2016年04月15日 (金曜日)

このところ朝日新聞の販売店に公正取引委員会が「押し紙」問題で査察に入っているという情報がソーシャルメディアで流れている。これについて私の見解を求める問い合わせも来た。

たとえばツイッターによる次のような問い合わせである。

押し紙に詳しい黒薮哲哉さん@kuroyabuにわかったら教えてもらいたい。
 @haigujin なぜ安倍政権になって朝日だけ公取が?読売も産経も指摘なし。この論は販売店が被害者とみなすが単純ではない。折込収入を加味すると販売店が要求している面もあり本社との共同正犯だ。また雑誌・・

◇朝日バッシングから公取委の査察へ

実は、最近、販売店店主らが公取委に内部告発(「押し紙」の存在を裏付ける資料の提出)に踏み切るケースが増えている。しかし、わたしが知る限り、それは朝日新聞の店主に限ったことではない。地方紙の店主や毎日新聞の店主も、「押し紙」に関する情報を提供している。

わたしも近々に西日本新聞の内部資料を提供する予定だ。

しかし、公取委が問題にしているのは、朝日新聞だけである。なぜなのか?答えは簡単で朝日の論調が、安倍政権の国策を全面的にはPRしないからにほかならない。メディアコントロールの流れのなかで、朝日への圧力が強まっていると考えるべきだろう。極めて単純な構図だ。

わたしが取材した限り、朝日新聞の販売店に特別多量の「押し紙」があるわけではない。むしろ昨年の朝日バッシングを朝日新聞社が逆手に取って、この機会に「押し紙」を整理したというのが、新聞販売業界の大方の見方である。理由なしにABC部数が減ると、広告主が不信感を抱くからだ。

繰り返しになるが、「朝日バッシング」で部数が減ったわけではない。長年の新聞購読の慣習を、「論調が気に食わない」というだけで捨ててしまうほど、日本人の民意は高くない。

◇まず、毎日新聞の「押し紙」排除を

本来、公取委が取り締まらなくてはならないのは、まず、毎日新聞社である。既にメディア黒書でも紹介したように、千葉県内のある毎日販売店には、搬入される新聞の約7割が「押し紙」になっていた。

毎日新聞の「押し紙」は昔から有名で、たとえば2005年には、内部資料が流出して、その実態が明らかになった。「朝刊 発証数の推移」と題する次の資料である。

次のPDF資料で、わたしが赤で印した箇所に注目してほしい。

■朝刊 発証数の推移

3,953,466:全国の毎日新聞販売店へ搬入される新聞部数を示している。約395万部である。

2,509,139:「発証」数を示す。「発証」とは、販売店が読者に発行する新聞購読料の領収書である。約251万枚である。

つまり395万部の新聞が販売店に搬入されているのに、領収書は251万枚しか発行されていないのだ。両者の差異にあたる144万(部)が、一日あたりに全国で発生していた毎日新聞の「押し紙」という計算になる。率にすると搬入される新聞の36%である。

この数字は2002年10月時点のものである。14年前のデータであるから、新聞離れが急速に進んでいる現在の時点では、さらに「押し紙」が増えている可能性が高い。「押し紙」問題はさらに深刻化している。

2016年04月13日 (水曜日)

「これからどんどん店主の自殺が増えるでしょう」

こんな訴えが、新聞販売店の店主からあった。新聞の没落が止まらないなか、販売店主らの間に絶望感が拡がっている。元凶は、「押し紙」である。

折込広告の需要が好調だった時代には、販売店は「押し紙」があっても、折込広告の水増しで「押し紙」の損害を相殺できたので、なんとか経営を維持できた。

たとえば1000部の「押し紙」があっても、折込広告を(一種類につき)1000枚水増しすれば、「押し紙」の損害を相殺できていた。ところがその折込広告の需要が低迷して、新聞販売店の経営基盤そのものが揺らいでいる。

