 我が国政府は、国際法上いかなる国も保持しているとされているのに、憲法上許されないとする「集団的自衛権の行使」にかかわるこれまでの見解を維持するとの方針である。しかし、このままでは、現実と遊離して無理が生じるのは明白であり、この政府見解の見直しは必要不可欠である。改めて「集団的自衛権の行使」にかかわる政府の憲法解釈の早期見直しを強く求めたい。

 しかしながら、本来的には、我が国の憲法について国民的論議を行い、改正すべきところは改正すべきであると考える。その意味で、先送りされている憲法問題に関わる常任委員会を早急に国会に設置すべきである。

■緊急提言「早急に取り組むべき緊急提言-我が国の安全保障上の四つの課題」

引用文でも述べているように、自民党はもともと集団的自衛権の行使は「違憲」の立場を取ってきた。その意味では、先日、3人の憲法学者が、安部内閣が国会に提出している安保法制案に苦言を呈したのは、番狂わせではない。あり得ることだった。

政府といえども、集団的自衛権の行使に関しては、「違憲」の立場を取ってきたのである。もちろんその背景には、日本企業が多国籍企業化していなかったために、そうした要望が提言されなかった事情があるのだが。

が、今世紀に入ってから、この壁に挑戦しているのが、財界と米国である。それに政権党が協力している。

多国籍企業にしてみれば、海外へ進出した企業を政変から防衛する必要がある。それゆえにピンポイントで世界のあらゆる地域へ、軍隊を投入して、政変や革命を鎮圧するシステムの構築を目指しているのである。国際貢献というのは、表向きの口実にすぎない。

ちなみに安部政権は、旧日本軍の「侵略→占領型」の軍事大国を目指しているわけではない。オスプレイなどを使って軍隊を緊急に派兵して、政変を鎮圧した後、ただちに引き上げる21世紀型の軍事大国を目指しているのだ。

こうした軍事大国を実現するための大前提となる条件が、財界からの政治献金である。

2015年06月05日 (金曜日)

経済同友会は、6月1日、「日本の変革なくして対日投資の拡大なし-企業と政府の覚悟が鍵 」と題する提言を発表した。その中で経済同友会は、対日投資の拡大に取り組むように政府に提言している。

その基調をなしているのは、「経済連携の基本は、相互主義と互恵であり、貿易を増やしたり、日本からの対外投資を増やしたりするだけでなく、外国からの投資も受け入れることではじめて深化する」という考えである。

国境なきビジネスの時代、あるいはグローバリゼーションの時代という認識だ。提言は言う。

「われわれ経営者が問われているのは、グローバルな土俵で戦っていく覚悟の有無であり、国内市場とともに縮小する道を選ぶのか、自己変革でグローバル最適を実現するのか、その決断スピードそのものが勝敗を左右する」

安倍内閣に対して、新自由主義=構造改革の導入のスピードを上げるように求めているのである。現在の改革では不十分だという不満のようだ。

その背景には、「国境を越えた産業再編が進む中、Fortune Global 500 にリストアップされた日本企業数は、2010 年 71 社、2011 年 68 社、2012 年 68 社、2013 年 62 社、2014年57 社と漸減している」事情があるようだ。

こうした実態を打開するために、財界は、「われわれはM&A 等による統合・再編を通じ、世界に伍する企業にふさわしい規模への拡大を図る」とまで述べている。

◆「新自由主義=構造改革」こそが諸悪の根源

改めて言うまでもなく、グローバリゼーションの時代における競争相手は、多国籍企業である。競争相手に勝つためには、国際競争力を高めなければならない。そのために1996年に成立した橋本内閣の時代に始まったのが、新自由主義=構造改革の導入である。民主党も基本的には、新自由主義=構造改革の推進派ある。

しかし、新自由主義=構造改革の具体的な中身については、明快に報道されて来なかった。省庁の再編や民営化、医療・福祉の切り捨て、労働法制の改悪、道州制の提言などと、新自由主義=構造改革がどのような関係があるのかは報じられていない。

まして、「新自由主義=構造改革」こそが諸悪の根源であることを認識している人は限られている。

たとえば労働法制の改悪により非正規社員が全社員に占める割合が約4割にも達しているが、こうした現象を国際競争力の強化を望む財界からの要望という観点から考察することはほとんどない。

