2016年10月18日 (火曜日)

新潟地方検察庁が自由党の森裕子氏に対する告発状を受理した。これについては、メディア黒書で既報したが、告発の中身につてはまだ触れていないので、ここで簡単に説明しておこう。『新潟日報』にも記事が掲載されているが、初めてこの事件にふれる読者には、何が問題なのかが秩序だてて記述されていないので、よく理解できないからだ。

■新潟日報:森裕子氏への告発受理 新潟地検 

この告発は、私とA氏の共同で行った。共同で調査して、A氏が告発状を作成した。

読者は、政治献金の還付制度をごぞんじだろうか。政治家が長を務める地元の政党支部へ、有権者が政治献金を行った場合、所定の手続きをすれば、寄附した金額の30%が還付される。すなわち税務署から献金者の手元に還付金が戻ってくるのだ。

たとえば100万円寄附すると、そのうちの30万円は還付される。

森氏はこの制度を利用して、自分で自分の政党支部へ献金を行い、還付を受けていたのだ。自分で自分の政党支部へ献金したわけだから、そのお金は全部自分で使える。それに加えて、還付金も自分の懐に入る。

しかも、この制度を森氏が知っていた証拠も掴んでいる。かなり以前から同じ事を繰り返していた。

詳細については、後日、明らかにするが、政治家としてあるまじき行為である。ただ、このような詐欺の手口は、政治家の間でかなり普及している可能性もある。

森氏は、新潟日報に対して、「会計処理は政治資金規正法にのっとって適正に行っている。外部監査を経て収支報告しており、全くの事実無根で、根拠がないものだ」とコメントしているが、政治資金収支報告書に、その足跡が残っている。森氏の事務所のスタッフまで、献金者になっている。

なお、新潟知事選のさなかに地検が告発状を受理したために、反原発候補・米山隆一氏の選対委員長をしていた森氏をねらい打ちしたのかではないかとの声があるが、告発状を提出したが8月12日で、泉田知事の辞任で知事選が行われることが分かったのは、30日であるから米山落選を狙った告発ではない。

2016年10月17日 (月曜日)

騙されてお金を支払い、しかも、そのお金を支払うことを書面などで確約した後になって、騙されていたことに気づいた場合、騙された側に支払い義務はあるのだろうか?

博報堂とアスカコーポレーションの裁判では、この点が争点のひとつとなっている。現在、両者のあいだに3件の裁判(博報堂が原告のものが1件、アスカが原告のものが2件)が提起されているが、このうち、博報堂が起こした「6億円」訴訟では、この点が最大の争点になりそうだ。

既報したように、博報堂は昨年の秋、アスカに対して約6億1000万円の未払金の支払を求める裁判を起こした。この金額は、博報堂が請け負ったPR業務から生じた未払金である。未払金は、一次的に経営が悪化したためである。

博報堂は、未払金の回収を確実に進めるために、アスカに対して分割支払いの覚書を作成させたり、支払い計画を提出させたりした。

ところが博報堂が提訴した後、アスカが博報堂との過去の取引を精査したところ、疑惑が次々と浮上したのである。「6億円訴訟」の請求項目には入っていないが、最も分かりやすい不正の典型としては、テレビCMを制作するに際して、博報堂がアスカに対して提示した番組提案書に、改ざんした視聴率を記入して、番組枠を買い取らせていた事件である。この事件を見るだけでも、博報堂の悪質さが想像できるだろう。(事件の構図については、次の記事を参照にしてほしい)

■【解説】奇怪な後付け見積書が多量に、博報堂事件の構図はどうなっているのか?

◇民法第119条(無効な行為の追認)

民法119条は次のように述べている。

「民法第119条(無効な行為の追認)

無効な行為は、追認によっても、その効力を生じない。ただし、当事者がその行為の無効であることを知って追認をしたときは、新たな行為をしたものとみなす。」

「6億円」訴訟でいう「追認」とは、博報堂がアスカに対して作成させた未払金の支払を履行させるための覚書を意味する。博報堂は、この覚書を根拠にアスカに支払いを求めているのだ。

しかし、アスカは、「追認」時には、博報堂による「騙しの手口」に気づいていなかったわけだから、支払い義務があるかどうかを判断するためには、「騙しの手口」があったかどうかを検証する必要がある。それが先決だ。

「騙しの手口」が事実であれば、アスカに支払い義務はない。逆に博報堂が真っ当な仕事をしていれば、アスカに支払い義務が生じる。それを検証するのがこの裁判である。

ところが「6億円訴訟」の博報堂側の書面(遠藤常二弁護士作成)を読む限りでは、個々のPR業務の中身の正当性に関する主張するよりも、むしろアスカの南部社長が個々のPR業務に対する報酬支払を承認しているから、支払い義務が生じるという主張に重きを置いているような印象を受ける。明らかに焦点がぼやけている。少なくとも筆者は、そんなふうに感じた。

◇見積書提出をどう解釈するか?