しかし、新聞代金の納金を怠るわけにはいかない。怠れば、たちまち新聞社から担当員がやってきて、しつこく入金を迫る。期限までに入金しなければ、容赦なく新聞の供給を止めてしまう。

新聞は「味覚期限」が1日であるから、在庫品を配達するわけにはいかない。その結果、新聞販売店は入金を履行するために、借金まみれになったあげく、一方的に廃業に追い込まれる。自殺者もでる。

実態は昔からなにひとつ変わっていないが、最近は店主の方から「こんなばからしい仕事はできない」と言って、みずから廃業するケースが増えている。

◇西日本新聞の内部資料

最近、西日本新聞の「押し紙」を立証する決定的な内部資料を入手した。販売店ごとに、店主が注文した部数と、実際に新聞社が搬入した部数を記録したエクセル・ファイル形式のものだ。訪店した際に、担当員がPC上にこのデータをアップした後、消し忘れていたのを、店主が保存したものである。

この資料の公表方法は今後、検討していくが、少なくとも次のことが言える。

①同社が注文部数を上回る部数を販売店に搬入している事実。

②「①」は、「押し紙」を禁じた独禁法の新聞特殊指定に抵触している。

③昨年、西日本新聞の元店主が起こした「押し紙」裁判で、福岡地裁は原告の店主を敗訴させたが、判決が間違っている可能性が高くなった。資料により、「押し売り」が完全に立証できる。

実は、わたしはこの資料の存在を3、4年前から聞いていた。しかし、入手することはできなかった。店主さんが提出をためらっていたからである。

ところがあまりにも凄まじい経営実態を前に、内部告発の決意を固められたのだ。

「今、おおやけにしなければ、タイミングを逸する」

販売店の経営は追いつめられているのだ。

◇「押し紙」小屋の存在

「押し紙」問題は戦前からあったが、病的な異常さを呈してきたのは、今世紀に入ってからである。搬入される新聞の半分が「押し紙」だという内部告発を受けるようになった。

最初、わたしは「ガセネタ」だと思って取材しなかった。ところが2002年に産経新聞の店主・今西龍二さんが起こした「押し紙」裁判の資料を見て、状況の変化に気づいた。今西さんの店では、4割から5割が「押し紙」だった。

今西さんは入金が出来なくなり、銀行から自宅を取り上げられた。「押し紙」小屋の存在や「押し紙」回収の伝票の存在も明らかになった。

その後、次々と同じような内部告発があり、今では、7割が「押し紙」と聞いても驚かない。特に毎日新聞の実態が凄まじい。

しかし、日本新聞協会は、相変わらず「押し紙」の存在を否定している。「押し紙」の存在を認めたら、広告代理店に対して広告主から損害賠償の訴訟が次々と起こされるリスクがあるからではないか。

「折込詐欺」の主犯は、広告代理店である。販売店ではない。広告代理店の営業マンが架空の新聞部数を提示して、クライアントを騙しているのである。

しかも、この業務に大手の広告代理店もかかわっていることが最近分かってきた。

2016年04月11日 (月曜日)

この4月から電力の供給が自由化された。これまでは地域ごとに電力供給を受ける電力会社が決められていたが、その垣根が撤廃されて、各戸が自分で電力会社を選択する制度となる。

この電力自由化に連動して浮上してきたある大問題がある。メディアでは報じられていないこともあって、ほとんどの人が認識していない問題である。

それは新しい電力会社との契約には、スマートメーターの設置が大前提になっている事実である。ウィキペディアによると、スマートメーターとは、「従来のアナログ式誘導型電力量計と異なり、電力をデジタルで計測し、メーター内に通信機能を持たせた次世代電力量計。ここでは、主に電気メーターをスマートメーターと呼んでいるが、ガスや水道などの同様の計測機も含むもの」である。