当たり前の話であるが、日本に拠点を置く企業が、賃金の安い発展途上国を拠点とした多国籍企業と競争するためには、日本の労賃を抑制し、さらに切り下げていかなければならない。さもなければ国際競争には勝てない。

労働法制を改悪して、賃金が安い非正規社員を多量に増やす国策が打ち出された背景には、グローバリゼーションの中で、均一な労働市場を形成する「必要悪」があるのだ。働き方の選択肢を広げるという論理は、結果であって、本質的な部分ではない。

今回、経済同友会の提言では、労働市場の流動性を高めることを提言している。ここにも非正規社員を増やすことで、企業経営の合理化を進め、国際競争力を高めようという意図が読み取れる。

「社会全体が、転職に対するマイナスイメージを払しょくし、労働市場の流動性を高めるとともに、労働者一人ひとりにも、自身のスキルを磨くためにどの組織で何を身に付けるべきかを考え、職業人生を通じて自らの力でWinner になるという気概が求められる

企業という集団の中で労働を通して、お互いを成長させていこうという発想はまったくない。競争と金銭だけが、幸福を獲得する道具として描かれているのである。

◆多国籍企業の天国

しかし、国際競争力を強化するためには、労働法制の改悪だけでは十分ではない。税制が大きな鍵を握る。企業の負担を軽減するために、法人税を下げて、消費税を上げる措置が取られる。

事実、法人税を段階的に下げて、消費税を段階的にあげる政策は、橋本内閣の時代から断続的に続いている。

今回の経済同友会の提言は、さらなる法人税の引き下げを求めている。

「法人税率は引き下げが予定されているが、それでもシンガポールの17%、香港の16.5%等と比べ、大きな差異がある。また、所得税の最高税率の高さも、子弟の教育コストの高さ等と相俟って、高度人材外国人が日本で活躍するインセンティブや、多国籍企業がアジア統括拠点を東京に設置することを阻害している」

新自由主義=構造改革で国が繁栄するというのは幻想である。繁栄するのは多国籍企業だけだ。事実、多国籍企業は、アベノミックスにより空前の利益を上げている。そしてマスコミはそれを日本再生の兆しとして報じている。

が、ここからが肝心なのだが、多国籍企業の大半は海外生産・海外販売・海外貯蓄のビジネスモデルを構築しているので、いくら利益があげても、大半の国民はその恩恵にあずかれない。安倍内閣にとって、唯一の対策は、日本を「世界で一番ビジネスがしやすい国にする」ことである。

日本を投資のしやすい国、つまり労賃が安く、警察権力が強く、国際業務ができる弁護士が多い国にすることである。

こうした多国籍企業本位の国策が行き詰るのは時間の問題だろう。

■経済同友会の提言「日本の変革なくして対日投資の拡大なし-企業と政府の覚悟が鍵 」

2015年06月04日 (木曜日)

携帯電話の基地局設置をめぐる問題に新しいタイプのものが浮上してきた。

電話会社に基地局の設置場所を貸す地権者が、基地局稼働後にマイクロ派による人体影響を知り、撤去を申し入れても、契約書に明記された賃貸期間が終了していないことを理由に、電話会社が応じない問題だ。

プラバシーに配慮して問題が起きている地域は明かさないが、ここ数日で、MEDIA KOKUSYOに対して2件の情報提供があった。

【ケース1】
電話会社と20年の賃貸契約を結んで、自宅から30メートルのところにある私有地に基地局を設置した。その結果、体調が悪くなり、電磁波過敏症を疑うようになった。奇形植物も発生した。

基地局を撤去したいが、20年の契約期間が壁になって対策がない。

【ケース2】
基地局を設置した後、近隣住民からマイクロ波による人体影響について聞かされた。撤去したいが、契約書が壁になっている。

◆電話会社はやりたい放題

これらの問題には共通点がある。電話会社が地権者と基地局設置の契約を結ぶ際に、マイクロ波による人体影響のリスクについて説明していないことである。この点に触れると、契約を締結できなくなる恐れが生じるからだ。

たとえ説明するとしても、総務省が定めた安全基準を順守して操業することを強調する。が、日本の場合、基準値そのものが、たとえばEUに比べて1万倍もゆるい。それゆえに、容易に「安全宣言」ができる。

したがって一旦、基地局を設置してしまうと、電話会社はやりたい放題のことができる。

しかも、総務省は基地局に関する情報をほとんど開示しない。現在はセキュリティー(テロ防止、緊急時の通信網確保)を理由に、おそらく基地局に関する情報を、特定秘密保護法の特定秘密に指定している。