博報堂は一連の書面で、アスカの南部社長の追認を得るためのプロセスが正当なものであったことを主張している。この点と、個々のPR業務の中身に「騙しの手口」がなかったのかという点も、まったくの別の問題である。手続き論と、業務の中身の検証は別である。ここでも書面の焦点がぼけている。

この点を念頭に置いたうえで、支払いに至るプロセスについての、博報堂・遠藤常二弁護士の準備書面1の記述を紹介しよう。遠藤弁護士によると、プロセスは次のようなものだった。

①南部社長から原告への広告取引の依頼
②原告から南部社長へ企画の提案
③南部社長による企画提案への承諾 
④南部社長への見積もり提示
⑤原告による広告制作・納品
⑥南部社長の承諾後、請求書作成
⑦支払い

しかし、①~⑦は、若干事実とは異なっている。まず、博報堂が見積書を提出していたのは、「⑤原告による広告制作・納品」の後である。本来、見積書は、業務内容を提案する段階で提示するものなのだが。後付けの見積書は、正常な取引ではありえない。

しかも、実際が見積書が請求書と一緒にアスカに届けられていたのは、請求書の締日の前後だったので、アスカの経理が書面の中身を検証する時間がなかった。

見積書が後付けになっていた事実は、メディア黒書で入手している見積書の日付けが、すべてPR業務が完了した後の日付けになっていることでも分かる。

博報堂の言い分は、「②原告から南部社長へ企画を提案」した段階で、口頭で説明したことが、見積書を提示したのと同じ意味あいを持つというものらしいが、その提示した内容がそもそも真っ赤なウソであれば、⑦「支払い」の段階で、お金をだまし取ったことになる。当然、返金しなければならない。

「②」の段階で、改ざんした視聴率を番組提案書に記入した事実は、悪意を持った行為であることに疑いの余地はなく、刑法上の詐欺になるだろう。

◇清原氏と京都きもの友禅事件

アスカを担当していた博報堂の営業マン・清原氏について、筆者は聞き込み調査を行った。そこから清原氏の人間像が浮かび上がってくるわけだが、ある意味では頭が切れる人物である。批判の意味を込めているのか、肯定的に評価しているのかは不明だが、「切れ者」という評価が多い。

たとえばメディア黒書でも既報したが、(株)京都きもの友禅と(株)H.I.Sの事件である。清原氏は、アスカの通販誌に掲載する広告「契約」をこれらの企業から、2006年2月から2009年1月までのあいだに10回も取り付けた。当然、アスカの南部社長としては、清原氏の辣腕ぶりを高く評価する。実際、清原氏にお歳暮を贈るなど手厚く、彼の労を労っていたのである。

ところが博報堂が「6億円訴訟」を提起した後、清原氏の業績が欺瞞(ぎまん)だったことが発覚した。(株)京都きもの友禅と(株)H.I.Sは、清原氏が担当していた会社であり、しかも、出稿するにあたり、これらの企業の承諾を得ていなかったのだ。もちろん広告掲載料の入金もされていなかった。

これらの事実については、筆者も(株)京都きもの友禅と(株)H.I.Sを取材して事実関係を確認した。

なぜ、清原氏はこうした行動に走ったのだろうか?ここからは筆者の推測になるが、アスカの南部社長の信頼を得て、視聴率の偽装に代表されるような「騙しの手口」を広げるためだったのではないだろうか。事実、2008年からアスカは、自社のPR業務を博報堂に独占させたのである。

清原氏は、南部社長とふたりだけで交渉できる立場にのし上がったのだ。アスカの社員よりも、強い立場を確立したのである。

◇業績悪化

こうした事実をつなげてみると、清原氏は、確かに博報堂にとっては「切れ者」なのである。

しかし、博報堂がPR業務を独占した後、アスカの業績は急激に悪化していく。

アスカのCPOは、博報堂がPR業務を独占した2008年以降に急激に悪化した。CPOとは、新規の顧客一人を獲得するために費やした販促費用のことである。CPOの金額が低ければ、低いほど、効率的に新規の顧客を獲得していることになる。逆に金額が高ければ、高いほど販促費の規模に見合った顧客獲得が出来ていないことを意味する。

東急エージェンシーと電通の時代におけるCPOは、7万円程度(非公式の数字)で、博報堂の時代になってから、次のような金額になった。

2009年   220,876円
2010年   240,643円
2011年   220,019円
2012年   432,065円
2013年   922,760円
2014年 1,139,010円
2015年 1,538,897円

なお、見積書の日付けが後付けになっている事実からも明らかなように、博報堂が業務内容を取り決める際に、見積書を提出していないこを知りながら、見積により南部社長が支払いの承認を下したとする遠藤弁護士の主張は再考する必要がある。かりにこれに連動した虚偽の証拠が提出された場合、懲戒請求になりかねないレベルだ。

2016年10月14日 (金曜日)

「黒薮」の名前で成りすましメールが発信されている。メールの特徴は、2点ある。

①全文が英文で書かれていること。差し出し人に「黒薮」の名が入っているものと、メディア黒書のアドレス「xxmwg240@ybb.ne.jp」が入っているものがある。両方とも表示されているものもある。

②メールが不特定多数の人々ではなく、おもに「押し紙」問題に取り組んでいる人々に特定して送られていることである

②について言及してみよう。

◇現代の社会病理

たとえば最近、筆者のもとに寄せられた通報によると、真村裁判の原告・真村久三氏や、彼の弁護団の面々、それに「押し紙」問題に取り組んでいる小坪慎也・行橋市議、さらに筆者の対読売裁判を支援した出版労連の関係者のところへも、成りすましメールが送られた。