アナログの時代は、計測員が計測器の数値を確認していたが、電力自由化の流れのなかで、マイクロ波による測定システムが導入されようとしているのだ。

◇マイクロ波のリスク

マイクロ波は、携帯電話やスマホに使われている電波である。2011年には、WHOの外郭団体である国際がん研究機関が、発ガン性の可能性を認定した危険な電波だ。

マイクロ波による健康被害の実態は、メディア黒書で繰り返し伝えてきたが、今度は、電力自由化の波の中で、そのマイクロ波の幅広い運用が始まるのである。無謀というほかない。

電波は磁気や磁場を伴っているので、厳密にいえば電磁波である。その電磁波は広義の放射線だが、海外では電磁波と放射線を区別していない。どちらも危険なものとされているのだ。

従来は、周波数が高いガンマ線やエックス線の領域のものは、危険とされ、マイクロ派や低周波電磁波は安全とされてきた。ところが最近の研究で、周波数の高低とは無関係にすべての電磁波(放射線)が危険だとする説が有力になっている。

事実、欧米ではマイクロ波に対する規制が極めて厳しい。日本のように企業のやりたい放題でマイクロ波を使える状況にはない。

日本でガンが年々増えている事実は、各種の統計が示しているが、その原因のひとつが携帯電話の普及にあることは、容易に推測できる。電力自由化により、今後、ますます健康リスクは高くなる。

2016年04月08日 (金曜日)

メディア業界の「闇」の領域-外部からではなかなか見えない謎のひとつが大手広告代理店による広告関連業務から発生する費用の見積もりの実体である。彼らは何を基準として、広告制作費などの価格を設定しているのだろうか。

たとえばわたしの手元に(株)朝日広告が最高裁に対して送付した請求書の写しがある。業務の名目は、「裁判員制度広報のメディアミックス企画及び実施業務」である。これはわたしが情報公開制度を利用して入手したものである。

裁判員制度をPRすることを目的とした広告制作に関する請求だ。

総額は6億8663万7400円(2008年4月のデータ)。

■裏付け部分PDF

広告を掲載するのは、全国の新聞や雑誌、ウエブサイトなどである。まず、新聞広告の掲載料の例を検証してみよう。大きさは全面(15段)。

朝日新聞:41,241,781円
毎日新聞:28,862,240円
読売新聞:48,346,000円
その他・・・

何を基準にこうした莫大な金額を設定したのか、情報が開示されていないのでさっぱり分からない。ちなみに、一般企業の広告は大幅に低落している中で、公共広告だけは広告の相場がほぼ横ばいだ。

さらにこの請求書で不可解なのは、広告制作(写真撮影、版下など)に関する請求の詳細がすべて黒塗りになっている事実である。公開されているのは、合計金額だけだ。その額は、

61,018,000円

■裏付け部分PDF

しかし、新聞広告の場合、版下はいくつかの定型を使用するので、掲載紙(誌)の数だけ版下を制作する必要はない。200ページ程度の書籍の版下を製作する場合、高くても30万円程度であることを考えると、適正な見積もりだったのか検証する必要がある。

その他の諸経費を合計しても、6100万円はあまりにも高額だ。

裁判所の予算は税金から調達されているわけだから、もし、朝日広告の請求が過剰であるとすれば、返済を求める訴訟も必要ではないか?

日本の大手広告代理店の実体はよく分からない。闇の中だ。「押し紙」問題と同様に、今、徹底解明が必要なメディアの領域といえるだろう。

 

■情報提供はメディア黒書(048-464-1413)まで

2016年04月06日 (水曜日)

民進党の山尾志桜里政調会長が、多額のガソリン代を計上していたことが問題になっている。約240万円。これは『夕刊フジ』によると、車で地球5周分に相当する金額だという。

が、驚くなかれ。もう一段格上の人がいる。

今夏の参院選に新潟選挙区から野党連立候補として出馬する公算が強くなっている森ゆうこ議員がその人だ。2012年に公開された政治資金収支報告書(2011年度、新潟選管管理分)によると、「高速ガソリン代」として、山尾議員を上回る294万8885円を計上している。