無線通信網はもはや廃止が不可能なほど日本の隅々にまで張り巡らされている。それを支えているのが基地局である。

基地局の設置は、いまや迷惑行為の域を超えて、合法的な凶器になり始めている。自宅を手に入れた半年後、近隣に携帯基地局が設置されたら、その家族の夢や希望は消えてしまう。安心して暮らせなくなる。

2015年06月03日 (水曜日)

KDDIに対して携帯基地局の撤去を求めている大阪府高槻市の住民団体「携帯基地局設置に不安を持つ大和住民のグループ」が、KDDIに対して公開討論を求めていることが分かった。公開討論は、電磁波研究の第一人者・荻野晃也博士とKDDI側代表による直接討論という形を取る。

住民側の代表によると住民グループは、すでにKDDIに公開討論を申し入れており、現在、回答を待っている段階だという。

■(参考)住民グループが作成したチラシ

◆電磁波利用と巨大ビジネス

電磁波による人体影響は一部の専門家により古くから指摘されてきたが、それが深刻な社会問題として浮上してきたのは、1980年代に入ってからである。配電線の低周波電磁波と小児白血病に因果関係があることが、数々の疫学調査により明らかになったのだ。日本でも疫学調査が実施され、海外の調査と同じ傾向を示した。

1990年代になって携帯電話の普及に拍車がかかると、携帯電話の通信に利用するマイクロ波による人体影響が指摘されるようになった。特に問題になっているのは、マイクロ波の遺伝子毒性である。遺伝子を破損して、癌を発症させるリスクである。

エックス線やガンマ線(原発)などエネルギーが高い領域の電磁波に遺伝子毒性があることは、従来から科学の常識となっていたが、マイクロ波にも同じ作用があることが分かってきたのだ。

実際、WHOの外郭団体・国際癌研究機関は、2011年5月にマイクロ波に発癌性の可能性があることを認定した。電磁波はエネルギーの強弱にかかわらず、人体に影響を及ぼすと考えるのが、常識になりつつある。

しかし、電磁波利用がTI関連の巨大ビジネスと結びついている事情があるために、広告やCMを主要な収入源としているマスコミは、電磁波問題の報道には消極的だ。その一方で電磁波問題と「白装束集団」を結びつけて報じるネガティブ・キャンペーンを展開したこともある。

携帯電話の基地局問題の特徴は、基地局を設置されると、その周辺に住む人々が1日24時間、365日に渡って被曝することである。「受動喫煙」と同じ原理で、被害を広げる構図がある。

携帯電話、スマホ、無線PCを使うか否かは、個々人の選択にかかっているが、基地局の設置は、電話会社の都合で決められる。国は法的な規制をしていない。野党議員も、電磁波問題を取り上げるとスマホが日常生活の一部になっている有権者、特に若い人から嫌われるので、取り上げない。

21世紀の新世代公害は、水面下で被害を拡大している。

2015年06月02日 (火曜日)

2015年4月度のABC部数が明らかになった。それによると朝日新聞は対前年差が-64万3142部、読売新聞は、-37万5141部だった。長期低落傾向に歯止めはかかっていない。

2015年4月度のABC部数は次の通りである。(括弧)内は対前年差。

朝日新聞:6,798,193  (-643,142)

毎日新聞:3,301,791  (-53,267)

読売新聞:9,110,145  (-375,141)

日経新聞:2,739,709  (-32,916)

産経新聞:1,664,690  (-11,358)

地方紙とブロック紙の中で、大きく対前年差を減らしたのは、北海道新聞の2万3570部、新潟日報の1万2760部、中日新聞の8万63部、神戸新聞の2万3285部、山陽新聞の1万4281部、西日本新聞の1万9054部などである。

プラスに転じた社はほとんどない。

なお、ABC部数には、「押し紙」が含まれているので、「ABC部数=実配部数」ではない。新聞業界の閉鎖的な体質の下では、広告主も新聞の実配部数を把握しようがない。

「押し紙」とは、配達部数を超えて新聞社が販売店に搬入する新聞のことである。たとえば2000部しか配達先がないのに、3000部を搬入すれば、差異の1000部が「押し紙」である。この1000部についても、販売店は新聞の原価を支払わなければならない。