不思議なことに筆者が住んでいるマンションの管理人のPCにも、「黒薮」名の成りすましメールが送られた。しかし、筆者はこの管理人とメールでコンタクトを取ったことはない。とすれば、インターネットとは別のルートで情報を収集している可能性も疑われる。ずばりスパイ活動である。

ただ、「押し紙」問題を押さえ込もうとしている勢力による犯罪とは限らない。犯人が彼らであると思わせることを意図して、まったく別の勢力がやっている可能性も否定できない。

メディア黒書は、さまざまな問題を扱っているので、現段階では、だれが成りすましメールを送り続けているのかはまったく分からない。メディア黒書とは無関係な勢力による犯罪の可能性もある。

目的は、いわゆる「ガス抜き」ではないかと思われる。現代の社会病理にほかならない。当然、この事件も取材対象になっている。

2016年10月13日 (木曜日)

アスカコーポレーションが博報堂に対して、起こした裁判(不当利得返還請求事件)で、11日、博報堂から福岡地裁へ答弁書が提出された。

※両企業の間では、3件の訴訟が起きている。

博報堂(原告)がアスカ(被告)に対して、約6億1000万円の未払金を求めるもの。東京地裁。

 アスカ(原告)が博報堂(被告)に対して約15億3000万円の過払い金の返還を求めるもの。福岡地裁。

アスカ(原告)が博報堂(被告)に対してテレビCMなどの番組提案書の無効を求め、約47億9000万円の返還を求めるもの。福岡地裁。

今回、博報堂の遠藤常二弁護士らから提出されたのは、②の「15億円」訴訟の答弁書である。博報堂がメディアに対して頑なに取材を拒否してきただけに、筆者は、特別な関心をもって書面を読んだ。

◇裁判所の変更を認めず

が、内容を紹介する前に、博報堂が①の訴訟を提起した後の両者の動きを簡単に説明しておこう。①については、原告・被告の双方が何度か書面を提出しており、一応のところ、裁判は前に進んでいる。

しかし、②と③の裁判については、博報堂が法廷を福岡地裁から東京地裁へ移すように求めて2度にわたり移送を申し立てた。しかし、裁判所はそれを認めなかった。

次に博報堂は、②と③の裁判を統合するように申し立てている。これについては、現在、審理されている。

◇博報堂の書面

博報堂が提出した答弁書は、本文が7ページの極めて短いものだ。原告アスカが訴状で提示した15項目に渡る「過剰請求項目」に対する具体的な反論はなく、自社の営業マン清原(仮名)氏と南部社長で、PR業務に対する戦略を取り決めたうえで、南部社長から請求項目の承諾を得ていたから、法的な問題はないという主張である。

また、博報堂が訴訟(①)を起こすに至ったプロセスと見解が記されており、自社の正当性を主張している。筆者は、訴状に対する答弁にしては、焦点が外れている印象を受けた。

◇南部社長の承認はあったのか?

アスカのPR業務を南部社長と清原氏の2人だけで取り決めていたという事実は、メディア黒書でも報じてきた通りである。唯一の違いは、請求項目に対する両者の合意があったか、なかったかという点である。メディア黒書では、アスカ側への取材に基づいて「合意はなかった」と報じてきた。

博報堂の主張を示す部分を、遠藤弁護士が作成した答弁書から引用しておこう。

(略)南部社長との間で、企画提案の段階で見積額を協議し、さらに広告の制作・納品後も最終的な請求費目及び金額について了承を得た後に、各費目を請求していた。したがって、訴状別紙の各費目は、全て被告と南部社長との間の合意に基づいて請求されたものであり、過剰な請求をしたことは一度もない。

(略)(黒薮注:南部社長が)本件広告取引の企画提案から費用の支払いに至るまで、被告との交渉を全て自らが担当していた。さらに、南部社長は、被告営業担当者の清原(仮名)に対し、度々、自分以外に広告取引に関し社内で決裁権を有する者はいないと述べていた。
 したがって、原告が請求金額を争っている本件の広告取引は、全て、南部社長自らが清原と交渉し、同意してきたものである。また、本件の広告取引には、他の原告社員や従業員が関与することもなかった。

◇裁判のキーパーソン

請求額についての合意があったのか、なかったのかが、アスカと博報堂の主張の相違点である。博報堂は、合意があったから、アスカが主張する15項目の「過剰請求項目」は、正当性を欠くと主張しているように見受けられる。

これに対しアスカは合意はなかったとした上で、15項目に渡る「過剰請求項目」の具体的内容を訴状で提示している。こちらの方は、裏付け資料に基づいたものである。

合意があったのか、それともなかったのか。この真実を知っているのは、南部社長と清原氏の2人だけだ。どちらか一方が欠けると、裁判そのものが成立しなくなる。その意味では、両者が裁判のキーパーソンなのである。