しかも、支払先はすべて(株)ジェーシービーである。

裏付け資料は次の通りだ。

■政治資金収支報告書の関連箇所

◇裁判で言論活動の制限を請求

森氏は新潟選挙区で野党連合の有力候補にあがっているが、疑問を呈する声も多い。その最大の理由は、2013年の秋に自分の支持者で論争相手だった一市民に対して高額訴訟を起こし、500万円の金銭要求のほか、被告の言論活動を制限することを請求したからだ。

この裁判は森氏の敗訴だった。
裁判の経緯については、メディア黒書で詳しく伝えてきたので、過去の記事を参照にしてほしい。ここでは判決だけを再公開しておこう。

■森裕子裁判の判決全文

ちなみに森氏は、敗訴した後も裁判の相手方に謝罪していない。
当然、参院選の候補者としては不適格との声も上がっている。

 

2016年04月05日 (火曜日)

広告代理店が起こした事件の代表格といえば、「低料第3種郵便物の割引制度」(障害者団体の定期刊行物を、格安な郵便料金で送るための優遇制度。)を不正利用した事件である。2008年10月に朝日新聞のスクープによって明らかになった。

具体的な不正利用の中身は単純で、企業がPR活動などの手段として利用するダイレクトメール(広告の一種)を、障害者団体の定期刊行物と偽って、違法な低価格で発送していたというものである。

当然、この障害者を対象とした優遇措置を得るためには、障害者団体であることの証明が必要だ。その便宜を図ったのが厚生労働省の職員であった。事実、虚偽公文書作成罪などに問われた。

このような方法で、企業は総額数十億単位の経費を削減したと言われている。

この事件に博報堂がからんでいた。

◇博報堂はこの事件にどう関与したのか?

企業が「低料第3種郵便物の割引制度」を利用して格安価格でダイレクトメールを送った事件に、広告代理店である博報堂(注:厳密にいえば同社の子会社で福岡市を拠点とする博報堂エルグ社)がどう関与していたのだろうか。

結論を先にいえば、「博報堂エルグを通じた提案」(2009年5月6日付け博報堂広報部の文書)をおこなっていたのである。ここでいう提案とは、念を押すまでもなく、「低料第3種郵便物の割引制度」を悪用する提案である。不正行為を奨励したのである。

当時、日本郵政は、博報堂に広告に関する業務を全面委託していた。

この不正手口に乗った企業は、たとえば家電量販店のベスト電器である。この会社は、福岡市博多区に本部がある。博報堂エルグ社も福岡市にあったので、地理的な観点から見ても整合性がある。他にも九州にある企業がこの事件に巻き込まれている。

当然、博報堂エルグの執行役員は逮捕されている。逮捕を受けて、博報堂は2009年5月6日、「大阪地方検察庁による当社子会社執行役員に対する郵便法違反による起訴処分と、今後の対応につきまして」と題する文書を公開している。次のリンクである。

■大阪地方検察庁による当社子会社執行役員に対する郵便法違反による起訴処分と、今後の対応につきまして

■広告代理店に関する情報提供は、048-464-1413(メディア黒書)まで。

2016年04月04日 (月曜日)

ジャーリズムのメスが入らない領域のひとつに広告代理店がある。新聞社の「押し紙」問題も、新聞社に対する遠慮から、なかなか取材対象にならないが、広告代理店はその比ではないかも知れない。

広告に依存しているメディアにとって広告代理店は、自社の実質的な営業部門としての性格を有しているからだ。ただ、圧倒的に規模が大きい電通を除けば、まっく報道の対象になっていないわけではない。