かくて「押し売り」→「押し紙」となる。

■2015年4月度のABC部数

2015年06月01日 (月曜日)

経団連は、5月29日に、夏季の賞与・一時金の「大手企業業種別妥結状況(加重平均)」を発表した。それによると、平均で前年度に比較して2.42%の上昇となった。金額で示すと、昨年の891,420円から、913,106円になった。

業種別に見ると上昇率が高いのは、「造船」の5.97%、「紙・パルプ」の5.54%、「電機」の4.80%などである。逆に前年比でマイナスになったのは、「セメント」の-4.15%、「自動車」-0.19。

アベノミックスが多国籍企業化を進める大企業には、恩恵をもたらしていることが数字の上で確認できる。
■2015年夏季賞与・一時金 大手企業業種別妥結状況(加重平均)

 

2015年05月29日 (金曜日)

2012年5月に起きた検察の捜査報告書(小沢一郎氏に対する取り調べ内容を捏造して記録したもの)がインターネットを通じて流出した事件から、3年が過ぎた。だれが何の目的でこうした工作を行ったのか、現在の段階では、判明していないし、徹底した捜査も行われなかったようだが、この事件の真相解明は日本の司法制度の信頼にかかわる重要課題だ。

捜査報告書を外部へ持ち出した犯人がだれであれ、捏造報告書が公になったために、それを作成した検察は権威を失墜させられた。「検察=諸悪の根元」というイメージが広がった。持ち出し犯が、最初からそれを意図的に狙って、事件を起こした可能性もある。

実は、捏造報告書のインターネット流出事件が発生する直前、厳密に言えば4 月26日に東京地裁は、小沢一郎氏に対して、無罪の判決を下した。小沢氏は、約2年前の2010年9月に検察審査会の議決により、強制起訴された経緯があった。

検察審査会が小沢氏に対する起訴議決を決めた背景に、捏造報告書により審査員が誘導された事情があるとする説を拡散することが、インターネット流出犯の意図だったと想像できる。それに世論も誘導されたようだ。

その結果、小沢氏の無罪も信頼性があるものになった。

が、奇妙な言い方になるが、このような策略説の裏付けを得るためには、小沢検審が本当に開かれていたことが大前提になる。根本的な問い、そもそも小沢検審は、本当に開かれていたのだろうか?

◆小沢検審の架空説

実は、この点について徹底した調査をした人物がいる。旭化成の元役員で、『最高裁の罠』の著者・志岐武彦氏である。志岐氏は、小沢検審はそもそも「開かれていなかった」とする説を展開してきた。

志岐氏と「市民オンブズマンいばらき」の石川克子事務局長(当時)は共同で、50回を超える情報公開請求を行い、内部資料を精査した。その結果、小沢検審は開かれていなかったとの推論に達した。

推論をどう評価するかについても多面的に検討する必要があるが、検察審査会は公共機関であるから、裏付けがある推論が公開されたのであるから、本来であれば、厳密な内部調査をしなければならない。

ところが検察審査会の事務局は、今年の2月27日、取材に訪れた両氏を、強制的に事務所から排除している。それに先立つ2013年には、この問題で意見が対立していた森裕子議員が、志岐氏に対して、名誉毀損裁判を提起している。(既に森氏の敗訴が確定)。

◆新聞報道

さて、このインターネットを使った捏造報告書流出事件を新聞はどう報じたのだろうか。事件が起きた2012年5月の新聞報道を朝日、読売、毎日、産経を対象に検証してみた。
結論を先に言えば、各紙とも報道しているが、事件の重大さに鑑みると、産経を除いて小さな扱いにしている。申しわけ程度に書いているに過ぎない。

(もっとも、わたしが記事を見落とした可能性もあるので、以下の記述に誤りがあれば、その旨を連絡いただければ幸いだ。)

最も大きく扱ったのは、産経である。5月5日の一面でトップ記事を掲載したほか、「犯人捜し困難」とする関連記事を社会面に掲載した。

同じ5月5日に、読売新聞も短い記事を掲載している。タイトルは、「陸山会事件 虚偽報告書などネット流出」。

読売による報道について、わたしが取材した関係者の1人は、その後も読売は報道を続けたと話している。これが事実かどうかも、現在、確認中だ。

朝日は、5月9日になって「虚偽捜査報告書 ネット上に公開」と題する1段扱いの記事を掲載している。

毎日については、(わたしの見落としの可能性もあるが)5月18日まで、流出事件に関する記事を掲載していない。18日になってようやく、小川法務大臣が「調査の結果、検察庁から流出したものではなかった」と明かしたことを、小さく報じている。