アスカ側は、今後、合意がなかった根拠として、見積書を事前に提出するように博報堂に求めた事実などを具体的に主張するものと思われる。

◇訴状に対する答弁にはなっていない

さて、筆者の見解を述べよう。

博報堂・遠藤弁護士の論理は、たとえ業務の内容がデタラメ(たとえば通販誌を制作するプロセスにおける過去データのパクリ)であっても、南部社長がそれに気づかずに、支払いに合意していれば、金銭の返還義務は消滅するというものである。金品をだまし取っても、クライアントが知らずに合意していれば、返還義務はないというものらしい。少なくとも筆者には、そんなふうに解釈した。

事実、今回提出された答弁書の後半で、遠藤弁護士は、①の「6億円」訴訟を持ち出し、アスカの南部社長が支払いに合意していたから、支払い義務があると主張している。しかし、それ以前の問題として、PR業務そのものがどのような実態であったのかを、主張しなければ、訴状に対する答弁にはならない。

業務の内容は、メディア黒書で報じてきた通りである。

◇郵政事件

ちなみに博報堂が不正な方法で仕事を受注させ、クライアントが多額の出費を行うに至った典型的な事件としては、郵政事件がある。

周知のように2007年、小泉構造改革の象徴として郵政が民営化された。
郵政公社を4社に分割したのである。さらにこれら4社の持ち株会社・日本郵政が誕生した。

この時期、博報堂は日本郵政に対して裏工作を行い、郵政4社のPR業務を独占する権利を得た。裏工作とは、接待の繰り返しである。接待を受けたのは、C(秘書、後の次長)だった。接待の内容までは分かっていないが、総務省の報告書によると、これにより博報堂は郵政グループと大掛かりな取引をはじめる。

その結果、次のような実態が生まれた。

「博報堂には民営化後の平成19年度の同グループの広告宣伝費約192億円(公社から承継された契約に係る部分を含む)のうち約154億円(全体の約80%)が、平成20年度の同247億円のうち約223億円(同約90%)が各支払われている」(『日本郵政ガバナンス問題調査専門委員会報告書の「別添」・検証総括報告書』、2010年)【博報堂関連の記述は29ページから】

このような実態について、博報堂に再就職(広義の天下り)している元最高検察庁の松田昇氏の見解も知りたいところだ。検察は、正義を追求する組織であるからだ。

【参考記事】元最高検察庁刑事部長の松田昇氏の再就職先、博報堂DYホールディングスだけではなく、3月から読売巨人軍にも、官民汚職の温床に

2016年10月12日 (水曜日)

最近、再びクローズアップされているのが「押し紙」問題である。あるいは新聞の偽装部数問題である。新聞史の中で、現代の動きを捉えると、第3波が始まっているといえよう。

第1波は1980年代の初頭。5年間にわたり共産党、公明党、社会党の3党が共闘して、国会の場で、新聞販売問題の追及を展開した。質問回数は、実に15回に及んだ。

第2波は2007年、読売の「押し紙」政策を認定した真村裁判の判決が最高裁で確定した時期である。この時期、雑誌が盛んに「押し紙」問題を取り上げた。が、読売が週刊新潮と筆者に対して、名誉毀損裁判を提起したのを機に、ぴたりと第2波がやんだ。

※読売は真村裁判が「押し紙」を認定したとする主張を否定している。次の記事を参照にしてほしい。

【参考記事】新聞の偽装部数「押し紙」を考える集会の講演画像が完成、江上武幸弁護士が真村裁判を語る

この裁判には、喜田村洋一・自由人権協会代表理事が読売の代理人として登場して、歴史的に見ても読売、1部も「押し紙」は存在しないと堂々と主張した。

第3波は、今年の2月に朝日新聞の記者が日本記者クラブで、公取委の杉本和行委員長に「押し紙」問題について質問したのを機として起こった。

◇現在の新聞社経営の決定的な弱点

筆者はかねてから、新聞ジャーナリズムが機能しない、あるいはたとえ記者が大問題の取材に着手しても、結局は途中で「腰砕け」になるのは、新聞社経営のビジネスモデルに重大な汚点があるからだと考えてきた。記者の職能の問題ではない。記者には能力が高いひとがおおい。この問題を公取委や警察が取り締まれば、新聞社経営そのものが破綻しかねないので、権力批判が出来なくなっているのだ。

かりに「押し紙」が排除されたら、新聞社は大きな収入源を失うことになる。販売収入も、広告収入も失う。だから大問題の取材に着手しても、その大半は途中で「腰砕け」になるのだ。

具体的に「押し紙」を排除した場合に新聞社はどの程度の減収になるのか。毎日新聞のケースをシミュレーションしてみよう。

◇「朝刊 発証数の推移」

使用するのは、同社の内部資料「朝刊 発証数の推移」である。この資料によると2002年10月の段階で、新聞販売店に搬入される毎日新聞の部数は約395万部である。これに対して発証数(読者に対して発行される領収書の数)は、259万部である。差異の144万部が「押し紙」である。

当然、シミュレーションは、2002年10月の段階におけるものだ。

■裏付け資料「朝刊 発証数の推移」

かりにこの144万部の「押し紙」が排除されたら毎日新聞は、どの程度の減収になるのだろうか。シミュレーションは次の通りである。大変な数字になる。

◇シミュレーションの根拠

事前に明確にしておかなければならない条件は、「押し紙」144万部の内訳である。つまり144万部のうち何部が「朝・夕セット版」で、何部が「朝刊だけ」なのかを把握する必要がある。と、いうのも両者の購読料が異なっているからだ。