たとえば産経新聞は、昨年の12月に、「津波記録誌で「怠慢」編集 岩手県大槌町、東北博報堂との契約解除」と題する記事を掲載している。

東日本大震災で大きな被害を受けた岩手県大槌町は8日、大震災の記録誌編集事業について、契約上の履行期間内の業務完了が事実上不可能として、事業を請け負った東北博報堂(仙台市青葉区)との契約を解除したことを明らかにした。

 町は2月、3社による競争提案審査を実施し、事業の全体管理者として東北博報堂を選定。約250ページの記録誌1千部と、全戸配布する約25ページのダイジェスト版8千部の作成を1250万円で委託した。

 納期の7月に内容を確認したところ、被害状況などのデータの羅列にとどまり、震災の悲惨さを伝える記録誌としての完成度は低く、いったん期限を11月末に延長。9月には一部の文章で、県が発行した別の記録誌からの無断コピーも発覚した。

 作成過程で、町とやりとりするのは印刷会社の担当者で、取材先の選定や交渉、誌面構成などは町に依存しており、実質的に印刷会社への丸投げだったという。町は東北博報堂盛岡支社長らに厳重注意したが、編集作業の体制改善はみられなかったという。10月に納期を来年2月にする再延長の申し出があったことから、期間内の完成は事実上不可能と判断し、契約解除に踏み切った。

 平野公三町長は「実績のある会社だったので信頼していた。裏切られたという気持ちがある」と話している。東北博報堂は「町のいう通り、当社の怠慢ということになる。今後、このようなことが二度と起きないように努める」とした。

◇高く見積もっても500万円

文中にある「約250ページの記録誌1千部と、全戸配布する約25ページのダイジェスト版8千部の作成を1250万円で委託した」という部分に注目してほしい。読者は、この受注額についてどう思うだろうか。

わたしの体験からすれば、とんでもない額である。どんなに高く見積もっても500万円ぐらいだ。まず、250ページの書籍を1000部制作するのであれば、大手の自費出版専門会社でも、250万円から300万円ぐらいの価格である。

この金額には、ライターの代筆代金、編集代金、印刷料金が含まれている。

一方、約25ページのダイジェスト版8千部。これについても、わたしは100万円で十分だと思う。

8千部という部数が見積もりを引き上げていると考えている読者もいるかも知れないが、印刷で最も費用がかかるのは、版下の製作である。わたしと交流のある印刷会社では、25万円から30万円ぐらいで版下を製作する。

印刷する用紙代は極めて安い。

こんなふうに考えると、1250万円の受注は異常と考える人が多いのではないか。しかも、仕事を受注しておきながら、「県が発行した別の記録誌からの無断コピーも発覚」するなど、「怠慢編集」との評価を受けたのだから、社員のモラルに問題がある。

■広告代理店に関する情報提供は、048-464-1413(メディア黒書)まで。

2016年04月01日 (金曜日)

メディア黒書に折込詐欺に関する問いあわせが相次いでいる。この種の情報を伝えてくるのは、かつては新聞販売店の従業員だった。それから新聞販売店の店主になった。そして最近は広告主からの情報提供も増えている。

なぜ、新聞販売店の店主が折込広告が水増しされている実態を告発するようになったのだろうか?答えは簡単で、折込広告の水増し分が特定の販売店(証言によると新聞社の直営店)に割り当てられ、販売店にとってはあまりメリットがなくなってきたからである。

折込広告の搬入枚数を店別に決めているのは、広告代理店である。新聞社系の広告代理店が、新聞社の直営販売店に対して多量の水増し広告を不正に割り当てても不思議はない。

◇産経の「押し紙」問題は未解決

改めていうまでもなく、折込詐欺の温床になっているのは、「押し紙」である。販売店主による内部告発の一例を紹介しよう。産経新聞の例である。産経新聞は、一時、「押し紙」政策を中止したとも言われていた。

しかし、2015年11月4日付けの「増減報告書」と呼ばれる内部資料によると、千葉県内の某店では、600部のうち155部が「押し紙」になっている。「押し紙」率は26%である。