ちなみに捜査報告書を外部に持ち出した者が、検察内部の人物であれば、国家公務員法に抵触する。また、小沢氏の弁護団であれば、刑事訴訟法に抵触する。あるいは窃盗の可能性もある。

いずれにしてもだれが捏造された捜査報告書を外部へ持ち出し、だれがインターネットで公開したのかは、全容が解明されなければならない。

検察が種々の問題を内包していることは否定しないが、それをもって、検察がみずから捏造した捜査報告書を外部に持ち出したとは限らない。国家公務員法違反を承知のうえで、捜査の実態を内部告発する人物がいるとは思えない。いないと考える方がむしろ自然だ。

2015年05月28日 (木曜日)

旭化成の元役員で『最高裁の罠』(K&Kプレス)の著者・志岐武彦氏が、多量のツイッター発信により名誉を毀損されたとして、歌手で作家の八木啓代氏に対して200万円の損害賠償を求めた事件の口頭弁論が、5月27日、東京地裁で開かれた。

この日は、志岐氏と八木氏の双方の書面を確認した後、本人尋問の日程を決めた。本人尋問は7月8日の13:30分から東京地裁の634法廷で行われる。

原告も被告も代理人弁護士が不在の本人訴訟なので、裁判長から両者に対して質問が行われる。反対尋問は、原告と被告がそれぞれ直接に相手方に対して行うかたちを取る。反対尋問の持ち時間は、それぞれ30分。

ツイッターの表現を裁判所がどう判断するかが注目される。

この裁判の大きな背景には、小沢一郎検審の架空説などをめぐる論争がある。

2015年05月27日 (水曜日)

携帯電話の基地局設置をめぐる電話会社と住民とのトラブルが多発している。

世田谷区奥沢のケースはSFNで既報したが、大阪府高槻市でも類似したトラブルが起きていることが分かった。発端は、2014年6月にKDDIと協和エクシスが、高槻市大和で「KDDI携帯電話用無線設備設置のお知らせ」と題するチラシを配布し、その後、基地局を設置したことである。

幸いに、現在のところ稼働はされていない。

住民たちは、「携帯基地局設置に不安を持つ大和住民のグループ」を結成。KDDI側に対して、基地局の撤去を求め続けている。(詳細は後日)

KDDIと住民の間で過去に起きた携帯基地局設置をめぐるトラブルとしては、宮崎県延岡市のケースが有名だ。2006年に、KDDIが同市大貫5丁目にある3階建てアパートの屋上に基地局を設置したところ、周辺住民の間で「耳鳴り」や「頭鳴り」などの症状が広がった。さらに鼻血などの症状をもよおす住民も現れた。

健康被害はその後も広がり、2009年の末に大貫5丁目の住民30人がKDDIに対して基地局の操業停止を求める集団訴訟を起こした。弁護団は九州で水俣病などの公害事件に取り組んできた26名の辣腕弁護士で結成されたが、地裁、高裁では訴えが棄却された。現在、この裁判は最高裁に属している。

◆将来莫大な賠償金?

電磁波が人体に及ぼす影響は、かつてはマイクロ波などエネルギーが低い領域のものは比較的安全で、エックス線やガンマ線などエネルギーが高い領域のものは危険と考えられていたが、現在は、すべての電磁波が人体に影響を及ぼすという考えが主流になり始めている。

このために欧米では、たとえ国が緩やかな電波の規制値を設置していても、
コミュニティーが独自に低い提言値などを設けているケースがある。

たとえば、EUの数値は、0.1μW/m2(屋内は0.01μW/m2)である。オーストリアのザルツブルグ市は、0.0001μW/m2。

これに対して日本の総務省が設置している基準値は、1000μW/m2である。ザルツブルグ市に比べて10万倍も緩い規制値になっている。

当然、マイクロ波による健康被害が広がった場合、将来、国と電話会社が、莫大な賠償金を請求されるリスクがある。

ちなみにWHOの外郭団体である国際癌研究機関は、2011年にマイクロ波に発ガン性がある可能性を認定している。

2015年05月26日 (火曜日)