残念ながら「朝刊 発証数の推移」に示されたデータには、「朝・夕セット版」と「朝刊だけ」の区別がない。常識的に考えれば、少なくとも7割ぐらいは「朝・夕セット版」と推測できるが、この点についても誇張を避けるために、144万部がすべて「朝刊だけ」という前提で計算する。より安い価格をシミュレーションの数字として採用する。

「朝刊だけ」の購読料は、ひと月3007円である。その50%にあたる1503円が原価という前提にするが、便宜上、端数にして1500円の卸代金を、144万部の「押し紙」に対して徴収した場合の収入は、次のような式で計算できる。

1500円×144万部=21億6000万円(月額)

最小限に見積もっても、毎日新聞社全体で「押し紙」から月に21億6000万円の収益が上がっている計算だ。これが1年になれば、1ヶ月分の収益の12倍であるから、

21億6000万円×12ヶ月=259億2000万円

と、なる。

ただ、本当にすべての「押し紙」について、集金が完了しているのかどうかは分からない。担当者の裁量で、ある程度の免除がなされている可能性もある。しかし、「押し紙」を媒体として、巨額の資金が販売店から新聞社へ動くシステムが構築されているという点において、大きな誤りはないだろう。同時に「押し紙」によって、販売店がいかに大きな負担を強いられているかも推測できる。

新聞は、一部の単価が100円から150円ぐらいだから、だれても手軽に購入できる商品である。そのためなのか、ややもすれば新聞社の儲けは少ないように錯覚しがちだが、販売網を通じて安価な商品を大量に売りさばく仕組みになっているので意外に収益は大きい。

■冒頭写真:ビニール包装が「押し紙」。新聞包装は、水増しされた折込広告。

2016年10月11日 (火曜日)

博報堂とアスカコーポレーションの係争で、鍵を握る博報堂の営業マン・清原亮一(仮名)氏の陳述書を閲覧した。9月15日付けのこの陳述書は、2015年秋に博報堂がアスカに対して起こした約6億1000万円の未払金を請求する訴訟のなかで作成・提出されたものである。

興味深いことに、この陳述書は、メディア黒書が指摘してきた両企業の取り引き形態をおおむね認めている。メディア黒書では、アスカの南部社長と清原氏が直接にPR活動について話し合い、業務内容を決めていたと報じてきた。

陳述書の冒頭で清原氏は、次のように述べている。

 当社と被告との間の広告取引は、全て、代表取締役である南部昭行氏(以下、「南部社長」と言います)から直接了承をいただいて進めてきたものであり、当社の請求が過剰・不当ということはあり得ないですし、覚書や債務承認契約の効力に問題はありません。

南部社長から「直接了承」を得ていたから、アスカは未払金にあたる約6億円を支払うべきだという論理である。

◇2人のキーマン・南部社長と清原氏

話は横道にそれるが、メディア黒書には、アスカが博報堂に騙されたのはチェック体制に不備があったからではないかとの指摘が複数よせられている。この指摘は確かに一面では当を得ているが、それよりも博報堂側の戦略が巧みだった事情がある。

たとえば博報堂は、筆者が調査した限りでは、アスカと取り引きをしていた全期間に渡って後付けの見積書を発行している。改めて言うまでもなく、見積書は、本来であればPR業務を提案する段階で提出するものだが、博報堂はPR業務が完了してから、しかも翌月の半ばに提出していたのである。

陳述書の中で清原氏は、広告取引のプロセスのうち、初期段階で、「当社から南部社長への企画及び見積金額の提案」を行っていた旨を陳述しているが、実際に見積書が提出されているのは、常にPR業務が完了した後だった。

アスカが側が、後付け見積書に抗議すると、「事前御見積書」という奇妙な書面を提出するようになったが、これが提出されていたのも、やはりPR業務が完了した後だった。日付けも月末日のままだった。

この「事前御見積書」も、やがて従来の「見積書」に戻ってしまった。

さらにこれらの見積書を清原氏が実際に、南部社長に手渡すのは、アスカの経理の「締日」にあたる15日前後だった。もちろんその際に請求書も提出していた。つまり「締日」の当日か、その前後に見積書と請求書を同時に提出していたのである。これでは南部社長は、書面を綿密に確認する時間がない。

当時の南部社長ら経営陣は、清原氏を全面的に信頼しており、同氏の労をねぎらって、お歳暮を欠かさない関係だった。こうした間柄だったので、南部社長は、あえて見積書と請求書の中身を精査しなかったようだ。

裁判では、清原氏と南部社長が尋問に出廷するものと思われる。法廷での対決になる模様。裁判の最も大きな注目点である。幸いに両氏とも存命されている。健康なようだ。両者のどちらが欠けても、事件の真相は闇の中に消える。