産経の場合、過去には「押し紙」率が40%にもなっていた店(たとえば、大阪府の四条畷販売所)もあったが、現在の「押し紙」率は低くなっているようだ。しかし、やはり「押し紙」はある。

■内部資料:増減報告書PDF

【資料の見方】「▲155」は、搬入部数を155部を減らした事を意味する。「445」は、155部を減らした結果、445部になったことを意味する。

ちなみにこの販売店では、折込広告が過剰になっている。店主は、「押し紙」の証拠として、過剰になった折込広告(市の広報)を現物保管している。

◇広告主の防衛策は?

広告主が取れる防衛策は、広告代理店に対して、折込広告の販売店別の割り当て枚数を提示させることである。その上で新聞社の直営店に対しては、6ガケ程度で発注することである。

2016年03月30日 (水曜日)

新潟県の経済誌『財界にいがた』(4月号)が、2月28日に東京で行われたシンポジウム「裁判所は本当に駆け込み寺?」で生田輝雄弁護士(元大阪高裁判事)が行った講演の記録を中心に、参加者の発言を紹介している。タイトルは、「国政を推進する最高裁」。

生田氏は、日本の裁判の実態をせきららに語っている。日本の裁判では、判決の直前になって突然に裁判官の交代劇が起こることがよくあるのだが、その背景には、国政の方向性に逆行する判決を下した場合、裁判官みずからの昇級に影響する事情があるらしい。生田弁護士が言う。

なぜ直前に裁判官を代えられるかというと、大きな事件や公害などの重大事案は報告事件といいまして、最高裁事務総局や民事局、行政局に書記官サイドからその日の状況を全部報告しているのです。

 それを全部見ている最高裁がたとえば「これでは生田のほうが勝つではないか。そんなことがあってはいかん」ということで裁判官をバサッと代えてしまうのです。

 そして新たに担当になった裁判官は記録を見て「これは前のようにやってはいけないと最高裁が言っているのだな」と受け止め、それに沿った無茶苦茶な審理を行うのです。

◇訴訟件数が少ない日本

また、生田弁護士は、訴訟件数の低迷にも言及している。初めて日本で司法統計が取られた明治8年に比べて、現代は民事訴訟の受理件数が3分の1に減っているという。これを当時の人口比を考慮に入れて比較した場合は、民事訴訟の受理件数が8分の1から9分の1に減っているという。

一方、海外における訴訟件数の比較も興味深い。

現在日本における行政訴訟は年間2千件ぐらいです。ところがドイツでは51万件といわれています。ドイツの人口は約8千件ですから、仮に日本と人口が同じだとすると74万件ぐらいという計算になります。

司法の実態を通じても、日本人の裁判を避ける傾向が顕著にみえる。太平洋戦争により言論が抑圧された後の時代、つまり昭和の後半から平成にかけた時代よりも、明治期の方が自由闊達な精神が浸透していた証である。

その他、生田弁護士は、裁判官の昇級差別や、砂川事件で田中耕太郎長官が米国と取引をした問題などを指摘している。

2016年03月28日 (月曜日)

このところ折込広告の水増し問題、いわゆる「折り込め詐欺」に対するクライアントの不信感が高まっている。広告代理店の手口が凄まじいものになっているからだ。ABC部数を超えた枚数で、折込広告の必要枚数を見積もっているケースもある。

水増し分の広告を印刷すらしていないのではないかと見ているクライアントも多い。新聞販売店の店主らの間でも、それが共通認識となっている。

どの角度から見ても明らかな詐欺である。

特に問題が多いのは、新聞社の販売会社が直営する販売店に対して割り当てる折込広告の枚数である。折込広告の収入を増やすために、個人経営の販売店に割り当てるべき枚数を減らし、その減数分を直営店に割り当てているという販売店サイドの証言が数多くある。