5月18日は、ニカラグアの民族主義者アウグスト・セサル・サンディーノ(Augusto César Sandino )の生誕120年である。現在のニカラグアの政権党であるサンディニスタ民族解放戦線(FSLN)の名がサンディーノに由来していることは言うまでもない。

スペイン語で「ニスタ、nista」とは、「~主義者」の意味である。つまりサンディニスタとは、サンディーノ主義者という意味である。

米国の海兵隊がニカラグアを占領した1927年、サンディーノは少数精鋭の部隊を結成。地の利を生かした執拗なゲリラ戦を展開し、1933年に海兵隊を完全に撤退させた。以来、ラテンアメリカで米国に対するレジスタンスの象徴的な存在になった。

しかし、翌年、サンディーノは、アナスタシオ・ソモサ・ガルシア将軍に招かれたパーティーからの帰路、待ち伏せしていた軍に拘束されて、即座に殺害された。遺体はあらかじめ掘ってあった穴に埋められた。

その後、ソモサ将軍は軍事クーデターを起こして政権を掌握。以後、1979年にマイアミに逃げるまで、親子3代に渡る「ソモサ王朝」が続いた。ニカラグアの政治も軍も産業も支配していたのである。が、最後は亡命先のパラグアイで何者かに暗殺された。

サンディーノ主義とは、端的に言えば民族自決主義である。それゆえに1979年の革命は、民族自決主義という共通の目的で、極めて広範な人々が共同戦線を張った。革命後の政権には、4人のキリスト教関係者も入閣した。

FSLNは、革命後に米国が仕掛けた内戦がもたらした経済破綻などが原因で、1990年に政権の座を失った。自ら構築した議会制民主主義のルールにより、野に下ったのである。しかし、2006年の大統領選挙で再び政権の座に返り咲いた。

現在のダニエル・オルテガ大統領は、FSLNの革命前からの戦士で革命後の初代大統領でもある。

2015年05月25日 (月曜日)

一般的にはほとんど知られていないが、「押し紙」など新聞販売の諸問題が国会で大問題になった時期がある。1980年から1985年の6年間である。この時期に共産党、公明党、社会党が超党派で総計16回に渡って「押し紙」問題などを追及している。

国会図書館には、その時の議事録が残っている。現在は、2015年5月であるから、国会における新聞販売問題の追及が終わって、今年で30年の節目になる。最後の質問は、公明党の木内良明議員によるものだった。1985年4月20日のことである。しかし、「押し紙」問題は、現在も解決していない。

ようやく一部の新聞社が、「押し紙」整理に動きはじめた段階である。

読売の宮本友丘副社長のように、読売は「押し紙」をしたことは一度もないと、法廷で公言した新聞人もいるが、大半の新聞社は、「押し紙」問題をかかえている。販売店によっては、搬入する新聞の50%が「押し紙」になっている例もある。

◆安倍首相と「押し紙」

全販労(販売労働者の労組)の元事務局長・沢田治氏が著した『新聞幻想論』によると、15回の国会質問の日時と内容は次の通りである。

■国会質問一覧

国会質問の内容は、「押し紙」をはじめ、景品を使った新聞拡販、新聞奨学生の酷使、補助金など現在も解決していていない問題で占められていた。沢田治氏によると、新聞はこれらの国会質問を一行も報じなかったという。唯一、国会質問を取り上げたマスコミは、『潮』だった。新井直之・創価大学教授が同誌の連載の中で言及したのである。

新井氏は次のように書いている。

新聞販売の過当競争や、販売店従業員のタコ部屋的状況は周知の事実で、各社は、公取委の批判や全販労の告発に、十分に、誠意をもって答え、対応すべきであろう。新聞が、自ら内部にかかえている矛盾や後進性を克服ぜずして、真の国民のための新聞ということは、決してできない

1985年に国会での新聞販売問題の追及が終わった後、例外的に共産党が数回(山下芳生、吉井英勝)新聞販売問題を取り上げたことがあるが、現在は、議員の間で、この問題に対する意識は希薄になっている。

ただし安倍晋三議員など自民党議員が国会質問の中で、「押し紙」に言及したことはある。おそらく新聞社に対する「牽制球」だろう。その気になれば、いつでも新聞社経営にメスを入れることが出来ることを再認識させたようだ。「押し紙」はメディアコントロールの重要な道具になっている。

古くて新しい社会問題はいまも放置されたままになっている。