◇後付けの見積書に終始した博報堂

清原氏の陳述書には、金額の提案については、事前に口頭で実施していた旨がほのめかされている。既に引用した次のくだりである。

  「当社から南部社長への企画及び見積金額の提案」

その一方で、見積書を提出していた時期は、PR業務が終わった後だったことも認めている。ただし、次のような弁解じみたニュアンスになっている。

 「請求書を発送する際は、その費用の明細がわかるように、見積書を添付しておりました。」

清原氏は、どうやら、PR業務に関する金額は、口頭で説明して、請求時にそれを再確認するための見積書を請求書に添えて提出していたというものである。しかし、こうした方法は変則的で博報堂クラスの大企業としては異例だ。正常な取引ではない。経理の基本原則に反している。アスカ側はそれを是正させるために、事前に見積書を提出するように求めているが、それにも応じていない。

ちなみに、正常な広告取引の在り方につては、日本アドバタイザーズ協会の『フェアな広告取引実践のすすめ』 など多くの啓蒙書があり、筆者が記憶している限り、口頭で価格を設定してり、後付け見積書を発行するように勧めたものは一冊もない。博報堂の関係者が執筆したものでさえ、そんなことは書いていない。

◇明らかな騙しの事実

かりに口頭で取り決めることを正常な広告取引として認めたとしても、その提案した業務内容に偽りがあれば、詐欺であることには変わりがない。金銭をだまし取ったことになる。

そして博報堂の業務に「騙しの手口」が使われていたことは、ほぼ立証できる。少なくとも筆者が検証した限りでは、報道するレベルに達している。

たとえばテレビCMなどの番組提案書にある番組枠に嘘の視聴率を提示して、番組枠を買い取らせていた事実は、アスカに残っている番組提案書とビデオリサーチの数値を対比し検討すれば、すぐに判明する。

これらの番組提案書を南部社長に提示していたのは清原氏である。

また、通販番組を休止にしておきながら、放送料を徴収した事実は、番組の中止を伝えた書面と、請求額が記された「後付け」の見積書を見れば判明する。

下記が具体例である。朝日報道のものを紹介しよう。

■朝日放送

◇郵政事件との関連

いずれにしてもアスカは、博報堂に騙されたことになるが、こうした被害を受けたのは、アスカだけではないだろう。取材の範囲を他のクライアントに広げる必要がある。たとえば郵政4社についても、今後、取引の実態を検証が不可欠だ。

周知のように2007年、小泉構造改革の象徴として郵政が民営化された。
郵政公社を4社に分割したのである。さらにこれら4社の持ち株会社・日本郵政が誕生した。

この時期、博報堂は日本郵政に対して裏工作を行い、郵政4社のPR業務を独占する権利を得た。裏工作とは、接待の繰り返しである。接待を受けたのは、C(秘書、後の次長)だった。接待の内容までは分かっていないが、総務省の報告書によると、これにより博報堂は郵政グループと大掛かりな取引をはじめる。

その結果、次のような実態が生まれた。

「博報堂には民営化後の平成19年度の同グループの広告宣伝費約192億円(公社から承継された契約に係る部分を含む)のうち約154億円(全体の約80%)が、平成20年度の同247億円のうち約223億円(同約90%)が各支払われている」(『日本郵政ガバナンス問題調査専門委員会報告書の「別添」・検証総括報告書』、2010年)【博報堂関連の記述は29ページから】

常識ではありえない数字である。当然、疑惑がある。検証が必要だ。

こうした取引に朝日新聞など一部のメディアは疑問を呈したが、結局、踏み込んだ調査報道は行わなかった。恰好の題材を取材しなかった。最も肝心な部分が闇に葬られたわけだが、これで博報堂に対する疑念が消えたわけではない。

なぜ、200億円を超えるような金が動き、郵政グループはそれに気づかなかったのだろうか。なぜ、郵政はこれだけ莫大な金を払ってしまったのか。

アスカで博報堂が使った同じ手口が、郵政グループでも採用されていなかったか、今後、綿密に検証する必要がある。

◇博報堂と電通

マスコミは、電通が広告取引の不正が指摘されたのを受け、自社で社内調査を行った後、謝罪したことを報じた。報道は電通が自分で不正を認めた結果である。

一方、博報堂の問題は、あまり報じられない。博報堂が不正を認めていないからである。博報堂は、少なくとも電通と同じように、内部調査を実施して、その結果を公表すべきだろう。さもなければコンプライアンスでも電通に劣ることになる。

同じ広告代理店の問題といっても、電通の最大の問題は、寡占化である。業務を独占してテレビや新聞に強い影響力を持っていることである。これも重大な問題だが、業務そのものにはあまり不備はない。

これに対して博報堂は、業務そのものに問題があるのだ。職能が劣っているうえに、アスカの例に見るような、騙しの手口を採用している。それゆえに内閣府の情報公開資料の中でも、完全に取引額が黒塗りになっている箇所があるのは、博報堂のものだけだ。他の広告代理店のものは一応公開されている。

博報堂には、最高検査庁から松田昇氏が再就職(広義の天下り)しているが、松田氏本人にも、正義の番人・元検事として一連の博報堂事件をどう考えるか、インタビューしてみたいものだ。

2016年10月10日 (月曜日)

広告代理店による騙しの手口が明るみに出はじめた。電通が先月、デジタル広告の掲載料金を水増請求していた件で記者会見を開いて謝罪したが、業界2位の博報堂も今年5月と8月、化粧品・自然食品の通販会社アスカコーポレーション(本社・福岡市、以下アスカ)から、過払い金として約64億円の返済を求める2件の訴訟を起こされていたことがわかった。