もちろんこうした話は、証言のレベルで新聞社が直営する販売店の経理帳を照合しなければ、確証は得られないが、仮にこれが事実であれば、大変な問題だ。本来であれば、警察沙汰になる。賠償問題にもなる。新聞に対する軽減税率の適用など吹っ飛んでしまうだろう。

昔から、「新聞販売店は折込広告でもっている」と言われてきた。しかし、折込広告の需要が減ってきた現在では、このようなビジネスモデルは通用しなくなっている。折込広告の収入だけでは、新聞販売店は経営が維持できなくなり、それに伴い新聞販売店サイドから「押し紙」排除の声が上がっているのだ。

冒頭の動画は、岡山県民共済の折込広告が大量に廃棄される場面である。一般企業の折込広告だけではなく、税金で制作されている公共広告も廃棄されているのである。

 

2016年03月25日 (金曜日)

元参議院議員の森裕子氏が、今夏に予定されている参院選の新潟選挙区に野党統一候補として出馬する公算が高くなった。3月19日付け産経新聞は、森氏が出馬するに至った経緯を次のように説明している。

民主党の枝野幸男幹事長が18日、今夏の参院選新潟選挙区(改選数1)に擁立を予定していた県連代表の菊田真紀子衆院議員(46)にくら替え出馬の取り下げを求め、菊田氏が受け入れる考えを示したことで、生活の党の森裕子元参院議員(59)が同選挙区で連携を模索する野党4党の統一候補となる公算が大きくなった。

 新潟市秋葉区で同日、取材に応じた森氏は「責任は非常に重い。野党が結集することが重要であり、力を合わせて必ず勝ちたい」と意欲をみせた。(略)

森氏の出馬については疑問視する声も多い。過去に森氏が一般市民(志岐武彦氏)に対して口封じ裁判とも、スラップ訴訟とも解釈できる高額訴訟を提起するなど、国会議員としてあるまじき事件を起こしているからである。

スラップとは、提訴行為により相手にプレッシャーを与え、不都合な公的意見を抑制する行為で、その公的意見の核心部分とは別の副次的な要素から訴因を見つけ出し、提訴に及ぶ行為である。しかも、高額なお金を請求することなどをその特徴とする。森氏は、この裁判で金500万円を要求した。

◇裁判の背景に小沢事件

森氏が提訴した裁判の背景には、小沢一郎氏を起訴した東京第5検察審査会が架空だったのではないかという推論をめぐる森氏と志岐武彦氏の論争があった。しかし、森氏が訴因としたのは、この点をめぐる論争そのものではなく、志岐氏の言論表現の方法をめぐる問題であった。

しかし、裁判ではそれさえもまったく認められず、森氏はわずか半年ほどで敗訴した。控訴もしなかった。

■森裕子裁判の判決全文

◇言論活動の禁止事項

この裁判でわたしが最も問題視してきたのは、森氏が訴状に示した請求項目の中で、志岐氏の言論活動の禁止を求めていた事実である。金銭要求が500万円であったこともさることながら、むしろ国会議員が司法制度を利用して市民の言論を封じようとしたところに最大の問題がある。たとえば訴状に記された次の請求である。

3 被告(志岐武彦)は、ウェブサイト、ブログ、書籍又は雑誌において、別紙4記載の事実摘示を行ってはならない。

別紙4とは、次の3点である。

■森氏が求めた言論活動の禁止事項

よく意味が通じない文章であるが、いずれも言論の自由に一定の足かせをはめる内容にほかならない。国会議員がこうした要求を突きつけるのはあるまじき行為といえよう。

森氏は、敗訴した後も志岐氏に対して謝罪をしていない。

◇不可欠な小沢弁護団に対する事情聴取

小沢事件では、第5検察審査会に提出された捏造報告書を何者かが外部に流出させたのだが、不思議なことに誰がやったのかが、いまだに判明していない。森氏らは、検察の中の良心的な人の手で捏造報告書が外部にもれたと推論しているようだが、確たる証拠があるわけではない。過去に検察が不祥事を繰り返してきたから、今回も検察だという論法の範囲をでない。何の確証もない。

メディア黒書でも、繰り返して伝えてきたように、捏造報告書が外部に流出するルートは、基本的には2つしかない。ひとつは、森氏らがいうように検察から流出するルートである。

他のひとつは、小沢氏の弁護団(弘中 惇一郎弁護士、喜田村洋一弁護士ら)を経て外部に流出するルートである。事実、裁判の中で被告側は弘中弁護士の尋問を求めた。

繰り返しになるが、窃盗のケースは別として、ルートはこれら2つしか存在しない。

検察審査会の文書が外部にもれたとなれば、大事件である。当然、調査しなければならないはずだが、不思議なことにこの事件は、闇の中に葬られてしまった。本来、弘中氏ら弁護団から事情を聞く必要があるのだが。

森裕子氏は、この事件が原因となって一市民を提訴した事実があるわけだから、事件が解決するまでは立候補を自粛すべきだろう。

2016年03月23日 (水曜日)

2009年7月、読売新聞社が新潮社とわたしに対して「押し紙」報道をめぐって5500万円の損害賠償を求める裁判を起こした後、「押し紙」報道が急激に下火になった。そしていつのまにか「押し紙」問題が消えてしまった。

ところがこのところ再びこの問題が再燃している。メディア黒書に情報が寄せられるようになっているのだ。

◇国会質問から真村訴訟まで

「押し紙」が最初に大きな話題になったのは、1980年代の前半である。共産・公明・社会の3党が国会で、「押し紙」など新聞販売の諸問題を15回に渡って取り上げた。新聞業界には衝撃が走った。しかし、この時はメディアが国会の動きを報じることはなかった。唯一の例外は『潮』だが、同誌の影響力では、「押し紙」が社会問題として認識されるには至らなかった。

次に「押し紙」問題が浮上したのは、2007年ごろだった。この年の6月に福岡高裁が、読売の「押し紙」を認定する画期的な判決を下し、同年の12月にその判決が最高裁で確定したのだ。この時期と前後して、週刊ダイヤモンド、週刊東洋経済、創、週刊現代、SAPIO、財界展望などが「押し紙」問題を報じ、週刊新潮の連載で頂点に達した。

広告主は新聞のカラクリを知り、自主的に折込広告の発注枚数を減らす措置を取り始めた。

■福岡高裁判決(全文)

しかし、既に述べたように、読売が「押し紙」問題で高額訴訟を起こした後、メディアは「押し紙」報道を「自粛」するようになった。メディア黒書に対する情報提供も激減した。

再び新しい動きが始まったのは、昨年あたりからだった。販売店サイドからメディア黒書に対して情報を提供する動きが現れたのだ。しかも、今回は、折込広告の水増し問題を新聞販売店主がみずから内部告発する新しい傾向が現れている。

◇情報提供を求む

折込広告の水増問題を最初に内部告発したのは、山陽新聞の元店主である。冒頭の動画は、水増しされて過剰になったユニクロの折込広告である。同じことが全国の多くの新聞販売店で行われている可能性が高い。

改めていうまでもなく、このような不正行為の責任は、新聞販売店ではなく、折込広告の割り当て枚数を決めている広告代理店にある。

メディア黒書は、新聞販売店と広告主に次の情報を求める。

(1)「押し紙」の実態

(2)折込広告の水増しの実態

(3)折込広告発注の記録(広告主)

(4)広告代理店に関するあらゆる情報

(5)新聞社が直営する販売店に関するあらゆる情報

※秘密厳守。なお、資料を保存しておくことは重要だ。損害賠償の訴訟を起こす場合、資料の有無が勝敗を決するといっても過言ではない。

 情報提供先:電話048-464-1413
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