請求項目は、通販情報誌の制作で過去データを流用し手抜きしていた問題から、テレビCMなどの番組提案書の放送枠にビデオリサーチの視聴率を改ざんして書き込んだ問題、1508件のテレビCMを「間引き」した疑惑まで、多岐にわたる。

放送しなかった通販番組についても放送料を請求したり(架空請求)、縦枠の新聞広告に横枠用の広告を制作し、そのまま掲載してしまうといった低レベルの問題も発覚。アスカから膨大な量の放送確認書(2010~2014年)を入手して精査した筆者が、「不正のデパート・博報堂」の実態を詳報する。【続きはマイニュースジャパンで】

2016年10月08日 (土曜日)

10月2日に東京都板橋区の板橋文化会館で開かれた「押し紙」問題を考える会の記録動画が完成した。今回、紹介するのは、「押し紙」の説明(黒薮)と江上武幸弁護士の講演である。

江上弁護士は、真村裁判の経緯について話した。この裁判は単に読売の販売政策が争点になっただけではなく、ひとりの販売店主を14年間も法廷に縛り付けた事実があり、今後、人権問題の観点から長期に渡る検証課題になりそうだ。

また、読売の滝鼻太郎広報部長は、自社の「押し紙」政策を否定(下の記事を参照)しており、この点についても、真村裁判の判決に照らし合わせた再検証が不可欠になっている。

【参考記事】読売の滝鼻広報部長からの抗議文に対する反論、真村訴訟の福岡高裁判決が「押し紙」を認定したと判例解釈した理由

 

2016年10月07日 (金曜日)

7日に発売の『紙の爆弾』が、「郵便不正事件の真相『不正DM』利用を手引きした『博報堂』」と題するルポを掲載している。

郵便不正事件とは、「2009年に大阪地方検察庁特別捜査部が、障害者団体向けの郵便料金の割引制度の不正利用があったとして、障害者団体・厚生労働省・ダイレクトメール発行会社・広告代理店・郵便事業会社等の各関係者を摘発した郵便法違反・虚偽有印公文書作成事件」(ウィキペディア)である。

博報堂の関係者もDMの発行会社に対して営業を行った。現在、博報堂と係争中のアスカコーポレーション(本社・福岡市、以下、アスカ)も、DMの使用を勧誘されたという。名刺が残っている。この事件は、アスカの地元、福岡を中心に展開したのである。

ベスト電器をはじめとする多数の企業関係者のほか、博報堂エルグの執行役員も逮捕された。有印公文書偽造で厚生労働省の元局長・村木厚子氏らは逮捕後に無罪となり、逆に担当検事の前田恒彦氏らが最高検察庁に逮捕された。これも謎が多い事件だ。

結局、この事件は真相が完全に解明されないまま消えてしまった。

◇博報堂が繰り返し接待

これら一連の郵政事件と、現在、博報堂DYホールディングスに(広義の)天下りをしている元最高検察庁・「刑事部長の松田昇氏の関係をさまざまな人々の証言で検証したのが、『紙の爆弾』のルポである。

元最高検察が現役検察官に対して、どの程度の影響力を持っているのかは不明だが、国家公務員の天下りそのものがあるまじき行為である。厳密に禁止するのが原則だろう。検察の正常な機能をまひさせて、国民に害を及ぼす危険があるからだ。

博報堂DYホールディングスの有価証券報告書で確認できる松田氏の経歴は次ぎの通りである。

一連の郵政事件に関して、総務省は報告書を作成した。29ページ(下記、PDF参照)から郵政事件と博報堂の関係に言及している。その中で、郵政側の人物が博報堂から繰り返し接待を受けて、郵政4社のPR業務を独占する過程が記録されている。

その結果、次のような実態が生まれた。報告書から一部を引用しておこう。

「博報堂には民営化後の平成19年度の同グループの広告宣伝費約192億円(公社から承継された契約に係る部分を含む)のうち約154億円(全体の約80%)が、平成20年度の同247億円のうち約223億円(同約90%)が各支払われている」(同報告書)

■報告書の全文

2016年10月06日 (木曜日)

先月、電通が自社のPR業務の中で過剰請求があったことを認めたのを機に、広告業界の闇が輪郭を現しはじめている。

周知のように、ウェブサイト『ビジネスジャーナル』(8月25日)が、博報堂と係争中のアスカコーポレーション(以下、アスカ)・南部昭行社長へのインタビューを掲載した。この中に博報堂による請求の水増しについて次のような質問と回答がある。

---具体的には、どのようなかたちで水増しが行われていたのでしょうか。

南部 たとえば「渡航費」という部分です。東京から福岡までの出張経費が渡航費として1回100万円以上の単位で請求されていました。ほかの取引先は、そのようなことは一度もなかったので、びっくりしました。もちろん、そうした費用を請求するなどという話は事前になく、正直呆れました。《全記事》

この件に関して、筆者が取材したところ、「渡航」に関連した請求に複数の疑惑があることが分かった。

◇「ぼったくり」という悪癖

まず、2006年4月15日付け請求書に渡航費の請求がある。請求の名目は、「休眠掘り起こし冊子渡航費」。請求額は、165万円。

「休眠掘り起こし冊子」とは、アスカの商品を購入したクライアントのうち、その後、顧客層ではなくなった人々を再発掘するための冊子のことである。その編集会議に出席するために要した旅費である。つまり東京本社の博報堂の営業マンが、福岡にあるアスカ本社へ「渡航」するための費用である。

通常の航空運賃は、高くても5万円程度。スカイマークであれば2万円代である。ところが博報堂が165万円を請求した事実が請求書に記録されている。

これについて、アスカ側は次のように話している。

「博報堂が当社に参入したころ、情報誌制作の会議に参加することを希望してきました。その際、博報堂の営業マンは、『全て無料で行いますので、勉強のために会議に参加させていただけませんか?」と南部社長に話をしました。その結果、参加が許可されました。彼は東京から参加していましたが、1回も提案が採用されたことはありませんでした」

アスカによると、渡航費を博報堂が自分で負担することが会議に参加する条件だったという。たとえこのような取り決めが書面で行われていなかったとしても、165万円という額は尋常ではない。請求額に疑問がある。

さらに上記の請求書と同じ2006年4月15日付けで、「店舗取材渡航費」
の名目で約37万円の請求がある。アスカの店舗を取材するための渡航費であるが、アスカによると当時、店舗の取材は電通九州が行っていたという。

「渡航費」として請求された2つの項目の合計は、200万円を超える。これらは未だに訴訟にはなっていない。

■裏付け資料となる博報堂の請求書

なお、「渡航」とは普通は海外に行くことを意味する。経理用語まで間違っている。それとも「渡航」と記さなければ、165万円との整合性が取れないから、故意に「渡航」と書いた可能性もある。これも騙しの手口かも知れない。

◇宿泊費とキャンセル料をどう評価するか?

博報堂は、電通と東急エィジェンシーをアスカから撤退させ、2008年からPR業務を独占した。その後、2010年にも検証に値する出張関連の請求を行っている。

発端はフランスとイタリアへのロケチームの出張だった。フランス滞在途中にイタリアへ行く予定だったのだが、イタリア出発直前にアイスランドの氷河、エイヤフィヤトラヨークトルが噴火して、上空に火山灰を噴きあげた。その影響で、航空網が大混乱に陥った。

当然、ロケチームのスタッフも足止めをくった。

その時の航空券変更に伴う料金や宿泊代の請求が検証対象になる。

たとえば5月31日付けの請求書によると、1名の「渡航費キャンセル料(パリ・ボローニャAIR)」が12万8000円になっている。また、「渡航費キャンセル料(ミラノ・ボローニャ鉄道)」が、1万6000円。

これらの請求額をどう評価するかは、現地の事情を知らない筆者には難しいので、当面は読者に委ねよう。

■裏付け資料となる博報堂の請求書

ちなみにまだ訴訟にはなっていないが、過去の取引の精査が進むにつれて、不正請求を訴因とした訴訟がアスカ側から次々と起こされる可能性が高い。

2016年10月05日 (水曜日)

アクセスジャーナルで、博報堂事件の連載が始まった。その背景には、9月23日に電通が記者会見を開き、自らの過剰請求を認め、大手広告代理店による不正請求が氷山の一角である可能性が高まった事情があるようだ。

博報堂事件の発端は昨年の秋、博報堂がアスカコーポレーション(以下、アスカ)に対して、約6億1000万円の未払い金を請求する裁判を起こしたことである。これに対してアスカは博報堂が過剰請求をしていたとして、今年に入り2件の裁判を起こした。賠償請求額は総額で約64億円。この中には、視聴率の偽装を根拠に番組提案書の無効を求めるものも含まれている。

アスカ側は積極的に情報を開示しているが、博報堂は取材を拒否している。

■アクセスジャーナル

アクセスジャーナルを主宰する山岡俊介氏は、武富士の闇を暴いたジャーナリストとして有名だ。博報堂の闇にどう切り込むかが注目される。

ちなみにこれまでに博報堂事件を取り上げたのは次のメディアである。

ZAITEN
月刊タイムス
週刊実話
紙の爆弾
週刊金曜日
ジャーナリスト
ビジネスジャーナル
アクセスジャーナル
メディア黒書

本来、広告業界の闇は、新聞やテレビなど大手メディアが取り上げるべき問題であるが、現在の広告依存のビジネスモデルのもとでは、広告代理店の批判は極めてむつかしい。ジャーナリズムが機能していない。

NHKもまったく取材しない。重大問題との認識がないようだ。

逆説的に見ると、こうした鈍感さが広告代理店の業務がデタラメになった主要な原因といえよう。

アクセスジャーナルの追及に期待が集まりそうだ。

2016年10月04日 (火曜日)

筆者は内閣府に対して2件の情報公開を請求する文書を3日に送付した。公共広告に投じられる「税金」が、広告代理店・博報堂に不当に大きな規模で流れている疑惑があり、調査する必要があるからだ。

内容は次の通りである。

【文書1】
広告代理店・博報堂が内閣府に送った請求書の全部。対象は平成28年4月から9月。

【文書2】
テレビCMの放送確認書の全部。対象は平成27年3月から平成28年3月。

■裏付けの文書